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プロフィール
コメント数 3870
性別 男性
年齢 53歳

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1.  ヤング・マスター/師弟出馬 物語なんぞそっちのけ、映画という世界の中でひたすら暴れまわるジャッキー。いや、「映画を駆使して暴れまわる」とでも言うべきですかね、いやホントに、実にデタラメで、それでいて丁寧で(どっちやねん)、映画の持つ自由さというものを満喫できる作品です。漫然と屋外での格闘シーンが続くもんで、まあかなり手っ取り早く撮影はしたんでしょうが、それでもカットによって天候が変わってしまうのは御愛嬌。で雑な作りなのかと言えば、しっかり計算された切り返しも見せてくれたり。で、中身は無し。だいたいあの中盤の水浴のシーンなんて、ジャッキーの露出狂ぶり(?)(実際、映画でよく脱ぐよね)が発揮されただけで、ストーリーも何もあったもんじゃないんですけど、わざわざこんなシーンを入れる。狭い個室でのドタバタ、どっちかって撮影も面倒だろうに(壁を取っ払って切り返したり)、でもあえてこんなシーンを入れる。ストーリー展開なんて無視して、ひたすら飛び跳ね暴れ回る、しかしそれは、まさに「映画をというものを駆使して」暴れまわっているのですね。勿論、肉体を徹底的に駆使することもまた、本作ではすさまじいばかり。ラストの一騎打ちのすごいこと、そしてしつこいこと。そして、そもそも何故、これほどまでボロボロになりながら戦い続けなければならないのか、ほとんど必然性が無いこと。身内を殺されたとか何とか、この壮絶さに見合うだけの「戦う理由」がここには無いのです。無いのに戦い続け、メッタ打ちにされ続ける。はっきりした理由の無い、しかし壮絶極まり無い死闘。純粋にその“凄まじさ”そのものが、観るものを惹きつけて、もうこうなると、いつ果てるとも知れぬ戦いを観ながら、笑いそして泣くしかないのです。これぞアクション映画。[CS・衛星(字幕)] 10点(2011-05-13 01:01:10)(良:1票)

2.  ヤッターマン(2008) ええと、子供の頃、そりゃ観てましたよヤッターマン。(タイムボカンは再放送でしか観てませんけど)ヤッターマンから観始めて、一応、逆転イッパツマンまではお付き合いしました(放送時間帯が変わるまで、ということですね)。さてそのヤッターマンが、実写映画化。山本正之さんの歌う主題歌が流れたり、カメオ出演でのび太とジャイアンの声優さんが出てたり(?)、ツマラナイことで大喜びしてしまいました。それに、アニメ放送を観てた時分の子供の目から見りゃ、ボヤッキーなんて、ちょっと変わったおもろいオッサン、という感じでしたけど、今、自分もオッサンになってみると、何だか、同類を見るような視点になってしまいます。親近感もヒトシオ。なんですけども、今回、実写映画ということで、演じているのは「生身の人間」、伝わるものの重みが一味違いますね。ドロンボーたちが陽気に歌って踊る。「やられてもやられても何とも無い、無い」と。ああ何て健気なんでしょうか。このひたむきな前向きさ。しかも映画を観ていると、「何とも無い」なんてとんでもない、苦しいこと、つらいことばかりじゃないですか。ノーテンキに無意味な宙返りを繰り返すヤッターマンと、鈍重で愛すべきドロンボー達との対比。不幸を一身に背負いつつ、何とか虚勢を張り続けるドロンジョ様。ドロンジョって、こんな可愛い女性だったのか、と改めて思わされます。女子高生に取り巻かれる夢を見つつも、裸体を人前に曝すぐらいなら死を覚悟する(?)ボヤッキーの情けないまでの繊細さ。そんなボヤッキーをひたすら慕うトンズラー。ああ、いいよね。今の時代に失われてしまったものが、ここにある! という訳で、本作を観てようやく、「ヤッターマン」という作品がほんとうに理解できた、と思いました、三池カントクありがとう!!  ああ、あと、富山敬さんが生きてたらなあ。[DVD(邦画)] 9点(2010-01-25 23:34:23)(良:2票)

3.  ヤング・フランケンシュタイン もう最高。パロディと言っても、大筋は怪奇映画としての雰囲気を充分備えているので、たまに入るおバカギャグが可笑しいのなんの。ただのドタバタ映画とは一線も二線も画しています。メル・ブルックスにはこういうのを期待してるんです!9点(2003-06-07 21:37:20)

4.  山猫は眠らない2 狙撃手の掟 『プラトーン』におけるトム・ベレンジャーとウィレム・デフォーの配役については、オリバー・ストーンは、それまでのイメージを逆にしてみた、みたいなことを言ってたような気もすれば言ってなかったような気もするのですが、これはつまり、トム・ベレンジャーが優男イメージでウィレム・デフォーが極悪イメージ、ってことなんでしょう。でも結局、『プラトーン』のイメージがそれを上書きしてしまって、トム・ベレンジャーはどっちかというとコワモテのイメージ、ウィレム・デフォーは顔はイカついけどひょうきんなオジサンのイメージ(要はエンケンさんみたいな感じ)、になってしまって。 で結局、トム・ベレンジャーは凄腕B級スナイパー、トーマス・ベケットになり果ててしまった、と。 なにせこのトーマス・ベケットという主人公、凄腕スナイパーにしちゃあ、寡黙さが足りない。よくしゃべります。いいオジサン風。 例によってポンコツそうな相棒と組み、例によって暗殺を請け負うものの、ちょっと意外な展開になって行き、路面電車を使った派手なアクションもあったりして、激安映画にしては見どころ満点。相棒役もただポンコツかと思ったらそんなこと無くって、二人の関係もしっかりと映画の見どころの一つになってます。終盤における廃墟の中でのスナイパー対決なんて、コレ、かなりシビレてしまいました。カッチョいいったら、ありゃしない。 いや、褒め過ぎているという自覚は、あります。ご心配なく。[CS・衛星(吹替)] 8点(2020-11-24 22:00:24)《改行有》

5.  山猫 観てて、「斜陽」という言葉が脳裏に浮かびます。時代の流れの中で徐々に滅びゆくものたちの、最後の輝き。。バート・ランカスターはガッシリしてるし、アラン・ドロンは若々しいし、クラウディア・カルディナーレはキャピキャピしてるんだけど、ここに描かれている「旧時代の貴族社会」そのものが年老いてて、もう、先は無いんだなあ、という想いが湧いてきます。 そもそも舞台がシチリア島で、屋内には確かに豪奢な貴族社会があるけれど、一歩外に出て見りゃ、ハッキリ言って、 ド田舎 なワケです。しかしそのド田舎にも、時代の移り変わりの不穏な動きが、徐々に伝わってくる。こんなところに兵士の死体が。 映画後半に展開される舞踏会。貴族らしい豪華さはあるけれど、何やら老朽感めいたものも散見されます。冒頭の昼のシーンでは窓が開けられカーテンが優雅に揺れていたけれど、夜の舞踏会では窓が閉められ、その中でバート・ランカスターやアラン・ドロンが汗だくになっている。その姿が、何やら病人めいたものすらも感じさせて、あーこりゃもう先は長くないなあ、と。 ラストで去り行くバート・ランカスターの姿が何とも寂しくって、本作と言い、『カサンドラ・クロス』と言い、こういうのが似合う人ですなあ。[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-04-07 09:15:48)《改行有》

6.  野獣死すべし(1980/日本) 《ネタバレ》 なんという演出。無愛想なドキュメンタリ調かと思えば、時には凝ったカット繋ぎに神経を配り、しかし結局は“長廻し”がすべてを凌駕する。オノレの演技に酔いしれ、ついには演技が映画を支配してしまう。それでいいのか。あかんかも。でも圧巻であることは間違いない訳で。ところで、小林麻美が射殺されるシーン、彼女の体に仕込まれた火薬が銃撃の凄まじさを演出する訳ですが、火薬が多過ぎたのか、「弾に当たった」だけなのに彼女からモクモクと煙が上がってしまい、これがあたかも、「一体何がどうなってるのやら状況が理解できず、アタマの回線がショートして死んでしまった」ように見えたのが、なかなか面白かったです、どうでもいいことですが。[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-09-07 23:55:39)(笑:1票)

7.  夜行列車 ある夜行列車を舞台にした人間模様、と言っても、社会の縮図として多彩な人間関係を描く、という作品ではなくて、あくまで映画の中心は、たまたま同室に乗り合わせた男と女、そして女につきまとうストーカーみたいな若造。正直、ときどきテンションが高くなり過ぎて映画についていけない面もあるのですが(もともと面識のなかった同室の男に対し、女の感情発露がいささか唐突な印象。あと、ストーカー小僧が走っている列車の窓の外に突然現れるハチャメチャさにも、ちょっと鼻白んでしまう)。しかし、何やら訳アリそうな主人公たちの関係に、さらに「逃亡中の殺人犯」というエピソードも絡んできて、なかなかサスペンスフルな作品になっております。また、その狭さが映像で強調される「列車内」という限られた舞台の中で、他の乗客や車掌といった脇役たちの存在が、うまい合いの手となっていて印象的、まさに「脇役」としてしっかり映画の脇を固めています。そして、映像に合おうが合うまいが、容赦なく流れ続けるけだるい音楽もまた、印象に残ります・・・。[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-05-15 15:42:23)

8.  山猫は眠らない かっちょいい! スナイパーっていうとみんなデューク東郷みたいな顔してると思われがちで、人間離れした精神力と体力の持ち主、無言無感動無表情のロボットみたいに描かれがちだけど(どの作品の事を言ってるんだ?)、この映画では、トム・べレンジャー演じる主人公は、比較的よくしゃべります。そりゃま、登場人物がとっても少ないんだから、彼がしゃべらないと映画が成り立たなくなるという説もあるけれど。冷徹さと人間味を併せ持った主人公です。で、セリフの中で「スナイパーとは何ぞや」みたいなことが語られ、それを実際に映画の中で体現して見せ、その上で、ああ、スナイパーってやっぱり、つらい職業(?)なんだな、と感じさせられ、この職業選ばなくてよかったな、と。[DVD(字幕)] 8点(2009-08-15 22:55:00)

9.  山の音 《ネタバレ》 台風による停電の夜。真っ暗になると何となく、口数が増えるものでして、バーサンもハイテンション、ペラペラ喋り続けまくり(こないだの夜はジイサンが本読んでる横でイビキかいて眠りこけてたのになあ)。しかし、そんな夜においてすら、息子夫婦の間に会話は無い・・・。夫・修一は外で浮気、妻・菊子は家で何やかんやと家事を押し付けられる毎日←押し付けられるっちゅうても、描き方は余り角が立たないよう、マイルドですが、やってることだけ見れば、殆どシンデレラ状態。姪にバカにされる菊子、夫の家族のためにひとり柿を剥き続ける菊子、なーんてシーンが、当たり前のように続く、この執拗さ。ジジイだけは味方、らしいんだけどイマイチ頼りない。エラソーなこと言ってる間があったらジジイも家事手伝えよ~と言いたくなるが、そこは時代背景ということで、ぐっとこらえましょう。さてそんな中、ジジイ(と我々)の知らぬ間に、何と菊子は、捨て身の「復讐」に出ていたのでありました・・・しかし(映画の中ではジジイ以外の人達はやたら単純で冷淡に描かれているので)、ダメージを受けたのはどうやら、菊子本人とジジイだけ、らしいというこの皮肉。曲がりなりにも穏やかに描かれてきたこの映画が、俄然苦味を帯びてくる。そんな中でのラストの公園のシーン、別に何かが解決したわけでもない、別離のシーンなのですが、何ともいえない透明感のある、不思議なサワヤカさのあるラストでありました。[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-09-20 23:51:54)(良:1票)

10.  ヤコペッティのさらばアフリカ タイトルに「ヤコペッティの」とわざわざつけるのは、作品に箔をつけるためなのか、それとも眉に唾をつけて見てくださいということなのか。 最初の方の裁判のシーンからすでに、いかにも「監督がスタートと言ったら喋り始めてください」とか「目の前で撮影しますけどカメラの方を見ないように」とか言いながら撮影してそうな雰囲気が。これはドキュメンタリーなのか、素人が出演する再現ドラマなのか、疑いだしたらキリがない。 それ以外のシーンも、もしこれがあくまで傍観者の視点、目撃者の立場で撮られたものだったら相当な準備のもとで撮影する必要があり、もうちょっとその苦労を踏まえてじっくり見せたくもなるだろうに、それにしちゃあ随分アッサリと場面が転換していくよなあ、と。 要するに、ヤラセを疑ってしまうくらい、次から次へと見事に編集が流れていく、いやはや驚くべき作品なのです。撮影で3年間帰れなかった、だって? いえいえ、むしろ、よくぞこれだけのものをたった3年で撮ったもんです。←まだ疑ってるのか? 動物への殺戮、人間への殺戮が繰り返される、我々の日常とかけ離れた世界。植民地支配から独立へと向かい始めた混乱のアフリカへ視線を向けた、という点だけでも大きな意義があり、ヤラセの是非に世の視線を向けさせた点にも少しだけ意義があり、迂闊にコメントしづらいながらも色々と感じるところのある作品になっています。 ちなみに、発砲シーンで鳴り響く銃声は、もちろんマカロニウエスタンでお馴染みのアレです。[インターネット(字幕)] 7点(2021-10-24 22:39:45)《改行有》

11.  柳生武芸帳(1961) オープニングの映画会社のロゴ、「ニュー東映」ってのがなかなか珍しくって、お釣りにギザ付10円玉が混じってたときのように、ちょっと得した気分。 しかし要するにこれっていわゆる「B級映画」ってやつ?などと思うと、東映時代劇よりエキストラが少ないんじゃないの~とか、スタジオ撮影なのになんでこんなに吐く息が白いんだ、とか、変なコトが気になってきたりもします。 それはともかく、物語はというと、柳生武芸帳(?)の争奪戦、みたいなオハナシで、武芸帳への関心がイマイチ薄そうな柳生十兵衛はあまり物語に関係無さそうなのですが、一応、主人公。演じるは、何と言ってもこの人、近衛十四郎。何かにつけて、よく分からない高笑いを繰り返しても、不自然ではない、というのがこの人の持ち味です。それにしてもなぜ、高笑いばかりしてるんだろうか。 あったはずの武芸帳(?)が行方不明になったり、色々と事件が起こりますが、最後は何と言っても十四郎アクションが炸裂。多少投げやり気味のワイヤーアクションなんかもあったりして(いやもう、これで充分です)、外連味もたっぷり。[インターネット(邦画)] 7点(2021-07-07 22:58:16)《改行有》

12.  ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディー この映画を観ても、主人公のジョージ・M・コーハンというヒトの何がどうエラいのか、サッパリわからん、ってところが、いいじゃないですか。 こまっしゃくれた少年時代から、大人になってもあまり進歩がなく、無理に良く言えばいつまでも若々しい、そんな主人公をジェームズ・キャグニーが演じていて、ちょいワルな表情が妙に愛嬌を感じさせます。進歩がどうこうよりも、舞台興行の世界に徒手空拳、立ち向かっていく、みたいな姿が、我々を惹きつける・・・のですが、映画自体はそんなこともそっちのけで、ミュージカルシーンを脈絡なく積み重ねるようなところがあって、しかもこれといって馴染みのある曲が出てくるワケでもないので、ますますこの主人公がよくわからなくなる。 その、よくわかんない中で、挿入されるエピソードがキラリと光ります。妻に捧げた「メアリー」という歌を取られちゃう場面、そんな大したエピソードじゃないんだけど、主人公の申し訳なさそうな様子とか、それに対する妻の姿とか、本当にイイんですね。 ミュージカル俳優としてのジェームズ・キャグニー、自信満々にダンスを演じていて堂々たるものですが、アステアあたりの超人的な動きというほどではなく、それがまた妙にこの映画の主人公像にマッチしてます。 ところで本作、戦時中の製作ということもあってアメリカ万歳的な面も多々感じさせ(それにしては主人公像が地味であるところがユニークですが)、劇中でも、これぞアメリカ!という曲がジャンジャン流れます。なのに、そのうちの一曲が、なぜかイギリス国歌?・・・これは、このメロディ、アメリカでは別の歌詞がつけられた愛国ソングだったら。チャールズ・アイヴズの「アメリカ変奏曲」も、このメロディに基づく変奏曲でした。[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-06-22 08:54:14)《改行有》

13.  奴らを高く吊るせ! 《ネタバレ》 冒頭いきなり、イーストウッドが9人組に因縁をつけられ、首を吊られてあえなく死亡。で、主人公が死んだところでタイトルがバーンと出る、というイカした趣向。って、映画が始まる前に主人公が死んでしまっては困るので、実はまだ死んでなくって、通りすがりの保安官に助けられる。 だけど、この映画観てると、イーストウッドの役どころは基本的に「死なない人」なので、助けられなくっても何とかなったのかも知れませんが、とにかく助けられ、無実であることも認めてもらって、ついでに保安官にもなっちゃう。なっちゃって、9人組への復讐を誓う。 という復讐譚で、映画のノリにも明らかにマカロニ・ウェスタンの影響があり、ここからは復讐一直線、と思いきや、そうならないのが本作の特徴であり、ちょっと気持ちのワルいところでもあります。中盤は復讐とは関係ない別の事件に首をつっこむことになり、この事件を通じてやりきれない思いをいだいたりもする。 はたまた、何やらワケありの過去を抱えているらしい女性との出会い。 こういったあたりは、マカロニとはまた違った種類のハードボイルドを感じさせます。が、それだけに、何だか妙な方向に話が広がっていくなあ、と。これらのエピソードが、死刑制度の矛盾とか、終わりなき復讐の虚しさとかを漂わせて、しかしそれでもイーストウッド演じる主人公は、復讐へと突き進んでいく・・・というのが、悲壮なヒロイズムというよりは、ちょっと場当たり的に感じてしまうのは、私のハードボイルドに対する理解が不足してるんですかねえ。クライマックスの決闘も主人公側ではなくむしろ「追い詰められた敵役」側から描かれていて、悪は決然と断罪される。ある意味、身も蓋もないんです。 で、ラストではまた、人を裁く矛盾が描かれる。この主人公、他人の罪の重さをやたら自分で決めたがるクセがあるのです。実は結構、社会派(?)な作品なのでした。[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-04-08 21:30:19)《改行有》

14.  柳生一族の陰謀 二代将軍秀忠亡き後、三代将軍として徳川幕府を継ぐのは、兄・家光か、弟・忠長か。という、将軍家の跡目争いが描かれるのですが、それにしても「柳生一族の陰謀」、いやあ、カッコいいタイトルですね。内容は、どのあたりが「柳生一族」の「陰謀」なのか、正直よくわかりませんが、とりあえずタイトルの響きがいいので、OKかな、と。 しいて言うと、陰謀を担当するのは但馬守、演じる錦之介の歌舞伎っぽいセリフ回しが、怪しいのなんの。もちろん千葉ちゃん演じる十兵衛は、ムズカシイ話はわからないのでアクション担当。そこに、さまざまなライバル的キャラが登場して、はたまた一応それなりに陰謀劇みたいなのもあったりして、なかなかの楽しさ。ラストの意外性もバッチリ。 ここまできたらもう、時代劇の枠も超えちゃって、SF的にもっとハメを外してもよかったんでは、という気もしますが。[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-09-12 23:05:45)(良:1票) 《改行有》

15.  夜叉 ええと、テーマは薬物汚染ですか。いやあ、邦衛さん、どの映画観ても言動がちょっとおかしいと思ってたんですが、やっぱりヤッてましたか(笑)。ってのはどうでもよくって。 みんな、過去から逃れられないんですね。過去がもたらす、シガラミから。 高倉健は、拭うに拭い切れない「夜叉」の過去を背負って生きている。田中裕子も、ビートたけしへの気持ちからは逃れることができない。逃れることのできない2人の間に、さらに逃れきれないシガラミが生まれる。そりゃ、田中裕子が美人かどうかはともかく(ゴメン)、いしだあゆみよりはイイだろう(さらにゴメン)、だけど、いしだあゆみの眼力が、決して高倉健を自分から逃れさせない。 過去のシガラミを、「現在」が乗り越えていく。 夜汽車の中での、田中裕子のニタリという笑顔がコワイ(笑)。人はそうやって、わざわざ好きこのんでシガラミを作っていくのか。 それにしてもラストの、青年からのあの寝ぼけた手紙は、一体何なんでしょうね、毎日が楽しい、青春はスバラシイ、だってさ。ああこれはきっと、離れて暮らすオヤジを安心させるために、ツラい毎日を隠して書いたんでしょうね。それだけ大人になったということ。と思うことにしましょう。[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-06-26 09:42:03)《改行有》

16.  柳生武芸帳 剣豪乱れ雲 うわー、山形勲さんだとは、気づきませんでした、失礼しました。さて、柳生武芸帳を巡るあれやこれや、もはやどうでもいいんですけれども、アクションが楽しめるからとりあえずOK。武芸帳を狙うやくざ者3人組のうちの二人が、画面外の十兵衛と睨み合う場面。一瞬の斬り合いの後、二人の頭から血がタラーッと流れるのが、カッチョよいではないですか。直前の睨み合いなんて、刀をこちらに突きだし、まるで3D映画。さらには、忍者軍団の襲撃に、槍を振り回し戦う十四郎十兵衛。ちょっと大袈裟な立ち回りも、彼がやればまさにお見事。戦いの最中に、行方知れずだった武芸帳がアッサリ見つかり、武芸帳に手を伸ばす敵の手を、十兵衛の槍が突き刺す。手はゴム製らしく、槍で貫かれた瞬間のプルプルッとした感触がなかなかにタマラナイのですが、流血シーンと合わせ、ちょっとした残酷描写がアクセントになってます。またさらには、妙に念いりにカットを割って妙に長々と続く、馬上の追跡シーン。こういうのを見てると、アクションこそ命、ストーリーなんてもうどうでもよくなる(それに、直前のシーンが夜みたいだったのに急に昼間になったことも、どうでもよくなる)。そして宿敵との対決。多少クサイところはあっても、十四郎サマなればこそ、この貫禄。というか、剣豪とも思えぬ必死の表情や地団太踏む悔しそうな表情を見せるあたり、十四郎サマの真骨頂でありましょう(それに比べ、松方弘樹の落ち着いたこと。演技しにくかったのは、父と子の果たしてどちらであったことか)。[CS・衛星(邦画)] 7点(2015-01-15 23:41:02)

17.  やくざ戦争 日本の首領 《ネタバレ》 いくらかなりと実在のモデルに基づいているとは言え、実録モノ風のドギツイ抗争映画ではなくって(そういう要素もあるけど)、かつての任侠の時代から経済ヤクザの時代への移り変わりの中で、取り残されていく昔気質の男の悲哀のようなものが描かれたフィクションです。その男を鶴田浩二が演じているというのも、因縁めいているといいますか。前半はあまり物も言わず静かに佇んでおり、後半、組長代行として活動を開始しますが、もはや彼の時代ではなくなっていて。ひらがなしか書けない鉄砲玉の千葉チャンは組長に見捨てられ、病弱ながら仁義を背負った鶴田浩二にもまた残酷な運命が待ち受け、高橋悦史演じる娘婿の医者に代表されるような、インテリヤクザの時代が予告されて映画が終わります。組長役の佐分利信、声がかすれ気味で凄みに欠ける部分があるのが少し残念ですが、それでも、仁義を重んじる昔気質の面、家庭における父としての面、計算高いドライな面、これらを併せ持った存在感あふれる人物像になっています。そしてまた何と言っても、これでもかと出てくる出てくる個性的な脇役の数々。ヤクザ映画博覧会みたいな楽しさもありますね。[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-11-09 10:44:06)

18.  野獣都市(1970) 三國連太郎演じる社長と、黒沢年雄演じる学生が意気投合。要するに釣りバカ日誌な訳ですが、釣りが取り持つ縁ではなく、こちらは銃つながり。過激派学生が幅を利かせる大学に嫌気が差し、主人公の青年は、射撃が縁で知りあった社長の片腕となって働く決心をするが、こちらのスーさんは、あくどい事も辞さずに成り上がった、かなりの曲者。って、アチラの釣り好きスーさんも実は陰で悪どいコトしまくってるのかもしれないけれど。それはともかく、それを機に、青年は、社長と敵対する者たちとの抗争に身をおくこととなり、場合によっては殺人にすらも手を染める。というハードボイルドな作品ではあるのですが、監督が福田純。ゴジラ映画の監督さんですねえ。さすがに本作ではあんなオチャラケはやってませんけれども、ノワールでアンチモラルな物語の割りには、過激さはまったくといっていいほど感じさせない、比較的控えめな印象の作品になってます。むしろ、スーさんも含めた“わるいやつら”が闊歩する社会の中で、スーさんに賭け、時には悪事にも手を染めながら、スーさんと一緒に成り上がることを夢見た青年の一途さを描いた、青春映画とも言えるでしょうか。[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-04-16 21:14:37)

19.  ヤマトよ永遠に 本作、いきなり暗黒星団帝国による地球侵略が始まり、人類は唐突に危機に陥ります。そこで例によってヤマトが立ちあがる訳ですが……。敵の本拠地に乗り込んだヤマトの前に、昨今のバカミステリーもビックリの、費用対効果を極限まで無視した、壮大極まりないバカトリックが登場します。ここまで気の遠くなるようなトリックを仕込むヒマがあったら、地球侵略の段取りをもうちょっと考えろよ、と。さすがはヤマトシリーズ、この破天荒さが嬉しいですな。今回の作品、ちょっとメロドラマが入ってます。するとどうなるか。かつてのガミラスの連中は、みなドイツ人っぽい名前でしたが、今回の宇宙人はフランス人っぽい名前になってます。“ベルばら”調ですね。これまでの男泣き路線ではなく、女性にも受けそうな(?)、これまでにない感じ。アニメーションもグッと緻密になってるしね。そりゃま、第1作以来、だんだんネタ的に苦しくインパクトにも不足してきているのは否定できませんが、ちょっと意外な路線が楽しめる作品でもあります。今回の艦長・山南さんもまた、そういうインパクトの無さをよく表していて、沖田さんのような神秘性はまるで無く、存在感も薄いのですが、部下の話をよく聞き素早い決断を下す、とてもイイ人(すべて部下の主張に流されているだけ、という話もあるけど)。そういう人だけに、最期のセリフ(だけ)が光りますな。[DVD(邦画)] 7点(2013-11-28 21:23:03)

20.  夜叉ヶ池 え~すみません、コレも子供の頃に観たっきりなんですが。とりあえずですね、「この女のヒト、実は男の役者さんなんやで」などと言われてヒエーと思ったのが第一印象。で、後はラストのスペクタクル大津波シーンまでひたすら頑張って観ましょう、と、まるで『大魔神』でも観る時のような気分で観ておりましたが・・・何じゃこりゃ?というのが第二印象、何しろ得体の知れないキャラが続々登場、しかも、カニのお化けみたいなヤツは、声を聞くとまさに「まんが日本昔ばなし」でお馴染みの声だしな(=常田富士男)。アゼン愕然としている間に、いよいよクライマックスの大洪水、いや、これがまた豪快なこと、こりゃスゴイわ。というわけで、不思議な味わいが子供には濃厚すぎる、トラウマ系映画の一本でした。後に鏡花の原作戯曲を読んだ際には、意味もなくドキドキしてしまいました~。7点(2004-12-23 00:22:25)

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