みんなのシネマレビュー
ユーカラさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 936
性別
ブログのURL //www.jtnews.jp/blog/24461/

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
41424344454647
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
41424344454647
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
41424344454647

441.  ヒメアノ~ル 《ネタバレ》 直近の作品はともかく、監督デビュー作の『なま夏』のじんわりホラーテイストを思い起こすと、この類の作品こそ本領かな、とも思える。 通り魔的にアパートの女性を襲うエピソードをまず事前に配置し、今度は佐津川の帰宅シーンをもってきて緊張を高めていく。 何事もなく玄関口を上がるが、彼女が台所で微かな風音に気付き、見上げると窓が割られているというシーンなど、実にサスペンスフルであり、 ギリギリまでカットを割らずに打擲や刺殺や銃撃をされる側を捉えるカメラもなかなかに非情である。 濱田岳らの性交と森田剛らの殺傷をアクションで繋いだクロスカットなどはあまり類例を見ない、と思う。 森田のささくれだった佇まいと所作も絶品であり、その分ラストの回想の中でみせる半逆光の彼の横顔がなんとも切ない。 『さんかく』でのコンビネーションに続き、ラストはやはり印象的な光で決めている。[映画館(邦画)] 7点(2016-06-01 23:08:19)《改行有》

442.  海よりもまだ深く 《ネタバレ》 「幸せとは云々」といった如何にも名言、的な人生訓を樹木希林らに語らせるのだが、阿部寛が小説書きという設定はそれらに対する照れ隠しのようにも 見える。幸い彼女の軽妙な芝居のおかげで、嫌味がない。 阿部寛の愛嬌ある表情変化や身振りも達者で、姉弟・母子・元夫婦同士の掛け合いもちょっとした台詞の妙で笑わせる。 台風の夜にしては、音響・視覚共に少し物足りなさを感じるが、これでいいのだろうか。 嵐の静かな高揚感をもう少し感じさせてほしい。 公園のシーンのロングショットでは『台風クラブ』を少し感じさせたが。 遊具の中で、懐中電灯のライトを反射した光を小さく宿す阿部の眼が艶めかしい。[映画館(邦画)] 7点(2016-05-25 23:59:08)《改行有》

443.  殿、利息でござる! 《ネタバレ》 説明すべき箇所は適宜注釈を加え、一方大切な家財道具を売り払うシーン等に見られるように画面で納得させるべき箇所は視覚で訴える。 酒蔵や露店の風情あるオープンセットや、勾配が映える茶畑のロケーションなど美術の仕事をしっかり見せる。 ドラマがウエットに傾いてきたかと思うと、さらりとしたユーモアで軽やかに揺り戻しをかける。 そうした作劇の手際が見事で、ウェルメイドと呼ぶに相応しい。 何れのキャラクターも映画の中で何らかの変化を遂げる、あるいは先入観の操作によって印象を反転させる。 その感情の変化、印象の変化を俳優が的確に表現し、それをシンプルに直截に映し出す。 奇を衒わぬ基本の技で物語に引き込んでくれる。 出番の多い少ないに関わらず、いずれのキャラクターも何らかの感情の動きをみせることで魅力を放って後味も清々しい。 ラストは川島雄三か。 それにしても、封切りのタイミングが絶妙すぎて笑える。現実のほうは笑えないが。[映画館(邦画)] 7点(2016-05-19 22:50:31)《改行有》

444.  ちはやふる 下の句 《ネタバレ》 二本で一作とみるべきだろうが、単体でみても独立したものとして十分まとまっている。 競技シーンまでが少し長く感じるが、前作からのテーマにもブレがなく、ライバル松岡芙優の風変りなキャラクターも面白い。 ブラスバンドのエピソードから音楽を介して、クライマックスの舞台へ繋ぐ流れも良好。 競技シーンは上の句に比べてさらに高速度撮影に偏重しすぎの感あり。やりすぎても単調になってしまう。 アクションの快感という点でも物足りないが、前作を継承して仲間たちのスキンシップと視線劇に力をいれているのがいい。 クロースアップも多い分、広瀬の髪を舞わす、濡らす、かき上げさせるといったバリエーションを用いてヒロインの見せ方を工夫している。 松岡の相手に触れない競技スタイルを、屋外で広瀬とすれ違うアクションで相似させているのも演出の一環だ。 ラストに見上げる・見下ろすの演出もあるにはあるが、近江神宮の階段の高低はもっとドラマに活かしてもいい。[映画館(邦画)] 7点(2016-04-30 23:59:04)《改行有》

445.  スポットライト 世紀のスクープ 《ネタバレ》 被害者、弁護士にインタビューしつつ、メモを取る指先の動き。年鑑の名簿一行一行を定規でチェックしていく手作業。 そして、ひたすら足で歩いての訪問取材。 具体的な個人ではなく、システム・構造を追究するという 題材自体は文章向きかもしれないが、記者達の肉体作業を地道に描写していくことによって行動の映画にしている。 ドアを開けて人と会う、ドアが開いて人が顔を出す、そうしたドアを活用した人物の画面への現れが充実していて、 そのことが、画面への興味を途切れさせない。 『清しこの夜』の歌声がかぶる一連のモンタージュの抒情が染み入る。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2016-04-22 22:55:43)《改行有》

446.  ルーム 《ネタバレ》 部屋内の様々な家具に順々に朝の挨拶をする冒頭と、順々に別れの挨拶をするラスト。 きっちり釣り合った優等生的な脚本ではあるが、あの頃の自分は・・的なナレーションで回顧するラストの少年の老成ぶりには オトナの作為も強く感じられてしまう。 その脱出劇の宗教的換喩も紛れもなくシナリオの聡明さを示すが、どうもラストの達観した少年像は作り手の観念を具現しすぎているふうだ。 少年の目線として様々な事物や表情が大きくクロースアップされる前半のレンズはわかるとして、脱出後の世界の拡がりが効果的に視覚化されて いたかというと、後半も印象の弱いショットサイズが続くので物足らない。 小さな天窓のスケールから大きく拡がった青空の大きさ。友達とのサッカーで駆け回るフィールドの奥行き。それらへの驚きと感激を少年の目線を通して もっと感じさせて欲しい。 脱出劇では、シーンを状況説明するショットとサスペンスを優先させたか。ここももっと少年の主観に寄り添って欲しいところである。 映画の中盤、赤色灯が舞う雪に濡れたパトカーの車窓越し、水滴で滲んだ母親の像が必死に駆け寄ってくるPOVショットなどが感動的だ。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2016-04-17 21:52:15)《改行有》

447.  アンジェリカの微笑み 《ネタバレ》 表記はないけれど、映し出される河川は例によってドウロ河なのだろう。 テレビは見当たらず、不鮮明なラジオ音声が流れる劇中の時代は如何様にも受け取れる。 夜、夜明け、そして雨上がりの日中と移り変わる川岸の街並みの風情はどこか神秘的な様相も呈し、 対岸にある丘陵斜面のキアロスタミ風ショットは彼地の風土を強く印象づける。 人物がフレームアウトした後も黒猫がじっと鳥かごを見つめている。 撮る側も猫のリアクションを息を殺して期待していたに違いない。 中央にドア、あるいは窓を配した屋内ショットは凝った照明設計によって濃密な空気を感じさせている。[映画館(字幕)] 7点(2016-04-05 17:16:26)《改行有》

448.  さらば、愛の言葉よ 《ネタバレ》 劇場では見逃してしまったため、2D版のDVDにて鑑賞。よって立体映画としては評価不能だが、その分発色と彩度は鮮やかすぎるくらいで 存分に堪能出来る。 数多く登場する水面のショット、雨の夜の交通のショットなどがどう立体化するのか、機会があればでひ3Dで観てみたい。 単にレイヤー感を強調するためだけの3Dでないことは中盤の件のショットをみてもわかる。 ぞんざいにも見える傾き気味のレイアウトの妙、画面横から突然フレームインする男の暴力的な動き、イントロが何度もリフレインされるスラブ行進曲。 この音響編集がともすれば挑発的でもあるのだが、このあたりが押井守のいうところのダレ場理論にも通ずるのだろう。 「映画は快感原則をどこかで停滞させたり、裏切ったり、阻止したりすることで初めて映画になる。」という。 実際、このチャイコフスキーなどは映画を見終えてから、じわじわと来る。[DVD(字幕)] 7点(2016-03-22 23:11:15)《改行有》

449.  ちはやふる 上の句 《ネタバレ》 校舎の屋上で振り返る広瀬すずの髪が舞う。その舞わせ方とか、スローで捉えた競技カルタのショットとか、目のクロースアップとか、 モーションの造形と編集はアニメーションに近い。決勝戦で、森永悠希目がけてカルタを弾く広瀬のアクションのスローモーションに 漲る高揚感は出崎統演出のそれを思わせたりもする。 ところどころに挟まれるCG処理ショットもそうした印象を補強するのだが、ヒッチコックの『下宿人』的な床の素通しショットまで 登場するに至っては、そこまで実写の制約を取り払ってしまう必要性・必然性があるのかとも思ってしまうけれど。 この競技の(映画的)面白さが主として静から動に一気に切り替わる瞬発性にあるのなら、その瞬間を持続的なショットの中で アクションの速度の美しさとして提示して欲しいところだが、編集のリズムに頼ってしまっている場面が多いように思う。 と言いつつ、決勝戦での逆転の契機を、肩に触れる仲間たちの手と視線で処理していく流れはこちらの気持ちをよく映画に乗せてくれる。 雨天から晴天への変化を光と音のそれに変換し、映画序盤から地道に演出してきた広瀬の呼吸音をクロースアップさせて印象深い。 五人の個性もバランスよく描写してあり、クライマックスの盛り上げもしっかり出来ている。[映画館(邦画)] 7点(2016-03-19 23:26:08)《改行有》

450.  マネー・ショート 華麗なる大逆転 《ネタバレ》 いかにも、グリーングラス御用達のバリー・アクロイドらしいラフな手持ちカメラが実録風を演出する。 クリスチャン・ベールの表情にズームしつつピントを合わせてみせる手つきなどが相変わらずワザトラシイ。 当時の風俗のスチルが目まぐるしくコラージュされ、饒舌なビジネス台詞の応酬に嫌でも集中させられる。 システムのいかがわしさに次第に焦燥を表していくクリスチャン・ベールの神経症気味の芝居も相変わらず達者なら、 頑固一徹を体現するスティーブ・カレルの気難しい表情も次第にヒューモアを醸していく。 当初はクセのある身振りを見せる主人公らの姿が逆に真っ当さに転換し、業界全体のアブノーマルを炙り出していく。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2016-03-13 08:28:36)《改行有》

451.  さらば あぶない刑事 《ネタバレ》 留置場のシーンから、二人のシルエットを浮き立たせる仙元誠三のカメラが絶妙である。 横浜の夜景の数々も官能的に撮られ、車両のワインレッドや赤提灯、菜々緒の白い衣装が美しく映える。 主演二人の掛け合いは安定感のある長めのショットで楽しませ、 カーアクションも、格闘アクションも、その動きをワンショット内でしっかりと見せ、適切に繋ぐ。 ボートを追う柴田恭平の華麗な走りも、それをおさめるカメラも、スピード感に溢れながらも安定感抜群で惚れ惚れする。 お話は陳腐でも、例え浅野温子が下品の極みでも、ベテランのスタッフ・キャストが映画のしっかりした技で二時間をしっかり楽しませてくれる。 ジョージ・ロイ・ヒルから、ジョン・ウ―、タランティーノまで、引用の数々もご愛嬌ということで。[映画館(邦画)] 7点(2016-03-06 23:59:37)《改行有》

452.  スティーブ・ジョブズ(2015) 《ネタバレ》 同タイトルだけにどうしても2013年版と比較してしまうが、主人公の来歴をオーソドクスに追いかけたあちらの平凡さに対して、 後出しとはいえアーロン・ソーキンのシナリオの卓越が際立っている。 三度の製品発表会、その開幕直前の慌ただしい舞台裏を映画の場とする、挿話の取捨選択・構成が大胆である。 人物は舞台裏をアクティブに動き回り、緩急自在のカット割りと会話劇の中から人物像を炙り出していく。 過去のフラッシュバックは申訳程度に短く挟まれるのみで、映画は現在進行形を貫くが、 1984年、1988年、1998年と、画面のシャープネスを微妙に変化させているような印象もあって、時代と人物の変化を視覚化する工夫がみられる。 2013年版では単に顛末の説明としてある取締役会での解任シーンが、こちらでは窓外の土砂降りの雨が強烈な視覚イメージとして 残るといった具合に、実録性よりも印象的な画作りに優位を置くスタンスも窺がえる。 ラスト、舞台袖に立つ娘と主人公の切返しショットがなかなか良い。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2016-03-01 23:50:29)《改行有》

453.  女が眠る時 《ネタバレ》 ビートたけしを始めとして新井浩文や渡辺真起子に至るまで、クセのある俳優がいかにもクセのある達者な芝居を展開する。 リリー・フランキーなどにしても、如何にもリリー・フランキーらしい粘着質の造形によって凄みを見せつけている。 いずれのキャラクターもその身振りと表情の中に狂気の片鱗を覗かせ、それがサスペンスを形づくるが、 俳優陣のいつも通りハイレベルな狂気演技の安定ぶりが少し物足りなくもある、というのは贅沢な不満か。 窃視のサスペンス。そして覗いていたつもりが、いつの間にか覗かれる側になっていたというサスペンスに否応なく引き込まれる。 快晴から曇天へ、そして土砂降りの嵐へ。天候の変化もまたドラマの不穏な空気を良く演出している。[映画館(邦画)] 7点(2016-02-27 23:00:16)《改行有》

454.  十字架 《ネタバレ》 蜃気楼の浮かぶ田舎道を神妙な面持ちで歩む礼服の教師と学生達の列。そのどこか異様な風情の望遠ショットがまず印象深い。 いじめを受けている少年が登校するのを背後からカメラが縦移動で追う。通学路から学校玄関、廊下を通って教室へ。 その間、無視され、忌避され、罵られる彼に同化したカメラが我々に疎外感と痛みを直截に伝えてくる。 幾度も登場する、藤井家の仏壇の置かれた居間の空間。仏壇を前にした小出恵介と木村文乃の複雑な表情。 隣の卓袱台で精神的な危うさを見せる富田靖子と葉山奨之。 そして庭の見える窓際に座りこんでいる寡黙な永瀬正敏。その五人が一つのショット内に配置された縦構図と時間がただならぬ緊張をもたらしている。 時を経て小出と永瀬が佇むその窓際に突然降りだす夕立と稲妻に、わけもなく心を揺さぶられる。 10代から30代までを演じることを主演二人に課したことで、時間の経過とそれぞれのキャラクターの成長が鮮明となった。作り手の英断である。 時間のコントロールこそ、映画の要なのだから。それに応えた二人の芝居も素晴らしい。[映画館(邦画)] 7点(2016-02-10 05:06:34)《改行有》

455.  ブリッジ・オブ・スパイ 《ネタバレ》 マーク・ライランスの自画像、鏡像、本人の三身が一画面内に映し出される冒頭のショット。 それは二対一の交換のドラマ、国を跨ぐスパイのアイデンティティのメタファーでもあろうか。 鏡への反射の演出は随所にみられ、様々に考察の余地がある。 裁判劇を含む饒舌な脚本でありながら、冒頭で示されるそのスパイ活動の描写は尾行劇とレンズを凝視する事という視覚の駆使であり、 そこに画面で語るスピルバーグの本領が発揮されている。 ヤヌス・カミンスキーは、凍てつくヨーロッパと、温かみのあるニューヨークのルックのコントラストをよく際立たせ、 クライマックスの橋は越境という決定的局面を光と共に象徴的に浮かび上がらせている。 本作での光は、米国パイロットを幾度も苛み、銃弾の撃ち込まれたトム・ハンクス家族を晒し、橋の向こう側に輝くライトも 必ずしも希望を象徴していない。蒼白い光芒の下、シルエットと化して消えゆくそれぞれのスパイと、立ち尽くすトム・ハンクスの 暗示的なロングショットが切なくも美しい。 マーク・ライランスの寡黙な芝居が素晴らしい一方、眉間に皺を寄せるばかりのトム・ハンクスの表情は少々単調か。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2016-01-11 21:21:24)《改行有》

456.  フランス組曲 《ネタバレ》 ドイツ占領下のフランス。貞淑なヒロインと紳士的なドイツ軍士官のスリリングな視線の劇。 特に序盤のシチュエーションはオフからの足音等の音響と共に、メルヴィルの『海の沈黙』のような静かな緊張感を湛えている。 半開きのドアや鏡面等のフレーミングによって、ヒロインのミシェル・ウィリアムズは小さく切り取られているが、 ドラマがそこから大きくうねるのに伴い、義母役:クリスティン・スコット・トーマスと共に彼女もまた枠を越えて大きく変貌していく。 萎縮する女から、恋を経て雄々しく前進する女へ。ミシェル・ウィリアムズがひときわ魅力的だ。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2016-01-10 23:53:06)《改行有》

457.  狂走情死考 《ネタバレ》 真白な雪の中、木に縛り付けられ、鞭打たれ、真冬の浜辺を裸で走りと、 俳優たちはかなりの無茶をやっている。ほとんど苦行だ。 夜の西新宿を延々と駆け続ける吉澤健の移動ショットから小樽の雪道を彷徨するラストまで、ひたすらの北上逃避行。 その風景の変遷が時代を鮮明に映し出している。 それは低予算を画面に露呈させない若松作品のしたたかな策でもあるが、その情景の力と身体の感覚は常に積極的な強みになっている。 殺したはずの警察権力が、いつの間にやら目の前に超然と姿を現し、、 という展開も実に寓意に満ちている。[映画館(邦画)] 7点(2015-12-21 23:55:00)《改行有》

458.  母と暮せば 《ネタバレ》 長崎を舞台とする映画なら、坂の勾配は必須の要件と云っていい。 舞台となる二階家は結構な高台の上だ。映画の当初からそれは湾の眺望と共に提示される。 それだけでなく、大学の講堂の座席から教壇を見下ろす、二階から階段下を見下ろす、 枕元の吉永小百合を見下ろすなど、二宮和也のポジショニングにも高低や段差が意識されている。 中でも上がり框を舞台として履物を脱ぐ、居間に上がる、鼻緒を治すなど足への拘りは顕著で、二宮の白いソックスに関わる演出はとりわけ目を引く。 舞台劇的な趣向をベースとしつつ、 二階部屋に差し込む美しい西日や長雨や曇天、木枯らしなど天候の効果を加味してドラマの緊張を高めている。 映画は雲の上から始まり、雲の上へと帰る。宗教画になったきらいもあるが。[映画館(邦画)] 7点(2015-12-20 23:54:54)《改行有》

459.  ジャンヌ・モローの思春期 《ネタバレ》 月の満ち欠けのアバンタイトルに続いて、フランス国民祭の賑わいが窓外から響いてくる。窓辺に佇む少女。 隣りの部屋の窓から身を乗り出す少女と交わされる短い対話によって、戦争が間近であることがわかる。 果たして、通りの嬌声に交じって軍用機の爆音も部屋の中に入ってくる。 美しい田園風景の中を走るバスのロングショットにヒロインのモノローグが被さる。12歳の夏休みにフランス中央部にある父方の田舎に出かけること。 そしてそれが1939年の夏であること。 つまり、フランスが宣戦布告する直前の夏、戦争前夜である。 納屋の干し草に埋もれながら田舎の友達とはしゃぐ。祖母(シモーヌ・シニョレ)と添い寝する。年上の青年にほのかな恋情を抱く。 単に女優の回顧録としても、それらの他愛ないエピソードが夏の光と共にノスタルジーをかきたてるが、 そののどかな暮らしの中ににじり寄る大戦の影(それらはラジオ放送であったりと、さりげない。)が 情景のかけがえのない美しさをより印象付ける。 少女によって開け放たれたオープニングのドアと、祖母によって閉ざされるエンディングのドアが対照を為す。[ビデオ(字幕)] 7点(2015-12-19 15:20:46)《改行有》

460.  黄金のアデーレ 名画の帰還 《ネタバレ》 現代パートでの資金難とか家庭不和といった障害はある程度台詞での処理に頼らざるを得ないだろう。 その辺りの淡白さを補うかのように、過去パートの脱出劇がサスペンスと緊張に溢れている。 裏路地で逃亡を通報する者。咄嗟に逃げ道を指示し、手助けする女性。通りの群衆の中で、追う者・追われる者・味方する者・妨害する者、 それぞれの視線が交錯し、スリリングなアクションを形作っている。 出国手続きの受け答えの中で、声を上ずらせながら懸命に機転を利かす若きヒロイン(タチアナ・マズラニー)の気丈さが心を打つ。 弁護士の弁論から大団円まで、クライマックスの調停シーンは裁判映画の型通りの流れだが、それで万々歳とはならない。 その次の場面に訪れる、過去と現在ふたりのヒロインの涙とそれぞれの抱擁が美しい。 その繋がり合いはヘレン・ミレンのチャームあってのもの。メリル・ストリープではこうはいかない。[映画館(字幕)] 7点(2015-12-04 20:20:53)《改行有》

010.11%
150.53%
2202.14%
3384.06%
4717.59%
510311.00%
610811.54%
721522.97%
821823.29%
911412.18%
10434.59%

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS