みんなのシネマレビュー |
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21. ジャッキー・ブラウン 一見特に見せ場の無い冗長なストーリーを、人物を中心に持ってきて2時間半、全く飽きさせない。相変わらず台詞回し、音楽も最高。ディテールの細やかさは絶品。繊細さと大胆さ、その両面を併せ持ったタランティーノは、やはりすごい。 9点(2004-01-06 04:07:15) 22. テキサス・チェーンソー 《ネタバレ》 この映画で僕がおぞましいと感ずるのは、全編に漂うおどろおどろしさよりも、青春真っ只中の若者たちが絶望していく様である。“死体を放置できない”といった良心が仇となっていくのも見ていて辛いし、特にモーガンが保安官に理解されず追い込まれていく過程は恐怖とは違った“やるせなさ”を深く心に刻み込む(この意味で、その保安官の正体の意外性は不要に感ずる)。加えて描かれる、閉鎖性が生むレザーフェイス一家の狂気。直接的なグロ描写はほとんど無いにもかかわらず、“嫌なものを見た”という気持ちになるのはこうした“精神的グロ”とでも呼ぶべきプロットのせいだろう。映画としての完成度で言えば10点でも良いのかもしれない。ただ、全くのフィクションをホントの話のように見せ掛け恐怖感を煽るのは卑怯(よくあることなのかもしれないが、この映画は程度が甚だしい)。もう1点不満を挙げれば、レザーフェイスをモンスターのように見立てるよりは、前半の”見えない恐怖”をもっと前面に出しても良かったのではないかと思う。多分本作は2度は見ないだろうが(ちょっとしたトラウマ)、いつかオリジナルは見てみたい。8点(2004-09-14 06:53:26)(良:2票) 23. ホワイト・オランダー 《ネタバレ》 美しさと鋭いトゲを併せ持つ母と、自分自身もトゲを持ちながらも母のようになりたくない、と自身のアイデンティティーを模索する娘。母に待たされる車中など、アストリッドが主観的に長く感ずる部分は贅沢に時間を取り、それ以外は思い切ってカットしているように思うが、それだけにアストリッドの心の変遷が浮き彫りになっていたと感ずる。“強い母”が、変わったアストリッドを見て言葉を失い、娘を責めるよりは自分を責めたのが印象的である。ラストの“どんなに私を傷つけようと、母は私を愛している”というアストリッドの帰結に、親子の絆の強さと同時にその哀れさを感じた。静かに心に染み入る1本。8点(2004-09-14 06:47:10) 24. ファインディング・ニモ 実物よりも綺麗なんじゃないかと思わせる程の芸術的CG(特にクラゲ!)と、マンガ的なキャラクター(特に表情)が見事に融合しているのがすごい。“主に子供向き”のストーリーであることは確かだけど、まあアニメ見るときぐらい童心に帰りたいものです。8点(2004-08-31 12:46:47) 25. ルール2 出たぁ、腎臓泥棒(笑)!!!ラスト、レベッカ・ゲイハートの登場もそうだけど、(前作の)ファンをニヤリとさせるこういうの、大好きです。前作に比べれば凡作の印象は拭えないものの、都市伝説の扱い方を1とガラッと変えることで全くマンネリ化していないのはすごいと思う。都市伝説の意義が薄れてしまっているってのは事実だけど。前作同様、ロレッタ・デヴァインが見事に笑いの要素をプラスしていていい。昔のパム・グリアーの映画見てみようかな。。。3以降は実際は続編でないので要注意。意図的に翻訳を改変してる箇所もあるし、、、映画の製作者たちと違って日本の映画会社にはガッカリですよ、ホント。しかし皆さんの点数低いですね(笑)。。。8点(2004-08-18 04:08:43) 26. ルール ファーストシーンが素晴らしい映画は素晴らしい(by おすぎ)!初っ端から一気に引き込むプロットの巧みさ、“身近な恐怖”である都市伝説の要素を見事に加えたストーリーの斬新さ、そして何よりレベッカ・ゲイハートのラストの演技がすごい!“Ding, ding, ding, ding, ding!(字幕は‘ピンポーン!’)”のとこは思わず巻き戻して繰り返し見ちゃったからね。エログロのツボもしっかり押さえてると思うし、スクリームもいいけど(1のみ)こっちもいい!って褒め過ぎかなぁ。8点(2004-08-18 03:55:11) 27. ブルース・オールマイティ 俳優ジム・キャリーもいいけど、やっぱりコメディアンとしての彼も良い。しっかり笑えて、しっかり泣けて。途中素晴らしき哉~がテレビに映るのも、オマージュの示し方として良いと思う。戸田さんは上手い字幕を作っていると思いますが、出来れば英語で見たいですね。にしても、神が黒人というのは何か示唆的だなぁ。8点(2004-05-04 04:10:26) 28. めし 地味ながら情感豊かな良作だと思う。ただ、成瀬は女を撮るのに長けていたと聞くが、僕はその点では小津の方が上だと思う。本作での原節子は何かゴツい。強そう。今の時代こういう話を作るとフェミニストがうるさいんだろうな。良くも悪くも日本的な妻像ですね。8点(2004-05-04 03:01:11) 29. 雨に唄えば 全編ハイテンション、否、もうハイエスト・テンションって感じで、本当に楽しい。サイレントからトーキーへの過渡期という割と重いテーマを扱いつつも、良い意味であっさりしている。映画産業の舞台裏、という設定が作り手と見る者の距離を格段に縮める。アップなし、長回しの嘘偽りごまかしの無いジーン・ケリー、ドナルド・オコナーのアクロバティックなダンスには思わず口が開いてしまう。昔の人はすごいなー、と。凹んでる人には特に薦めたい。逆境の象徴とも言える“雨”をも味方にしてあれだけ楽しそうに歌い、踊るジーン・ケリーを、是非見てもらいたいから。8点(2004-03-19 09:23:26)(良:1票) 30. ブルース・ブラザース 締まりのないストーリーであるが(そこが良い、という人も多いのだろうが)、ザッツ・エンターテインメント!というノリが最高に心地良い。レイ・チャールズ、ジェームズ・ブラウンなどなど、誰でも知っているような大御所の出演(設定も面白い!)、シュールな笑い、ド派手なアクション。カークラッシュはこんなの見たこと無い!という凄さ。全編に漂うウサン臭さ、B級っぽさを味方につけ、大笑いではないがきちんと笑わせ、楽しませてくれる1本。8点(2004-03-19 09:17:29) 31. 早春(1956) ドロドロの人間関係をサラッと描いてしまう小津の凄さ。戦争の傷跡を小津が(主テーマではないとはいえ)割と直接的に描くのは珍しいのではないかと思ったのだが、まだまだ小津作品を見足りない証拠なのだろうか。様々な複雑な感情を内に秘めながらも爽やかに蛍の光を合唱するシーンが印象的である。毎度のことであるが、カットバックの妙が冴える。8点(2004-03-19 09:09:49) 32. 浮草 有名な雨の中での軒下の口喧嘩シーンは、有名だと知らなかったがやっぱり印象に残った。いつもより構図の奇抜さ、カメラのローポジション具合が際立って感じられたのは、デジタルリマスター版だったからか、撮影が宮川一夫だったからか、それとも小津映画を久し振りに見たからか(笑)。結局は離れられない男と女と、結局くっつけない男と女と息子の、哀しい人間模様。ただ、清と加代の恋はあまりに唐突でうまくいきすぎって感じがした。若さゆえ、と言えばそれまでだけど。8点(2004-03-11 11:44:00) 33. チャーリーズ・エンジェル(2000) 狙わないでバカなより、狙ってアフォな方がずっとマシだと思う。8点(2004-03-06 05:30:55) 34. アラビアのロレンス 決死の砂漠横断には息が詰まり、決闘のシーンには息を呑む。昨今のCGを多用した映画の方が確かに見た目はすごいが、この映画にあるような“感じさせる”ものが無い。ロレンスの狂気が、そして最後に彼が感じる虚無感が、身に染みるように伝わってくる。どれだけ史実に忠実であるかについては僕は分からないが、グローバリゼーションという言葉が叫ばれて久しい今日、民族とは何かを根源的に問う本作は絶対に見ておきたい。8点(2004-03-06 05:28:08) 35. クレイマー、クレイマー 誰が悪いとかそういうことではなく、誰もが同じ結果を望んでも現実はなかなかそれを許さない。そういう人間関係の不条理さ、哀しさみたいなものを感じました。子供のピュアさが、痛い。テッドもジョアンナも本当は子供と同じものを望んでいるのに。ただ、僕にはその後、2人は復縁したんじゃないか、と思う部分があります。フレンチトーストに象徴される、見栄っ張りなテッドが変わっていく過程に心打たれました。親は完璧でなくてもいい、子供に弱みを見せてもいいんだ。僕はそう思います。8点(2004-02-26 15:26:06)(良:2票) 36. 愛と青春の旅だち ベタだけど、憎めない。そういう映画の典型的なものではないでしょうか。結構あっさりしてる(メイヨの過去をあまり描かないとか、入隊直後の様子をカットしてるとことか)のがいいのか悪いのかよく分からないですが、感動はするし、ダークな面もきちんと描いているのでこの点数。8点(2004-02-22 13:15:27) 37. 情婦 個性的で魅力的なキャラクターと、テンポの良い展開が気持ち良い。シリアスとコミカルのバランスが絶妙で、互いの要素を高め合っている。8点(2004-02-21 18:46:53) 38. 直撃!地獄拳 B級にはB級の良さがあると、心から実感できる作品。徹底的に、バカ。それにしても、タランティーノはオマージュとパクリのギリギリのラインって感じ、しませんか?8点(2004-01-20 12:55:06) 39. 心中天網島 浄瑠璃劇と映画のミックスであるが、その両方の利点を活用している前衛性に富んだ意欲作。感情剥き出しの人物と、作られた”劇”であることを印象付ける要素との対比は、ユーモアとも取れるし、皮肉とも取れる。白黒の色彩美は、天才的である。8点(2004-01-11 12:27:11) 40. キル・ビル Vol.1(日本版) オマージュで彩られたバカ映画。一言で言ってしまえばそれまでだが、それはジャンルを超え、様々なテクニックを駆使して繰り広げられるスタイリッシュな映像世界に裏打ちされている。本当は10点を付けたい。それぐらいの作品だと思うが、日本語が聞き取れない(これもオマージュと取れなくはないので、字幕を付けなかった日本の配給側の責任か)のと、凄惨なバイオレンスはその意義は分かるが生理的に受け付けない部分が無きにしもあらずだったので、残念ながらこの点数。8点(2004-01-06 04:23:14)
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