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461.  忠臣蔵 花の巻・雪の巻(1954) 《ネタバレ》 オールスター総出演が売り物で、今では貴重な史料映画。女優陣が充実しており、感情を出す細かな演技に秀でているように思われrた。前半、話は淡々と進む。忠臣蔵の講談をなぞっている感じ。ヒール役の吉良の扱いがぞんざいなのが難点。そもそもこの物語は、現代感覚からすれば、傷害事件の被害者である吉良老人を加害者の家臣が集団で殺すという「奇妙な復讐譚」である。吉良の悪人ぶりを前面に押し出さないと物語が成立しない。それなのに吉良の人物描写が弱い上に途中から終盤になるまで永い間登場しなくなる。これでは観客の「復讐心」が持続しない。なので吉良を討ち取ったときのカタルシスも少ない。演出でいえば、音楽をほとんど使っていない。同年制作の「七人の侍」では音楽が有効に使われているのに。天主や五重塔、城石などのホリゾント(背景画)が拙く、舞台の書き割りレベルだ。もうちょっと美術に凝ってほしかった。サイドストーリーは「最後の落伍者」と呼ばれる毛利小平太とその元婚約者しのの話。毛利は肺病が悪化し、討ち入りに参加できず、吉良家への途上で絶命する。しのは「不忠者」の汚名を着せられた父無き後、貧乏長屋で肺を病み、肩身の狭い思いをしながら暮していたが、毛利を見送ったあと自刃する。悲恋、不忠者の娘、肺病、貧乏長屋、自刃、無念の死と、こちらの方は煽情的に悲劇を盛り上げる。本話との演出に隔たりがあるので、違和感がある。クライマックスは討ち入りの場面。ここでカメラはそれまでになく、縦横無尽にパンやアップを多用し、流れるような殺陣さばきは美しく、絵になっており、それなりの臨場感を出すことに成功している。「七人の侍」に較べると迫力不足は否めないが、それは比較するものが偉大すぎるから。「古めかしい」という表現がぴったりする映画だが、「古めかしい」には「古めかしい」の良さもある。[DVD(邦画)] 6点(2013-04-11 02:27:51)

462.  マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ 《ネタバレ》 不思議な映画。異文化のせいで不思議なのか、もともと不思議なのか。時代は、スプートニク2号の飛んだ1957年11月3日と、ボクシングのインゲマルが世界チャンピオンになった1959年6月26日の間。不思議はたくさんある。次々と家庭で問題を起こすイングマンが、不幸な運命に見舞われ、それを克服する物語のはずが、あまりにモテすぎ。お医者さんごっこできる仲のガール・フレンドがいて、田舎に行けば男装の美少女サガとクラスメートの一人から好かれ、優しいグラマー美人にも可愛がられる。最後も男装を解いて少女となったサガと添い寝。バラ色の人生である。どうして二枚目でもないのにモテる設定にしたのか?母親が重篤となり入院し、伯父の元で育てられる次第となるが、そんな大変なときにどうして父親が戻らないのか。治癒が難しい結核であれば尚更のこと。可愛い息子たちに電話もよこさないのか?不思議な人が多く登場する。緑色の髪の少年や男装の少女は置くとして、おちゃらけたレコードばかりかけ、他人の土地に東屋を建てる人、ランジェリー・カタログが好きな老人、乳房のモチーフが好きな芸術家、がらくたで宇宙船の乗り物を作る人、屋根を修繕し続ける人、自転車で綱渡りする人、雪の川で泳ぐ人、みな魅力的だが、揃い過ぎると作為がみえてしまう。最重要な母の死を直接描かないのでわかりづらい。悲劇があってこそ、豊かなユーモアに溢れた周囲の人間の姿やみずみずしくも美しい子供たちの成長していく姿が輝いて見えるのに。クライマックスに欠けるのだ。描かないことで想像させ、詩的に昇華させる手法だろうが、高尚すぎる。ところで母親な本当に死んだのか?犬が死んだ時のほうが落ち込んでいる。コップの水は飲めるのにコップの牛乳を飲めないのはどうしてか。犬の死を知り東屋に閉じこもるが、このとき終始ニヤついているように見える。演技に難あり。犬のふりして吠える姿が心に響かない。サガはどうして犬が死んだのを知っていたのか?イングマルとサガはどうして世紀の一戦のラジオを聞かないで寝ているのか。わざわざそれを聞くためにサガの家に行ったのに。遊び疲れて寝たのだろうが、納得しかねる。最後は屋根の修復を続けるおじさんで締め。これは「人生とは心の傷を修復し続けることだ」というメタファーだろう。これはわかり易い。[DVD(字幕)] 6点(2012-12-24 09:20:39)

463.  樺太1945年夏 氷雪の門 《ネタバレ》 オリジナルは153分だが、フィルム劣化のため119分に編集されてのDVD化。ソ連軍に侵攻されたかつての南樺太や真岡郵便電信局の様子を歴史的視点で描くことより、集団自決した九人の電話交換手に同情する気持ちが強いため、かなりの脚色がある。昭和20年8月20日真岡電信局に勤務した交換手は12名。10名が睡眠薬と青酸カリによる服毒自殺を図り、9名が亡くなった。生存者がいた。遺体は勤務時の姿勢のまま、ヘッドフォンをして電話台に俯せになっていたという。青酸カリの入手経路は不明だが、机の上に置いてあったのを飲んだという証言がある。生存者の中にも所持していたという人もいるので、さほど入手困難なものではなかったようだ。映画では、全員自主的に残留するが、局長に残留要員選定命令が出ていたとする証言もある。劇中、疎開船3隻が留萌沖で国籍不明の潜水艦の攻撃を受け、沈没したと通信を受ける場面があるが、これは22日発生の出来事で明らかな脚色。ソ連の立場はほとんど描かれていない。1945年2月のヤルタ会談で、ドイツ敗戦後90日後(つまり8月9日)のソ連の対日参戦と終戦後の日本の領土・植民地の処理が決定され、南樺太は戦勝権益としてソ連領となると決まった。日本は8月15日に無条件降伏したが、ソ連軍は「8月25日までに南樺太を占領せよ」との命令を受けていて、少なくとも9月2日の降伏調印式までに終了させたい思惑があった。樺太全土を占領できたのは25日。民間の犠牲者は約3,700人。ソ連関係者がこのソ連軍鬼畜映像を見て、激怒したのはむべなること。ソ連関係者から配給会社に横槍が入り、公開は延期、最終的に別の配給会社から当初より大幅に興行規模を縮小しての公開となった。「早すぎる死」と悼む声が多い。街中に艦砲射撃され、上陸したソ連兵から電話交換室にも銃弾が撃ち込まれる状況では逃げ場はなく、ソ連軍から恥ずかしめを受けるといった恐れもあり、いさぎよい死を選んだのは無理からぬことともいえる。日本人には自殺文化、自殺の美学があり、自殺により名誉を守る、責任を果たすといった倫理規範が存在した。お粗末な特撮、ソ連の戦車は自衛隊のものを流用するなど戦闘シーンは迫力がない。砲弾の中、悠然とうどんを食べる少年がいて、頼もしく思っていたが頓死した。逆にきっと食われると予想したうさぎは生き残った。戦争において生と死は紙一重だ。[DVD(字幕)] 6点(2012-12-22 22:01:41)

464.  リオ・ブラボー 《ネタバレ》 西部劇といえば息づまるガン・アクションを中心に、勧善懲悪を主体としたエンターテインメント。これにヒューマン・ドラマが加味すれば名作めく。必要不可欠なのは正義の英雄の存在だが、忘れてならないのは、悪玉、敵役の重要性。闇が濃ければ濃いほど光が輝く。本作品では、悪玉に魅力がない。ボスは登場が遅い上に、ろくに活躍もしない。小ボスもしかり。あまりにも弱すぎるのだ。活躍するのは金で雇われた殺し屋連中だが、これに対して正義側は無粋にもダイナマイトを持ち出す始末で、感心しない。アラは沢山ある。冒頭、保安官補デュードが痰壷の銀貨を取ろうとして保安官に邪魔される。怒ったジュードは棍棒で保安官を殴り倒す。この時点で傷害罪だ。ジュードは勢いで、銀貨を恵んでくれたジョーにも棍棒で殴りかかるが、逆にジョーに殴られる。これは正当防衛。止めようとした男をジョーは射殺してしまう。男が丸腰だったために殺人の罪で逮捕されるが、一種の暴発事故のようなもので、殺意があったわけではないだろう。後に保安官は自分が殺人を目撃したと主張するが、そのときは意識を失っていた。友人が助太刀を申し出ると「素人の手は借りんよ」とつっぱねる。が、結局は友人は死に、友人の連れの力を借りることになる。新しい服に着替えたデュードが保安官事務所に入ろうとするとスタンピー老人に撃たれてしまうが、これはやりすぎ。相手を確かめずに撃つなんて、常軌を逸しており、正義側のやることじゃない。ジュードとジョーの人質交換のとき、ジュードがジョーに突っ込んで行き喧嘩となるが、そのとき相手が撃ってもいないのに、正義側から発砲する。悪玉側から発砲してこその西部劇のはず。ダイナマイトで家をぶっとばして勝敗が決するが、そんなものを使えば勝って当たり前。ボスと小ボスがどうなったかは不明のまま。あの狭い留置所に全員入っているのだろうか。ロカビリー・アイドル歌手のニッキー・ネルソンを起用して歌をうたわせたり、売り出し中の美脚女優を起用して美脚を披露したりと、ヒット狙いが見え見えのファミリー向けの映画。二人共演技に難あり。女に裏切られてアル中の男、二挺拳銃使い、お尋ね者の女賭博師、跛で発砲狂の頑固老人、ダイナマイト等、作り物臭さが目立つ。ジョン・ウェインが階段で転倒する場面はスタントマン。降ってきた女性下着を首に巻き、軽佻の雰囲気のまま終了。 [DVD(字幕)] 6点(2012-12-12 10:40:36)(良:1票) 《改行有》

465.  ブリット 《ネタバレ》 常に死と隣り合わせの寂漠たる刑事の日常を描く野心作。残酷な犯罪に不感症になっていく刑事の悲劇を描きたかったのだろう。強烈なガン・アクション、スピード感あふれるカーチェースは見応えがあるが、肝心なサスペンスの妙味がない。ちょっとしたカットで描く独特な人間ドラマ、凝ったカメラワーク、俳優などは一流なのに、あまりにもお粗末すぎる脚本が作品を台無しにしているという勿体無い作品。 冒頭、組織の金をくすねたジョン・ロスが殺し屋に襲われる。弟の援助を得て車で逃走するが、駐車場で待ち構える殺し屋に至近距離から何度も撃たれても当たらない。殺し屋失格だ。ジョンの身代わりのレニックが指示通りにホテルで手紙を受け取ろうとするが、手紙はない。どうして?2つしかない支持書きの1つをペンで消す不自然さ。裁判の証言に立つ予定のジョン(実はレニック)を警察が保護するが、ホテルから移動して保護下に置くことをしない。殺し屋がくるが、わざわざフロントから電話をよこすまぬけぶり。レニックとは段取りがついていたはず。刑事はもっと間抜けで電話で上司に支持を仰ぐ始末。殺し屋は何故か、刑事の脚とレニックの胸を撃ち、とどめを刺さずに去る。次にレニックが運ばれた病院を襲うが、何故か看護婦が男の姿を見ただけで叫び声をあげる。刑事がレニックの女の居場所に行こうとするが、あいにく警察車両がなくて、仕方なく恋人と恋人の車で向かう。そんな馬鹿な!ホテルに着くと、女は殺されていた。殺したのはジョンだが、何故殺した?レニックに旅券を用意させて受け取ればよいだけ。カバンの中身の服がすべて新品なのも謎。ジョンのいる飛行機の座席までわかっているのに逮捕できない。単独行動するからだ。ジョンが拳銃を持っているのもありえない。最終的にジョンを射殺する刑事。証人が消えて組織の勝利。刑事は家に帰って、恋人の待つベッドへ。恋人「暴力と死に囲まれた仕事で不感症になってる」と批判していたのに、いつのまに仲直りしたの。いわくありげな上院議員も刑事の上司も恋人もあまり物語に絡まないのも不満。 最大の謎はレニックがドアの鍵を外した理由。ジョンとどういう取り決めがあったのか?刑事が撃たれて逃走する予定なのはわかるが、殺し屋はどうやってあの場所を知ったのか?ジョンがチクったのか。刑事の買い物姿を描くより、そこのところを描いてほしい。[DVD(字幕)] 6点(2012-12-09 17:44:01)(良:1票) 《改行有》

466.  TSUNAMI-ツナミ- 《ネタバレ》 惜しい映画だ。ディザスター映画の肝心要は何といってもパニック場面。「デイ・アフター・トゥモロー」のスタッフを招聘してCGパートを作成したと聞く。これは成功している。津波が押し寄せからの場面だけでも見る価値はある。だがそれに至るまで群像劇の描き方に物足りない部分がある。主人公の男は、数年前のスマトラ地震のときに出漁中で、自らの判断ミスで叔父を死に至らしめるというトラウマを抱えている。男は妻と別れ、一人で幼子を育てている。孤児となった叔父の美しい娘とは相思相愛だが、叔父への自責の念のため、思いを伝えられないでいる。この娘へのプロポーズのときに大地震、大津波が発生する。この人間ドラマ部は悪くない。トラウマや障害を乗り越え、さらに大津波に呑まれながらも愛を貫く姿は感動的。しかし残念なことに、残りの人間ドラマ部は、皮相的であり、とってつけたような軽薄な人間関係に終始している。男の弟がレスキュー隊員で、最後には殉職するのだが、この男の恋愛が浮ついたラブコメである。恋人は浪人生なのに女子大生と偽ったり、とってつけたような恋のライバルが登場したりで、重厚な物語の主題と乖離している。これがあるための全体の印象が浮薄に感じられる。大変損をしていると思う。さらに言えば、恋のライバルでちょこまかと動き回る小男が必要以上に登場するが、これはうるさいだけの存在でしかない。もう一人の主人公である地震博士は、離婚した妻と娘との家族愛を取り戻す物語であるが、描き方が通り一遍でしかなく、ころころ性格の変わる妻にはいらいらさせられる。これに加え、漁村をリゾート化しようという開発派と、反対派の対立が描かれる。地震・津波の科学パートだが、目新しい発見や発明があるわけでもなく、見るべきところはない。メガ津波といった言葉だけが大仰で、地震観測や地震予知に関してはおざなりしか描かれていない。監督は興味がないのだろう。韓国で興行収入歴代四位を打ち立てたそうだが、よほど宣伝がうまかったのだろう。[DVD(字幕)] 6点(2012-11-08 21:05:21)

467.  陰陽師 《ネタバレ》 晴明と博雅が、「お前は本当に良い男だ」「お前もな」と笑い合って終わるが、これにどれほど共感するか映画を観た満足度が測れると思う。全く同感できなかった。二人が親友として認めあうには、相互扶助の関係があってこそ。なのに博雅は晴明に一方的に助けられるだけの存在。青音によれば「二つの星が一つになったのは、晴明と博雅が二人で都の守り人となったこと」を意味するそうだが、その説明が欠落している。「一方が死ねばもう一方も……」と暗示するが、博雅が死んでも、晴明には何の影響も現れなかった。悪の権化、道尊だが、この人の内面が描かれていないのが、ドラマとしての最大の難点だ。陰陽師として高い地位にあり、そこそこの暮しをしている。そこに何の不足があるのか?人間や世の中に関心はないのに、どうして天皇を亡きものとし、都を地獄と化すことに執念を燃やすのか?そのあたりの動機がみえてこない。それにあれほどの術が使えるのなら、天皇を意のままに操ることなど朝飯前だと思うのだが……。早良親王も同様で、通り一遍の描き方しかされてないので、遺恨や怨嗟は伝わらず、ましてや青音との愛は空疎にみえる。早良親王憤死の顛末を20分程費やして描いていれば、いくらか深みがでたと思う。最大の見せ場は晴明と道尊の術合戦だろうが、結果は肩透かしだ。道尊はいろいろと術を使うが、晴明は結界を張っただけ。それに嵌ったは道尊はあっけなく自死する。ここは二転、三転して盛り上がりを見せるべきところ。それに晴明が術を使うのにつぶやくだけなのは迫力に欠ける。気分が高揚しないのだ。痛快活劇伝奇映画として失格。自死といえば、右大臣の自死も物足りない。こちらは自死の理由も不明だ。技術的な不手際も目立つ。からくり仕掛け丸出しの式神烏や蛇、苦笑するしかない鬼の面、チープなCG、冬枯れの庭に無理に咲かせた花。夕日の中で博雅が笛を吹くと青音が出現するが、その場面は夜になっている。道尊が帝を追い詰めてゆくと、ほぞを固めた帝は、「自分を差し出せ」とまで叫ぶが、その後は姿を現さない。やっつけ仕事のオンパレードだ。何がなんでもこんな映画を創りたい、こんなことを伝えたいという映画愛や情熱が感じられない。こだわりがないのだ。最後に、早良親王の恋人で永遠の生命を持つ青音は、二十歳くらいの娘が演ずれば絵になるものを、年増が演じたのでは台無しである。恋愛パートも失格。[DVD(邦画)] 6点(2012-10-04 03:31:45)(良:2票)

468.  世界侵略:ロサンゼルス決戦 《ネタバレ》 突然エイリアンの襲来による無差別爆弾攻撃が始まり、ロスアンジェルス他、世界12ケ所で烈しい攻防戦が繰り広げられる。国家レベルを超えた、地球全体、人類の存亡のかかった一大危機である。カメラはこの戦闘に参加した海兵隊の小隊の行動をドキュメンタリータッチで追う。勇躍ヘリに乗り込んだものの、圧倒的優位に立つ敵戦力の前に友軍ヘリは次々と墜落、制空権は完全に奪われている。かろうじて着陸し、司令部に合流出来たものの既に撤退指令がでており、警察署にいるらしい民間人救出を命令される。見えない場所から銃撃され、防戦一方。敵は百発撃ち込んでも死なない不死身ぶり。砲火を交えつつ、辛うじて民間人を発見。ここから対エイリアン戦争から、民間人救出劇にスケールダウンする。ロスがほぼ壊滅している状況で、民間人数人に小隊がかかりっきり。民間人の男(父)が死ぬと皆で愁嘆場を演じだす始末。「勇敢だった、(子に)泣いていいぞ、勇気をもて、海兵隊は絶対諦めない」場違い感がある。それよりエイリアンの死体何故持って帰らない。日中に目立つバスで移動するのもどうかと思うが、敵も本気で米国を相手にするなら、先ず軍事基地を叩き、放送・通信網を遮断し、発電所を爆破し、橋や鉄路などの輸送インフラを破壊すべきなのにこじんまりとした市街戦を演じてのんびりムード。そんなことしてるから、ほら、最後はあっけなくミサイルによる中央指令センター爆破で、ジ・エンド。対ミサイル防御システムがあんな貧弱ではね。今はレーザーを当てて誘導しなくても座標をインプットだけで、目標に命中するタイプのミサイルもあるよ。何年も前から侵略計画を練っていたはずでは?敵の愚かさぶりを嘆くようでは映画として成功とはいえない。「小賢い敵の意表を突く弱点攻撃」こそが望ましい結末。不死身に近かった敵があからさまに弱くなっていくのもいただけず。ドラマ部は、明日結婚する、妻が妊娠中、近く退役予定、部下を失くした過去、エリートだが経験不足の若隊長と老部下の葛藤などと、手垢のついた筋書きを浅く演じられても感動は遠い。とはいえセットやCGの出来映えは良で、役者の演技も合格、何も考えず暇つぶしに観るには好作品。平和な現代では、単純な軍隊英雄万歳ものは支持されにくい。何が足りないか?新鮮味、斬新さだろう。それにつきる映画。[DVD(字幕)] 6点(2012-09-17 14:22:58)

469.  スリ(1959) 《ネタバレ》  不思議な映画だ。スリの道に足を踏み入れてしまった青年の転落人生物語と思いながら鑑賞していたら、最後は恋愛落ちになっていた。青年とあの娘が愛し合っているとは思わなかった。何故二人の愛が伝わらなかったのだろうか?文化の違い、時代の違いがあるだろうが、最大の原因は役者の演技力不足だろう。あの二人は典型的な大根役者だ。繊細な演技ができないのだ。特に目の演技。二人はいつも同じ目付きをしている。これでは伝わる道理がない。 ◆青年の持論は天才超法論。天才で且つ社会で必要な人間ならば、法律を犯しても良いという考え。その方が社会に有益な場合もあるという。うぬぼれ屋の独りよがりな理論だが、彼も心底信じているわけではなく、単に自分の犯罪を糊塗する手段に過ぎないことは薄々気づいている。それが証拠に彼がスリで実績を重ねても、精神の高揚を得ることはできなかった。彼は優しい人間に囲まれている。友人のジャックは大切な相談相手で、何時も青年を気遣ってくれる。刑事は青年の人間性を見抜き、更生の道を説く。母親は、盗難に遭ったとき、身内の犯行かも知れないと告訴を取り下げる。固より息子を愛している。母の隣人の娘ジャンヌは、青年の病気の母親の面倒をみていてくれていた。青年の悩みは何か?「逆さの世の中を元に戻す」発言からすると、世の中に反感を持っていることは間違いない。まともな仕事がないか、真面目に働いてもやっと生活するだけの額しか稼げない事に不満を抱いているのだろう。スリ仲間が捕まり、周囲から疑惑の目が向けられると、青年は逃げるように旅に出た。不毛の海外旅行から戻った青年はジャンヌと再会。彼女はジャックと愛し合い、赤子を授かったが、結婚はせず、ジャックは雲隠れしてしまったという。青年はジャックの責任を肩代わりし、子供も引き受けるという。だが、どんなスリの名人も続けていれば、いつかは捕まる。青年も捕まり、生きる希望を失くす。そんなとき、面会に来てくれたのがジャンヌ。気まずい二人だったが、ジャンヌが面会に来なくなって青年は彼女を愛していることを知る。再び娘が面会に来て、二人は愛を確かめる。魂の救済の物語だが、演出と演技に難点があるため、カタルシスは得られない。青年の成長ぶりよりも、華麗なスリの手練、手管の方に目がいってしまう。[DVD(字幕)] 6点(2012-09-10 23:53:02)(良:1票) 《改行有》

470.  96時間 《ネタバレ》 乗り切れない映画。主人公が17歳の少女の父親としては老け過ぎていて違和感が。元CIAで、海外での仕事が忙しく、家庭を顧みなかったことが主因で離婚、今は退役という設定。別居している娘を想う気持ちはわかるが、「娘のことだけ考えている」「娘と会いたいから娘の近くに住んでいる」「娘さえいればいい」と、クドすぎる。どこか嘘っぽい。そしてこの娘が、感情過多で観ていていらいらさせられる。17歳になっているのに誕生日のプレゼントに大はしゃぎしたり、旅行を父に反対されると泣いて店を飛び出したり。挙句の果てに父を騙して旅行し、ナンパされて誘拐されてしまう。あまり同情できない。父が救出に向かうのだが、警察には届けないし、一緒に誘拐された女友達の両親にも知らせないという無軌道ぶり。パリに警察幹部の知人がいるのだから、連絡しない手はないはずだ。犯罪組織に警察の目こぼしがあるのは、あとでわかる話。捜査方法にも疑問が多い。ナンパ師が事故で死んでしまったあと、ナンパ師の仲間の黒人を問い詰めないのはどうしてか?売春婦のボディガードの男の服に盗聴器をしかけ、「建築現場で新商品のトラブル」とだけ聞いて、どうやってあの現場に行けたのか?建築現場にいバラックでカーテンで仕切っただけの売春宿があったけど、パリではそんなものが実在するのか?警察幹部の妻の腕を銃で撃つのは筋違い。妻とは古くからの知り合いだし、隣室に子供達もいるのに。撃つのは警察幹部の方。喜んでるけど、ハッピーエンドじゃない。娘の友人が変わり果てた姿で死んでも何にも感じないのか?何にも感じないんでしょうね。 [DVD(字幕)] 6点(2012-09-10 01:01:41)《改行有》

471.  バトルシップ(2012) 《ネタバレ》 女「ブリトー食べたい」⇒弟ドラッグストアに天井破って進入(曲ピンクパンサー)⇒警察に捕まる⇒兄「もう26歳だぞ、海軍に入れ!」⇒数年後大尉に昇進、これが序章。海軍兵学校は23歳までしか入れないのに、しかも数年で大尉……。男女の出会いも設定もおバカ全開のポップコーン映画に決定。で、演習中に敵エイリアン侵略。恒星間移動可能な高度な技術を持ちながら一機(通信機)が人工衛生に衝突して墜落するというトホホさ……。四機はハワイ近海に潜伏。敵は攻撃されない限り反撃しないのだが、愚弟が暴走して戦闘モードに。敵がバリアーを張ったことから、互いにレーダーが使えない(あれだけ音するのにソナーも使えない?)アナログ対決になる。が、敵が戦闘機や爆撃機、照明弾などを使わないのが不思議、戦闘機は確かに映っていた。デザイン秀逸な火球型飛行兵器も放置。それより敵戦艦がバタフライのようにジャンプしながらの移動って……、揺れるし、衝撃は受けるし、遅くなるし……。全艦撃沈されて、展示艦ミズーリ―号を使うアイデアは出色だが、旧軍人がなぜそこにいるのか、実砲弾が何故あるのかなどの説明がないのがおバカ映画のお約束?一方女と傷痍軍人は偶然?アオフ島の通信基地の近くにいて、敵が施設を使って母星と通信しようとしていることを愚弟に伝える。見つかって傷痍軍人と敵の殴り合いが始まる。ここで敵の前歯がぶっとぶシュールなスローモーションをお楽しみください。あとは省略可。当然第二陣が攻めてくるだろうからそれに備えよ、という常識的な可能性を捨てきって、よかった、よかったと大団円で終了。終ってみれば、敵は専守防衛に徹しており、子供や武器を持たない人間は攻撃せず、捕虜は見捨てず回収するといったある意味紳士的な人たち。この中途半端な設定のためにカタルシスを得ることができない。地球を救ったのは誰か?地球を危機に陥れたのは誰か?もっと単純明快にすべき。自衛隊を出したのは日本での興行収入アップを見込んでの下心みえみえ。結局この映画、そこそこヒットしたものの莫大な制作費は回収できずに赤字で、あえなく撃沈。せめて軍事オタクが喜ぶような真剣でもバトルがあれば、カルト的な人気を博するのだけれど。心優しいエイリアンの勝利?[映画館(字幕)] 6点(2012-09-09 12:35:40)(良:1票)

472.  レディ・ジョーカー 《ネタバレ》 もやもやしますね。複雑な人間関係を整理する必要あり。秦野浩之(歯科医)=被差別部落出身。物井清三の娘聟。息子孝之が日之出麦酒の就職試験に失敗すると選考過程に問題があったとクレームをつける。孝之は城山社長の弟の娘佳子と交際していたが、駆け落ちの日にバイク事故死。日之出麦酒を強請る岡田経友会の西村から物井清二の56年前の手紙の写しを渡され、テープに吹き込んで社長に渡す。◆最大の謎は「56年前の手紙(解雇された会社へのクレーム)の写しに重要な意味があるのか?」ということでしょう。時代を考慮しても脅しに使えるような内容は書かれていないように思う。単なる恨み節。◆主犯清二の犯行動機は明快。兄を解雇した会社への復讐。兄の死後、昔の手紙を偶然入手して、運命を感じた。経済的に恵まれず、世の中の不条理に耐え、社会の底辺で大人しく生きる人にも”鬼”が訪れるときがある。「なるように来て、なるようにしかならない生き方」にも意地あり。社長が清二の焼香に訪れると拒否。復讐で心は満たされない。◆社長は比較的まとも。開放される時佳子の写真を持たされ、真の対象は佳子だと思う。それで会社に金を払うように画策。岡田経友会との関係を絶つために自ら背任の容疑を買って出る。◆内容は深いのに詰め込み過ぎな上に省略が多いのは致命的。犯人刑事か岡田経友会パートを思い切って削るなどの荒療法が必要。警察対レディ・ジョーカーに徹するべき。重度障害者をジョーカー(人が望まないもの)として扱っている。労働運動する清二もジョーカーとして排除された。にも関わらず清二は日之出麦酒を好んで飲んでいたというのが人生の面白さだろうか。清三の家の近くに聳える日之出麦酒の高層ビルを配置したのは手柄。きっと見下された気分になる。◆不明点。①ギャンブル仲間でしかないのに、仲が良すぎる。②人物では在日朝鮮人が最大の謎。何故岡田経友会に脅される?お金はそのまま?株の空売りで儲けていた筈なのに。③犯人グループはギャンブル好きで、金に執着している筈なのに、奪った金に対して淡白すぎる。在日の家を探すくらいはしろ!④社長の弟の鉄道自殺が唐突すぎる。20億円払って事件が解決した直後。自殺するほどの悩みは描かれていない。(原作では秦野浩之が自殺)⑤犯人刑事の上司の自殺が唐突すぎる。⑥犯人刑事はとどめを刺さず自首した。自首するなら刺すな。 [DVD(邦画)] 6点(2012-08-09 01:37:56)《改行有》

473.  白蛇伝 《ネタバレ》 実に大らかな作柄。声優(ナレーション、歌含む)がたった二人というのは弁士の伝統が残っていたからでしょうか。現在ではありえない選択で、そういう意味で貴重。芸達者の二人だから成しえたこと。登場人物や動物達の造詣は優美で、傑出していると思います。アニメーションの動きはさすがに古さを感じさせるものですが、背景画はとても温かみがあり、心にかなうものでした。物語は中国民話を改変したもの。男の子(許仙)が白蛇を可愛がっていたが、大人達に指弾され、泣く泣く野に逃がす。後年妖術の力を得た白蛇は娘(白娘)の姿に化身し、かつて可愛がってくれた男の子を探し出す。大人になった許仙は白娘に一目惚れ。白娘の正体を見抜いた僧法海の妨害など、いくつかの障害を乗り越え、最後に本当の人間となり許仙と結ばれるという恋愛物語。わかりやすい内容だが、感動は薄い。その最大の理由は、白娘が人間になるために払う代償が少ないから。人魚姫では、声を失い、足の痛みに耐えなければならなかった。白娘の場合は、払う代償は単に妖術が使えなくなるというもの。人間になれば妖精としての永遠の命が失われることになるが、元々人間になりたいのだから、大きな代償ではない。さらに死んだ許仙を生き返らせる生命の花をもらう。これは安直すぎる。さほどの努力もしてないのに障害が解決されるのでは感動も薄くなろうというもの。最後のクライマックスは、白娘の下女小青の頼みとする「なまず王」と法海との妖術対法力合戦。人間となってしまった白娘は浪に翻弄されるのみで影が薄い。許仙は宝石を盗んだ罪を着せられ、強制労働に従事させられ、白娘の幻を追って崖から墜落死する。常に受け身で、法海や白娘から助けられる存在。白蛇は許仙の類まれな優しさに惹かれたのだが、許仙の優しさが発揮る展開もない。許仙がもう少し活躍する展開になれば、名作になりえただろう。脚本がひとつの方向を向いていない。物語中盤で、町の愚連隊である動物達が仲間に加わるが、物語にはほとんど絡まない。許仙と白娘が再会するきっかけとなった笛、胡弓といったアイテムも後半活用されない。だからとぎれとぎれの印象となる。ちなみに小青は魚から人間に変身するが、これは後年宮崎駿の「ポニョ」の原型か。「崖の上のポニョ」のベースに本作品があるのかも。宮崎氏は、この映画を観た経験がアニメ界に入るきっかけの一つとなったと語っているのだから。[DVD(邦画)] 6点(2012-07-15 18:52:51)

474.  どですかでん 《ネタバレ》 貧民街で暮らす人達の姿を赤裸々に描く群像劇。爪に火を燈すようなぎりぎりのどん底生活では、良くも悪くも人間性が浮き彫りになる。トラウマになるほど悲惨な挿話もある。性にまつわる問題が多い。挿話の束ね役は、いつも超然としている彫金師の長老。泥棒に財布を進上するちゃめっ気があり、六ちゃんの電車ごっとに付き合い、偽薬で自殺志願者を救い、刀振り回す男をさばき、病気の乞食父子を援助しようとする。大活躍だ。一見救いのない話が多いように見えるが、微かながら光明はある。妊娠した娘は、元凶である叔父と別れることができ、傷害罪は問われず、勤労青年とも仲直りできた。生物学上の父親が違う家族では、父子の絆が確認できた。夫婦交換の夫婦では、夫婦の絆が確認できた。無愛想の妻の家では、妻との絆が確認できた。自殺志願者は、生きている意義を知った。六ちゃんの家は、母が知恵遅れの子を心配をしているが、子は母の心配するほど成長してきている。不義の妻の家では、夫と十分な和解は叶わなかったが、夫は妻の作った食事を食べるなど妻を許す兆しを見せ、妻は夫と別れて新しい人生を踏み出すきっかけを掴む。乞食の親子は異色。子はあっけなく死ぬ。施された食べ物で食あたりを起こすという皮肉。しかしこの子は幸せであったと信じたい。父の為に物乞いの毎日。父の空想に付き合う日々。それでも愚痴一つこぼさなかったのは、父のことが好きで、一緒の生活が幸福だったからだろう。監督初のカラー作品で、監督の敬愛するゴッホの絵のように荒々しく、色がどぎつい。ストーリーはおいておくにしても、力強く生命感溢れる映像は心証深い。ゴッホが監督したかのような内容と仕上がり。後に「夢」でゴッホを描いているのも偶然ではないだろう。ゴッホは自殺し、監督も公開の翌年自殺未遂を起こす。芸術家は”狂気”を持ち合わせている。六ちゃんの運転する電車は空想。乞食の建てる家は想像。空想や想像だけの世界で生きていれば苦悩はない。だがそれは現実逃避に過ぎない。”映画という現実”を創り上げるために監督がどれほど苦悩し、苦労したか。生身の監督の悶え、もがく姿が投影されている気がする。ある意味自画像といえるかもしれない。ラストでは電車の絵に光明が射す。最後まで希望を失わない姿勢に感動。大阪万博の年にこの映画を創るとは何と不器用な。時代設定を戦後すぐにすればもっと感情移入できた。[DVD(邦画)] 6点(2012-07-12 07:25:54)

475.  暗黒街のふたり 《ネタバレ》 前科のある男が出所し社会復帰をめざすが、刑事のストーカー紛いの干渉と不運が重なって殺人を犯し、死刑になるという不条理な話。だがその不条理よりも、一貫性のないストーリー構成に不条理を感じてしまう。思うに死刑という結末ありきで、悲運と不条理を訴えたい場合、次のような設定にすれば理解されやすい。①男が過去の罪を悔やみ、社会復帰しようと奮励している。②刑事が男を疑っており、監視し、生活に容喙する。③強盗仲間から執拗に誘われる。④職を得るのが難しいなど、社会復帰に困難が伴う。⑤妻とは深く愛しあっている。⑥保護観察司など一部の人からは信頼されている。⑥不幸な偶然が重なり殺人を犯してしまう。この中で②だけは成功している。誰もあの刑事には怒りを禁じ得ないだろう。しかし他の設定はゆるがせである。冒頭、刑務所の作業中に煙草を盗み吸う場面があるが、全く余計だ。更生している人とは思えないからだ。強盗仲間の勧誘は中途半端。新参者が男につっかかる場面があるが、その後登場せず、伏線が回収されない憾みがある。そして社会復帰があまりに簡単に行き過ぎる。経営者からは共同経営を持ちかけられるほど信頼され、刑事より多額の給料では恵まれ過ぎている。妻が事故死してしまうが、これもいただけない。男の不運を強調するのが企図だろうが、すぐに恋人が出来てしまうのでは効果が薄い。観客の同情も、妻と恋人の二人に分散してしまう。一貫して深い夫婦愛を描いた方が、より感情移入しやすかっただろう。脚本の意図としては、恋人を銀行員にして、刑事に銀行強盗を匂わせたかったのだろうが、失敗している。保護司との関係だが、二人にどういう因縁があるのかはっきりしない。のみならず、刑事との因縁もよくわからない。刑事が男をあれほどまでに警戒する理由を示してほしい。さらに言えば、男の家族が一切登場しないので、男の人物像はよくわからないままだ。殺人だが、あっさりしすぎている。短気を起こして刑事を殺すのでは同情が得られない。もっと殺すに十分な理由が必要だし、あるいは偶発的な事が重なって冤罪に近い形で殺してしまうというような展開が望ましいかった。最後にこれは最大の欠点と思うが、それは不用意なナレーションにより、結末が判ってしまうこと。法廷場面で、男が死刑になるのは明らかなので緊張感がない。男が淡々と運命を受け入れ、陳述もしないのは奇異に感じる。[DVD(字幕)] 6点(2012-07-04 01:06:53)

476.  ザ・コア 地球の核の回転が停止した為に磁場が消失し、太陽風に曝されて人類は滅亡するというアイデアは目新しい。残念なのはその原因が人工地震装置だということ。原因不明でよかったのに。国家陰謀の要素を加えたことで焦点がぼけてしまった。◆人類滅亡の危機にしては、いろんな場面でシリアスさが足りない。特殊船の性能が漫画的だし、大統領も出てこないし、乗務員の家族との別れの場面もないし、船内でも些細なことで争っている。冒頭、男が突然死する場面があるが、演出がふざけている。そのままカメラがパンして、交差点の交通事故を映すが、肝心の事故場面は映らない。◆最大の矛盾は高エネルギー武器専門学者や政府首脳部が地震装置を使ったのが原因なのに、核の停止による地場異常を博士に指摘されるまで知らないということ。◆ハッカーをメンバーに入れるのは甚だ疑問。国家レベルのアクセス権限があるのだがら、専門家がやればよい。ハッカーがインタネットを管理するなんて噴飯もの。しかも64回も逮捕歴がある最低レベルハッカー。◆人類を救うための自己犠牲によるミニ・ヒューマンドラマが展開しますが、これがチープ。例えば「家族三人を守るため」の人の家族が描かれてない。子供の描いた父の絵と犠牲死だけ提示しても感動は生まれない。伏線が必要。そもそも死と隣り合わせの任務だというのに誰の家族も描かれていない。これで感動しろというのは無理がある。 ・地球内部の映像化が売りだが、肩透かしの感がある。晶洞と落下するマグマがよかっただけで、あとは手抜きにしか見えない。スペースシャトルや崩壊するパリの街並等のCGは合格点。◆危機に次々と直面する展開は評価できる。が、どれも通り一遍の危機、解決でしかない。予定調和的すぎるのだ。驚かすものがほしい。原爆を連続爆破させる方法は良かった。あらかじめ船の機能、性能を説明していないのも減点材料。危機になってから、実はこうなのだといわれても、とってつけたようにしか感じない。◆乗務員の関係だが、不仲やしっくりしない上司と部下だったりするが、人類救済の任務の前にあっては不要だろう。あの任務中、中傷や仲たがいするのはそぐわない。シリアスさに欠けるところ。◆感心したのは船の超音波に鯨が寄ってくるという伏線。海底を進む場面で、さりげなくみせておいて、最後の救出の重要なキーとなる。見事。[DVD(字幕)] 6点(2012-06-29 02:15:38)《改行有》

477.  潜水艦イ-57降伏せず 《ネタバレ》 1945年6月太平洋最前線にて従軍していた潜水艦「イ-57」は突然マレー半島のペナンに寄港を命ぜられる。そこで拝命した任務は和平工作のために某国の外交官を中立国であるスペイン領カナリー諸島まで輸送することだった。ある港で予定通り外交官を乗せたが、予想外に外交官の美人の娘も付き添ってきたのでひと騒動起きる。娘は父の健康を気遣ってついてきたのだ。潜水艦が喜望峰まで達したとき、連合国はポツダム宣言を発表。もはや和平工作は無意味となった。しかし折悪しく無線機が故障。司令部と連絡がつかぬまま目的地に達する。そこに来るはずの迎えの船は無く、連合国艦隊に囲い込まれる。潜水艦は浮上し、外交官父娘を渡す。ただしその後は降伏せず、体当たり攻撃する。 ◆何が言いたいのかよくわからない映画だ。基本的には悲劇的戦争映画のはずだが、ヌードや喜劇的要素が盛り込まれ、艦長を演じるのは軍人らしからぬ二枚目俳優。最後の「降伏せず」のところを描きたかったようだが、一本筋が通らない。負けるとわかっていても降伏はしないところに美学を感じており、艦長と艦員達との絆が強調される。和平工作のために従軍しているのに、無謀な体当たり攻撃による自爆死で終わる。近距離からの艦砲が潜水艦になかなか当らなかったり、外交官を乗せた船が邪魔になって魚雷攻撃できないなど無理な設定がありリアリティに欠ける。最後だけ妙に生々しい演出になっているのも違和感を感じる。 ◆成長したのは外交官の娘。最初は戦争を止めない日本人が嫌いだったが、軍医や艦長の誠意にほだされて和解。最後は「生きてください」といって別れる。ただこれもとってつけたような通り一遍の演出で、感動するものではない。 ◆戦闘場面は迫力が無い。これといった戦術もない。機雷で攻撃されて深く潜行、逃げ切れなくなったら魚雷が打てる位置まで浮上し魚雷攻撃。それだけ。監督は戦術には興味がないらしい。[DVD(邦画)] 6点(2012-03-03 17:20:36)《改行有》

478.  真夏のオリオン 《ネタバレ》 【違和感】①駆逐艦が眼前の敵潜水艦を攻撃せず、魚雷攻撃されたタンカーの救助を優先する。沈められちゃいますよ。②潜水艦がその救助の様子を浮上してわざわざ見学する理由を教えてくれ。③ラストで最後の魚雷を放った潜水艦が、逃げずにわざわざ敵艦前に浮上する。撃たれちゃいますよ。④特殊潜航艇回天をめぐっての命の尊さの分かり易過ぎる演出。回天は一隻で空母も撃沈できるほど強力な兵器なのですが。⑤タイミング良すぎる終戦の報。敵はもっと早く知っていた筈ですが。⑥艦長が若すぎる。⑦艦長が丁寧語でしゃべってる。軍人じゃない。⑧潜水艦と回天ではスクリュー音が違うので、偽装作戦は無理。⑨駆逐艦が命令を無視して潜水艦を追尾する。⑩回天の添乗員が艦長に拳銃を当てて、潜水艦を駆逐艦に突入させよと無茶な命令をする。そんなことしても距離が近すぎて相手の損傷は軽微。その前に砲艦攻撃される。⑪⑫ 【感想】戦争の無意味さと命の大切さをテーマにしているのですが、小学生でも分る、その分り易すぎる演出が欠点。心に響き、涙腺の緩くなる場面がなかった。主要メンバーのほとんどが生き残るので悲劇性も薄い。全員が戦争反対、命大切のヒューマニスト、絵空事、きれいごとすぎるわけです。人間の良い面も醜悪な面も浮彫りになるのが戦争。戦争を描くというのは極限の人間を描く事。結局、こざっぱりした戦争映画で終わっている感がある。軍事作戦などは見どころがあったので残念です。◆潜水艦での過酷な環境と生活、艦長に対する反抗、戦争による犠牲などをもっと見せた方が効果があったと思う。名作「Uボート」の衝撃的なラストと比較してしまうと不満が残る。カビだらけのパンとおいしそうなカレーの違いも注目。◆小道具に楽譜を使ったのは成功している。相手が鬼畜ではなく、音楽のわかる「人間」だと気づき、それが終戦を受け容れる契機となる。一方で楽譜は愛する人への大事なお守りであり、その縁で二人は結ばれる。楽譜に二重の意味を持たせています。しかし残念なことに肝心なメロディが凡庸で、感動できないきらいがあります。◆気になるのは、日本軍は捕虜になるはずですが、そのあたりの消息が一切ないこと。◆であの女、何で楽譜の題名をイタリア語にしたの?オペラじゃあるまいし。説明できるものあらば申し出よ。[DVD(邦画)] 6点(2012-03-03 00:26:33)《改行有》

479.  フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン) 《ネタバレ》 【ストーリー】フランケンシュタインの不死の心臓、Uボート、死なない兵士の研究、広島原爆投下、放射能研究と被曝少女、急速に巨大化するフランケン、謎の地底怪獣、動き回る手、生命の謎に挑む博士等々、コンテンツがてんこ盛りで興味深い。しかし各々がぶつぎりで存在し、有機的につながっていない。被曝少女の悲劇は小さな扱いだし、放射能とフランケンとの関係も不明のまま、どうも中心となるテーマがないのだ。いっそのことフランケン研究をしていていたドイツのマッド・サイエンティストを日本に連れてくればよかった。そうすれば一本の流れができた。フランケンが心優しき怪人で自己犠牲により地底怪獣と共に地底に沈む。それにより生命の謎も永遠に分らなくなる、こういう大筋にすれば良くなったのではないだろうか。フランケンが沈む時に感情移入できるように作るのが肝要だ。 【演出】被曝少女が博士にプレゼントする刺繍、 水野久美の心尽くしの料理、博士が手に取るこけし、フランケンが手に取る水野のネックレスの宝石、博士の作るバーベキューなど、観客が見たり部分、当然アップで映すべきところを映していない。演出上のきめ細かさがない。監督失格。 【特撮】事故を起こす警察車両、怪獣に襲われる馬、疾走する猪など、本物を使えばよい場面までミニチュア撮影している。特技監督の趣味が出てしまった場面で、子供が見ても本物には見えない。 【フランケン】フランケンかどうか手足を切断しなければ真偽は不明という論議が馬鹿らしい。細胞を調べれば普通の人間と違うのは明白だ。フランケンが猪罠を掘るが、あれだけ大きくて素早いのだから猪は手で楽に捕獲できると思う。もっと知性をもたせるべき。 【怪獣対決】フランケンは心優しき正義の怪人、地底怪獣は人類の敵という図式にしたかったようだ。だがフランケンは顔が気持ちが悪い上に筋肉が貧相で弱そうだ。一方地底怪獣は顔がキュートすぎると思う。家畜や人間を襲うのだが、残虐シーンはカットしてあるので凶暴には見えない。結局美術が失敗している。最大の見せ場である決闘シーンだが、臨場感、巨大感、重量感が不足し、コミカルなプロセスごっこに終始した感がある。せっかくの「火を吐く大怪獣」が台無しである。森林火災だけは存在感があった。蛇足だが、広島原爆爆発シーンは哀れにも美しく、印象的だ。[DVD(邦画)] 6点(2012-02-24 14:58:41)《改行有》

480.  キートンの大列車追跡 《ネタバレ》 300人以上のエキストラを使い、実際に汽罐車を橋から落としたりして大がかりな撮影だ。しかしそれが笑いには直結せず、無駄にお金を費やしているように見える。本題がドタバタコメディなのだから、妙にリアリティを出しても仕方がないと思う。南北戦争を題材とし、戦争賛美の内容。実際に何人か戦死する。キートンも偶然とはいえ敵を刺殺する。これでは笑えない。架空の戦争を茶化すような軽い話にすればよかったのにと切に思う。喜劇と戦争は相性が悪いです。コメディはもっと長閑な状況で観たいです。◆コメディパートはキートンのアクションに尽きる。やっていることは汽車の追いかけっこ。次々と飛び出すアイデアが精彩を放つ。表情が少ないのが玉に疵。もっと驚いたり、あわてふためいたりすれば良いのにと思いました。[地上波(字幕)] 6点(2011-10-26 21:23:52)

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