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プロフィール
コメント数 296
性別 女性
ホームページ kawamari7.hatenablog.com (質問と建設的な指摘をお待ちしています。JTNEWSに届けてあるほうでは文字化けします。)
自己紹介 取り締まる法律が必要な(1)XX中毒。生まれた場所のせいで3歳で兆候が現れ、13歳で表彰状物の重症に、今ではより強い刺激を求め(2)X屋の中だけではなくこのサイトに出没、ネットで(3)XXXXXXがないかと探し回るのに誰も助けてくれません。KW = 「かわまり」「はてなブログ」で原子力開発関連の「プロメテウス達よ」と19世紀ヨーロッパを夢と詩で描いた「黄昏のエポック」を公開しています。  (Xの数に文字数が一致する言葉を入れてください。)

空欄の答え:(1)XX=「言語」、「活字」も可、(2)X=「本」、(3)XXXXXX=「読める外国語」、キリスト教国際病院で生まれ、宗教は仏教。

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41.  硫黄島からの手紙 硫黄島二部作のアメリカ篇「父親たちの星条旗」を見てからだいぶたって本篇を始めて見ました。やはり多くの方がおっしゃるようにこちらのほうが上だと思います。「父親」のほうの点数を一つ下げて8点にしてこちらを9点にしようとも思いましたがお互いに相補う作品だということで、同じ点をつけておきます。満点ではない理由は外国部門のアカデミー賞にノミネートされず、多分そのせいでオスカーを逃したこととか、たいしたことではありません。当時のアメリカ人にとって、日本兵はわけのわからない怪物だったと思いますが軍部の無謀な暴走が硫黄島などの前線で戦った人々をどう変えてしまったか、この作品を見るとよくわかります。二宮和也のしゃべり方が現代風すぎるという意見も聞きましたが、さほど気にならず、時代考証にも結構念が入っていると思います。暗い画面と米国R指定(日本の18禁?)もしかたのない残虐シーンが続きながら、監督のイーストウッドが作曲した癒し系のBGMと時折入る手紙の朗読に心が和む思いがします。確かに、「父親」よりもこちらのほうが極限状態における個人と国家の関係などについて真剣に考えさせる作品だと思います。[DVD(字幕)] 9点(2008-05-12 11:00:38)(良:1票)

42.  セブン・イヤーズ・イン・チベット 2008年春現在、非常にホットな作品で地元の図書館連合でほとんどが借りられていて、リクエストをかけてやっと鑑賞することができました。私たちはチベットについてもっと知るべきなので、その観点から是非お勧めする作品です。主人公ハラーがチベットに旅立った時、彼の祖国オーストリアは世界大恐慌やヒトラーの台頭のどさくさに紛れてドイツの一部になっていましたが、1951年に彼が帰還した時にはドイツとは別の国でした。言葉も習慣もほとんど同じながら、歴史が異なるドイツとオーストリアは決して一緒にはなりません。だったら、 言葉・習慣・宗教など全ての面で異なる中国とは異なるチベットがなぜ中国の一部にならなければならないのでしょうか?少年ダライ・ラマの人柄にも感銘を受けました。インドに亡命して相当な月日を経たダライ・ラマも聡明で気さくなおじいちゃんのようですが、作品中でも聡明ながら暖かい性格の少年でした。ダライ・ラマが英語を話すのに違和感を覚えたというコメントがありますが、そもそもダライ・ラマというのは先代ダライ・ラマが指定した方角から幼稚園に入るより少し前くらいの年齢で並外れた知能を備えた男の子を「先代の生まれ変わり」と認定して連れてきて英才教育をほどこして一人前の宗教指導者に育てるので、素質も環境も十分なのです。多国語に通じていてすでに聖職者としての実績がある人間を選挙で選んで最高指導者の地位に据えた後でヒトラー・ユーゲントにいたことがあるとかないとかが問題になったりするカトリックのローマ法王よりもっと完璧な宗教指導者になるわけです。選ばれる本人に選択の余地がないからかわいそうかもしれませんが、私たちの中で完璧に人生を選択できる人間がどれだけいるのか・・・?幼いダライ・ラマが唯一与えられたおもちゃのオルゴールの音楽がドビッシーの「月の光」だったのがなぜか非常に印象に残っています。[DVD(字幕)] 9点(2008-04-06 14:29:18)

43.  市民ケーン つい最近デカプリオ主演でハワード・ヒューズの人生が「アビエーター」として製作されましたが、アメリカン・ドリームという言葉まで作りながら、その中身、あるいは人生の意味に鋭く問いかけるアメリカの映画界全体、そしてこの映画を優れたアメリカ映画ナンバー・ワンに指名し続けてきたアメリカの映画ファンに脱帽します。監督・主演のウェルズが製作時にまだ20代半ばだったというから正に驚異的です。確かに「薔薇の蕾」の一言でもって作品全体をミステリー仕立にしようとしたのはちょっといきすぎだという気もしますが、内容が重厚なので高い点数を献上します。(この次はビル・ゲイツじゃないかな?)[DVD(字幕)] 9点(2008-04-05 10:42:58)

44.  ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版 劇場版と完全版(ディレクタース・カット)の両方を見ましたがやはり、二日に分けてDVDで見た完全版のほうが上です。映像と共に伝えられるサイド・ストーリーが観客の無意識下に蓄積されて新たに展開されるストーーリーを追いながら重層的に迫ってくる・・・そんな効果を期待している完全な作品がディレクタース・カットに他ならないようです。しかし、この作品の映像や音響は映画館のフル・スクリーンで見てこそ十分に堪能できるものなのでどちらも一長一短です。「アラビアのロレンス」や「クレオパトラ」、私が知っている限りで一番最近のもので「ガンジー」のように中休み(intermission) がある劇場映画はもうはやらないのか・・・残念な気がします。アルフレート役がフィリップ・ノアレだとはこのサイトを見るまで気づきませんでした。「イル・ポスティーノ」のネルーダ役にはまっていて上品なおじさんだと思っていましたが、やはり噂に違わない大俳優のようです。[DVD(字幕)] 9点(2007-07-16 01:11:56)

45.  インドシナ カトリーヌ・ドヌーブ扮する女農場経営者のエリアンヌが使用人を鞭で叩いたり、現地人や貧民に同情するフランス人がエリアンヌを「あなたの美しさはうわべだけ!」と非難したりするシーンは往年の大女優ドヌーブのファンならずともあまり見たくはないシーンかもしれませんが、これが植民地の現実だったのか、と考えさせられました。エリアンヌよりも養女のカミーユのほうが出番が多くカミーユが主人公のようでしたが、中身はフランス人で外見はベトナム人のこの子が非常に印象的でした。私たちはすでにベトナムの南北分断、続くベトナム戦争とその結末を知っているわけですが、カミーユとその夫、そして子孫に農場を受け継がせることが母性愛の核であるようなエリアンヌのその後を想像してみると悲しいです。スイスの銀行にいっぱい預金してカミーユの息子に相続させたんだろうな・・・なんていうのはちょっと俗っぽい想像ですけれどね。漢字の看板が溢れるサイゴン市内やジャンク船が浮かぶベトナムの雄大な風景が素晴らしく、ジャンとカミーユの関係も控えめながら濃厚でエロチックに描かれていたのが非常に良かったです。[DVD(字幕)] 9点(2007-07-15 09:31:35)(良:1票)

46.  嘆きのテレーズ 黒澤明監督のモノクロも墨絵のようで美しいですが同作品はヨーロッパのモノクロ作品の美しさを存分に見せ付けてくれます。主演のシモーヌ・シニョレが美しいのは言うまでもない・・・と言いたいところですが、体全体はあくまでも豊満で肉感的なのに顔が大写しになると男のように見えました。でも、他のどのような女優さんでもテレーズの満たされない寂しさは出なかったでしょう。嫁と姑の確執も特に後半以降、姑役の年配の女優さんが鬼気迫る演技で見事に表現していました。周囲からは羨まれているに違いない安定した生活の中で欲求不満に陥っているテレーズと彼女に言い寄るセクシーな男の話は、残業続きで疎遠な夫に愛想をつかす金曜日の妻たちの走り、そして金妻モノをもっと極端にした形で展開します。ただ、「猫の目をした(テレーズの言葉)」水兵あがりの男が出てきた頃から少しつまらなくなりました。結末も、私の私見ではありますが、陳腐なので-1とします。原作者ゾラは人間の情欲を見つめた作家でしたが、物語としての結末はどうでもいいのかもしれません。邦題「嘆きのテレーズ」の「嘆き」はないほうがいいと思います。[DVD(字幕)] 9点(2007-06-22 22:53:14)

47.  父親たちの星条旗 原作が非常に良かったこととイーストウッド監督の「ミリオンダラー・ベービー」が好きになれなかったことから見るのを躊躇していました作品ですが、素晴らしかったです。R指定の根拠となった血なまぐさいシーンもありましたが、それぞれがほんの一瞬でそれがかえって凄惨さを強調していました。何人かのレビューワーの方が述べていらっしゃるように、硫黄島と帰還後の祝賀のフラッシュバックを交互に繰り返す手法が最初のうちは不自然に感じられましたが、戦費調達を意図する祝賀会の花火の音と硫黄島の銃弾の音が重なって華やかな中にあってつらい記憶を払拭しきれない兵士たちの葛藤が絶妙に描かれていたと思います。このような表現は映像と音響があるからこそ可能なのであって文章だけでは決してできません。「西部戦線異常なし」「トラトラトラ」「戦場にかける橋」などと並ぶ戦争映画の傑作がまた誕生しました。[DVD(字幕)] 9点(2007-06-04 07:44:27)

48.  ユナイテッド93 R指定(日本での18禁)の映画は避けるのですが、事実に基づいている作品なので見ました。冒頭、アラブ人の過激派が凶行に赴く前にメッカに向かって土下座しているシーンはご真影を祀った祭壇か何かに同じようなことをして出て行った第二次世界大戦中の神風特攻隊を彷彿とさせます。その後、どの空港でも見られるような出立の際の乗客と乗員の慌ただしい様子や航空管制官たちの様子が長々と描写されるうちに誰でも知っている結末になっていくのですが、結論から言うと、日本では18禁にする必要はないものの、アメリカやフランスのようにアラブ人が数万人単位の少数派として住んでいる国ではR指定のほうがいいと思います。犯人役の俳優が全員いかにも「アラブ人」といった風貌で、社会経験の乏しい人はこの映画を作品を見たらアラブ人恐怖症になるかもしれません。アメリカでR指定解除を要請している製作者と犠牲者の遺族にはもちろんアラブ人差別の意図はないと思いますが、あの同時多発テロの後しばらくの間、多くのアラブ系の人が短絡志向人間から嫌がらせを受け、ニューヨーク近辺ではまともな人でも自分が乗ったバスの運転手がアラブ系だったら長いトンネルや橋を通る時に緊張したことは事実なのです。空の安全を守る人々のひたむきな姿や「おとなしく座っていろ!」とわめく犯人の眼をかすめて座席の隙間から情報を伝言したり、武器になりそうなものを有志に手渡しした乗客たちの沈着冷静な姿勢によって地上での新たな惨劇が避けられたことなど、学ぶべきことが多い作品なので、当時アメリカ連邦政府の運輸省長官だった日系人のノーマン・ミネタ氏が言った「人種や宗教によって人を絶対に差別してはならない。」という言葉を肝に銘じながら多くの人に鑑賞してほしいと思います。管制の責任者の後ろで終始ボサットつっ立っていた中国人らしい管制官が気に入らなかったのでー1点とします。 [映画館(字幕)] 9点(2006-06-01 11:56:35)《改行有》

49.  二十四時間の情事 《ネタバレ》 私はこの作品を恋愛ものだと思いたくありません。二人の関係は紛れもない不倫だし、外国の街角で自分の国の言葉で話しかけてきた異性と即ベッドインなんていうのは勧められませんが、主人公のフランス人女性には戦争で壊滅的に破壊された広島という街でそうしなければならなかった理由があり、全編がその理由を語るために存在するというといってもいいと思います。作品の中盤で、ロケの休憩中に転寝をする女性のわきに長い尻尾が妙な形に曲がった猫が登場しますが、「猫なら尻尾が曲がるだけでも人間だったら心の奥底に見えない傷がある。」と言うためにこの猫を出したのでは、などというのは考えすぎでしょうか?巻頭の「君は広島で何も見ていない。」という日本人男性の言葉には「戦勝国の人間には所詮、敗戦国のことはわからない。」というような奢りさえ感じられますが、その日本人男性は次第に考えを改めていき、フランス人女性の「ドイツ人の彼が死んだ悲しみを、村の人に罵倒されたり、髪の毛を刈り取られたりしている間は忘れることができた。」という言葉で正に目が覚めたと思います。トイツ人を愛したフランスの女まで憎いというフランス人の心理は(フランス人でなくても)ただ戦争の愚かさだけを見せつけます。「目を覚ませ!」というかのように女性の頬をひっぱたく男性と感謝するように微笑む女性。最後に夜明けのバーで離れた席に座ってフランス人女性を見つめる男性と目を伏せる女性・・・癒しにはほど遠いけれど理解しあうことはできたというような結末でした。点数は一番手の方の真似をしたわけではなく、モノクロながら目をそむけてしまった被爆者の治療シーンがあることと日本語の題名のせいでー1点です。わたしだったら題名は「ヒロシマ、わたしが愛した人」にします。[DVD(字幕)] 9点(2006-03-23 11:15:32)

50.  タンゴ(1998) 劇場の大画面で見たい映画。冒頭の薄暮のブエノスアイレスの風景からバックの音楽と溢れる色彩に魅了されてしまいます。中年男の舞台監督が親子ほども年の離れた出演者との恋に陥るというストーリー自体は万人向けとはい言えないかもしれませんが、舞台が出来上がる過程とその間の様々な人間関係が詳細に描写されタンゴのリズムと舞台照明が醸す色彩の渦によって現実と虚構の区別もつかなくなるほど・・・。日本では劇場公開は無理かもしれませんが、是非、鑑賞をお勧めします。[DVD(字幕)] 9点(2005-07-31 06:51:18)

51.  ハムレット(1990) 主演のメル・ギブソンと言えば、監督作品の「パッション」は大嫌いな作品の筆頭で、アカデミー作品賞を受賞した「ブレーブハート」は途中でつまらなくなって見るのを止めたほどなのでこの作品はどうかな、と思っていたのですが、人間の思考の厚さと深さを独白だけではなく体全体で表現するメル・ギブソンの演技は素晴らしかったです。ゼフィレッリ監督はオペラの映画化を多数手がけていて映像の美しさに定評があるので、彼の監督だと軽くなってしまったら・・・というのも余計な心配で、美しい映像は他作品と同じながら、俳優陣の演技とチームワークが重厚な作品を作り上げています。あの世にいるシェークスピアもこれなら満足ではないでしょうか。脇役ながら作品の質を決定するという母ガートルートと恋人オフィーリアの演技にも脱帽しました。ただ、父王の幽霊があまり怖くなかったのが残念でした。愛する息子の前に出るのだから生前と同じ温厚な姿で、というのは納得できないわけではないですが、昼間は地獄の呵責に堪え、夜になるとさ迷い出てくるのにはそれなりの理由があるのだから、四谷怪談並みとまではいかなくても、もう少し恨めしそうに出てほしかったので-1点とします。この役は初演ではシェークスピアが自分で演じています。ローレンス・オリビエと比較して本作品のメル・ギブソンには皇太子らしい気品が欠けていると感じる方がいると思いますが、シェークスピアが描こうとした「悩める道化」としてのハムレットが強調されているようです。ゼフィレッリとメル・ギブソンがオリビエ版を意識していないはずがなく、わざと違う解釈で作っているようなので、どちらが採るかは好みであって優劣はつけられないでしょう。「ケイト・ウィンスレットが好演ながらオフィーリアのイメージではない。」と言うコメントが複数ある1996年版は未見ですが、他配役が興味深いので是非見てみたいです。[DVD(字幕)] 9点(2005-07-09 01:09:29)

52.  アビエイター レオナルド・デュカプリオの一人舞台といった感じの作品。デュカプリオが好きではないという人も見ればきっと彼にほれ込むと思います。「タイタニック」、「ロミオとジュリエット」などでの主演、「仮面の男」でのダブルキャスト等々、むずかしいティーンの役柄をこなした彼が中年、壮年の役柄をやったらいかに・・・と期待していた私にとっては「やってくれたね!」と思わず拍手を送りたくなった作品です。第一次世界大戦後のいわゆるパクス・アメリカーナ、スィング・ジャズ時代の雰囲気が良かったです。第二次世界大戦の頃からはヒューズの内面にスポットが当たって時代があまり描かれていなかったのが少し惜しい気がしますが減点対象にするほどではないです。[映画館(字幕)] 9点(2005-05-26 13:05:12)

53.  アラモ(2004) 終わりのほうになるまで、メキシコ軍はこれほど優勢だったのになぜ現在のアメリカ-メキシコ国境はリオ・グランデ川(サン・アントニオから車で5時間ほど南下したところ)なんだろう・・・と疑問に思いながら見ました。恐らく今までにないほどメキシコ側に好意的な演出がなされていて、メキシコ系(スペイン系?)の俳優が多数出演、メキシコ側の合議の様子などもスペイン語の会話とともに描写され、なぜメキシコがテキサスに侵攻しなければならないのかという理由も納得がいくものだったのでなおのこと疑問に思いました。結局、力の論理だったんですね。「メキシコ系住民が居住しているからこちらによこせ!」という主張は現在だったら住民投票か国連安保理事会で決着をみるでしょうが、19世紀だから力の論理もしかたがないです。戦争大好き人間のブッシュ大統領親子がそろってテキサス州知事を経験しているのも偶然ではないでしょう。現在ではダントツの先進国であるアメリカが正規軍を派遣できずに制服も着ていない市民有志から成る義勇軍で領土を保全し、対するメキシコ軍が下士官にいたるまできらびやかな軍服に身を包んでいるのも時代の移り変わりを感じさせました。でも、現在のアメリカではメキシコ系を含めたラテン系の住民が全人口の13%を占め、役所の文書や道の案内にまで英語とスペイン語が併記されているので結局、勝ちをしめたのはアメリカ国内のメキシコ系住民かもしれません。いろいろ考えさせる作品でした。アメリカとメキシコ双方の言い分をスクリーンで再現したことはストーリーの難点(山場がどこかわからない/アラモ攻撃後の展開が蛇足っぽい)を補って余りあるので高得点を献上。射撃とバイオリンの名手、デイビー・クロケットもいかにもといったいい雰囲気でした。ジョン・ウエインよりもこちらのほうが本物っぽいと私は思うのですが、ジョン・ウエイン主演のほうも見てみたいと思います。9点(2004-07-05 07:46:56)

54.  愛と哀しみのボレロ 登場人物が多すぎるのでどうなることかと思いましたが最後、しっかりまとまってすごいインパクトを与えるのが驚きでした。思えば第二次世界大戦の悲劇は2,3時間やそこらの映画でつくせるものではありません。ボレロの祭典に会した芸術家や聴衆の数家族が背負っている悲劇を紹介するだけでもこれだけのインパクトがあるし、それぞれの悲劇のパターンを実際に経験した家族の数は数千倍、アジア戦線を含めたらもしかしたら数万倍くらいに上るのではないでしょうか?ドイツ将校とパリジェンヌとの悲恋物語で ”Hiroshima, Mon Amour(邦題:二十四時間の情事)”を思い出しました。“Hiroshima, Mon Amour”のヒロインは未婚の母にはならなかったものの自宅に軟禁されて丸坊主にされ、髪が生えそろった後で村から追放されてしまいます。いやはや・・・理性的とは言いがたいけれど、敵に対する憎悪がこういう形で噴出してしまうんですね・・・。ラベルのボレロは私が東洋人であるせいか「因果応報」や「輪廻」を象徴し、「過去の過ちを繰り返さないこと」と「過ちを犯した人間を許すこと」を迫っているように聞こえました。9点(2004-06-14 01:34:22)

55.  存在の耐えられない軽さ 「長かった!」というコメントが結構ありますね・・・。私はビデオで見たので「長い。」とは感じませんでした・・・途中でコーヒーを入れに立ち上がり・・・電話がかかってきて中断し・・・と言いたいところですが、ちょっとした理由(見た方にはわかると思います)があって途中で持ち主(知り合いの個人)にビデオをつき返しました。その時の会話:「おっさん、何だって私にこんなビデオ見せようとしたの?」「ボボボ僕、何にも下心なんかないよ・・・。キキキ君なら理解できると思って・・・。」(「おっさん」は40台半ばの離婚歴ありの独身者。)と、いうわけで結局は最後まで見ました。その後のある友人との会話:「人間の体をモノみたいに扱っているのが気に入らなかった。」(その「友人」は「アウシュビッツって何?ロシアの元の国とアメリカが対立してたこともあったの・・・。」とうそぶく御仁。)私のこの映画に対する評価は「おっさん」と同じでわりと高いんですけれどね・・・。ちなみに「おっさん」は米国在住のポーランド人です。ビデオの持ち主である「おっさん」に敬意を表して「おっさん」の評価・・・まちがいなく10点・・・と自分の点数・・・ソ連の脅威を肌で感じたわけではないのでこんなもん・・・の平均点を入れておきます。9点(2004-05-25 11:53:03)

56.  ビッグ・フィッシュ 同じベトナム戦争の時代を扱ったおとぎ話風の作品「フォレスト・ガンプ・・・一期一会」に8点をつけたのでこの作品は9点か10点しかありえないのですが、下の二人の方の10点と全米平均の8点を横目で睨みながら真ん中の9点をつけます。ベトナム戦争の是非なんていう天下国家の問題を扱った作品じゃないし、それに「フォレスト・・・」でのトム・ハンクスの演技が光っていたので点数を離したくなかった・・・なんていうのは屁理屈なので無視していただいて結構です。一言、「良かった。」と書くだけでも十分なのですが、これから鑑賞される方のためにもう少し詳しく書いておきます。まず、「フォレスト」との比較になりますが、この時代を描くのにCGをあからさまに使わなくても、大統領の実写を使わなくても、主人公のIQが平均より低くなくてもOKどころかそのほうが作品を「おとぎ話」として成功させています。年月の経過とともにつらかった事実の記憶は風化し、父エドワードがベトコンの拠点に乗り込んで捕虜になるか殺されるかのシーン(会話はベトナム語でアメリカでの上映でも字幕が入ります)でさえもノスタルジックに脚色され、密林のゲリラ戦で恐れられたベトコン兵たちの結構可愛い日常の素顔が印象的でした。ベトコン兵のカンフー張りのアクションにはまいりましたが・・・ベトナム人って本当にこんなことするの・・・でも楽しいシーンでした。この他にも、桃源郷(理想郷スペクター)、サーカス、空の落書き、水仙などの数々の美しい場面が網膜に焼きついて離れません。父エドワードは激動の時代にいろいろつらいことも経験しただろうけれど、息子に語る内容は楽しいことばかりになっているのようなので、この人の人生は結構幸せだったと言えるでしょう。9点(2004-04-28 08:32:32)(良:1票)

57.  イル・ポスティーノ イタリア!イタリア!イタリア!地中海と空の青さは言うまでもなく、さりげないシーンのBGMにさえ感じられるイタリア情緒がたまらないです。さえない郵便配達夫のマリオがノーベル賞候補者(1972年に受賞)の詩人ネルーダから詩の書き方を習うなんて非現実的な話なので始めのほうで頭を「おとぎ話モード」に切り替えました。美人をみれば後を追う情熱的な気質と並んで、ルネッサンスやローマ帝国の担い手の末裔としての自負心がこんなむさい兄ちゃんの外国人詩人ネルーダに対する態度にも見え隠れし、ダンテやダヌンツィオが会話に登場する・・・これぞ私がイメージするイタリアなのです。マリオがネルーダ専属の郵便配達夫になった時、自分が始めてネルーダの詩集を手にした時の記憶とダブりました。その詩集はピンク色の表紙で「100 Love Sonnets of Pablo Neruda」という英語とスペイン語の対訳本でした。イタリアと文化的に近接したスペイン語圏の作品だけあって情熱ほとばしる詩がオン・パレード・・・そのピンク色の表紙が私のスペイン語学習を促したようなものでした。だからマリオとネルーダとの関係は私の場合と同じ文芸との出会いを象徴的に描いているのだと思ったのですが、どんでん返し的に話が発展していって面白かったです。「共産主義」がこの作品の一つのキーワードです。情熱的なラテン諸国では学者や政治家など、多くの一流インテリが論文で表しきれないことを詩に託し、そのせいかノーベル賞詩人が目白押しで、詩人は英雄視さえされます。かのダンテも大作「神曲(Divine Comedy)」で教会制度を皮肉った反体制詩人でした。これらを念頭におけば、この作品を単に美しい風景の中で美しい女性を追い回す様を描くものではなく、主演のマッシモ・トロイージの生き様と死に方にも通じるヒロイズムの物語として見ていただけるでしょう。ネルーダは帰国後、新政府の閣僚に抜擢され、亡命中にお世話になった人に手紙を書くどころではなかったのですよ(本当の話)。それにしてもラストは哀しすぎる・・・自責の念にくれるネルーダ(そっくりさん俳優の・・・全くそっくりです)の後姿が本当に哀しい・・・でも哀しい結末でもからりと明るく、情熱はほとばしっても血は出ないのはさすがイタリア・・・なのでしょうか?9点(2004-04-22 23:51:32)(良:1票)

58.  恋の闇 愛の光 原題“Restoration”は「王政復古」の意味。原題が示すとおり歴史ファンには超お奨め作品ですが、今までのみなさんの感想が示しているように、ラブ・コメでならしたメグ・ライアンのファンには期待はずれの映画です。どうせ見ればわかることなのだから、中身を反映した邦題をつけてほしいものです。イギリスは17世紀半ばに、フランスは19世紀初頭にそれぞれ王政復古を経験しました。フランスで王政復古を遂げたフランスのルイ18世は愚王の典型で「共和政下で何物も学ばず、何物も捨てず。」と揶揄されましたが、作品中のイギリス王チャールズ二世は対照的で、この王様をストーリーの中心として見ないと面白くありません。チャールズ二世も最初は専制君主、その上に愚王で医者や科学者のことを屁とも思わなかったのが巻頭から登場する医師のロバートと平行して成長し、専制ぶりは生涯変わらなかったものの「王は君臨すれども統治せず。」というイギリス立憲王政の基礎を築くというお話です。「王は君臨すれども統治せず。」だったら実際は何をするのか、というのは作品を見てください。日本の皇室もこのストーリーのイギリス王と同じ道を地でいっています。泥臭いといっては何ですが頭と体の両方を使う学問、医学とか実験物理とか土木工学に関心を示す皇族方がいらっしゃればいいんですけれどね・・・。お茶目な雰囲気のメグ・ライアンはロマンチック・コメディーにしか出演しないのかと思ったら、なかなかいい味を出しているじゃありませんか。時代劇にどんどん出演してほしいものです。ニューヨーク・タイムスがこの作品を絶賛し、一般的に過小評価されていると言っていました。ジャーナリストになるような人にもお奨めできると思います。9点(2004-03-31 13:48:27)(良:1票)

59.  アラバマ物語 《ネタバレ》 フィンチ弁護士を演じたグレゴリー・ペックの威容と言っていいほどの貫禄と父親としての温かみが素晴らしかったです。フィンチ弁護士の論理は作品中で見る限り完璧だと思います。幼いスカウトは裁判の内容や父の論理を理解できるような年齢ではありませんが、それでも父親の正しさと勇気には触れることができ、また、努力にも関わらず敗北を喫した父親に黒人席全員が立ち上がって敬意を表したことで、きっと真の正義の観念が心に植え付けられたことでしょう。ただ、「誰かが汚い仕事をしなければいけないの。それがお父さんの役目だったの。」と兄妹に語った女性の言葉には納得できませんし、少なくともスカウトは納得していません。アメリカで今でも人気のある小説”To Kill Mocking Bird”の日本語の題名が「アラバマ物語」だということをこのサイトで知り、すぐに近所の図書館でビデオを借りてきました。子供のころ両親が購読していた「暮らしの手帳」の自社広告で、”つなぎ”を着たスカウトの写真と「貧困と無知のせいで強姦犯人にされた黒人が云々・・・。」という説明が全く一致しなかったせいで「アラバマ物語」のタイトルが印象に残り(「強姦」なんて言葉、当時理解していたのかどうか・・・?)、昨年グレゴリー・ペックが亡くなった際、彼が主演だった名作の一つとして紹介されたことで”To Kill Mocking Bird”に関心を持ちました。刑事がフィンチ弁護士に恨みを持つボブ・イーウェルが自殺したと知らせに来て、スカウトが「モッキング・バードを殺しちゃいけないんでしょう。」と父親に言うラスト近くのやりとりで誰がジェムに怪我をさせ誰が兄妹を救ったのかわかりますが、原作にはないスカウトの台詞は8歳にしてはちょっとかしこ過ぎるのではないでしょうか・・・。それにしても、フィンチ弁護士が言うとおり、人を見かけや噂だけで判断するのは間違っています。9点(2004-03-13 07:15:53)

60.   日本の映画の中でこれほど外国人受けする映画はないと思います。統計をとったわけではないのですが・・・でも、外国人がこの映画を評価するのは色鮮やかな旗が乱舞する合戦シーンなどの日本趣味でしかないのかもしれません。また、この映画を一度しか見ないで出来不出来を云々する方の中には外人がこの映画を見る目とそれほど変らない見方で評価していらっしゃる方も多いのではないかと思います。でも、私はこの映画を二度目に見た時にはシェークスビアの原作にはない何か、日本的、あるいは仏教的と言ってもいいかもしれない何かを感じました。二度目には長男の妻と同じ経緯で一文字家に嫁いできたのにもかかわらず寛容な心でもって秀虎を許す次男の妻やピーターが演じた狂阿弥の台詞の一言一言に着目する余裕があったせいだと思います。参考になるかどうかわかりませんが、シェークスビアは「リア王」を書くに当たって作品をキリスト教と無関係なストーリーにしたいと考え、わざと舞台をキリスト教伝来以前のイギリスに設定したそうです。だとしたら、この映画は黒澤監督がシェークスビアの意図を受けてセンター前にヒットさせたような作品かもしれません。でも、私はやはりこの作品は「黒澤」で「日本」だと思います。9点(2004-03-09 11:31:28)(良:2票)

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