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プロフィール |
コメント数 |
1252 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。 【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。 【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。 5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。 また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。 |
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281. 時をかける少女(2006)
《ネタバレ》 [2012.10.27改訂]
アニメヒロインっぽい元気な女の子の青春物語。終盤には“時かけ”の通例どおり切ない別れが待っている。
別れの場面では、千昭が「未来で待ってる」と告げ、真琴が「走って行く」と応えていたが、実際は千昭のいる未来と現在との間には絶望的な懸隔があり(原作の27世紀という設定を採用)、これが永遠の別れになるのだろう。しかしどれほど遠くても、現在とはいわば地続きの未来であり、時の向こうに間違いなく千昭はいる。真琴はもう自分自身で時間を超えていくことはできないが、はるか未来で待つ千昭のために、あの絵を残すことならできるはずである。そのためにいま何をすべきなのか、終盤で夏雲を見上げた真琴は心に決めていたに違いない。
この映画での「時をかける」とは、原作や他の時かけ映画のような、単なるタイムトラベルの言い換えではない。何の特殊能力もない女の子が、ただ時間に流されるのでなく、自分の意志と力で能動的に未来へ向かって行動しようとする姿を示している。そう思えばこそ、終幕であらためて表示されるタイトルに深い感動を覚えるのである。
なお劇中で真琴が魔女おばさんに持って行った手土産のケーキは、都内の実在の洋菓子店(エンドロールに出る)で調達したものだったが、その店名の”à tes souhaits!”という言葉を真琴に贈りたい(同店公式サイトに意味が書いてある)。
ところでこの映画では、時間というものの性質についてかなり柔軟な見方をしているらしい。他の時間モノでは、定められた時間の流れを寸分たりとも変えてはならないなどという厳しい制約がかけられている場合もあるが、この映画では同じ時間を何度も経験すれば全く違う展開が生じており、そのことで一人の人間がもつ無限の可能性が示されていた。また途中で“シュレディンガーの猫”が登場していたが(静止画)、別の場面でも一時点で複数の可能性が並存していて、フタを開けてみなければ確定しないという状況が描かれていた(功介の態度)。
“未来は変えられる”とか“やってみなければわからない”というのは、言葉にすれば当たり前のことだが、年を取るとどうしても未来の自由度が狭まるので、そもそも自分はこういう運命だったと考えて納得してしまうことが多くなる。自分にはもう無理であっても、せめて若い世代には、その当たり前のことをもっともっと言っていきたい気がしている。[DVD(邦画)] 10点(2012-01-21 21:22:05)(良:2票) 《改行有》
282. マイマイ新子と千年の魔法
《ネタバレ》 前半は子どもらのやることを笑いながら見ていて面白かったが、後半に入ると影がさして来て、妙に深刻な事件が起きたりする。主役の女の子があんな顔で怒鳴るのはやりすぎなんじゃないか。原作ではもっとあっけらかんとした感じだったろうと思うが。
またストーリーが複雑で難しいので、一回見ただけでは何が起こったかわからず、理詰めで考えなければならなかった。何か話を作りすぎのような気がする。独りよがりな台詞も多い。
ただ、映像的に美しいのは心に残る。また個人的には特に、千年前と昭和30年の風景を直接重ねて見せるような、いわば歴史地理学的な発想が面白いと思った。それがまた、都びとの目には何もないように見える一地方にも何百年、千年にもわたる人の暮らしが積み重なっている、という映画独自の主張につながって、時間的な深みを感じさせている。
それから千年前の一般庶民にも、花を散らす牛車を見てなごむ程度の心の余裕があるように描かれているのはよかった。世の中いいことばかりでないのは当然だが、悪いことばかりでもなく、楽しいこともある。それは千年前も今も同じだろう。昭和の事件の結末も含めて、この世界に対する基本的な肯定感が伝わって来て嬉しくなった。それはあくまで“子どもの世界”なのかも知れないが、中年男に向けた癒し効果もあったと思う。
そういうわけで、マイナス面もあり他人に勧めるのは躊躇するものの、個人的には忘れがたい映画になってしまった。
なお、登場人物のうち特にお姫さまのキャラクターが可笑しくて可愛い。周防権介の息子らをいいように使ってやりたい放題だったが、後半、山中の家を訪ねた場面は見ていて泣き笑いだった。周防守の権威をもって、この母子にいい継父を世話してやれないか。[DVD(邦画)] 8点(2011-12-31 15:44:38)(良:1票) 《改行有》
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