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プロフィール
コメント数 614
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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21.  コヨーテ・アグリー 《ネタバレ》  若者が夢を叶えるまでを描いた、シンプルで気持ちの良い映画。  実在の店をモデルにしているようですが、特に柵のようなものも感じさせず、自然に仕上がっていたと思いますね。  アパートの屋上で歌う場面からは「都会で一人ぼっちの田舎娘」という切なさが伝わってきたし、ニューヨークを舞台にした意味も、しっかり有ったんじゃないかと。  一応、部屋に泥棒が入る場面などで「都会の恐ろしさ」も描いていますが「ニューヨークの人達も、良い人ばかり」という、牧歌的な世界観である辺りも嬉しい。  困窮してる主人公を見かねて、見ず知らずのオジサンが食事を奢ってくれる場面とか(良いなぁ……)って、しみじみ思っちゃいましたね。  冷たいイメージのある都会だからこそ、人の好意が身に沁みるという訳で、凄く印象深い。  「夢を叶える為にニューヨークに来たけど、妥協して別の仕事してる人なんて沢山いる」という事が丁寧に描かれているのも、本作に深みを与えていた気がします。    そんな「妥協した大人」の代表であるコヨーテ・アグリーの店長といい、主人公ヴァイオレットの父親といい、魅力的な脇役が揃っている点も良い。  自分としては、ケヴィン・オドネルというキャラクターが、特にお気に入りでしたね。  女性主人公なラブコメの相手役って、高嶺の花である「王子様」と身近で親しみやすい「彼氏くん」に分かれる訳ですが、本作のケヴィンは後者のタイプ。  幾つもの仕事を掛け持ちして、頑張って生きてる姿が眩しいくらいだったし、マッチョな二枚目なのに、意外とアメコミオタクだったりするのも憎めない。  一歩間違えれば「胡散臭い、女性に都合が良いだけのイケメンキャラ」になりそうなもんなのに、同性の自分から見ても好ましいバランスに仕上がってたんだから、お見事でした。  「アメイジング・スパイダーマン」や「最初のサイン」といったアイテムの使い方も上手いし、練習して瓶捌きが上手くなる場面など「働く楽しさ」が伝わってくる内容なのも良い。  そして何と言っても、ヴァイオレットがステージ恐怖症を克服し、唄い出す場面が素晴らしかったです。  これまで彼女を支えてきた人々が、歌声を聴いた途端に、嬉しそうな笑顔になる。  「夢を叶える事」だけでなく「夢見る人を支え、応援する事」も素晴らしいと伝えてくれる、文句無しの名場面だったと思います。  ヴァイオレットに対し、何かと嫌味な態度で接してたレイチェルが、野次を飛ばす客を黙らせる場面も痛快だったし、そういう「ツンデレな魅力」を感じさせるキャラクターが多かった気がしますね。  個人的には嬉しい事なんだけど、誰も彼もが「嫌な人かと思ったけど、実は良い人」ってオチになっちゃうので、その辺は好みが分かれてしまう部分かも。  後は主人公のステージ恐怖症について、描写が曖昧なのも(冒頭、友達と一緒にステージで唄ってるので後の展開と少々矛盾してる)欠点となりそうです。  こういう明るく楽しいノリで、若者向けの映画って、何だかそれだけで「傑作」とか「名作」とかいう言葉が似合わない気がしちゃうけど……  この映画には、そんな言葉より「好きな映画」って言葉の方が似合っちゃうんだから、仕方無いですね。  たとえ映画史に残る名作であっても、一度観れば充分だって感じる品も多いのですが、本作は定期的に観返したくなる。  オススメの一本です。[ブルーレイ(吹替)] 8点(2022-06-30 15:14:53)(良:1票) 《改行有》

22.  ラッシュアワー3 《ネタバレ》  シリーズを重ねる毎に「ダブル主人公」ではなく「主人公のリーと、その相棒のカーター」って形に変化していった二人。  自分としては元々リーの側に肩入れする気持ちが強かった為、さほど違和感を抱かずに済んだけど……  これってカーターの方が好きな観客にとっては、結構辛かったんじゃないかって思えますね。  前作のヒロイン格であるイザベラがリーと疎遠になったのも「カーターが悪い」って事になってるし、その辺ちょっと厳しいというか、ファンに優しくない作りだった気がします。  そんな明確な欠点がある映画なんですが、2に続いて3でも魅力的な敵役を用意してみせた点に関しては、素直に評価したいです。  本作でカーターの影が薄いのって、コイツのせいじゃないのかって思えるくらい、真田広之演じるケンジが魅力的。  「主人公リーの弟分」「今は敵対し、かつての兄貴分に愛憎入り混じった想いを抱いてる」って設定だけでもオイシイし、日本刀を鮮やかに振るう姿も恰好良い。  そんなケンジとの「エッフェル塔での戦い」は、間違いなくシリーズ屈指の見せ場だったと思います。  リーが弟分のケンジから「孤独な男」と断じられた場面で「孤独じゃないわ」と女装したカーターが助けに来る場面はグッと来るし「やるじゃん、シスター」「任せて、ブラザー」ってやり取りも面白かったしで、こうして感想を書いてみると(あれ? 意外と良い映画だな)って、鑑賞後の印象とのギャップに、自分でも戸惑っちゃうくらいですね。  では、何故そんな本作の「鑑賞後の印象」が悪かったかというと……  やっぱり、終わり方のせいだと思うんです。  本当、今観返してみても「唐突過ぎる」「呆気無い」「何でこんなブツ切りで終わらせたの」って、理解に苦しむくらい。  ……ただ、上述の「唐突の終わり方」に関しては、劇場公開版&ソフト版に限った話であり、地上波放映版では、未公開だったラストシーンが追加され、グッと自然な終わり方になっていたりもするんですよね。  劇中(扱いが酷いなぁ)と思えたイザベラに関しても、リー達と再会する場面が描かれ、しっかりフォローされていますし。  狙撃されたハン大使が無事に退院した事も明かされ、文句無しのハッピーエンドになってる。  そして何より「1や2と同じく、リーとカーターが休暇に旅立つ終わり方」「俺達は相棒じゃなく、兄弟だと認め合う終わり方」であった事が、本当に良かったです。  残念ながらNG集は拝めないってマイナスを考慮しても、自分は地上波放映版の終わり方を支持したいですね。  ちなみに、本作の劇中では「ケンジのタマ取って妹にしちゃえ」という台詞がありますが、ドラマ版(2016年)では実際にリーの妹が出てきたりもするので、気になった人は是非チェックして欲しいですね。  「映画版と殆ど変わらないカーター」「寡黙な美男子という独自の魅力を出してるリー」という主人公二人の描き方も良かったし、最後も綺麗に終わってるしで、この手の「人気映画をドラマ化してみた」パターンの中では、かなり良く出来てる方だと思うので、オススメしておきたいです。[地上波(吹替)] 6点(2022-06-24 09:24:48)(良:2票) 《改行有》

23.  ラッシュアワー2 《ネタバレ》  ラッシュアワーシリーズって、三部作全てブレット・ラトナー監督のはずなんだけど……  (あれ、もしかして監督交代した?)と思えちゃうくらい、続編物としての欠点が目立つ作りなのが寂しいですね。  一応、1にあった楽しい雰囲気は維持されてると思うんだけど、何ていうか「1と2の繋げ方が雑」なんです。  前作のラストで「カーターは中国語を話せる」ってオチになったはずなのに、実際は手帳に書いたワードを読み上げる事しか出来ないって設定になってるし、1ではビーチボーイズを馬鹿にしてたカーターが「ビーチボーイズ最高!」と言ってる辺りも、1と2の間に何があったんだよと気になっちゃう。  シークレットサービスになれたと喜ぶカーターっていうのも、1のラストにてFBIになる事を拒否し「俺はロス市警で良い」と恰好良く啖呵を切った場面を考えると、違和感があるんですよね。  この辺に関しては、監督というより脚本家の交代が原因かとも思えるんですが、真相や如何に。  そんなこんなで、ちょっと褒めるのが難しい一本なんですが……  一応「1には無かった、2独自の良さ」も、ちゃんと備わっていたと思います。  何と言っても最大の長所は、悪役美女のフー・リを演じる、チャン・ツィイーの存在。  林檎にナイフを投げる場面とか、戦う前に鮮やかな動きで髪を結う場面とか、もう惚れ惚れしちゃうくらい魅力的でしたね。  凛々しさと可憐さ、その双方を備え持っており、爆発で死んじゃうオチなのが悲しく思えたくらい。  リーが口の中にある爆弾を作動させない為、フーにキスする場面も可笑しかったし……  父の仇であるラスボスのタンを撃つべきか、それとも正義の為に自制するかでリーが迷う場面にて、相棒のカーターが「撃て」と急かすのも、新鮮で良かったです。  こういう場合、相棒は撃たないようにと諭すか、わざと露悪的な事を言って思い止まらせるもんなのに「俺達以外には誰もいない」とか言い出す始末ですからね。  本作の主人公二人が、型通りの「バディ物」には収まらない魅力を持ってると示した、印象深い場面です。  前作と同じように「休暇に旅立つ二人」という、楽しい雰囲気のまま終わってる辺りも、嬉しいポイント。  上述の通り、続編映画としては色々と不満もあるんですが……  これ単体で評価する限りでは、中々良く出来た映画だったと思います。[DVD(吹替)] 6点(2022-06-24 09:20:13)《改行有》

24.  ローラーガールズ・ダイアリー 《ネタバレ》  監督としてのドリュー・バリモアの処女作という事もあってか、全体的に粗削りだったのが残念。  それも才気が尖っているがゆえの粗さって訳ではなく、なんていうか「ダンスに慣れておらず、下手だけど頑張って踊ってる女の子」って感じの粗さなんですよね。  好意的に捉えれば可愛らしく思えるし、応援したい気持ちにもなるんだけど……  それ以上に「観ていて、もどかしい」「もっと上達した後の踊りも見てみたい」って感じてしまうという、そんな未熟さの方が色濃く出ちゃってた気がします。  特に序盤において「この主人公は、どんな性格なのか」「どんな境遇の子なのか」の説明が不足しており、置いてけぼりのまま物語が進んで行っちゃうんだから、何とも居心地悪い。  明るい作風なのか暗い作風なのかも中途半端で、心のアンテナが面白さを受信出来なかったんですよね。  内気な眼鏡っ娘が「ローラーゲーム」というスポーツで才能を開花させていくっていうのは王道な魅力があるし、観ていて不愉快になる場面もなかったんですが、どうにも物足りない。  決定的な理由としては、主人公のブリスが初めてローラーゲームを観戦する場面が短過ぎて「彼女はローラーゲームに魅了された」という展開に、説得力が欠けてるのがマズかったように思えます。  その後、ブリスが「貴女達の大ファンになりました」と言い出し、入団テストを受ける流れになっても(えっ、何にそこまで感動したの?)と思えちゃうし、主人公に感情移入出来ないんです。  これなら「特に乗り気じゃないけど、親への反抗も兼ねて流されるままにテストを受けて合格した」「それから徐々にローラーゲームの魅力に目覚めていった」って形にした方が良かったんじゃないでしょうか。   ラブコメ部分の「王子様」にあたるオリバーも、やたら曖昧な立ち位置であり、結局「単なる浮気者」だったのか「誤解されて彼女にフラれた不幸な男」なのか、どっちつかずでハッキリしないのも困り物。  決勝で負けてしまう展開と併せ「恋もスポーツも、そうそう上手くいく事ばかりじゃない」という「青春の挫折」を描きたかったのかも知れませんが、それなら決勝で負けてしまうってだけでも充分だと思うし、色恋沙汰を絡める事で軸がブレてしまった気がします。  他にも「母娘の和解が雑」とか「決勝で負ける場面や、ラストシーンがアッサリし過ぎていて物足りない」とか、欠点を論えば幾らでも書けちゃう映画ではあるんですが……  上述の通り「可愛い女の子」的な魅力も備え持ってるので、嫌いにはなれなかったんですよね。  「ローラーゲームのルール」について、劇中で分かり易く説明してあるってだけでも、娯楽映画としての最低限はクリアしていますし。  ちゃんと観客の事を考えた、独りよがりじゃない誠実な作りだったと思います。  スポーツ物のお約束である「主人公チームが生まれ変わり、初勝利を収めるシーン」は痛快だったし、仲間との協力プレイである「ホイップ」を多用するチームって設定にしたのも、正解だったと思いますね。  嫌味な敵役とも最後は心を通わせ「好敵手」って関係になるのも、実に気持ち良い。  あとは単純に、主演のエレン・ペイジ(2022年現在は、性転換してエリオット・ペイジに改名済み)や、彼女のチームメイトとして出演してるドリュー・バリモアがキュートなので、彼女達を愛でる「アイドル映画」として楽しめるっていうのも、立派な長所だと思います。  スタッフロールも愉快で賑やかな雰囲気なので、後味が良いって辺りも嬉しい。  総評としては、純粋な面白さって意味では物足りないんだけど……  「面白い映画」ではなく「可愛い映画」を求めて観るのであれば、問題無い出来栄えじゃないかって気がしますね。  この作品の後、ドリューは監督業に手を出していないようですが、次回作にも期待したくなる一本でした。 [DVD(吹替)] 5点(2022-05-31 18:31:30)(良:2票) 《改行有》

25.  チーム★アメリカ ワールドポリス 《ネタバレ》  なんか結局「チーム・アメリカは色々迷惑も掛けるけど、世界平和の為に必要なんです」って結論になるのに白けちゃって……  映画は勇ましい出撃シーンと共に終わるんだけど、観ている自分のテンションは低調そのものっていうギャップが印象に残ってますね。  そもそも内容が悪趣味とかブラックユーモアとか以前の問題として、単に作ってる人達が「嫌な奴ら」ってだけにしか思えなかったのが痛いです。  気に入らない著名人を映画の中で登場させ、悪人として描いて殺すのが楽しいって感性の人も世の中にはいるんだろうけど、流石にノリ切れない。  というか、単純に笑いのテンポとか間の取り方とか、そういうのが上手くないように思えちゃって「悪趣味で不謹慎な笑いである」って事以外には特徴を感じられないんですよね。  人形がセックスする場面や嘔吐する場面とか、もっと短くサラッと描いてくれたら笑えたかも知れないけど、長々と何度も繰り返し描くもんだから「長いよ」「しつこいよ」と思えちゃって、笑えない。  「自分の感性に合わないので面白くないけど、これが凄い映画だって事は分かる」って品も結構あるんですが、本作に関しては「合わないとかそれ以前の問題として、全然凄いと思えない」ってパターンであり、観ていて辛かったです。  とまぁ、そんな具合に、不満を並べ立てたらキリが無い映画なんですが……  それだけじゃ寂しいので、以下は良かった点を。    まず「素人の主人公がプロの集団に仲間入りし、成長してヒーローになる」というストーリーは王道であり、映画の軸がしっかりしていた辺りは評価すべきだと思います。  本作の売りは「メインストーリーの間に挟まれる小ネタ」の方にこそあるんでしょうけど、小ネタを楽しめなかった自分でも、そこまで退屈せずに観られるよう仕上げてあるんだから、この辺は「色んな客層に配慮した、プロの仕事」って思えて、感心させられました。  歌詞の内容には鼻白むけど、挿入曲もノリが良くて楽しい代物が揃ってるし、その使い方も上手い。  人形が人形を操ってる二重構造や、猫を黒豹と言い張る「稚拙な特撮」っぷりにも、愛嬌というか「映画としての可愛らしさ」を感じられて、憎めなかったです。  総評としては、作中で揶揄されてる「パール・ハーバー」よりは面白いと思うけど、好きな映画とは言い難い……と、そのくらいに落ち着きそうですね。  こういう尖った映画の場合「大好き」か「大嫌い」の、どちらかに振り切った方が評価する側としても気持ち良いんだけど、悪趣味を気取ってる割に、妙に優等生な面もあったりして、中途半端になってしまった感じ。  傑作にも駄作にも成り切れなかったという、そんな一品に思えてしまいました。[DVD(吹替)] 5点(2022-04-20 09:39:22)《改行有》

26.  ナイト ミュージアム2 《ネタバレ》  「主人公のラリーが夜警を辞めて、社会的に成功してる」って設定、本当に必要だったの?  ……って思っていたら、ちゃんとラストにて「必要だった」と納得させられる作りなのが良いですね。  本来、ラリーが夜警を辞めているなんて設定、前作のファンとしては到底納得出来ないはずなんです。  でも、作中にて息子のニッキーやジェデダイアが「どうして夜警を辞めちゃったのか」と文句を言ってくれるから、観客である自分としても「そうそう、その通り」と頷かされて、映画との一体感を味わえるし、最後まで観れば (なるほど、博物館に寄付するオチの為に金持ちにしておいたのか)  と、大いに納得。  この「序盤にて抱かされた疑問と不満が徐々に薄まり、最後にはスッキリ消えて無くなる」って構成は、中々気持ち良かったです。  ただ、全体的に考えると……面白さって意味では、前作より見劣りしてしまうかな?  「ジェデダイアとオクタヴィウスの友情」とか「自らが作り物の人形であると悟る切なさ」とか、前作にあった長所はキチンと引き継がれてるんだけど「色々と説明不足なゆえに、観ていて戸惑うストーリー」っていう短所まで、しっかり引き継いじゃってるんですよね。  ヒロイン格であるアメリアとの恋物語は唐突過ぎて応援する気になれないし、ジェデダイアが敵の人質になる場面でも (そもそも彼は人形なので、砂時計に閉じ込められても死ぬって事は無いのでは?)  と思えちゃって、緊迫感が湧かない。  終盤の展開もグダグダで、巨大なリンカーン像が援軍に来てくれて一件落着と思ったら、なんかアッサリ帰って再び窮地になるし……  場面場面は悪くないので「こういう場面をやりたかった」っていう作り手の考えは分かるんだけど、場面の繋げ方が雑なもんだから、不自然さが生じてるんですよね。  パソコンを駆使してサポート役を務めていたニッキーが、途中から全然出てこなくなる(博物館改装後に、ようやく再登場)ってのも構成として如何なものかと思うし……  この辺に関しては、あまり誉める気にはなれませんでした。  とはいえ「1には無くて、2で新たに生まれた良さ」も、ちゃんとあったりするので、決して嫌いではないんですけどね。  ダース・ベイダーが出てくる場面や「携帯電話を拾った水兵が、後のジョセフ・モトローラだと判明する」オチには、ニヤリとさせられましたし。  棒術ならぬ懐中電灯術を駆使して敵を倒すラリーの姿も、正に痛快無比って感じ。  何より前作のラスト同様、今作でも最後は「楽しい博物館」を描いて終わる形になってるのは、凄く良かったです。  前作は「夜の博物館」という、閉ざされた楽園の中で秘密の祭りを楽しんでる感じでしたが、今作はそこに客を呼び込み、より「博物館らしい魅力」を打ち出す終わり方になってましたからね。 (この博物館、行ってみたいな)  と感じさせてくれたんだから、やはり良い映画だと思います。[ブルーレイ(吹替)] 6点(2022-04-14 06:18:57)(良:1票) 《改行有》

27.  ナイト ミュージアム 《ネタバレ》  ベン・スティラーという俳優を初めて意識したのが、この映画だったように思えますね。  コミカルな演技を軸としつつも「決める時は決める」恰好良さに痺れて (この人、良いなぁ……)  と惚れ惚れしちゃったのを憶えています。  後に彼の主演作をチェックする事となり、その中には本作より面白いって感じるような品もチラホラあったりしたんですが……  やはり「初めての映画」として、本作は印象深いです。  そんな具合に、自分としては主演俳優ばかり注目しがちな品なんだけど、映画全体で考えても、やっぱり「面白い映画」「良い映画」なんじゃないかって思えますね。  冒頭に色んな展示物を映し出し、予備知識を持った観客には「こいつらが動き出すのか」とワクワクさせる作りになってる辺りなんて、特に良い。  観客の喜ばせ方を分かってるというか、夢や期待を裏切らない作りになってると思います。  本作の特徴としては「女性ヒロインが不在である」って事も挙げられますが、それもまた自分好みなんですよね。  一応、それっぽい存在としては同僚のレベッカがいるんだけど、彼女とはロマンスに発展せず、あくまで同僚止まりで終わっちゃう。  主人公は夜警として頑張り、それが最終的にハッピーエンドに結びつく訳ですが、その姿を「女にモテたいバツイチ男」ではなく「息子に認められたい父親」として描いてるのは、本当に良かったと思います。  ここで作り手が欲張って「レベッカとも結ばれた」なんてオチにしていたら、話の軸がブレちゃいますからね。  色恋沙汰の要素を排し「頼りない父が、可愛い息子を笑顔にしてみせる物語」として纏めたのは、もう大正解だったんじゃないかと。  他にも「ミニチュア模型好きには嬉しくなる場面が多い」とか「自分は歴史上の偉人ではなく、それを模して造られた人形に過ぎないと語るテディの姿が切ない」とか、色んな長所が備わってる映画なんです。  敵が老人三人組じゃあ脅威として弱いなと思っていたら「石板の力で強くなる」って展開になり (ほほう、そう来たか)  と感心させられる辺りなんかも、観ていて気持ち良い。  嫌味な感じの上司は、最終的には主人公を認めてくれるし、悪人とは言い切れない老人三人組も博物館に復職する後日談が付くしで、鑑賞後の後味が爽やかなのも良いですね。  最後の「博物館の夜」も本当に楽しそうだし「楽園を守り抜いた」という主人公の感慨が伝わってくる、最高のエンディングだったと思います。  そんな本作の難点としては……色々と説明不足で、モヤモヤしちゃう辺りが挙げられそうかな?  監禁されたマヤ族へのフォローは無いし、ラジコンの車に関しても何故か人形が乗り込み操縦出来ちゃうしで、観ていて気になる箇所が多いんです。  正直、作品の完成度は高いとは言えないかも知れません。  でも、そんな「説明不足」という欠点に関しても (マヤ族の人形達は、あの後なんだかんだで皆の仲間入りしたんだろう) (ラジコンの車は、ジェデダイア達が改造したんだろう)  って具合に、あれこれ考えて補いたくなるというか……  ある意味では、凄く想像力を刺激される作りになってるんですよね。  「作りが丁寧で、観た後に何のモヤモヤも残らないような傑作」ともまた違う、独特の味わい。  「想像力を刺激される」「それによって、色んな夢が広がる」という意味では、非常に博物館らしい映画と言えるかも知れません。[ブルーレイ(吹替)] 7点(2022-04-14 05:55:51)(良:1票) 《改行有》

28.  Gガール/破壊的な彼女 《ネタバレ》  これは……「設定は好みだけど、結末が好みじゃなかった」ってパターンの品ですね、残念ながら。  メインヒロインかと思われたジェニーではなく、女友達のハンナと主人公が結ばれる形となっており、どうもスッキリしない。  この手の「女友達と結ばれるラブコメ」って好きな映画が多いはずなのに、本作に限っては違和感が大きくて楽しめなかったんだから、自分でも不思議です。  理由を考えてみるに、根本的にハンナの魅力が不足していて「メインヒロインではなく、この子と結ばれて欲しい」と思えなかったのが痛いんですよね。  ジェニーは性格に難ありの美女ってタイプなんだから、対比としてハンナの方は性格が良くて優しい子にすべきだったと思うんだけど、何かそれが中途半端というか……作り手の考える「優しい子」の定義が自分とズレてる気がして、魅力を感じなかったんです。  例えば「主人公のマットにだけ優しくて、男友達のヴォーンには素っ気無い」っていう態度があからさまな辺りとか、それで嬉しくなっちゃう人もいるんだろうけど、個人的には興醒めしちゃいます。  これって根本的には「優しい女性」というより「主人公にとって都合の良い女性」ってだけですからね。  (見た目は美人だけど、性格美人って訳じゃないんだな)って、つい思っちゃいました。  そもそも主人公のマットにも魅力を感じなくて、主人公カップルの片方ではなく、両方を好きになれないってなると、流石に褒めるのは難しいです。  ジェニーの陰口を言うマットの姿とか「身勝手で性格が悪い、嫌な奴」としか思えないんですよね。  にも拘わらず「貴方みたいに優しい人は初めて」だの何だのと、作中で女性陣に絶賛されてるんだから、観ているこっちが恥ずかしくなっちゃう。  マットの代わりにジェニーと結ばれる事になるバリーも「家の中にジェニーの写真や服を飾った神殿がある」っていうストーカーとしか思えない男なのに、ジェニーはそれを聞いて拒否感を示すどころか、感激しちゃう始末だし……  男にとって都合の良い映画は嫌いじゃないけど、本作に関しては「性格が悪い男」でも「ストーカー」でも美女と結ばれるんだって形になっており、流石に感情移入出来ませんでした。  何だか、こうやって分析してみると「結末」以外にも好みじゃない部分の方が多いなって気付いちゃう訳ですが……  一応、監督はアイヴァン・ライトマンだし、演出や音楽の使い方も良かったので、観ていて退屈はしなかったんですよね。  アメコミのスーパーガールやパワーガール好きにとっては、夢のような映画ってのは間違いないと思うし、コスチューム姿でエッチする場面がある辺りなんかは(分かってるなぁ)と嬉しくなっちゃいます。  2006年制作である事を考えれば、もっと自然な飛ばせ方も出来るだろうに、あえて冒頭の場面にて「スーパーマン」(1978年)っぽい飛ばせ方をしているのにも、拘りを感じました。  そして何より、主人公と結ばれたハンナも超人的なヒロインとなるオチであり「スーパーヒロインを恋人にする」という男の夢を裏切らないまま終わった事には、素直に感心しちゃいましたね。  物語の面白さや整合性よりも「夢」を優先させた映画……と考えれば、素敵な一品だと思います。[ブルーレイ(吹替)] 5点(2022-03-30 18:41:21)(良:1票) 《改行有》

29.  ラブ・アクチュアリー 《ネタバレ》  「ラブ・アクチュアリーを観た日」という曲を聴いた勢いで、元ネタである本作も鑑賞。  所謂「グランド・ホテル」形式の群像劇であり、エピソードの殆どを「恋愛」で纏めている点と「クリスマス」という特別な日にスポットを当てた点が、当時としては斬新だったのでしょうね。  この映画から数年後に「バレンタイン」や「大晦日」にスポットを当てたラブコメ群像劇が作られていますし、影響力の強さが窺えます。  登場人物が多く、同時進行するエピソードも多くて、難易度の高い作品なのですが、それをギリギリで混乱させず、破綻させずに仕上げてる手腕も見事。  特に「場面転換の際に音楽を用いて、各話の繋ぎを自然にしてる事」には感心させられましたね。  主人公の一人が歌手である点も含め、全体的に音楽の使い方が上手かったと思います。  個人的に一番好きなのは、義理の親子であるダニエルとサムが、少しずつ距離を縮めていくエピソード。  そして、ラブストーリーとして一番好きなのは「小説家と家政婦の恋」になりそうですね。  後者に関しては「言葉が通じない彼女とも、キスによって互いの想いを確認する」「片言のポルトガル語で告白したら、相手も片言の英語で答えてくれて、互いに相手の為に言葉を習ってたと分かる」って場面が凄く良かったし、映画全体の構成を考えても、この二組の話が主軸になってた気がします。  それと、オールスターキャストも魅力的でしたが、やはり一番印象深いのは、ローワン・アトキンソン。  カメオ出演のような形で「店員役」として登場し、それで出番終了とばかり思っていたのに、終盤まさかの再登場でしたからね。  しかも、デパートでは傍迷惑だった「緩慢な動作」が、空港では恋する少年を助ける形になってたりするんだから、これには脱帽。  つまり「誰かにとっては迷惑な人物が、他の誰かにとっては有益な人物と成り得る」って事を描いている訳で、群像劇ならではの魅力があるんです。  正直、各キャラの繋がりが「たまたま知り合いだった」「血縁だった」程度な事にはガッカリしちゃったけど……  彼の存在だけでも、本作を群像劇にしたのは正解だったと言えるんじゃないでしょうか。  その他、欠点としては ・歌手からマネージャーへの想いが、友情なのか同性愛なのか分かり難い。 ・サムがダニエルの事を初めて「パパ」と呼んだ場面が、アッサリし過ぎていて戸惑う。 ・クラウディア・シファー演じるキャロルが出てくる場面は意味深なのに「本当に偶々、ダニエル憧れのクラウディア・シファーに似てるだけ」ってオチなのが残念。  等々が挙げられそうですが……  これらに関しては「脚本が説明不足」というより「演出が拙くて、場面の意味が伝わり難い」って印象を受けましたね。  やはり、リチャード・カーティスは「監督」というよりも「脚本家」気質の人なんだと思います。  後は「アメリカに行けば俺はモテまくるはず!」って一念で渡米した若者が、本当にモテモテになっちゃうオチだったのは吃驚したとか、精神を病んだ弟がいるサラだけは意中のカールと結ばれず可哀想とか……気になったのは、そのくらいかな?  サラという例外もありましたけど、彼女は彼女で「恋愛」よりも「姉弟愛」を選んだと言えそうな感じですし、色んな形の「愛」を肯定し、優しく包み込んでるような雰囲気が心地良かったです。  「ハッピーエンドな恋愛映画」の代表として、曲のタイトルに選ばれるのも納得なくらいの、良い映画でした。  ……ちなみに、2017年の続編ドラマ(米国版)では、サラがカール以外の男性と結婚する展開になってたりもするんですよね。  本作を鑑賞後にモヤモヤが残ってしまった人は、そちらも是非チェックして欲しいです。[DVD(吹替)] 7点(2021-12-25 21:12:45)(良:3票) 《改行有》

30.  クロコダイル2 《ネタバレ》  冒頭、銀行強盗のシーンが中々スピーディーで良い感じになっており(これは1より面白くなったパターンか)と期待させられた訳ですが……  結果的には、そんな期待を裏切らぬ仕上がりとなっており、嬉しかったですね。  低予算な作りなのは前作と同じだけど、血の嘘っぽさも緩和されているし、稚拙な特撮ながらも(頑張って本物っぽく見せよう)っていう、作り手側の熱意が伝わってきました。  前作で豊富だった「お色気サービスシーン」も殆ど無くなっているし、硬派で真面目に仕上げてきたって印象です。  「サメ映画かと思いきや、ワニ映画」っていう前作の構成を踏まえ「ハイジャック映画かと思いきや、ワニ映画」ってストーリー展開にしているのも、上手かったと思います。  前作はサメを全面に出す予算が無かったせいか「サメ映画と思わせるミスリード」が徹底しておらず、折角の仕掛けがイマイチ機能していなかったんですが、今作の場合は人間が演じる形で「ハイジャック映画と思わせるミスリード」が、キチンと行われていますからね。  同じ「○○かと思わせて××」展開でも、今作の方が、ずっと賢いやり方だったんじゃないかと。  ワニが本格的に出てくる前の「無力な主人公達と、銃を持ったハイジャック犯の戦い」も中々面白く仕上がっているし、ワニ映画として考えても「巨大ワニが空飛ぶヘリに食らいつく」なんて見せ場があったりして、明らかに前作よりパワーアップしてる。  「中々火が付かないライター」「沼地に充満するメタンガス」が伏線になっており、ワニを火葬にしちゃう倒し方も、派手で良かったです。  そんな訳で、前作と比較すると大幅に改善されている本作なのですが……  コレ単品で評価すると、欠点も色々目立っちゃうというのが、ちょっと困りもの。  例えば、ヘリを操縦するローランドが主人公カップルを裏切ったと見せかけて、犯人側のボスを撃つ展開は痛快で良いんですけど、その後すぐローランドがワニに襲われて死んじゃうっていうのが、ちょっとチグハグなんですよね。  これじゃあ主人公達は「ローランドは俺達を裏切った」「卑劣な男だ」って認識のままだろうし、ボスを倒した後に二人を助けに戻ろうとしてたローランドが、凄く可哀想。  こういう展開で、観客をスッキリさせてくれない脚本っていうのは、如何なものかと思います。  最後の「夢オチ」も、それ必要だったかなって思えちゃうし……  これならワニを倒した後、沼地で救援を待ちながら、キスする二人で終わらせた方が良かった気がしますね。  1→2という流れで観た為「前作より良くなってる!」という興奮を味わえたけど、単体で評価する限りでは「まぁ、それなりに面白い映画」くらいに落ち着きそうな……  そんな一品でありました。[DVD(吹替)] 5点(2021-12-17 00:06:22)《改行有》

31.  クロコダイル 《ネタバレ》  冒頭、ワニに襲われる場面の血が如何にも嘘っぽくて(大丈夫かな?)と思ったんですが……  結論から言うと、大丈夫じゃなかったです。  こういうモンスターパニック物が好きな自分から観ても、とても退屈な仕上がりとなっており、褒めるのが難しい品でしたね。  というより、冒頭で襲われるシーンを挟んだのって「ワニが出てくるまでは時間かかるけど、最初に襲われる場面やって盛り上げておいたから、我慢して観てね」的な意味合いだと思うんですけど、これだと逆効果というか……  どんなに我慢して観ても、その後に待ってるのは「あの嘘っぽい血が流れる場面」って分かっちゃう訳で、最初からテンション低いまま、希望を抱けないままで映画を観る形になるんですよね。  これなら冒頭で襲撃シーンを見せたりせず、途中までは(ワニが出てきたら面白くなるはず)って希望を抱かせてくれる作りの方が、ずっとマシだったんじゃないかと。   サーファーのヴォックとジョン船長、どちらが主人公なのか分かり難い構成になってるのも気になるし(ダブル主人公って訳でもなく、場面によって適当に主人公が変わるだけっていう印象です)ワニとの一騎打ちに挑んだジョン船長は呆気なく死んじゃって、驚くというよりガッカリしちゃうしで、登場人物にも魅力を感じられないんですよね。  「獲物を追って飛び降り、尖った岩に刺さって死亡」とか、ワニの退場の仕方も間抜け過ぎるもんだから、最後まで盛り上がる事無く終わっちゃいました。  それでも、何とか良かった箇所を探すとしたら……  「サメを求めて撮影にやってきたら、ワニに襲われた」って展開は中々捻りが効いており、気が利いてるなって思えた事。  大まかな流れは「アナコンダ」シリーズを参考にしているようで、王道の魅力もそれなりに味わえた事とか、そのくらいになりそうですね。  あと、途中でヌードを披露した金髪美女さんがペタンコな胸をしていて(あれ、もしかして男の子?)かと思ったんですが、特に説明も無かったし、結局あれは貧乳の女性だったって事で良いんでしょうか。  あそこまでペタンコな胸の人は珍しいと思うし、妙に印象に残ってます。  でも、あのくらい貧乳だと巨乳に負けないくらい不思議な魅力あったなぁとか、そんな事が一番気になっちゃうような……まぁ、そういう映画でした。[DVD(吹替)] 4点(2021-12-17 00:01:06)《改行有》

32.  ユーロトリップ 《ネタバレ》  旅映画としても、青春映画としても楽しい一品ですね。  国から国へと移動する際の演出も凝ってて飽きないし、観光地としての欧州の魅力を感じられる内容だったと思います。  ただし、この場合の「欧州の魅力」というのは、非常に漫画的というか……  あくまでも「アメリカの若者が思い描くような欧州」って事なので、注意が必要ですね。  さながら「忍者や芸者が一杯いる日本」のような、色々と強調された欧州の国々が描かれており、ちょっと不謹慎かも知れないけど、つい笑っちゃいます。  この辺りのバランス感覚が絶妙で、たとえば「5セントもあればホテルが買えちゃう国」なんかが登場するもんだから、観ている側としても「完全なフィクション、映画という名のファンタジー」として、割り切って楽しめちゃうんですよね。  巷に溢れる「頓珍漢な日本を描いた映画」の数々も、外国の方が観たらこんな感じなのかも……って思えたりして、不思議な可笑しさがありました。  旅先で遭遇したフーリガンすらも「なんだかんだで良い人達」だったりして、最後まで明るく陽気に仕上げてある点も良い。  「アメリカでは違法」「旅先では合法」というドラッグ入りケーキや、幻覚を見る酒に挑戦する姿が描かれているのも、程好いドキドキ感がありましたね。 「俺達は違う大学に進むんだから、四人でツルめるチャンスはコレが最後かも知れない」  という台詞が象徴するように「仲間と一緒の旅」が強調されており、途中で失敗してもあまり落ち込まずに「皆でいれば何とかなるさ」とばかりに、前向きな姿勢のまま旅を続けていくのも、凄く好みでした。  そんな本作の欠点は何かと考えてみると……  割と根本的な部分に関する事なんだけど「主人公のスコットに対する違和感」ってのが大きいでしょうか。  いくら泥酔してたとはいえ、結果的に「男に迫られたら怒って罵倒するけど、美女と知った途端に態度を変えて会いに行こうとする」って姿が描かれてる訳で、どうも彼の恋路を応援する気になれないんです。  その後になって「見た目じゃなくて、中身が好き」的な事を言われても、全然説得力が無かったし……  ここは変に良い子ぶって「彼女の中身が好きなんだ」なんてフォローを入れたりせず「男だと思ってたけど、本当は美女だった。美女だから好きになった」って流れにした方が、スッキリした気持ちで観れた気がします。  でもまぁ、そんなスコットも、お調子者な悪友のクーパーも、基本的には「良い奴」じゃないかと感じさせる作風でしたし……  彼らに恋人が出来るハッピーエンドには、こちらまで嬉しくなっちゃいましたね。  観終わった後は、主人公達と「旅の思い出」を共有したような気持ちになれる。  彼らと、仲間になれたような気持ちになる。  良い映画でした。[DVD(吹替)] 7点(2021-12-02 08:01:14)(良:1票) 《改行有》

33.  最凶赤ちゃん計画 《ネタバレ》  これは……面白いんだけど、最後で台無しってタイプの映画ですね。  途中まで、というかラストのオチ以外は良い感じなんです。  「最凶女装計画」では女装ネタの王道を描いたウェイアンズ監督が、今度は赤ちゃんに成り済ますネタの王道を描いており、どこか既視感を覚える展開ながらも、面白可笑しく纏めてる。  無邪気な赤ん坊の振りして美女に授乳をせがんだり、子供達に悪い遊びを教えたりと、こういうネタなら外して欲しくないって部分を、ちゃんと押さえた作りになってると思います。  脇役にも良いキャラが揃っており「幼稚園への送り迎えを仕事にしてるママさん」なんて、特に良かったですね。  彼女が車を暴走させる場面が、本作のピークだったんじゃないかと思えたくらいです。  赤ん坊に成り済ましたキャルを疑うのが年老いた父親という事で、本当の事を言ってるのに「とうとう呆けてしまった」と思われ信じてもらえない流れなんかも、上手かったですね。  主人公のキャルもダリルも、子供時代に問題があったようなのですが、それをクドクド語る真似はせず「生まれて初めての誕生日会で、感激して泣いちゃうキャル」という描写や「俺、父親業が好きだ。凄く楽しい」「自分の父親とやれなかった事がやれるんだから」と語るダリルの場面などで、サラッと描いている辺りも良かったです。  でも、やっぱり最後が……  「ダリルの妻が産んだのは、実はキャルの子」としか思えないオチであり、流石にブラック過ぎるんですよね。  今回の事件を通し、ダリルとキャルの二人には友情が芽生えていただけに、余計にやり切れない結末。  ここの部分をカットしておいてくれたら……と思わずにはいられないです。  ちなみに本作はラジー賞を幾つか受賞しており、バックス・バニーのエピソードを盗作したとの声もあるようですが、個人的にはこのくらいなら「パロディ」の範疇じゃないかと思えましたね。  盗作と言うなら「最終絶叫計画」の方がよっぽど「スクリーム」そのまんまな訳だし「最凶女装計画」も「バッドボーイズ」(1995年)の盗作って事になっちゃいますし。  本作だけ殊更に騒ぐのは不自然というか、不適切なんじゃないかと。  冒頭にて述べた通り、最後のオチだけは褒める気になれないけど……  それ以外は、かなり良く出来てる。  「ラジー賞を取った映画は、意外と面白い」法則に当てはまる一本として、カウントしたくなる映画です。[DVD(吹替)] 6点(2021-11-18 18:22:35)《改行有》

34.  最凶女装計画 《ネタバレ》  明らかに「バッドボーイズ」(1995年)が元ネタであり、途中までは「最終絶叫計画」のようなパロディ映画かと思っていたのですが……  終わってみれば、しっかりとオリジナルの魅力を備えた映画でしたね。  刑事物のバディムービーとして考えても、女装ネタのコメディ映画として考えても、充分に楽しめる出来栄えでした。  前者に関しては「主人公達が喧嘩して仲直りし、絆が深まる」というお約束の魅力を描いているし、銃撃戦の際には、意外とシリアスで恰好良い雰囲気になったりもするんですよね。  この辺の「切り替えの上手さ」って、コメディタッチの刑事物では凄く重要ですし。  そこがしっかりしているというだけでも、もう拍手を送りたくなっちゃいます。  後者に関しても、女装ネタならではの可笑しみを感じる部分が色々あって、大いに満足。  「女装した主人公が男に迫られ、窮地に追い込まれる」っていうお約束ネタも、しっかり描いてあるし……  本物のウィルソン姉妹の方を「女装した男」だと思って取り調べする場面なんか、特に可笑しかったですね。  ここ、普通ならウィルソン姉妹が可哀想で笑えなくなりそうなんだけど、序盤にて彼女達の「嫌な女」っぷりを描いてたから、素直に楽しめちゃうんです。  この辺りのバランス感覚は、本当に見事でした。  女装して女の子達と仲良くしている内に、何時しか性別を越えた友情が生まれていく流れも、凄く好み。  最後に正体を明かした後も、彼らの友情はずっと続いていくって示すハッピーエンドであり、後味爽やかなんですよね。  彼らには性別以外にも、年齢やら人種やら、色んな壁があるはずなのに……  そんなの関係無いとばかりに「仲間」として笑い合う姿が、とても眩しく思えました。  一応、欠点も挙げておくなら、女装したマーカスに迫るラトレルが色々頑張ってて、憎めないキャラだったのに「結局は嫌な奴だった」ってオチになるのが、微妙に思えた事。  女装した二人が周りから「美女」と認識されてるのに違和感を覚えた事。  後は……女子トイレでの一幕とか、下品で笑えないネタも幾つかあった事くらいかな?  でも、こうして色々振り返ってみても「ダンス対決が面白かった」とか「喧嘩ばかりしてた同僚と、土壇場では熱いやり取り交わすのが良い」とか、長所の方が数多く浮かんできちゃいますね。  ウェイアンズ監督の代表作といえば、世間的には「最終絶叫計画」となるんだろうけど……  個人的には、こちらをオススメしたいです。[DVD(吹替)] 7点(2021-11-18 13:38:31)《改行有》

35.  SHRIEK(シュリーク) 最低絶叫計画 !? 《ネタバレ》  同じパロディ映画の「最終絶叫計画」では「スクリーム」を「最低」と貶して笑いを取ろうとしていたのに対し、本作では「最高」と絶賛してるのが印象的。  だからって訳じゃないけど、同じ「スクリーム」好きとしては好感を抱いちゃう作りでしたね。  最初から最後まで「スクリーム」をなぞる作りだから、話の芯がブレておらず、落ち着いて楽しめるのも嬉しい。  矢継ぎ早に色んな小ネタを挟み「質より量」ってスタイルにしたのも、正解だったんじゃないかと。  たとえ打率は低くても、とにかく打席数が多いもんだから、ヒットの数もそれなりになってるんですよね。  個人的には「メンタルズ」の歌や、クライマックスの追いかけっこで「ドーソン役は高所恐怖症」「監督は酒を飲ませてやらせた」などの注釈を挟むネタが、特にお気に入りです。  「去年の夏」に関しても、思い出す人によって情景が全く違う辺りには感心しちゃったし、他のネタに比べ「グリース」だけ(やたら古い作品を引っ張ってきたな……)と思っていたら、ちゃんとその後に「登場人物が元ネタを分からず、白ける」ってオチが付く辺りも、何か気持ち良かったですね。  「クリスティーン」もパロってみせてるし、作り手側と自分とで「好きな映画」が同じなんだなって思えて、嬉しくなっちゃいました。  序盤に出てきた「チャイルド・プレイ」のチャッキーも、やたら可愛いコスプレだったりして、その後に出てこないのが勿体無く思えたくらいです。  恐らくは予算でも、監督の才気という意味でも「最終絶叫計画」には及ばないのでしょうが……  個人的には、結構好きな映画でした。[DVD(吹替)] 6点(2021-11-05 02:28:33)《改行有》

36.  最終絶叫計画 《ネタバレ》  「スクリーム」の殺人鬼が「ラストサマー」の鉤爪を武器にしてるという、そんな絵面を拝めただけで得した気分になれますね。  基本的なストーリーも上記二作に準じている為、安心して楽しめる作りなのですが……  それだけに、最後の最後でオチが「ユージュアル・サスペクツ」になっちゃうのが、違和感あって仕方無かったです。  「スクリーム」でのデューイに相当するキャラが全ての黒幕ってネタ自体は悪くなかったし、出来れば徹底して「スクリーム」もしくは「ラストサマー」のテイストのまま終わって欲しかったですね。  途中で別の映画のネタ挟むくらいなら構わないんだけど、本作は文字通り「最後に別の映画になってしまう」って形な訳で、観た後モヤモヤが残っちゃいました。  「スクリーム」作中にも他の映画を馬鹿にする場面があるとはいえ、これだけ「スクリーム」と「ラストサマー」に乗っかった映画でありながら、その二作を作中で貶してるのも気になる部分。  オチが「ユージュアル・サスペクツ」になっちゃう点といい、作り手側に「スクリーム」と「ラストサマー」への愛情が感じられないのは、この手のパロディ映画としては致命的だと思います。  一応、良かった点も挙げておくなら「武器ではなくバナナを手にする女」とか「同性愛者かと思ったら、実はそうじゃなかった男」とか、笑える場面もキチンとあった事。  あと、音楽やカメラワークなどは意外と洗練されていたって事が挙げられそうですね。  予想以上にクオリティが高くて、面白いとか面白くないとか以前に、まず「出来の良さ」に驚かされましたし。  本作は同年公開の「スクリーム3」に匹敵するか、あるいはそれ以上のヒットを記録してるんですが、それも納得です。  この後、ウェイアンズ監督は「最凶女装計画」などの佳作も手掛けていますし、ちゃんと映画作りの才能はある人なんだと思います。[DVD(吹替)] 5点(2021-11-05 02:18:01)《改行有》

37.  スクリーム3 《ネタバレ》  全四作の中で、3だけ犯人が誰だったか思い出せない……という状況のまま再鑑賞。  観終わってみれば「主人公シドニーの兄」であり「シドニーの母を殺した黒幕」という凄い犯人だった訳ですが(いやぁ、これは憶えてなくても仕方無いよ)って、何か開き直る気持ちになっちゃいましたね。  とにかく印象に残らないというか、犯人が明かされた時に(……えっ、誰?)と戸惑ってしまう度合いの高さでは、間違い無くシリーズ随一。  何せ顔を明かされた時は本当に誰だか分からなくて、犯人自ら「監督のローマン・ブリッジャー」と自己紹介した事で、ようやく(あぁ、いたなぁ、そんな奴)と納得出来たくらいですし。  これって「観客は決して犯人を当てられない」って意味では凄いのかも知れませんけど……正直、感心するより呆れる気持ちが強いです。  例えば、途中までミスリードしていた通りに、キンケイド刑事が犯人というのであれば「主人公シドニーに親身に付き合い、ロマンスの匂いも漂わせた好人物が犯人」って事で、ベタではあるけど「意外な犯人」と呼べたはずなんですよね。  でも主人公と全然絡まず、出番も少なく、観客の印象にも残ってないローマン監督が犯人とか言われても、それは「意外な犯人」ではなく「地味で目立たない奴が犯人」ってだけであり、本末転倒。  スクリームの中で、この「3」だけ脚本がケヴィン・ウィリアムソンではないって事も大きいんでしょうけど……  本筋には全然関係無いレイア姫ネタを挟んだりとか、どうもシナリオに引っ掛かる点が多いです。  その他にも「便利過ぎる変声機が登場するのに、何故そんな凄い代物を犯人が持ってるのか、説明が一切無い」「シドニーがトラウマを克服したのを示す為、ラストシーンにて家のドアを開けっ放しにしてるけど、流石に不用心過ぎるとしか思えない」といった具合に、不満点を挙げ出したらキリが無いんですが……  一応、良い所も色々あったりして、総合的に考えると「それなりに楽しめた」って結論になるのが不思議ですね。  監督は変わらずウェス・クレイヴンなので演出は手堅いし、ちゃんと「スクリームらしい魅力」を感じられたのが大きかったのかな、と思えます。  犯人の正体はスッカリ忘れてた自分でも、鮮明に憶えていた場面が二箇所あり、その「ランディからのビデオレター」「シドニーが映画の撮影現場に迷い込み、1の頃を思い出す件」の二つに関しては、文句無しで良かったです。  デューイとゲイルも相変わらずイチャイチャしていてラブコメ的な魅力があったし、最後にデューイが求婚して終わるというのも、グッと来る結末。  「エルム街の悪夢」さながら、シドニーが母親の悪夢を見る場面も、監督繋がりの遊び心が感じられて、クスッとさせられました。  それと、派手な爆破シーンもあったりして、ちゃんと観客を楽しませようという気持ちが伝わってくるのも嬉しい。  こういう「映画としての優しさ」のようなものが感じられる作品って、不満点はあっても嫌いにはなれないです。  そんなこんなで、シリーズ四作の中で評価するなら、残念ながら最下位になってしまうかも知れませんけど……  それでも一定のクオリティは保っていた辺り、流石だなって思えましたね。  有名ホラー映画のシリーズって、長く続いた分だけトンデモない代物が混ざっていたりするものですし。  一番微妙な品でも、これだけ面白いんだなって考えると「スクリーム」シリーズの地力の高さのようなものが感じられました。[DVD(吹替)] 5点(2021-11-03 09:11:29)(良:2票) 《改行有》

38.  ドメスティック・フィアー 《ネタバレ》  実に豪華な俳優陣。  メイン三人の「濃い顔」を見てるだけでもワクワクしちゃいましたね。  今となってはコメディ映画のイメージが強いヴィンス・ヴォーンが、悪人を演じているのも新鮮。  当時は「サイコ」(1998年)の印象が色濃く残っていたがゆえの配役かとも思えますが、元々彼って「エリートな気品」「どこか不気味で冷たい顔立ち」を備え持ってる人でもありますし、本作についても適役だったと思います。  スティーヴ・ブシェミも胡散臭くて、妙に憎めない「殺され役」を演じているし、ジョン・トラヴォルタ演じる「頼れるパパさん」っぷりも、文句無し。  子役のマット・オリアリーも可愛らしく、守ってあげたいと思えるような息子のダニーを好演してましたね。  こういったストーリーの場合、演じる「子供」の魅力如何で評価が変わってきますし、そこは文句無しに合格だったんじゃないかと。  BGMも雰囲気があって良かったし、89分と短く纏まってるのも好印象でした。  ……ただ、脚本と演出は凡庸としか思えず、褒めるのが難しいです。  一応良い所もあって「ダニーは不良少年なので、周りが中々『殺人の目撃』を信じてくれない」って展開には説得力ありましたし、そんな中で、真っ先に信じてくれたのが父親のフランクっていうのも、グッと来るものはあったんですけどね。  父子の逃亡劇になるのかと思いきや、親権争いの裁判になったりするのも、意外な展開ではありました。  でも正直、それ以上に粗が目についちゃって……  「脚本と演出の不備を、演者の力で誤魔化してるだけ」って印象は拭えないです。  そもそもダニーから「人殺しが同じ家に住んでる」「しかもそれが、義理の父である」っていう恐怖や、緊迫感が伝わってこないのが致命的。  これに関しては、いくら子役が怖がった演技をしても「何も対抗手段を取らず義父の言いなりになってるだけのキャラクター」「だから追い詰められてる感じがしないし、恐怖が窺えない」って形になってる訳だから、脚本の責任だと思います。  フランクの現在の妻であるダイアンの影が薄いのや、ダニーの母が妊娠したのを活かせてない辺りも不満。  恐らくは「フランクの孤立感を高める」「ダニーの疎外感を強める」為の要素だったんでしょうけど、ダイアンは途中から出てこなくなるし、妊娠についても言及されなくなっちゃいますからね(一応、最後に流産したのが示唆されるけど、後味が悪くなっただけ)  この手の「必要無い人物、要素が多い脚本」って、どうしても評価が低くなっちゃいます。  極め付けは終盤における「ライター自爆着火」の間抜けさで、これには本当ガッカリしちゃいました。  ダニーの母が夫を疑うキッカケにしても「夫の衣類からガソリンの匂いがするのに気付き、彼が犯人と疑う」って流れでも成立したと思うし、もっと脚本を煮詰めて欲しかったですね。  たとえシンプルなストーリーでも、細部を丁寧に作れば良作、あるいは傑作と呼べる品に仕上がったのでしょうが……  残念ながら本作は、それに当てはまらない例に思えました。[ブルーレイ(吹替)] 5点(2021-09-22 21:14:47)(良:1票) 《改行有》

39.  カニング・キラー 殺戮の沼 《ネタバレ》  ドミニク・パーセルが主演のワニ映画だなんて、それだけでワクワクします。  男臭くて恰好良いパーセルが、アフリカの巨大ワニと戦い、見事仕留めてくれるのを期待して鑑賞した訳ですが……  色んな意味で、予想も期待も外れちゃう内容でしたね。  まず、思った以上に社会派というか、ワニよりも人間同士の争いにスポットを当てた作りなんです。  この場合の争いっていうのは「自分だけが助かろうと、遭難者グループ内で醜い争いが起こる」って代物じゃなく、文字通りの戦争であり、民族間の内戦。  そもそも巨大ワニのグスタヴが人喰いの味に目覚めたのは「内戦や虐殺で多くの遺体が河に捨てられた為」というのだから、云わばワニなんて内戦の副産物に過ぎない訳です。  映画の半分が過ぎても、パーセル演じる主人公は「俺はワニになんか興味無いんだ」って断言してるし、ヒロインも「ワニなんかより、ここで行われてる虐殺を世界に伝えるべきよ」と言い出すしで、作り手としてもワニより内戦にスポットを当てていたのは明白。  それが失敗だったとは言わないし、斬殺シーンや射殺シーンなどには(確かに、ワニなんかより人間の方が怖い)と感じさせる力がありましたけど……  やっぱり、普通の、王道のワニ映画が観たかったなぁって、つい思っちゃいました。  第一、社会派な内容にするのであれば、もっと事実に即した作りにすべきだったと思うんですよね。  「人喰いワニであるグスタヴ」以外は全て架空の人物ってのが、何とも中途半端。  そんな架空のドラマ部分は悪くなく「友人を失った代わりに、彼が救おうとした現地の若者を保護する事が出来たハッピーエンド」ってのは納得なんですけど、実話に即した「結局グスタヴを退治する事は出来なかった」ってオチまで付くのが、足を引っ張ってる形。  いっそワニの存在も架空にして「今回遭遇した個体は倒したけど、まだまだアフリカには巨大な人食いワニが残ってる」みたいな形にしても良かったんじゃないでしょうか。  ジャーナリストで知性派なパーセルってのも意外性があって良かったですし、カメラワークや演出なども洗練されていたのですが……  何とも勿体無い、もうちょっとで傑作に化けてくれそうな一品でした。[ブルーレイ(吹替)] 5点(2021-09-22 15:16:18)(良:1票) 《改行有》

40.  グラスハウス 《ネタバレ》  舞台となる「グラスハウス」は雰囲気満点。  ジムにホームシアターまで揃っているし(良いなぁ……住んでみたいな)って思えましたね。  海に面したレストランや、海辺の道路など、美しい場面が多い点も良い。  ヒロインのルビーが夜中にプールで泳ぐ場面なんかは、神秘的でエロティックな魅力がありましたし、ラストのカーアクションも中々迫力あったしで、ビジュアル面の満足度は高かったです。  では、シナリオ面についてはどうかと考えてみると……ちょっと微妙でした。  上述の通り、ビジュアル面には拘りが感じられたんだけど、それが裏目に出てる部分もあるんですよね。  夜のグラスハウス内での場面はともかく、まだ昼間のはずの校舎ですら薄暗い場面ばかりとか、流石に「やり過ぎだよ」って呆れちゃいます。  どうしても薄暗い場面ばかりにしたかったのであれば、そこは脚本でフォローして、不自然さを消すべきだったんじゃないかと。  主人公姉弟にはジャック叔父さんがいるはずなのに「グラス夫妻と一緒に暮らすのが嫌なら、施設に入るしかない」って言われるのも不思議だったし(その後、ジャック叔父さんに引き取られて幸せに暮らしてるとしか思えないエンディングとも矛盾してる)脚本の詰めが甘かった気がします。  それと、主人公姉弟があんまり「良い子」とは思えなくて、応援する気持ちになれなかったのも残念ですね。  例えば、麻薬中毒のエリンがルビーに寄り添うように死んでしまう場面なんかでも、観客は事前に「幼いルビーと仲良しだった頃のビデオを観て、感傷に浸る場面」を知ってる訳だから、ついエリンに同情しちゃう展開なんだけど、ルビーはエリンの死体を気味悪がってるだけなんです。  ルビーは観客と違ってエリンの悲しい一面なんか知らないから当然の反応ではあるんだけど、こういう描き方は、どうしても「感情移入出来ないヒロイン」って印象になっちゃいます。  この映画では最も重要だろう「良い人かと思われたグラス夫妻が、実は悪人だったと判明する場面」あるいは「主犯であるテリーに止めを刺す場面」にカタルシスが欠けているのも、如何なものかと。  特に後者に関しては、テリーが発砲する前に轢き殺してるので正当防衛って感じもしなかったし、もうちょい上手くやって欲しかったです。  「絵を描くのが趣味なヒロインが、防犯装置のパスワードをスケッチブックにメモする」とか、良い場面も色々あっただけに勿体無い。  何より悲しかったのは、せっかくグラスハウスが素敵だったのに、結局そこから飛び出して普通の道路でクライマックスを迎えちゃう事ですね。  せめて最後はタイトル通り「グラスハウス」で決着を付けてくれてたら、もっと良い形に仕上がったんじゃないかなって思います。 [ブルーレイ(吹替)] 6点(2021-08-12 18:25:16)《改行有》

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