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プロフィール
コメント数 1252
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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241.  口裂け女 《ネタバレ》 子どもの虐待をからめる発想自体は悪くないと思うが、ラストがああなるのであれば、憑依の相手は現に虐待している母親限定でなければならないのではないか。多くの人が潜在的に持つものが運悪く発現したばかりに、異形のものと化してしまった悲しみを表現しようというなら容易に理解可能であり、またそれでこそ口裂け女が現代に蘇る理由づけにもなるはずである(地震では理由になってない)。しかしこの映画では幼い姉妹の母親や夏樹の母親にも憑依しているため、虐待との関連が不明でわけがわからなくなっている。 また登場人物が人を殺して放置したまま路上で思い出話を始めるとか、警察に行った少年がやっと真実を語り出したのに何の役に立ったのかわからないとか、救出すべき女児のすぐ近くまで行きながら放っておいてまた長々と思い出話をするとか、キーワードのはずのオヤジギャグが結局生かされず、どうすれば解決につながったはずなのかも示されないなど、全般的に納得のいかない展開が多い。ほか登場人物の行動がいちいち面倒臭いので苛立たしく、単純なホラーとしてもそれほど怖くない。 以上、やたらに苦情が多い上に褒める点もないので困るが、さらに個人的に許容できないのは児童に対する直接の残酷描写(効果音を含む)である。子どもに危害を加えようとするのはこの都市伝説の基本とはいえるが、期待されているのは怖がらせることであって、実際にやって見せることではない。ほか幼い姉妹の母親を殺してしまったのも感情的に受け入れられない。 そのようなことから、評点については懲罰的な意味でシリーズ最低(当社比)まで落とすことにする。好きな女優が出ているとかいう事情があればもう少し寛容になっただろうが、別にそういうこともない(佐藤江梨子が嫌いなわけではない)。[DVD(邦画)] 1点(2013-07-28 18:47:18)(良:1票) 《改行有》

242.  五条霊戦記//GOJOE 《ネタバレ》 宇宙空間から見た過去の地球の映像というのは、自分の記憶ではNHK大河ドラマ「北条時宗」OPの例があるが、年代的にはこの映画が先かと思われるので、当時としては斬新な発想だったろうと想像する。子午線に沿ったグリッドパターンの都市設計が惑星表面に浮かび上がるのは、理性と意志をもった文明の存在を如実に示しているように思われる。 ただし、地面に降りて見ればあまりに草ぼうぼうで文明の実態が伴っていない。まあ大昔の京都などこんなものかも知れないと自ら納得するにしても、さすがに五条橋がこれほど辺鄙に見える場所かどうかは疑問である。またロケ地がどこかを知ったとたん、そこら中全部が岩手県にしか思えなくなるのはご愛嬌である。 内容としては義経と弁慶の話を大胆に組み替えた娯楽映画になっており、過度に期待せず気楽に見ていればそれなりに面白い。また事件後は普通に知られた歴史の流れになったのだろうから後腐れのないフィクションともいえる。しかし逆にこの事件があってもなくても平家の没落自体は変わらなかっただろうから架空の歴史モノとしては半端な気もするが、そこはまああえて突っ込むほどのことでもない。 また登場人物の背景は別にわからなくても見られるが、DVDのキャラクター解説では「平家の高官に手込めにされ…」といったことを監督本人が書いており、考証的にはどうかわからないが「白河飛礫(つぶて)」という設定は面白い。刀鍛冶の男は歴史上の有名人とは思われないが、最後は失明していた(鬼を見ると目がつぶれる、と自分で言っていた)のを見ると、その後は琵琶法師にでもなったのだろうと想像される。 なお個人的に不快な人物としては巫女(すぐ出なくなった)、水辺で自害しようとしていた男(すぐ死んだ)であり、また遮那王側の僧も途中で斬られるかと思ったのに最後まで生きていたのが残念だが、これは実在の人物だったらしいので仕方ない。ほか京劇風の剣術はどうも好ましいとは思えない。現代風の映像表現や背景音楽は別に構わないが、日本の伝統には敬意を払っていただきたい。[DVD(邦画)] 5点(2013-07-15 18:49:03)《改行有》

243.  危険な斜面<TVM>(2000) 《ネタバレ》 ストーリーは原作をほぼ踏襲しているが、犯人探しの情報提供者がたまたま人事課所属かつ鉄道愛好者という点は少々都合良すぎという感じである。 またこのドラマでは殺した男・殺された女とも、打算で動くだけでなくそれぞれの思いを抱えているという点で、無彩色の印象だった原作よりも少し色付けされているように見える。しかしそれが必ずしもストーリーに生かされているとは思われず、理屈はわかるが心を揺さぶられるまでに至らない。特に殺した男を変に情けなく安っぽい男にしたことで、“タフでしたたかな壮年の男 対 純粋で一途な若者”という対立軸が成り立たなくなり、結果として若い男は単に話を進めるための駒のようでしかなくなっている。この若い男が殺した男を前にして憤ってみせているのも白々しい。 一方で、殺された女が本来の夢だった文房具屋ではなくブティックにしたというのは、業界の実情に照らして新規の開業は無理と会長が判断したということだろうか。最初の方でグループ企業の独立採算の話が出ていたが、愛人に対しても経済的な自立性を付与することで一方的な扶養ではない関係を作ろうとしていたかに見える会長は、ここに出ていた男の中で最もオトナだったということかも知れない。 なおこの女に関しては、とにかく女優が適役でたまらなく魅力的な人物になっており、それで見ている側も少し肩入れしてしまうところがある。ドラマ版で加えられた設定(三角定規の件など)を見ていると、個人的にはこの人のために泣いてやりたくなったのだが、残念ながら最終的にはそうもならなかった。TVドラマならもっとベタに泣かせてもらいたい。[DVD(邦画)] 5点(2013-07-15 18:49:00)《改行有》

244.  ひまわり(2000) 《ネタバレ》 個人的好みの問題でヒロインの大人状態には全く魅力を感じないが、しかし小学校の記憶に出る少女はなるほど初恋の相手っぽい。現実には1980年代初めに伊豆半島で見えた金環食は存在しないようだし、また主人公はどうも妄想癖があるようなので全てが幻だったのではと疑われなくもないが、そうだとしてもファンタジーとしては割と素直に受け取れる。また終盤で同窓会のような雰囲気になってから、現実への回帰に至る過程も好意的に見ることができたので、これだけなら激賞するほどではないが佳作だとは思える。 ただしここのレビューにあるように、実は登場人物のほとんどが冒頭時点で死亡していたことになっていたというのは全く感心できない。そもそも虚実が不分明な展開の上にそういうことをやってしまっては、何を軸にして見ればいいのかわからなくなるだろう。あるいは何度も見返して、全体の意味を転換させる裏ストーリーをじっくり考えろとでもいうことかも知れないが、そんな子どもじみたことにつき合っているヒマはさすがにない。それとも誰も気づかない前提で悪ふざけをしただけ(都市伝説にあるTVの死亡予告のような)というなら、それこそ小学生並みで大人のやることではない。何にせよこれでは真面目に見ること自体が馬鹿らしくなるのであり、そのため好意的に見ているうちは抑えていた苦情までが表面化して、遺族まで巻き込むコメディが不快だとか、靴はともかく傘を持ってないのは自分のせいだろうとか、深夜の草地を照らす光源はどこに設置されていたのかなどといったことを改めて指摘したくなる。 そのようなことで、結果としては独りよがりで付き合ってられない映画、というのが確定評価となった。評点は主に湊弓子役の女優(個人的好み)と、ヒロインの少女役の子に献上しておく。 なお大したことではないが、転覆した船と砂から掘り出した船は船尾の形状が異なっており、別の船と思われる。[DVD(邦画)] 4点(2013-07-15 18:48:57)《改行有》

245.  カーテンコール(2005) 《ネタバレ》 下関市役所では個人情報を出さないのに、民団の事務所ではコピーをホイホイ提供していたのは苦笑したが、まあ民団では日頃からそういう業務が重要だということなのかも知れない。あるいは、日本人は冷淡で情が薄い、とかいう皮肉のつもりだろうか。 それで内容としては、差別だとかいうのをあまり気にしなければ普通に心温まるお話である。また途中から在日の話に移行するのも、実はそれほど不自然には思わなかった。実際こういう取材の仕事をしていれば、途中で当初想定と全く違う背景事情がわかって来て収拾に困ることもありそうだし、そのような展開をそのまま映画に取り入れたといえなくもないからである。ただ自分はあらかじめどういう映画かわかって見たわけだが、公開当時の宣伝がどうだったかは知らないので、騙された気になる人が多かったとすればそれも否定できるものではない。 一方、最終的にはどうやら父と娘の関係がテーマになっていたようだが、それと在日の話をからめる必然性はよくわからず、また登場人物の映画愛も半端な扱いで終わっていて、どうも全体として焦点が定まっていない印象が残る。 それでもまあ心温まるお話に一応なっていると思うのは、穏やかに見える人物が多いせいだろう。特に藤村志保さんが全体の印象を柔らかくしていると思えるが、個人的には夏八木勲氏が意外に温和な父親役だったのも少しほっとした。 そのほかキャストに関しては、劇中の“良江さん”や若い頃の“宮部さん”は、いくら昔の話でも化粧っ気がなさすぎに見えるのが個人的に不満で(この女優2人を見るのも目的のうち)、特に“良江さん”の方は役柄上、もっと普通にきれいな女性に見えないと困るのではないかと思う。ただ、とりあえず主演女優をゆっくり見られる映画だという点では基本的に満足だった。 なお些細なことだが、最後に父と娘が再会した場所の選定はかなりわざとらしい。これは地元の文化財(王朝時代の郷校)であり、観光資源ではあるかも知れないが、こんなところでハーモニカを吹いている者はいないだろう。それから昔の話を白黒にするというのはよくあることだが、そのせいで当時すでにカラーだった映画まで白黒に見えているのは絶対に変だ。[DVD(邦画)] 5点(2013-07-01 21:32:19)(良:1票) 《改行有》

246.  純愛譜 《ネタバレ》 当初の予定としては、一応見てからせせら笑って2点とか1点とか付けてやるつもりだったが、実際見るとそれほどでもない。主役は当初さえない顔に見えたがなかなか味のある俳優だし、またストーリーはよくわからないながらも何かじっとりした説得力があると感じられる。それが俳優の演技なのか監督の力なのか国柄のせいなのか、映画通でない自分には分析的に説明できないのが残念である。 ただし、やはりどうしても困ったことだと思うのは、男の方がこれほど徹底的に気色悪い・汚らしい・変態なところを見せつけなければ映画にならないのか、ということである。少なくともわが国では、女子トイレで(それも職場の)常習的に覗きをするような男が恋愛モノの主人公になる資格はないわけだが、向こうは下世話で露悪的なのをリアルとみなす国民性なのかも知れず、まあこれが異文化というものだと思うしかないだろう。 ところで劇中では、“痛い”とか修学旅行の写真とかで何やら運命的なものが演出されてはいたようだが、それでも最後にアラスカで2人が出会うというのはかなり強引な展開に思われる。あえて引き合わせずにネット上の恋で終わらせることもできたはずだと思うが、そこはやはり物理的にモノにしなければ気が済まないということか。そもそも主人公も最初からそういうことしか頭になく、それで毎日悶々としていた感じに見える(心情はわかるが肯定はしない)。 またヒロインに関しても、友人が出産の決意をしたことなどで気分が生殖の方へ向いて来たらしい描写が見られ、一方ではその友人の彼氏がイラン人だかイラク人だったことで、外国人との心の壁が低くなったようにも思われる。もしかするとこの映画は、日本人(女性)の恋愛市場をアジア(の男)に開放せよという、今日の目で見れば非常に先駆的なメッセージを含んでいるのかも知れない。 しかし本当にそういう目的の映画だったとすると、この内容では明らかに失敗であり、また個人的には「地球防衛軍」(1957)という映画を思い出す(ほとんど誰も知らないだろうが)。主人公とヒロインの国を逆にした場合に、このような合作映画は成立するだろうか。[DVD(邦画)] 3点(2013-07-01 21:32:14)《改行有》

247.  鉄人28号 《ネタバレ》 昭和30年代の原作漫画やTVアニメは見てないので、個人的な思い入れは全くない。 とりあえず前半は退屈せずに見ていたが、後半は主人公関連の描写が長くてだれる。自分が打たれたわけでもないのに苦痛を感じるのはスポ根的な展開を意図したのかも知れないが、毎度ひっくり返って見せるのでは面倒くさくて仕方ない。またキャストは変に豪華だが、結果的に不要な人物が多かった気がするし、ほか半端にレトロなのもあまり意味がないように思えた。 以上についてはまあいろいろ考え方なり事情なりがあるのかも知れないが、しかし個人的にはっきり不満を感じたのは、専門家をわざわざMITから呼んでいたことである。正義のロボットは最高の職人仕事から最高の工学まで、全てを純国産技術でカバーしてもらわなければ困るし、また平和利用と戦闘用の違いはあるにせよ、別人が作り直したのでは父親の立場がないだろうとも思う。 ところで、映像面は必ずしも悪いとは思えない。二回戦の品川埠頭は対戦に集中するため場所が地味だったのは仕方ないとして、最初に敵ロボットが出現した増上寺から東京タワー、一回戦の大手町から霞ヶ関付近は、ただの子どもが現場にいたとすれば怖気づく程度の十分な迫力があった。 また登場人物のうち少女科学者に関しては、個人的趣味としてはそれほど可愛いとも思わないが、主人公にとっては初恋のお姉さん的な存在だったらしく、顔を覗き込まれて狼狽する場面などは面白い。これを同世代の少年が見て実際にどう感じるか、この年になってはわからないのが残念だが、自分が子どもだったころを思い返せば、これでけっこう胸キュンな展開なのかも知れないと思ったりする。 最後に、父親向けのサービスとしてはやはり薬師丸ひろ子の存在が効果的で、この人はもう本当にいつまでたっても可愛いので感心してしまう。これで少し加点しておかなければならない気になる。[DVD(邦画)] 5点(2013-06-03 21:08:09)《改行有》

248.  同窓会(2008) 《ネタバレ》 いくらコメディにしても、最後のオチがあまりにもチャンチャン、という感じの幕切れだったのは映画としてどうかと思うが、まあ全体として面白いのでいいことにしておく。そもそも最初からネタバレしているわけなので、見る側としては何があっても騙されてやる、というくらいの気分でいた方が楽しめると思われる。単純に面白おかしいだけでもなく、劇中の雪の人柄には心惹かれるものがあり、こういう人を粗末に扱ってはいかんだろうという気にさせる。最初の方では「むごかばい、神様」が切なく、また終盤で主人公が病院へ向かった場面では普通に泣けた。 一方キャストに関しても、永作博美は本当に可愛い人だとこの映画を見てしみじみ思う。また高校時代の雪もかわいいが、個人的には「口裂け女2」で悲惨な役をやった飛鳥凛が普通の女の子の役で出ているのでほっとする。そのほか主人公の同級生の娘2人の動きが可笑しくて仕方ないとか、校長役で出ていた本物の島原市長(当時)がなかなかの芸達者で笑えるとか、いろいろ指摘したくなる事項も多く、総じて登場人物は魅力的である。そういったことも含めて、少年時代の主人公が語っていたような、笑って泣けて心が暖かくなる娯楽映画にちゃんとなっていると感じられた。[DVD(邦画)] 7点(2013-06-03 21:08:06)《改行有》

249.  口裂け女2 《ネタバレ》 映画のもとになった都市伝説はリアルタイムで知っているが、すでにそれなりの年齢だったため怖いと思ったこともなく、最初から笑いを含んで語られる話のように思っていた。しかしこの壮絶な映画を見てしまうともう笑えない。自分にとってはこの映画で、口裂け女というキャラクターのイメージそのものが一変してしまった気がする。 劇中では不可思議な現象も起こるものの、あからさまに超自然的な要素を導入することはなく、基本的には現実世界の出来事のまま最後まで引っ張っていたように見える。冒頭と末尾のキャプションを見れば、この映画で描かれたのは空想世界の口裂け女の誕生とも、あるいは現実世界の都市伝説の起源とも解することができるが、特に劇中さかんに出ていた噂話は、このように陰惨な事件まで無責任な都市伝説に仕立て上げてしまう人間社会の無情さを訴えているように感じられた。 ところで、主人公は見ていて可愛い。最初の方の気恥かしい展開は狙ってやっているわけだが素直に乗せられてしまい、その後の場面が痛々しくて見ていられなくなる。主要人物のほとんどは実質的な被害者であり、最初の凶行に及んだ馬鹿を除いて本質的な悪人はいないように思うが、特に姉の夫はどうやら本当の善人だったらしい。この男が同居しようと言ってくれたところが最後の救いだったのかと思ったが、よく見るとわずかの差で間に合っていなかったようだ。主人公が題名の姿になるのはラストの一瞬だけだが、この場面の表情を見てもなお可愛いというか、自分としては彼女が哀れで愛おしく感じられた。多分、父親の立ち位置から見ているからだろう。 なお、メイキング映像で主演女優が普通に笑っているのを見るとほっとする。本人が歌う主題歌も結構きつい内容で、久しぶりに心が痛い映画を見た気がした。[DVD(邦画)] 9点(2013-06-03 21:08:02)(良:3票) 《改行有》

250.  オトシモノ 《ネタバレ》 [2017-06-17改訂] 鉄道を舞台にしたホラーで、大まかにいえばトンネルを発生源にして線路伝いに怪異が伝播する設定だったらしい。序盤では、名字なしの個人名が「貞子」を連想させるとか白塗り少年が登場するとかで、あからさまに既存の邦画ホラーをなぞったようにも見えたが、しかし終盤になると意外な方向へ話が展開していくのが特徴で、最初はわざとありきたりに見せておいて後で不意打ちをくらわすつもりだったのかとも取れる。主人公が留学を考えていたのが ”Miskatonic University” だったことからすればラヴクラフト、あるいは諸星大二郎路線を目指していたということか。全てが終わってトンネルを出たら朝だった、という解放感は結構いい。 しかし結局、出来事の意味がよくわからないまま終わったようなのは困る。怪異の根本原因は不明でもいいから、ノベライズ本を読めば簡単にわかることくらいは映画でもわかりやすく作ってもらいたかった。 一方この映画が悪くないと思うのは最後がバッドエンドでないことである。いろいろあったが最低限この家族だけは助かって、犠牲になった者も祝福してくれていたというのは救われる。自分としてはホラー映画がどうあるべきかは知らない(知ったことではない)が、人の生死に関わる物語は一般に、いわば極限状況の中で人間の真実を露わにしてみせる力を持っている。この映画ではそれほど深い話にもなっていないが、女子高生2人が初めてわかり合えた場面で友情が生まれたことは素直に感じられるし(「…だね」の応酬がいい)、また表情豊かな子役を見ていると、この妹も母親も揃った元の家庭を取り戻したいという主人公の願いもわかる。 結果として、その辺によくある粗製乱造ホラーに比べれば一定の志が感じられる映画だった。個人的な相対評価としてはアイドルホラーの代表作?「クロユリ団地」(2013)よりは点数を高くしておきたい気がする。 ちなみに沢尻エリカ嬢は制服姿が清楚だが、私服になると露出が多かったりして見どころはある。「なんで知らないふりするの!」のあたりはこの人らしくて好きだ。また若槻千夏という人は全般的に可愛く見えないが、最後に制服姿でにっこり笑った場面はよかった。[DVD(邦画)] 5点(2013-04-15 20:49:35)《改行有》

251.  千と千尋の神隠し 《ネタバレ》 これは公開時に映画館で見たが、冒頭のトンネルの場面で近くにいた幼児が怖い怖いと言い出し、仕方なく母親が飲食物を持ったまま外に連れ出したのが記憶に残っている。大人なら怖くないと言いたいところだが、そのあと海の向こうから得体の知れない船が近づいて来る場面では、自分も怖くなって腰が浮いてしまった。やはり劇場で見る迫力は違う。 それで全編を見ると舞台設定の面白さは当然として、とにかく映像から受けるインパクトに圧倒される思いだったが、一方で話の意味がわからないため気持ちの収まりがつかなくなり、帰ってから解説本などを読みあさる結果になってしまった。監督が当時これを子どもに見せるために作った、と言っていたのも意味不明で、せっかくアニメとして純粋に面白いのだから、妙に小難しくして混乱させるのはやめてもらいたい、というのが初見時の実感だった。 しかし公開から時間が経つと、監督が何を言ったかというようなことはもうどうでもよくなり、大人も子どももそれぞれの立場から勝手に味わえばいいのだという気もして来た。今の目で見れば、年齢に対応した子どもの心境の変化のほか、子どもを取り巻く不健全な環境や、子どもから見た大人の複雑さといった内容が詰め込まれているように思われる。クモオヤジは茶化して「愛」などと言っていたが、初めて純粋に他人のために何かしたいと思いつめたのは大事なことだろうし、また本来一人の人物が持つ“理性”と“本能(我欲)”を分離した上で、それぞれがさらに多面性を持ったものとして外部に表出される描写は、分析的すぎるようでもあるが面白いといえる。 ほか特に海の映像が美しく、湯屋の廊下から見える海原や、海面を渡る電車から踏切に立つ人影が流れて見えるなどは非常に印象深い。こういうのはもう理屈など関係ない。[DVD(邦画)] 8点(2013-01-28 20:58:24)(良:1票) 《改行有》

252.  小さき勇者たち ガメラ 《ネタバレ》 実物の子ガメはともかくガメラの造形も可愛らしい。成長後はそれなりに凛々しくなるが最後まで童顔を残しているのは“愛すべき怪獣”を体現している。成長段階に応じた最初の火球攻撃と最初の回転ジェットのタイミングは感動的だった。また子役が煩わしく感じられないのは、昭和ガメラに比べると著しい進歩といえる。ほか美少女が出るのは現代風だが、これも歓迎する。 それで映画の内容としては、映像面では平成以降の水準と特徴を受け継ぐ一方、ドラマ部分は昭和ガメラ直系の後継作と思える。心に欠けたところのある少年とガメラとの関係性をもとにドラマを作っているのは昭和ガメラ第一作への回帰のようで、またキャッチコピーに書かれたように、子どもらがガメラを助け、ガメラがそれに応えてくれるというのは、古き良き昭和ガメラの本質を示しているように思われる。劇中の大人は善人でも結局自分のことしか考えておらず、「みんなが逃げるためにガメラが戦ってくれてる」とはあまりの言い草で、ウルトラマンその他に任せて安心と思っている世代の根性が情けない(自分はこっちに近いわけだが)。やはり観客の思いを託すのは子どもらでなければならず、石のリレーが不自然なのは言われなくてもわかっているが、正直ここは泣けた。君らもヒーローだと言ってやりたい。自分もガメラの鼻先を撫でてやりたい。 ただリアリティを削ぐのがカリカチュアライズされた役人の存在であり、こういうバカみたいなのは出さなくていい。要は政府や自衛隊が動いていることが示唆されればよいので、半端な社会描写などは割愛し、主人公周辺の人間関係だけに限定でよかったと思われる。これは戦争映画に大局感が必須でないのと同様である。 以上、子どもの出るファンタジックな映画のため攻撃性が鈍るのも確かだが、子どもだましと貶めるよりも、あえて大人がだまされてもいいと思える映画である。何より個人的な趣味嗜好が嵩じたような人々ではなく、ちゃんとした大人が作っているという安心感がある。 40年間の全ガメラ映画を当事者的に眺めて来た立場からすれば、この映画が映像面とドラマ部分を総合して最も高水準の内容が実現できており、子どもを中心に据えた怪獣映画の理想像を提示したものと思える。いいものを見せてもらった、というのが率直な感想であり、評点についても、ここまでの最高が9点なのに励まされる形でいい点を付けておく。[DVD(邦画)] 8点(2013-01-20 08:46:42)(良:2票) 《改行有》

253.  リリイ・シュシュのすべて 《ネタバレ》 場所は両毛線沿線のようだが、季節の水田風景が美しい。エンディングで稲わらを乾燥させている風景は、うちの地元では見られない。 ところで個人的にはこのような苛めなり迫害なりの経験はなく、また今さら思春期の少年少女の立場にもなれないわけだが、もともと逃避的傾向のある人間だからか、現実世界から独立した精神世界を求めることには共感できなくもない。おまえいい年してこんな連中と同じじゃないだろうなと言われている気もするが、しかし登場人物が実体のないものを空虚な言葉で一生懸命飾り立てようとするのは痛々しく、たった一人の不規則発言で共同幻想が崩れてしまいそうになるのも虚しく感じる。 一方、この映画で印象的なのはやはり久野の強さである。この人には自分を支える力があると思えるが、それは本人の資質はもちろん、拠るべき普遍的価値を知っているからこそだろうと思う。劇中で冷酷無残な描写をよそに流れるピアノ曲は、現実世界がどれほど陰惨であるかに関わらず、美しいもの、価値あるものが確固としてこの世に存在することを示しており、それは何があろうと“汚された”などということもなく、超然としてそれ自体の価値を主張する。そう考えるとこの映画は、若年者だけでなく全年代に向けて、彼女にとっての芸術音楽のようなものを見つけられるかと問いかけているように思えなくもない。 以上のように、それなりに評価できる点もなくはないが、さすがにこの劇中世界を全面的に受け入れるわけには行かない。また自殺する人物が誰かによっては上記の感想は持てず(小説版は読んでない)、その場合はただ嫌悪だけが残ることになる。当然ながら自分も大人の側の人間だということである。 なお余談として、メイキング映像を見たところ、劇中で極悪女子生徒役だった女優(松田一沙)がクランクアップ直後に大泣きして「最悪でした」と言っていたので、女優本人は極悪人ではなかったらしい。当然だが。 [2019-04-13追記] クロード・ドビュッシーのアラベスク第1番は美しい曲である。このような何物によっても損なわれない普遍的価値の存在を知ることが久野という生徒の強みであり、彼女のこれからの心の支えになるはずだというようなことを上に書いたが、昨日たまたま立ち寄った高速のSAの便所でこの曲が流れていて、この映画のことを思い出してしまって非常に嫌な気分になった。見た者にどこまでもつきまとう最悪な映画だ。[DVD(邦画)] 5点(2012-12-03 20:53:26)《改行有》

254.  問題のない私たち 《ネタバレ》 映画化に当たって原作コミック3巻のうち前2巻による2部構成とし、一応の統一的テーマでまとめたのは適切に思える。本来は深刻な問題なわけだが、映画では2部構成のそれぞれが爽やかに終わり、インターバルの夏休みムービーも微笑ましく、さらに女の子連中が基礎的にみんな可愛いので、見ていて心なごむものがある。これとは別にもっと棘のある映画を見たばかりだったこともあって、この映画ではかえってほのぼのした印象が残った。主演女優の歌もいい感じである。 この映画が扱っているのは基本的には学校内の問題であり、劇中で出ていたように集団で物理的に攻撃するなどは確かに分別のない年齢ゆえのことだろう。しかし、手前勝手な正当防衛の発動といったことは年齢にかかわらず行われるものであり、また第2部で指摘されていた思い込みの問題も、人間が生きている限りは付いて回るものと思われる。ほか、「別に…」事件を引き合いに出すまでもなく、切実な動機もなしに付和雷同してバッシングするようなことは実社会でもスケールアップして起こるわけで、そう考えると意外に社会性のあるメッセージを発しているようにも取れる映画である。 ところで主人公は、外見的には丸っこくて可愛らしいわりに必ず落とし前をつける人物ということだったらしく、2部構成のそれぞれにこの人がきっちり決着を付けていたのは見ていて気分がいいが、ただし転校生とは違って“裁定者”の立場だったのは誰にもできることではないだろう。また、筋を通したあとで必ず赦す(和解する)というのがこのストーリーの特徴らしく(何しろ原作コミック第3巻では問題の教員が失職を免れているので驚く)、この役を担った生徒の名前は無意味ではなかったようだ。実際には誰も聖人のようにふるまうことはできないので、この映画が現実の処方箋になるというわけでもないだろうが、しかしこの問題の解決に関する一つの理想像を提示しているように見えたのは、若年者に向けた原作者の良心が感じられる気がした。 なお転校生役の女優は、映画初出演とのことだが最初からいきなり はまり役で、やはりこれがこの人本来のあり方なのだろうと思える。ただ今回見たDVDの題名が「沢尻エリカ 問題のない私たち」と書いてあったのはちょっとどうかと思う。[DVD(邦画)] 6点(2012-12-03 20:53:20)《改行有》

255.  妖怪大戦争(2005) 《ネタバレ》 大映の旧作をベースにしながらも、企画に関わった作家諸氏の作品世界や稲生物怪録などを加えてごたまぜにした感じの映画で、何か仲間うちだけで盛り上がったような印象がある。「手の目」とか「震震」といった、旧作に出ない妖怪が実写化されただけで感動するようなカルト的妖怪ファンがいればともかく、一般人としてはそれだけで乗るわけにもいかない。個人的には「網顔」というのが出れば少し喜んだかも知れないが、今回は採用されなかったらしい。 またストーリーも支離滅裂で圧倒的に面白くない。何が起こっているのかわからない割に変に意味ありげな台詞が入っているが、わからせようという意志も感じられず、小説版をわざわざ読んでみる気にもならない。形の上では泣かせる場面もあったが、真面目に泣かそうとしているようにも見えなかった。ほかキャストは豪華なようだが、砂かけ婆を演じていたのが誰だったのか、エンドロールを見なければわからない映画などあったものかと思う。 ただ、川姫の太腿の魅力に関しては皆さんのいうとおりである。男児ばかり狙うのかは不明だが、一度出会ってしまうと生涯心に棲みつく胸キュンタイプの妖怪らしい。少し客観的にいえば、多くの男子の心の深層に潜む“近所に住んでいた憧れのおねえさん”のようなイメージを外部化した妖怪と解釈できるかも知れない。また父親サービスとして見れば、古きよき昭和特撮映画の伝統に倣っているといえなくもない(ただしエロすぎて不健全)。[DVD(邦画)] 4点(2012-10-15 19:11:43)(良:1票) 《改行有》

256.  ラッキー・ガール 《ネタバレ》 見ていてひっかかるところもなく軽快でほのぼのして楽しい。ヒロインは一応大人の女性なのだろうが、キャリアウーマンにしては可愛くていい感じだし、その友達も、下手すると不幸に巻き込まれそうなのにあくまで優しいのはうれしくなる。成功者への対抗心が感じられないのは自分の可能性を信じているからだろう。ラストはハッピーエンドとわかっていても一応ハラハラさせておいて、その後のコンサートで盛り上がるのは素直に気分がいい。 それで最後は“愛とは与えあうもの”ということになったのか、運不運をぐちゃぐちゃに混ぜてしまって余った分をおすそ分け?したらしい。これで多分2人とも普通の男女になったのだろうから、あとはツイてる時もあればそうでない時もあるし、いいことをすれば果報もある。その上でヒロインの友達と同じように、いつも前向きでさえいれば幸運をつかむチャンスもあるという、そんな おはなしなのかなと思った。普通にしあわせそうな2人で大変結構でした。Good Luck.[DVD(字幕)] 6点(2012-10-15 19:10:39)(良:1票) 《改行有》

257.  猫の恩返し 《ネタバレ》 ジブリアニメとして期待すると落胆するというのはその通りだが、それ以前の問題として、ここまで原作を崩す必要がどこにあるのかわからない。舞台設定とかストーリー構成は原作の方がはるかにしっかりしている(けっこう泣かせる話だ)が、映画では猫の国の性質があいまいな一方、「自分の時間を生きる」という意味不明な概念が半端に出ていたりして、何がいいたいのかわからなくなっている。 しかし、そんな問題点などどうでもいいと思わせるのが主人公の存在である。普段のふるまいは のほほんとして可笑しく、ビジュアル的にも十分カワイイと思うが、特に猫になりかけの顔に萌えてしまって、個人的には日本アニメのベストヒロインに認定したくなる。問題は状況に振り回されやすいことだろうが、そこは町田君など比較にならないほど大人で知的でクールな紳士が適切にリードしてくれたことで、各種トラブルもふわりと乗り越えた感じだった。 それで、この事件を通じて主人公も何か変わったはずなのだが、どこが変わったのか正直よくわからない。ただ髪は短くしたようだし(美少女に対抗するのをやめたか)、とりあえず子どもの頃のように自然体で、自分の思うように生きていけばいいかもという感じである。別にシングルマザーを奨励するわけではないが、やはり母親の姿がひとつの見本なのだろう。ラストにかぶさるテーマ曲も軽快で、ああよかったねと気持ちよく終わるアニメだった。 ところで余計な話だが、ジッキンゲンというのはドイツに実際にいた貴族(男爵)の家系で(ただし綴りはSickingen)、一族の中では16世紀はじめに大活躍した帝国騎士フランツ・フォン・ジッキンゲンという人が有名らしいが、バロンのイメージモデルにしては少し粗暴な感じなのが残念である。[DVD(邦画)] 8点(2012-10-01 22:03:21)(良:1票) 《改行有》

258.  ちーちゃんは悠久の向こう 《ネタバレ》 原作は全体的に変な話だが、映画ではこれを大規模に改変し、主要部分を普通に切ない青春物語のように仕立ててあるので、その流れで見ればラストも爽やかに感じられるかも知れない。しかし青春物語というのはあくまで表層だけのことで、実は無邪気な顔で邪魔者を容赦なく排除し、恋敵の身体を奪い取って心を抹殺する天然の残酷少女を描いたという見方もできる。映画ではそういう二重の解釈が可能なように作ったのかも知れないが、それにしてもこの映画では全体として純愛ストーリーの印象が非常に強いため、ラストの違和感だけが突出して見えたというのが実感だった。映画のちーちゃんは決して嫌いでないが、ラストがこれではドン引きである。 また、先輩が理不尽な仕打ちを受ける理由が「のっぺらぼう」だからというのはまずい言い訳にしか感じられない。この映画を見る限り、この人はこのままで充分に個性的な魅力があり、かえって台詞の説明の方に説得力がなくなっている。こんなに可愛く見せておいて原作通りのラストでは、先輩があまりに可哀想ではないか。 そういうことで不満の多い映画ではあるが、主演女優が嫌いでない(それが見た動機)のと、先輩役もかなりいい感じだと思った(何かすごく可愛い)ので、極端に低い点にはできない。子役の2人も微笑ましい。[DVD(邦画)] 3点(2012-09-24 20:03:17)《改行有》

259.  ホッタラケの島 遥と魔法の鏡 《ネタバレ》 まず評判になっている女子高生のパンチラに関しては、自分が見たところスカート丈に応じて自然な範囲に収まっており、まあご愛嬌といえる程度である。それより体型や姿勢があからさまにエロい方がよほど問題だと思うが、小さい子どもならわからないだろうから、成人男子としてはあまり目くじら立てずに黙って見ておけばいいだろう。 それで内容については、見る前はもっと環境っぽい話かと思っていたが実際はそうでもないようで、消費行動はそのままにして要はリサイクルすればいい、というのは現代日本の感覚そのままである。劇中では、本人が断捨○しなくても誰かが勝手に回収してくれていたのが都合良すぎともいえるが、実際には親がだまって古いものを処分していた場合もあるはずで(主人公の友人の回想はその例)、本当に大事なら放置するなと親に代わって言ってくれているのかも知れない。 一方ストーリーとしては、まるきり子ども向けというより思春期以降向けのお話で、ベタな展開だが一応まともな話になっている。哀れなお父さんが最後に見直してもらえたのは幸いだったが、ただし仮に今回のことがなかったとしても、女の子なら結婚のときに記憶の総ざらいの機会があるだろう(最後は葬式)。このお父さんなら披露宴で泣きそうだ。 全体としてはドタバタした展開が面白く飽きないのと、主人公の表情が可愛くて目が離せなかったので、本来なら少しいい点を付けたいところである。ただし、途中でいかにもフジテレビ系らしい悪ふざけとも取れる箇所があったので、念のため減点しておく。サントラCDも感じがいいのに残念なことだ。[DVD(邦画)] 6点(2012-09-02 19:53:35)《改行有》

260.  山形スクリーム 《ネタバレ》 監督兼落武者の人物には全く関心がなく、先生役の女優が素っ頓狂な演技をするのが面白そうなので見た。これはこれで好きだが、できればもう少しまともな役をやってもらいたいという思いも残るし、最後はゾンビなのでもう誰だかわからない。 それで内容に関しては、くだらない映画、と言い捨てて終わりにしたいところだが、監督本人がくだらない映画にしたいと言っているので悪口にならない。また、憎まれっ子世にはばかる的に開き直った感じなので憎めない映画とも言いたくない。全くコメントに値しない映画とでもいえばいいか。とにかく突然の脈絡ない発言や劇中歌のノリなど、監督の独特なセンスにはいちいち付き合っていられない気になる。中で唯一、「うちに代々伝わる歌」のくだりは失笑してしまったが、もう少し全世代に通じるネタを考えてもらいたいものだ。またその後に女子高生が「この子」と言ったのも微妙に可笑しかったが、だから何だというほどのこともない。基本的には全然笑えない映画だが、しかし文芸志向で面倒臭いわりに感動もせず面白くもない映画よりは娯楽性の面で明らかにマシなので、相対評価で採点しておく。 なお余談として、映画のロケに使われた地方は「たそがれ清兵衛」や「おくりびと」では割とまともな扱いなのに、この映画では存在自体がギャグのようになっているが、これは主に標題に冠した県名のせいだろう。「スウィングガールズ」との親和性が高そうな映画である。何にせよ女子高生が最強ということだ。[DVD(邦画)] 3点(2012-08-28 22:47:31)《改行有》

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