みんなのシネマレビュー |
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302. バード・ボックス:バルセロナ 《ネタバレ》 前作の世界観をそのまま引き継いだスピンオフ作品。またしても具体的な「それ」は登場しませんが、エイリアン的存在ということを匂わせるものはあります。ただし、(「バイオハザード」的な)ラストシーンでより具体性を持たせつつも、基本的には正体不明・実態の有無さえ不明。見えない恐怖は続くといったところでしょうか。そういう意味で、前作同様の楽しみ方の出来る作品ではないかと。 ただし、前作との大きな相違点は主人公の立ち位置。主人公父娘(一括りにして良いものか?)は追われる弱き存在ではなく、追う存在。端的に言えば「ヴィラン」に他なりません。序盤でそのことが露呈してしまい、観客としては大いに混乱しました。確かに愛する娘を置いたままの行動としては異常ですし特に気遣う様子もない。「こりゃ変だぞ?」と思った時には惨劇が始まってしまう。何故?そりゃあ言うまでもないことですね。主人公はあっち側の人だったという早々の種明かし。ま、そのくせ冒頭に襲われてタコ殴りにされるっていうあからさまな目くらましをいきなり挿し込むのは反則気味ですが。 何にせよ個人的にはその点(主人公=ヴィラン)が一番気に入らないというか、だからこそのスピンオフと言われてしまえばそれはそうなのかも知れませんが、やっぱりこの状況設定の中での主客逆転では感情移入のしようがありませんでした。 ラストシーンになってやっと感情移入出来そうな雰囲気も無きにしも非ずですが、時既に遅し。極度の感情変化が感染?を妨げるといった理屈付けも空回りするばかりでした。 続編の在り方としては面白いのかも知れませんが、もう少し何とかならなかったものか?今ひとつ入り込めなかった残念な続編でした。[インターネット(字幕)] 5点(2024-08-17 22:29:51)《改行有》 303. 追憶の森 《ネタバレ》 そもそもは大好きナオミ・ワッツさん出演という理由だけで、さして予備知識もなく見始めた作品。しかしながら、観終わってみれば一見邦画かなと思ってしまうような日本的、或いは東洋的な価値観・人間愛・宗教間を感じさせてくれる佳作でした。 マシューさんの嫌な旦那っぷりとナオミさんの悲しいぐらい堕落してしまいそうな嫁っぷりの演技。流石ですね。渡辺謙さんの傷付き疲弊しながらも生命力に溢れた存在感も流石でした。 初出時には超違和感だった「キイロ」という名前の伏線はもうひとひねり欲しかったところ。どう考えても「ファイナルデスティネーション」的に交差点で突っ込まれてしまう顛末は、物語の展開上予定調和的必然性を感じてしまうこと。些末なところでは、いくら凍えているからといって遺体の衣服を拝借して着用していて大丈夫なの?とか、テントの中だって相当な状況だろうに?とか…。気になるディテールはありますが、富士の樹海の懐の深さを背景に3人の名優が綴る物語は静謐な中に途切れることのない緊張感が満ちていて見応え十分でした。空港のカウンターや病院の医師、カウンセラーの雰囲気がちょっとばかり日本人離れしていて「あぁやっぱハリウッド作品だ」と思わせられたぐらいが興覚めポイントでした。 結局タクミは誰だったのでしょうか?人知を超えた存在?それともアーサーの良心?無粋な結論が披露されなくて良かった。最後まで納得できた良作でした。[インターネット(字幕)] 7点(2024-08-16 12:16:46)《改行有》 304. バード・ボックス 《ネタバレ》 普通にエンタメ系SFサスペンスとして観る限り、つまり大小問わず湧き上がる疑義に目隠ししている限り(我ながら上手いと思ってしまった自画自賛)、大いに楽しめました。 自称トリ馬鹿の私としましては、鉱山のカナリアの如き仕打ちを受けていた小鳥たち(何気に途中で種類が変わっているのが心配ですが)が無事盲学校の空に放たれたことが一番の朗報だったりもします。 見てはいけないとか、音を出してはいけないとか、返事をしたらいかんとか、昔から様々なシチュエーションスリラーはありますし、そもそも見てはいけないから目隠しして移動するっていうのも何となく既視感が。思い出せないのですが。あ、見てはいけないものの大御所はギリシャ神話のメドゥーサですね。 そんなアイディアが出尽くした感が無きにしも非ずの中で本作の「見てはいけないもの」は、実態が確認出来ないという怖さによって緊迫感はかなりのもの。決して贅沢なCGやVFXの多用に依存しない作り手の想像力と演出力は、俳優陣の演技にも支えられ非常に素晴らしいものを感じました。そしてそれが中だるみしない。いくつものエピソードを盛り込み、時間軸を往復しつつ描いていくという展開は見事でした。 確かに腑に落ちない点はあります。盲学校の在り方とか。闇を抱えた者たちは「それ」の手先になって自死には走らないというのも、現実に闇を抱えた人々から見るとどうなの?と思わずにはいられない。でも、冒頭に申しあげたとおり、あくまでもエンタメ作品と割り切ればシンプルに楽しめる作品でした。[インターネット(字幕)] 7点(2024-08-16 10:45:00)《改行有》 305. クイール 《ネタバレ》 縁あって今更にしてネットで鑑賞しました。原作、NHK版ともに未読・未見です。先輩諸兄のレビューは読了しました。 動物ものは幼い頃から好きです。幼い頃は概ねディズニー作品でした。ただし、動物ものを好きでも実話ものは苦手です。何故ってかなりの比率でそこには悲劇があって、実話だから余計に悲劇性を感じてしまうからです。フィクションの悲劇はフィクションだからと割り切れても、実話の悲劇は厳然として既に存在してしまっていてそのまま受け入れざるを得ないからです。 本作は実話ベース。しかも「ベース」と言うより「実話」そのもの。ただしドキュメンタリーではない。そこに引っかかってしまいました。ドキュメンタリーであればまんべんなく現実を受け入れつつ鑑賞出来るのに、実話のドラマ化ということだとどうしても脚本が存在し、当然その脚本に沿って見せられてしまう。それを作り手の解釈と表現と言うべきなのか、(言葉は悪いのですが)感動・感涙の押しつけと言うべきなのか。ドキュメンタリーならば号泣していたかも知れないこのドラマが、妙に空々しく感じてしまったのでした。そして後に残ったのは「クイールは幸せだったのだろうか?そもそも犬自身が感じる犬の幸せとは何なのだろうか?」という絶対に答えを得られない疑問でした。 盲導犬の啓発映画として+1点、クイールの健気さと可愛らしさに+1点、俳優陣の自然体の演技に+1点、全く関係ありませんが冒頭いきなりチョイ役的に登場した名取先輩(学校の先輩なのです)に+1点、ベタなコメディ要素に-2点等々悩み抜いた末の5点献上です。[インターネット(字幕)] 5点(2024-08-16 09:56:59)(良:1票) 《改行有》 306. でっかくなっちゃった赤い子犬 僕はクリフォード 《ネタバレ》 実に罪がなくて毒がなくて安心して観ていられる動物もの。あくまでもファンタジー、夢物語。どうしてデッカクなったの?とか、デカ過ぎてアパートのドアから出れるわけないし、とか、現実に照らし合わせて疑義を申し立ててはいけませんね。 涙なしでは観ていられないような動物ものは多々ありますが、実話ものとか感動巨編とかだと逆にお約束感が強過ぎるように感じてしまい、個人的にはイマイチ感情移入出来なかったりしてしまうので、フィクションに徹した本作のような作品の方が好みですし感動もしますし何なら泣きます。 子犬が巨大化するというアイディア一発で突っ走ってしまったという感は否めませんが、自称トリ馬鹿の私は、昔から愛鳥が100倍ぐらいになってくれたら羽毛に埋もれて日々安眠だなぁなどと思うこともしばしばあり、この巨大化アイディアには賛同するところです。加えて、小さくてもデカくても可愛いクリフォードに免じるという意味も含めて7点献上します。[インターネット(字幕)] 7点(2024-07-31 23:14:35)《改行有》 307. バトル・インフェルノ 《ネタバレ》 悪魔払いの真似事をして金儲けしていたら、最愛の人に本物の悪魔が取り憑いちゃって散々な目に遭わされてもう大変!というお話。それだけだと、コックリさんネタだとかウィジャボードネタだとか何だか使い古された感のあるストーリーだなぁ…とか思ってしまいそうなところ。コメディにもありがちですね。ニセ医者に患者が押し寄せて大騒ぎになるとか。ところが本作、なかなかどうしてスピーディで緊迫感のある展開で見応え十分でした。 主役の親友コンビは、行動といい言動といいイマイチ感情移入出来かねるキャラ。ただ、バズるためには何でもありみたいな一部のユーチューバーを揶揄してるように見えなくもなく、そう考えれば適切なキャラ設定なのかも。また、最後の最後に明かされるサタンの真の目的なんてのは現実の世界に置き換えると結構恐い展開だったりして、これも社会情勢や国際情勢への皮肉と受け取れないこともなかったりして。終盤挿し込まれる横領ネタや三角関係ネタなんかよりも、社会派ホラー的に纏め上げた方が良かったような気がします。 監督さんは同名のショートフィルムを撮っていて本作はその長編版だとのこと。確かに短編の方が一気に突っ走れて子気味良い展開になるかも。でも、監督さんは描き足りなくて長編化したんだろうな。機会があれば、是非短編も観て比べてみたいところです。 ちなみに、考案者さんには申し訳ないのだけれど、邦題はありがち過ぎて作品を目立たなくしているかも。シンプルですが、原題の「浄化の時間」という方が良いような気が。[インターネット(字幕)] 7点(2024-07-31 22:32:05)《改行有》 308. キル・ミー・ダーリン 《ネタバレ》 ほのぼのとしたラブコメ。ポーランド映画、特にコメディは殆ど観たことがないのですが、コメディ要素の雰囲気と言うか流れ方と言うか独特の「間」のようなものが感じられて、アメリカ製のコメディや本邦のコメディとはだいぶ異なる味わいですね。勿論、本作がポーランド製コメディの全てということでもないのでしょうけれど。 基本的に悪人は登場しないし、主人公夫婦も人を疑うということに縁のない、と言うか向かないタイプ。最初から詐欺師フラグ全開の金庫屋(本当のところ何屋なのかは不明ですが)ぐらいが悪役ですね。それだって奪われたのが泡銭だと思えば被害によって二人の生活が変わる訳でもないし、それどころか子宝まで授かってるハッピーエンドだし。そして、アホな役回りを一手に引き受けている感満々の悪友二人だって、実は殺意なんてない訳ですし。 教訓めいたテーマが顔を出しそうで出さないあたりも含め、殆ど毒気がなくて少々物足りなささえ感じてしまうものの、これはこれでホッコリしてたまには良いかなという良作でした。[インターネット(字幕)] 6点(2024-07-30 10:09:37)《改行有》 309. 夜の来訪者(2015)<TVM> 《ネタバレ》 原作や舞台、他の映像化作品は未読・未見です。てか殆ど予備知識なしに鑑賞しました。 濃密に絡み合った人間関係とそこから生まれる悲劇性。どことなく本邦の2時間枠TVドラマとの共通性を思わせる雰囲気ですね。「え¨~!そこで繋がる?!」みたいな意外性というよりお約束感に満ちつつも、決して破綻することなく展開していく物語には、約1時間半の尺とは思えない魅力を感じました。 物語の中心をなすグール警部。登場シーンから妙に謎めいていて、かつ威厳に満ちて誰一人抗うことを許さない姿には、途中から「この人は人間ではない?」という雰囲気を感じました。結局、人間ではないような?かと言って「神」とも思えず、いったい何者だったのか?謎です。強いて言うならば、この存在は若干反則的と思えないこともなかったりしますが。(悪魔やエイリアンが登場すると何でもありになってしまう物語と近しいものがあるかも) ただ一つ言えることは、警部は集まった者たちに自らの犯した罪を見つめ直し悔い改めることを促したのだろうということ。(実際、直接的に台詞にもありましたが)しかし、それは叶うことなく結局予言的に警部が示した悲劇は現実となってしまったということ。原作が生まれた時代であれ現代であれ、暗喩的に社会、或いは個々の生き方に対する何らかの警鐘を鳴らしているように思うところです。 何度もリメイクされていることを納得の作品(原作?)でした。[インターネット(字幕)] 7点(2024-07-25 16:24:48)《改行有》 310. エクスペンダブルズ ニューブラッド 《ネタバレ》 この手のシリーズは回を追うごとに劣化してしまうのはある意味仕方のないこと。主要なメンバーがベテラン化していく中、アクションのレベルを維持するのだって相当大変。製作費の殆どがギャラだったりしてその比率が右肩上がりだったりもするでしょうしね。 それでも作品としての質を維持する為には、メンバーだったりストーリーそのものだったりに新たなアイディアとかが必要でしょうけれど、本作の場合には力業で王道を貫くと言うか、言い方が悪いかも知れませんが旧泰然としたテイストを貫いています。 ただ、B級アクション作品好きとしてはそこが堪らないとも言え、個人的には大好きジェイソン君とトニー君がタッグを組んで大活躍というだけで大満足してしまいました。 え゛~!ここでスタローンとお別れ?亡骸目撃してるし!というのはものの見事にラストで予定調和。ガルシアさんの黒幕フラグは冒頭から見え見え。等々、シンプルで解りやすいストーリーはB級アクションの必須条件。何も文句は言いますまい。 ラストに明かされる身代わりジャンボ・シュリンプさんは憐れと言うか、完全に人殺しじゃん!犯罪じゃん!と思いましたが、この手の作品では悪党や敵の命はペラペラに軽く扱われるので仕方なしといったところでしょうか…。 グロめの戦闘シーン、殺戮シーンがてんこ盛り。良い子には、否、悪い子にはもっと見て欲しくありませんが、あくまでエンタメと割り切って楽しむという視点での7点献上です。[インターネット(字幕)] 7点(2024-07-23 11:39:57)(良:1票) 《改行有》 311. 観察者 《ネタバレ》 展開は早いです。ただし、かなりエロティック路線に寄せていて、ほぼ全編そういったテイストですね。 そもそも向かいのビルにも住人が居るのにカーテン付けるなって条件ありですか?その時点で伏線見え見え。向かいの住人が家主だってことまでは分かりませんでしたが、何らかのトラップを仕掛けた本人であることは、結構早い段階でほぼほぼ見えてしまいます。 それにヒロインもパートナーも興味持ち過ぎ。こりゃ罠に落ちますよ。てか、展開が強引過ぎと言うべきなのか。主人公カップル、向かいの住人カップル、そしてその他の登場人物(主にカメラマン家主のモデル)が完全にレールに乗って動いてる感じ。これぞ予定調和です。どんでん返しも出来過ぎだし、その後の復讐劇はもっと出来過ぎ。てか現実的と言うか物理的に不可能な復讐。かつ、ヒロインの職業倫理をかなぐり捨てた鬼畜ぶりが恐過ぎます。 エロティックシーンやヌードシーンを期待して観るならば、それほど過激ではないまでもある意味期待通りでしょう。ただ、サスペンスやミステリーとして観ると拍子抜けしてしまうかも知れません。基本的にあくまでも娯楽目的の作品という視点で5点献上します。[インターネット(字幕)] 5点(2024-07-22 13:31:59)《改行有》 312. ルーカスと魔法の青いドア 《ネタバレ》 ファミリーで安心して楽しめるファンタジー・アドベンチャー作品ですね。 主人公の少年が実に愛くるしい。無邪気で好奇心が強いという鉄板的キャラクター。転居先で出会った子どもたちとグループを組んで冒険するという展開も鉄板的。秘密のドアで繋がっている異世界には、異世界らしい動物や人物?が居て、ドアを開けたが故にこちら側の世界が絶体絶命の状況になってしまうという展開も鉄板的。CGやVFXの出来がイマイチというような部分はありますが、兎に角安心して見ていられること間違いなしの作品でした。 ラストのドンデン返しは、少なからず既視感はあるにせよ子ども向け作品の仕掛けとしては意外性と解りやすさのバランスが取れていて良い感じに思えます。日頃ホラーやスリラーばかり観ているので、個人的には大いにリフレッシュ出来て満足の1本でした。[インターネット(字幕)] 7点(2024-07-19 14:27:39)《改行有》 313. Mr.タスク 《ネタバレ》 幼い頃、毎週楽しみに読んでいた「少年マガジン」に楳図かずお氏の恐怖漫画「半魚人」が掲載されました。結構長いことトラウマ的に記憶に残った作品でしたが、本作のセイウチ造りを見ていて今再びその漫画のことを思い出した次第です。 作品としての背景やテーマは全く違うものの、ある目的のために人間を改造して別の生き物を造るという行為自体は共通しています。思えば、古くは「フランケンシュタイン」、比較的新しいところでは「ムカデ人間」、大好きサメ映画では「フランケンジョーズ」等々、映画の世界でもカテゴライズするほどでもないにせよ種々製作されているネタですね。 本作については、一見人間の内なる狂気をブラックジョーク的に描いた作品と言った体に見えなくもないのですが、さして深く掘り下げたテーマ性がある訳でもなく、アイディア一発勝負で豪華キャストを並べてノリで作っただけの作品とも思えてしまいます。既にご指摘もありますが、アメリカ人とカナダ人の掛け合いなんかは、現地の空気を読めない日本人の私には今イチ笑いに繋がらないところです。 妙な元警部を演じているジョニー・デップが愛娘と共演しているというのが一番ウケたかも。流石ジョニー、まんまと欺かれました。 ちなみにどうでもいいことなんですが、ジャスティン・ロングさんのセイウチ姿、あれは劇中でも着ぐるみ扱いですよね?形成手術後の姿が本来の姿で、まるまる太った姿はマイケルさんが被ったのと同じ物を着せられているような?首引っ込むし。ホントにどうでもいいことですけど。[インターネット(字幕)] 6点(2024-07-17 00:05:20)《改行有》 314. BLUE GIANT 《ネタバレ》 原作漫画は未読です。公開時、是非とも劇場で鑑賞したいと思っていたものの、諸事情で見逃していて今回やっとネットにて鑑賞しました。 既に投稿されている皆さんのレビューでも例外なく高評価されていることですが、兎にも角にも音楽が凄い。個人的にジャズは好きでもそれ程コアなファンでもない私ですが、ほぼ全編にわたって演奏部分では涙腺が緩みっぱなしでした。 通常であれば小説であれ漫画であれ原作がある作品の場合、「これをどうやって実写化やアニメ化するのか?」といった部分に興味の中心が向かってしまうのですが、本作の場合は逆に「原作ではこの音楽の洗礼をどうやって絵や文章で表現しているのか?」という興味が湧きました。本作に感銘した以上は原作を読まねば、と思った次第です。 その一方で、尺の事情があるのかも知れませんが、特に大きなトラブルもなく一気に突き進むような物語には少なからず引いてしまった部分もあります。主人公無敵な展開。スーパーヒーローものでもお約束の大ピンチは付きものですが、本作ではバンド仲間の交通事故という想定内のトラブル(ただし伏線回収的にクリア)はあるものの後は概ねトントン拍子。登場人物の背景や苦悩・葛藤といったものをもう少し盛り込んでくれれば感情移入出来ただろうし爆泣き出来たことと思います。 ちなみに、原作未読につき回想形式を採用しているのでもしかしたら主人公の末路には悲劇が?と途中まで思っていました。いくらなんでもそれは力業過ぎですね。 アニメとCGのバランス感は、自分的には納得出来る範囲でした。違和感がないかと言えばそんなことはありませんが、あくまでも主役は音楽!と思えば気にならないかなと。 繰り返しになりますが、兎に角音楽が素晴らしい。劇場で鑑賞しなかったことを只管後悔するばかりです。リバイバル上映ないかな?[インターネット(邦画)] 8点(2024-07-16 10:43:15)(良:1票) 《改行有》 315. Pearl パール 《ネタバレ》 「X」を鑑賞した時には既に本作は完成していて、とは言え映画館では見損ねてしまいネット配信を今か今かと待ち続けていました。「X」については少なからず不完全燃焼でしたが、ミア・ゴスさんの熱演ぶりとその魅力を見事引き出したタイ・ウェスト監督の演出に期待せずにいられなかったというところです。 で、今回本作を観て納得。やはりミアさんスゴい。可愛らしさから恐ろしさに変貌する様はマジで怖い。命を奪うことに全く躊躇がない。寧ろ怒りの裏に喜びさえ感じさせられてしまう。この人、ホントにこういう人?と思えてしまう。独白のような告白とエンドロールの泣き笑いドアップも見事でした。それを引き出したウェスト監督も期待通り。このコンビ、次作を期待せずにはいられません。 ただし、個人的にはホラーで動物が犠牲になるのは最も好まない演出でして、その分-1の7点献上です。 (追記)お友達の亡骸解体シーンの首の部分は思わず「う”」と声が出ました。現実に見たことなどないし決して見たくありませんが、取れ具合があまりにリアルだったもんでつい声が…[インターネット(字幕)] 7点(2024-07-13 23:42:43)(良:1票) 《改行有》 316. デスパレート・ラン 《ネタバレ》 ナオミ・ワッツさん見たさに鑑賞。けれども今ひとつハマリ役とも言い切れない微妙な雰囲気。それは、ひとえにヒロインの姿に感情移入出来なかったからだと思えます。 最愛の夫が急死したショックに対し懸命に平静を保とうとするエイミー。夫に先立たれ悲しみに打ちひしがれるとともに途方に暮れる妻の心理。それでも強くあって自分同様激しく傷ついている子どもたちを支えて行こうとする母親の心理。豊かな森に身を包まれ激流の力強さを全身に感じ、自然という圧倒的な存在から生きる力を得てこの難局を乗り切ろうとする姿。自分なりに理解は出来ます。 ただ、だからと言って容易には戻れないほど遠くまで独りランニングするというのが日課?しかも、最愛の父と突然死に別れて悲しみに暮れる息子を家に置いたまま?なんだか理解し難い。 更に、異変を察知してからの暴走とも言える振る舞い。我が子を心配しているんだから何でもあり的な行動や言動。(語弊があるかもしれませんが)普通の妻であり普通の母であればある意味当然の振る舞いとも思えますが、弱き母が事件を通して強く逞しく成長していく姿を描いた作品ということでもないと思いますので、ヒロインのあまりに普通過ぎる姿に肩透かしを食ってしまったような感じです。 じゃあ本作のヒロインにどんな姿を期待していたの?と問われれば、それはそれで回答に窮してしまう訳で、要は冒頭に書きましたようにナオミ・ワッツさんが演じるヒロインにもっと特別な何かを期待してしまっていたようです。 特にドンデン返し的な展開もなく淡々と物語が進む中、ほぼ全編にわたって独り芝居的に演じきった(走り切った)ナオミ・ワッツさんの熱演に+1点の6点献上します。[インターネット(字幕)] 6点(2024-07-11 11:34:45)《改行有》 317. バッド・デイ・ドライブ 《ネタバレ》 元ネタ及び英語版以外のリメイク版は未見です。 運転するクルマに爆弾を仕掛けられて脅迫を受ける、という設定自体は目新しいものではありませんが、特に恨まれるような覚えもなく(正確には覚えがあり過ぎて判らなくなってる?)、同僚を目前で爆死させられ、しかも後席には愛する子どもたちが同乗していて自分と運命をともにさせられているという緊迫した状態は、特に派手なカーアクションもないにも関わらずなかなかに見応えのあるものでした。(少なからずリーアムさん贔屓ということもあったりしますが) ただ、何にしても犯人にとって都合良く事態が進み過ぎたり(あらゆる事態にも対応可能なように準備して来たとか言っちゃってますが)、警察の動きも都合良過ぎたり(包囲網簡単に突破、大量のスナイパーが無力、ラストでは追跡さえしない?ヘリどこ行った?等々)、そしてミステリーサスペンスなのに真犯人が結構判りやすかったりと、脚本的には粗が目立つと言うか非現実的過ぎるというか。家族の絆的な部分も基本的な家族関係とかが殆ど説明されていないので感情移入は難しいところ。あと、ヘザーやユーロポールの捜査官の電話の声が妙に平板なのが気になりました。 エンタメ的に割り切れば退屈せずに楽しめる作品。深く考えると興覚めしてしまう作品。といった印象でした。古希を過ぎてもまだまだ若々しいリーアムさんに+1点の7点献上します。 ちなみに、邦題はミスリード目的のような原題よりは良いかも知れませんが、カーアクションが目立つ作品でもないので今ひとつかなと。[インターネット(字幕)] 7点(2024-07-09 10:33:48)《改行有》 318. 温泉シャーク 《ネタバレ》 日本発サメ映画!温泉入浴中にサメに食われる!インパクトありますね。前々から大いに期待していまして、実はクラファンにも参加しました。 シンプルに言ってしまえば、真摯な情熱(郷土愛&サメ愛)と子ども心を忘れない大人の遊び心の融合とでも言いましょうか。いかに理屈を付けようともどうにも非科学的と言うか非現実的な設定と展開。コテコテにベタな脚本&登場人物のキャラ。そして、それを力業的に具現化すべく用意された確信犯的に只管チープなCGや特撮。これら全てを好むか好まざるかによって本作の評価は両極端になること間違いなしかと。 勿論、私は肯定派です。冒頭のシーンから「やっちまったな」と苦笑せざるを得ませんでしたが、それは呆れて苦笑しているのではなくある種の満足感に裏打ちされた苦笑でして、「やってくれてるじゃん」的な気持ちで満たされた感があります。個人的にトンデモサメ映画やトンデモゾンビ映画は好物ですが、ひとえに「こういう映画愛も好きだなぁ」という理由に尽きます。なので偏愛的に8点献上します。 以下雑記です。 巨大3Dプリンタと破壊された自衛隊機から取り出した機関や弾薬によってその日のうちに完成した「あつみ丸」の活躍は、井上森人監督の「温泉防衛バスダイバー」を彷彿させるもので、特撮愛と怪獣映画愛に満ち溢れています。生身で戦うマッチョ(なんで登場するのか意味不明ですが)の姿はどことなく「MEG」のジェイソンを想起させてくれます。細かなネタはスベろうがスベらなかろうが楽しめました。主題歌に至っては本格極まりない出来映え。DLして楽しんでます。唯一残念だったのはパンフが売り切れだったこと。これは改めて入手したいと思っています。[映画館(邦画)] 8点(2024-07-08 12:04:37)《改行有》 319. クレイジー・デートナイト 《ネタバレ》 急いで手に入れたモノ(この場合は中古車)に、それ自体からは想像出来ないような価値があり(この場合は大量の札束とコカイン)、本来の所有者(この場合はギャング)に主人公がブツと命を狙われる羽目になる。という設定自体は決して目新しいものではありませんが、スピーディな展開とまんべんなく散りばめられたコメディ要素、そして少々コテコテと言うかウザったいながらも魅力的とも言える登場人物のキャラクター。尺も丁度良く大いに楽しませていただきました。 配信サイトの紹介文に「まるでタランティーノが手掛けたかのよう」といった一文がありますが、そこまでブッ飛んだテイストではなく結構堅実なアクションコメディ作品ではないかと。7点献上します。 ちなみに、途中巻き添えを食ってしまうクライスラーが青春の思い出だった老夫婦。唯一気の毒でした。悪党たちは自業自得。そして主人公カップルはお幸せに。 (追記)原題はシンプル過ぎて今ひとつですが、かと言って邦題は「まるでタランティーノ」を引きずっているみたいで少々欲しがり過ぎでは?[インターネット(字幕)] 7点(2024-07-04 14:58:26)《改行有》 320. 新感染半島 ファイナル・ステージ 《ネタバレ》 予告編やあらすじ紹介を見て「これは続編と言いつつ別物だな」という予感がありましたが、完全に別物でした。 ただし、だからと言って面白くないということもなく、物語としての意外性は殆どないながらも、豪快なカーアクションやゾンビや武装集団相手のバトルシーンは見応え十分。実写ではないと判っていても手に汗握るシーンは多々ありました。作り手には失礼かも知れませんが、シンプルにB級ゾンビアクションとして見る限りは上質ではないかと。 強いて不満点を挙げるとすれば、主人公が重要な決断を迫られるシーンは悉く間延び感が否めず、「その状況でアンタなんでそんなにのんびり逡巡してるの?」みたいなシーンが何か所もありました。主人公に限らず、演出上の独特の間が気になりましたね。観客の感動を呼びたいというのがありありとしていると言うか。監督は同じ方だと思いますが、前作ではそれほど気にならなかったように記憶しているのですが。 ともあれ、続編と言うことは脇に置いた上での6点献上です。[インターネット(字幕)] 6点(2024-07-01 11:52:15)《改行有》
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