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プロフィール
コメント数 615
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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201.  コンフェッション(2002)  ジョージ・クルーニー初監督作品との事でしたが、その力量に驚かされた一方で、どうも既視感を覚えてしまう作風。  気になって調べてみたら、脚本がチャーリー・カウフマンだったのですね。  あぁ、何かに似ていると思ったら「アダプテーション」かと、大いに納得した次第。  悩めるクリエイターが体験した悪夢のような出来事、という点が共通しているように思えましたね。  とても実話とは思えない破天荒なストーリーだったのですが、それが作中で主人公の悩みにもなっており「こんな話、誰も信じてくれない」と嘆く形になっているのが面白かったです。  リアリティの無い展開になればなるほど、主人公の心境が理解しやすくなるという構造。  豪華な出演陣は画面に彩を添えてくれていますし、コーヒーカップの摩り替えなど、印象的な場面もありました。  ドリュー・バリモア演じるヒロインの、性に開放的な小悪魔のようでありながら、何処か母性を感じさせる女性像も好み。  観賞中は、上述の「既視感」が頭の中でチラついてしまい、あまり映画の世界に没頭する事は出来なかった状態にも拘らず、そういった長所をキチンと感じ取れたのだから、良い映画だったと思います。  一連のお話が真実が虚構かを考えるのは野暮な気もしますが、一つ気になったのは、主人公の妹の名前が「フィービー」である事。  これって、かの著名な小説「ライ麦畑でつかまえて」に登場する主人公の妹と同じ名前なんですよね。  つまり、このお話も創作ですよというメッセージにも思えたのですが、真相や如何に。[DVD(吹替)] 6点(2016-05-13 12:21:34)《改行有》

202.  女子高生チェーンソー 《ネタバレ》  犯人の正体が意外過ぎて 「あれ? もしかして伏線を見落としていたかな?」  と思って、二度観賞してみたのですが、やっぱり伏線など無かった……そんな思い出がある映画ですね。  犯人のマスクを取ったら、美人女子高生が中年のオジサンに変貌。  しかも何故か顔だけでなく、首から下の体型まで変わっていたのだから、もう笑うしかありません。  超常的な兵器に関わっていた校長さんなので、もしかしたあのマスクも特別性で、体型を自由に操れる効果があったのかも知れませんが、そんな解釈を行う事すら野暮に思えてきます。  今になって考えてみるに、製作者側も「どうぞ笑って下さい」「どうぞツッコんで下さい」という姿勢で用意した、確信犯的オチだったのではないでしょうか?  こういった「狙って作った馬鹿映画」は初体験だったという事もあり、色々と印象深いものがありました。  映画単品として面白かったとは言い難いのですが、新鮮な衝撃を与えてくれた事、色々と話のタネになってくれた事を考えると、自分は死ぬまでこの映画のタイトルを覚えていそうで、ちょっと憂鬱になったりもしますね。  そんな諸々を含めて、愛すべき映画……とまではいかないけれど、どうも嫌いになれない映画です。[DVD(字幕)] 2点(2016-05-12 07:15:12)《改行有》

203.  プリズン・フリーク 《ネタバレ》  自分は刑務所を舞台とした映画が好きなのですが「その中でも一番のオススメは?」と問われたら、数多の有名作品を押しのけて「プリズン・フリーク」と答えてしまいそうですね。  そのくらい好きだし「もっと多くの人に観てもらいたい」と思わされるような、隠れた傑作と呼ぶに相応しい品なのです。  何と言っても、この映画の画期的なところは、刑務所映画であるはずなのに、観ていて嫌悪感を抱くような悪人が、一人も登場しない事ではないでしょうか?  勿論、法律上は囚人というだけでも「悪」でしょうし、主人公のジョンにしたって善人とは言い難いキャラクターなのですが、何処か愛嬌があって憎めないのですよね。  それは囚人同士の殺し合いを賭け事にしている看守達にも、黒人差別主義者の囚人のリーダー格にすらも当てはまります。  こうやって改めて文章にしてみると「いやいや、こいつら完璧に悪人じゃん」と我ながら思うのですが、いざ映画本編を観れば、やっぱり親しみを抱いてしまうのです。  中でも、こういった映画では憎まれ役になる事が多い「主人公達を狙っている同性愛者の囚人」が、妙にチャーミングだったりするのだから、まったくもって困りもの。  見た目は太った黒人男なのに、まさかまさかの劇中のヒロイン格ですからね。  人は見かけで判断するもんじゃないなぁ……などと、しみじみ感じました。  脚本も非常に凝っており 「刑務所のルールその1は『絶対に他人を信用するな』」 「キミはもう家族みたいなもんだから」 「ここから出られるのは、死んだ時だけだ」  などの台詞の数々が、伏線として綺麗に回収されていく様は、実に気持ち良かったです。  それでいて難しく考えながら観る必要は全く無い、というバランスも素晴らしい。  途中で「あれ? 何か急に台詞が説明的になったな?」と不思議に思っていたら、ちゃんと後で、その理由が解き明かされたりするんですよね。  なので観賞後に何かが引っ掛かったような気持ちになる事も無く、後味もスッキリ爽やか。  特に好きなのは、ラストの車中にて、ジョンとネルソンが和解する場面ですね。  一度は殺し合いすら演じた二人が、たった一つの曲を通して「偽りの友達」から「本当の友達」そして「家族」へと変わっていく。  その数分間が、何とも微笑ましくて、観ているこちらも一緒に歌い、一緒に笑いたくなってきます。  とても楽しい映画でした。[DVD(吹替)] 9点(2016-05-11 15:57:36)《改行有》

204.  リトル・ダンサー 《ネタバレ》  観賞後「良い家族だなぁ……」と、しみじみ呟いてしまいました。  家族だけでなく、主人公の周りにいる男の子、女の子、おじさん、おばさん、誰もが魅力的で、良い人ばかり。  それだけに、終盤にて彼らに別れを告げて旅立つシーンが、とても切なかったですね。  お婆ちゃんが、力強く主人公を抱きしめてから、あえて突き放すようにして離してみせる場面。  ずっと同じ部屋で暮らしてきた主人公の兄が「寂しくなるよ」と、弟には聞こえないように呟いてみせる場面。  どちらも素晴らしかったです。  似たような内容としては「遠い空の向こうに」という映画が存在しているのですが、あちらが夢を叶えてみせた主人公達を主題に据えた品だったのに比べると、こちらは主人公の夢を叶える為に手助けする周囲の人達を主題としているように感じられましたね。  印象深いのは、主人公にボクシングを教えていた中年のオジさん。  てっきり「バレエなんて男のやるもんじゃない」と、親父さんと一緒になって反対するポジションなのかと思いきや、物凄く親身に応援してくれるんです。  ロイヤル・バレエ学校を受験する事になった主人公の為に、小銭をかき集めて資金援助までしてくれたし、結果を不安視する主人公に対し「大丈夫、絶対に受かってる!」と励ましてくれる姿には、心温まる思いがしました。  こういった心地良い意外性って、本当に好きですね。  そして何といっても、この映画のクライマックスは、息子の夢を叶える為に父親がスト破りを決行するシーンでしょう。  あそこで興奮と感動を最大限に高めてくれたからこそ、その後の面接シーンでのドキドキ感、旅立ちのシーンでの寂寥感に、非常に巧く繋がっていたと思います。  何と言うか、観客の心の波を操る技に長けているのだなぁ、という印象ですね。  数少ない気になる点としては、面接の際、八つ当たりのような形で殴られてしまった金髪の少年に対し、主人公が謝罪してみせたり、きちんと和解してみせたりするシーンが無かった事。  それと、てっきりヒロインだと思っていた女の子が、途中から完全にフェードアウトしてしまった事でしょうか。  ただ、後者に関しては恐らく意図的に出番を減らしたのであり(序盤にて彼女の姿が、車の陰に隠れると同時に消えてしまう演出は、その暗示?)主人公の親友である少年こそがヒロインであったと判明する意外性の為の前振りでしょうから、一概に欠点とは言い切れないかも知れませんね。  それでも観賞中「あれ? あの女の子どこいったの?」と思ってしまったのは確かです。  対するに、真のヒロインと、そう呼んでも差し支えないであろう親友の少年に関しては、別れのシーンでの「失恋」を示すキスに、何とも言えない物悲しさを感じました。  片方は友情を抱き、片方は愛情を抱いている二人の映画として考えても、上質なものであったと思います。  それらの喜怒哀楽、全てが積み重なった末に、主人公が夢を叶えてみせた「未来」へと繋がるハッピーエンドの、素敵な味わい。  良い映画でした。[DVD(吹替)] 8点(2016-05-08 09:46:24)(良:1票) 《改行有》

205.  グリーン・デスティニー 《ネタバレ》  この作品が、後世の武侠映画に与えた影響は大きいのでしょうね。  ただ、それゆえに、現代の目からすると斬新どころか、陳腐にさえ見えてしまうのが残念なところ。  それだけ模倣されてきた画期的な作品という事ではないか、と頭の片隅では感じているのですが、観賞中「これは凄い!」と唸らされる場面には遭遇出来ませんでした。  とはいえ、終始退屈だったという訳では決してなく、壁走りや竹の上を走る場面、剣を使って敵の剣のギザギザ部分を一気に削ぎ落とす場面などは面白かったし、テンションも上がりましたね。  今時はこんなシンプルな、分かりやすい引っ張り上げ方のワイヤーアクションには中々お目に掛かれないという事もあり、何やらストップモーションで動く怪獣を見るような、時代が違うからこその目新しさもありました。  ではストーリーはどうかというと、残念ながら好みとは言い難い内容。  まず、主人公であろうイェンの立ち位置が「悪い事をしてしまって大人に追いかけられている子供」という印象なのです。  善人とは言い難いし、かといって格好良い悪党でもない。  作中の雰囲気からしても、いずれ彼女に罰が当たるという事は随所から感じ取る事が出来るので、彼女に感情移入して物語を追いかけると、酷く居心地の悪い感覚を味わう事になるのですよね。  じゃあ俯瞰で楽しもうと距離を置いて観賞すれば、何だか家出娘が引き返せずにどんどん深みに嵌っていくのを見守るだけのような気分になって、やっぱり楽しめない。  結末もハッピーエンドとは思えず、スッキリしない後味となってしまいました。  好みの映画ではない、と断言出来たら気持ちも楽なのですが、上述のアクションの数々など、面白かった部分も確かに存在しているのが、悩ましいところですね。  著名な竹林での攻防シーンも、非常に緑が印象的で、白い着物が幻想的で、美しさすら感じました。  とかく知名度が高く、エポックメイキング的な作品という事もあり、何とも判断が難しい。  この映画は面白いかと問われたら、素直に頷く事は出来ませんが、そういった諸々を含めて、観る価値はあった映画だと思います。[DVD(吹替)] 5点(2016-05-07 07:51:36)《改行有》

206.  千と千尋の神隠し  難しい映画です。  隠されたメッセージだの寓意だのを分析しようとすると、どうしても「監督が可愛い女の子を色んな目に遭わせてみたかっただけのロリコン映画」という結論しか出てこないんですよね。  かつては反体制側の視点から作品を描いていたはずなのに、この作品では権力者側に非常に同情的になっている点など、色々と着目すべき事は多いのですが、それ以上に色濃く感じられたのが「大人は醜い豚」「この世は理解出来ない化け物ばかり」「そんな中で唯一の癒しである幼女は、こんなにも健気で可愛らしい」という主張だったりしたので、やはり自分にとっては、上記のような結論に達してしまう訳です。  もしかしたら、美少女が画面に出てくるだけで嬉しくなるような自分自身がロリータ・コンプレックスだからこそ、そう感じてしまっただけかも知れませんが、ちょっとそれ以外の言葉で表現しようとすると嘘になってしまいます。  自分の好きな「ドラえもん」シリーズや「シベールの日曜日」や「あの子を探して」などがロリコン映画であるという程度には、この作品もそうなんじゃないかなぁと。  ただ、この作品に関しては「そんなに大人が嫌いで、純真無垢な幼女が好きなの?」という作り手に対する疑問符のようなものが浮かんで来てしまい、映画の世界に入り込めなかったというのが正直なところです。  そんな大いに偏った印象を除外して考えれば、凄く上質な映画であるのは間違いないかと。  単純にアニメーションとしてのクオリティーが高く、画面の中でキャラクターが動くのを眺めているだけでも楽しいですよね。  逆境の中で主人公を助け、安堵感を与えてくれるハクの存在も魅力的だったと思います。  特に、竜の飛翔シーンに関しては圧巻の一言で、暫し呆然として見惚れてしまいました。  やはり、こういったタイプの映画は難しい事を考えずに、頭を空っぽにして観るべきだよな、と反省させられましたね。  ラストシーンにて「何だか全てが夢だったみたい」と感じさせてくれる非現実感というか、心がフワフワするような不思議な気持ちを与えてくれるのも(これが童心に返してくれる映画という事なのかな)と思ったりしました。[DVD(邦画)] 4点(2016-05-02 22:45:33)(良:2票) 《改行有》

207.  あるいは裏切りという名の犬 《ネタバレ》  ダニエル・オートゥイユといえば「メルシィ!人生」などのコメディ映画の印象が強かっただけに、今作には衝撃を受けました。  とてもシリアスであり、それ以上にシンプルな力強さを備えた刑事ドラマ兼犯罪ドラマであったと思います。  邦題は格好良いけれど、そこまで「裏切り」に重点が置かれた映画とも思えなかったので、観賞後には少し違和感を覚えましたね。  けれど自分のように、このタイトルのお蔭で興味を持つ方も多いでしょうし、プラマイゼロ、あるいはプラスの方が上、といった感じでしょうか。  主人公レオの存在感も素晴らしかったのですが、個人的に圧倒される思いがしたのは、悪役であるクランの方。  このキャラクターは、一概に「悪役」とは言い切れないくらいの深みがあるんですよね。  元々は主人公の親友だったのに敵対してしまう事になるとか、主人公の妻も交えた三角関係だとか、よくよく考えてみれば王道で、ありがちな設定ばかりなのだけど、観ている間は凄く新鮮な気持ちを味わえました。  理由を分析してみるに、恐らくは演じている役者さんの「うわぁ、こいつぁ如何にも悪そうだ!」という風貌と立ち振る舞いに、単純な「嫌な奴」であると思い込んでいたところで、少しずつ「善人」の名残を見せてくれるというギャップに、すっかり参ってしまったのでしょうね。  特に唸らされたのが、囚人となった主人公が娘を抱きしめられるように、そっと手錠を外してみせる場面。  そこには確かに善意や友情を感じられる一方で、同時に主人公の怒りを和らげるのが目的の罪滅ぼし、醜い誤魔化しといった負の感情も伝わってきて、非常に味わい深いものとなっています。  この映画で、最も印象に残るシークエンスでしたね。  こういった物語では、単なる背景設定だけで終わってしまう事も珍しくない「今は争っている二人だが、元々は親友でありパートナーであった」という要素を、実に上手く活用していたと思います。  そして出所した主人公が裏切り者に制裁を加えるべく動き出す終盤で、映画は最高の盛り上がりを見せる……と言いたいところなのですが、あまりにも展開が早過ぎて、あっさりと決着を付けた印象があり、少々残念でした。  確認してみたら、映画が始まって「主人公の逮捕」に至るまでが約一時間。  そこから二十分ほどで「主人公の出所」。  そして残り二十分で結末まで辿り着く訳だから、どうしても後半が駆け足に感じられます。  もう少し、主人公が刑務所に入る前と後のバランスを考慮して、多少上映時間が伸びるのを覚悟の上で前後の尺を同じくらいにしても良かったんじゃないかな、と思う次第。  ラストシーンに関しては「これって主人公も死ぬんじゃない?」と予想していた中で、娘と共に和やかなハッピーエンドを迎えてくれて、嬉しかったですね。  あぁ、そうか、だから主人公に復讐の引鉄をひかせなかったのか……と、しみじみ納得させられました。  亡き妻の仇に対して、自ら手を下す姿だって、そりゃあ絵になるかも知れませんが、残された娘の事を思えば、やはり主人公の決断は正しかったのでしょう。   静かなエンディング曲も相まって、ノワール映画とは思えぬほどに、優しい余韻を与えてくれる映画でした。[DVD(吹替)] 7点(2016-04-25 21:34:13)《改行有》

208.  フラッシュバック(2008) 《ネタバレ》  同名の邦題映画が、四つも登録されている事に吃驚。  自分が観賞したのはダニエル・クレイグ主演の青春映画でしたが、丁寧に作られた品であると感じました。  何といっても、登場人物達がデヴィッド・ボウイのファンであるというだけでも好感を抱いてしまいますね。  全編に亘ってノスタルジーをくすぐる匂いが漂っており、こういったタイプの映画としては、安心させられるものがあります。  基本的なストーリーラインとしては「ニュー・シネマ・パラダイス」との共通点が幾つか窺えました。  俳優として成功したは良いものの、今はもう落ち目と見られている主人公が、親しかった友人の死を知らされて帰郷し、そこで若き日の出来事を回想する事になる……といった形。  つまり、この亡き友との絆、友情こそが映画の骨幹となるだろうと予想していたのですが、中盤から彼の存在がどんどん薄くなってしまい、困惑させられましたね。  結局は主人公とヒロインの恋愛、そして人妻との不倫が中心であったように思えます。  それでも、メロドラマとして面白ければ構わないと頭を切り変えようとしたのですが、どうも上手くいきませんでした。  理由としては、まずヒロインとの仲が、それほど濃密には思えなかった事。  自分と同じ曲を好きな女の子、というだけでも主人公が恋心を抱く気持ちは良く分かります。  一緒にレコードを聴きながら口パクし、ブライアン・フェリーとバックコーラスとになりきっている場面などは、本当に楽しそうで良い場面でした。  ただ、そこから更に深い仲になろうとした矢先に、主人公は人妻の誘惑に負けて彼女との約束をすっぽかしてしまう訳で、観ているこちらとしては「そんなの別れる事になるのが当たり前じゃないか」と気持ちが冷え切ってしまったのです。  そこから復縁する展開になる訳でもなく、更に主人公は不倫をし続けて、遂には不倫相手の娘さんの事故死を招く結果となってしまいます。  ここまできたら、流石に主人公に感情移入する気持ちなどゼロです。  何といっても、子供の死に対して悲しみや罪悪感を抱く描写が決定的に不足していたと思いますし、不倫相手の人妻にしたって、死を聞かされて言い放つ言葉が「亭主に責められる……」って、子供を可哀想に思うのが先じゃないの? 自分の保身を真っ先に考えちゃうの? と大いに興醒め。  若い男との情事を楽しみたい母親から家を追い出され、一人遊びの最中に事故死してしまった幼い女の子が、本当に哀れでしたね。  海岸に流れ着いた機雷による爆死などという、非現実的な出来事だったので、実感が湧かなかったのかも知れませんが、もっと主人公達の「子供の死」に対する苦悩も描いて欲しかったな、と思います。  この後、親友に慰められる事となり、そして冒頭に繋がるのだろう……と思っていたら、それすらも無し。  終盤、実は不倫相手だった彼女も、自分が家を飛び出した後に不遇の死を遂げていたと知って、主人公がショックを受ける展開となる訳ですが、ここまで冒頭の「親友の死」を軽く扱うのであれば、初めから彼女の死を知らされて帰郷する形の方が良かったのではないでしょうか。  結局、ヒロインは残された親友と結婚しており、幸せな家庭を築いていた事も明らかになるのですが、帰郷した主人公と、夫を亡くした彼女が再びくっ付く、なんてエンディングにならなかった事には、ホッと一安心。  故郷を後にして、元の生活に戻っていく主人公の姿に「If There Is Something」の歌詞と、それを一緒に聴いた在りし日の二人の姿が重なり合う演出は、心に響くものがありました。  全体的に「好きな映画である」とは言い難いけれど「好きな場面」は幾つも見つける事が出来る。  そんな作品でした。[DVD(吹替)] 5点(2016-04-25 16:12:06)《改行有》

209.  素敵な人生の終り方 《ネタバレ》  設定からすると、如何にも感動物といった趣きの映画なのに、その内容はコメディという意外性が面白かったですね。  涙を誘うようなシーンもあるにはあるのですが、それよりも笑いの比重が大きかったように思えます。  自分としては、冒頭の悪戯電話を楽しんでいる主人公達に対して今一つ感情移入が出来ず、どこか冷めた目で画面を眺める事になってしまったのが残念。  そして、そんな悪戯電話の件以上に呆気に取られたのが、終盤におけるヒロインの台詞。 「(彼と不倫したのは)病気を使って同情させるからよ」  って、おいおいそこまで言うか、と衝撃的でしたね。  主人公が一途な愛情を抱いている存在なのだから、きっと優しい女性なのだろうな……という思い込みを、木っ端微塵に粉砕された形。  とはいえ、元々家庭がありながら不貞を働いていたカップルなのだし、そのくらいの落としどころが丁度良かったのかも知れませんね。  主人公も彼女も聖人君子ではなく、むしろ駄目な人間なのだというのが、何となく可笑しかったです。  道徳的には正しくなかったとしても、憎めない愛嬌のようなものを感じさせてくれました。  この映画は全編に亘ってそういった肩透かし感が強く「病気で余命僅かな主人公」「元妻との恋の再燃」というテーマを扱っておきながら「主人公の病気はアッサリ治るので、感動的な死など迎えない」「元妻とヨリを戻す事もなく、再び別れる事になる」という、王道の展開を踏まえた上での真逆な結末を迎えているんですよね。  結局、主人公は病気の告知を受けて自分の一生を見つめ直す前の段階と、何も変わっていないように見える。  ただ一つの大きな違いは、心を通わせられる友達が一人出来ただけ……という、静かな変化を描いた結末は、とても好みでした。  アダム・サンドラーと対になる、もう一人の主人公を演じたセス・ローゲンの存在も良かったですね。  彼の目線からすれば「一度は歩みかけたコメディアンとしての成功の道を閉ざされた後に、再び立ち上がって歩み始める」という、大いに青春を感じさせるエンディングにもなっています。  色々と意外な展開で驚きましたが、偶にはこんな風に「王道」「お約束」を逆手に取った作品も悪くない……と、そんな風に感じさせる一品でありました。[DVD(吹替)] 5点(2016-04-23 16:54:56)(良:1票) 《改行有》

210.  最後の恋のはじめ方 《ネタバレ》  デート・ドクターという設定が面白かったですね。  女性目線なら、てんで的外れという可能性もあるかも知れませんが、その助言の数々には「なるほど」と思わされる事が多く、説得力を感じながら観賞する事が出来ました。  恋に関しては百戦錬磨で怖いもの知らずと思いきや、実は心に傷を負っている二枚目主人公のヒッチと、根は善良なのに全くモテない肥満気味の依頼人アルバートという組み合わせが、もう見ているだけで楽しい。  この二人がアレコレと苦戦しながら、お金持ち女性のアレグラとの恋を成就させようとしているパートが非常に好みだっただけに、途中からヒッチ本人の女性記者への恋が中心になっていったのは、少し残念でしたね。  勿論後者のラブストーリーも面白かったのですが、前者の内容を芯に据えた映画も観てみたかったな、と感じてしまいました。  それくらい、アルバートとアレグラとの恋模様には魅力があったと思います。  終盤、主人公達の正体が暴露されてしまい「よくも騙したわね!」と女性側がお怒りになるという、ラブコメお約束の展開に突入する訳ですが、ここでヒッチとアルバートの関係性が逆転し「キミは自分が売っている商品が何なのか、まるで理解していない」と、恋を売り物にするヒッチの方が助言を受ける立場になる場面なんか、凄く良かったですね。  ヒッチもヒッチで、秘密を暴いた女性記者サラに「アルバートは良い奴なんだ、あいつの恋を邪魔しないでくれ」という彼を庇う形で怒ってみせるのには、もう参っちゃいます。  こういった何気ない台詞で、主要人物に好感を抱かせてくれるのは本当に嬉しい。  クライマックスにて 「実は助言は全く関係無くて、等身大の彼自身に彼女は恋していたのだ」  と判明する件は、最高に痛快です。  比較的序盤から 「ヒッチは、あくまでも依頼人に恋のキッカケを与えるだけ」 「アルバートは助言通りに行動している訳じゃないのに、結果的に彼女に好かれている」  という事が示唆されていた為、裏切られたという衝撃も無く「あぁ、そうだったのか!」という、自然と笑みが浮かんでくるようなサプライズを味わえました。  その後の主人公カップルの和解に関しても、微笑ましく見守る事が出来て、後味爽やかなハッピーエンドを満喫。  気持ちの良い映画でした。[DVD(吹替)] 8点(2016-04-21 17:46:01)(良:2票) 《改行有》

211.  ルームメイト2 《ネタバレ》  続編というよりはリメイクに近い印象を受けました。  1で印象的だった「髪型を同じにしてルームメイトとの同一化を図ろうとする女性」というシークエンスなども、ほぼそのまま再現されていますね。  ただ、長い黒髪を短い茶髪に変えた前作に比べると、今回は髪色を変えた程度の変化に思えて、インパクトは弱かったように感じられます。  「良い子」だと思っていたルームメイトが、卑猥な店で働いているのを見かけて衝撃を受けるシーンなども、今作の女優さんに関しては失礼ながら「そういう店で働いていても驚かないタイプ」という印象を受けたので、意外性という点では不利かと。  序盤は前作とは違う展開だっただけに、新しいストーリーを見せてくれるかと期待していたところだったので、中盤以降は「結局、同じ話になるのかよ!」という落胆を感じてしまった……というのが、正直なところですね。  2から先に観ていれば印象も変わったかも知れませんが、この辺は後発の作品の辛いところ。  結末に関しても大体同じなのですが、彼氏が生き残っているのでハッピーエンド色が強まっている一方、ヒロインは死んだルームメイトに憑りつかれているような描写もあり、一概に後味が良いとは言い切れないものがありました。  相手を殺して一緒に死ぬ事が愛情表現であった彼女に対し、ヒロインは殺すだけで自分も死んであげる事は出来なかったという形で「彼女の愛には応えられない」という事を示した点に関しては、中々味わい深くて好みです。  最後にヒロインが見せた笑顔は、過去を吹っ切ろうという決意の表れにも、殺したルームメイトと同化するのを受け入れたようにも思えましたね。  それまでは予定調和な展開ばかりだった中で、初めて「この後どうなるの?」と身を乗り出した途端に、スタッフロールが始まってしまうというオチ。  何とも残酷な映画でした。[DVD(吹替)] 5点(2016-04-17 19:38:32)《改行有》

212.  ストレンジャー・コール 《ネタバレ》  舞台となる家の造形が良いですね。  (こんなところに住んでみたいなぁ……)と、羨望の溜息が漏れちゃいます。  そんな家の内装と、ヒロインを眺めているだけでも楽しい映画……と言いたいところなのですが、そういった気分も、中盤に差し掛かる頃には流石に醒めてしまいました。  その理由としては、まず、犯人が出てくるまでが異様に長い。  勿体ぶって、これでもかこれでもかと引き延ばした割りに、その正体は意外な人物でも何でもなく、初対面のオジサンだったりするのだから、大いに肩透かしです。  喧嘩中の彼氏と、女友達だけでなく、ベビーシッターとして派遣された先の家庭にもメイドやら大学生の息子やらを思わせぶりに配置していたのは、全てミスリードを誘う為だったのでしょうか。  子供達の姿が全く見えないから「実は既に殺されている」「実は最初から存在しなくて夫婦の妄想の産物」なんて展開も予想されるのですが、これまた全部外れ。  もしかして、退屈な留守番を任されるベビーシッターの心境を観客にも理解してもらう為に、意図的に冗長な演出にしたのではあるまいか……とも考えられますが、きっとこの推理も外れなのでしょうね。  何よりもキツかったのは、この映画において最大の衝撃を受けるであろう「実は犯人が屋内にいる」という部分。  これって有名な都市伝説が元ネタなので、観客である自分もとっくに知っていた事なんですよね。  仮に知らなかったとしても、序盤のアラームが鳴った件やガレージが開きっぱなしだった描写やらで「犯人が潜入している」というのは、すぐに気が付いたと思います。  だから当該のシーンで衝撃を受けるヒロインに対しても(えっ? 今更?)という印象を受けてしまい、どうしても感情移入出来ません。  せめて守るべき対象となる子供達との間に絆があれば応援出来たのでしょうが、それも無し。  そもそも子供達の台詞が極端に少なく「守りたい」「この子達には何とか生き延びて欲しい」と思わせるような描写すらも乏しいものだから、困ってしまいます。  ヒロインが恐怖のあまり精神を病んでしまったかのような、後味の悪いバッドエンドなのも、好みとは言えません。  何だか不満点ばかりを並べる形となりましたが、犯人を撃退する「暖炉の装置」に関しては、完全に忘れていたので意表を突かれたし、良かったと思います。  パトカーの中からヒロインを見つめる犯人の眼光にも、ゾクっとさせられるものがあって、印象的。  恐らくは意図的に血を映さず、適度な「怖すぎない怖さ」を提供してくれた事にも、好感が持てます。  それでも「ここを、もっとこうすれば面白くなったんじゃないかな?」という思いが頭を離れない……そんな映画でありました。[DVD(吹替)] 3点(2016-04-16 17:47:36)(良:1票) 《改行有》

213.  スティーブン・キング/ドランのキャデラック 《ネタバレ》  クリスチャン・スレーター主演という情報を元に観賞してみたら、まさかの悪役。  元々善玉だけでなく悪党も器用に演じきる俳優さんという印象がありましたが、今回もハマっていましたね。  彼が演じた役柄で一番好きなのは「フラッド」の主人公なのですが、この映画のドラン役も、それに次ぐインパクトを与えてくれました。  特に終盤、自慢のキャデラックの中に閉じ込められてしまうシーンでの焦燥感や、息苦しさを伝えてくれる演技なんかは、必見です。  そして、そのキャデラック。  映画のタイトルになっているだけの事はあり、魅力たっぷりなアイテムとして描かれています。  完全防弾、背後を追跡してくる車を観察出来るカメラ、車内用パソコンに、緊急時の酸素吸入器(?)まで付いているという至れり尽くせりっぷり。  劇中では悪役が乗り回している代物であり、主人公にとっての復讐の対象となる車なのですが、妙に男の子心を刺激され、憧れてしまう存在でした。  原作がキングという事もあってか、主人公に妻の亡霊が見える設定もあるのですが、こちらに関しては必然性があったのか、少々疑問。  妻が妊娠していた事を悟らせる効果があったのでしょうが「それって幽霊経由でなくとも良かったのでは?」という疑念を抱いてしまいましたね。  映画後半では主人公とドランとの一騎打ちとなって、妻の幽霊は全く姿を見せませんし、決着が付いた後に、何か一言残して天国へと旅立ってくれる訳でも無し。  よって、幽霊の存在が途中から立ち消えする形となり、何だか宙ぶらりんに感じてしまうのです。  超常現象などを絡めずとも、純粋に復讐譚として楽しめるクオリティがあるじゃないかと思えただけに、そこが気になってしまいました。  映画終盤「主人公が行動を起こさずとも、いずれドランは逮捕される運命だった」と判明する件に関しては、実に皮肉が利いていて良かったと思います。  逮捕のキッカケとなった児童売買についても、ドランは決して乗り気ではなく、むしろ苦悩すら垣間見せていた辺りなんかも、好みのバランス。  主人公側だけでなく、ドラン側にも感情移入させてくれて、両者の対決の行方がどうなるのかに注目させてくれました。  全てが終わった後に、空を見上げて、乾いた高笑いを響かせる主人公。  そこには達成感が多分に含まれていたのでしょうが、それと同時に、復讐の空しさも感じていたのではないかな、と思えます。  独特の後味を与えてくれる映画でした。[DVD(吹替)] 7点(2016-04-13 16:56:31)《改行有》

214.  トランスポーター 《ネタバレ》  これは度胆を抜かれた映画ですね。  「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」や「スナッチ」でお馴染みの顔だったジェイソン・ステイサム。  彼が主演の映画という事で、軽い気持ちで観賞してみたら、予想を遥かに上回るアクション濃度。  特に終盤の上半身裸になっての格闘シーンは圧巻で 「えっ? この人こんなに強かったの!?」  と、画面の中で躍動する彼の姿に、呆気に取られ、次いで笑みが込み上げてきたのを覚えています。  序盤に繰り広げられるストーリーや、主人公とヒロインの設定に関しては 「あぁ、リュック・ベッソンだなぁ……」  としか思えず、完全に油断していただけに、今作で明かされた「強さ」というステイサムの強烈な個性に、痺れてしまいました。  今は日本でも気軽に購入出来るようになったジュースのオレンジーナを、作中でヒロインに飲ませてあげるシーンなんかも印象深いですね。  ラストも囚われの人々を開放するのと同時に、スパっと切れ味良く終わるのも好印象。  エンディング曲も好みでしたし、気持ちの良い時間を過ごせた一品でした。[DVD(吹替)] 7点(2016-04-12 08:04:04)(良:1票) 《改行有》

215.  模倣犯 《ネタバレ》  森田芳光監督の作品は、好きなものが多いです。  この映画も、監督のセンスを感じさせる場面は幾つかあるのですが、全体的に考えると「面白かった」とは言い難いですね。  原作小説に比べると、犯人であるピースを妙に大物扱いしているというか、感情移入させようと描いているような意図が窺えて、そこに違和感を覚えました。  勿論、それはそれで映画独自の魅力とも言えますし、犯人のプライドを刺激して自白を引き出す件など、原作で(いくらなんでも性格が子供っぽすぎる……)と感じられた反応が、比較的落ち着いたものに変わっている点は好み。  けれど、総じてマイナス面も大きいように感じられて、ラストの爆発シーンや、その後の「子供を託す」オチには流石に唖然。  全編に漂う独特の悪ノリ感、そして時折垣間見せる緊張感の緩急は決して嫌いではないのですが、ギリギリで「好き」と言える領域に踏み込んできてくれない、そんなもどかしさを感じた映画でした。[DVD(邦画)] 4点(2016-04-08 11:28:15)《改行有》

216.  魍魎の匣  原作小説が大好きなので、それが映像化されたというだけでも嬉しかったですね。  内容的に二時間にまとめるのは難しいでしょうから、大幅な改変が行われたのも理解出来ます。  ただ、作品の核の一つとなる「加菜子を突き落としたのは誰なのか?」「何故、突き落としたのか?」という謎が解かれる件に、あまり説得力が無かったように思えました。  勿論、原作でも決定的な動機が無かった事は承知の上です。  それでも、映画を観ただけだと「えっ? 何で突き落としたの?」と戸惑ってしまいそう。  役者さんに関しては、久保竣公を演じた宮藤官九郎のハイテンションな立ち振る舞いに驚かされましたね。  原作よりも「サイケデリックな天才作家」という雰囲気が色濃い感じ。  堤真一、阿部寛に関しては、流石の安定感がありました。[DVD(邦画)] 4点(2016-04-08 11:07:35)《改行有》

217.  ファニーゲーム U.S.A. 《ネタバレ》 「1997年版と、全く同じような内容だなぁ……」  と感じていたのですが、監督さんも同じだった訳ですね。納得。  ある意味では、とても真摯な態度でのリメイクと言えるかも知れません。  初見の衝撃、といったものを差し引いて考えれば、元作品のファンも楽しめる仕上がりだと思います。  有名俳優が出演している事によって何か変わるかな、とも思いましたが、特に変わっているようにも感じられませんでした。  自分としては、1997年版と同じ内容である以上、同じ点数をつける他ありません。[DVD(字幕)] 0点(2016-04-08 08:20:10)《改行有》

218.  デッドロック(2002) 《ネタバレ》  監督はウォルター・ヒル、主演はウェズリー・スナイプス、おまけにピーター・フォークまで出演しているという布陣ゆえに、大いに期待を抱いて観賞した一本。  まず、正規の世界王者、ヴィング・レイムス演じるアイスマン側の尺が、予想以上に長い事に驚きました。  この映画のクライマックスは「表世界の王者VS裏世界の王者」という両者の対決なのですから、片方だけにバランスを偏らせなかった構成は正解なのかも知れませんが、戸惑いの方が大きかったというのが正直なところです。  理由としては、アイスマンに「もう一人の主役」と呼ぶに相応しい魅力を感じられなかった事が大きいですね。  レイプ容疑も冤罪とは思えないし、性格も「良い奴」とは程遠く、長時間にわたって彼にスポットを当てられると混乱してしまいます。  傲慢な悪役としては、中々に憎たらしくて味があると思いますし、ラストの刑務所帰りの姿には改心したような雰囲気も漂っていたので、決して嫌いなキャラクターではないのですが、作中での扱いに疑問が残りました。  そして、囚人側の王者、スナイプス演じるモンロー。  こちらは流石に存在感を放っており、飄々とした姿が魅力的ではあるのですが、今一つ「何故強いのか」の描写が足りていなかったように思えます。  刑務所という環境にあっても、物凄く厳しいトレーニングを積んでおり、食生活にも細心の注意を払っている……という事が大して伝わって来なくて、独房で黙々と模型作りに耽っていた姿ばかり印象に残ってしまう形。  ピーター・フォーク演じるボクシング通の老人メンディが、トレーナーとしてモンローの強さを支えているのだろうかと予想していたのですが、それも肩透かしでした。  余計な描写を挟まず「スナイプスだから強いんだ、文句あるか」と突き放してみせるのも、それはそれで痛快ではあるのですが、それならばボクシングシーンで完全にファンタジーな強さを見せ付けるくらい思い切った方が良かったのではないかと。  全体を通してリアルな雰囲気が漂っている作品であっただけに、逆に「リアルじゃない」部分が目立ってしまう形になっているように感じられました。  それでも、ラストシーンにて 「世間の連中はアイスマンが世界最強の王者だと思っているが、本当の王者は刑務所にいるモンローなのだ」  という秘密を、囚人達が誇らしげに共有しているという顛末は好み。  続編が二本も作られているとの事ですが、それも納得してしまうような、粗削りな魅力を秘めた作品でした。[DVD(吹替)] 5点(2016-04-08 04:35:10)《改行有》

219.  ブラックホーク・ダウン  これは評価するのが難しい一本です。  リドリー・スコット監督の手腕は大いに信頼しているし、ジョシュ・ハートネットもユアン・マクレガーもウィリアム・フィクトナーも大好きな身としては、史実がどうこうは忘れてしまって、戦争映画というフィクションと割り切って楽しみたかったのですが、決してそれを許してくれない内容。  さながら「命は平等である」という価値観を真っ向から否定するように描かれているアメリカ人とソマリア人。  観賞中ずっと、この映画から「アメリカ軍の兵士十九人分の命は、ソマリア民兵の千人分の命よりも尊いのだ」と囁かれているような気がして、その声に耳を塞ぎたい思いに駆られました。  とはいえ、戦争映画という性質上、観客に色々考えさせてくれるのは有益な事だと思いますし、本当に自分が戦場にいるかのような臨場感は、凄いものがあります。  映画では英雄的に描かれているアメリカ兵だけど、彼らのモデルになった実際の兵士達には、六歳の娘に性的暴行を加え逮捕された人物もいたりする訳で、そんな「現実とのギャップ」も味わい深いですね。  恐ろしい映画でした。[DVD(字幕)] 3点(2016-04-05 09:22:42)《改行有》

220.  ロミオ・マスト・ダイ 《ネタバレ》  安心して楽しめるアクション映画だと思います。  一応はマフィアの抗争がストーリーの核となっているのですが、人物相関図が複雑過ぎるという事も無く、黒幕が誰なのかもキチンと観客に教えてくれる親切設計。  主人公の登場、及び正体が判明するまでに少し時間が掛かる点は気になりますが、それでも肩の力を抜いて、リラックスしながら観賞する事が出来る内容かと。  ジェット・リー主演作の中では、確か二番目か三番目に触れた作品だったので、観賞中「へぇ、ジェット・リーって、こういうコミカルさを備えた役も出来るのか」と、新鮮な気持ちを味わえた記憶がありますね。  所々ワイヤーで宙吊りにしているのが分かり易い箇所があり、そこは好みとは言い難いものがありましたが、ホースを使った格闘シーンや、敵を倒す際のレントゲン演出なんかは素直に面白かったです。  後者も多用していたらマンネリだったかも知れませんが、回数が少なかったので好印象。  死人も次々に出る映画なのですが、作中で観客が好感を抱きそうなキャラクターである「ヒロインの父親」「モーモーちゃん」などは明確な死亡シーンが描かれておらず、後味が悪くならないようにしている辺りには、作り手の配慮が感じられましたね。  ラストの格闘シーンでも、足元の炎で盛り上げてくれたりして、何だかそれだけで満足してしまいます。  主人公と黒幕との対峙、そして結末には、若干のほろ苦さもありましたが、その後にヒロインと抱擁を交わして「救い」を感じさせて終わるバランスなども好み。  押さえるべきところは押さえてくれている一品です。[DVD(吹替)] 6点(2016-04-05 07:55:48)《改行有》

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