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プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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181.  ユニバーサル・ソルジャー:リジェネレーション 本国ではDVDスルーの作品、しかも「Ⅱ」「Ⅲ」「リターンズ」をなかったことにするというお手軽な作り(都合の悪い続編をなかったことにする作品は、たいていロクでもないもの)だったので完全に舐めた目で鑑賞しはじめたのですが、冒頭の襲撃シーンの完成度の高さでいきなり面喰いました。ベテラン監督ピーター・ハイアムズが撮影に参加しているためか、見せ場の作り込みにおいて本作はかなり光っています。ユニソルvsユニソルのバトルには「人以上の者同士の死闘」という迫力があり、重量感やスピード感において、時にそこいらのアメコミ大作をも超えている瞬間がありました。ついに覚醒したヴァンダムがテロリストを片っ端から倒して回るアクションもこの上なくカッコよく、見せ場については大満足の仕上がりとなっています。しかし残念なことにお話の方が弱いため、映画としてはかなりつまらんです。90分足らずの作品ながら、途中で飽きてしまいます。そもそも、ロシア首相の娘・息子がチェチェン過激派に誘拐された事件において、その鎮圧に出動するのがロシア軍ではなく米軍という設定が理解不能で、さすがはワールドポリスとしか言いようがありませんでした。原発に仕掛けられた爆弾を72時間以内に解除しなければならないというタイムリミットを準備しながらそのタイムリミットが演出上ではまったく活用されていなかったり、人質の救出と爆弾解除というふたつのハードルを設けてしまったためにミッションの目的が分散してしまったりで、映画全体を貫くべき緊張感が致命的に不足しています。さらには、次世代型ユニソルを除くテロリストが異常なまでに弱く、さらにバカで、米軍の侵入を何度も許してしまうために状況の切迫感が皆無に等しい状況となっています。おまけにユニソルの悲哀を描こうとしたドラマ部分も弱く(旧ザクのような哀愁を漂わせていたヴァンダムは良かったのですが)、脚本上意図していた物語をまるで形に出来ていません。[DVD(吹替)] 5点(2011-05-17 19:39:50)

182.  バーダー・マインホフ 理想の果てに 《ネタバレ》 めちゃくちゃな力作だったと思います。よくぞここまで作り込んだものだと感心しました。脚色のバランスもよく、雑多な登場人物の溢れ返る物語をうまく整理し、統一感のあるドラマにまとめてみせた腕前は高く評価できます。さらには思想的な偏りなく作っている点も良く、史実の再現のみにこだわっていることには作り手の良心を感じました。ハリウッドや日本でこの手の映画を作れば、たいていの場合は事件の当事者を礼賛するか罵倒するかのどちらかに寄った作品になってしまうところです。。。とまぁ映画としての完成度の高さは認めるのですが、私の目からではドイツ赤軍は単なるテロ集団にしか見えず、彼らの「蛮行」を2時間半にも渡って淡々と眺めることは少々つらかったです。自分は80年代生まれなので、60年代後半から70年代にかけて世界中の若者達が共有していた革命的な空気というものを知りません。そのためかマインホフ達の主張にはまったく共感できず、彼らの姿を見て感じるのは嫌悪感だけでした。身勝手な主張から平気で人を殺し、時にヘラヘラと笑いながら去っていく様は「時計じかけのオレンジ」のアレックスを彷彿とさせますが、「自分達は正しい行いをやっているのだ」と信じ込んでいるだけマインホフ達の方がタチが悪い。確かに世界史上には何度も革命が起こっており、それらは過激な暴力を伴ったものでしたが、そうした革命の主人公は虐げられてもうどうしようもなくなった民衆たちであって、70年代の西ドイツでそれなりに豊かな生活を送っている若者達が「俺らが世界を何とかしなければ!」と言っても空虚なだけ。彼らは大義名分を語ってはいるものの、結局のところ個人的な自己実現欲求の塊のような連中なのです。それがよくわかるのがヨルダンでのエピソードで、米帝国主義に立ち向かう仲間としてパレスチナ解放戦線に合流するのですが、そこで彼らはムスリムの慣習等を無視してわがまま放題に振舞い、完全に厄介者となってしまいます。他の民族の価値観を平気で踏みにじるということは、彼ら自身にも切実に守りたい何かがあるわけではないということ。つまり彼らはただ暴れたいだけのどうしようもない輩である、その姿勢がよく現れたエピソードでした。そんな彼らが最終的に己の蛮行を反省するわけでもなく自殺するという結末も腑に落ちず(史実なのだから仕方ないのですが)、なんともやるせない映画なのでした。[DVD(字幕)] 7点(2011-05-17 18:48:57)

183.  ブラインドネス 「ゾンビ」「トゥモロー・ワールド」「ザ・ロード」等と同じく、重要なのは舞台であって設定に大した意味のないSF作品なので細かい点に文句を付けることは野暮ってやつなのですが、そうは分かっていても本作はディティールがちょっと甘すぎるような気がします。みなさんご指摘の通り、隔離施設内で唯一視力を持つジュリアン・ムーアの行動があまりに不自然。あの施設内で彼女は神に等しい能力を持っているのですから、第3病棟のチンピラごときに好き放題させるなんてことはありえません。また政府による感染者の扱いもあまりに雑で、食糧だけを定期的に与えて「あとは感染者同士で好きにやりなさい」なんて管理はあまりに非現実的です。この辺りをうまく処理できなかったために観客の心は離れてしまい、全体的な仕上がりは悪くないにも関わらず支持を得られない作品に終わってしまっています。[DVD(吹替)] 5点(2011-05-14 21:19:24)(良:1票)

184.  私は貝になりたい(2008) 《ネタバレ》 公開時にはSMAPの起用が批判の対象とされましたが、中居君の演技はかなり良かったと思います。絶望のあまりもぬけの殻になった草彅君の演技も良く、両者ともこの企画に必要な力量は十分に発揮しています。問題なのは監督の演出が平凡だったことで、いくつもの場面で日本映画の悪いクセがドバっと出てしまっています。記号のようなオーバーアクト、「ここで感動してください」と言わんばかりに高鳴る押し付けがましい音楽、外国人俳優の安っぽい演技、監督の力量次第でどうにでもなった部分に多くのほころびが見られます。あと最悪だったのがエンドロールに流れるミスチルによるテーマ曲で、絶望のあまり愛する妻子を思うことすら面倒になってしまったという豊松のモノローグの後に「会いたい、伝えたい」という内容の歌を流すだなんて、一体どんなセンスしてるんだと唖然となりました。お話は良い、役者も良いんですから、監督ももうちょっと頑張りましょうよ。[DVD(邦画)] 4点(2011-05-09 22:30:32)

185.  愛を読むひと 《ネタバレ》 演技は良い、撮影も良い、テーマも良い、映画全体も上品にまとまっていて、いかにも賞レースで評価されそうな要素を多く持っているのですが、惜しいところで良作になり損ねたという印象です。スッキリしなかったのはマイケルの心理描写が雑だったことで、彼の葛藤は何となく推測できるものの、それをエモーショナルなドラマに昇華しきれていませんでした。レイフ・ファインズという瞳だけで演技のできる俳優に終始頼りっぱなしで、作り手の側がマイケルの心情を整理しきれていなかったことがその原因。冒頭、恋人から「あなたの気持ちがわからない」と言われたところからマイケルの回想が始まりますが、映画を観終わってところでハンナとの関係がマイケルの人格形成にどう影響したのかがまるで見えてきません。ひと夏の経験が少年の人生をどう変えたのかを表現できていないのでは、この題材の映画化作品としては失敗でしょう。オスカーも納得のケイト・ウィンスレットの熱演や、一風変わったホロコーストネタの料理(ホロコーストに関わった者を単純に断罪するのではなく、無知ゆえに殺戮に加担した者を罪に問うべきかという珍しい問いかけがなされます)など良い点は多くあるのですが、主人公マイケルの人物像がブレブレでは話になりません。[DVD(吹替)] 5点(2011-04-24 16:51:07)

186.  ダウト ~あるカトリック学校で~ 《ネタバレ》 主要キャストが揃ってオスカーにノミネートされたことも納得いくほどの演技合戦は大変見応えがあります。みんな上手いです。そして、その中心に立つメリル・ストリープはとんでもなく上手いです。あまりに上手すぎてハナに付くくらいに上手い。デ・ニーロやパチーノといった同世代の名優達が過去の栄光を切り売りして小銭を稼ぎ、マジメに仕事しなくなっている21世紀において、これだけ真剣に演技に取り組む姿には尊敬の念すら覚えました。そして、そんなストリープを相手にするホフマンも上手い。この人はちょっと変わった脇役として存在感を示す程度の役者さんだったのですが、本作では一方の主役を務め、重厚感すら漂わせる超一流の演技派俳優に成長しています。主役二人のホットなやりとりを見るだけで、アクション映画数本分のスリルを味わうことができます。さらに、脚本の出来も上々です。本作は善悪の判断を観客に投げかけるタイプの作品であり、見終わった後にもテーマを咀嚼し、自分なりの答えを探すという楽しみが残されています。対立する校長と神父はどちらも正しいし、どちらも間違っている。物語上は校長側の言い分が勝ち、神父が身を引くという形で決着がつけられましたが、そもそも神父は悪いことをしていたのか?彼は少年を無理に犯したのではなく、相互に愛情を育んでいました。人種的にも性的にもマイノリティという究極の孤立無援状態にあった少年にとっては、神父は彼の生きる世界で唯一の理解者であり、また鉄板のように強力な保護者でもありました。神父からの愛情が少年を救い、その人生を良い方向へと導いていたのです。確かに、神父は未成年の生徒と深い関係を持つという重大なルール違反を犯しましたが、彼のルール違反は誰かを傷付けているどころか、被害者とされる少年に良い影響を与えていたのです。対する校長の言い分は額面上は正しいものですが、少年から神父を奪うことが本当に正義だったのかは疑問です。また、結果的には校長の持った疑いは正しかったものの、その疑いの発端は真実の究明ではなく「考え方の合わない神父のアラを探す」という点にあったことから、図らずも校長の浅ましさが露呈される結果にもなっています。正しい行いとは何なのか、清廉潔白な生き方とは何なのかを考えさせられる非常に優れた作品だったと思います。[DVD(吹替)] 8点(2011-04-08 22:18:33)(良:1票)

187.  リダクテッド 真実の価値 《ネタバレ》 ヨーロッパの映画祭で絶賛された一方でアメリカ本国では強い反発を招いた作品ですが、映画としてはよく出来ています。とにかく素晴らしいのがデ・パルマの演出で、40年超のキャリアを誇るハリウッド屈指のベテラン監督とは思えないほどの若々しい演出を披露。最近流行りの主観的映像による疑似ドキュメンタリースタイルを積極的に採り入れ、それをいとも簡単に自分のものとして操ってしまうフットワークの軽さには驚きました。監督名を告げられずに本作を見て、これがデ・パルマ作品だと気付く人間はこの世にいないでしょう。デ・パルマについては、そのテクニックのすべてをぶち込んだ究極の犯罪ノワール「ファム・ファタール」を見た時点で「この監督は今後何も撮れなくなるだろう」と思ったのですが、まさかこのような形で戻ってくるとは思ってもみませんでした。さらに、デ・パルマ自身による脚本の出来も上々です。確かにアメリカ兵の悪い面ばかりが強調されており、アメリカ人にとっては胸糞の悪くなる内容ではあるのですが、ともかくイラク戦争というものの一側面を伝えることには成功しています。アメリカ本国であれば刑務所に入っているべき人間が従軍し、銃を持たされていること。教養がなく的確な状況判断を下せないような人間に、場合によっては一般市民を射殺することが肯定されるほどの権限が与えられていること。戦争の正当性を守るために、軍はそうした兵士たちが起こす数々のトラブルを揉み消していること。本作が公開された当初は「あまりにも誇張され過ぎている」という批判が起こりましたが、後にウィキリークスによって公開された、アメリカ兵が冗談を言いながら一般市民を射殺する映像を見るにつけ、本作の内容はイラクの実状にかなり肉薄したものだと評価できます。さらに、狭い舞台、限定された登場人物の中において、ここ10年繰り返されている報復の連鎖を伝えることにも成功しています。状況判断を誤ったアメリカ兵がイラク人の妊婦を射殺してしまう→報復テロに遭い、尊敬する上官が部下の目の前で爆殺される→兵士の中にイラク人を敵視する感情が芽生える→テロとは関係のないイラク人家庭を襲撃し、レイプの末に一家を惨殺してしまう→犠牲者の遺族がテロ組織に入り、さらに過激な報復を行う。オスカーを受賞した「ハート・ロッカー」よりも的確な作品ではないかと思います。[DVD(吹替)] 8点(2011-04-08 21:15:57)(良:2票)

188.  トリプルX 公開時には「面白いアクション映画」と評価されていた作品ですなのが、これがまったく面白くありません。最大の問題は主人公ザンダーを「気の良い悪党」にしてしまったことで、このために「毒を以て毒を征す」という作品の基本的なコンセプトが死んでしまっています。スパイ版「特攻大作戦」をやるつもりの企画だったのに、ごく普通のアクション大作に終始しているのです。さらには、監督の平凡な手腕も作品の足を引っ張っています。スタントマンによる生身のアクションを見せることが本作の売りのひとつであり、実際、撮影中には死亡者を出しているほどの無茶をして撮られた作品なのですが、完成した作品からはそのような迫力がまったく伝わってきません。これは明らかに監督の見せ方に問題があって、もう少しわかっている監督が撮っていれば、まったく違う迫力の作品になったことと思います。[DVD(吹替)] 3点(2011-02-27 21:25:06)(良:1票)

189.  ホワイトアウト(2000) 日本映画においては珍しい本格的なアクション大作ということで応援したくなる作品だったのですが、残念ながらまったく面白くありませんでした。日本映画特有のモッサリ感が作品全体を席巻し、アクション大作らしからぬ鈍重な空気が見せ場の迫力だとか展開の面白さだとかをすべて殺してしまっています。さらには、目ん玉ひんむいて大声で叫ぶことが「熱演」とされる日本映画特有の過剰演技も作品の足を引っ張っていて、予算とか技術以前の部分において、日本映画にはアクション大作をやる土壌がないということを再認識させられました。数日に渡って雪山を走り回っているにも関わらずキレイな顔の織田裕二、スノーモービルで全力疾走しようが、銃で撃たれて失神しようが化粧も髪型も乱れない松嶋菜々子の顔を見るにつけ、ガッカリ感はさらに増幅するのでした。日本映画界は、作品のために役者の顔を汚すということすら出来ないのかと。[DVD(邦画)] 3点(2011-02-27 21:07:32)(良:1票)

190.  ライフ・オブ・デビッド・ゲイル 《ネタバレ》 映画としてはめちゃくちゃに面白いです。謎含みのドラマにはぐいぐい引き込まれるし、タイムリミットサスペンスとなるクライマックスにもドキドキさせられて、さすがはアラン・パーカーという仕事を堪能できます。ただし、映画の根幹にある主張にまったく納得できなかったので、社会派ドラマとしては失格だと思います。この映画、死刑と冤罪がごっちゃになっているのです。死刑そのものが存在してはならないという議論と、司法制度の運用方法が悪いために冤罪が発生してしまうという問題は別次元の話であり、「冤罪が起こるから死刑は廃止しなければならない」という話はちょっとズレています。ならば、死刑以外であれば冤罪が起こっても構わないのか?教え子へのレイプ疑惑によって仕事も家族も友人も失ったゲイルの姿を見れば、いかなる犯罪であっても冤罪が起こってはならないことは明らかです。死刑の議論とは、例えばケビン・スペイシーが「セブン」で演じたジョン・ドゥのような、他人の命を弄ぶことに何の抵抗も抱かない凶悪犯を生かしておく必要があるのか?他人の命を軽んじた者には命をもって償わせるべきではないのか?という議論であるべきなのです。また、活動家としてのデビッド・ゲイルの行動にも納得できませんでした。彼は死刑廃止運動のために命を投げ出しましたが、人生や命とは自分ひとりのものではありません。デビッドを捨てた妻や、教職を追われる原因を作った元教え子などは、彼を死に追いやった責任で一生苦しみ続けるでしょう。また、後に冤罪であることが判明するとはいえ、デビッドの息子はもっとも多感な時期に「レイプ殺人犯の息子」として育たねばなりませんでした。死刑廃止運動で命の大切さを説くデビッドが、自分の周りには多くの人間がいて、勝手な行動をとればその人たちに大変な迷惑がかかるということに気付かなかったというのは、ある意味大変な皮肉です。そもそも彼の行為は、規格外の使用法をして「この製品は不良品だ」と難癖をつけるクレーマーレベルで、意図的に冤罪を引き起こしておいて「死刑制度の問題点を指摘する」と言われても説得力がありません。[DVD(吹替)] 3点(2011-02-03 22:39:24)(良:3票)

191.  ファム・ファタール(2002) 《ネタバレ》 【注意!壮絶にネタバレしています。未見の方は絶対に読まないでください】これは物凄かったです。デ・パルマがその持てる技術の全てを駆使したトンデモない映画。お馴染みのカメラワークのみならずストーリーテリングの技術、さらには「どうせデ・パルマだし、いつもの犯罪サスペンスなんだろう」という自らのイメージすらも総動員してラスト10分にすべてを賭けるという、人生で一回こっきりの大オチを仕掛けてきます。ヒッチコックの真似ごとだと見せかけておいて、実はシャマランだったんですね。このオチには完全に騙されました。お見事です。。。前半はあまりに強引な展開の連続に「んなアホな」とつっこみまくりだったのですが、実はこの時点でデ・パルマの完璧な計算はスタートしていました。本作を二度鑑賞すると、実は序盤からデビッド・リンチ並の不条理劇だったことに気付くのですが、少なくとも初見でそれを見抜くことはできません。これこそがこの脚本の巧いところで、前半に「ありえね~よ」という展開をいくつも仕込むことで観客の価値観をシェイクしてしまい、映画のジャンルを勘違いさせているのです。ストーリーテリングにおいてこんな凄い技は初めて見ました。ヒッチコックも「サイコ」で似たような技術を使っていましたが、本作の方がより大胆で効果的です。とにかくこの映画、隅から隅まで計算され尽くされています。こんな凄い映画を作ってしまったら、デ・パルマは金輪際犯罪サスペンスは撮れなくなるでしょう。今後どうやって生きていくんでしょうか。[DVD(字幕)] 8点(2011-02-01 22:07:28)

192.  モンスター(2003) 《ネタバレ》 本作のスチールをはじめて見た時、主人公を演じているのは僕らの知っているシャーリーズ・セロンとは同姓同名の別の女優さんなのだと思ってしまいました。あのシャーリーズ・セロンだと聞かされても「本当かいな?」と疑ってしまったほどの強烈な変貌ぶり。確かに、何らかの賞をやらねばと思わせるほどの迫力があります。そんな称賛と同時に「美人がわざわざ特殊メイクをするまでもなく、もっと役に合った女優がいたのではないか?」という議論も巻き起こりましたが、私はアイリーン役をシャーリーズ・セロンが演じる必然性はあったと思います。どんなに脂肪をつけても、どんなに特殊メイクを施しても、目だけは変えられず元のシャーリーズ・セロンのままの美しさを保っていました。そのことが、本来は女優を夢見る美しく純粋な少女だったアイリーン・ウォーノスが不幸な生い立ちによって汚され、醜悪なモンスターに変貌を遂げたという歴史を物語る重要な要素となっています。これは、元より顔面にインパクトのある女優さんでは出せない味でした。また、外見の変貌ぶりのインパクトのみならず、根本の演技力も満足できるものでした。バス停での別れの場面、留置所からかけた電話で愛が終わったことを悟る場面、法廷でひねくれ者のモンスターに戻る場面、どれも素晴らしい演技です。このレベルの演技が出来る女優さんはなかなか見つからないと思います。さらに、相手役のクリスティーナ・リッチも素晴らしい存在感を披露しています。美人というわけではないが時折見せる魅力的な目つき、アイリーンはこれにやられたんだなというファム・ファタールぶりをきちんと表現できています。こちらもまた、代わりをやれる女優さんは他にいなかったと思います。本作の残念だった点は、評価すべきものが女優さんの頑張りばかりで、脚本・演出が凡庸だったこと。下手ではないが、特筆すべき点がほとんどありません。この題材、この演技ならば、演出次第では世紀の傑作になっていた可能性もあっただけに残念なところです。[DVD(字幕)] 7点(2011-01-28 21:49:14)(良:1票)

193.  イナフ 《ネタバレ》 午後のロードショーでやってたのを録画して鑑賞しました。往年の名作からD級アクションまでを幅広く扱う午後ローでは必然的に視聴者の懐も広くなるものですが、そんなオープンな気持ちで鑑賞してもこの映画はよく理解できませんでした。DVに苦しむジェニロペが子供を連れて旦那から逃げるという話なのですが、その行動がいちいち頭悪すぎ。警察に届ければ根本的な解決に至らなくとも一応の歯止めにはなるし、届け出の事実によって後の親権裁判も圧倒的有利に進むはず。なのに彼女は「子供を連れて姿を消す」という最悪の方法をとってしまいます。逃げるなら逃げるで旦那が仕事に出ている昼間に姿を消せばいいものを、深夜にこっそり夜逃げしようとして案の定旦那に気付かれてしまうという大馬鹿ぶりを披露。以降は旦那による常軌を逸した追跡が開始されるのですが、これについても「警察に駆け込めば解決するだろ」の連続で呆れてしまいます。バカとバカの追いかけっこの末いよいよ追い詰められたジェニロペはようやく弁護士の元に駆け込むのですが、すると「あんたの行動がメチャクチャすぎたんで、今さら裁判やっても勝てませんよ」と至極当然のことを言われます。ひどく落ち込むジェニロペ。しかし、DV男にかわいい娘を渡すわけにはいかない。そこで思いついたのが「格闘技を習得し、旦那とサシの勝負でケリをつける!」。もう理解不能でした。つっこみすら入れられない驚愕の展開。訓練に励むジェニロペの表情が真剣そのものなのが、さらにトホホ感を高めます。旦那の殺害に無事成功し、駆けつけた警察もうまく誤魔化し、笑顔を失っていた娘も元の良い子に戻り、次の旦那候補は良い人そうだし、すべてめでたしめでたしで映画は終わるのですが、格闘技の特訓をしていたことが分かれば故殺は成立しますよ。。。この映画、DVという重いテーマを扱っているのにその理解があまりに不足しています。DVは「逃げれば済む」という単純な話ではなく、被害者である女性と加害者である男性が精神的に依存し合っているために、逃げればいいのに逃げないという点が問題だったりします。「やられたらやり返せ!」と斬り返せる女性は一般的なDV被害者の人物像からはかけ離れています。そもそもジェニロペはたくましすぎて「耐え忍ぶ妻」には全然見えないし。テーマがテーマなので、もっとマジメに作るべきでした。[地上波(吹替)] 3点(2011-01-19 22:21:14)(良:1票)

194.  レクイエム・フォー・ドリーム 《ネタバレ》 あらすじ欄にパブロン中毒さんが書かれた「これさえ見れば、あなたはヤクに溺れることは決してない!」とのコメントはダテではない、超絶鬱ムービーです。お彼岸名物「火垂るの墓」の如く毎年地上波放送すれば、日本国内において麻薬をやる人間は激減することでしょう。。。物語の顛末は衝撃的であり、それを見せるビジュアルの作り込みはハンパではない。怖くて気持ち悪いんだけど、とにかく見せる見せる。脚本・演出には観客の目を背けさせない圧倒的な牽引力があります。そして、この映画はキャラクター造型が非常に巧い。多くの観客が登場人物のいずれかとの共通点を見出せるように作られており、対岸の火事では終わらせないことが後味の悪さをさらに助長しています。地獄に墜ちるキャラクターのうち若者達は自業自得と言えばそれまでなのですが、それでも彼らは根っからの悪人ではなく、人並みに親を思う気持ちもあれば、将来の幸せを願う気持ちもある。ただ彼らは心が弱く、「ドラッグ中心の生活を続けているとどうなるのか?」という想像力に欠けているだけなのです。そんな彼らが行き着いたのは完全な破滅なのですが、マリオンが麻薬を抱えて眠りに就き、その脇には夢だった服飾のデザイン画が散らばっているというラストカットはドラッグというものの本性をよく表しています。しかし、そんな彼らもハリーの母親サラに比べればまだマシ。「麻薬でひとヤマ当てる」という完全に腐り切った発想ではあるが、それでも将来のための行動を起こしているのですから。一方サラは将来に向けての一切の行動を諦め、「大事なひとり息子がヤク中である」「自分自身もヤク中である」という事実からすら目を背けます。ひとり暮らしの老人である彼女の毎日はただひたすらに退屈で、高齢であるため将来に対する漠然とした夢も希望も抱けない。「何の生き甲斐もないのなら、せめて幻想に溺れたっていいじゃないか」と自分を許容してしまうのです。久しぶりに実家に戻った息子は母親の変化に気付くのですが、母親を幸せにする力を持たない自分では「せめて幻想は見させてよ」と訴える母親を止めることができず、帰り道で涙します。母親が破滅する様を見てしまったことのショック、そしてそれを止めることができない不甲斐なさ、このカットには胸が苦しくなりました。[DVD(吹替)] 8点(2011-01-18 21:57:07)(良:2票)

195.  バッドボーイズ2バッド 《ネタバレ》 内容らしい内容はなく、アクションをコラージュしただけの作品。ヴァンダムやセガールを嗜む私にとっては嫌いなタイプのジャンルではないのですが、そんな私でもこの内容で2時間半はかなり厳しく感じました。まず、展開があまりにメチャクチャ。本作の最大の見せ場である前半のカーチェイスは本筋とほとんど関係ないし、クライマックスの人質奪還も唐突すぎます。「俺の知り合いのCIAが協力してくれるぜ」「キューバで反政府ゲリラやってる弟に連絡とってやるよ」「元特殊部隊員を集めてやるぜ」って、マイアミ市警の刑事ったら人脈すごすぎ(笑)。ヴァンダムやセガールの映画でも、もっとちゃんとしてますよ。しっちゃかめっちゃかな映画なので緻密な物語である必要はないのですが、さすがに「ありえねーよ」とつっこむしかない物語で2時間半も引っ張るのは厳しすぎます。そして、「トランスフォーマー」シリーズにも引き継がれているまったく笑えないコメディパートはもはや拷問レベル。30分にも渡ってグダグダのやりとりを見せられる中盤は酷いにも程があります。コメディ経験の少ないメル・ギブソンとダニー・グローバーの掛け合いであってもほのぼのとした空気を作ることが出来ていた「リーサル・ウェポン」と比較すると、プロのコメディアンであるマーティン・ローレンスとコメディ経験も豊富なウィル・スミスを使いながらクスリとも笑えない本作はちょっと出来が悪すぎます。死体がゴロゴロ転がるカーチェイスや蜂の巣にされるピーター・ストーメアなど、笑わせようとしているのに悪趣味すぎてまったく笑えない場面も多くあり、マイケル・ベイはコメディをやるのをやめた方がいいと思います。アクションパートが良いだけに、コメディパートの出来の悪さが余計に目立っています。[DVD(吹替)] 2点(2011-01-17 00:24:05)

196.  ホワット・ライズ・ビニース 《ネタバレ》 1999年、ロバート・ゼメキス監督は「キャスト・アウェイ」という企画を抱えていました。同作は主人公が無人島に漂流する前のパートをまず撮影し、半年かけてトム・ハンクスをダイエットさせてから残りを撮影するというスケジュールとなっていましたが、ダイエット待ちの間ヒマになったスタッフを率いて撮影したのがこの「ホワット・ライズ・ビニース」なのでした。ゼメキスにとって本命は「キャスト・アウェイ」だったのでこちらはかなり適当な仕上がりで、誉めるべきところがほとんどありません。「ヒッチコックがCGを使える時代に生まれていたら?」というコンセプトで製作されたらしいのですが、伏線も何もかなぐり捨て、最終的に殺人鬼が追っかけて来るだけの映画なんてヒッチコックは撮らないでしょう。前半40分もかけたお隣さんのエピソードが本筋とまったく関係ないとか、しっぽを掴まれた途端に人格が豹変するハリソンさんとか、聞いてもないのに長々とネタバラシを始めるハリソンさんとか、人間とは思えない生命力で妻を追いかけるハリソンさんとか、「監督はちゃんと考えて作ったのだろうか?」と首を傾げたくなる要素が盛りだくさんです。その他にも、異常な形相で喚き散らすミランダ・オットーや、尋常ではない物忘れをしていたことが判明するミシェル・ファイファーなど丁寧な説明を要するはずの部分に限って何事もなかったようにスルーされたり、辻褄が合わなくなってくると幽霊を出して話の方向転換をしたり、安直な姿勢がかなり目に付きます。ヒッチコックならこんな杜撰な映画は撮らないでしょう。不思議なのは、この程度の映画にハリソン・フォードとミシェル・ファイファーが出演を承諾したこと、上映時間の9割が家という地味な物語でありながら製作費が1億ドルもかかっているということです。[DVD(吹替)] 3点(2011-01-13 19:33:53)(良:3票)

197.  ザ・スナイパー(2006) 午後のロードショーで放送していたのを録画して見たのですが、期待値の低い午後ローで見ても退屈するほどの完成度の低さ。モーガン・フリーマンにジョン・キューザック、おまけに撮影監督にはダンテ・スピノッティまで動員する豪華ぶりに「バイオレンスの隠れた佳作かも」と期待した私がバカでした(「ドライビングMissデイジー」の監督の作品なので、モーガン・フリーマンは企画の良さよりも人間関係で本作に出演した様子ですが)。反抗期の息子に良いところを見せたいおやじの奮闘、その親子を好きになってしまう悪党の親分、その親分を取り戻しにやってくる怖い子分達という要素はまんま「3時10分、決断のとき」なのですが、作品の出来は「3時10分~」とは比べようもありません。すべての要素の煮詰め方が甘いのです。事件が発生する前の時点で親子はすでに仲直りしちゃってるので家族の再生のドラマになっていないし、悪党の親分は最初から最後まで素直に言うことを聞いてくれるので親子の姿に感動して態度を変えたというドラマも発生していません。子分達は異常なまでに弱く、ヘリコプターに乗りスコープ付きのサブマシンガンで武装しているにも関わらず、ちっちゃい拳銃一丁持ってるだけのド素人に簡単に反撃されてしまうという体たらく。主人公一行が途中で合流するカップルやFBIに振り回される田舎保安官など明らかに必要のないキャラクターも何人か紛れ込んでいて、とにかく脚本が緩すぎます。おまけにアクションも緊張感がなく、誉めるべき点がほとんど見つかりません。さらに追い打ちをかけるのが作品内容とはほぼ無関係の邦題。この映画はどうなってるんでしょうか。[地上波(吹替)] 2点(2011-01-12 00:08:35)

198.  HERO(2002) カンフーをここまで美しく撮った作品は前例がなく、芸術的には満点に近い作品だと思います。カンフーといえばB級娯楽のイメージが強い中、重厚な時代劇でこれを見せた監督の腕前は驚異としか言いようがありません。また、ジェット・リーを演技派に見せてしまう演出力も大いに評価するところであり、良い監督の良い仕事を見られる作品として一度は見る価値のある作品だと思います。。。ただしこの映画、構成に大きな失敗がふたつ見られました。第一の失敗は、ジェット・リーvsドニー・イェンという作品中最高の見せ場を序盤に持って来てしまったこと。達人級の二人の対決を超える見せ場など作れるはずもなく、序盤をピークとして尻すぼみにテンションが落ちていきます。もうちょっとうまく配分して欲しいところでした。第二の失敗は、同じ場面の回想を三度も繰り返したのはしつこすぎたこと。トニー・レオン、マギー・チャン、チャン・ツィイーはみな素晴らしい俳優なのですが、同じ場面を何度も何度も見せられるとさすがに飽きてしまいます。オチを知ってから振り返っても回想を重ねることの意義を感じることができず、あんなに手の込んだ回想場面を作る必要はなかったように思います。[映画館(字幕)] 7点(2010-11-27 22:40:53)

199.  英雄の条件 《ネタバレ》 公開当時「史上最悪の人種差別映画」と言われただけのことはあって、この映画のアラブ人差別は凄まじいものがあります。100人近くのアラブ人を殺した海兵隊長が無罪になるという物語なのですが、「アラブ人は殺されて当然の野蛮人です」という描写のオンパレード。なぜ彼らが反米なのかという複雑な中東情勢を微塵も匂わせることなく、大使館に押し寄せるアラブ人が当然の如く悪人扱いされており、小学校にもあがっていないような女の子が銃をガンガン撃ちまくるという常軌を逸した描写までがあります。どこの馬の骨かもわからないインディーズスタジオならともかく、パラマウントという大企業が突如こういう映画を作ってしまうという辺り、アメリカ人というのは油断ならん連中だなとあらためて気付かされます。。。と大きな問題を抱えた内容ではあるのですが、映画としてはなかなか面白く仕上がっています。腐ってもオスカー監督、こういう硬派な題材を扱わせるとフリードキンは良い仕事をします。前半の戦闘シーンの圧倒的なテンション、後半の法廷シーンにおける言葉の応酬戦など、見るべきものは少なからずあります。事件を都合よくコントロールするため政治家が証拠を葬ってしまうという展開も、現在の日本では非常にタイムリーで興味深く見ることが出来ました。欲を言えば、命の恩人を刑務所に入れようとすることに良心の呵責を覚える大使とその奥さんをキーパーソンに据えれば法廷ものとしてさらに面白くなったと思うのですが(せっかくベン・キングスレイに演じさせたのに、彼を有効活用しなかったのは勿体ない限り)、それでも本作は十分に良い出来だと思います。[DVD(吹替)] 7点(2010-11-27 22:17:12)

200.  アドレナリン(2006) エロくてグロいんだけど、笑える程度の適度なサジ加減。バカバカしい話なんだけど、しんみりとしたドラマパートも味がある。すごくバランスの良い作品だと思います。特に素晴らしかったのが冒頭で、死を宣告され絶望の淵に立たされたと思いきや、「なんだと~~!!」とブチ切れて残された時間で仕返しに走る主人公。ここで一気に物語が疾走を開始し、以降はバカバカしくも勢いのあるアクションがノンストップで繰り広げられます。見せ場における画面作りはカッコ良いし、アドレナリン切れで命の灯が消えかける主人公の描写もうまいものです。この監督さんのことはよく知りませんが、なかなかセンスのある人だと思います。また、ジェイソン・ステイサムも作品の本質をよく理解した怪演を披露。普通の俳優であればかっこつけようとしたり、感動的な演技を披露したりしようとするもんです。しかしこの人は最後までバカ。このプロ根性には頭が下がります。[DVD(吹替)] 7点(2010-10-28 21:14:31)(良:1票)

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