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プロフィール
コメント数 615
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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21.  セットアップ 《ネタバレ》  ラブコメってジャンルは、とかく「お約束」な魅力を求められるものです。  本作に関してもそれは例外じゃないとばかりに、全編に亘って「お約束」な展開が続いていく訳ですが……  最後に「主人公とヒロインが結ばれる」って「お約束」を達成し、そこでスパっと終わっちゃうという潔さが、物足りなく思えちゃいましたね。  この流れなら「ついでに喧嘩してた上司カップルも復縁する」っていう「お約束」な後日談も付け足すべきだと思うんだけど、それが無い。  これにはもう、本当ガッカリです。  ラブコメ映画に求めていた「お約束」が与えられず終わった場合、こんなにも物足りない気持ちになるのかって、吃驚しちゃったくらい。  そんな訳で、自分にとっては「ラストが微妙」という、明確な欠点がある映画なんだけど……  途中までは本当に良く出来てるんですよね、これ。  特に序盤の、主人公二人の出会い方が秀逸。  夜中の「ピクルスの奪い合い」だけで(この二人はお似合いだ)(結ばれて欲しいな)って思わせるような魅力があったんだから、お見事です。  「球場でのキスカムでキスさせる作戦」「避難梯子で運んだピザ」のエピソードも良かったし、上司カップルだけでなく、主人公カップルの魅力も、しっかり描けてたと思いますね。  あえて言うなら、男側のチャーリーは「自分より立場が弱いインターンには横暴に接する」などの場面があり、あんまり良い奴とは思えなかったんですが……  それに関しては終盤にて「キミに釣り合う為に俺は変わろうとしてる」「頑張るよ」と伝える場面に自然に繋がってるし、全体の流れを考えれば、良い奴にし過ぎないバランスが正解だったんでしょうね。  ヒロインとなるハーパーの眼鏡姿もキュートであり「店でチップスをタダ食い」などの迷惑行為をしていても、どうにも憎めない。  これまで色んなラブコメ映画を観てきましたが、可愛さって意味においては、本作のハーパーは相当上位に食い込むと思います。  こうして振り返ってみると、本当に「好きな場面」の多い映画だなって、しみじみ感じちゃいますね。  これでラストさえ綺麗に終わってくれてたら「好きな映画」と、全体を指して言えたはずなのに、本当に惜しい。  キスする主人公達を見守る上司カップルが、お互い気まずそうに視線を交わし、復縁を予感させる……  そんな数秒間がラストに追加されていたらなと、恨めしく思えてしまう一本でした。[インターネット(吹替)] 6点(2022-07-06 19:49:17)(良:1票) 《改行有》

22.  ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密 《ネタバレ》  ロビン・ウィリアムスの遺作であり、そう考えると彼が演じるテディの「休ませてくれ」の一言が、より重く響いてしまいますね。  現実とのリンクが衝撃的で、ともすればそればかり語ってしまいそうになるのですが、ここはグッと堪えて、映画本編の話を。  まず、全体的な面白さに関しては「1に比べると微妙で、2と同じくらい」って感じになると思います。  監督は三作ともにショーン・レヴィが担当しているし、良くも悪くも安定しているというか「ナイト ミュージアム」らしい仕上がりなんですよね。  夢のある内容という長所も、説明不足でツッコミ所が多いっていう短所も、そのまま受け継がれているという形。  個人的には、敵役となるランスロットに魅力を感じないのが、一番辛かったです。  善人なのか悪人なのかも中途半端だし……作り手側としては、前作のカスター将軍同様に「悲劇的な人物の救済」を描きたかったのかも知れませんが、どうもイマイチでした。  ニッキーと友情が芽生えたかと思ってたのに、そんな伏線無かったかのように「ニッキーに剣を向けて人質に取る」って展開になったりして、その後にフォローも無かったりするんだから、もうガッカリ。  せめて終盤、ランスロットも皆の仲間入りした後「ニッキーに謝っておいてくれ」とラリーに伝える場面があれば、印象も変わっていたかも。  「石板の力が失われ、皆が動けなくなってしまう」っていう問題を提示しておきながら、その解決法が「石板を月光に当てれば大丈夫」っていうのも、簡単過ぎて拍子抜けなんですよね。  無事に問題解決かと思いきや「アクメンラーが両親と一緒に暮らせるように、石板を大英博物館に移そう」って話になって、お馴染みの自然史博物館メンバーは動くのを諦める事になり (これまで苦労したのは何だったんだよ……)  って思えちゃう展開になるのも、スッキリしない感じ。  台詞からするに「皆もう動く事に疲れたから」ってのが結論を下した決め手なんだろうけど、それならそれで、展示物達の苦悩を事前に描いておくべきだったと思います。  とまぁ、そんなこんなで、文句を言い出したらキリが無い出来栄えなんですが……  惚れた弱みというか、やはり「ナイト ミュージアム」シリーズには「好き」って気持ちが強過ぎて、上述の不満点込みでも、映画として愛せちゃうんですよね。  ラリーの鮮やかな「懐中電灯術」は健在だし、絵の中に入り込む面白さも描かれているしで、2で新たに生み出した良さを、しっかり継承しているのも嬉しい。  そして、3では「お馴染みの展示物達との別れ」を描いており、これは1にも2にも無かった良さで、ちゃんと「3を作る意義はあった」と思わせる内容になってるんですよね。  アッテカが「俺の、友達」と言う場面や、デクスターが別れのキスをする場面では感動させられたし、三部作の完結編に相応しい魅力がある。  こういうシリーズ物って「1が傑作であり、2以降はその余波で作られただけの蛇足」って思えちゃう場合も多いですし、それに該当しなかっただけでも、立派なんじゃないかと。  一連の事件から三年後、再び「博物館の夜」が訪れて、新キャラのラーとティリーも結ばれて、ハッピーエンドを迎えてくれるのも良い。  それだけに、警備員を退職後、教師になったラリーが博物館の中に入ろうとせず、外から眺めて微笑む姿で終わってしまうのは気になるんですが……  これは、主人公であるラリーと観客を一体化させて「博物館からの卒業」を描くのが目的だったのかな?  そういうメッセージ性も悪くないとは思うけど、やはり自分としては「博物館の夜は終わらない」「ラリーも、何時までも皆の仲間」って形で完結させて欲しかったですね。  幸い、明確な結論は作中で描かれていませんし、あの後ラリーも夜の博物館に忍び込んで、皆との再会を楽しんでいたと思いたいところです。[ブルーレイ(吹替)] 6点(2022-04-14 06:27:00)《改行有》

23.  ペントハウス 《ネタバレ》  「オーシャンズ11」の監督を降板したブレット・ラトナーが、そのリベンジのように撮った映画って印象ですね。  オールスター感は薄めだけど、その分だけ主演のベン・スティラーの魅力が光る仕上がりになっており、個人的には大いに満足。  ビジュアル的に最高に恰好良い彼を収めたフィルムってだけでも、凄く価値があると思うんですよね。  微かに白髪交じりな「老け具合」さえも魅力的に思えちゃうし(この人、恰好良い歳の取り方してるよなぁ……)って、惚れ惚れしちゃいました。  ストーリーとしては「善人が泥棒になる話」であり、中々感情移入し難いはずなのですが、その点を上手く仕上げている辺りも、お見事。  「大金を盗んで楽に暮らしたい」なんていう身勝手な動機ではなく「皆の年金を取り戻す」という目的がある為、主人公のジョシュを自然と応援したくなるんですよね。  そもそも皆の年金が失われたのは「ジョシュが悪人のアーサー・ショウを信頼して、金を預けてしまったから」なので、一種の贖罪行為になってるという点も上手い。  この辺り、ジョシュに全く咎が無いとなると「無償で皆を救おうとする聖人」タイプの主人公になってしまい、ちょっと鼻白んじゃいますからね。  自殺未遂したレスターに同情している、と言い張るアーサーに対し 「……じゃあ、何故レスターが無事か訊かない?」  と静かに問い返す場面も印象的であり、彼の犯行動機が「自分の為」ではなく「他人の為」である事が伝わってくる、良い場面だったと思います。  上述の台詞もそうなんですが、この映画って「如何にも名台詞って感じではない、さりげない台詞が凄く良い」って特長があるんですよね。  特に終盤にて、何とか助かろうと取り引きを持ち掛けるアーサーに対し、主人公達が「チップは頂かない決まり」と答えるのも恰好良くて、痺れちゃいました。  そういった会話劇としての魅力だけでなく「宙吊りの車に掴まって、高層ビルから落ちそうになる」っていうスタント場面もあったりして、視覚的に分かり易い魅力も備わってるし、本当にバランスの良い映画だったと思います。  序盤にて、こっそり司法試験の勉強してたジョシュの部下が、いずれジョシュを助けてくれる展開なんだろうなと思っていたら、やっぱりそうなったって辺りも、実に気持ち良い。  一応、難点も挙げておくなら……  副主人公かと思われた泥棒のスライドが、全然活躍しなかった事が該当するでしょうか。  活躍しないだけなら、まだ良いんだけど「ジョシュとの間に絆が生まれてるように思えなかった」っていうのが、何とも寂しかったですね。  例えば、金を独り占めしようと銃を向ける場面にて、幼馴染であるジョシュとの子供時代を思い出し、結局撃てなくて悪態をつきながら銃を下ろすとか、そういう場面があれば、もっと印象も違ってた気がします。  後は、そもそもの犯行計画が杜撰過ぎるって点も該当しそうだけど……まぁ、この点に関しては「アーサーを終身刑にした代わりに、主人公も窃盗罪で二年ほど服役する」という相討ちに近い結末だった為、さほど違和感は抱かずに済みましたね。  特に悩んだりもせず、淡々と「クィーンを犠牲にする」事を決意した辺り、いざとなったら自分が全ての罪を背負って逮捕されるって、最初から覚悟の上だったんだと思われます。  ラストにて、屋上のプールに隠してた車を取り出す爽快感も素晴らしいし……  色々欠点があるのを承知の上で、それでもなお「傑作」と呼びたくなる。  ベン・スティラーの代表作の一つとして、彼を好きな方には、是非オススメしたいです。[ブルーレイ(吹替)] 8点(2022-01-12 17:54:23)(良:2票) 《改行有》

24.  スクリーム4:ネクスト・ジェネレーション 《ネタバレ》  ホラー映画の「ファイナル・ガール」になりたい少女が、その願望を叶える為に「殺人鬼」になるという映画。  こうして文章にしてみると、非常に複雑なテーマを扱っているはずなのですが、それをサラッと分かり易く作ってあるのが見事ですね。  思えば初代の時点で主人公シドニーは「注目を浴びたくて嘘をついた」と周りに陰口を叩かれてるし、1&3の犯人も「生き残った被害者に成り済ます」という手口を用いているしで、スクリームシリーズに自然と馴染む「動機」と「トリック」なんです。  そしてなおかつ、犯人であるジルを「主人公シドニーが守るべき、お姫様ポジション」として描いておいたから「犯人の意外性」も高まってるという形。  スクリームの伝統である「共犯がいる」というトリックを活かし「殺人鬼から電話が掛かってくる場面」「襲われる場面」にて、ジルが被害者側にいる事が多い為、観客としても自然と彼女は犯人候補から外して考えちゃいますし、この辺りの描写は本当に上手かったと思います。  理想の「ファイナル・ガール」になる為、ジルが偽装工作する様も面白かったし、傷だらけで報道陣に囲まれ、幸せそうに微笑む姿も良かったですね。  ジルは悪役だし、母親まで殺してるような罪深い子なんだけど、ちゃんと感情移入出来るキャラクターに仕上がってたと思います。  そんなジルの夢破れた死に顔に、彼女をヒーローと称える報道が重なって終わるのも、実に皮肉が効いてて素敵。  そして、なんといっても主人公シドニーの描写が、抜群に良かったです。  「殺人鬼の相手なら任せて」とばかりに、経験を活かして適切な対応を取る様が、凄く恰好良い。  正直、前三作の彼女には全く魅力を感じなかったんですが、本作では大いに成長して「私こそがスクリームの主人公」という貫禄を得ていたように思います。  今の映画のルールで生き残るのは「処女」ではなく「同性愛者」だと語る場面や「冷蔵庫が閉まる度にドッキリ」などの台詞も面白い。  他にも、デューイの着メロが「ビバリーヒルズ・コップ」だったりして、映画オタクがニヤリとしちゃう小ネタが散りばめられているんですよね。  スクリームって「ホラー」や「スラッシャー」や「ミステリー」という以上に「オタク映画」だと思いますし、四作目になってもその芯がブレてなかった事にも、拍手を送りたいです。  とはいえ、良い伝統だけじゃなく悪い伝統も受け継いでおり、特に「シドニーを殺す前に、共犯者を刺し殺す不自然さ」まで1と同じってのは、如何なものかと思えましたが……  まぁ、そういうのも全部ひっくるめてスクリームなんだから、これはもう仕方無いですね。  「ほらっ、またシドニー殺すの忘れてるよ」って、優しくツッコんであげるのが正解なんだと思います。  あとは「前作のキンケイド刑事が出てこないのが寂しい」とか「ジグソウを好きと言ってた女の子が意味深に包丁を手にしていたけど、特に何事も無く殺されて拍子抜け」とか、不満点としてはそのくらいかな?  今回、スクリームシリーズを一気見する前は「1が一番面白く、それに次ぐのが4」という認識だったのですが、今は「4が一番面白い」って評価に変わっちゃいましたね。  十段階で評価する為、点数としては同じ「7点」って形になりましたけど、自分としては1より4の方が好み。  スクリーム2にて「続編はオリジナルを超えられない」という台詞がありましたが……  同じシリーズの続編である4がそれを否定してみせたんだから、実に痛快な話だと思います。  いずれ訪れるであろう「5」の公開も、今から楽しみです。[DVD(吹替)] 7点(2021-11-03 09:21:23)(良:1票) 《改行有》

25.  シックスヘッド・ジョーズ<TVM> 《ネタバレ》  まず、ヒトデのような六つ首鮫のデザインは面白いです。  死んだ頭を他の頭が食い千切り、それを投げつけて攻撃するって場面もあるし、呆気に取られるような「地上歩行シーン」もあるしで、奇抜なデザインをきちんと作中で活かしてる点も好印象。  前作の不満点だった「せっかく良いデザインなのに、それを活かせず普通のサメ映画になってる」って部分を克服しているし、これに関しては見事だったと思います。  ただ、映画全体の面白さって意味では……  残念ながら、傑作とも良作とも呼べない感じ。  上述のサメ描写はコミカルだし、カップルセラピーキャンプって設定もラブコメ的だしで、如何にも「明るく楽しいノリ」が似合いそうなのに、何故か「ヘッド・ジョーズ」シリーズの中でも一番シリアスってくらいのストーリーなんですよね、これ。  主人公もムサい髭面のオジサンで、過去作に比べると一気に年齢上がってると思いますし、良くも悪くも「真面目」で「大人向け」って感じ。  人が死ぬ場面で感動的な音楽を流し、悲劇を煽ってみせる演出もクドい感じがして、ノリ切れませんでした。  「問題のあるカップルが命の危機に瀕し、絆を取り戻していく」っていう王道ストーリーを扱ってるにも拘らず「カップルの絆が蘇った途端にサメに喰われてしまう」ってのをお約束にしてる辺りも、何とも悪趣味。  結局、作中で復縁した上で生き残ったカップルは一組も無く、生き残った主人公とヒロインも、本来の恋人と呼べる存在は殺された後なので、どうもハッピーエンド感が薄いんですよね。  そもそも主人公グループが全然「良い人達」に思えないんだから、これはモンスターパニック物として、致命的な欠点。  主人公のウィルも「嵐が来るのを承知の上で、それを客に隠してた」とか、流石にそれはどうなのって設定のせいで感情移入出来ないし、客の皆も「アンタを訴える」ってウィルを責めてる連中ばかりだしで、観ていて「生き残って欲しい」って思えるキャラがいないんです。  なので、どんな展開になろうとも「どうでもいいや」って心境になっちゃう訳で……  良い部分も色々ある映画なんですけど、そういう根本的な部分が拙かった気がします。  六つ首サメを生み出したはずのラボが、どう見ても「海に浮かぶバラック小屋」程度の規模なのも笑っちゃったし、あからさまな低予算映画なので、あんまり厳しい目で見るのも可哀想なんですけどね。  「水に入ると危険(=水に入らなければ安全)」というイメージを与えておいた上で、サメが地上を歩いて襲ってくるという場面に繋げるのには感心させられたし、頑張って「良い映画」「面白い映画」を撮ろうという、スタッフの意気込みは伝わってきました。  そんなこんなで、総合的に評価するなら5点くらいになっちゃう訳ですが……  「サメ映画を観たい」って気持ちには、しっかり応えてくれる内容だった為、満足度としては悪くないですね。  ちゃんとサメが暴れて、退治されてと、ツボは押さえた作りでしたし。  鑑賞後に残念な気持ちになるのまで含めて「サメ映画の醍醐味」と言えない事も無いですし。  色んな意味で、サメ映画らしいサメ映画だったと思います。[ブルーレイ(吹替)] 5点(2021-07-22 11:51:20)(良:1票) 《改行有》

26.  ファイブヘッド・ジョーズ<TVM> 《ネタバレ》  (夏が来たから、サメ映画観なきゃ……)という謎の衝動に駆られて鑑賞。  シリーズの過去作二本は鑑賞済みで、今回「3」と「4」をセットで観る形になったのですが、良くも悪くも期待通りの内容であり、なんか妙に安心しちゃいましたね。  これが「予想に反し、意外な傑作だった」というパターンなら、逆にガッカリしちゃってたかも。  なんていうか「面白過ぎず、退屈過ぎず」っていう絶妙なバランスが、観ていて心地良かったです。  そもそもタイトルが「ファイブヘッド・ジョーズ」って時点で(あれ? フォーヘッドは? なんで順番飛ばしたの?)と気になっちゃう訳だけど、それに対する答え合わせが、劇中でキチンと行われている辺りも良いですね。  登場する怪物は「四つ首のサメと思わせておいて、実は尻尾の部分に五つ目の頭があった」という形であり(……なるほど、これはファイブヘッドにしておかないとマズいな)と納得出来ちゃうんです。  「三つ首のサメに思わせておいて、実は四つ首」という形だと、途中まで(前作と同じ数じゃん)という物足りなさが付き纏っちゃう訳だし、鑑賞前の違和感を承知の上で「ファイブヘッド」というタイトルにしておいたのは、英断だったと思います。  過去作に倣って、冒頭で「水着美女の姿を撮影しているパート」を挟んだり「ゴミを捨てて海を汚す人間への批判」も、堅苦しくない程度に盛り込んだりと、このシリーズのお約束が踏襲された作りなのも、安心感がありましたね。  特に前者に関しては、それ以外にも「女優さんが梯子を下りる際に、胸の谷間が良く見えるアングルで撮る」「水中カメラで胸やお尻をアップで撮る」というサービスシーンがあり、嬉しかったです。  性的に興奮するっていうよりは(ちゃんと観客を喜ばせようとしてるんだな)って思えて、安心する感じですね。  こういうのって、ある意味とても誠実な姿勢なんじゃないかって思います。  「ヘリに噛みついて墜落させるサメ」とか、低予算なりに見せ場も用意してくれてるし、前二作同様に、最後がハッピーエンドって辺りも良い。  この「ヘッド・ジョーズ」シリーズって、格別に出来が良いって訳じゃないんだけど、なんとなく憎めないのは、この「後味の良さ」が大きいんでしょうね。  主人公も含め、ちゃんと複数の人物が生き残るし、観た後スッキリした気分になれるんです。  「実は生きていたモンスターが、主人公達を襲って終わり」みたいなオチをやらないってだけでも、自分としてはポイントが高い。  そんな「お約束の遵守」「安心感を与える内容」な一方で、サメ退治のエキスパートであるレッドが、きちんと活躍して生き残る展開なのも、程好いサプライズ感があって、良かったです。  何せ「2」のダニー・トレホの死に様があった訳だから(どうせコイツも、途中でアッサリやられる役なんでしょ?)って穿った目で見ていたもので、これには驚かされました。  こういう「気持ち良い裏切り方」が出来るのって、続編映画の数少ない利点ですし、それを見事に活かしてたと思います。  勿論、短所も沢山あって…… 1:イルカの声が弱点って設定が、全然活かされてない。 2:嫌な奴ポジションの重役さんが、改心したかと思ったらやっぱり嫌な奴のまま殺されて終わりとか、人物描写がチグハグ。 3:そもそも「五つ目の頭」に存在意義が薄い。  といった感じに、不満を述べ始めたらキリが無いです。  特に3に関しては、折角の良いデザインが勿体無かったですね。  「後ろに回り込んだら、そこにも頭があって喰われちゃう」とか、そういう場面があっても良かったと思います。  でもまぁ、最初に述べた通り「傑作」ではなく「サメ映画」を求めて選んだ一本なので、満足度は高めでしたね。  期待に応えてくれたという意味では、満点に近い品だったかも。  また来年の夏、こういう映画が観られたら良いなと思います。[ブルーレイ(吹替)] 6点(2021-07-22 11:47:36)(良:2票) 《改行有》

27.  STAND BY ME ドラえもん 《ネタバレ》  コレさえ観ておけばドラえもんの基礎知識は身に付くという、有りそうで無かった一本ですね。  主人公のび太がドラえもんと出会い、友達になり、別れて、再び出会うまでを完璧に描き切っている。  「ドラえもんの事は知ってて当たり前」だからと、説明を排したドラ映画ばかりの中で、本作は極めて異質だし、初心者でも安心な作りになってるんです。  似たような例としては「ひみつ道具博物館」という傑作もありましたが、本作の方がより徹底して「ドラえもんとの出会いを、最初から描く」作りになってますからね。  国内だけでなく、海外でも歴代最高のヒットを記録したのは、こういった「ドラえもんを知らない人でも楽しめる」という、丁寧な作りが大きかったんじゃないでしょうか。  特に感心させられたのが「ドラえもんとは本来セワシの子分であり、いざとなったら電撃浴びせて機能停止させる存在に過ぎない」という原作の初期設定を踏まえた上で「ドラえもんはのび太の友達である」という結末に繋げてみせた事ですね。  しかも「謎の電撃ステッキ」「何時の間にか対等の関係になってる」という有耶無耶にされていた部分を「成し遂げプログラム」という形で分かり易く説明している。  その上で「何故か分からないけど未来に帰らなくちゃいけなくなった(初期設定では航時法が変わった為)」「何故か分からないけど現代に戻ってこれた」という部分にまで「成し遂げプログラムのせいで帰らなきゃいけない」「成し遂げプログラムが除去されたお陰で戻ってこれた」という形で、説得力ある展開に仕上げてみせたんだから、本当にお見事です。  そんな本作の中で、最も感動させられたのは「あえてドラえもんに会わない大人のび太」の場面。  「のび太が大人になっても、ノビスケが生まれたら再びドラと一緒に暮らす事になる」「今度は息子のノビスケがドラえもんの友達になる」っていう(そんなの知ってる奴が何人いるんだよ)ってレベルのマイナー設定まで把握した上で「ドラえもんは子供時代の友達」って事を描いてくれたのが伝わってきて、嬉しくって仕方無かったです。  思えば脚本担当でもある山崎監督は、デビュー作からドラえもん愛に満ちていた人ですし、そんなマニアックな設定のアレコレも、ちゃんと把握済みだったのでしょうね。  タケコプターやタイム風呂敷の描写など「恐竜2006」を参考にして、ちゃんと「今のドラえもんが好き」という層でも楽しめる形に仕上げてあるのも嬉しい。  本作に関しては「子供の頃はドラえもん好きだったけど、大人になってからは全然観ていない」って人の為に、徹底的に媚びた作風にする事も可能だったろうし、客を呼び込む為にはそれが一番簡単だったと思うんですよね。  所謂「大山ドラ世代」の声優や歌手をゲストとして呼んでも良いし、昔の主題歌やBGMを使っても良かったはず。  実際、ほぼ同時期に制作された実写版ドラCMなんかでは、これ見よがしに大山ドラ時代のBGMを使っていましたからね。  にも拘らず、本作はそういった真似を一切やらず、きちんと原作漫画や現行アニメ版に寄り添って作ってくれたんだから、なんて誠実なスタッフ達なんだと感心させられました。  他にも「ジャイスネが悪役のまま本編が終わるけど、NG集では皆楽しく映画作りしており、後味の悪さを残さない」とか「雪山のロマンスで何もせず棚ボタで結婚出来た大人のび太に、きちんと見せ場を用意してるのが素晴らしい」とか、褒め出すと止まらなくなっちゃう映画なんですが……  あえて言うなら「良い場面が多過ぎる」のが、本作の欠点と言えそうですね。  100分に満たない尺の中で、原作のエピソードを幾つもこなしているもんだから、どうも性急過ぎるというか「本来はもっと長い話なのを、総集編として短く纏めました」感は否めないんです。  インタビューからすると、八木監督も山崎監督も「自分達が作るドラえもん映画は、コレ一本きり」という覚悟で作ったようなので、アレもやりたいコレもやりたいという「ドラえもん好き心」を抑え切れず、暴走してしまい、全体の完成度には若干の陰りを残してしまった気がします。  ……とはいえ、それらを加味したとしても、充分に良い出来栄えだったと思いますね。  冒頭にて述べた通り、コレさえ観ておけば基礎知識が身に付いて、その他の「無数のドラ映画」を楽しめるようになるという意味でも、オススメの一本です。[映画館(邦画)] 7点(2020-12-10 03:28:06)(良:1票) 《改行有》

28.  ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期 《ネタバレ》  冒頭にて、初代同様に「All By Myself」が流れたりと、ちゃんとファンの事を意識して作ったのが窺える三作目。  とはいえ、2で最高のエンディングを迎えておきながら「やっぱりマークと別れました」と言われても納得出来ない訳で……  「無理矢理作った続編」感は否めなかったですね。  三作目まで「マークと他の男、どちらと結ばれるか?」で引っ張るのにも、無理があった気がします。  と、そんな具合にストーリー面には不満もありますが「痩せて熟女になったブリジット」を拝めるという意味では、充分に楽しめる映画。  ラブコメのヒロインが老けちゃうのって、基本的にはマイナスでしかないはずなんだけど、彼女に関しては作中の台詞通り「エロ年増」的な魅力もあって、良かったですね。  とうとう禁煙に成功したっていうのも感慨深かったし、誕生日ケーキに立てられた四十三本の蝋燭を見つめ、何とも言えない笑みを浮かべる姿も良い。  母としての愛に目覚め、無事に出産して赤ちゃんを抱く姿にも、本当に(おめでとう)と祝福する気持ちになれました。  ギャグの面でも可笑しい箇所が色々ありましたし、特に「スタバの店員」ネタはお気に入り。  ここ、過去作にも共通する「元ネタを知らずとも充分面白い」バランスに仕上げてあるのが、本当に良いと思いますね。  エド・シーランを知らなくても、ちゃんと話の流れで「彼は凄い歌手だったんだ」と理解出来るよう作ってある。  クライマックスにおける「愛と青春の旅だち」をパロった演出も、また然り。  本シリーズって、根底には「ダーシー様に恋する文学オタクの為の映画」ってのがある訳だけど、マニアックな笑いに走り過ぎず、色んな人が楽しめるよう配慮されているのが見事でした。  「夢は共有出来るのに、現実はズレてばかり」という台詞も切ないし、旦那候補のジャックも、女医さんも良いキャラでしたね。  前作におけるレベッカもそうでしたが、続編で出てくる新キャラにもきっちり魅力があるというのは、大いに評価したいところです。  その一方で、そんなレベッカが本作で再登場してくれないというのは寂しいんだけど……  まぁ、これは登場人物を絞る為に、仕方無かったのかな?  初代からの恋敵であるダニエルが出てこないのも「流石に三作連続で、同じ顔触れの三角関係やる訳にはいかないから」って事で、納得出来る範疇でした。  改めて考えてみると「マークの元妻であるカミラの存在感が薄過ぎる」とか「女上司のアリスがそこまで悪い人じゃないので、啖呵を切って辞職する場面に一作目ほどの爽快感が無い」とか、欠点も色々思い付いちゃうんだけど……  決定的にファンを裏切るような真似はしていないし、一定のクオリティはあったしで「不平不満」より「映画三本分かけて付き合ったブリジットへの愛着」が優っちゃいますね、どうしても。  マークと結婚して幸せになりましたって終わり方なのも「王道」というより「予定調和」なんですが、それが心地良い。  エンドロールの最後を飾る、家族三人の写真にも和みましたね。  良い映画であり、良い三部作だったと思います。[DVD(吹替)] 6点(2020-11-11 10:33:36)《改行有》

29.  キス&キル 《ネタバレ》  アシュトン・カッチャーが好きな自分としては、それなりに楽しく観られたけれど……  そうでない人には、結構キツそうな一本でしたね。  まず、序盤は良い感じというか、中々面白いんです。  旅先で主人公とヒロインが出会い、結ばれるまでを描いており、ラブコメ要素が濃い目で、楽しい雰囲気。  空撮の映像が美しいし、海辺のプールなんて本当に素敵だしで、良質な「旅映画」だったと思います。  にも拘わらず、二人が結ばれ「三年後」に時間が飛んだ辺りから、一気に失速しちゃうんですよね。  主人公のスペンサーが莫大な懸賞金を掛けられ、友人達から命を狙われるブラックコメディと化すんだけど、どうも緊迫感が無くて、アクション映画としても魅力に欠ける感じ。  例えば、友人のヘンリーが突然ナイフで斬り付けてくる場面なんて(本気で殺そうとしてるの? それともふざけてるだけ?)と戸惑っちゃうくらいヌルい描写でしたし、彼の退場シーンもアッサリし過ぎてて、本当に死んだかどうか気になっちゃうんです。  この辺の作り込みが甘いせいで「平和な日常から、殺し合いの日々に戻ってしまう」というギャップの魅力が伝わってこないんですよね。  せっかく映画の前半と後半で違う「色」を打ち出しているのに、これは如何にも勿体無い。  あと、序盤から何度か「バンジージャンプ」ってワードが出ていたので、これはヒロインのジェーンが高所から飛ぶ場面が絶対あるだろうなと思ってたのに、それが無かったっていうのも、拍子抜けでしたね。  「(貴女と友達の振りをしていて)楽しい事もあった」と、友情を示した途端に撃ち殺されちゃうジェーンの女友達って場面も、凄く後味悪いし……  黒幕であったジェーンの父と、スペンサーの和解もアッサリし過ぎてて(えっ、それで終わりなの?)って感じなんですよね。  「スペンサーに莫大な懸賞金を掛けたのはジェーンの父だけど、誤解だったので取り下げました。めでたしめでたし」ってオチにも(結果的に人が死にまくってるんだけど、それで良いのか)ってツッコむしか無かったです。  カメラワークや演出などは平均以上だと思うし「観客を退屈させないサービス精神」は伝わってきただけに、つくづく惜しいですね。  少し手を加えるだけで、絶対もっと面白くなったはずだと、観ていて悔しくなっちゃう感じ。  個人的には「人殺し稼業にウンザリしていたスペンサーが、結婚後の『普通の生活』を噛み締め、幸せそうにしている場面」が凄く良かったので……  その後の展開にて『普通の生活』を奪われた事に対する主人公の怒りや切なさを描いてくれていたら、もっと好きになれたかも知れません。[DVD(吹替)] 5点(2020-09-08 20:54:22)(良:2票) 《改行有》

30.  パーティー・ナイトはダンステリア 《ネタバレ》  「青春映画」って言うと、高校生や大学生くらいの主人公を連想するものですが、こういうのも立派な「青春映画」じゃないかって思えますね。  一流の大学を出たのに「本当にやりたい仕事が見つからない」とボヤいて、実家暮らしでバイトを続けてる主人公。  そんな彼がパーティーの一夜を経て、未来に向けて前進するまでが描かれていますし、年齢など関係無く「青春」を感じさせてくれる内容だったと思います。  ラストシーンにて、鬱屈とした日々を共有していた主人公達三人が再び揃って、笑顔を見せ、朝食の為に車を走らせる場面で終わるというのも、凄く爽やか。  全編に亘って懐かしいテイストの80年代音楽が流れているし、基本的には「楽しい映画」「後味の良い映画」だったと思います。  ただ、色々と欠点も目立っちゃって……  脚本の粗とか、稚拙な演出とか、そういう部分なら「愛嬌の内」と笑って受け流す事も出来るんだけど、本作の場合「主人公の魅力が薄い、感情移入出来ない」っていう根本的な部分にも不満があるもんだから、困っちゃいましたね。  序盤の段階で職業を詐称したり、車泥棒したりといった展開になるのもどうかと思うし、もうちょっと「こいつは良い奴だな」と感じさせる場面が欲しかったです。  車泥棒の結果として、当然のように捕まる訳だけど、そこで警官の父親に揉み消してもらって助かるっていうのも、凄く恰好悪い。  ここの場面、親友のバリーは「俺一人で盗んだ」と主人公を庇っているのに、主人公はバリーを庇う素振りを全然見せないもんだから、そこにもガッカリしちゃったんですよね。 「お前は未だ負けてないぞ。本気でチャレンジしてないからな」 「負け犬と名乗る資格すらない」  という父親の台詞は良かったけど、上述のアレコレが引っ掛かってしまい、イマイチ感動出来なかったのも残念。  この後、主人公は同級生の前で演説したり、度胸試しに挑んだりで「男を見せる」感じになるんだけど、それまでのマイナスが大き過ぎて挽回しきれなかった気がします。  個人的には、車椅子暮らしのカルロスの方が主人公より魅力的に思えたくらいでしたね。  プロ野球選手を目指していたのに、事故で歩けなくなったとか、それでも金融業界で立派に働いてるとか、凄くドラマティックな人生を送っていますし。  見栄を張って自分もカルロスの同僚と言い張る主人公に呆れつつも、仕方無く同調してあげる場面とか、どう考えてもカルロスの方が主人公より「良い奴」に思えたし、出番が僅かなのが勿体無かったです。  そんな訳で、総評としては「そんなに悪くない、ちょっと良い感じの青春映画」くらいに落ち着くんですが……  劇中曲の数々が凄く良いもんで、また何時か観返したくなっちゃいそうですね。  そうしたら、初見では欠点に思えた部分も違った見方が出来るかも知れないし、今からその時が楽しみです。[DVD(吹替)] 6点(2020-08-06 18:43:31)(良:1票) 《改行有》

31.  風雲児たち 蘭学革命(れぼりゅうし)篇<TVM> 《ネタバレ》  まず最初に書いておきますが、原作の「風雲児たち」は紛れも無い傑作です。  「明治維新を描くのであれば、関ヶ原の合戦から描く必要がある」という壮大な歴史観に基づいた品であり、大河ドラマならぬ大河漫画として、自分も愛読させてもらっています。  本作の鑑賞前、原作コミックスを本棚から取り出し「蘭学革命篇」だけを読み返すつもりが、ついそのまま最新の「幕末編」に至るまで読み切っちゃったくらい……と言えば、多少はその面白さも伝わってくれるんじゃないかと。  そんな訳で、本作には大いに期待していたし、映像化にあたり「蘭学革命篇」をチョイスしたと知った時には、小躍りしてしまったくらいなのですが……  出来上がった品を観終えた後は、暫く無言になって、落ち込んじゃいましたね。  勿論、最低限のハードルはクリアしているというか、映像化した意義はあったと思んです。  例えば、主人公の前野良沢の屋敷内の描写、庭で舞い散る桜が美しかったというだけでも、漫画ではない動画ならではの魅力があったし、音楽やナレーションも良い味を出している。  役者さんも実力のある方ばかりで、安心して鑑賞する事が出来ました。  じゃあ、何が不満かっていうと……それはクライマックスの描き方についてなんです。  本作って、冒頭にて「何故、前野良沢と杉田玄白は仲違いしてしまったのか?」という謎を提示しているのですが、その起承転結の「起」の部分が上手い代わりに「結」の部分が余りにも拙いんですよね。  そもそも原作ではアッサリ短期間で和解した良沢と玄白を、数十年に亘って険悪な仲という設定に変えた挙句、仲直りの仕方は原作と同じアッサリ風味にしているんだから、こんなの違和感あるに決まってるだろと言いたくなっちゃいます。  脚本家としては「最初に劇的な要素を提示して、観る者を惹き付ける必要がある」と考えたのであろう事は、良く分かるんです。  でも原作には無かった要素を付け足し、ハードルを上げてみせた以上は、それを飛び越える必要があると思うんですよね。  本作の和解シーンに関しては(だって原作でもアッサリ仲直りしたでしょ?)という言い訳というか、自分で勝手に上げたハードルを飛ばずに潜り抜けたような恰好悪さを感じてしまい、全然心に迫るものが無くって、非常に残念でした。  「フルヘッヘンド」の件についても原作と違うというか、本当に杉田玄白が昔を忘れてボケちゃったか、あるいは自らの手柄を捏造したかのような描写になっており、大いに不満。  原作では「読者に分かり易いように、聡明な玄白はあえてそう書き残した」という描写が為されており、受ける印象が全く違っているんですよね。  他にも、チョイ役に格下げされた高山彦九郎や林子平はともかく、結構な尺を取ってる平賀源内からも原作のような魅力が伝わってこないんだから、本当にガッカリしちゃいました。  世の中には「原作と違うけど、これは面白い」と思える映画やドラマも沢山ありますが、本作に関しては「原作と違うし、その違う部分が面白くない」と感じてしまい、観ていて辛かったですね。  平賀源内の部屋に「本日土用」の看板があるとか、原作好きならニヤリとする小ネタが散りばめられてるし、作ってる方々の原作愛は本物で、面白い作品にしようと努力されたのだとは思いますが……  正直、出来上がった品を評価する限りでは「凡作」か、贔屓目に見ても「それなりの良作」くらいになっちゃうと思います。  それでも一応、本作独自の良さがある部分を挙げるとしたら「鼓膜」「十二指腸」「神経」という言葉が生まれた瞬間を描いてる辺りが該当しそうですね。  ここは感心させられたというか、解体新書の存在が「後の世を変えた」事が分かり易く伝わってくるし、歴史物ならではの醍醐味があって、良かったです。  んで、その他の良かった点を挙げようとすると…… 「私の名前が泥に塗れようが、そんな事はどうでも良い」 「私の名前など、歴史に残らんでも良い」  という玄白と良沢の台詞が交差する演出とか「原作の名場面を再現した箇所」ばかりになっちゃいますね、どうしても。  まぁ、これに関しては天邪鬼にならず「押さえるべきところは押さえた作り」として、褒めるべきなのかも。  冒頭にて述べた通り、原作は文句無しで傑作なのだから、奇を衒わず素直に作って欲しかったなぁと思わされた……そんな一品でありました。[DVD(邦画)] 5点(2020-08-05 19:41:42)《改行有》

32.  ベイウォッチ 《ネタバレ》  ライフガード物……というよりは、刑事物って感じの映画ですね。  作中でも散々「それは刑事の仕事」とツッコまれていますし、海での人命救助がメインの話と思って観ると、ガッカリしちゃうかも。  海ではなく、スタジオで撮影しているなって丸分かりな場面もあったりするし、色々とハードルを低くして観る必要があると思います。  それと「よぉ、ハイスクールミュージカル」「有り得ないTVドラマのパクリみたい」などのメタな台詞を挟んでいるのは、ちょっとオタク映画っぽくて、この題材とは不釣り合いにも思えましたね。  内気なロニー青年を「第三の主人公」枠にしたりして、マッチョ賛美な体育会系の映画ではない、幅広い客層が楽しめる映画にする意図があったのかも知れませんが、それが成功していたとは言い難いかと。  でもまぁ、自分としては「ザック・エフロンとドウェイン・ジョンソン主演のアクション映画」が拝めただけでも満足というか……  至らないところも多々あるけど、充分に合格点に達してる映画だと思うんですよね、これ。  怖いもの知らずな若者と、経験豊富なベテラン主人公のコンビって時点で、バディ物としては王道な魅力があるし、二人が衝突しつつも互いを認め合い「仲間」「相棒」になっていく流れも、微笑ましくて良かったです。  観ていて安心させられるというか、新鮮な驚きは無い代わりに、落胆させられる事も少ないって感じ。  音楽もノリの良いのを揃えてあるし、水着美女のサービスシーンも豊富。  海が舞台なんだから、これは外せないとばかりに、ジェットスキーでのアクションがある辺りも嬉しいですね。  先程は「スタジオ撮影なのが丸分かりな場面がある」と減点個所を述べてしまいましたが、それ以外では「海の美しさ、解放感」を感じさせる場面も多かったし……  結果的にはプラマイゼロどころか、プラスの方が大きいくらいなんじゃないかと。  元ネタのTVドラマ版で主人公ミッチを演じたデビッド・ハッセルホフが「ミッチの師匠」というポジションで登場したりと、ファンサービスをしっかり行っている点も良かったですね。  エンドロールのNG集も和気藹々としてるし、撮影現場の楽しい雰囲気が伝わってきました。  それでも、最後に「これだけは、どうにかして欲しかった」という希望を述べさせてもらうなら……  クライマックスは「敵のボスを撃つ」ではなく「人命救助」って形にして欲しかったですね。  一応、ボスを倒す直前に「ミッチがブロディを助ける場面」もある為、ライフガード要素が必要無かったって訳じゃないんですが、最後の最後で(……これ、やっぱり刑事物でも成立したよなぁ)って気持ちにさせられて、興醒めしちゃいましたし。  そこのところを上手くやってくれていたら、もっと自信を持ってオススメ出来る品になってたと思います。[DVD(吹替)] 6点(2020-06-25 13:02:29)《改行有》

33.  ワイン・カントリー 《ネタバレ》  作中にて「私達みたいなグループを見ると、どうせすぐに喧嘩するんだろうと思いたがる」という台詞があるんですが、その台詞通りに喧嘩が始まるんだから、困っちゃいましたね。  そりゃあ「女だけのバケーション」ってテーマの時点で「喧嘩を通して、皆の絆が深まる」っていうお約束展開やるんだろうなとは思ってましたけど……  こんな開き直りみたいな演出されても、困惑するばかりです。  レストランで有名人に遭遇したり、タロット占いしてもらったりと、休暇を彩るイベントが色々用意されているんですが、そのどれもが「小ネタ」って感じで、面白みに欠けるのも困りもの。  恐らくは意図的に大きな事件を起こさず、リアルに仕上げてみせたんだと思いますが、流石にコレは山場が無さ過ぎた気がします。  「実は仕事をクビになってた」「実は乳ガンかもしれない」って仲間に告白するのも、これまた既視感のある展開で、サプライズ感が皆無でしたし……  唯一(おっ?)と思わされたのは、レズビアンの女性とウェイトレスの恋模様くらいでしたね。  てっきり結ばれるかなと予想していたもので「もっとクールな子じゃないと」という一言で振ってみせるのは、中々意外性があって良かったです。  あとは、風景が綺麗だったとか、ゲストハウスの女性オーナーは魅力的なキャラだったとか……良かった探しをするなら、そのくらいかな?  こういう「休暇」「旅行」的な映画は好きなもので、好意的に評価したいんだけど、ちょっと褒めるのが難しいですね。  そもそも本作の場合、主人公グループの関係性が「若い頃、一緒にピザ屋でバイトしてた」と台詞で語られる程度なので、根本的に絆が伝わってこないというか、情報量が少な過ぎて、感情移入出来ないんです。  終盤にて、男性の医者に対し「女性蔑視よ」と難癖つける主人公達の姿にも引いちゃったくらいだし……  どうも疎外感のある内容というか、観客の自分としては、最後まで主人公達の「仲良しグループ」の輪に入りきれなかった気がします。  この場合、そんな「仲良しグループ」の輪に入れるような人が観たら、中々楽しめたんじゃないかと思えただけに、惜しい一品でした。[インターネット(吹替)] 5点(2020-05-21 14:31:25)(良:1票) 《改行有》

34.  アメリカン・パイパイパイ! 完結編 俺たちの同騒会 《ネタバレ》  初代主人公のジム・レヴェンスタインが復帰した、記念すべき一品。  そんなジムだけでなく、他にもオールスターな面子が揃っており、特に「3」の結婚式で不在だったオズまで駆けつけているのが、嬉しくて仕方無かったですね。  初代のヒロイン勢も全員揃っているし、シャーマンにジェシカといった脇役陣まで集結しているんだから、もうそれだけで感激。  シリーズのファンにとっては、最高のお祭り映画だと思います。  妻のミッシェルは、おばさんになってもキュートだし、息子のエヴァンも可愛いしで、そんな主人公一家の姿を描いた冒頭部だけでも、楽しくなっちゃいましたね。  この後、ジムは隣に住んでた女の子のカーラに迫られ、不倫を犯しそうになる訳だけど「妻と息子の為にも、裏切れない」と誘惑を拒むジムの姿に説得力があったのは、それくらい「妻も息子も可愛い」んだって分かる場面が、事前に用意されていたお陰だと思います。  シリーズ皆勤賞となるジム父の使い方も絶妙で、ジムが「昔、愛読していたエロ雑誌」を懐かしそうに読んでいる後ろで、すいーっと部屋に入ってくるだけでも面白いんだから、もう脱帽。  途中、ジムの母が死去していたと分かり、しんみりしちゃう一幕もあったんだけど……  そこで暗くなり過ぎず「ジムの父に、デート相手を探してあげよう」っていう、明るい展開に突入するのが、如何にもこのシリーズらしくて良かったですね。  紆余曲折の末、最終的にはスティフラーの母とデートする仲になるってのも面白い。  フィンチが二人の関係を知った時、どんな反応を示すのか、気になって仕方無いです。  他にも「初代でスクーターに乗っていたフィンチが、颯爽とバイクで登場する」とか、シリーズのファンならニヤリとさせられる描写が多くて、良い意味でサービス精神豊富な映画だったと思いますね。  上述のジムに関してもそうなんですが「浮気」「不倫」といった関係に発展しそうになっても「男が勇気を出して断る」「今の恋人が、実は酷い奴だったと分かる」って答えに着地する為、罪悪感とか、不快感とかを抱かずに観られるんです。  これ、何気無い事かも知れないけど、凄く大事だと思うんですよね。  作り手にとっての「サービス精神」とは、観客を喜ばせる為の「プラスを生み出す配慮」だけでなく、観客を失望させないという「マイナスを防ぐ配慮」も指すんだなって、感心させられるものがありました。  後半、高校時代の「将来の夢」について話す場面では、大人の青春映画ならではの感動があったし 「妥協して生きてるのも、つまらない仕事してるのも、みんな同じだよ」 「恥と思う必要なんか無い」  という劇中の台詞には、本当にグッと来ちゃいましたね。  皮肉な目線で見れば、そんなの「負け犬達の慰め合い、傷の舐め合い」に過ぎないのかも知れないけど……  傷を舐め合える仲間がいるって事は、とても素敵な事なんじゃないかと思えました。  ジムが朝目覚めると、下半身裸で昨夜の記憶が無くなっていたという「ハングオーバー!」っぽい場面は、あまり意味が無かった事。  心臓発作を起こしたボブが無事かどうか、作中でハッキリ言及して欲しかった事など、欠点というか、気になる点も幾つかあるにはあるんですが、もうホント、そんなのどうでも良くなっちゃうくらいに楽しかったですね。  クライマックスには、スティフラーの母に負けないくらい美人なフィンチの母が登場し、スティフラーと結ばれるサプライズ展開もあったりして、下世話なネタのはずなのに、つい笑っちゃいます。  エンドロールにて、高校時代の写真や結婚式の写真が流れるのも、本当に素敵な演出で……  「時代が変わっても、五人はずっと仲間のままなんだ」と、しみじみ感じさせてくれました。  本作のパッケージを眺めてみると、そこには邦題で「完結編」なんて書かれている訳ですが、劇中では再会を誓う乾杯で終わっているし、自分としても是非続編に期待したいですね。  出来るなら、息子のエヴァン君が小学生か中学生、自慰を始めるくらいの思春期まで成長し、父親であるジムが戸惑いつつも一緒に成長するような……  かつてのジム父と同じように、今度はジムが息子を優しく見守り、助言を与えてあげるような、そんな「良い映画」であって欲しいものです。[DVD(吹替)] 8点(2020-05-16 09:01:18)(良:1票) 《改行有》

35.  ハングオーバー!!! 最後の反省会 《ネタバレ》  三部作の最後は、完全にアランが主人公。  その分、アランの魅力も堪能出来る内容なら良かったのですが……  むしろ、その「嫌な奴」っぷりが前二作より強まってるくらいで、本当にもう「何でだよ!」とツッコみたくなっちゃいましたね。  これ、作り手としては「愛嬌のある、憎めないアラン」として魅力的に描いてるつもりなんでしょうけど、自分は全然そうは思えなくて、辛かったです。  息子のアランに怒り狂って死んじゃったパパも可哀想だし、そんなパパの最後の言葉まで偽って、母親に迷惑かけながらニート生活を続ける気満々な辺りとか、流石に呆れちゃいます。  フィル達には懐いてるけど、母親や女中への態度は悪いって点も(可愛い奴だ)とは全然思えなくて(人として最低)(周りに世話してもらって生きてるんだから、せめて周りに優しくしようよ)と、嫌悪感しか湧いてこなかったです。  終盤「キャシーという恋人が出来る」「悪友のチャウに別れを告げる」って形で、アランなりに成長した事が描かれているんだけど、それに関してもノリ切れなかったんですよね。  キャシーと意気投合したキッカケの一つが「母親に対する悪口」ってのも引いちゃうし、チャウに関しては(いやいや、アランが嫌な奴なのって別にチャウのせいじゃないでしょ?)と思えちゃうしで、全然マイナスが挽回出来てなかったと思います。  そんな訳で「主人公のアランに魅力を感じない」という、大きなハンデを背負って鑑賞した本作なのですが……  意外や意外、これが結構楽しめたんですよね。  といっても、1ほどではなくて、2と同じくらいの面白さって感じなんですが、それでも(結構面白いじゃん)と、好意的な印象が残りました。  まず、2が「1の焼き直し過ぎて、2独自の良さが殆ど無いから良さを書けない」って内容だったのに対し、3には間違い無く「本作独自の良さ」が沢山あるってのがポイント高い。  それはつまり「1や2とは違う内容」「ハングオーバーシリーズである必要が無い」って事でもあるんですが、自分としてはそれで正解だったと思いますね。  感想を書く立場としても、3の方がずっと書き易いし、書いていて楽しいです。  冒頭、チャウの脱獄から物語が始まるっていうのも、刑務所もの(&脱獄もの)が好きな身としては興奮しちゃったし、そんなチャウが「第四の主人公格」として活躍しまくっているのも良い。  これは2にあった欠点「メインとなるのが前作と同じ三人組で、新鮮味が無い」を、見事に打ち消す効果があったと思います。  皆で力を合わせ、豪邸に忍び込む件も面白かったし「実はチャウの金塊ではなく、マーシャルの金塊を盗む手伝いをさせられていた」という、どんでん返しも良かったですね。  これは1や2には備わってなかった面白さであり、それだけでも(3を観て良かった)と思えました。  それでいて、後半には再びベガスに戻ったり、ジェイドが再登場したりと、1からの観客に対するファンサービスが、しっかり行われている点も良い。  今回は三部作を続けて鑑賞する形を取った為、1では赤ん坊だったジェイドの息子が成長してる事にも、何だかグッと来ちゃいましたね。  それと同じく、1では端役に過ぎなかったチャウが、立派なメインキャラに成長している事も、これまた感慨深い。  自分としては、アランよりもむしろチャウの方が魅力的なキャラなんじゃないか、と思えたくらいでしたね。  悪人だけど、彼なりに仲間は大切に思っているって事が伝わってきましたし、金塊を独り占めした後に警報を鳴らす時の、意味深な表情や仕草なんかも(アラン達を警察に保護させようとした、チャウなりの優しさでは?)と思えて、印象深いです。  最後には、しっかりチャウがトランクに閉じ込められて、そこから解放され、また馬鹿騒ぎのパーティーをやって終わりというのも、実に「ハングオーバー」らしくて好き。  映画の面白さという意味で考えると、点数では2と同じになっちゃうんですが……  印象としては、ずっと好ましい、良い完結編だったと思います。[DVD(吹替)] 6点(2020-04-16 18:07:52)《改行有》

36.  ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える 《ネタバレ》  三部作の真ん中に位置する品なのですが、初代の焼き直し感の強い内容なのが残念でしたね。  逆に考えると「1を好きだった人なら問題無く楽しめる続編」なのですが、どうもマンネリっぷりを強く感じてしまいました。  理由の一端としては、主人公グループが「フィル、スチュ、アラン」の三人組で、前作と全く同じ顔触れだったのが痛いんじゃないかと。  ここは三人の中の誰かが行方不明になって、新キャラの天才少年テディが捜索側に回るか、あるいはダグも一緒に行動する形にしても良かったんじゃないかと思いますね。  作り手側としては「イケメン主人公のフィル」「頼りないけど知性派で、真相を解く探偵役のスチュ」「トラブルメーカーのアラン」の三人組が、バランスとして完璧という自負ゆえに、前作と全く同じ布陣にしたのでしょうが、流石に変化が無さ過ぎた気がします。  そもそも、スチュが結婚する相手がジェイドじゃなく、新顔のローレンって時点で(えっ、何で?)と思えてしまって、物語に入りきれなかったんですよね。  舞台をタイにする以上、仕方無かったのかも知れませんが、自分としては「タイが舞台である事」に必然性を感じなかったし、アメリカの田舎町かどこかでも良かったんじゃないかと思えたくらい。  スチュとローレンパパとの和解も無理矢理感があったので、もう少し自然な感じに仕上げて欲しかったです。  あとは、アランの嫌な奴っぷりが明らかにアップしている点もキツい。  両親に対して嫌味な態度を取る場面とか「俺は専業ニートなんだ」と偉そうにしている場面とか、本当ゲンナリしちゃったんですよね。  そんな描写が序盤にあった以上、改心して「これからは両親を大事にする」「ちゃんと働き出す」って結末になるんだろうなと思ったのに、それも無し。  前作の時点では、ここまで酷い奴じゃなかったと思いますし、アランが好きだった自分としては、かなり寂しかったです。  何だか欠点ばかりを書いちゃいましたが、それというのも、本作の良い部分って「答え合わせが、盲点を突かれた感じで気持ち良い」とか「エンドロールで明かされるパーティーの光景が楽しそう」とか、前作にあったのと同じ良さだったりするので、改めて本作の感想として書くのが、ちょっと難しいんですよね。  それでも、あえて本作独自の長所を挙げるなら……  「マイク・タイソンやチャウの再登場が嬉しい」「テディが指を失ったのは可哀想だけど、実は自業自得だったと分かり、思わず笑っちゃった」とか、そのくらいになりそう。  総合すると「それなりに楽しめた」「続編としては、そこまで悪くない」って感じになりますし、点数を付けるなら、決して低くはならないんですが……  自分としては、物足りない印象が残る一本でした。[DVD(吹替)] 6点(2020-04-16 17:48:41)(良:1票) 《改行有》

37.  極道めし 《ネタバレ》  刑務所+グルメ物という事で、どうしても「刑務所の中」(2002年)と比較してしまうのですが……  「刑務所の中」のような乾いたシニカルさとは真逆の、湿っぽい人情路線が、独自の魅力に繋がっていましたね。 ・出所後に意中の女性を訪ねるも、彼女が別の男と結ばれているのを見て、そのまま立ち去る。 ・作り話だと強がった後に、実は本当の話であった事を窺わせる。  といった原作の名場面の数々を、少しずつ作中に取り入れ、別の話として再構成しているのも上手い。  「マカロニをストロー代わりにして牛乳を飲む」「看守がビールを飲む話をして、満点を叩き出す」等の小ネタも再現されているんですが、それらが原作と同じ流れで出てくる訳じゃないので(ほほう、ここでコレを出してきたか……)といった感じに、観ていてニヤリとさせられるんですよね。  たとえ原作をそのまま映像化した訳じゃなくても、原作のファンが満足するような品に仕上げる事は出来るんだなって思えて、嬉しくなっちゃいました。  「上を向いて歩こう」「待つわ」「さよなら」などの曲の使い方も巧みだったし、それより何よりも「ちゃんと美味しそうに食べる役者さんを選んでる」って点が、素晴らしいですよね。  メインとなる五人組の内(この人の食べっぷりは微妙だな)と感じるような人は一人もいなかったし、この原作を映像化する上で最も大切な点を、きちんとクリアしていたと思います。  主人公とヒロインの幸せな日々の中で「いただきます」をちゃんとしなきゃダメと要求するヒロインの姿が印象的であり、別れのラーメンを振舞った際にも「いただきます」してくれなかった主人公を、寂し気に見つめていた演出なんかも、良かったですね。  モノローグこそありませんでしたが(この人には、私の言葉は届かないんだ……)と、しみじみ感じていたように見えましたし、その後に二人が破局する結末に、自然と繋がっていたと思います。  出所後に再びラーメンを食し、泣き声の代わりのように麺を啜り、涙を飲み干すようにスープを飲み干す主人公の姿も、非常に味わい深い。  不満点としては……主人公と母親との別れの件が、ちょっと不自然だった事。  最後に子供が風船を渡すのは、わざとらしく思えた事。  作中で満点を取った「すき焼き」は確かに美味しそうだったけど、お肉が今時のスーパーで買った代物にしか見えなくて、今一つノリきれなかった事とか、そのくらいかな?  自分としては「すき焼き」よりも「パイナップルの缶詰」そして「黄金飯」の方が美味しそうに思えちゃったくらいですね。  もし、作中に出てきた料理で一番を決めるなら「黄金飯」に一票入れさせてもらいたいです。[DVD(邦画)] 7点(2020-04-09 14:55:09)(良:1票) 《改行有》

38.  ゾンビーワールドへようこそ 《ネタバレ》  ボーイスカウトとゾンビの組み合わせといえば「バンクス/ゾンビキャンプ」(2013年)という前例がありましたが、あちらが子供向けに仕上げていたのに比べると、こちらは背伸びしたい若者向けって感じの内容でしたね。  グロい場面や、エロい場面なんかも適度に配してあるし、何よりティーンエージャーの成長物語として作ってある。  である以上、何時まで経っても大人になりきれない自分としても、大好物な品のはずなのですが……  要所要所で引っ掛かる部分があって、手放しで絶賛出来ないのが残念でしたね。  いやもうホント、出来は良いんですよ。  ゾンビ映画ってジャンルは、百本観たら八十本以上は「外れ」と感じてしまうくらい「当たり」率の低いもんなのだけど、本作は間違い無く「当たり」の部類。  映像や音楽もしっかりしていますし、途中で間延びする場面も無かったし、娯楽作品として高い水準に達していると思います。  テントを張ったり焚火したりする「ゾンビに襲われる前の楽しい一時」が、きちんと描かれてるのもポイント高いし、お約束の武器としてショットガンが登場し、豪快にゾンビの頭を吹き飛ばしてくれるのも良い。  普段は車が壊れても全然手伝ってくれなかった悪友が、ゾンビに襲われている最中には積極的に手伝ってくれる対比なんかも、上手いなぁと感心しちゃいましたね。  主人公達がボーイスカウトという設定を活かした「ホームセンターで材料を集め、自前の武器を作成する場面」も、凄く良かったです。  物語上、特に必要は無いのに爆発シーンを挟み、分かり易く「はい、ここがクライマックスですよ」と教えてくれてる感じなのも、憎めない愛嬌がありました。    じゃあ、何が気に入らなかったのかというと……  本当に些細な事なんだけど、主人公のベンの言動が問題だったんです。  勿論、彼は良い奴だし、真面目だし、自分も彼が嫌いって訳じゃないんですが、何故か肝心な部分で(えっ? 何それ?)って思うような選択したり、行動を取ったりするんですよね。  なまじ彼が「良い奴」で、自分も序盤から彼に感情移入して観ていたもんだから、途中から徐々に(この主人公は、何か違う……)って違和感を抱き始めたのが、失望に繋がっちゃったんだと思います。  そんな違和感が決定的になったのが、パトリック・シュワルツェネッガー演じるジェフの首を切断して「この、カスが」と毒付く場面。  そりゃあジェフは「嫌味なイケメン男子」という、オタク映画における最大の憎まれ役キャラだったけど(ゾンビ化した知り合いを殺しておいて、そんな態度取る?)って引いちゃったんですよね。  なんか首の斬り方も妙に恰好良く、スタイリッシュに描いて「どう? 観客の皆もスカっとしたでしょ?」と言わんばかりの演出していたのにも(悪趣味だなぁ……)と、ゲンナリするばかりでした。  ここは、お調子者の相棒であるカーターが「ざまぁみろ」と罵って死体を蹴るのを「やり過ぎだ」とベンが咎めるくらいのバランスでも良かった気がします。    あとラストシーンにて、共に苦難を乗り越え、絆を育んできたデニースではなく、ケンドルの方と結ばれるというのも、スッキリしない感じ。  作中の人物の立場になれば「映画で描かれたのは、長い人生のほんのワンシーンに過ぎない。ずっと前から好きだったケンドルを選ぶのは当たり前」って話なんでしょうけど、映画を観ている観客からすれば、出番なんて僅かしかないケンドルより、ヒロイン格であったデニースの肩を持っちゃう訳で、どうも納得出来ないんですよね。  それならせめてデニースの目線で(あぁ、ベンに振られちゃった……)的な切なさを出してくれたら、彼女に同情して、切ない余韻が残ったと思うんですけど、それも無し。  良い映画だし、面白い映画だったんですが、肝心の部分が肌に合わないっていう、非常に勿体無いパターンでした。[DVD(吹替)] 6点(2020-04-07 08:59:31)(良:1票) 《改行有》

39.  ゾンビランド:ダブルタップ 《ネタバレ》  大好きな「ゾンビランド」の主人公四人組が、十年後も家族であり続けたという、それだけでも嬉しくなっちゃう映画。  家族ともなれば当然、意見が合わなくて喧嘩別れしちゃう事もあるんだけど、最後は元の鞘に収まり仲直りっていうのも気持ち良かったですね。  誰か一人くらいは死んじゃう可能性もあるかもって警戒していただけに、そんな懸念を吹き飛ばして全員生存エンドを迎えてくれたのも嬉しかったです。  監督も主要メンバーも同じ顔触れが揃っており、前作が好きな人なら安心して楽しめる内容となっているんですが……  「終盤の展開が雑」っていう欠点まで前作と同じだったりして、ちょっと困っちゃいましたね。  「ゾンビも進化して、更に厄介な敵となった」という伏線があったのに、それに殆ど意味が無かったという肩透かし感も寂しい。  「高さ」を利用してゾンビ達を一斉に退治するクライマックスも、中々痛快ではあったんだけど、上述の設定があるせいで (これなら敵は普通のゾンビのままで良かったな……)  って考えがチラついてノリ切れなかったし、典型的な設定倒れに思えちゃいました。  「二度撃ち」でも倒せない新型ゾンビって印象は強烈だっただけに、もっと上手く活用して欲しかったですね。  勿論、長所も色々あるというか、どちらかといえばそちらの方が多かったくらいだと思います。  ホワイトハウスを「我が家」にして四人で生活する様も楽し気で良かったし、人気漫画「ウォーキング・デッド」を読んで「全然リアルじゃない」と感想を漏らすのも、実際にゾンビ世界に住んでいる主人公達ならではって感じがして、面白かったですね。  すっかり豊満な女性に成長したリトルロックが、反抗期を迎えてしまい、それに他の三人が振り回される展開になるのも、ファミリー映画らしい魅力があって良かったです。  新キャラのマディソンを殺す場面をハッキリ描かなかったから (実は彼女は生きていて、ゾンビ化した彼女と再会する事になるんだろうな)  とばかり思っていたのに (……生きてるだけじゃなくて、ゾンビ化すらしてなかったよ!)  ってツッコまされた辺りも、程好いサプライズ感があって好き。  他にも、リトルロックの彼氏を「胡散臭い」と観客に感じさせる流れも自然で (なんだ、この彼氏って良い奴かと思ってたのに、実は嫌な奴だったのか)  と失望させたりしないバランスに仕上げてあるんですよね。  かなり早い段階で、有名なボブ・ディランの曲を「自分の曲」と言ってリトルロックに聴かせる場面が挟まれており「こいつは信用出来ない」と印象付ける事に成功している。  こういった形の、さり気無い人物描写が上手い監督さんなのだなと、改めて感心させられました。  モンスタートラックや「誕生日プレゼントの銃」の使い方も巧みだし、人間をゾンビと勘違いして殺す事を「マーレイしちゃう」なんて表現するセンスにも、クスっとさせられましたね。  終わり方に関しては、前作と同じ「家族エンド」であり、予定調和な心地良さがある一方で、ちょっと物足りないとも感じていたのですが……  エンドロールの後、ビル・マーレイの大暴れを描いてくれた事には、もう大満足!  もし「ガーフィールド3」ならぬ「ゾンビランド3」があったら、再びエンドロール後には「ビル・マーレイが生きていた頃の話」を流して欲しいな、と思えたくらいでしたね。  完全なコメディパートかと思わせ、観客を油断させておき、意表を突いて格好良いゾンビ退治に突入する流れが、本当に面白かったです。  「ゾンビ世界を生き抜く為のルール」ならぬ「ゾンビランドを楽しむ為のルール」を作るとしたら、そこには是非「エンドロール中に席を立ったり、停止ボタンを押したりしてはいけない」って一文を付け加えたいな……と、そんな風に思えました。[DVD(吹替)] 7点(2020-03-04 23:41:12)(良:1票) 《改行有》

40.  オールド・ボーイ(2013) 《ネタバレ》  今度は原作準拠で作ってくれるんじゃないかという期待があったのですが「原作漫画の再映画化」というよりは「2003年の韓国映画版のリメイク」という内容であった事が残念。  とはいえ、2003年版における欠点が色々と補われた形となっており、そこは良かったですね。  欠点が消えると同時に、あの独特の迫力というか、粘っこい魅力のようなものも失われているので、結果的にはプラマイゼロって感じなのですが……  それでも、リメイクした意義は充分にあったんじゃないかと思います。  まず、原作にもあった「催眠術」の要素をバッサリ削ってみせたのは、間違いなく英断でしたね。  「映画より原作漫画の方が面白い」と考えている自分ですら「あの漫画は催眠術で何でも出来ちゃうのがツマラナイ」って言われたら、反論出来ないところがありますし。  一応、本作においても「心理的な誘導工作」のようなものはありましたが、さほど非現実的ではなく、充分にリアルな範疇に留まっていたんじゃないかと。  また、2003年版においては「これ、ヒロインが主人公の娘なんじゃない?」と途中で観客も気付いちゃうような、作りが甘いところがあったんですが、本作はその点もフォロー済み。  「架空のテレビ番組」「スマホの待ち受け画面」を効果的に活用し、ヒロインの正体を上手くはぐらかす形にしてあったのは、お見事でしたね。  2003年版より先に、こちらを観賞していたとしたら、ネタバラシの瞬間まで「ヒロインのマリーは主人公の娘である」って事に気付かず仕舞いで、大いに衝撃を受けたんじゃないかと思えました。  他にも「飛び降り自殺する男を見殺しにする場面が無くなってる」「娘を人質にしていると犯人が語るので、主人公は彼を殺せない」などの改変が施されており、それらに不満を持っていた自分としては、嬉しい限り。  その一方で「テレビを観ながら自慰に耽る場面」「金槌を武器に大立ち回りを演じる場面」など、2003年版で印象深かったポイントは、しっかり再現してあったんだから、非常にバランスの良い作りだったと思います。  肝心の「犯人の動機」については「2003年版と違って、思いっきり本番行為しているのを見られたんだから、噂が広まるのは当然」「娘だけでなく息子とも性的な関係にあった男って設定にしたのは、流石にやり過ぎでは」「主人公の元嫁はアマンダをいじめるどころか庇っていたのに、殺されたのが可哀想」等々、気になる点も多かったんですが……  家族を淡々と射殺していく場面は不気味で良かったですし、これまた「結果的にはプラマイゼロ」って感じでしたね。  特に、犯人が「近親相姦の罪を背負って生きる事になった主人公」に対し、同情を示す描写があった点は、原作漫画における「孤独な二人の、奇妙な友情」を連想させるものがあり、僅かながらも原作の要素を取り入れてくれたように思えて、自分としては嬉しかったです。  オチとなる「再び監禁部屋に戻るエンド」に関しても、娘との近親相姦関係をスッパリ断ち切ったという感じがして、良かったですね。  曖昧なまま終わらせた2003年版よりも、ずっと誠実な終わり方だったと思います。  あっさり薄味だけど、薄味には薄味ならではの魅力があるんだなと感じさせてくれた、そんな一品でした。[DVD(吹替)] 6点(2020-02-10 20:18:15)《改行有》

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