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プロフィール
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自己紹介 ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。
「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。
映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。
目指せ1000本!

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201.  ディーパンの闘い 《ネタバレ》 これがパルムドールか・・・『預言者』に続き、フランスに押し寄せる難民問題に焦点を当てるも切り口が平凡。家族と偽りパリに渡った赤の他人三人が如何にして日々を生き抜いているのか、ニュースでは表面的に描かれているだけに関心はあった。しかし、こうも簡単に順調に生活が上手くいくのか疑わしい。二人の"夫妻"がくっついたり衝突するのは描かれていても、"娘"の描写が希薄でいつのまにか影が薄くなっていく始末。次第に積み重なっていく不穏と鬱屈が爆発するアクションのシークエンスは、主人公のみ見せて他はあまり映さないスタンスで、彼のPTSDを追体験させるつもりでも、直後に取ってつけたハッピーエンドのアンバランスさに違和感。イギリスに着いてめでたしとは限らないのに、主人公の妄想なのかひとときの安堵なのか狙っているの? パリ同時多発テロ、イギリスのEU離脱後では呑気にこんな映画は撮れないだろう。エンタメ寄りのオーディアールにしては詰めの甘さを感じる。[DVD(字幕)] 4点(2016-10-31 21:48:01)

202.  君の名は。(2016) 《ネタバレ》 新海誠と言えば、影のある若者が自分の苦悩に酔っている筋書きをセンチメンタルな映像美で被せている、世界観第一で物語は二の次というイメージだった。しかし、今作は表情豊かであっけらかんとした登場人物に、非常に娯楽性が強いあたり、監督の転換点・新境地と言える。だからこそ、手垢のついた入れ替わりものとギャグシーンで占める序盤の印象が強いほど、311が頭によぎる中盤に意表を突かれ、やがて未来改変ものにシフトチェンジしていく構成は巧い、引き込まれる。と同時に欠点も少なくなく、なぜ二人はタイムラグに気付かなかったのか、どうして二人は入れ替わったのか(共に母親不在の設定が気になる)、如何に三葉の父親を説得出来たのか描かれていないために、良くも悪くも世界観第一の監督らしい。未来を改変出来ても、村が消滅して故郷を去らなければならないことには変わらない。それでも新たな出会いがあり、新たな希望も残されている。過去作のようにすれ違いを続けてきて終わる不安もよぎったが、階段での再会、またすれ違い、ふと振り返って、そして『君の名(前)は。』──この演出に鳥肌が立った。これ以上の結末も、この先の物語もいらないくらいに。[映画館(邦画)] 8点(2016-10-17 22:04:49)

203.  ダラス・バイヤーズクラブ 《ネタバレ》 差別主義者のロクデナシがHIV患者の救世主になるまで。確かに品行方正ではなく、HIVになったのは完全に自業自得。ただ、根は悪くないのだろう、意外にも図書館で猛勉強して問い詰めたり、強がってても死の恐怖を感じたりする。そして差別主義者が差別される立場に回ることによって、人として忘れかけたものを取り戻していく姿は、皮肉にも成長物語として見れなくもない。実際は生きることで手一杯で、気が付いたら体制側との戦いを支えてくれる仲間がいた程度かもしれないが、結果的に多くの人を救うことになり、単純な善悪では片づけられない爽快感があった。マコノヒーとレトの骸骨のような窪んだ目の奥から発する強い眼差しが、痩せこけた肉体に魂を宿し、生への執着をフィルムに焼きつける。かつて傍観者として他者を嘲笑していた男が、今度は参加する側として危険なロデオに身を投じる。精一杯生きた彼を誰が嫌味を言うことができようか。[映画館(字幕)] 8点(2016-10-17 20:33:02)(良:1票)

204.  高慢と偏見とゾンビ 『高慢と偏見とゾンビ』・・・なんてそそられるタイトルなんだろう。 『死霊の盆踊り』並みに絶妙である。 元ネタを知らないと面白さが理解できないとのことで『プライドと偏見』で予習してから観賞に挑んだ。 格調高さとB級感を両立させようとすると普通の映画になってしまって却って難しいなと。 18世紀当時を再現したセットもそれほど豪華絢爛に見えず、低予算ならではの妥協もあったのかもしれない、 真面目さを通り越してのギャグ(=シリアスな笑い)が不完全燃焼だった。 原作が8割方ジェーン・オースティンの原文とのことで、そこを熟知しないとかなり厳しいかと。 それを抜きにしてもアクションとしては普通に面白い。[映画館(字幕)] 5点(2016-10-05 00:21:38)《改行有》

205.  超高速!参勤交代 《ネタバレ》 テレビ版編集のためか、本編が10分弱短いせいもあり、意外とサクサク見れた。軽快な娯楽時代劇と言いたいが、弱小藩が如何にして危機を切り抜けるのかというワクワク感、幕府側をあっと言わせる痛快さが予想範囲内。コミカルとシリアスが水と油のように混ぜ合わず、場面場面によっては重い口当たりが残ることも。女郎のエピソードとクライマックスのチャンバラは贅肉感があり不要。アイデア勝負の90分で描いてくれたら良作だったかもしれない。参勤交代に絞った題材が勿体ない。[地上波(邦画)] 5点(2016-09-23 08:02:13)

206.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》 冒頭の配給クレジットの演出からしても原点回帰であることを宣言する。従来の守護神としてではなく、破壊神として跋扈する様を描くにしても、あくまでメインはその脅威に立ち向かう"日本人"の葛藤と決断に至るまでの会話劇である。序盤まではただの水蒸気爆発だろうと、どこか呆けてとぼけた調子が、次第に巨大生物ゴジラの確認、大惨事を引き起こすに連れて、圧倒的な無力感が広がっていく様は短編『巨神兵東京に現る』を思い出す。BGMにしてもテロップのフォントにしてもエヴァンゲリオンを彷彿とさせるもので庵野イズム満載。とは言え難解さはほとんどなく、ある種のやり投げ感もプラスに働いている。ゴジラを凍結させたとしても、いずれは対峙しなければならない現実。欧米のように核で済ませるほど単純で明瞭ではなく、後回しさせるところが日本人的。それでもこの映画は、現在でも混沌から抜け出せない日本人に対して、希望に満ちた「イエス」と答える。そういう意味では、特撮もとい邦画史の転換点になるきっかけを生むのかもしれない。[映画館(邦画)] 7点(2016-09-06 19:34:46)(良:1票)

207.  GODZILLA ゴジラ(2014) 《ネタバレ》 エメリッヒ版は未見だが、それと比べればオマージュは感じられる。 が、構成はやっぱり地球の守護神ゴジラが敵の怪獣を倒しに行くという、往年のシリーズらしい範囲内で終わっていく。 そこに至るまでがちょっと退屈で、溜めに溜めてこれではどうしても物足りなさを感じてしまう。 核の向き合い方にしても、もう少し踏み込んで欲しかったと思わざるを得ない。[映画館(字幕)] 5点(2016-09-06 19:28:07)《改行有》

208.  ノア 約束の舟 《ネタバレ》 旧約聖書のノアの箱舟は聞いたことはあれど、興味を持てないとどうでもいい話。たった数行のエピソードを誇大に膨らませるにはあまりに違和感のあるイマジネーションの数々。マッドマックス風の近未来、指輪物語風の中世ファンタジーが闇鍋のようにぶっこまれ、旧約聖書の世界観と上手くマッチしていないのが痛い。家族ドラマとしても現代風でどうでも良くなってしまった感があり(監督ならではの辛辣さがこれまたマッチしていない)、洪水以降の展開がこれまた冗長である。いずれにしても、戒めとして宗教を誕生させながらも都合良く解釈して、人類の過ちが現在でも繰り返されていく。宗教と狂気は紙一重、付き合いは程々に、ってところかな。[DVD(吹替)] 4点(2016-08-29 19:59:09)

209.  ブラック・スワン 《ネタバレ》 方向性は違えど、監督の前作『レスラー』と共通するものは、強烈な渇望=承認欲求そのものだろう。毒親から受動的に狭い世界で生きてきたバレリーナにはそれしか心の拠り所がない。過度の重圧と葛藤から己を解き放ち、一線を超えるのはバレエのみならず、アスリートにしても俳優業にしてもほんの一握りのみ。頂点に立つことは孤高になるということ。リアリティを考えれば、リフトで失敗、鏡の破片が刺さったまま踊るなんてありえないため、無理して初演に向かうシーンから彼女の妄想だと思えば全て納得がいく。彼女は初演だけで満足し燃え尽きてしまった。そういう残酷で儚い夢物語。前作と違って遠い世界のように感じられてしまって、あまり鳥肌が立たないので6点とさせて頂く。[映画館(字幕)] 6点(2016-08-29 19:23:14)

210.  オマールの壁 《ネタバレ》 パレスチナを囲む壁がまるで戦前のユダヤ人を押し込めるゲットーを想起させる。かつてナチスがしてきたことを自分達も進んでしていることが皮肉だ。狡猾に嘘で扇動し、誠実な若者の運命を狂わせて・・・。オマールらがイスラエル兵士を撃たなければこんなことにはならなかったのか? もし日本も壁で囲まれる側だったら、その鬱屈はいつか爆発するだろう。解放される希望も未来もなく、めそめそと民族浄化されるくらいなら尊厳を持って抵抗する気持ちは伝わる。しかし、将来の結婚相手を幼馴染に奪われ、友人も不慮の事故で死に、生き甲斐を失ったオマールは心が折れて壁すら登れなくなってしまった。その遠因を作ったのは一見人間的なイスラエル人捜査官で、失うものもない彼が破滅覚悟で射殺する顛末が苦しい。スパイ映画としても青春映画としても秀逸な出来で、『パラダイス・ナウ』に続き、米アカデミー賞の候補に挙がった意義は大きい。どちらかが滅ぶまで負の連鎖と憎しみは絶えず続く・・・[映画館(字幕)] 7点(2016-08-20 19:25:35)

211.  マジカル・ガール 《ネタバレ》 まどマギとエヴァと黒蜥蜴にインスパイアされた結果がフィルムノワールという着眼点が面白い。ねっとり絡みつくように冷たいシュールな空気に、どうとでも解釈できる"行間"(悪く言えば勿体ぶった)が肌に合えば、この摩訶不思議な世界観に酔えるだろう。それくらい好みが分かれる。もしルイスが娘アリシアのラジオを聞いていれば、もしルイスが病んだ人妻バルバラの誘惑を断っていれば、もし元教師ダミアンがバルバラの嘘を信じなければ・・・・・・愛を求め、擦れ違いと嘘と勘違いをスペインの経済不況と精神分析で包み込み、希望から絶望へと転移していく。願いを叶えた魔法少女アリシアとそのなれの果ての魔女バルバラが表裏一体であるかのように。使い魔ダミアンはアリシアを本当に撃ったのか? 携帯電話を消したのは自分を狂わせたバルバラへの仕返しか、それとも再び悪魔へと覚醒した彼の支配か? かつての某大統領が言った。「この世で一番貧しい者とは、もっと、もっとを求める人のことである」。この"もっと"が今の文明社会を築いたが誰もが幸せになれるとは限らない。現代社会に蔓延する"病"に気付けない限り、金とモノに支配された現代人もこの悲劇と常に隣り合わせだ。[映画館(字幕)] 7点(2016-08-02 20:16:42)

212.  キャロル(2015) 《ネタバレ》 『リプリー』で引っ掛かりを覚えてはいたけれど、原作者がレズビアンだったということに納得。実名で出版できなかった彼女の実体験に基づいた願望を、美しくクラシカルに紡いでいく語り口に引き込まれる。サスペンスを違和感なく挟み込むあたりも作者らしい。他の方が言っている通り、同性愛と決めつけれられない何かがあるのは事実で、そこは強調せず、二人の心の動きを機敏に捉えていた(逆に男性は女性に支配的で愚かに映る)。優雅で儚いが"男性"的でもあるキャロルと、彼女によって大人の"女性"に変貌していくテレーズ。対等の立場になって初めてお互いに見つめ合うアップカットに胸が高まる。その切り上げ方がお見事。同性愛というのは生きるための手段にすぎず、あくまで純粋なラブストーリーであり、腕っ節の強い男からの自立を描いた現代に通じるテーマとも言えよう。[映画館(字幕)] 8点(2016-07-26 20:48:55)

213.  サウルの息子 《ネタバレ》 同胞のガス室送りを手助け・後始末をしている"ゾンダーコマンド"の存在を初めて知った。 監督はかつてタル・ベーラの助監督を務めた影響か、スタンダード比率で寄り添うような主観の長回しが、 主人公の視野の狭さ=見たくない光景とリンクして、閉塞感と混沌の中に放り込む。 この二つが、飽和状態のホロコースト映画に新しい切り口を入れる。 ぼかされた死体の山には目を背けられるが、絶命の叫びからは逃れられない。 そしてその状況に慣れてしまった自分がいる。 だからこそ、死んだと思われる息子(という設定)を 自分を保つための理由づけにしないととても生きていけないだろう。 最後は撃たれるだろう彼の笑顔が、新緑の森に冴え渡る鳥の鳴き声が、 無機質なアウシュヴィッツ収容所と対比して寓意的に映る。 敢えてやっているかもしれないが、凄惨さと絶望度ではまだ足りない。 この撮り方がなければ、全く話題にならなかったかもしれないのだから。[映画館(字幕)] 7点(2016-07-18 19:09:19)(良:1票) 《改行有》

214.  帰ってきたヒトラー 《ネタバレ》 もし、ヒトラーが現代にタイムスリップしたら? 誰もが思いつきそうな題材を、そう来たか、こんな方法で調理するとは。現代ドイツの社会問題と矛盾を劇映画、ドキュメンタリー、さらには同名の劇中劇と虚実入り乱れた構成で鮮やかに切り取り、あれがドイツ国民の本音だとは信じたくない。ヒトラー(を演じる男優)と一緒にスマホ写真を撮っているんだもん。この閉塞感の前に絶対的なカリスマにしがみつく弱さと、不安を煽るマスコミに振り回される愚かさを目の当たりにし、シリア難民流入のニュースとシンクロする演出にゾワっ。認知症の老婆と真実を知ったダメ男の言動にも皮肉を感じた。コメディはコメディでも、ただただ真っ当にシリアスな、笑えないコメディ。あまり笑えなかったが、自分だったら大衆(マジョリティ)とダメ男(マイノリティ)のどちらの側に立ち、どちらがガス室に送られるだろうか?[映画館(字幕)] 7点(2016-06-30 20:55:46)

215.  海街diary 《ネタバレ》 複雑な家庭環境を持った三姉妹と腹違いの妹の、ささくれはあっても深刻な展開や大きな事件に発展することもなく、淡々と日常を謳歌しているように見えた。タイトルに違わず、たったそれだけの内容だが、俳優陣と過剰を排した演出で一気に見せる。ただ漫画原作らしく、シビアさをオブラートに包んだ非現実さが是枝監督の作風と幾分ミスマッチしている感が否めない(過去作品でもなくはないが、本作が一際目立つ気がする)。リアリティ重視か、ある種のファンタジーとして見るかで評価が分かれそう。鎌倉の下町の空気感は素晴らしいが、漫画的記号を現実世界に上手く変換できず、あべこべに感じてしまう。[地上波(邦画)] 7点(2016-06-16 21:44:59)

216.  そして父になる 《ネタバレ》 そして父になる。この表題が家族という概念を問う。出産の苦しみを知らない男性にその実感がないから尚更だ。エリートの主人公に訪れた暗転。お金や身分といった面子を剥がされ、過去のトラウマからか素の自分を受け入れないでいる。もし、意図的な取り違えがなかったら、二つの家族は幸せになれたのか? 主人公は本当の父親になれたのか? 夫の連れ子と二人暮らしの女性看護師や電気屋の親父の方がずっと親としての役割を全うしている。この映画には答えはなく、結論は二つの家族で決めることだ。下手したら家庭環境等で人生が狂ってしまう。それでも、起こってしまったことに地団駄を踏まず、時間をかけて前を進むしかない。高級セダンが停まった古い家屋に、誰の声が分からない子供たちのはしゃぎ声が新しい可能性を提示する。[映画館(邦画)] 7点(2016-06-16 21:41:27)

217.  ダークナイト ライジング 《ネタバレ》 前作のようにヒース・レジャーには頼れないし、完結作というプレッシャーの中で、綺麗にまとめられた数少ないシリーズではないだろうか。160分を超える上映時間を感じさせない編集技術に、かつて下手だったノーラン監督のアクション演出は堅実で、してきたことは無駄ではなかったと感嘆させられる。ヒースほどではないにしろ、後釜のトム・ハーディの熱演は素晴らしかった。ジョーカーの野望をベインが完遂し、ラーズ・アル・グールの娘も交わり、3部作がモザイクのように絡まっていく。バッドマンの冠が外れてダークナイトとしたことで、アメコミヒーローの域を超え、一本の映画として記憶に残るだろう。悪は絶えないが、マスクを被れば誰もが守護神になれる。希望は誰の心にもあるということを提示してくれる。8点は3部作として採点。[映画館(字幕)] 8点(2016-05-16 20:52:34)

218.  ブリッジ・オブ・スパイ 《ネタバレ》 スピルバーグは大人の映画監督になった。台詞を排除した静かな追跡劇から引き込まれ、派手さはないが少しずつ緊張感を高めていく。物語に差し障りのない程度に抑えたトーマス・ニューマンのスコアが新鮮に感じられる。敵国ソ連のスパイを弁護するという、反感を買うような仕事を実直にこなしていくドノヴァンも、ソ連に忠誠を誓い情報を漏らさなかったアヴェルも、互いに仕事人としての誇りと信念から魅かれるものがあったのだろう。山場の捕虜交換は史実で分かっていても、罪もない米国大学生をも救おうとする無謀な賭けには固唾を飲む。だからこそ、ドノヴァンの行動を尊重して待つことを決めたアヴェルにグッとくるものがある。別れ方もさりげなく淡々としたスマートなもので、『シンドラーのリスト』と同じ映画監督とは思えない。一見ハッピーエンドだが、これから長い冷戦が続き、柵を越える人たちやアヴェルの待遇を考えると、今日の資本主義と共産主義の不寛容さを改めて突き付けられた形だ。出番は少ないが、空気に溶け込み、自然に染み入るようなマーク・ライアンスの存在感がこの映画をよりワンランクアップさせている。今後の活躍に期待。[DVD(字幕)] 7点(2016-05-16 20:38:25)

219.  ズートピア 《ネタバレ》 ディズニーにしてはかなり踏み込んだ内容で、夢を叶えるための厳しさ、頑張っても報われるとは限らない残酷さ、人間以上の体格差と第一印象で形作られた偏見と差別が、オブラートに包まれながらもエグみを効かせている。それでも、現実世界そのもののズートピアを変えていこうとする主人公の信念が、嫌な奴だった詐欺師や署長の心境を変化させていく。黒幕の正体ないしその填末について、終盤で分かってしまったが、自分自身の身の丈をよく知り、己を信じることが出来なければダークサイドに堕ちてしまう危うさが現実世界以上というのはあまりに皮肉だ。社会を変えていくのは我々そのもので、その手段が正しいか間違っているかの違いに過ぎない。ウサギとキツネの凸凹コンビの掛け合いが、シビアな世界観において清涼剤になっていた。[映画館(吹替)] 8点(2016-05-16 20:36:51)

220.  モンスターズ・ユニバーシティ 《ネタバレ》 知識で補う努力家のマイクも、名門で天才肌のサリーも自意識過剰で見下している印象があり、二人より遥かに下の落ちこぼれと同じ立場になったとき、初めてスタートに立てたのだろう。あらゆる奇策で最底辺から下剋上で優勝する様は痛快で、だからと言ってハッピーエンドではなく、そこから更に二人を奈落に突き落とす。あまりに辛辣で残酷な事実を臆せずに描き切る。ウォルト・ディズニーの「夢はかならず叶う」の格言をここでは少し否定し、失うものがない二人が互いに足りない部分を補って叩き上げで現在に至るまでを、既存のスクールカースト・学歴社会への風刺を交えて説得力のあるものにしたのは、数々のイノベーションを生み出したアメリカの開拓精神によるものか。前作には劣るけれど、それでも一定のクオリティを輩出するのは流石ピクサー。[地上波(吹替)] 7点(2016-04-27 22:25:45)

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