みんなのシネマレビュー |
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202. THE RESEMBLANCE(原題)(2022) 《ネタバレ》 故人そっくりな他人(俳優?)を選び出し、遺族のもとに派遣して生前の記憶に浸ってもらうことで心を癒す。何だか本当にありそうに思えないこともないビジネス(ホントにあったら相当アヤシイかも)の物語。 愛息を失った母親はやり切れない悲しみからそのプログラムを契約します。父親は母親とは少しばかり異なる感情を抱いていて、そんなプログラムは何だか胡散臭いと思っている。父親と母親の息子に対する感情が違うというのは当然だと思いますが、この家族には明確には説明されない事情もあるようですから尚更ですね。 派遣されてきた愛息似の青年を母親は自らを説得するかの如く努めて平静に受け入れます。一方父親は露骨に不信感を表します。これも流れからして当然のことだと思います。 しかし、父親と青年が二人きりになった時に青年が発した言葉は、父親にしてみればその青年が絶対に知り得ない内容。父親の頑なな感情が崩れ始めます。父親だってもう一度愛息に会いたかったに違いありません。もしかしたら、ある意味母親以上に会いたかったのかも。しかし過去の何らかの事情が彼の感情を抑制してしまっていた。 結局、あの青年は誰だったのでしょうか?愛息似の俳優の巧みな演技?事務所の徹底した情報収集?そんな訳はないですね。 もしかしたら父親の潜在的な願望が青年の登場によって溢れ出し、彼に幻を見聞きさせていたのかも知れません。しかし、どうであれ父親の感情を覆っていたものが剥がれ落ちたという事実だけは不変でしょう。 子を持つ親として大いに感動した佳作でした。[インターネット(字幕)] 8点(2024-12-23 10:38:35)《改行有》 203. A Farewell for Lilí(原題) 《ネタバレ》 一見すると本邦の怪談話にありそうな物語。主人公が電気技師という設定を変えれば、故人が亡くなってすぐさま亡霊として現れるというお話はありそうなものです。 ただこの亡霊、決して恨みがある訳でも復讐心がある訳でもないようです。そもそも彼女は電気技師に壊れたラジオを直して欲しかっただけですし、電気技師が未払いで電気を止めることにも一定の理解を示していたとさえ思えます。火災を恐れ自宅を守りたくて消火しようとし、結果脚立から落ちて打ちどころが悪く死んでしまった訳ですし。 電気技師は救命に向けて努力していましたし救急車も呼ぼうとしていた。死亡を判断した後も常識的な行動を取ろうとしていたように思えます。 なのに亡霊の導きによって老女の亡骸を埋葬するという行為を選択する。ここのところがよく分かりませんでした。確かに老女はラジオが唯一の楽しみだったしそれが壊れて絶望感に包まれていたようです。かといって死期を覚悟していたとまでは思えず、何故亡霊となって埋葬に導いたのか? お国柄?文化や発想の相違?興味深く鑑賞出来た作品ではありますが、テーマが見えづらいというか個人的には理解に苦しんでしまったので控えめの評価と致します。[インターネット(字幕)] 5点(2024-12-23 10:23:06)《改行有》 204. Ro & the Stardust(原題) 《ネタバレ》 ほのぼのとした良き作品ですね。死期が近付きつつある祖母に悲壮感が感じられず、それどころか夢に向かって邁進するエネルギッシュな生き様。経験も技術も全然足りなくても自作の宇宙ロケットで宇宙に旅立ちたい。力強く宣言する祖母に向けた孫娘の優しい目線が印象的です。 まともに考えたらガラクタでロケット作って宇宙空間に向けて打ち上げる、なんてのは全くもって不可能極まりないお話。しかしながら、それをバカバカしく思わせることなく、寧ろ実現可能かの如くファンタジックに仕上げた作り手に賛辞を贈りたいです。 決して号泣するような感動作ではありませんが、観終わればニッコリそしてホロっとさせられる温かな作品でした。[インターネット(字幕)] 8点(2024-12-23 10:07:40)《改行有》 205. ブロックアイランド海峡 《ネタバレ》 惹き付けられる展開ではあります。サスペンス、ミステリー、ホラー、SF、超常現象スリラー、ヒューマンドラマと、様々な顔で語りかけて来る物語、そして演出。冒頭のトムさんの受難シーンから始まる謎の海域での怪現象。異常な電波?魅力的な始まりでした。 中盤からのトムさん復活低音囁きアピールは雰囲気良いです。海底の謎もそそられます。テンポも良いですね。 ただ、ハリーとオードリーの何気に対極的な性格や思考・行動パターンの姉弟には、始終イマイチ感情移入出来ませんでした。二人とも煮え切らなくて頑な過ぎるからかも。 そして問題は終盤クライマックス。あれ?これって既視感アリアリかも。しっかり摑まってたエミリーちゃん以外はみ~んな空の彼方へ。なんだか嫌な予感。 ラスト。ヒロインが劇中で娘に語った言葉が改めて登場します。これはどう受け止めたらいいのでしょうか?地球上の生物を救うべく調査している存在が居る?まさかのエイリアンアブダクション?作品にエイリアンや人知を超えた存在が登場したら最後、もう何でもありの世界になってしまいます。何だかそんな暗喩、てかストレートに開示されたような気分。 このエンディングを良しとするか否かで評価が分かれそうな作品でした。個人的にはもう少し謎めいて終わって欲しかった。ヒロインの台詞の反芻はどうだったんでしょうか?そこが疑問で、楽しめた割には低めの6点献上します。 ちなみに、「sound」に「海峡」の意味があることを知りませんでした。勉強になりました。[インターネット(字幕)] 6点(2024-12-23 09:52:46)《改行有》 206. フライング・ジョーズ<TVM> 《ネタバレ》 なんで「沼のサメ」が「空飛ぶサメ」っつう邦題になっちゃうのかは謎ですが、内容的には鉄板の人喰い鮫ネタ。まぁ退屈することもなく観てはいられますが、全く感情移入出来ない登場人物が全く理解出来ない行動に走り無駄に食われていくというお約束感満載のお話でした。 それにしても戦車並みに強靭な皮膚を持つ深海鮫(ホント?)を既視感のあるガスボンベ攻撃でやっつけようとするもアッサリ失敗。挙句エアボートのプロペラでアッサリ調理してしまうとは。ヒネリも工夫も何もない展開には笑うしかありませんでした。てか、この作品はそうやってツッコミ入れて楽しむべきかも。 ちなみに、ヒロインや妹や他の女子たちは、サメ映画お約束のサービスカットなし、というかソフトです。そういう意味では硬派、正統派のサメ映画かも知れませんが、だとすれば尚更にもう少し新ネタが欲しかったところです。昨今何でもありのサメ映画なんですから。[インターネット(字幕)] 3点(2024-12-19 23:28:48)《改行有》 207. ピエロがお前を嘲笑う 《ネタバレ》 多くの皆さんのご意見のとおり、スタイリッシュな映像とテンポの良さ、そしてデジタル空間を可視化した地下鉄車内と乗客たち、といったところは良かったと思います。 が、これまた多くの皆さんのご意見のとおり、雑です、かなり雑です。ツギハギ感は半端ないですね。結局主人公たちは何をやりたかったの?目的は何?驚愕のラストを標榜する(してるのは配給サイドだけかも)結末が彼らの目指していたもの?そんなものに感情移入は出来かねます。 二段仕掛けのどんでん返しというスタイルは良いと思います。が、理詰めのどんでん返しとは思えないです。辻褄合わないですよ。むりやりちゃぶ台返ししたみたい。 演出的には見るべき点も多いだけに残念な作品でした。ヒロインの件も含めて。予備知識なしで何にも考えないで観たら良いかも知れないエンタメ特化作品でした。否定はしません。 ちなみに、タイトルは如何なものか?邦題の「お前」は観客としか思えないし、原題もミスリードが過ぎる感じ。これは減点要素です。 追記です。「殺し屋が通過電車見てて通過した後のトンネルは見ないのかよ!凄腕の捜査官がテーブルの下を見ないのかよ!ヒロイン?も一緒に逃げるのかよ!この際、捕まったラスボスはヒロインの自称彼氏でもいいんじゃね?」苦言並べてみました。[インターネット(字幕)] 4点(2024-12-19 09:52:18)《改行有》 208. 愛してるって言っておくね 《ネタバレ》 わずか12分の作品なのに何と濃いことか。深いことか。短い尺の中での構成が見事ですね。 夫婦の溝が埋められたかのようなカットの後に現実の悲劇を重ねて行き改めて悲しみと向き合い一歩前進する二人を描き直す。このループ感と言うか時系列の配列によって、よりいっそうの感涙へと誘われました。 大人であれ子どもであれ、元気にいつも通りに出掛けて行った愛する人が帰らない。お別れを言うこともないままに。考えるだけでも残酷です。その感情を柔らかく包み込むように描いた佳作。感動しました。[インターネット(字幕)] 9点(2024-12-16 23:48:42)《改行有》 209. キラーコンドーム 《ネタバレ》 見れば15年近くもの間、どなたもレビューしていませんね。アマプラで配信されてたので(気にはなっていたものの未見だったので)恐いもの見たさで観てしまいました。アルバトロスさんが2023年にディレクターズカット版を配給していたのですね。流石はアルバトロスさん。なので本レビューは「ディレクターズカット版」のレビューとさせていただきます。 さて、いきなりビックリのドイツ語。え?ここはどこ?ニューヨークでしょ?え?でもドイツ語。そしてニューヨークの風景も1996年とは思えない雰囲気。もう10年ぐらいは古い感じ。言語と時代感のズレで冒頭から異世界間に包まれました。 ゲイの扱いとか外国人の扱いとか、ちょっと今ではヤバめのカットの応酬。そうかと思えばエロ教授の性暴力やら大統領候補のアメリカ・ファースト的演説とか、先取り感あるカットがあったり。何だか批判したいのに批判し難い作品のようでもあり。 チープで手作り感のあるコンドームは可愛いようでもあり恐ろしいようでもあり、その生い立ちとか生物?としての完成度?(イカレタ検視官?のオバさんの解説が楽しかったけど)が妙に真面目だったり。 総じて言えば社会風刺と宗教的倫理観をチラつかせた支離滅裂系硬派無理やり製作エロティックSFコメディといったところでしょうか。(総じてませんね) 決して嫌いではありません。流石、後にその名を馳せる俳優陣とスタッフが多数参加しているだけのことはあります。が、何せ長い。ディレクターズカット版は118分。長過ぎです。30分短縮しても十分ですね。最大の減点ポイントはそこということで限りなく6点に近い5点に留めます。[インターネット(字幕)] 5点(2024-12-16 23:26:46)《改行有》 210. Closing Dynasty(原題) 《ネタバレ》 ニューヨークという大都会の片隅で、大人に混じって街中を闊歩し巧みに金儲けしようとする7歳のアジア系の少女。「?」と思わずにはいられない設定です。 大都会で働く大人たち。クイニーのことを案じ、助けようとする大人たち。見て見ぬふりの大人たち。しかし何かがズレている。クイニーの真っ直ぐな視線の先に見えているのは極めて現実的な不安と心配。大人たちは幼いアジア系の女の子が路頭に迷っているようにしか見ない。もしくは彼女のことを見ようとしない。 しかし、当のクイニーは見下ろされるような意識は持ち合わせていません。達観しているのか?或いは子どもとしての純粋無垢な強さなのか。彼女の不安は父や母に知られることなく彼女を突き動かす。 クイニー目線で綴られていく物語。学校にも行かずに小銭稼ぎに没頭する彼女に対する大人の目線と、彼女の透き通った純粋な目線が交わることはないのかも知れません。 何と言っても主演の少女の存在感。観る者を不安にさせ、かつ安心もさせ、かつ感動も呼び起こす。勿論、演出も脚本も秀逸です。謎めいているようでいて直球を投げ込んでくる。大いに気に入りました。8点献上します。[インターネット(字幕)] 8点(2024-12-15 21:41:21)《改行有》 211. The Blue Drum(原題) 《ネタバレ》 出来映えは良いと思うのです。映像、演出、ショートフィルムというよりこのまま90分ぐらいの作品になっていくのかなという雰囲気。 しかしながら、肝心のストーリーが…。なんともありがちなオチなのです。タイトルがそのまんまですね。昔っからこういうオチってあるような。行方知れずの家族が実は身近な所に隠されていた、みたいな。つまりは意外性がなくて先読みが出来てしまう。ミステリー系ホラーとしてはこれは致命的のような。 そう考えると、そこに至るまでのいくつかの仕掛けもありがちに思えてしまい、何かもうひとひねり出来なかったのだろうかという感想です。雰囲気が良い感じだっただけに残念な作品でした。[インターネット(字幕)] 4点(2024-12-13 00:27:06)《改行有》 212. Mama Retreat(原題) 《ネタバレ》 「リトリート」というものには馴染みがないのですが(私が不見識なだけかも)、アメリカあたりではこういったプログラムは珍しくはないのでしょうね。映画を観ているとちょくちょく登場するように思えます。 主人公のメルセデスは最初っからメンバーの中で浮いているのですが、そもそもだからこそ選ばれたのかも。主治医もフィルタリングに関わっているのかな?はなっから生贄フラグが立ってる感じ。山奥のキャンプ場みたいなところで捕まっちゃってる訳だから逃げようにも逃げられない。 結局取り上げられた赤ちゃんはどうなっちゃうのでしょう?勿論、産婦のメルセデスもどうなることやら…。本邦にもありそうな都市伝説のようにも思えるし、現実にカルト集団もありそうでよくよく考えると怖いお話でした。意外性には欠けるかな?[インターネット(字幕)] 5点(2024-12-13 00:09:41)《改行有》 213. La Ciguapa Siempre(原題) 《ネタバレ》 スペイン語はよく分かりませんがタイトルは「彼女はいつもシグアパ」という意味なのでしょうか?「シグアパ」というのはドミニカの民話に登場する生き物?のようですが、本邦で言うならば差し詰め妖怪的なものなのでしょうね。足が後ろ向きで後ろ向き歩行をするのが特徴?なかなかの恐さがあります。 細かな設定は示されていませんが、主人公のミラグロはどうやら里親に育てられた少女のようで、自らの出自に疑問を感じながら生きているようですね。それを調べて行くうちにどうにもならない気持ちを抱えるようになった。恋人のデイビスも信用できない。デイビスはそんな彼女を慰めようとキャンプに連れて来るのですが、職場の女性上司とラインしたり、道に迷った女性ハイカーを道案内したりする彼の姿に、ミラグロは強烈な悪意を感じ本性に目覚めてしまうという流れ。実はその森こそが彼女の本来居るべき場所だったというオチですね。 短いながらも恐さがひしひしと迫って来る作品。ミラグロの雄叫び、否、女性だから雌叫び?が強烈な印象です。後ろ向き歩行も恐い恐い。見応えありました。[インターネット(字幕)] 7点(2024-12-12 23:53:37)《改行有》 214. ブラック・フライデー! 《ネタバレ》 事態の重大性に気付かないまま、恰もロメロ監督の「ゾンビ」の如く大型店の店内に立て籠もる「主人公たち」。そのシチュエーションにしても件の怪物のビジュアルにしても、過去作品への熱烈なオマージュを感じます。ブラックフライデーにブラックコメディを観る贅沢。いいですね~♪細かなツッコミどころは多々あるものの、これでもかとばかりの展開に大いに笑わせていただきました。 ゾンビばりの感染力で客たちに取り憑いていく?エイリアン。食うのか合体するのかの判断基準は全く示されませんが、実は本作、最近話題のカスハラがモチーフになっているとも思え、無理難題を吹っかけて来る客vs店員のバトル。それに加えて、同じく何かと話題の職場でのパワハラやモラハラ要素も盛り込まれていて、さながら現代社会に対しての皮肉を込めた作りにもなっています。(と思えます) ま、そんなことを考えずとも、多少のグロ耐性は求められるものの何にも考えずに楽しめる作品であり、たまたま鑑賞しての思わぬ出逢いに6点献上です。[インターネット(字幕)] 6点(2024-12-12 23:27:06)《改行有》 215. オールドマン 《ネタバレ》 一見するとスティーヴンスさん、またもやドントブリーズですか?と言いたくなるようなシチュエーション。ところが大分異なる世界ですね。そして、この場合はネタバレ禁止かも。冒頭の「ラスカル!」の意味するところが本作品のひとつのキモです。 最後まで観てオープニングを見直すと解るというか、黙っててもラストにはオープニングが反芻されるので誰もが理解しやすい作り。なるほど、そうでしたか。やっぱりそうでしたか。という感じ。テーマは「狂気」あるいは「歪んだ愛」と言ったところでしょうか。 スティーヴンさんの熱演が光ります。少し前まではこんな雰囲気じゃなかったような役者さん。でも。前作、前々作あたりから「危険な独居老人」が板に付いてますね。その演技を楽しむだけでも価値ある1本でした。[インターネット(字幕)] 8点(2024-12-12 21:23:56)《改行有》 216. ロックド・イン/囚われ 《ネタバレ》 ひとことで言えばドロドロ。いかにも本邦の2時間TVドラマにありそうな愛憎劇。 本心がイマイチ解りにくい女主。その女主を幼少期から慕い続ける養女。その養女に依存し続け、今や夫婦となった女主の亡夫の連れ子。ヤブなのか野心家なのか単なるエロオヤジなのかいずれにしても只管怪しい医者。そして、瀕死の重傷を負った女主から事の真相を聞き出すべく私立探偵ばりに活躍する看護師。登場人物が多彩です。 そんな登場人物が織りなす物語がシンプルな訳がない。けれども、意外と解りやすく物語は展開します。つまりは観ている最中は結構楽しめる。そこそこツッコミどころもありますし。されど、観終わった傍からあっさり忘れ去ってしまうような薄い物語。 特に深いテーマ性があるとは思えません。典型的な?エンタメ作品です。深く考える必要はなく感情移入も不要。決してツマラナイ訳ではありませんが、重苦しい雰囲気の割には印象の薄い作品でした。[インターネット(字幕)] 5点(2024-12-12 21:05:04)《改行有》 217. イノセンツ 《ネタバレ》 先にご指摘のあるとおり、確かにこれは「童夢」ですね。公式には「童夢」からインスピレーションを得た作品とされていますが、シチュエーションといい展開といい、まさに「童夢実写版」的な作品という印象です。 ただ、こちらはあくまでも北欧ホラー。容赦なくやって来る悲劇をジトっとさせることなく弱々しいながらも明るい陽光の下で展開させていくという北欧ホラーあるある的雰囲気は好みです。出演者、特に子どもたちの素直な演技も功を奏し、飽きることなく鑑賞することは出来ました。 よくよく考えれば、イーダとアナの家族は、少なからず子どもたちがトラウマに苦しむにしても事件前以上に充実した生活を送れるのかも知れません。がしかし、アイシャとベンとその家族にとっては紛れもない突然の、それも立ち直れないほどの悲報。事件の背景の根本的な解決には程遠いエンディングでもあり、鑑賞後の後味は何とも気持ち悪いの一言に尽きます。 アナは何をボードに描こうとしていたのでしょう?果たしてこれからイーダとアナにはどんな未来が待っているのでしょうか?団地の窓から覗き込み最終決戦に助力した子どもたちの将来は?超能力決戦には昂ぶりましたが、総じて見ればただただダークな物語でした。[インターネット(字幕)] 6点(2024-12-11 00:01:55)《改行有》 218. ドロステのはてで僕ら 《ネタバレ》 タイムパラドクスの一つの解釈を映像化したコメディ、とでも言いましょうか、コメディ仕立てにすることで原理原則的な部分をすっ飛ばして見事な力業で纏め上げた作品ですね。出演者のキャラクターもある意味魅力的ですし、演出・編集の妙で飽きさせない、というか細かな疑問を挟ませない出来映え。一気に楽しめました。 人それぞれに望む未来は様々。大きく望めば現実に失望するし、小さく望めばさり気ない出来事でも大きな幸福感を得られる。なんていうのは勝手な自己解釈かも知れませんが、タイムパラドクスものの一つのお手本的作品と思います。納得いかない部分についてツベコベ言いたい自分を黙らせ8点献上します。[インターネット(邦画)] 8点(2024-12-06 00:25:30)(良:1票) 《改行有》 219. レベル・リッジ 《ネタバレ》 悪徳警官が町を牛耳り、逆らうものは全て破滅させる。そこに超絶ヒーローが現れて人々を救い悪を滅ぼす。そんなストーリーは定番のひとつのように思えます。本作の基本的プロットもそれです。けれども本作が一味違う理由は、主人公が只管沈着冷静に振る舞い行動することによるのかも。 主人公のテリーはとんでもない潜在能力(軍歴に裏打ちされた)を有するもののなかなか真価を見せてくれない。愛すべきいとこの保釈こそが目的ゆえに徹底的に我慢する。言動を慎み行動を慎む。心に秘めた怒りや憎しみは封印する。その一方、悪役側の警察は容赦なく無法ぶりを発揮。観ている側はイラつきます。 そして、スイッチオンでテリーは本領発揮。ただし、沈着冷静で法令順守。命令されているだけの警察官たちには最小限の攻撃のみ。観ている方はちょびっと不完全燃焼だけれどある意味安心して観ていられる感じ。そして、頼みの綱のサマーを難局から救い出すことも忘れない。観客は当然テリーを応援します。 「ランボー」の優等生版といった感じですね。容赦なく能力発揮する暴走型と只管冷静で人情優先型。こちらはこちらで異種の爽快感を味わえました。複雑に思える物語も丁寧に進んで行くので理解しやすかったです。多少のお約束感は否めないまでも大いに楽しめたので7点献上します。[インターネット(字幕)] 7点(2024-12-05 00:53:40)《改行有》 220. 彼女のいない部屋 《ネタバレ》 レビュー冒頭からネタバレします! これは感想を述べるのが簡単なようでいて難しい作品。簡単というのは、結構アッサリ纏められてしまうから。要は、幸せな生活の中に、否、幸せな生活だからこそ抱いてしまった不満によって家出的な外出をしてしまったものの、一緒に旅行に出発しなかったばかりに家族と死に別れてしまうという物語。そして彼女はその悲しみを断ち切り、家族との思い出の家を出て新たな人生を歩むのだった。そんな感じです。 難しいというのは、現在と過去、それも複数の過去という時系列が複雑に行き来し、更に主人公の空想というか妄想というか脳内イメージが重なり合っていて、それを書こうとするとレビューというより説明になってしまいそうなこと。構成の妙です。 愛娘と主人公を繋ぐピアノが一つのキーになっていますね。冒頭のシーンで主人公がクルマのキーを鍵盤に落として鳴ってしまう音。この音階が全編通じて登場します。それぞれのシーンを繋いでいる音ですね。短音のみならず楽曲も効果的に登場します。演出の妙です。 二回観ました。物語の全容を知ってから観直すとより味わい深い作品でした。8点献上します。[インターネット(字幕)] 8点(2024-12-03 18:43:36)《改行有》
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