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プロフィール
コメント数 913
性別
自己紹介 ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。
「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。
映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。
目指せ1000本!

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【製作年 : 2020年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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21.  映画 ゆるキャン△ 《ネタバレ》 変化と不変、終わりと始まり。 いつもの緩やかな世界と付かず離れずの友人関係はそのままに、一抹の寂しさをまとっている。 大人になったからこそできるものがあれば、それ相応にしがらみも責任も伴う。 紆余曲折しながらキャンプ場を完成させていくプロジェクトX的な筋書きに、 アウトドアものならではのディテールが積み重ねられ、趣味への向き合い方の一つの答えかもしれない。 テレビアニメ未見でも話についていけるが、知っていれば分かる感慨深いシーンが数多く散りばめられていた。 彼女たちは10年後も、家庭を持っても、これからもきっと変わらないのだろう。[映画館(邦画)] 7点(2024-02-24 00:36:44)《改行有》

22.  落下の解剖学 《ネタバレ》 有罪か、無罪か? 自殺か、他殺か? そんなものはどうでも良くて、裁判によって暴かれる夫婦の拗れを中心に据えている。 親密な夫婦仲でも所詮は赤の他人。 交通事故による息子の視覚障害から始まる生活苦、作家志望の夫の嫉妬と余裕のなさ、他方では妻の成功、やがて… ある家族の一年間を断片的に見て、分かった気になって、 エンタメとして消費しているだけでしょ?と問われている気がした。 そう考えると筋書きは至ってシンプルで下手したら何も起こらない。 勝手に期待して盛り上がっている傍聴席の我々に対するフランスらしい皮肉が効いている。[映画館(字幕)] 6点(2024-02-24 00:16:57)(良:1票) 《改行有》

23.  スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム 《ネタバレ》 スパイダーマン=ピーター・パーカーとは誰か?に対する一つの答え。 MCU作品というより、歴代スパイダーマン映画への気配りがされており、 トビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィールドとの共闘だけでなく、 歴代ヴィランたちもウィレム・デフォーを始めとするオリジナルキャスト大集合でよく揃えたものだ。 一番盛り上がったのは彼ら一人ひとりが登場していき、一つに集束していくことだろう。 それ故に、マルチバース設定を使いたいがために、強引で余計な展開が際立ってしまった。 進路を理由にピーターが余計なことをしなければ何も起こらなかった話であり、メイ叔母さんはただの犬死に近い。 ヴィランの救済なんて、こちらの世界線には何の関係もありゃしない。 なので感動する展開も間延びした印象を受けてしまう。 狂いに狂った時空の歪みを修正するため、ピーターの再度の願いで彼自身、忘れ去られた存在になっていく。 アベンジャーズにいたことも誰も知らない。 自分自身に親友や恋人もいたことも誰も知らない。 孤独になったスパイダーマンは真の意味で"親愛なる隣人"としてスタートを切る。 ほろ苦さを感じさせるも重い宿命を背負う、スパイダーマンならではの完結編だった。[地上波(字幕)] 5点(2024-01-29 21:56:30)《改行有》

24.  ヴィーガンズ・ハム 《ネタバレ》 衝動的に殺した過激派ヴィーガンの肉を勘違いで売ってしまい、繁盛してしまう肉屋の夫婦。 グロはあれど臓物系・欠損死体なし、作り物感も強く、90分未満の上映時間でテンポ良く進んでいく。 さしずめ『スウィーニー・トッド』をもっと軽くポップに仕上げたブラックコメディ。 (どちらかと言えば、『シリアル・ママ』に近い)。 …と題材は面白そうだけど、期待が大きすぎた。 笑えるシーンはあれど、後半から失速して妙にシリアスになってしまったのが原因。 元から冷めているようで次第に狂気を帯びていく妻に、殺人に葛藤していく内に戻れなくなっていく夫。 経営も結婚生活も破綻寸前で、過激派ヴィーガンの言動と嫌味な同業者夫婦に一線を越えていく説得力はあるけれど、 もっとコメディに振り切っても欲しかった気がする。 ラストの一言である「ウィニー」に全てが詰まっている。 心臓病を抱え不遇な境遇を持った善人であり、彼の死で止めるか、エスカレートしていくかの分水嶺だった。 過去の発言を悔い、価値観の異なる人たちを理解して歩み寄ろうとした娘の彼氏もいたが、 夫婦にとって肉付きの良い女子供すら食糧としか見ていない皮肉。 極端なヴィーガンも問題だが、その逆も同レベルでしかない。 カニバリズムによる食欲減退で菜食主義者になりそうなメタな構図を鮮やかに切り取る。 元々胃腸が弱く、お腹に溜まりやすいので肉は消極的だが、思想を押し付けず、黙って命を頂くとしよう。[インターネット(吹替)] 5点(2024-01-27 12:48:10)《改行有》

25.  ゴジラ-1.0 《ネタバレ》 山崎貴は苦手な監督だ。 『ALWAYS 三丁目の夕日』『STAND BY ME ドラえもん』のような感動ポルノ並みのゴリ押し、 『リターナー』みたいにハリウッドの名作SFアクションのパッチワークでそこに新たなオリジナリティもなく。 未見のドラクエ映画でいろいろやらかしたことも知っている。 その本作がアメリカで、 クリストファー・ノーラン監督作『オッペンハイマー』の姉妹作に近い立ち位置の絶賛を受けており、 モノクロ版をきっかけに鑑賞することにした。 既にレビューにある通り、過剰にウェットな人情ものが迫力ある容赦ないCG演出と上手くマッチしており、 モノクロによって監督特有の作りもの感が軽減されているのも大きい。 余計なものが削ぎ落され、見易くなったとも言える。 それでも人間ドラマと演出にもう少しドライさは欲しかったし、 中盤で死んだヒロインが実は生きていたというご都合展開はどうかと思ったけどね。 もちろん不穏な要素が隠されているのは分かったし、初代ゴジラとの間にもう一本続編を作るかもしれない。 まあ、つまり言えることは、悔しいが良作ということ。 8点でも良かったが、結末が分かってしまう脚本&ミスマッチでクドいドラマパートに-1点、7点献上します。[映画館(邦画)] 7点(2024-01-12 23:12:28)《改行有》

26.  RRR 《ネタバレ》 『トップガン マーヴェリック』と並び、2022年を代表する洋画ということで今更ながら鑑賞。 実在した二人の独立運動家が空白の4年間に出会っていたらを描いた、究極の"ファンタジー"であり、 ブロマンスものとしても共闘胸熱アクションが次から次へと繰り広げられ、3時間がそこまで長くない。 盛り上がりが延々と続いて、最終決戦が物足りないジレンマはあるけど。 "ファンタジー"と称した通り、史実にないインド総督を倒して歴史改変している。 (スコット総督は流石に架空の人物だがモデルはいる)。 そのためイデオロギーは感じなくもないが、あれだけ現実離れした展開ばかり続いたら、 重いテーマなどどうとでもよくなってしまう。 一応綺麗にまとまっているものの、続編の世界を見てみたいと思わなくはない。 ツッコミどころ満載を力業でエンタメに昇華させたS・S・ラージャマウリに拍手。[インターネット(字幕)] 7点(2024-01-01 20:29:24)《改行有》

27.  劇場版 SPY×FAMILY CODE: White 《ネタバレ》 描かれている内容はいつものSPY✕FAMILYです。 劇場版のため、相応のスケールになっているものの脚本が大味すぎる気がする。 第一印象としては映画クレヨンしんちゃんを少々シリアスにスタイリッシュにしながらも適度にギャグ多めと。 『暗黒タマタマ大追跡』『電撃!ブタのヒヅメ大作戦』ぽさが随所に見られる。 タイプFはともかく、スナイデルとドミニクとルカがボコられてそのまま退場は消化不良。 末路等もう少し掘り下げて欲しかったなと。 ロイドもヨルも立ち回りが凄すぎて、アーニャに隠す素振りも見せず、 三者三様、互いに正体がバレてもおかしくないのに。 ロイドの異動危機や浮気疑惑や伝統菓子がクーデターに絡むには弱めで、 早い段階で解決かあちらから自滅という形で収束。 フォージャー家以外の準レギュラーは顔見せ程度のちょっと台詞があるくらいで(フィオナはやや優遇)、 興行成績次第ではシリーズ化を見込めることも視野に、彼らの活躍は次回に持ち越しかもしれない。 そういう意味であえて腹八分目でこれからを手探りしているとも言える。 世界観とキャラクターの最低限の説明があるため、原作及びTVアニメ未見の人でも楽しめるだろうし、 一種のお祭り映画やファンムービーとして見ても作画もアクションもクオリティが高い。 とは言え、一本の映画として見るなら期待値を下げて見ることを勧める。[映画館(邦画)] 6点(2023-12-29 01:16:51)《改行有》

28.  伯爵 《ネタバレ》 チリで悪名高い反共独裁者アウグスト・ピノチェト。 失脚した彼は2006年に死んだが実は偽装であり、250年も生きている吸血鬼だった…。 そんな大胆な設定をモノクロで綴った風刺劇がヴェネチア国際映画祭で脚本賞受賞とのことで鑑賞。 そもそもピノチェトとはどんな人物か?を理解できないと退屈な作品。 新自由主義を推し進めて、チリ国内の格差を拡大させたらしく、血肉=富の隠喩であることは確か。 意外とゴア描写が多く、モノクロだからこそのお伽感が増す。 荒涼とした土地に建つ古びた屋敷で惨めに暮らす彼は死を願っていた。 そこに妻子たちへの遺産相続問題、軍服という権力に縋り付くロシア人執事に、 会計士として忍び込んだ悪魔払いのシスターと、それぞれの思惑が働いて二進も三進もいかなくなる。 若さに執着したピノチェトから吸血鬼にされたシスターが信仰から"自由"になり、空を舞うシーンが美しい。 終盤に明かされる、英語でナレーションしていた女性の正体は、なんと英首相だったマーガレット・サッチャー。 彼女も吸血鬼でピノチェトの母親だったというトンデモ設定のおかげで一気に映画が締まる。 底なしの自由を求めることは底なしの強欲を求めること。 ラスト、二人は吸血鬼の心臓を食べて、さらに若返る。 少年になったピノチェトを小学校に送り出すサッチャーの構図に、独裁政権と新自由主義の萌芽が潜む不気味さ。 "吸血鬼"は世界中、どこかに潜んでいる。 政治の中枢を担っている増税しまくりの総理大臣もきっとそうに違いない(苦笑)。[インターネット(字幕)] 5点(2023-12-22 21:06:27)《改行有》

29.  デリシュ! 《ネタバレ》 今でこそよく見られるレストランという形式が如何に誕生したか。 18世紀末のフランス革命前夜まで、美食は貴族のものであり、 庶民は飢餓と隣り合わせで食べることに必死だった。 旅籠には簡単な食事が提供されることはあれど、 それまで貴族も庶民も一緒に、個別のテーブルで、メニューから料理を選択することが今までなかった。 この視点でレストラン誕生の経緯を知ることがなかったので目から鱗である。 天に近い食材ほど至高で、土に根差したジャガイモやトリュフというポピュラーな食材が かつて貴族から豚の餌扱いされていたということも。 主人公と女性の織り成すロマンスは控えめで、 抑制された色遣いによる絵画のような映像美が美味しい料理を引き立てる。 そして傲慢な伯爵への強烈なカウンターパンチ。 封建社会の理不尽を受けてきた先人たちの努力によって新たな活路が見出され、 食文化が成熟・変遷していったかを興味深く見られた。[インターネット(字幕)] 6点(2023-12-09 22:24:42)《改行有》

30.  西部戦線異状なし(2022) 《ネタバレ》 1930年製作のハリウッド版は視聴済みであるものの、本作はリメイクではなく古典の反戦小説の再映画化であり、 現代の観点で脚色されたのもあるからか、似通ったシーンがほとんどないに等しい。 せいぜい冒頭の生徒たちの出兵を煽る教師と、中盤の妻子持ちの敵兵を直接殺してしまった狼狽ぐらいだろうか。 死んだ兵の服をはぎ取り、洗濯・お直しして新兵の服として提供するところからして、 ただの部品としか見ていない戦争の非情さを良く表している。 憔悴していく主人公の青年と並行する形で軍部上層部のやり取りで見られる豪華な食事もそう。 あと少しで停戦なはずがお偉いさんの大義のために無理矢理突入させられ、 理不尽な形で消費されていく主人公を含むその他大勢の兵士たちの死… 非常にオーソドックスながらハリウッド版とは違ったドライさが突き刺さる。 確かに今の時代だからこそ見るべき映画なのかもしれないが、現代ならではの新しい切り口が欲しかった。 もし本作みたいなことが日本で起こったら、我々にできることは国外脱出するか、 国会議事堂を包囲して大規模な反戦デモを敢行することくらいだろう。[インターネット(字幕)] 6点(2023-12-09 21:37:02)《改行有》

31.  ザ・キラー 《ネタバレ》 狙撃に失敗した殺し屋が婚約者を襲われ、報復で刺客と依頼者を淡々とじわじわと追い詰めていく。 まるで商品をただ消費するかのように、ルーティンワークの如く。 『セブン』の監督&脚本家の28年ぶりのタッグにしては非常にシンプルなストーリー。 その分、ストイックな空気感とソリッドな映像センスが際立っており、 立体的なサウンドデザインも合わさり、テレビの画面では堪能できないと思われる。 自己暗示をかけるが如く独り言が連なり、完璧な殺し屋になり切れない男のあがき。 最後の晩餐になってしまったティルダ・スウィントンによる熊と狩人の噺が象徴するように、 プロの矜持として後始末を全うしようとすることを建前に、 復讐という本音が僅かながらに彼を人間たらしめている。 婚約者とビーチで戯れる平穏なひと時も、殺し屋の宿命から逃れられないジレンマ。 アラン・ドロンの『サムライ』の系譜に近い、矛盾だらけの人間の美学を覗き込む。[インターネット(字幕)] 6点(2023-11-10 23:52:26)《改行有》

32.  ベイビー・ブローカー(2022) 《ネタバレ》 全編韓国語、韓国人俳優で構成されながらも是枝監督の底流を感じさせる。 赤子の人身売買は犯罪行為であるが善悪を二分にはできない複雑さを、 並行的に描かれるペ・ドゥナ演じる女性刑事スジンの視点も含まれていて新鮮だった。 非常に日本的な映画なので、韓国的な激しさを求めると期待外れかもしれない。 時折、話の分かりづらさもあり、訴求力が過去作ほどではない。 「捨てるくらいなら産むな」 「生まれてきてくれてありがとう」 相反する二つの台詞。 前者は正論であるがソヨンの事情を知るうちに、 キャリアのために子供を持てなかったスジンの心境に変化が起き、 後者は問題を抱えた疑似家族だからこそ己の存在を肯定できたのだろう。 自業自得で血の繋がった家族から縁を切られたサンヒョンを除いて。 この矛盾が作品に深みを増している。 僅かに繋がりかけていた二つの物語が終盤についに繋がる。 ウソンは、スジン夫婦と服役後のソヨン、最後の養子縁組の夫婦による、 たくさんの親(=社会)によって育てられていくのではないか。 サンヒョンとドンスは彼らに関わることはできないが、ウソンの未来を守ることができた。 大団円ではないにしろ、想像の余地を委ねる監督らしい綺麗な着地点だ。[インターネット(字幕)] 5点(2023-10-09 20:48:21)《改行有》

33.  ガールズ&パンツァー 最終章 第4話 《ネタバレ》 主戦力のあんこうチームが序盤で脱落し、残されたチームの運命を描いた第4話。 テレビアニメ第1話では全くの戦車道未経験者が、培われたノウハウと経験を総動員する。 54分の上映時間のうち、9割近くがアクションシーンのつるべ打ちでほとんどアトラクションの様相になっている。 あまりに目まぐるしく展開し、状況が分からなくなるくらいの情報量の多さと、 雪原を得意とする不敵な継続高校のBGMにいつ負けてもおかしくない緊張感があった。 後半の聖グロリアーナ対黒森峰の間に挟まれるサウナシーンを除くとずっとアクションシーン。 そりゃ製作に時間がかかるよね… 後半はもちろん聖グロリアーナが勝つのは予想通り。 それも島田愛里寿という大きな切り札を手にして。 エキシビジョンとは言え二度勝てなかった聖グロと劇場版で対決した愛里寿との、 二重の因縁を抱えるみほは如何に挑むのかで映画は終わる。 2年後に公開されるだろう第5話は、第4話では描けなかった、決勝戦前夜のドラマを入念に描くことを期待したい。[映画館(邦画)] 8点(2023-10-09 20:47:17)《改行有》

34.  トップガン マーヴェリック 前作については思い入れはなく、期待もしていなかった。 確かに本作の完成度は高く、本物志向のアクションとスケールの大きさで、 往年のハリウッド映画の王道がコロナ禍の映画館に観客を呼び戻した意味で貢献度は大きい。 最高の続編を作ろうとしたトム・クルーズをはじめとする制作チームの執念と情熱を感じた。 でも、"足りない"。 映画館の大画面や大音響で体験しなければ本作の真価が発揮されないのは分かっている。 それよりも見せ方や物語が枠に嵌りすぎて息苦しさも感じてしまうのだ。 もう少し意表を突いた演出や展開があっても良かったのではないか。 その年の最高の映画として、アカデミー作品賞に推す人が大勢いるのは分かるし、 取れなかったことに対して不満が少なくないのも分かる。 いつの時代もたとえ新鮮味がないものであっても、 誰にも分かりやすく安心して楽しめる映画を求めている観客が圧倒的に多いのだから。 私はその観客の一人にはなれなかった。[インターネット(字幕)] 5点(2023-09-30 00:24:26)(良:2票) 《改行有》

35.  ウーマン・トーキング 私たちの選択 《ネタバレ》 2000年代後半、南米ボリビアのメノナイト(キリスト教一派)のコミュニティで日常的に起きていた昏睡中の性暴行事件。 その実話をモチーフに2010年の南十字星の見える英語圏某所に移し替え、 文字の読み書きも許されなかった被害者女性たちの決断。 テーマがテーマだけあり、娯楽要素を捨て去ってまで訴えたストイックな社会派会話劇。 去るか、闘うか、赦すか── 18世紀同然の生活を営む彼女たちと次世代の子供たちの未来を大きく左右する重い選択。 力では負けてしまう女性の立場なら、女性全員で村を去るでお終いだが、本当にそれで良いのか? その三つの選択をさらに深掘りして、民主主義が如何に築かれ、秩序が作られていくか、社会の問題が浮き彫りにされていく。 閉鎖的な世界で赦しの名のもとに弱き者への暴力の正当化。 宗教は救いにもなれば、都合の良い思考停止の暴力装置にもなりえるのだ。 次の世代へ負の連鎖を繰り返されないために価値観のアップデートと教育の大切さが可視化され、 それを担うのが外の世界を知っている書記担当の男性なのが皮肉に思える。 彼女たちは新たな"国家"の建設を目指し、モーセの出エジプトの如く大移動する。 希望の船出のように見えて、その一本の道が海のように閉ざされることはない。 家畜もいないと分かれば、時代遅れの屈強な男たちが連れ戻すために逆襲するだろう。 新たな秩序を築くだろう彼女たちがどう動くか、我々が生きているこれからの時代とリンクしている。[インターネット(字幕)] 6点(2023-09-29 23:51:23)《改行有》

36.  スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース 《ネタバレ》 世界はバランスで成り立っている。 何かを得た場合、何かを失わなければならない。 その折り合いをつけられず、大人の境界線であがくマイルスは、 親と衝突し、ルールと衝突し、世界と衝突し、同じスパイダーマンと衝突していく。 未熟さゆえの勢いで決められた運命を変えられることを信じて。 彼がイレギュラー扱いされている理由が終盤で明かされる。 本来は蜘蛛に噛まれてスパイダーマンになる"運命"ではなかったのだ。 だから、ピーター・パーカーが死ぬことはなかったし、不幸な事故で科学者がヴィランになることもなかった。 そして、別世界線の蜘蛛に噛まれたために、その世界のスパイダーマンが存在せず、 プロウラーになったマイルスが生まれることになった。 前作の因果が本作で浮上して、"大いなる力は大いなる責任を伴う"というテーマが際立つ。 圧倒的情報量とカオスと色彩は健在で、二次元と三次元の境界線を忘れさせるアニメーション技術はむしろ進化している。 長尺になりすぎて前後編に分けたそうだが、溜めに溜めたまま終わった最後の15分はちょっと惜しい。 それでもマイルスの運命に抗う物語に共鳴した、一部のスパイダーマンたちが如何に反旗を翻すのか、 完結編で満点を出すほど大きな期待を寄せるには十分で8点とさせて頂いた。[映画館(字幕)] 8点(2023-09-29 23:48:50)(良:1票) 《改行有》

37.  ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー 映画が終わり、ホールが明るくなると子供たちの声が聞こえてくる。 「あーたのしかった♪」 米批評サイト・ロッテントマトで、観客と批評家で評価が二分している本作。 メッセージ性も深みもなく、ストーリーに捻りがあるわけでもない。 批評家受けの"そういう造り"にできないわけでもないが、ゲームの世界観が壊れるリスクもある。 監督の思想が入って、大炎上した名作ゲームの映画化が近年あったからだ。 「保守的すぎる」「幼稚」と言われようが元の世界観を大事にし、王道エンタメに全振りしているわけだから、 深みや捻り、ましてやポリコレ配慮を求めるのはナンセンス。 その答えが記録的大ヒットに繋がっている。 ただただ御託は並べず、童心に帰って子供たちと一緒に遊園地のアトラクション感覚で 「あーたのしかった♪」 と一言述べて終わるレビューがあっても良いだろう。 それこそ観客が本来求めている映画のあるべき姿であり、それ以上は要らない。 いっそのこと、アカデミー賞で作品賞を取ったら面白いかもね。 だって、「その年で一番、最も大衆に支持された映画」なのだから。[3D(吹替)] 8点(2023-09-15 23:11:37)(良:3票) 《改行有》

38.  グランツーリスモ 《ネタバレ》 原作ゲームは4から最新作の7まで万年素人プレイヤーながらある程度やり込みプレイしている。 事実、プレイしているからこそ分かるツボを押さえた演出がいくつか見られる。 既にプレイしている人なら分かるが原作ゲームにはストーリーが無く、 新車購入→チューニング&セッティング→レースで勝利→賞金で新車購入→… という流れなので、トッププレイヤーが本物のレーサーを目指す実話の映画化にした方が最適解だろう。 そのため、原作をプレイしなくても万人受けしやすい作りになっていて、 モータースポーツ版『トップガン マーヴェリック』と称した方が分かりやすい。 本物志向のアクションに、結末も分かり切った超王道で熱すぎる師弟関係も共通する部分がある。 ソニーが製作に関わっているため、ウォークマンのステマに笑ってしまったが。 実話と言ってもヤンがGTアカデミーを卒業したのが2011年なので(PS3の時代)、 劇中で既にPS5やスマホが存在している地点で、独立したフィクションとして見た方が良さそう。 とは言え、モデルになった人物や実際にあったエピソードが多数含まれていて捻った展開を作り辛いこともあり、 ニール・ブロムカンプ監督作としては肩透かしを食らうのは確か。 アウトサイダーの逆襲と辛気臭い展開をすぐ飛ばすテンポ良い編集に監督のテイストを感じる。 面白い映画ではあるが、秀作以上かというと少し厳しい。 あまりに行儀が良い作りで物足りないくらいだ。 思考停止で楽しむのであればこのくらいが丁度良いかもしれない。[映画館(字幕)] 7点(2023-09-15 23:05:57)《改行有》

39.  雨を告げる漂流団地 《ネタバレ》 ノスタルジーとジュブナイルとサバイバル。 情緒不安定で話を拗らせるヒロインから逆算して描いたような脚本なので、 人によってはかなりフラストレーションが溜まる。 また、いろんな要素と伏線を詰め込みながらも収束しないまま右往左往に展開し、 120分の上映時間が活かされていない気がする。 終盤の展開なんてヒロインが余計なことをしなければ終わった話だし、 建築物の擬人化である・のっぽが結局何をしたいのか分からなかった。 時代と共に朽ちていくことを受け入れているのに、実は過去に囚われており、 一人逝くのを決心できないまま、6人を身勝手に巻き込んでいるように見えた。 主人公組はともかく4人は完全に巻き込み事故でしょ… 盛り上がるためだけに存在している補欠みたいな感じ。 過去と思い出の場所に別れを告げて、子供たちが成長する話には弱いし、 設定とメインキャラ(ヒロイン除く)は魅力的なだけに、 話はつまらなくはないが、大量の混在した要素を整理していれば佳作にはできただろうに。 キャラデザの良さと世界観にマッチした主題歌・挿入歌に+1点です。[インターネット(邦画)] 5点(2023-09-05 19:48:18)《改行有》

40.  AIR/エア 《ネタバレ》 世界を変えたシューズの誕生秘話。 アーカイブ映像を使って1984年の空気に引き込む冒頭、 地味ながらもビジネス映画として堅実で小気味良いベン・アフレックの演出は今回も健在。 渦中の人物であるマイケル・ジョーダンが演者はいても顔を一切見せないことで、 本人のアーカイブ映像を引き立てる構成の巧さが心憎い。 あのときはまだ誰も知らない未知の青年だからこそ、エア・ジョーダンによって人格が与えられ、 ナイキの期待に応える大躍進なんて結末が分かっていても、未来が分からない故の大きな賭けにドキドキさせられた。 マイケル・ジョーダンやバスケットボールに精通していれば、より面白く見れただろうな。[インターネット(字幕)] 7点(2023-08-15 22:08:00)《改行有》

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