みんなのシネマレビュー |
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42. アイ・アム・レジェンド 《ネタバレ》 先ほど観終りました。 なんと言うんでしょうかね。 肝心カナメのウィルスの科学的作用なり、発病の経過なりがかなりあやふやで ニューヨークに1人で住む主人公もなんか当事者の1人見たいな事らしいのですが 軍関係の科学者という以外は結局最後まで詳しい出自が分からず終いでした。 大まかな世界観はなんとなく理解出来るんですが 細部の設定が粗いのでイマイチのめり込む事が出来ませんでした。 その粗い部分を何個か言いますと まずシャドウシーカーと称するウイルスに感染した怪物(人間)が多数出て来ます。 彼等は昼間は暗がりに隠れていて表に出て来ないのは良いんですが 実はビルのちょっとした暗がりに多数潜んでいる。 そこで犬を市街地で猟犬代わりにして、鹿を追わせればそりゃビルの中に入りますよ。 それが危機のきっかけに成るんですが、この怪物の設定もイマイチ疑問があって なんと怪物が主人公に仲間を実験体として連れ去られたのと同じ方法で 主人公を罠に嵌めたりします。そのやり方が実に。。。。なんともはや。。。 これってかなり知能指数高いって事なんですかね?どうもこの辺りも滑稽な気がします。 あと3年暮らしている割には隠れ家もアッケなく怪物に侵入されてしまったり 最愛の犬が死んでしまっていつも行ってる埠頭で 自暴自棄に成った途端に誰かに助けられてしまったり。(夜は非常に危険なのにその人は何処に居たのか?) 神の啓示が何とかとか最後は神掛かった主人公が血清を作り自爆して世界を救ったとか ゥーン。。。どうもズサンというかなんと言うか。。。 なので残念ですがこの点数です。 [DVD(吹替)] 5点(2008-07-15 00:12:40)《改行有》 43. 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society〈TVM〉 《ネタバレ》 攻殻のOVAを2つも作った後だからでしょうか。話が非常に込み入ってます。 これ作ってる側も麻痺してるんでしょうね(笑) この手に免疫無い人がいきなり見たら多分付いて行けないかも知れません(笑) ただ逆に言えば105分に良くこれだけの内容を盛り込めたとも思いました。 セカンドで気に成ってたんですがやはり素子は9課から去ったんですね。 そこから2年間が経過したという設定ですが トグサが9課のリーダーとなり 元々のポジションから言えばリーダーに成るはずだったバトーは素子の影を追って今ひとつ煮え切らない。そしてトグサともギクシャクしている。 この辺りはイノセンスともオーバーラップしますね。 神山流ですがバトーのキャラを良く表していると思います。 まー兎も角、細かい。そしてギッチリと詰め込んである。これ神山さんの性格なんでしょうかね。 しかしながらセカンドでも感じましたがOVAファーストの様な切れ味の有る演出やプロットは見当たらない様な気がしました。 ストーリ的にも国家的な陰謀と巨悪、そして体制へのフラストレーション。 いや、OVA見てないで初めてこれ見る人は有る程度新鮮かも知れませんが OVA1,2と見て来た人には少し食傷気味かと。 もっと肩の力抜いて前作と超え様とかあまり考えずにわざとズラした筋立てとか無理ですかね? ちょっと脱線しますが私も長年押井アニメ見て来て感じるのは 押井さんは劇場版パトレイバー2とかでも主人公の2人はホンの付け足しに登場させるのみで あとは自分のやりたい様に作ってしまう毒気というか我侭さというか もっと言えば理不尽さが有ります(笑) それがイマイチ足りない気がするんですよね。 いえ、以前神山監督が「押井アニメをトコトコンマネして作ってやる」とか言ってた気がするんですが やはり1味足りないのはこの毒気の部分ではないかと。 そんな気がした一作でした。 [DVD(邦画)] 7点(2008-02-01 02:49:23)《改行有》 44. オーロラの彼方へ 《ネタバレ》 点数高かったんで観たんですが。。。 確かにこのコンセプト自体は非常に面白く、プロットも多彩で良いのですが ウーン。。。やっぱり私は最後の方の強引なまとめ方が納得行きませんでした。 ただタイムパラドックスの起点に成る主人公の記憶の2重化とか新しい視点の描き方も有って そういう部分は非常に面白く観れました。 まあ、基本的には超有名な某作の。。。なんですけど、それはそれで丁寧に作られている。 しかしハリウッド映画のセオリーは絶対に外さない筋書きに拘った事が この作品の大きな失敗だったと思います。 序盤から中盤の終りまでは非常に丁寧に作ってあるのに 終盤はもう強引にハッピーエンドで終わらせたいが為に 無理無理筋立てを追って行くだけで精一杯になってしまっている。 なんか後半だけ別人が作った様な感じでココが非常に残念でした。。。 ウーン。。。6点でも良いかも知れませんが 私は後半の落胆を勘定に入れると5点付けざろ得ませんでした。。。 残念です。 [DVD(字幕)] 5点(2008-01-08 03:23:46)(良:1票) 《改行有》 45. ガタカ 《ネタバレ》 いま観終わりました。 ゥーン。 題材や言わんとする事は非常に面白いのですが それをいま1つ描き切れてないかと思いました。 脇役もジュード・ロウやサンダーバークレイなどの1癖有る人を使っている割には もう1つキャラが立ってないような。。 ただ近未来における選民主義の手法や手段などは結構良い線行っていると思いました。 まあ、粗を言えば幾らでも有りますが筋立てとしては間違ってないでしょう。 つまり生まれる前から遺伝子レベルで肉体的、精神的なハンデを予め排除し 優れた資質と能力を持つ個体が社会をリードして行く。 しかしこの映画で描かれているのは遺伝子を操作し優良な資質を持って生まれた弟が 有性生殖(つまりセックス)で生まれ劣悪な資質しか持たない兄に2回も遠泳勝負で負ける。 つまり監督さんの描きたかった事はそういう事で 生まれ持った資質も努力をしなければ生かせない。 選民主義という傲慢なドグマティズムの中であぐらをかけば人間は腐り堕落して行く。 逆に劣悪な遺伝子を持って生まれた個体こそがその差別社会の中で這い上がらんと知恵を巡らせ努力し そしてしたたかに生き抜いて行く。 主人公をいつも診察している主治医は何時からか彼が偽者と分かっていたのでしょう。 しかし彼が土星に飛ぶ間際、わざと彼を見逃してしまう。 つまり現実の組織とはそういう物であると主治医は分かっていた訳です。 社会や組織は理想主義では動かない。 偽りでもそこでひたむきに努力し結果を出し続けた者こそが尊いのだと。 これは現代社会にも通じる話で、いまやすっかりおとぎの国と化した日本。。。 いや。。。止しましょう。切なく成りますから。 [DVD(字幕)] 7点(2007-12-17 03:52:33)《改行有》 46. コラテラル 《ネタバレ》 先ほどテレビで見たので投稿します^^; 「ヒート」を以前見て面白かったのでこれ見たんですが この監督さんはやはりガンアクションに非常に拘りの有る人ですね。 今回もかなりその点で楽しめました。 一見して隙が無く非情で凄腕の殺し屋ビンセント(笑)が 1台のタクシーに乗り込む事から始る物語ですが 始って見るとプロの殺し屋と呼ぶには余りにもズサンで行き当たりばったりを臨機応変と言って見たり まあ、実はミスも多く隙も多い殺し屋だったという事で^^; それに絡んで行くしがないタクシードライバーのマックスがかなり良い味出してました。 全編やっぱりマン風味というか独特の風合いを出していて途中の2人問答などを見ても その後の展開や結末は1筋縄で行かない。行かせたくない。 ただやはりこれだけ極悪で刹那な主人公ですから待っているのは死しか無い訳です。 これは観客も気付いている。ああ-----いつ死ぬの? その点でも最後の最後。ウキュ-----っとうなってしまう渋い複線が待っています。 結構気に入った作品なんで後でDVD借りて字幕でもう1度みたいかな。 ただハマレ無い人には面白く無いと思います。 私はちょっと甘めの7点で。 [地上波(邦画)] 7点(2007-10-21 23:25:30)(良:1票) 《改行有》 47. 戦国自衛隊1549 《ネタバレ》 ともかく話を広げ過ぎて全然収集付かなく成ってるのもお構い無しにテレビ的な流れ作業で撮っちゃった映画ですか? そんな気がしました。 辛うじて見れるのは先発の自衛隊が石油精製所とか作って歴史を変えるウンヌンと言う所までで あとはもう時代考証などお構いなし。最後はアングリと開いた口が塞がらない映画に仕上がってます。 こういう映画作るのは勝手ですがこれが字幕付いて諸外国とかで上映された日には日本映画の本質そのものが笑われそうですよ。 なんかこれのハリウッドバージョンウンヌンと話が進んでる見たいですが止した方が良いです。 世界に恥じ晒すだけです。 なんと言うのでしょうかね。 製作者側に目が無いと言うより巨額な予算掛けて作ったけど酷い出来だった。 しかし元は取る算段で全てが回って行くというか。。。それ以外考えないっていうか。。。 というかこれ角川映画がプロダクションしてるんですよね。 いや~酷い。あらゆる意味で。 それしか言い様が有りません。。。[地上波(邦画)] 2点(2006-07-01 00:13:55)《改行有》 48. 誰も知らない(2004) 《ネタバレ》 いま見終わりました。素晴らしい映画だと思います。 しかし同時に相当不快でもある。 私を含めて子を持つ親がこの作品を見て憤りを感じない人は居ないのでは無いでしょうか。 ですが口惜しくもこの監督さんは日本を そしてこの現代社会の本質を良く知っている。 親から見捨てられた子供がどう社会から孤立するか。またどうやって追い詰められて行くか。 鏡を見上げながら歯磨きをする子供。子供を見下ろしはしてもまるで無関心な大人。 冷たく事務的に催促してある日呆気なく止まるライフライン。 裕福で鷹揚な大家。ガサツで高圧的なコンビニ店長。 そして揃いも揃って無責任で甲斐性無しでどうにもならん親達。 確かに陳腐じゃない。リアリティーが有る。 だから非常に不愉快だが認めざろ得ない。 またこれだけ重い題材を普通にサラリと撮ってしまっている所に 作り手の非凡なセンスが光っていますね。 最後に死んだ妹の亡骸を飛行場に埋める明のシーンがこの作品の演出らしい演出でしょうか。 また説明がましいのはこの部分のみですが 明が「以前にも福祉事務所を頼ったらみんなバラバラに成って大変だったからもう嫌だ」 と、さりげなく言わせています。 ラストを見れば彼らはたぶん全員が窮して死んでも自ら警察や福祉事務所には助けを求めないのでしょう。 東アジア随一の先進国と言いながら内実は余りにも未熟で悲しいぐらい平和な日本。 しかしこの子達はこれで良いんだ。死んでもそれまでは自由である方が幸せだ。 だがそれなら最初に実際の事件をモチーフになんて言うな! と、一喝して終わりに出来ない所がこの作品の憎い所であります。 逆にそういう反応が有るからこそあえて冒頭のテロップは入れたんでしょう。 入れる事により確かに注目度は大きく成り観る人間も多く成る。 しかし出来上がった作品が愚にも付かない駄作ならこの監督さんの評価は大きく下がりますよ。 つまりそこがこの監督さんの世間に向けて仕掛けた部分であり カンヌをはじめとした多くの海外映画賞受賞に到った経緯でも有る。 そして低劣なマスコミネタで終わるはずだったこの事件をどういう形であれ当時大きく社会問題化させた。 その功績も含めて今回は9点献上します。 [DVD(邦画)] 9点(2006-06-02 20:38:38)《改行有》 49. CASSHERN 《ネタバレ》 皆さん点数低いですね^^; いや、分からなくも無い感じですが 私はこれ意欲作だと思いましたよ。 確かに荒唐無稽な部分も多いですがそれを補って余りある独特な勢いというのでしょうか。 オリジナリティーというのでしょうか。 それを強く感じました。 オープニングのフルCGから始まってロボットの描き方、戦闘シーンなどは 過去の日本映画には無いクオリティーと勢いを感じます。 特に少しデフォルメしたロボを集団で影絵の如くガッチャンガッチャン動かすシーンなどは鳥肌立ちました。。。このシーンだけでも製作者の非凡さが分かりますが ストーリ展開は兎も角として実写CGにおける表現方法の多彩さは相当センス高いと思います。 ようするにこの監督さんはやりたい事が山ほども有ってそれを泣く泣く2時間に凝縮したんでしょうね。 点々とツギハギ感が感じられるのも本当は10時間で取っても足りないのを無理矢理2時間にしたからでしょうか(笑) 脚本から撮影から何から全部1人でやってる所を見てもまあ、相当実験的というか。よくこれだけ撮り切れたというか。。。 こういう人は優れた相棒とか見付かると良いんですけどね。往年の押井、伊藤コンビ見たいに。 今回のは無我夢中というか少し1人よがりで観客が置いてけぼり食ったんで酷評されてますが 私は今後少し腰を落ち着けてジックリ製作スタッフ選りすぐって作品作りすれば大化け。。。 いえ、ちょっと偉そうに言いましてすいませんが ホント、そんな気がした1作でした。 点数が7点なのはストーリー的に少し弱いからと やはりキャシャーンに拘らなかった方が良かったという事で7点です。 あとウタダヒカルの旦那っていうのが逆に思い切り足枷になってますね^^; まあ、旦那じゃ無きゃこんな抜擢はされなかったとか言うのはその通りだと思いますが どういう経緯であれ出来上がった作品までその色眼鏡で見てしまうのはチト酷かと思います^^; [DVD(邦画)] 7点(2006-06-01 20:53:49)(良:1票) 《改行有》 50. ルパン三世 カリオストロの城 《ネタバレ》 久しぶりに見たので書き込みます。 この作品は今でもある意味宮崎アニメの頂点に有る作品だと思います。 この頃のキャラクターは活々飄々として余裕たっぷりです。 これは作画の大塚康生氏に寄る所が大きいと思いますが パンクでジャンケン、カーチェイスと手榴弾、崖のぼり、ワイヤーロープ、謎とプロレス。 どれもどうやって観客を驚かすか笑わせるかを逆に彼等が手ぐすね引いて待っている。 観客が観ているのでは無く作品の中のキャラクター達が観客に観せて居るんです。 だから1度観ても2度目、2度観たけど3度目。 何度も観て分かっているはずなのにまた観てしまう理由でしょう。 もう2度と戻りっこ無い時間の流れの中でこの作品だけはいつまでも色褪せない。 凄い事だと思いますね。 ここからは生臭い話なので興味の無い方は飛ばして下さい。 宮崎監督自身あれだけの才能も持ちながらも長く不遇の時代を経て 貧乏暇なしのアニメというジャンルを切り開いてこられたパイオニアです。 監督が居なければ今の世界的な日本アニメというジャンル分けは無かったでしょう。 ただしかしその仕事も今は壮年期に入っている。刈り入れの時期に入っているかの様です。 最近の作品がこの頃の。。。と、いうのは禁句かも知れませんが 他の作品と見比べてもやはり宮崎アニメの頂点がココに有るのは間違い無いと思うんです。 それをもう1度新しい形で観たいと思うのはファンの我侭でしょうか。 [DVD(邦画)] 10点(2006-05-19 04:12:32)《改行有》 51. うる星やつら 完結篇 4以降の作品観てなかったんで最近借りて見ました。 原作を下敷きにして良く作ってあると思います。 何より声優さんがやはり最後と思うのでしょうかね。 他のシリーズより明らかにリキを入れて演技されてたのが印象的でした。 この作品を観ると「うる星」の原点が何処に有るのか良く分かります。 ココで止めてけば良かったんですが。。。 まあ、あの頃の人気を考えるとそうも行かなかったんでしょうけれど。 ともあれ漫画やTVシリーズ長く観てた人は1度観て損の無い作品なのでオマケで8点にします^^;[DVD(邦画)] 8点(2006-05-19 02:57:03)《改行有》 52. うる星やつら いつだって・マイ・ダーリン すいません。。。フォーエバー以降の奴見て無くてDVDで借りたんですが 途中で(15分ほどで)耐えられなくて観るの止めました。。。 作画が全然違うとこれほど違うのかを見せ付けられた作品でした。。。[DVD(邦画)] 3点(2006-05-19 02:41:27)《改行有》 53. ハウルの動く城 《ネタバレ》 先ほど見たんですがこれ感想書こうかどうか迷いました。 いや、並のアニメじゃないのは分かるんですがやはり往年のキレとかクオリティーはかなり無くなってしまった気がします。。。 なんというかその。。ある種割り切って作っちゃったって感じですかね。。。 冒険活劇で見せ場もソコソコ、観客を裏切らないストーリー。。。 でもそれじゃあ観客は満足出来ない訳なんですよ。 魔女の宅急便とラピュタと千と千尋を足して2で割った映画じゃ満足出来ないんです。 才能はやはり無限じゃないしそれを実感してるのは他ならぬ宮崎監督なのでは無いですかね。 いや、生意気な事言いました。すいません。 でも先生がこれ満足して出したとは思えないんで。どう思われてるのか気に成りました。 出し物は確かに幾つか新しいアイデアも盛り込まれてるんですが それが全部過去の作品とダブって見えてしまうんですよ。 また、今回は登場人物が全然立ってない。悲しいぐらいに立ってない。 この辺は千と千尋のほうがまだ良かった気がしますね。 あと演出や世界観やバックボーンというのは千尋を発展させた2部作品かと思える程根源的な部分が似通ってしまっている。 私はこの路線に拘り過ぎだと思いますけどね。 拘る余りラストがまったく弱く成ってしまったし。 往年のファンが見ると少し悲しく成る作品だったかと思いました。 次回作のゲド戦記に期待します。 [DVD(邦画)] 5点(2006-05-12 02:41:30)《改行有》 54. トゥルーマン・ショー 《ネタバレ》 先ほどイライラしながらやっと見終わりました。 ひと口に言えば酷いです。まったくリアリティーに欠ける。話に成らない。 そもそもこの映画のコンセプトそのものに無理が有る。 まあ、無理を無理押しして作ったからこんな風に成ってしまったんだと思いますけど。 出生から30年以上本人が何も知らず私生活の全てを世界中にテレビで放映する。 それをやるバックボーンとしての世界観や動機付けなどがまったく無い。 突然に裏側で彼を盗み撮る裏方連中が紹介されそのまま何の説明も無いままに物語が進行する。 私は核戦争で人類が全部滅びて人間の皮被ったエイリアン連中が 人類の生き残りであるトゥルーマンを演出し見せ物にしていたっていう事なら納得しますが (実は最後までそれ期待してました。。。) 孤児のトゥルーマンを見世物ショーの為だけに養子縁組しそれを拡大して金儲けしながら 最後は彼自身を巨大な特撮セットの中に閉じ込めて大見世物ショーにする。 そのショーをまたなんの疑問も無く泣き笑いしながらテレビで見てる視聴者。 あるわけ無いでしょう。まったく。 その他唐突に彼に好意を寄せて真意を伝え様とする女性が出てきますが 結局彼女もテレビ見てるだけで自分では何の行動も取らない。 親玉プロデューサーに電話で食って掛かるだけです。 ココら辺の演出の薄っぺらさはどうなってるんでしょうか? まあ、兎も角見終わってドッと疲れました。疲れと共にこのいい様の無いイライラ感。 こんな点数付けるのは久しぶりですが今回は謹んで献上しますね。 おめでとうござます。 [DVD(字幕)] 2点(2006-04-28 00:21:59)(良:3票) 《改行有》 55. 穴(1960) 《ネタバレ》 凄い映画ですね。みなさん一様に点数高いのも納得しました。 何が凄いってこの徹底したリアリズムですね。 他の脱獄映画の設定が相当ヌルク感じてしまうぐらいに この映画は「実際の刑務所から脱獄するには」という事に何より拘っている。 小さい覗き窓1つしか無い頑丈な扉。突発的に入って来る看守。監房を出入りする度に身体検査。 夜中でも容赦無く回って来ては点呼を取る冷酷な監視体制。。。 でもそのことごとくにマンマと裏をかくズル賢いリーダー格の古参受刑者。 小技の1つ1つもあだやおろそかにしません。 小さい覗き窓には歯ブラシの柄に小さい鏡のカケラを結び付け看守を監視する繊細さ。 逆に頑丈なコンクリートの床は「ここが何とか成らんとドウにも成らんわ!」と腹を括り どれだけ激音がしようとも決して掘るのを止めない大胆不敵さ。 更にはダンボールで作った即製人形を糸で操りながら夜中の点呼をやり過ごすこの危うさ(汗 その後はもう刑務所中を縦横無尽に徘徊し「ちょ、ちょっとアンタ!そりゃ無茶や!」と 後ろから何度も突っ込みたく成りますがその都度機転と小技を駆使して乗り越えて行きます。 この辺はもう正に脱帽でして超兄貴ブリを発揮しておりますね。はい。 またガスパールと言うへタレな新入りの若者が主人公の様でも有りますが これがもう脇役のアクの強さに完全に食われてしまっている。 なんで?なんでこんな影の薄い主人公なんだ?と、みんないぶかしむ所では有ります。 しかし実はそれがこの監督さんの凄い所でして。ええ。その訳が最後の最後で明らかに成ります。 ただ私としてはこのラスト、もう1転有っても良かった様な気がします。だから9点です。 ただフランス映画だという事を考えれば仕方が無いのかも知れませんが。 [DVD(字幕)] 9点(2006-04-26 23:11:10)《改行有》 56. うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー 《ネタバレ》 押井映画最高傑作の1つにして日本アニメ界の金字塔。。。 まあ、余り言ってしまうとアレですが私が定期的に何度も観る映画の1つです。 ともかくこの作品は当の押井氏も言っている様に原作の「うる星」が無ければ出来なかったとか もしこの「うる星」の世界観無く多元世界を描いたら多分「アヴァロン」に成ってたのかも知れませんね(笑) さて、作品の内容ですが正に押井さんそのものでして 逆に言えば押井さん以外はこんな映画は作れません。 文化祭前日を永遠に繰り返す事で永遠に現実から逃れられる代わりに現実へは戻れない。 しかし良く考えれば帰るべき現実など本当に存在するのか?いや、そんな物は本当は要らないのでは? 世界全体で同じ夢を見ればその夢は現実に成り得る。だから夢を観続ける。しかしそれで良いんだろうか? こんな事がテーマの1つに成ってます。 アヴァロンでは現実を虚構の果てに辿り着く理想の仮想世界として描いてますが 押井さんのアイデンティティの中ではつまり自分が現実として暮らすこの世界の非現実さは何よ? ああ、夢なら覚めて欲しい。どうすれば本当の現実へ行けるの?こういう事なんだと思います。 これはファンの方なら数々の作品観て分かってらっしゃると思いますが。 温泉マークを初めこの世界の不条理を議論し少しずつ謎を解き明かす事で真理を得て最後は現実世界へ帰還する。 つまり不条理から抜け出したいのなら自分がそれを本当に望み戦わない限り永遠に抜け出る事は出来ない。 タイプは違いますが宮崎駿監督がある意味押井さんの対極に居る人で 雑誌の対談とか見ても喧嘩はしてますがやはりお互いを認め合わざろ得ない。(と、私は勝手に理解しております。。。) 例えるなら紙の裏表の様な関係なのかも知れません。 話が脱線しましたがつまりいま我々が暮らすこの現実を現実として受け入れてしまっている非現実さ。 これをうる星の世界観とカフカやダリの啓示に透過させながら作った事がこの傑作を生んだんだと思います。 [DVD(邦画)] 10点(2006-04-22 20:26:48)《改行有》 57. 太陽を盗んだ男 《ネタバレ》 いま見終りました。素晴らしい作品です。 まず1つ言いたいのはイデオロギーうんぬんと言う前にこの映画は1級のエンターテイメント作品ですね。 主人公は奇異な行動で知られる中学の理科担当の教師で昔は爽気を持って授業をしたが今はまったくやる気が無い。 そんな時に事件が起こる。天皇に会わせろと62式機関銃(たぶん)を引っさげ彼の担当のバスをバスジャックする老人。 それを阻止しようとする頑健でタフで有能な角刈り警官。 彼は否応無しに渦中へ巻き込まれますが反面そのどれもが彼にとっては非日常的で刺激的だった。 よし!俺もやろうと決意する。 原子力発電所に忍び込み核燃料を盗み出し濃縮しやがて銀色に輝くプルトニウム239を精製するのに成功する。 このプルト二ウムを作ってゆく過程が凄いです。。。これでよく映倫通ったもんだと思いました。 それぐらいリアリティーたっぷりです。 兎も角主人公は原爆を完成させ国家を相手に交渉を始めますが 実は自分自身がこの国の戦後体制に冒されて居るのを知る。 この国に不満は有るがじゃあこの国をどう変えたいのか? それは主人公自身にも結局分からない。仕方なく部屋に帰り所無く原爆を抱えて眠る主人公。 この辺りの演出も非常に素晴らしいですね。 いうなれば原爆作成は彼の自己表現であり他者との繋がりを作る道具だったのかも知れません。 その繋がりに選んだのがバスジャックのタフな警官といつも聞いていたラジオ番組のディスクジョッキー。 しかし対立と葛藤の中、最後はそのどちらも死んでしまう。 また彼自身も放射能被爆により先が短い事を知る。。。 しかしまあ、この監督さんは凄いですよ。まったく。 自分が拘りたい所は徹底的に拘りますがその分粗も多い。 後半のカーチェイスやヘリ襲撃場面、ムチャな原爆奪還、「細かい部分はええんじゃ!!」っていう監督さんの声が聞こえて来る様でした(笑) ラストの原爆爆破シーンは同時の映像技術では難しかったのでしょう。これで良かったと思います。 ともあれこの戦後社会を一刀両断した切り口の鋭さをはじめ これだけの内容を1本の映画にみごと収め切った事には驚嘆を禁じ得ません。 このジャンルでは正に日本映画史に残る作品だと思いました。 [DVD(邦画)] 9点(2006-04-22 14:44:09)《改行有》 58. 砂の器 《ネタバレ》 いま観終わりました。素晴らしい作品ですね。 日本社会の暗部とでも言うのでしょうか。 この映画では「らい予防法」や日本におけるらい病患者の国家的な囲い込みについて何も描かれていません。 と、言うよりこの映画を作った製作者側が意図的に描かなかった。 1974年当時これを描けば即発禁に成ったでしょう。だからこういう手法を取ったと思われます、 明治以降この法律によってらい病が発覚した者は強制的に隔離所へ隔離され男性は強制断種(去勢) 女性はもし妊娠していた場合強制的に中絶させられました。 これは当時患者保護と国家保全の為の善意であるとされました。 また60年以上も前にハンセン病(らい病)特効薬(プロミン)が発見されて患者を隔離する必要すら無かったのに 日本政府はなんと平成8年(1996年)に到るまでまでこの「らい予防法」を撤廃しなかった。 それは明治以降行われてきた余りにも酷い隔離収容所の実体が戦後明るみに成るのを 厚生省を初めとした政府官僚が恐れたからです。 だから戦前からの患者がほぼ死に絶えてしまった1996年にやっと初めて実体が公に成った。 ですが明治期以降の酷い虐待が行われていた隔離所の具体的な実体については今となってはもう殆ど分かりません。 この映画に出て来る刑事や警察官は実に誠実で正義感に溢れています。 またらい病に苦しむ親子を助けた三木という警察官は非常に親切で面倒見が良い。 しかし裏を返せばこの警察官の善意により諸国を放浪していたらい病患者が囲い込まれ 強制的に惨い隔離所へ送り込まれたのです。 10歳の子供が自ら嘘を言い戸籍を消し生きている父親に会えなかったのはなぜか? 尋ねてきた警察官に別れて以来待ち望んでいた息子を知らないと言わざろえなかったのは何故か? それは戦後もらい予防法により患者の家族や親類に到るまで調べられもし発病の疑いが有れば 即隔離所へ送られていたからです。らい病の潜伏期間は長い人で数十年に及ぶので患者の家族や親類は回りの人間からはもちろんの事 当局による監視まで有ったそうです。 だから製作者側は殊更に正義の警察官を強調し警察官の行った善意で戦後体制を皮肉った。 映倫の許認可を出す人間はどういう気持ちでこの映画を見たのでしょう。 ともかくそれがこの映画におけるもう1つの真意でも有ります。 [DVD(吹替)] 8点(2006-04-19 23:52:50)(良:2票) 《改行有》 59. 田園に死す 《ネタバレ》 いま見終わりました。いつか見たいと思ってた映画だったですが。 私は小説の方はまったく読んでないんですが、この映画の本質はなんと言うんでしょうか 日本の山村には、古くから奇習や因習と共に外帯的に広がりの無さから 外から見ると相当おかしい倫理や常識が、実は今でも罷り通る地域が多数有ると聞いた事が有ります。 手塚治虫氏の著書に「奇子」という、近親相姦を題材にしたこの手の悪しき村社会を描いた漫画作品が有りますが つまり日本というのは戦後、外面だけは高度成長を果たし、小綺麗な町並みを手に入れたが 1皮剥けば寺山氏の描く魑魅魍魎が跋扈し、その歪を覆い隠しつつ履行する社会なのである。 と、そんな感じの風刺が数多く出てきます。まあ、それだけじゃ無いんですけどね。 また氏独特な田臭と言うんでしょうか。土臭い演出がより一層それを際立たせています。 その他、個性的な登場人物が多数出てきまして、その中でも一番印象に残ったのは 死神装束の噂婆さん達を、もっとも忌まわしく、象徴的に描いている事です。 実は彼女達こそ日本の古き因習の根源であり しかしその一味でもある母を持つ寺山氏自身の弱点であり だがそこから遁れ様としても決して遁れられぬ宿命であり そしてこの映画唯一にして最大の矛盾点でも有る。こんな所でしょうか。 ラストで殺すはずだった母との食卓を現代の町並みと重ね合わせた事が 氏の苛立ちと葛藤を如実に表しています。 今と成ってはあの頃がそういう時代だったのか としか言えませんが ある意味、この作品も戦後史の1つなのかも知れません。 [DVD(邦画)] 8点(2006-04-12 21:23:34)《改行有》 60. GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊 《ネタバレ》 久しぶりに見たので書き込みます。 この映画は草薙素子と言う主人公を通して 脳以外を義体化(サイボーグ化)した人間が 様々な情報と技術が高度化複合化した社会で、どういう感覚と思想、概念、理念を経て行くのか? これを描いた作品であると思います。 主人公の素性については殆どられません。オープニングで全身義体のサイボーグと分かるのみで あとは公安9課なる非正規の警察組織で、国家に特殊強化義体のプロトタイプとして管理されつつ 超人的な能力を発揮し、様々な事件を解決する言わば実験体として生きている。 主人公の生きる社会は電脳化なる脳のサイボーグ化が普及した社会で 人間は何時でもネットに接続し、あらゆる情報を直接脳に取り込み処理する事が出来る。 だが反面、その恩恵に浴せない大多数の貧民 そして薄汚れ、疲れている都市空間。。。 そんなある日「人形使い」なる天才ハッカーが、人の電脳その物をハッキングして記憶を上書きする事件が起こる。 ともかく、この物語を通して押井氏が言いたい事は、人間が人造物としての義体化を進めて行けば 最後はその個人を特定するゴースト、つまり脳を含めた肉体という「入れ物」が その個人にとって信用出来る物では無くなり しまいにはそれすらも捨ててしまうだろう。と、言う事です。 最後草薙は人形使いに繋がり、融合し、自分も上部構造(物質的な脳を含めた肉体を脱し、あらゆる情報と繋がる生命体)へ旅立ってしまう。これは進化なのか? しかし、それが人間の最終的に行き着く場所なら、この世界に何の意味が有るのか? そう疑問する(その理由は彼のセーフハウスに並ぶ古ぼけた本が物語っている) 相棒のバトーは現実を選び そして素子と別れてゆく。 出て行く時、素子は冷たく自分自身を言い切ります。それを見つめる彼は苦しげでした。 「でも少佐は少佐なんだよ。」 素子が出て行った後の部屋で、彼は呟いたのでしょうか。 [DVD(邦画)] 10点(2006-04-10 04:11:36)《改行有》
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