みんなのシネマレビュー |
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22. 野良犬(1949) 高評価が続く中で申し訳ないが、私はダメでした。古いので仕方のない面もありますが、とにもかくにもセリフが半分ぐらいしか聞き取れない。字幕を付けるぐらいの配慮が欲しかったかなと。 お話としても、「野良犬」的な執拗さは見どころの一つでしょうが、「まあがんばって」という感じ。いろいろ展開はしても、やはり時代のせいもあってテンポが遅く感じるんですよね。 ただし、戦後間もない日本(東京?)の様子がわかるという意味では非常に面白かった。家屋とか食事とかが軒並み貧しそうなのは当然としても、すでに風俗店が盛況で、バスや電車もほぼ満員。そして何より、あの満席の巨人戦がすごい。〝敗北を抱きしめて〟復興に向かう日本人の、底知れぬエネルギーを目の当たりにした感じです。[CS・衛星(邦画)] 5点(2025-03-25 04:33:07)《改行有》 23. フォールガイ これまでエミリー・ブラントの出演作を何本か見てきましたが、もっとも年齢を重ねているはずのこの作品が、もっとも若々しく、かわいらしく見えました。女性は(おそらく男性も?)、実年齢や化粧具合より置かれた環境によって輝きもすればくすみもするということで。 作品自体はお気楽な痛快アクションものという感じ。ふだん見過ごしがちですが、たしかにスタントマンというのはすごいなと敬服するばかりです。 しかし考えてみれば、世の中のサラリーマンというのも、会社やそのトップや上司のスタントマンのようなもの。どんなに活躍しても当たり前のように受け流され、逆に失敗すれば自己責任。そんなことをふと思いつつ物語を追っていると、ついライアン・ゴズリングを必死で応援したくなります。 ただスタントマンも、安全第一の観点から、AIにどんどん置き換わるかもしれません。ちょうどサラリーマンがAIに仕事を奪われるように。[インターネット(字幕)] 7点(2025-03-22 02:02:09)(良:1票) 《改行有》 24. 鬼龍院花子の生涯 《ネタバレ》 今さらながら初見。聞きしに勝る傑作でした。とにもかくにも仲代達矢がいい。威厳や怖さを存分に放つ一方で、妙にコミカルで単純でエロさもある。実に人間味溢れる親分でした。そして終盤の没落と、殴り込みと、落胆しつつ去る姿がまた美しい。 それから鬼龍院花子=夏目雅子だとばかり思っていたのですが、冒頭で違うと知って驚き。むしろ花子の出番は少なく、ほとんど夏目雅子が主役でした。しばしば訪れる涙を流すシーンも、有名なタンカのシーンも、これまた美しさに溢れています。 しかし、やはりこの物語はこのタイトルでしかあり得ない気がします。結局、仲代達矢も夏目雅子も岩下志麻も、花子に翻弄される人生でした。それからもう1つ、この映画では描かれていない部分があって、邪道ながら最後まで見た後で冒頭のシーンを見返すとはっきりします。一連の騒動の後、花子がどういう「生涯」を辿ったか、どんな境遇で手紙を残したか、想像するだけで息が詰まりそうになります。40年も昔の映画に感情移入するのもアレですが。[CS・衛星(邦画)] 9点(2025-03-18 03:07:42)(良:1票) 《改行有》 25. 哭声/コクソン スティーブン・キングと「エクソシスト」を混ぜたような感じ。見る者を怖がらせ、あえて混乱させることが主たる目的で、事の真相とかは「勝手に想像してください」ということかなと。いろいろ聖書に則った伏線とかがあるそうで、知識がある人にはピンと来るらしいのですが、たぶんそれもある種のこじつけで、全体的な整合性はないでしょう。 それを差し引いても、すっかり怖がりつつ混乱させてもらいました。このじっとり暗い雰囲気と、物語がグイグイ展開する勢いと、冬の設定なのに汗臭いほどの熱演と、最後までつきまとう「?」と、それだけで十分です。もう1回見たいとまでは思いませんが。[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-03-14 03:47:09)《改行有》 26. トゥルーライズ 今さらながら初見。可もなく不可もないド定番のアクションコメディという感じ。個人的に面白かったのは序盤。ホテル内でのバイクと馬の追いかけっこはなかなか迫力がありました。奥さんが絡むあたりからが本筋でしょうが、むしろスケールが急に小さくなったようで肩透かしを食らい、終盤の派手なドンパチや救出劇に至っては「ああまたか」という感じ。相変わらず夫婦愛・家族愛を高らかに歌い上げるのがお好きなようで。[CS・衛星(字幕)] 5点(2025-03-11 01:52:50) 27. エクストリーム・ジョブ これは面白い。見たことのある役者はゼロながら、最初からバタバタした世界観に引き込まれます。笑わせる気満々で、徹底的に荒唐無稽に振り切っている感じがいい。登場人物のキャラも立っているし、しかも終盤には定番の激しい暴力シーン付き。なーんにも考えずに見たいとき、必要十分な作品です。[インターネット(字幕)] 8点(2025-03-09 20:56:10) 28. 正体 原作もドラマ版も知りませんが、現実に冤罪事件も誤認逮捕も逃亡劇も起きていることは、周知のとおり。それぞれいろいろな要素が絡み合って、こういう社会的エラーに至っているのだと思います。 この作品もそんな現実をフィクション化したような感じですが、お話があまりに単純過ぎませんかね。一見単純に見えるこの事件には、こんな裏があったんだよと見せてくれるのがフィクションの醍醐味じゃないかなと。複雑だったかもしれない要素をごっそり削ぎ落とし、登場人物をくっきり善人と悪人に分けてしまうと、それはもう「水戸黄門」とか「暴れん坊将軍」とかの世界です。そういうのが見たい場合はいいけれど、せっかく直近の新作で、しかも話題の役者がゴロゴロ出ている以上、もう少し今風のヒネリを期待していました。 ついでに言うと、これだけ話題の役者がゴロゴロ出ているのに、レビューの数がこんなに少ないのはなぜでしょうか。誰も見ていないのか、見ても評価に値しないと判断されたのか。[インターネット(邦画)] 4点(2025-03-07 01:55:14)《改行有》 29. スパイダーマン:ホームカミング 《ネタバレ》 アベンジャーズの世界観とか、よく知らないままに鑑賞。それでもそれなりに楽しめました。 まず、あれだけ痛めつけられてなお元気はつらつなスパイダーマンの身体構造はいったいどうなっているのか、ぜひ知りたいところ。 それから面白いのは、こういうアクションものには珍しく、敵味方ともたった1人の犠牲者もいないこと。何らかの配慮なんでしょうか。 そしてもう1つ、配慮といえば「多様性」への配慮も見逃せません。憧れの女性が黒人(と白人のハーフ)、親友がアジア系、その他クラスメート等や敵方にもヒスパニック系や黒人などいろんな人種が実にバランスよく配置されていた気がします。こうでもしないと面倒くさい筋からクレームが来たりしたんでしょうか。 しかし今や「トランプ皇帝」の時代。これから似たような作品が作られるときは、もう容赦なく白人だらけかもしれませんね。[CS・衛星(字幕)] 6点(2025-03-01 01:33:57)《改行有》 30. 工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男 《ネタバレ》 スパイものらしいハラハラドキドキ感は今ひとつながら、地に足がついた安定感があります。無理な設定や異次元なハイテク機器が登場しないところも好感が持てます。トム・クルーズにはぜひ見習ってほしいところ。大統領選をめぐって韓国与党と金正日が連携していたというのも面白い。どこまでが本当かは知りませんが、あり得ない話ではないかなと。 それはともかく、北朝鮮が登場する韓流映画はいろいろありますが、たいていパターンは一緒のような気がします。国家としては対立しているものの、人レベルでは友情とか愛情とかが芽生えて葛藤したり共闘したり。そしてけっして優劣の決着はつけません。相手が日本だとコテンパンに叩いたりするわけですが。ここには願望が少なからず込められているのでしょう。 で、この作品でも終盤に双方が「祖国のために」などというセリフを吐くわけですが、これはそれぞれの国ではなく、いつか実現してほしい統一朝鮮のことを指しているのかなと。昨今の状況を鑑みるに、まあ当面無理でしょうけど。[インターネット(字幕)] 7点(2025-02-26 02:55:33)《改行有》 31. ハリウッドランド 《ネタバレ》 要するにハリウッド版「羅生門」のような感じ。やはり結論は出さず、「勝手に解釈してください」というわけで、見終わってもあまりスッキリしません。それに「羅生門」と違って途中も地味なシーンの連続なので、あまりパッとしません。実話ベースの限界でしょうか。 しかしこれ、2つの物語がパラレルに進行するわけで、それぞれをもう少し深堀りしたくれたら面白くなった気がしないでもありません。1つは役のイメージが付きすぎた役者の悲劇。映画会社のトップの奥さんが愛人というのも、プラスなのかマイナスなのか微妙なところ。この設定だけで、いかようにも展開しそうでゾクゾクします。 もう1つはやさぐれた探偵の徒労感。カネにならない事件をなぜ追い続けるのかといえば、おそらくはスーパーマンの死に落胆する息子のため。2つの物語に共通するマントを燃やすシーンで、なんとなくそう匂わせているように感じました。脅されて泥酔した状態で真っ先に向かったのが息子のところというのも、心情的にはわかります。 そしてラスト、結局何も得られないまま終わりますが、一転パリッとネクタイまでして息子を迎えに行くわけです。父親として矜持を見せたのかもしれませんが、どう心のオトシマエをつけたのかはよくわかりません。 というわけで、なんとなく面白そうかなという期待感は持たせてくれましたが、期待感だけで終わりました。[CS・衛星(字幕)] 5点(2025-02-24 03:11:35)《改行有》 32. 北の螢 《ネタバレ》 別にどうでもいいのですが、唯一聞き覚えのある「永倉新八」でざっと調べたところ、仲代達矢が演じた人物にはモデルがいたんですね。しかもたいそう立派な人物で、現地の地名になっているし像まで立っているらしい。それがこの作品では、やたら粗暴な人物として描かれていました。物語としてもひたすら過酷で暴力的。フィクションとはいえ、知っている人が見たらずいぶん違和感を覚えたことでしょう。 で、そもそも岩下志麻がミスキャストのような気がします。「極道の~」のイメージが強すぎるせいか、京都から囚人の男を追いかけてくるような健気な女性には見えない。それに露口茂も、あっさり寝取られ、しかも目の前でイチャイチャされて嫉妬心メラメラなはずなのに、そのあたりがまったく描かれていません。 何か悪巧みをしてくれそうだった成田三樹夫も小池朝雄も丹波哲郎も早々にいなくなるし。全体として消化不良な感じです。[CS・衛星(邦画)] 4点(2025-02-21 03:08:39)《改行有》 33. ペイ・フォワード/可能の王国 《ネタバレ》 ケヴィン・スペイシーがケヴィン・スペイシーらしからぬ役どころで残念。彼にはもっとイヤらしくひねくれてもらわないと、本領を発揮できない気がします。単なる厄介者のボン・ジョビというのも珍しい。 それはともかくこの作品、よく言えばねずみ講の逆流バージョン、悪く言えば新興宗教誕生物語という感じ。いずれにせよ違和感が募ります。インネンレベルのケチをつけるとすれば、善意の境界線が恐ろしい。電車で3人の老人や妊婦さんに席を譲ったら、もう義務は果たしたとばかり、それ以上は譲らなくていいってことにもなりかねません。 そして他の方も指摘しているとおり、少年の死が唐突すぎます。察するに、〝信者〟が一堂に会する感動演出をラストシーンにするためには、〝教祖様〟に殉教してもらうのがもっとも手っ取り早かったってことかなと。[CS・衛星(字幕)] 3点(2025-02-16 09:45:18)(良:1票) 《改行有》 34. 学校 《ネタバレ》 いわゆるイヤな奴が一人も出てこない、よかれ悪しかれ安心して見ていられる作品。こういう世界もあるんだなあと思う反面、年齢も背景も異なる生徒が集まって、これほど和気あいあいとなるんだろうかという違和感も残ります。後半の田中邦衛のエピソードにしても、ある意味で実に都合よく退場してくれたおかげで愛憎ドロドロに発展せずに済んだわけで、どうも世の中の「きれいなとこ取り」に終始している気がしないでもありません。 とはいえ、もし自分が中学生に戻って担任を選べるなら、常に説教臭い武田先生より常に汗臭い西田先生を選択することは間違いありません。[CS・衛星(邦画)] 6点(2025-02-15 04:02:51)《改行有》 35. 陽暉楼 青空さえも曇って見える、このジメジメ感こそ古き良き日本映画。男尊女卑が当たり前の花街で、それでも女には女の意地があり、嫉妬があり、競争があり。そのバトルがこの作品の一つの売りなのでしょう。 それはそれとして、アクの強い男たちもいい感じ。どっしり存在感のある緒形拳はもちろんのこと、小池朝雄とか成田三樹夫とか、いかにもクセがありそうというかクセしかなさそうな面々が物語に花を添えています。前年に「銀ちゃん」で一世風靡した風間杜夫が霞んでしまうほど。こういう役者は、最近なかなかいないんじゃやないでしょうか。一見コワそうで実はいい人、もしくは無理をして悪役を演じているというのばかりで。雲天ジメジメな日本映画の復活に期待したいところです。 あ、作品としては少々長くて飽きます。[CS・衛星(邦画)] 6点(2025-02-12 01:26:53)《改行有》 36. エルヴィス その昔、YouTubeでプレスリーが「Bridge over troubled water」を歌っているのをたまたま見て、いたく感動した覚えがあります。あの力強くて暖かみがあって包み込むような声は、たしかに人気が出るだろうと。本家が歌うより曲のイメージに合ってるんじゃないかと。それまではド派手な衣装で腰をくねらせながら歌うオッサン、ぐらいにしか思っていなかったのですが、認識を改めました。 で、この作品。前半は紙芝居のようにナレーションベースで、激しく切り替わる映像では物語が進行しません。ちょっと変わってるなという印象。後半になってようやく落ち着き、いろいろバックステージが描かれます。どこまでもアクの強いトム・ハンクスがいい感じ。それにしてもやや長くて疲れます。 しかしスターというのは、どうしてこうハッピーなまま人生を終えられないんですかねぇ。スターだからなのか、それとも人間誰しも掘り下げれば似たようなものなのか。[CS・衛星(字幕)] 6点(2025-02-09 04:46:12)《改行有》 37. 君がいた夏 今さらながら初見。タイトルはすごくいい感じ。ノスタルジック感満載の青春映画かなと期待したのですが、少々期待はずれでした。皆様ご推奨のジョディ・フォスターが、私にはやたら元気ではすっぱなアメリカン姉ちゃんにしか見えない。もっと主人公の印象に残るような、濃厚なドラマがあってもよかったんじゃないかと。デビッド・フォスターのいかにもな音楽で盛り上げてはいましたが、どうにも薄味な気が。まあ青春時代の思い出なんてこんなもの、と言ってしまえばそれまでですが。[CS・衛星(字幕)] 5点(2025-01-30 02:04:37) 38. クイズ・ショウ テレビ業界の信用が地に落ちている昨今、なかなかタイムリーなお話でした。スポンサーのご意向に翻弄される姿がなんともリアル。しかし昔は、番組に「やらせ」があってはいけないという明確なルールがあったんですね。わざわざ政府機関が調査に乗り出すというのが驚きです。今なら人員がいくらいても足りないでしょう。 逆に言えば、我々は多くの番組を「どうせやらせだろう」と思って見ているわけで、別に最初から期待していないというか、話半分に見ているというか。それを視聴者の目が肥えたためと見るか、テレビ業界の慢心と見るかは微妙なところです。 ただしこの作品でも、小賢しい人間は巧妙に生き残りました。このあたりは昔も今も変わらないようで。[CS・衛星(吹替)] 8点(2025-01-26 03:39:36)(良:1票) 《改行有》 39. 虹をつかむ男(1996) 主人公の(というか山田監督の)映画愛に満ち満ちた映画。ですが、性根の悪い私だけかもしれませんが、人が自分の好きなものについて熱っぽく語っているのを聞かされると、逆にだんだん冷めてきません? そんな作品です。 特に冷めたのは、小学校の文化祭で「禁じられた遊び」を出張上演する場面。あれは拷問もしくは虐待に近いと思う。たった1人の生徒が、いかにも硬そうな椅子に座らされ、しかも周囲を大勢の大人たちに囲まれ、別に本人が「見たい」と希望したわけでもない映画を強制的に見させられる。映画愛に満ち満ちた大人たちはよかれと思ってやっているのでしょうが、自己満足でしかありません。もう子どもが気の毒で気の毒で。もう田舎暮らしは嫌だ、早く都会に出たいと固く決意したことでしょう。 なんとなく、「時計じかけのオレンジ」の有名なあのシーンを思い出しました。そんな作品です。[CS・衛星(邦画)] 5点(2025-01-08 01:21:37)《改行有》 40. ブルークリスマス 《ネタバレ》 宇宙から飛来者が表れたら、人類が一致団結して戦おう、もしくは使命感に燃える絶対的ヒーローの活躍に期待しようというのが一般的なハリウッド流だと思います。それに対してこの作品は、飛来者を追い払うどころか各国の為政者が便乗して陰謀を巡らし、権力基盤の強化に動くらしい。かなりの変化球ですが、それにしてもすごく無理があるように思います。 ホロコーストに象徴される民族浄化の動きを暗に批判しているようですが、いわゆる民族と、知らないうちに勝手に血の色を赤から青に変えられた一群とでは根本的に違います。いわばコロナ感染者を片っ端から抹殺するようなもので、そんな為政者が支持を集めるはずがありません。 それに何より、得体の知れない飛来者に対して何ら策を講じないところがすごい。打つ手なし、という設定なんでしょうか。それならいくら青い血を抹殺してもキリがないわけで、そのうち人数が逆転するか、または殺し合って人類全体が滅亡するかのいずれかでしょう。世の為政者もそこまでバカではないと思いたいところです。[CS・衛星(邦画)] 4点(2024-12-29 01:48:51)《改行有》
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