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241.  団地 《ネタバレ》 『鉄拳』のクライマックスも場が月面に飛躍してしまうのだから、こんな展開でも驚くまい。 岸部一徳の物語的にも映画的にも少々脈絡に欠ける行動、加えて主に斉藤 工が担わされることごとく笑えぬギャグにも耐えよう。 それらを補って余りあるくらい、不器用な妻を演じる藤山直美がいい。 『時代』を熱唱する彼女の楽し気な夢想シーンがちょっと長いかと思うと、一転してヘルメットのショット、息子の遺影のインサートとともに現実に引き戻され、彼女を喪失感が襲う。思わず嗚咽をもらす彼女がいじらしい。 パート先のスーパーの裏口でマネージャーから叱られ、レジ係の一人芝居を演じる彼女の姿が可愛らしい。(それを大楠道代が窃視する。) テレビレポーターの質問にあっけらかんと笑う彼女の呵々大笑ぶりがいい。 そして、岸部と二人、夜を徹してひたすら漢方作りをする労働のモンタージュがとにかく美しい。 仕事の合間に柔軟体操し、おにぎりを頬張りながら夫婦協働で丸薬をつくりあげていく、その二人の不格好な姿が何故だか不思議に胸を打つ。 二人の、長年連れ添った者どうしの対話も味がある。[映画館(邦画)] 5点(2016-06-15 21:34:48)《改行有》

242.  マネーモンスター 《ネタバレ》 100分足らずのスピーディな展開の中、いわゆるストックホルム症候群的な主人公の感情の変化が明確に表現されていて キャラクターへの好感を無理なく抱かせる。 臨機応変に男たちに指示を伝えるジュリア・ロバーツ、上司に敢然と反旗を翻すカトリーナ・バルフら、スマートで颯爽とした女性像も印象的である。 複数のカメラ映像の中から適切なショットを即座に選び取り、俳優やカメラマンに指示を与え、効果的な引用映像を適宜インサート編集しつつ現場を仕切り、 尚且つ外部との情報収集も同時進行で行っていくJ・ロバーツの聡明なさまは監督本人を思わせる。 そこでさりげなく挟まれるのがハワード・ホークスだったりするセンスも堪らない。 スタジオを脱出したジョージ・クルーニーがエレベーター内でJ・ロバーツが聞いているのを知ってか知らずか 彼女に対する真情を吐露する。それをモニターで見る彼女は緊張の中、一瞬表情を緩ませる。そんな瞬間の積み重ねがラストの ツーショットに向けじわじわと効いていく。 対象を追い続けたカメラマンは、事件の顛末にそっとカメラを反らし、それを我々の側に向けて置く。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2016-06-12 21:00:34)《改行有》

243.  64/ロクヨン 後編 《ネタバレ》 俳優の表情を少し不明瞭にみせる暗めの照明はギリギリの感じで、映画のトーンとなっている。 原作だと柄本祐の頑張りには彼なりのささやかな根拠があった訳だが、そうしたささやかなユーモアも削られてしまっているのは惜しい。 映画オリジナルのパートは、河川敷のロケ地もそれなりに選んで川面の反射と揺らめきを使い、オレンジの炎と淡雪を映画ならではの見せ場としたかった ということだろう。 平成と昭和を跨ぐ風物詩ともなりつつある緑の公衆電話のすり減ったプッシュボタン。小説の映画化としてはこれは要となるショットだろうが、 一方で原作の描写にもある永瀬正敏の酷使した手を印象づけるショットがあったかどうか思い出せない。それだけ印象が薄いということなのだが そちらこそ伏線なり種明かしなりでもっと活用すべき被写体ではないか。 地べたから睨みすえる緒形直人の表情変化の凄みと危うさは特筆もの。[映画館(邦画)] 5点(2016-06-12 19:31:11)《改行有》

244.  サウスポー 《ネタバレ》 失意のジェイク・ギレンホールの矮小さを俯瞰ショット、あるいは寝室の鏡、階段奥などの行き詰まりの陰影を以て表現したりもする訳だが、 ふと気を許すとまた顔面がスクリーンを占拠しだす。 画面奥の暗がりに座り込む彼から送られたピントが、娘が描いた家族の絵の方に合わされるのだが、 こうしたショットもかなり杜撰な上、肝心のファイトシーンの編集もちょっと許容出来ないレベルの乱雑さだ。 せめて音楽で盛り上げて欲しいところだが、ジェームズ・ホーナーを起用しながらほとんどメロディが印象に残らない。 新トレーナーとの交流、娘との葛藤ともども淡白すぎて劇になりきれていない感じである。[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2016-06-09 22:37:37)《改行有》

245.  リップヴァンウィンクルの花嫁 《ネタバレ》 『大丈夫であるように』、『KOTOKO』に続いて映画に登場するCoccoに関する芝居やキャラクター設定はあて書きとしか思えない。 彼女本人の素のイメージにかなり近いのではないか。 黒木華のイメージについてもそんな印象だが、インタビューによると性格的には全く違うらしい。 が、何気ないシーンで彼女が見せるまるでアドリブのようなナチュラルなリアクションの数々は、俳優イメージとすんなりシンクロする。 くしゃみやしゃっくりの芝居などは実はかなり難しいものだと思うのだが、そうした些細だが人間的な生理を自然体でこなしてしまうところもポイントが高い。 森田童子を歌う彼女もなかなかにハマっている。 映画冒頭の待ち合わせシーン。携帯端末画面上の文字を羅列して、それをさらに音読するという流行りの表現にはどうしても馴染めない上に、 待ち合わせの映画的処理としても相応しくないと感じるのだが、その後にノートPC上での(相手を見せない)対話を幾度も重ねる演出を 鑑みると、これもまた歪なコミュニケーションの表現手段ということなのだろう。 誰と誰は向かい合って座るか、誰と誰は横並びに隣り合って座るか、そうした配置もよく考慮されているようだし、 浅い深度ながらも水槽や窓や鏡を使ってところどころで画面を重層化している。 そしてラストは木々が揺れる窓外へと踏み出す、と。 絵面的には全般的に弱いように見えるけれど。俳優らの佇まいと物語の流転に惹かれる形で見飽きない。[映画館(邦画)] 7点(2016-06-08 23:50:08)《改行有》

246.  神様メール 《ネタバレ》 カトリック教会での炊き出しシーンをはじめとする風刺の数々に笑い、突飛な発想にただ唖然とし、左手のダンスに魅入る。 鳥と会話を交わす、水面を歩む、人々の内なる音楽を聴くなどの、少女がみせる奇跡のささやかさがいい。 母親のつくり出したカラフルな空模様自体にはさして感動するものではないが、 劇中ほとんど笑みを見せなかった少女がその空を見上げて笑う、その笑顔のショットが何より素晴らしいと思う。[映画館(字幕)] 7点(2016-06-04 23:54:58)《改行有》

247.  エンド・オブ・キングダム 《ネタバレ》 辞職願を出すか、出さぬか。生まれてくる子と妻の為にどうやら主人公は悩んでいるらしい。 事件を経て映画のラストにはあまりにも判りきった結論が出される訳だが、主人公の所謂人間味を垣間見せるための出来レース的設定としても、 つまらないエピソードだと思う。画面的にもパソコン前の入力作業でしかない訳で。 といいながら、一旦アクションが開始されればジェラルド・バトラーも機敏な銃捌きが様になっている。 クライマックスのアジト突入ではカメラも長廻しで縦横無尽に彼の動きを追い続けて臨場感をよく演出している。 その中で、現場リーダーとの間に交わされるやりとりと連帯感などさりげない部分が良い。 半面、反テロだとかの大きな物語の方ははっきり云えば胸糞悪い。 最終盤のアジト内の攻防もアイデア不足である。[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2016-06-03 23:10:48)《改行有》

248.  ヒメアノ~ル 《ネタバレ》 直近の作品はともかく、監督デビュー作の『なま夏』のじんわりホラーテイストを思い起こすと、この類の作品こそ本領かな、とも思える。 通り魔的にアパートの女性を襲うエピソードをまず事前に配置し、今度は佐津川の帰宅シーンをもってきて緊張を高めていく。 何事もなく玄関口を上がるが、彼女が台所で微かな風音に気付き、見上げると窓が割られているというシーンなど、実にサスペンスフルであり、 ギリギリまでカットを割らずに打擲や刺殺や銃撃をされる側を捉えるカメラもなかなかに非情である。 濱田岳らの性交と森田剛らの殺傷をアクションで繋いだクロスカットなどはあまり類例を見ない、と思う。 森田のささくれだった佇まいと所作も絶品であり、その分ラストの回想の中でみせる半逆光の彼の横顔がなんとも切ない。 『さんかく』でのコンビネーションに続き、ラストはやはり印象的な光で決めている。[映画館(邦画)] 7点(2016-06-01 23:14:09)《改行有》

249.  オオカミ少女と黒王子 《ネタバレ》 相変わらず、親も勉学も完全消去された惚れた晴れたオンリーの陳腐な世界観。それが少女漫画なのだろうから文句は言わない。 どう見せるかが問題な訳だから。 とりあえず、開巻から二階堂ふみがよく歩き、よく走り、よく食べるので救われる。 新宿の雑踏を捉えた『さよなら歌舞伎町』の撮影も頑張っていたが、こちらも渋谷らしき街中で山崎賢人を追って歩く彼女をゲリラ的に撮影した長廻しなど、ロケーションを活かした移動が楽しい。その後も学校内で駆け回り、ピーカンの雨の中で走り、マンションからの帰り道を鼻歌交じりに歩くなど、長めの移動撮影によって映画は弾む。 山崎の言葉に傷つき、喫茶店を飛び出して歩道を歩く彼女は泣きながら、やはり後ろも気になってしまう。そんな彼女のいじらしい心情表現が達者だ。 ラストには今度は男の方が彼女を追って走る。のだが、その後が良くない。 彼との大切な思い出の品を探しまわる彼女の姿を目撃するものと思いきや、彼女がごみ袋の中を漁って探していたことを通行人の女性の台詞で処理してしまうのだ。中盤で山崎が風邪をひくエピソードは、彼の家で二階堂がおかゆを作るのをソファから窃視すること、そして二階堂が山崎の寝顔を窃視し、撮影することが重要なポイントであり、相手に見られていることを知らない素の表情を垣間見ることによって、それぞれが相手の本質を理解していったという事である。 であれば、やはりラストは彼女が無様ながらも懸命にマスコットを探し、それを見つけ喜ぶ姿を彼の眼で見つめさせるべきであり、あくまでその視線の劇を通して彼の恋情を提示すべきだろう。 ここでは俯瞰ショットとなる南京町商店街の広場はきちんと水が撒かれ、赤や黄のネオンを反射して画面を彩るという具合に美術も頑張っているのだから、 もう少し肝心な部分で台詞に頼らないなどの工夫が欲しい。[映画館(邦画)] 6点(2016-05-28 23:29:59)《改行有》

250.  ガルム・ウォーズ 《ネタバレ》 『アバター』等の後では何の新味もない。それは『押井言論』の中で監督本人も認めている通りだろう。戦略もなかったに違いなく、 世界観と意匠だけでは何とも苦しい。技術に関するアプローチも、この内容ならむしろミニチュア特撮のほうが新鮮味とゴージャス感が出たのではないか。 監督自らが常々『ダレ場は必要』論を語るわけだからそこを批判しても仕方ないが、顔面づくしのドラマパートにエフェクト過多のロングショットが時折入り、「急」に転ずるべき格闘アクションはカット割りまくりの手ぬるさなのだから始末が悪い。 女優に興味なさそうなのも相変わらず。 正直のところ、川井憲次氏の映画音楽さえ聞ければOKだから良いが。『GANTS』といい、『009』といい、本編はアレでもエンディング曲だけで 何となくマスターピースを鑑賞したような気にさせてくれるこの方はやはり凄い。 会話中の劇伴は少々鳴りすぎだったが。[映画館(吹替)] 3点(2016-05-27 19:43:57)《改行有》

251.  海よりもまだ深く 《ネタバレ》 「幸せとは云々」といった如何にも名言、的な人生訓を樹木希林らに語らせるのだが、阿部寛が小説書きという設定はそれらに対する照れ隠しのようにも 見える。幸い彼女の軽妙な芝居のおかげで、嫌味がない。 阿部寛の愛嬌ある表情変化や身振りも達者で、姉弟・母子・元夫婦同士の掛け合いもちょっとした台詞の妙で笑わせる。 台風の夜にしては、音響・視覚共に少し物足りなさを感じるが、これでいいのだろうか。 嵐の静かな高揚感をもう少し感じさせてほしい。 公園のシーンのロングショットでは『台風クラブ』を少し感じさせたが。 遊具の中で、懐中電灯のライトを反射した光を小さく宿す阿部の眼が艶めかしい。[映画館(邦画)] 7点(2016-05-26 21:45:49)《改行有》

252.  ちはやふる 下の句 《ネタバレ》 二本で一作とみるべきだろうが、単体でみても独立したものとして十分まとまっている。 競技シーンまでが少し長く感じるが、前作からのテーマにもブレがなく、ライバル松岡芙優の風変りなキャラクターも面白い。 ブラスバンドのエピソードから音楽を介して、クライマックスの舞台へ繋ぐ流れも良好。 競技シーンは上の句に比べてさらに高速度撮影に偏重しすぎの感あり。やりすぎても単調になってしまう。 アクションの快感という点でも物足りないが、前作を継承して仲間たちのスキンシップと視線劇に力をいれているのがいい。 クロースアップも多い分、広瀬の髪を舞わす、濡らす、かき上げさせるといったバリエーションを用いてヒロインの見せ方を工夫している。 松岡の相手に触れない競技スタイルを、屋外で広瀬とすれ違うアクションで相似させているのも演出の一環だ。 ラストに見上げる・見下ろすの演出もあるにはあるが、近江神宮の階段の高低はもっとドラマに活かしてもいい。[映画館(邦画)] 7点(2016-05-19 23:22:35)《改行有》

253.  殿、利息でござる! 《ネタバレ》 説明すべき箇所は適宜注釈を加え、一方大切な家財道具を売り払うシーン等に見られるように画面で納得させるべき箇所は視覚で訴える。 酒蔵や露店の風情あるオープンセットや、勾配が映える茶畑のロケーションなど美術の仕事をしっかり見せる。 ドラマがウエットに傾いてきたかと思うと、さらりとしたユーモアで軽やかに揺り戻しをかける。 そうした作劇の手際が見事で、ウェルメイドと呼ぶに相応しい。 何れのキャラクターも映画の中で何らかの変化を遂げる、あるいは先入観の操作によって印象を反転させる。 その感情の変化、印象の変化を俳優が的確に表現し、それをシンプルに直截に映し出す。 奇を衒わぬ基本の技で物語に引き込んでくれる。 出番の多い少ないに関わらず、いずれのキャラクターも何らかの感情の動きをみせることで魅力を放って後味も清々しい。 ラストは川島雄三か。 それにしても、封切りのタイミングが絶妙すぎて笑える。現実のほうは笑えないが。[映画館(邦画)] 7点(2016-05-19 23:02:27)《改行有》

254.  64/ロクヨン 前編 《ネタバレ》 男たちの黙々とした行動をまず提示し、後から徐々に状況を明らかにしていくスタイルで物語る。 記者クラブや他部署の男たちは露骨なまでに憎々しい表情と熱演を以て、佐藤浩市の広報官と対峙する。 中でも、北野映画でならした椎名桔平、三浦友和らキャリア組の凄みがいい。 前編のクライマックスはとりあえず記者クラブ相手の佐藤の弁舌とリアクションということで、 結局はひたすら彼の表情芝居の映画という印象が強いが、心情説明的な音楽をいれてこないのは幸いだ。 序盤の寒々しい曇天のルックもいい。[映画館(邦画)] 6点(2016-05-19 08:36:50)《改行有》

255.  シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ 《ネタバレ》 中盤の空港での大乱戦を何と形容したものかと思案していたら、他所のサイトで適切な表現を見つけた。曰く、「単なるバカ騒ぎ」。 フルメンバーに拘らずに不要な常連キャラクターは潔く削り、さらにクライマックスも舞台とキャラを限定したのはいいが、 結局は新規キャラとのプラスマイナス。 オールスターということらしいが、そもそもそれほど有難味を感じるキャストか、という話である。 いわゆるハリウッドスター映画のシステムとはいえ、ドラマパートは当然の如くアップショットの連発、アクションパートも毎度お馴染み エフェクト過多の小刻み編集。相変わらずである。 この一連のコミック映画、一昔以上前の日本アニメのような愛とか正義とか世界の平和とかの所謂「大きな物語」を語るのにうってつけらしい。 程よく紛争情勢や現在的な課題なんかを織り込んでシリアスを気取るが、やはり「単なるバカ騒ぎ」である。[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2016-05-17 00:17:46)《改行有》

256.  マクベス(2015) 《ネタバレ》 ウェルズ、黒澤、ポランスキー、それぞれ構図やカメラワークへの拘りによって独自の作品としており、物語的にはラストシーンのマイナーチェンジ等に 各々の特色がよく出ているが、このジャスティン・カーゼル版もまた過去の『マクベス』3作品とは微妙に違ったラストで悲劇に含みを持たせている。 玉座の俯瞰ショットはウェルズ版を、森の中の疾走や濃霧は黒澤版を、凄惨な流血描写はポランスキー版を、それぞれ思わせたりしつつ クロースアップや自然光主体のロケーション撮影をふんだんに採り入れて映画としての差別化をしている。 もっとも、その為に無駄にショットを割ってしまっているシーンも多いが。 CGの濫用は避けられているものの、合戦シーンのスローモーションやクライマックスでの象徴性の強い色使いなどはあまり感心しない。 火あぶりの炎は実に印象的だが、バーナムの森の炎上から始まる「赤」の氾濫はまるで張藝謀的である。 その森がどう動くか、『蜘蛛巣城』とまではいかなくとも、もう少しスペクタクルを期待したのだが。 男優側は顔貌の相似が災いし、その分マリオン・コティヤールが得をしている。[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2016-05-15 22:05:39)《改行有》

257.  ズートピア 《ネタバレ》 『48時間』をもう一度観直したくなるような、定石どおりではあるけれど二者がそれぞれいがみ合つつも感化し合い、やがて信頼関係を築いていく過程が 丁寧で心を打つ。その最も決定的な転機となるのは、あのロープウェーのシーンだろう。 上司からバッジを取り上げられそうになる兎のジョディを見る、狐のニックの表情。その短い1ショットが彼の心の変化を的確に表現し、 後に語られる彼の過去のエピソードによってその改心を視覚的に裏付けていく。 冒頭の演劇を、二度目は策略として用いる。上京シーンの列車を、二度目はアクションとして用いる。その他、記者会見やナマケモノや ニンジン型レコーダーなど、あらゆるネタを二段三段と反復・転化させていく作劇スタイルが見事というしかない。 ミュージカルシーンの充実も相変わらずである。[映画館(吹替)] 9点(2016-05-08 17:05:57)《改行有》

258.  追憶の森 《ネタバレ》 差しっぱなしにされた車のキーの強調や、手荷物を巡るやり取りなど、如何にも説明的で諄い感じの冒頭である。 語りに入ると流れ出す劇伴も、シーンの解釈を狭めてしまう。 キイロとフユのキーワードがドラマの中で効果的に決まってこないのも、視覚的な段取りが不十分な為ではないだろうか。 もっとその二つの意匠を種明かしに至る過程のどこかに仄めかしておくべきだと思うが。 焚火の傍で科白で語られる紅茶やシャツのエピソードについても、それらをナオミ・ワッツの不在の中で具象の画面として再提示させることで 影の気遣いと情愛を印象づける、そういう段取りも本来なら欲しいところである。 映画なのだから。[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2016-05-07 22:23:37)《改行有》

259.  スポットライト 世紀のスクープ 《ネタバレ》 被害者、弁護士にインタビューしつつ、メモを取る指先の動き。年鑑の名簿一行一行を定規でチェックしていく手作業。 そして、ひたすら足で歩いての訪問取材。 具体的な個人ではなく、システム・構造を追究するという 題材自体は文章向きかもしれないが、記者達の肉体作業を地道に描写していくことによって行動の映画にしている。 ドアを開けて人と会う、ドアが開いて人が顔を出す、そうしたドアを活用した人物の画面への現れが充実していて、 そのことが、画面への興味を途切れさせない。 『清しこの夜』の歌声がかぶる一連のモンタージュの抒情が染み入る。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2016-05-02 21:14:56)《改行有》

260.  テラフォーマーズ 《ネタバレ》 日本人のカタコト英語とか、日本政府の軍事的陰謀とか、格差社会とか、拝金主義とか、「500年後」を建前にしたマイルドな風刺がチラホラと感じられる。 微苦笑含めて、真剣な馬鹿馬鹿しさに結構笑えた。 武井咲は『愛と誠』でも散々な目に会わされていたっけ。 「来た仕事は絶対に断らない」(押井守『監督稼業めった斬り』)という三池監督だが、 監督も俳優もスタッフも真摯に取り組んでいて感動すらする。 かなり多彩なキャストだったことをエンディングで知る。[映画館(邦画)] 5点(2016-05-02 06:27:19)《改行有》

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