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プロフィール
コメント数 2251
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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441.  幸福のスイッチ 《ネタバレ》 口を開けば文句ばかり。プライドだけは一人前。世間知らずもいいところ。上野を観ていると腹が立ちます。でもちょっと苦くて、むず痒い。自分自身を観ているようだから。間違いなく、ああいう時期が自分にもあった。というか、今もその傾向が無いとは言えません。なんともお恥ずかしい限り。だから彼女の気持ちや考え方はよく分かる。電気屋は家電製品を売るのが仕事。部屋の模様替えなんかに付き合っていられるか。ごもっとも。でもそれは普通の電気屋の考え方。それではライバル店には勝てません。ジュリー夫妻は開店当初、顧客開拓のために町内の家々を全て回ったという。さらに“売った製品の面倒は最後までみる“というポリシーを貫いてきた。他の店がやらないこと。だから価値がある。量販店が他では出せない低価格で製品を提供するのと同じ発想。商売で成功する秘訣をジュリーは知っている。しかもその仕事に喜びを感じ、みんなから感謝されている。こんなに素晴らしいことはない。外面の天才?それがどんなに凄いことか。学校の勉強では教えてくれないこと、経験して初めて分かることがある。彼女は直に電気屋の仕事に触れることで、ジュリーの偉大さに気付いたはずです。(もっとも素直にそう思えるまでは、もう少し時間が必要かと思いますが。)幸せのスイッチは”気付くこと“だと思う。それは大人の入り口にある灯り。人生を照らすひかり。彼女は今、パチンとスイッチを入れました。[DVD(邦画)] 8点(2007-12-06 18:23:08)(良:3票)

442.  星ノくん・夢ノくん 星ノくん、夢ノくんは宇宙人。彼らは地球に修学旅行にやってきたという。普通ならVFXなりCGを駆使して、彼らが宇宙人だと印象付けたいところ。でもそれをしていません。理由は2つ考えられます。ひとつは金銭的・技術的に無理なこと。そしてもうひとつは物語に余白を残す意味。2人は宇宙人であってもいいし、そうでなくても構わない。そんな設定の遊びが物語の雰囲気を柔らかくしています。キャスティングも素晴らしい。とくに星ノくんのキャラにはやられました。阿部サダヲ風のノッペリ顔。童貞気質丸出しの言動が確かに宇宙人っぽい。結局のところ演技の良し悪しはニの次だと思う。如何にイメージにあった役者をキャスティングするか。物語の中で役付けしていくか。監督の技量が問われるところです。あとは良い脚本と演出のセンスがあればいい。もちろん製作費はあるに越したことはない。でも絶対条件ではありません。大切なことは、監督が自分の武器を理解すること。お金が無いなら、そのことを逆手に取った演出を考えればいい。自主映画の良作を観ると、その事を再認識することが出来ます。星ノくんの“アノ時の顔”が忘れられません。彼の早業に敬意を表して+1点でお願いします。[DVD(邦画)] 8点(2007-12-02 20:32:18)(良:1票)

443.  イン・ハー・シューズ 《ネタバレ》 姉は妹に恋人を寝取られて失意のどん底。妹は姉に酷い仕打ちをしたことを悔い、さらに仕事が定まらない。2人とも最悪の状態です。実害を受けている姉の方の気持ちは分かり易い。でも妹の心情も理解できる。弁護士としてキャリアを積んでいる姉。誇らしいと思う反面、羨ましくもある。姉は自分が望むものを持っています。血が繋がっているからこそ嫉妬を感じる。それは姉も同じ。妹の美貌と若さに苦いものを感じる。疎ましく思い合っています。これでは上手くいくはずがありません。そんな2人の状況を変えたもの。それは祖母であり、恋人であり、老人ホームの教授でした。彼らは彼女たちに新たな見方を与えた。「あなたは自慢したいほど美人よ」「君はとても頭がいい娘だね」たった一言で人は変わる。もちろん2人のスキルに変化はありません。でも見方を変えるだけで、こんなにも自信が持てる。活き活きしてくる。キーアイテムは靴。多くの靴に出会うこと。それは多くの人と出会うことの例え。素敵な靴ってどんな靴?良い靴を見つけるにはどうしたらいい?豊かに生きるためのコツが本作には隠されています。[DVD(字幕)] 8点(2007-11-29 01:37:50)(良:3票)

444.  ゆれる 《ネタバレ》 良い噂は耳にしていましたが、納得の出来栄え。確かに素晴らしい。役者はみな上手いし、脚本、演出共に申し分ありません。テーマも心に沁みます。山奥の吊り橋で起きた転落事故。それは本当に事故なのか。真相を知るのは当事者である兄と目撃者の弟だけ。当然事故で処理されるはずの事案。しかし兄は殺人であると自供します。ここから真相は事件と事故の間を揺れ動きます。同時に兄と弟、そして彼らの周りの人たちの心をも揺らします。各人の心の内を慮かることが本作の楽しみ方。とくに事故時の兄の心情が最も興味深い。高所の吊り橋、川の音、空気、風、それまで彼が歩んできた人生、もちろん表情や筋肉の動きに至るまで、提供される全ての情報を基にして彼の心情を読み取ります。ただしあくまで推測。彼の心情は彼にしか分からない。絶対に。“彼はどう思ったか”は“自分ならどう思うか”と同義。彼を通じて観客は自分自身を量ることになります。模範解答は“事故”だと思います。でも判決どおりの“殺人”でも間違いだとは思いません。真実はあやふやなものです。何故弟の偽証を兄は黙って受け入れたのか。ラストの兄の笑顔の意味は?最後まで観客自身への問いかけは続きます。とても深い映画。自分の文章力ではそれを伝えることは出来ません。どうぞ直接ご覧になって、自分自身と向き合ってみることをオススメします。[DVD(邦画)] 8点(2007-11-11 19:38:45)(良:1票)

445.  トレインスポッティング 《ネタバレ》 格好良く言えば「刹那的」、悪く言えば「単なるアホ」な若者たちの物語。息苦しい現実から逃避するためにドラッグに明け暮れる日々。彼らの主張は単純明快です。ヨボヨボの爺さんになって何になる。今のこの快楽に意味があるという理屈です。そういう人生観もアリだと思います。明日交通事故で死ぬかもしれないし。ただ、彼らは経験していない。想像の中の漠然とした不安をかき消したいだけ。酸いも甘いも噛み分けた人生の達人が辿り着いた結論とは訳が違います。だから揺れる。ブレブレです。禁ヤク生活を始めてみたり、諦めてみたり。無茶苦茶カッコ悪い。それは主人公自身が一番よく知っていることです。ただ彼は運が良かった。ヤク漬けの生活から足を洗えたことも、一度は就職できたことも。ほぼ奇跡といっていい。でも今までのツケが全部払えたわけじゃない。悪友に巻き込まれて、再びかつての生活に逆戻りかけます。そして最後の主人公の決断。この後味が絶妙でした。軽やかな音楽と相まって、まず先に来るのが爽快感。散々悪友にタカられた主人公の逆襲の一手は気持ちいい。希望もあります。彼は大金を元手に真っ当な人生を目指すという。清涼飲料水の如きノド越しの結末。だのに苦いものが舌に残る。多分アイツはまたドラッグに手を出すだろうなという確信があるから。象徴的なのは、主人公が単語を羅列するところ。ドラッグの名称、不動産屋の仕事、そしてこれから彼が目指す人生について。都合3回同じような言い回しの台詞が出てきます。つまり、ヤク中の時も、就職していても、大金を手にしても、彼は何も変わっていないということ。物語の大半ヤク中だった彼の未来が明るいとは思えない。更に観客も問いかけられます。世間一般で言う“好ましい人生”を表すワードたち。それを耳にして心がザワつきます。こいつらの生活は間違いなくクソだけど、自分の生活はクソじゃないのか。価値観を揺さぶられます。ストーリーは最悪。メッセージには棘がある。でも観客を魅了する技術は相当なものだと思う。こういう映画もキライじゃありません。[DVD(字幕)] 8点(2007-11-09 18:25:53)(良:3票)

446.  幸福な食卓 《ネタバレ》 「お父さんはお父さんを辞めようと思う。」予告編でもシンボル的に使われる、この衝撃的な台詞から物語は始まります。最初は違和感がありました。夫婦は辞められても、親子は辞められない。何言ってるんだろ?という感じ。さらに不思議だったのが家族の反応。怒るわけでも、悲しむわけでもない。かといって諦めてもいない。ただ受け入れています。その理由は後々明かされます。母の言葉が分かり易い。「父さんは父さんの立場に拘らず家族を見守り、私は家を離れたけれどみんなを愛している。」お父さんが辞めると言ったのは、一般的な父親キャラのことでした。それは長男や母親にも言えること。理想的な家族の姿では無いのかもしれません。でも居心地は悪くない。みんなが笑顔を見せることが出来ます。それで十分だと思いました。「君はみんなに守られている」と言った彼氏の言葉は正しい。誰もが支えられて生きている。見えるサポートもあれば、見えない助力もあるということ。それにしても、この家族はホントにいい人ばかり。それに真面目なのだと思う。だから追い込まれてしまうのでしょう。自己防衛の手段として、それぞれが身の振り方を考えた結果、お母さんは家を出て、お兄さんは進学ルートを離れ、お父さんはお父さんを辞めた。やがて主人公にも危機が訪れます。彼女史上、未曾有の大ピンチ。そんな時、彼女に避難場所を教えてくれたのが小林ヨシコでした。これはとっても有難いこと。他人の言葉だから素直に聞けることもあります。家族でも、恋人でも、趣味でもいい。自分の緊急避難場所を確保しておくことは重要です。それこそ生死にかかわる。いつも不機嫌そうで手先が不器用な女は、この家族にとっても救いの女神でした。ラスト、お父さんはやっぱりお父さんを続けると言います。お兄さんは真剣に彼女と向き合い、お母さんは家に戻ってきます。みんな避難場所から帰ってきました。歩く力を取り戻したら、また歩き出せばいい。主人公も前を向いて歩き出せました。もっとも、実際はこんなに上手くいかないと思います。キレイにまとめ過ぎです。でもそれは本作の優しさだと思いました。人生は長い。危機は必ずあります。そんな時、この映画はきっとヒントをくれる。[DVD(邦画)] 8点(2007-11-07 18:21:10)(良:2票)

447.  エターナル・サンシャイン 《ネタバレ》 夢で再現される彼女との思い出は、ただの電子信号です。でも実際に体験した記憶。それを消去するということは、自分の人生の一部を消去することと同じ。大切なのは未来。そのためには過去を捨てよう。その理屈も分かります。実際、捨てなければ生きていられないような辛い記憶もある。未来志向は否定しません。でも未来だけが尊いとも思わない。未来と同等に過去にも価値があります。今自分が在るのは、過去の自分があるから。良い経験もあれば、そうでない経験もある。嬉しい楽しい思い出と一緒に、辛くて悲しい記憶もある。その総てで自分は出来ています。どれが大切で、どれが不要かは分からない。どの経験も大切な心のピースです。心にトゲが刺さったら痛い。最悪、それが元で死ぬこともあります。でもトゲごと包み込んで自分の血肉に換えれば大丈夫。トゲも自分の一部です。主人公と彼女は、もう一度やり直す決心をしました。再び辛い目に合うのは承知の上です。どんなにマイナスが多くても、プラスの魅力には勝てないということ。棘を恐れて薔薇を避けるのは、その美しさを知った人間には出来ないことです。だから経験は何ものにも代え難い。苦味や渋みも旨みのうち。捨てるのは、やっぱりもったいない。嬉しさ半分、苦しさ半分で上等。2人の選択に胸が熱くなるのは、人生を肯定してくれているからだと思います。[DVD(字幕)] 8点(2007-11-06 18:26:07)(良:3票)

448.  トランスアメリカ 《ネタバレ》 性同一性障害の主人公に両刀使い?の息子。この2人を「父と息子」と捉えて良いのかよく分かりません。でもよく似ています。やっぱり親子だと思う。本音を言えば、性同一性障害者が家族にいたら、自分なら頭を抱えると思う。ポルノ男優も同じ。親の立場にしてみれば、やり切れないでしょう。世間体も悪いし。主人公の母親の態度は酷いと思うけど、実際はあんなものだと思います。でも血のつながりは断ち切れない。どんなに拒絶しても、結局は徒労に終わる。肯定するしか道はありません。勘当して世間体を保つことに、何の意味もありません。諦めが肝心。とかく負のイメージが強い“諦め”という言葉。でも悪いことじゃない。この場合、違う価値観にシフトするだけのこと。父親と売春男という関係が、母親とポルノ男優に変わっても、大したことじゃない。認め合って肯定し合って生きていくことほうがずっと幸せ。設定は少々奇抜ですが、とても真っ直ぐなファミリードラマ。エピソードも豊富で、ロードムービーとしても面白かったです。それにしても、主演のお父さんが女優だと知ってお口あんぐり。完全に男優が女装をしているのだとばかり。ちんもあったし。物語よしで、演技もよし。得した気分です。[DVD(字幕)] 8点(2007-11-01 18:26:43)

449.  自虐の詩 《ネタバレ》 中谷主演や類似設定ゆえ、『嫌われ松子の一生』との比較は避けられない本作。コメディ色が強い前半は同監督の『トリック』を、不幸話が続く中盤から終盤にかけては、確かに『松子』を彷彿とさせます。シンボルシーンのちゃぶ台返しは序盤に集中。バリエーションを付けて楽しませてくれます。阿部の顔はそれだけで“勝ち”みたいなものだし、遠藤憲一も巧い。堤節が楽しめるコメディパートは概ね上々の出来。笑いはOKです。ただし“泣き”の方はパッとしません。『松子』で培った中谷の演技をはじめ、役者陣は申し分なかっただけに、演出・脚本面での不手際が感じられます。幸江の過去の回想場面は冗長で中弛み。シリアスモードに水を差す阿部のロン毛。熊本さんとの後日談も取って付けたような。完成度という尺度で『松子』と比較するのは相当厳しい。DVDレンタルやテレビ放映等が済んだ頃の評価は、5~6点台で落ち着くと思います。でも自分は本作が好き。大好きです。エンドクレジット、海に漂う大量のクラゲを見つめながら胸に込み上げるものがありました。(※クラゲは黒沢清監督の某作と同じ比喩表現。でも物語に取り込めておらず、これまた使い方は下手です。)ラスト赤子を抱えて寄り添うイサオと幸江。「幸も不幸も関係ない」「人生には明らかに意味がある」そんな当たり前の事を言葉に出すのは恥ずかしい。でも本作のように下手な映画はそれでいい。不粋なやり方でも観客の心に届けばいい。シチュエーションで泣かされていると思います。多分に主題歌の影響もある。原作が素晴らしいのでしょう。そうだとしても構いません。冷静に映画を分析するよりも、素直に自分の心と向き合うほうがきっと幸せ。自分の人生が愛おしく思える。そんな映画はダメじゃない。下手くそだけど、いい映画だと思います。[映画館(邦画)] 8点(2007-10-30 18:28:25)(良:2票)

450.  ニュースの天才 《ネタバレ》 「上司は部下を守るべき。そういう上司は良い上司だ」主人公の主張には共感できます。ミニボトル(乱れた春の記事)のクレームへの対応や、意地悪な上司に対して文句を言ってくれた前編集長は、確かに尊敬すべき上司の姿に思えました。でもそれは間違いでした。結果的に前編集長の下で捏造記事が量産されたことを考えると、彼の姿勢に問題があったと言わざるを得ません。「信頼」は美しい言葉です。でもそれが「過信」になったら価値を失います。チェック体制も儀式であるなら意味がありません。「優しさ」はときに「甘さ」につながり、「信頼」は「無責任」に変わります。職場の和を保ちつつ、厳しさも失わない。難しいことです。でも絶対に必要なことだと本作は教えてくれています。主人公が捏造に手を染めた理由。それは、褒めてもらいたいから。自分を認めてもらいたかったから。完全に子供の発想です。ロースクールに通うのも、親の体裁のため。そこに主体性はありません。悪いのは自分じゃない。上司が、親が、自分以外の誰かに守ってもらいたいと願うのもそう。体は24歳の大人でも、心は体に追いついていません。ウソを必死で隠そうと足掻くのは、自分の非を認めたくないから。彼は最後の最後まで、心から謝罪することはありませんでした。誤りを認めるのは辛いことです。自身を否定することだから。でも脆い土台はいつか崩れます。築いて、壊して、踏み固める。その繰り返しで人は成長していくのです。彼は脆い土台を積みすぎました。もはや転落死も在りうる高さ。だから壊すことが出来ません。自分も足元を見て冷や汗がでます。[DVD(字幕)] 8点(2007-10-29 19:27:38)(良:1票)

451.  パプリカ(2006) 《ネタバレ》 夢と現実が交錯する物語の場合、その区分が曖昧になることが多い。そこから派生する幻惑・幻想・酩酊感がウリだったりもする。本作も、後半にかけて夢と現実の境が無くなっていきます。でも夢か現実か、あるいはその混合世界か、自分が何処に立っているのかは判断できます。戸惑いはあっても、迷子にはなりません。物語の骨子は明確で、物語のナビゲーションは丁寧でした。これは勿論プラスの要素。ただその反面、面白味には欠けます。夢は所詮個人の思考の産物。「一見制約が無さそうで、しっかり制約のある世界」を真面目に描きすぎたかと。この辺のさじ加減は難しい。地図とコンパスが無かったら目的地には着けないけど、保護者同伴の冒険旅行にワクワク感はありません。もう少し乱暴でも良いと思いました。点数は8点。私的には高得点です。でも「8点止まり」という感じ。凄くもったいないと思いました。ちなみにオチは世の男性に“夢”を与えるもの。あの超おデブのボクちゃんが、クールビューティーなパプリカ本体をゲットするとは!でも彼は天才でもあるしなぁ。やっぱシビアな結末なのかも。[DVD(邦画)] 8点(2007-10-24 17:20:44)

452.  トゥモロー・ワールド 《ネタバレ》 空飛ぶ車もレーザービームも出てこない未来。見て取れるのは、カーナビの進化くらい。現在のペースでテクノロジーが進めば、驚きの発明や進化にお目にかかれそうなもの。しかし世界は薄暗く、貧困ばかりがクローズアップされます。人々は活力を失っている。生きる力が無いから進歩もないということ。その理由は、子が産まれないからだという。日本のみならず先進国と言われる国が皆抱える少子化問題。その究極のかたちと言えます。ですから設定には、リアリティがありました。子がいないIfの未来。世界で一番若い18歳の少年は、スーパーアイドルで人間国宝級。歌いも踊りもしないのに。人々は正気を失っている。もし新たな赤ちゃんが誕生したらどうなるか。法王クラスか、はたまたメシアの再来か。その子が持つパワーと利用価値は計り知れません。母子が逃げる理由には説得力がありました。主人公と母子の逃避行。その緊張感は“凄まじい”の一言に尽きます。守るべきものがある恐怖。内戦の中、母子を探す場面の臨場感に身が震えました。赤ん坊の泣き声ひとつで兵士達が戦いを止める。表現としては陳腐かもしれません。でも心を打たれます。そもそも赤ちゃんの鳴き声や子供の笑顔には、それだけの力があると思う。愛や母性という言葉で説明してもいい。『利己的な遺伝子理論』を持ち出してもいい。いずれにしても、人の心はそうプログラムされていると感じます。私たちには、次の世代に“大切なもの”を受け渡す責任を負わされている。それは逃れられない事実だと思います。“大切なもの”はDNAだけではありません。知識、知恵、文化、思想もそう。喜びや悲しみ、感動だって伝えたい。私たちは、途方もない数の命と、想いと、願いを受けて生きています。だから命は尊い。他人のことは知らない。私が死んだら世界は終わり。そういう価値観も否定しません。でも “繋がっている”と考えると、穏やかな気持ちになれると思う。誰かの手を握るだけで安心するように。伝えたいものがある。託す相手がいる。そのことに感謝したいです。物語は一応ハッピーエンド。しかし銃声は鳴り止まず、トゥモロー号は深い霧の中。希望の光が照らす明日は見えません。だから思う。失ってから気付くのでは遅いと。本作の設定は一例に過ぎません。世界を終わらせるのは、そう難しいことじゃない。今のままで、明日がやって来るのか。私たちは問われていると思う。[DVD(字幕)] 8点(2007-10-03 18:14:18)(良:2票)

453.  17歳のカルテ 《ネタバレ》 主人公は境界性人格障害。あとから調べて分かったのですが、彼女の症状はその典型です。邦題の17歳という年齢もズバリそこから来ている。引きこもり、反体制志向、幻覚、自殺計画にカジュアルセックス。自殺と幻覚はヤバイと思いますが、それ以外はさほど問題とは思えませんでした。事実、病院でのスザンナやリサは、まともに見えました。いけ好かない教授夫人をやり込めたり、友達のために無茶してみたり。今どきの若者と変わらない。むしろイイ奴です。人格障害は“性格に難あり”ということ。本作の設定は60年代のアメリカ。当時の価値観・倫理観からすれば問題アリでも、今ならそうでもない。個性の範囲。自殺の危険性が去れば、もう退院してもいいんじゃないの?そう思っていました。主人公の考えと同じ。しかしその見方は後半覆ります。個性とか、自由とか、そんな言葉で逃げてはいけない。自分自身の弱い部分と向き合わないと、一人で立つことは出来ません。緊急避難はあっていい。でも逃げ回ってばかりではダメ。基本は立ち向かうこと。でないとちょっと押されただけでよろけてしまう。最悪のケースが死です。それを自覚できたか否かが、スザンナとリサの差。病院のベッドに縛られるか、社会に戻れるかの差です。「私は生きている」と言ったリサ。彼女もようやくスタートラインに立とうとしています。アンジーの演技には圧倒されました。別人に変わる。病の現実を見事に表現しています。それに比べると、W・ライダーの方は変わらない。でもそれもまた真実。病んでいるかどうかは紙一重。誰もがそのボーダーラインの上に立っているのだと思います。[DVD(字幕)] 8点(2007-09-28 04:39:23)(良:1票)

454.  プラダを着た悪魔 《ネタバレ》 自分はファッションに興味がありません。ミランダほど強烈な上司の下に付いたこともありません。でも琴線がうずくのです。社会人1年生の頃を思い出します。今から考えると信じられないくらいに青かったと思います。使えない、本当にダメダメな新人でした。でもプライドだけは一人前だったりするです。だから仕事はつまらないし、辛いし、頭にくるのです。最初の頃のアンディと同じ。とくに彼女の場合は、ファッション業界に興味が無かったから尚更でしょう。自分の価値観の範疇の外。角界に例えると分かり易い(かな?)。例えばアメリカ人の新弟子。「OH!フンドシなんてナンセンス。」「チョンマゲカッコ悪いネ。」「股割りナンテ痛いだけヨ。」こんな事を言ったら、多分とっても“カワイがられる”でしょう。でもどちらに非があるかは一目瞭然です。世の中には理不尽な事がいっぱいあります。腑に落ちない事だらけ。でも観方を変えると、受け取り方も変わるのです。もしかしたら、自分が知らないだけで、意味があるのかもしれないのに。よしんば、本当に無駄な仕事だったとしても、一生懸命やれば充実感はあるでしょう。個々のマイナスを避けるよりも、トータルでプラスになればOK。それが生まれ変わった主人公の姿だった気がします。ただ、彼女は気付いてしまいました。大成する素質はあったのに、横綱の生き方に魅力を感じなくなってしまいました。大横綱も理事長になったら、あの体たらく(失礼)。寂しい。虚しい。自分には違う生き方が合っていると気付いてしまいました。どちらが良いか、悪いかの話ではありません。彼女は彼女の選んだ道を歩いていくのです。ちなみに関取になれずに廃業した元力士は、どんな業種でも潰しが効くそうです。“忍耐”“努力”なんて最近では流行らない言葉。でも大切なことは、いつの世も変わりません。頑張った人には、頑張っただけの報いがあると信じたいです。最後はちょっと泣けました。[DVD(字幕)] 8点(2007-09-13 18:09:57)(良:2票)

455.  スターシップ・トゥルーパーズ 悪趣味でアホらしい。むやみにエグイ描写を多用していますし、物語の展開も子供じみて単純なもの。英雄は名も無き2等歩兵なんてメッセージもイヤらしい。確信犯のバカ映画です。でもこれはホメ言葉。ここまで徹底すれば清々しい。戦争の本質を皮肉たっぷりに描いています。興味深いのは、相手が虫だということ。相手が虫なら、それは戦争ではありません。ただの殺戮。なぜなら、言葉も気持ちも通じ合わせることが出来る同種同士が争うことが戦争だから。でも本作は紛れも無く戦争映画だと思う。価値観が違えば、もはや同じ人間とは認識しないということか。虫と同じ。踏み殺すのに心は痛まない。[DVD(字幕)] 8点(2007-08-28 18:31:36)

456.  隠し砦の三悪人 《ネタバレ》 本作のキーパーソンは雪姫です。凛とした顔立ち、たたずまい。“品性卑しからず”を見事に体言していました。もっとも演技は一本調子で、お世辞にも上手いとは言えません。しかし意地っ張りの頑固者であることは良く分かる。逆に良い味になっていたと思います。姫の性格は男勝り。言葉の使い方もなっていない。その育ちの良さゆえ、世間知らずであることは否めません。でも家臣や領民を想う気持ちは人一倍強い。芯が一本通っています。だから、みんな姫のために命を賭けることができた。人を動かすものは何か。例えば暴力で強制的に働かせることは可能です。でも力で押さつけたものは、力で抗われる。序盤の大脱走のエピソードがそう。お金の力も強力です。2人組を見れば一目瞭然。しかし肝心なところでは役に立ちません。本当の意味で人を動かすには、その人の心を動かさないといけない。この無謀な計画が成功したのは、姫の人柄に打たれた者たちの助力があったればこそ。最後の田所兵衛の裏切りは奇跡です。しかし、必然の奇跡でもある。金を運ぶお話ですが、大切なのはお金ではありません。ラストも実に清々しい。[DVD(邦画)] 8点(2007-08-13 18:34:04)

457.  羊たちの沈黙 《ネタバレ》 ハンニバル・レクター登場シーンのインパクトは鮮烈です。透き通った目。理知的な表情、たたずまい。彼が尋常でない事は、まとう空気から伝わってきます。対するは、FBIの研修生クラリス。彼女もまた並ではありません。しかしレクターの前では子供同然。格の違いは明らかです。しかし彼女は果敢に怪物に挑んでいく。レクターの魅力の正体、それは“畏怖”。上級の恐怖です。看護婦の顔を食いちぎった話、隣の囚人を言葉で自殺に追いやったエピソードによって強く裏付けられます。ここで重要なのは、食いちぎられた顔も、どんな言葉で囚人を責めたのかも不明であるということ。想像するしかありません。より残酷に、より凄惨にイメージは膨らみます。ですから、レクター逃亡の過程は、“描き過ぎ”と感じました。警棒でガンガン殴っても、顔を鮮血に染めても、見せてしまえばそれまで。なんだ、その程度かと思ってしまう。想像力には敵わない。ナイフは振りかざすよりも、潜めているほうが本当は怖い。カリスマ的な人物像を壊す行為は、もったいないと思いました。とは言え、レクターとクラリスの対話シーンが秀逸なのは変わらない。問いかける側のクラリスが逆に分析されていく。言葉で裸にされ、心を犯されていく。彼女と同じく観客も身動ぎが出来ません。この雰囲気は極上です。本作が傑作と評されるのも頷けます。2人の絡みが本作の全て。しかしそれは作品としての弱点でもあると思います。もう一つの軸、バッファロー・ビルの事件が見劣りしてしまう。犯人の小物ぶりは酷い。物語の体裁としては、むしろビルの事件のほうが主軸。付け合せは絶品。でもメインのお肉はいまひとつ。根が貧乏性なので、やはりメインディッシュで満足したいです。[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-08-10 18:16:50)

458.  三匹荒野を行く 本物の動物が主役となる映画はあまり得意ではありません。今まで観たのは『ベイブ』くらい。動物たちの動きを勝手に人間側が解釈する行為がナンセンスに思えるから。所詮人間の一人よがりではないかと恥ずかしくなる。でも本作を観て考えを改めました。それにこだわることの方がナンセンス。ありのままを楽しめばいい。そう思わせてくれる“何か”が本作にはありました。まず素晴らしかったのが、動物たちの動き。役を理解しているとしか思えない見事な演技には、素直に拍手を送りたい。また動物たちが喋らず、ナレーション主体であったことも違和感を無くすことに一役かっています。日本語ナレーターは、あの久米明。彼ほどの適任者は他にいません。食の問題から逃げなかったのも好印象。犬も猫も肉食。だから野生動物を狩って食べる。当たり前の事です。でも残酷という理由で、その現実から逃げている作品がいかに多いことか。(飼いならされた彼らに捕食能力があるかどうかは別にしても、)当たり前の事実を当たり前に描く姿勢は、やはり気持ちがいいです。もうすぐ2歳になる娘と一緒に本作を鑑賞しました。当然娘は物語を理解していないでしょう。(たぶん。)でも満面の笑顔でした。きっと“何か”の答えはその笑顔の中にあるのでしょう。[CS・衛星(吹替)] 8点(2007-08-09 18:14:32)

459.  花とアリス〈劇場版〉 《ネタバレ》 花の極悪非道っぷりに大笑い。恋する乙女ってホント罪深い(笑)。今どきの娘らしい身勝手さ全開の花に比べると、アリスの方は随分と大人です。その家庭環境の分だけ、彼女のほうが花よりも少しだけ先を歩いているようです。オーディションで自らが進む道を切り開くアリス。その見事なバレエは、見る者のこころを掴みます。もち、パンチラという意味ではなく。花のほうも今回の件で少し成長したようです。先輩にウソをついていた事を告白するシーン。顔はぐしゃぐしゃ。ちょっとやり過ぎです。でも先輩に直接顔を向けてはいないので、不自然ではありません。そのぐしゃぐしゃは彼女の心そのものです。自分で蒔いた種を刈るのは当たり前のこと。でも意外とそれは難しい。逃げるほうが遥かに簡単だから。彼女は勇気を見せてくれました。2人の心が伝わってくるから、他愛のないお話にでも共感できます。「ハートのトランプを見つけた時にだけ私を思い出して」なんて、安いドラマの見すぎです。2人の恋愛は“ごっこ”のレベル。でも胸の痛みは本物です。苦しい気持ち、切ない思いを沢山経験して、みんな大人になっていく。もっとも本作で一番傷ついたのは、花でもアリスでも寿限無先輩でもなく、下ネタで玉砕した“なんつって”師匠だと思いますが。[DVD(邦画)] 8点(2007-08-06 18:11:56)(笑:1票)

460.  奇人たちの晩餐会 《ネタバレ》 「バカを笑う晩餐会」。主人公の奥さんが言うように、確かに悪趣味です。これをそのまま見せられても多分笑えない。どうコメディに仕立てるのかと案じましたが、上手いやり方でした。タイトルに偽りも無いですし。“バカを笑う”という行為は含まれているものの、むしろバカに振り回される主人公を笑う感覚の方が強い。観客は、主人公の親友と同じ立場です。“他人をバカって言う奴が本当のバカ。”“人を笑う者は、いつか自分も笑われる”といった、子供の頃に教わった“世の中の法則”が守られているのも心地がいい。最後にホロリとさせて、笑いで締める手際もお見事。腰痛で動けないはずの主人公が、後半結構歩き回っていたのはご愛嬌。フランス産正統派コメディは初体験でしたが、とても楽しめました。ところで主人公とユニークな彼氏は、このあと友達になれたのでしょうか。多分なれない気がする。でも時々思い出して苦笑いするんだと思う。長い人生、こんな出会いも悪くない。良くもないけど。[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-08-03 18:10:19)(良:1票)

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