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461.  思い出のマーニー スケッチブックに押しつけられて折れる鉛筆の力感や、ナイフで鉛筆の芯を 乱暴に削る動き。トマトや西瓜に包丁が入るその質感など。 巧いアニメーションではあっても、それが単なる現実の模写に留まってはいないか。 紅花摘みのリアリズムを見せつける『おもひでぽろぽろ』にしても、 幼少時代のシーンでは空を泳ぐといった奔放なアニメーションが しっかり活かされているのに対し、 こちらが志向するのは向地性とでもいうべきものだ。 映画は重力を強調し、ヒロインは幾度も地面に突っ伏す。 それはいいが、アニメーションであるべき必然性はやはり低い印象である。 何よりも肝心の「動き」の面において。 和洋のキャラクター・舞台を違和感なく 共存させた世界はアニメならではの強みだろうが、 あの大波と風のシーンだけではいかにもアニメーションとして弱い。 そして、「美少女ヒロイン」以外のキャラクターの何と魅力の薄いことか。 世話になる夫婦も無口な男も、いくらでもドラマに絡ませようがあるだろうに。 登場意義すら見いだしづらい。 絵描きの婦人も、単なる種明かし説明の道具に過ぎないだろう。 成長のドラマならせめて、他者との関わりあいの中で主人公の成長を描いて欲しい。 ヒロインの「碧い瞳」への言及の段取りも、こうすればより映画的なのに、 という代案が簡単に浮かんでくる。 それでいいのか。 [映画館(邦画)] 5点(2014-08-16 19:30:11)《改行有》

462.  オール・ユー・ニード・イズ・キル 敵方の動きを想定した訓練機器に何度も激しく弾き飛ばされるスタントも トム・クルーズ本人がチャレンジしているのだろう。 その果敢なアクション魂が彼への好感度を一層高める。 重火器装備で動きやスピードが制限されかねないスーツを纏いながら、よく動く。 反復学習によって、練度を上げていく主人公のアクション。 その予測動作とリアクションの面白さを、例えば一連の長廻しショットの中で 捉えていくなどすれば、よりキートン的な活劇になっただろうに。 この映画では、それがカッティングのリズムの面白さに留まっている。 その意味で、火器としての見せ場も少ない上、 トム・クルーズの動きを鈍重にしてしまうスーツはさして映画に貢献していない。 その装備を外し、肉体アクションが弾むべきクライマックスが 大状況の物語の側に収斂し、失速しているのも惜しい。 [映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2014-08-13 15:14:31)《改行有》

463.  るろうに剣心 京都大火編 《ネタバレ》 佐藤健と武井咲が別れを交わす水路沿いのシーン。 背後には加藤泰的な素晴らしい水路の美術がセットされているのに、 映画は二人の会話をひたすら平坦なクロースアップでしか捉えない。 もちろん、人物の背後はソフトフォーカスでぼやけている。 抱擁の瞬間に至っては、カメラはさらに寄って画面を占拠してしまう。ダサい。 せせらぎの照り返しとか、木々のざわめきとかの情景を以て語るという ことを知らない。敵方の「炎」と対比しての静かな「流水」でもあろうに。 ハリウッドシステムであろうクロースアップ偏重が あらゆるシーンで、せっかくの美術をむざむざ殺している。 前作に対するすぺるま氏の批判がそのまま通用してしまう。 つまり、まったく進歩がない。相変わらずの下手糞。 脚本を兼ねる監督は、台詞もロクに削れない。 「薬はお前が持っていけ」で十分に意図は通じるところを、 わざわざ「癒してやるのはお前の役目だ」と 気障な蛇足台詞を付け足さずにはいられない野暮。 このパターンの繰り返しである。ゆえにダラケる。 主人公の長広舌など論外だろう。 それでなくても、時代劇的に違和感満載だというのに。 派手なチャンバラも、寄って(編集で)切って、単なる派手に終始する。 [映画館(邦画)] 3点(2014-08-08 15:43:38)《改行有》

464.  GODZILLA ゴジラ(2014) 人間ドラマ部分は、冒頭の家族のシーンをはじめとして顔面アップのくどい、 相変わらずの平坦な主流ハリウッド式画面が続く上に、怪獣映画の宿命的な理屈付け に費やされるのだが、ひとたび特撮シーンになると画面は俄然、密度と奥行きを増す。 退避区域に打ち捨てられた車両のドアミラーに、対岸の風景 つまりカメラの背後の画を映り込ませたショット。 または、バスの窓に映るゴジラの背鰭と、それをバスの中から見上げる子供たちと を重層化させたショット。etc. 反射物を利用して一つの画面空間に奥行きを生む工夫だ。 対峙する怪獣2体を、間に挟まれた人間が交互に振り返りながら仰ぎ見るショット。 津波に埋もれる街路から、次々と停電していくビルの窓を追いながら上昇し、 屋上から発射された照明弾を追っていくと、 左手に巨大生物の皮膚が黒光りしながら浮かび上がってくるショット。 これらはカットを割らずにカメラを持続的に移動させて空間を広げることで、 立体感と巨大感を生む工夫だ。 その持続的なカメラは、ゴジラの見得切りのタメと外連でもある。 ビル群や粉塵の演出は勿論のこと、海鳥をその周囲に飛ばせること、 チャイナタウンの瓦屋根や 赤い提灯を画面手前に配置しての構図取りなど3Dを意識した芸も細やかだ。 東宝特撮映画には必須の、火薬大爆破シーンも取り入れて抜かりない。 ドラマにかかわるわけでもない、退避地区の野犬や線虫。津波に追われる犬。 東海岸のコヨーテや海鳥など。役割がなくとも何気なく画面に現れる動物たちも 映画を単調にさせないアクセントとして気が利いている。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2014-08-03 10:45:29)《改行有》

465.  とらわれて夏 《ネタバレ》 幾度も挿入される回想シーンが、ケイト・ウィンスレットのものなのか ジョシュ・ブローリンのものなのか。 瞬間的に把握しづらいところがあり、また類似場面の反復でもあって 物語を停滞させている気味があるが、それもまた 登場人物を苛むとらわれのイメージを増幅させてもいる。 時代背景を仄めかす映画ポスター類も序盤でさりげなく提示されるのみ。 ラストに活かされるパイ作りのシークエンスも思わせぶりなところが まるでない。そうした慎ましやかさが好ましい。 大団円の後日談。2人が並び歩く一本道の脇に揺れているのは何の作物だったか。 柔らかい光の中に静かに波打つ枝葉の音。 このラストショットが圧倒的に素晴らしい。 グリフィス的原風景に万感の叙情があふれている。 [映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2014-08-01 18:55:19)《改行有》

466.  渇き。(2014) 暴力シーンの打撃の瞬間に度々挟まれるサブリミナル的なアニメーションなどは、 打撃のインパクトを強調しているかに見えて、その実、身体の被虐性を 巧妙に隠蔽している。 打突の瞬間映像は首尾よく自主規制され、その映画アクションは死ぬ。 小刻みで断片的なカッティングと、揺れる画面の中に曖昧模糊にモンタージュされる 強姦シーンもだ。安心、安全。 勿論、見せるばかりが能ではない。 車に二度激突される妻夫木聡の派手なショットも、今度は逆に 単なるインパクトに過ぎなくなってしまう。 北野・黒沢らの地味で寡黙であっけない暴力と、それを冷徹に凝視するショットこそ 凄みと過激さを際立たせているだろう。 虚飾は何ら過激ではなく、それでは痛みも伝わらない。 [映画館(邦画)] 5点(2014-07-28 17:34:26)《改行有》

467.  陽気な中尉さん 予想した展開を軽やかに裏切りつつ、納得のハッピーエンディングに収めてしまうシンプルな脚本の良さもさることながら、ストーリーそのものよりもその軽妙洒脱な映画的組み立て方こそがルビッチ作品の魅力だ。 時間経過を記す冒頭のランプや、王女の衣装の変化を簡潔に表すオーヴァーラップのスマートさ。 ミュージカルでありながら、屋敷内の会話を窓外から捉えたサイレントの1ショットの挿入によってアクセントをつけドラマに引き込んでいくテクニックの鮮やかさ。 階段の登り降りやドアの開閉が存分に駆使され、映画に様々なリズムを刻む。 そして、二人の女優の引き立て方が断然素晴らしい。 クローデット・コルベールと、ミリアム・ホプキンスが互いにビンタし合う後半の対決シーンからの流れは、特に二人の魅力が存分に引き出されている。 ハンカチーフを介して共感し、共にピアノを弾きデュエットし合う二人。 王女にファッションを指南すると、振り返ることなく別れを告げ去っていくコルベールの後姿のショット。 セクシーに変身したミリアム・ホプキンスが煙草をふかしながら艶やかにピアノ演奏し、モーリス・シュバリエに視線を投げるショット。 最高にカッコいい。 [DVD(字幕)] 10点(2014-07-25 15:46:16)《改行有》

468.  荒野のダッチワイフ 悪夢、人形、衣装、モノクロの脱色感と、まさしく押井守『紅い眼鏡』の元ネタだ。 オープニングの岩肌と地面の白く乾いた感触が無国籍的でいい。 ぶっきらぼうで早口の、聞き取りづらい台詞の応酬もまた癖になる。 繁華街でのゲリラ撮影にも、屋内シーンの陰影濃いノワールムードにも ジャズ音楽がよく馴染み、 射撃の腕試しシーンの対話やら、疑似ストップモーションやら、 ギャグすれすれのシリアス(あるいはその逆)の数々が実に娯楽的で堪らない。 DVD版がシネスコ収録でないのが残念なところ。 [DVD(邦画)] 8点(2014-07-25 15:44:02)《改行有》

469.  柳川堀割物語 映画の冒頭、緩やかに進む平底舩の船首低位置に据えられたカメラが 掘割の景観を映し出していく。 木々から漏れた陽光が水面で反射し、 水路沿いの民家の軒下に光の揺れを作り出している。 子供たちが戯れ、ご老人が寛いでいる。 また夕焼けの水田では、逆光の中で一人の男性が足踏み水車を回し続けている。 かつては映画の最初期にも撮影されたそれらの風物は、柳川の景観として以上に 映画の被写体として、動的かつリズミカルで尚且つ美しい。 古くから培われた掘割の合理的なシステムが、アニメーション・図版を活用して 解説されるのも勿論アニメーション監督の特色だろうが、 大半を占める実写部分のレイアウト、動きの捉え方にその資質が表れている。 高度成長期の危機に瀕した掘割。その汚れきった死相は、静止した一枚写真の 数々で提示されるのも高畑流の演出だろう。 流れ、巡ってこそ生きる水が、動きあってのフィルムを通しての生として語られる。 [DVD(邦画)] 8点(2014-07-24 15:52:41)《改行有》

470.  そこのみにて光輝く 浜辺を歩く綾野剛と池脇千鶴。それを手持ちでフォローするカメラの揺れが 二人の心の昂ぶりを静かに、生々しく伝えてくるようで、胸をざわつかせる。 後景で、池脇が意を決して海に入るその波打ち際は立派な「動線」ではないのか。 時に彼らと距離を置き、時に不器用な二人に寄り添うカメラの距離感が程よく、 人物間の心情の交流が画面から滲み出て来る感がある。 綾野、池脇、そして菅田将暉の三人が食堂で談笑するスリーショットの束の間の幸福感。 綾野のベランダに座りこんでの、綾野・菅田のやり取りに滲むエモーション。 これを「座っているだけ」だから動きがないと解する者にとっては、小津作品などは さぞ「退屈」に違いない。 俳優らの芝居のみならず、カメラと対象との距離、構図、配光が見事に 融合している。 薄暗い綾野のアパートの室内に入り込む屋外からのネオン光の点滅。 そのギリギリの光加減の中に身体を重ね合う二人が浮かび上がる様は単に艶かしい というだけではない、深い情感が漲っている。 どこが「暗いだけ」なのか。 ラストの浜辺の眩い朝焼けに浮かび上がる二人の表情の美しさ。 これこそ言葉に代え難い。 [映画館(邦画)] 9点(2014-06-01 09:17:09)《改行有》

471.  WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~ 某旬報の批評の中にもあった「身体性」。やはりこれだろう。 クライマックスの御神木落としのスペクタクルは、その直前の染谷将太の もやい結びや、伊藤英明の猛ダッシュのワンカットに及ばない。 染谷と長澤まさみがムキになるフィジカルなドッジボール。 その二人を素早い左右のパンで捉えるカメラワークは、 御神木に大鋸を入れ協働する伊藤・染谷の二人を捉えるパンニングへと連なっていく。 大型バイクを颯爽と駆る長澤、そして チェーンソーをあたかも本職のごとく扱いこなす伊藤の自信に満ちた身のこなし が清々しい。 別れのシーンでも、彼女は懸命に疾走し、彼は全力で抱きしめる。 ここでもひたすら身体的だ。 藁葺き屋根の民家へと登る坂道や森の木漏れ日など、いい情景も多数ある。 撮影は芦澤明子だ。 [映画館(邦画)] 7点(2014-05-27 11:01:21)《改行有》

472.  百瀬、こっちを向いて。 向井理と中村優子が喫茶店で向かい合いつつ過去に遡るわけだが、 そこで語られるエピソードの大半は向井だけが知るものだ。 接点の少ないこの二人の回想物語という形式が、まずチグハグである。 おまけに、現在と過去を幾度も無意味に往還させる、回想の回想まで採り入れる、と ドラマの停滞感が半端ではない。 自転車もキャッチボールも、なかなか映画として機能しない。 ようやく後半、夜明け前の土手のロケーションが現れて、映画の体裁となる。 風に草が靡く中、ショートヘアの早見あかりの後ろ姿が強く印象付けられる。 [映画館(邦画)] 4点(2014-05-25 23:29:10)《改行有》

473.  リベンジ・マッチ 折角のファイトシーンも俳優のシェイプアップも、 ロッキー完結編のインパクトの後ではかなり分が悪い。 トレーニングメニューや練習場所のロケーションも様々に趣向を凝らすが、 これもやはり二番煎じだ。 それでも随所に散らばるユーモアがいい。 それらの積み重ねが、逆にふとシリアスになるシーンを活かしている。 特にアラン・アーキンの軽妙な芝居が絶品だ。 [映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2014-05-03 00:17:16)《改行有》

474.  銀の匙 Silver Spoon 可愛らしいだけのヒロインかと思いきや、無様でカッコ悪い側面をもさらけ出す。 それでも、その醜態を超えたところで最終的により一層の輝きを増すヒロイン。 それが吉田作品のヒロイン像だが、 ここでの広瀬アリスは単に可愛らしいだけのキャラクターで少々もの足りない。 初の原作ものの制約でやむを得ないところか。 親と向き合う、との台詞も言葉だけでは消化不良だ。 が、屋外バーベキューやばん馬コース作り、レースに集まるギャラリーなど、 後半は北海道ロケを活かしたモブシーンが充実して映画をよく活気づけている。 クライマックスとなるばん馬レースの盛り上がりと、離農する市川知宏一家の引越し シーンの対照的なカットバック。その悲喜交々の情感醸成が素晴らしい。 市川と西田尚美の母子、小さな姉妹らが泣かせる。 [映画館(邦画)] 7点(2014-05-02 23:20:25)《改行有》

475.  白ゆき姫殺人事件 画面が物語の単なる絵解きなら、そこに溢れるTwitterのキャプションも単なる文字説明。しかもご丁寧なことに音読つきだ。 肉声の伴わない無機質な活字の匿名性と威力にこそ、ネットの恐ろしさがあるのでは ないのか。 文字情報を羅列し、それをそのまま「読み聞かせ」て良しとする。 それを延々と繰り返すのだから芸がない。観客は赤ん坊か。 そして安直な絵解き画面はラストで極まる。 画面左手に向かって灯をかざす貫地谷しほりのショットに続くのは 同じく画面左手に向かって視線を送る井上真央。 灯を交わし合う彼女らの切り返しはイマジナリーラインすら無視され、 その位置関係を意味上は把握出来ても、 二人は映画感覚としてまるで繋がり合っていない。 折角、言葉によらない交流のシーンを段取りながら、 最も肝心なところでこの繋ぎはないだろう。 [映画館(邦画)] 4点(2014-05-02 00:09:42)《改行有》

476.  吼えろ鉄拳 初っ端から真田広之が銃弾の嵐を受けるように、登場人物の死も数限りない。 死臭漂う作品でありながら、一方ではコミカルなギャグも満載であるという辺り、 まさに出鱈目である。 が、そうした渾身の荒唐無稽こそが鈴木則文の魅力だ。 延々と続く追走、追走がまるで退屈にならないのは街中に 飛び込んだ大胆なゲリラ的ロケ撮影に漲るパワーと意欲ゆえである。 国内外、豊富な雑踏ロケーションでのアクション撮影には大胆さだけでなく 綿密な準備と段取りが必要なことだろう。 高層ビルの合間を素手とロープで昇り降りし、塀を飛び越え、断崖からジャンプする。 映画は様々な高低の装置を創り出し、垂直のアクションを展開する。 その個々のアイデアから積み上げられた逃走シークエンスであるがゆえに 観る者を飽かさず、俳優達がそのアクションを命懸けでこなすがゆえに 感動的でもある。 真田広之の運動神経、反射神経の素晴らしさ。それらは今現在の彼の活躍を 大いに納得させる。 断崖から落ち、波間に浮かぶ志穂美悦子の亡骸。 彼女を包む鮮血の「本物らしくない」鮮紅色。映画の赤である。 千葉真一の見せ場作りも抜かりない。 [DVD(邦画)] 7点(2014-04-13 22:00:14)《改行有》

477.  ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 権威を盾にするわけではないが、宮崎駿などは当然ながら解っている。 「(ロード・オブ・ザ・リングの)原作を読めばわかりますけど、 実は殺されているのはアジア人だったりアフリカ人だったりする。 それがわかんないでファンタジーが大好きって言ってるのは、馬鹿なんです。」 (『ダーク・ブルー』パンフレット)と。 原作など読まなくても映画を見ただけで解るが。 9.11を経て、なおも「ピュア」に勧善懲悪を楽しめてしまうような、 隠喩も解らぬ「馬鹿」な大人にはなりたくないものだ。 この、他種族を殲滅してメデタシメデタシという欺瞞的でうすら寒い大団円には 反吐が出る。 古典という権威に寄りかかり、単に原作を絵解きしただけの、単なる原作従属物。 A級ならA級らしく、現代世界への問いかけくらい含ませたらどうか。 おまけにこのダラダラと間延びした後日談はもはや拷問である。[映画館(字幕なし「原語」)] 0点(2014-04-06 00:35:52)《改行有》

478.  旅立ちの島唄 ~十五の春~ 《ネタバレ》 卒業コンサート前の楽屋で、娘:三吉彩花の着付けと化粧を手伝う母:大竹しのぶ。 肩に置かれた母の手に自分の手を重ねる娘。 鏡に映る二人のショットが感動的なのは、映画冒頭シーンの相似反復であるためだ。 三吉が憧憬の眼差しで影から見つめていた先輩親娘の姿に重なるのである。 歌を披露する三吉の正面からのショットの息を呑む美しさ。 彼女と溶け合うようにオーヴァーラップする、小林薫、大竹しのぶ夫婦の 切り返しショット連結の美しさ。 彼女の気丈で凛とした歌声と佇まいが感動的なのは、 その前段での高校入学面接試験で彼女が吐露する本心と、彼女が見せる涙があるからだ。 彼女らが旅立つ映画のラスト、島の独特の風土と地形的特色が映画に活きる。 三吉ら卒業生達の乗った小さなフェリーは外海の荒波に大きくローリングしながらも 真っ直ぐに島を離れていく。不安定でも進んでいく船の航跡に熱くなる。 島でのロケーションだけに、現地エキストラも充実している。 特に子供達の巧まざる演技が素晴らしい。 観光名所案内的なショットを極力避けた情景撮影が好ましい。 土地の事情なのかどうか、携帯電話が登場せず、固定電話や手紙やボートが コミュニケーションの手段となっているのも映画性を高めている。 [DVD(邦画)] 8点(2014-04-05 22:56:48)《改行有》

479.  LIFE!(2013) 《ネタバレ》 映画がラストで裏方の功労者を賞賛するのなら、 その彼らの労働を前段で何らかの形で描写すべきだろう。 同様に、ラストで名残を惜しむ部下とベン・スティラーの対話を出すのなら、 その裏付けとなる二人の信頼と協働の関係もせめて描写しておくべきだろう。 そして肝心なカメラマンのショーン・ペンとの信頼関係が語られるのなら、 それは口先ではなくそれこそプロフェッショナルとしての 具体的なネガ現像処理の仕事の確かさによってであるべきだろう。 それらが見事なほどに端折られている。単に説明で済まそうとは虫がよすぎだ。 そこに、裏方仕事など描写に値しないとの作り手の考え方が露呈しているわけだが。 本作が冒頭から描くのは、主人公の同僚の女性に対する懸想だけであり、 会社のモットーやら、仕事への矜持やらは主人公の自己申告による 単なる説明台詞があるだけだ。 一見地味で、単調で、脚光の当たらぬnegative asset manager としての業務。 それを具体のアクションとして見せておいてこそ、 それを切り取った一瞬間の表紙写真がラストで 感動をもたらすのではないのか。 (そもそもマクガフィンを見せてしまう事自体、とてつもない野暮だが。) その抑えたタメがあってこそ、主人公の乗り出すpositiveな冒険の開放感が 引き立つのではないのか。 前半の派手な妄想の視覚化もインフレ状態で、逆に主人公の飛び出すロケーションの インパクトを相対的に弱めている。 彼が翻意してヘリに飛び乗る瞬間のエモーションも活きてこない。 映画的センスとやらを疑うしかない。 次第に魅力を増していくクリステン・ウィグが救いだ。 [映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2014-03-30 20:10:45)《改行有》

480.  魔女の宅急便(2014) 《ネタバレ》 大俯瞰が壮観のロケーションはどうやら小豆島らしい。 小豆島の映画といえば何といっても自転車。 自転車に乗れない小芝風花が広田亮平に教わりながら 一所懸命に漕ぐシーンがいい。 そのおっかなびっくりでありながら真剣な眼差しと、 不格好でありながら徐々に上達していくバランシングと、 そして達成の喜びの笑顔と。 空から降り立つアクションも様々に工夫が凝らされていて、着地したヒロインが 箒をバトンのように軽やかに回転させて収める仕草も颯爽としていて気持ちいい。 CG猫やCGカバについては、これを創りだす労力も苦心もわかるが、 井口奈己やハワード・ホークスの動物演出に驚かされた者としては、 実物でもっと頑張って欲しかったところ。 ラストの大団円と後日談を宮崎版と同様にエンドタイトルで コンパクトにすっきりとまとめたのは好印象だ。 最近は結部をダラダラと引き伸ばす未練がましい映画が多いから。 『ロード・オブ・ザ・リング』のように。 [映画館(邦画)] 6点(2014-03-02 17:53:33)《改行有》

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