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年齢 43歳
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41.  奇跡(1955) 人が生き返るということから私はすかさず「ゾンビ」を連想してしまう。心やさしい人ならば「白雪姫」を想像するかもしれない。人によっては「バカボン」で、馬鹿田大学の友人の葬式でバカボンのパパが「死んだー、死んだー、ザマーミロ~」とお経を唱えたら、その死んだはずの友人が飛び上がり元気になって逃げるパパを追いかけるシーンを想像する、かもしれない。どれもフィクション的な復活で、そこにはそれぞれの強度を持って死者の復活を意味づけている。ところがドライヤーの「奇跡」はそういう感覚を超越している。「聖なるものの顕現があるところ」を映画上で作り上げてしまったのだ。いわば映画内の完璧な儀式化である。カール・ドライヤーは儀式を全うする人と空間と時間と、それらの内から生じる「何か」をスクリーンで表現する為に、これほどはないというほどの美しい白黒の映像を生み出した。それはこの映画における白・黒こそが映画で初めて生と死を際立たせたのではないかと思うぐらいに、である。故にこの映画は彼女が生き返るということに疑問の余地を全く与えない。奇跡が起こるということがフィクションの特性としてあるとするなら、この映画における奇跡が起こる過程はおそらくどんな映画よりも崇高で近づきがたい。であるがゆえにこの映画は、本当に映画と呼んでいいのか、何か別のものなのではないかという気さえ起こる。[映画館(字幕)] 10点(2005-02-18 16:44:58)(良:1票)

42.  アレクサンダー大王 1936年の日々」や「旅芸人の記録」あたりから始まるアンゲロプロスの「歴史と時空の旅」を主眼に置いた作品群はその全てが規格外で度肝を抜かれる。それは神聖な巻物を紐解いた時に感じるであろう、背徳の感覚に近い。「アレクサンダー大王」はその巻物の、まあ王様みたいなもんだ。これを読み解くのはそれ故困難を極める。キーワードは結婚式と歌合戦と銃。あと黒くて重たいコートと曇天の空も必需品。「霧の中の風景」では全開だった叙情は一度頭から放り出したほうがいいかもしれない。ついでにこの映画に流れている政治思想も無視。大衆の習俗にこそ醍醐味が盛りだくさんなのがこの映画だし、なんちゃらイズムを語るアンゲロプロスはあまり面白味がない。真面目過ぎるからだ。いや、だからこそアンゲロプロスの映画には、実はたくさん笑うところがあるのだ。それは、懸命であることを彼が一切茶化したり皮肉ったりしないからでもある。懸命さが笑いを誘うのはその人があまりに純粋であることの裏返しである。そしてこの映画の主人公アレクサンダーはそんなアンゲロプロス的人間の、まあ王様みたいなもんだ。4時間にわたる彼の栄枯盛衰を、ぜひ見ていただきたい。70年代アンゲロプロスはちょっと神入ってるですよ。10点(2005-02-04 12:21:33)(良:1票)

43.  ヴァンダの部屋 舞台となるフォンタイーニャス地区というスラム街には①昔確かにあったはずの場所と、②今ここにある場所と、③次第に崩壊されつつある場所が明確にある。①は住む人々の記憶(あるいは音?)として、②はドラッグと貧困の果てしない反復として、③は着々と進行する街の破壊として。監督のペドロ・コスタはヴァンダの部屋を中心にカメラを据え、2年間に及んだ記録を3時間に濃縮した。ヴァンダたちにとっての故郷という「場所」が次第に失われていくのと同時に、彼らは鋭くもなぜか柔らかな光の差す暗闇(これが凄い)の中で変な咳をしたり、無数の100円ライターからまだ火の出る物を探す。これらを映し出すスクリーンには①、②、③が同居するという信じられない事態が起こっている。つまりヴァンダの部屋はドキュメンタリー(②)でありながら歴史映画(①)であり、さらにアクション映画?(③)とも言えるだろうか。なんにせよこんな映画を見たことはない。一番驚いたのは、ヴァンダが相変わらずヤクをやりながら咳しているんだけど、その咳がいつもより激しいなーと思ったら、突然ゲロゲロ吐き出したシーン。真の驚きはその次で、ヴァンダはなんとそのゲロを掛け布団で包みながら再びヤクをやるのである、しかも鼻歌歌いながら。こんな映画を見たことはない。[映画館(字幕)] 10点(2005-01-29 02:21:19)(良:1票)

44.  子猫をお願い 例えば静かな電車に女子高生5人が乗り込んだとする。その瞬間まわりの空間が一変するのは誰もが想像のつくことだろう(単純に「うるせえなあ」っていうのもあるけどそれは別・・・エネルギーの問題です)。サラリーマンが5人乗っても混むだけだ。この映画は要するにそういう映画である。なんでもない場所を、あるいは映像的に美しい場所ですら、彼女達が画面の中にいるだけで彼女達の世界に変えてしまうようなとんでもない映画だ。5人が集合している時はもちろんの事、1人になった時でもその強度は消えない。上司に雑用扱いされゲーセンで一人ふてくされてDDRに熱中していても、冴えないサウナの受付嬢として老人に甘酒をサーブしていても、「こんな孫は知らん」と家の中に入れてもらえない時でも、そして家の修理代のために借りた金で機種変更した携帯で着メロを選んでいても、である。要するに場所は人によって染まる。だが時間が経てばその染めるのに用いた染料はやがて色あせる。のだけど、ごくわずかの人間に限り、映画の神様からどれだけの時間が経っても色あせない染料を与えられることがある。この映画から発散するエネルギーの無尽蔵さを目の当たりにすると、上記のような人間に当て嵌めたくなるわけです。[映画館(字幕)] 10点(2005-01-24 02:20:28)(良:2票)

45.  パルプ・フィクション 個人的にはもっとも愛着のある映画だから客観的評価は不可能。一体何度見たことか。徹底したチープさもここまでくればある意味芸術。サミュエルLジャクソンが、「Hmm, tasty burger!」って言ってむしゃぶりつくバーガーは、マジでうまそうだ。おそらく生粋のjunk food junkieであろうタランティーノだからこそジャンクフードをうまそうに食べる角度とか構図を撮れるんだろうなあ。ユマ・サーマンとジョン・トラボルタがデートしたレストランでの食事もホント高カロリー低栄養って感じで、「ナマ焼け」って何だよ(笑)とは思うんだけど、この辺もアメリカ人の偏食度合いがよく出ている(ような気がする)。食べ物だけでも十分に語れるこの映画は、どうでもいいことやタイトルのようにチープな話の集合となっている。「どうでもいいこと」を見る目は人それぞれ全く違うけどタランティーノからはそこに愛を感じさせるぐらいだから、タランティーノの映画を語るとつい顔がほころぶし声もうわずってしまう。しかも冒頭のエゼキエルがどうとかっていう話、千葉真一の映画がアメリカで配給されたときに配給側が勝手につけた序文の引用なんだって!?降参です。ちなみにこの映画はビデオで見たほうがいいかもしれない。スクリーンで見たとき妙に照れくさかったんで。10点(2004-12-10 13:02:05)(良:1票)

46.  2001年宇宙の旅 高校時代に何かの授業でこの映画の前半の人類の夜明けを見せられた時、言葉では説明できない得体の知れない恐怖が襲ってきたのを良く覚えている。数年後、軽い気持ちでビデオで借りて全編を見た。鼻で笑うことによってまったく理解の出来なかった心境を取り繕うのが精一杯だった自分に、新たな映画の見方が必要としていることを悟らせた。その半年後、新文芸座の巨大スクリーンで観たときに待っていたのは映画館に居ながらにして宇宙空間を共有出来た開放感と、人類の起源やその回帰を瑞々しい程に表現した「ツァラトゥストラかく語りき」の音楽であり、要するにキューブリック抜きでは自分の映画史(そんなに大げさなものじゃないけれど)は語れないのである。[映画館(字幕)] 10点(2004-06-15 23:44:43)

47.  TOKYO! 例えば裁判のシーンにおいて、怪物が表現する音声及び身振りを、まずフランス人の弁護士がフランス語に変換し、それから日本人通訳が日本語に変換する事で、ようやく裁判官、傍聴人そして我々のもとへ怪物の表現したかった事が伝達されるのだが(逆のルートも同様)、この一連のやり取りは何度も、しかも分割画面まで用いて、反復される。まどろっこしい反復の不毛さもさることながら、怪物が渾身の限りを尽くして示したメッセージが、あの何と言ったらいいのか、聞く者を思わず脱力させる女性の声に変換されただなんて、一体どうして信じられようか。「意味が分からない」「東京(トーキョー)である必要性がない」「登場人物に共感できない」と、ないない尽くしの糞短編映画だがしかし、パンの間に間違えて糞を挟んだサンドウィッチをうっかり食べた時、今まで食べたパンの数を覚えているはずのない者でも糞の味は一生忘れられない事だろう。それぐらいに驚き、かつ爆笑した。ドニ・ラヴァンが夜の渋谷の歩道橋で手榴弾を投げまくる背後の高速道路で走る無数の大型トラックには手榴弾以上の暴力性が纏われていて、思わず背筋が震えた。 [映画館(字幕)] 9点(2008-11-25 23:27:53)(良:1票) 《改行有》

48.  ロストロポーヴィチ 人生の祭典 IMDBという有名な映画データベースのサイトでソクーロフの事を調べたら、新作(2007年製作、"Alexsandra"というタイトル)が既に作られていた事が分かった。ある老女がチェチェンの軍人キャンプに滞在する自分の孫に会いに行く、というお話らしい。まあ内容はいいとして、とりあえずビックリしたのは主演(と思われる)の老女を演じるのがなんとガリーナ・ヴィシネフスカヤ、つまり本作に出演した故ロストロポーヴィチの奥さんなのである。どうやらソクーロフは自分の欲望を抑え切れなかったらしい(笑)見ればわかるのだが、このドキュメンタリー映画の主役はロストロ氏でもなくクラシック音楽でもなく、間違いなくロストロ氏の奥さん:ヴィシネフスカヤである。ソクーロフはことによるとヴィシネフスカヤに会いたい一心で、ロストロポーヴィチという世界的なチェリストをダシに、この映画を作ったのでは、という気すら起こる(ちなみに彼女は有名なソプラノ歌手であり映画にも数本出たことがある)。ソクーロフの映画から芸術の二文字が消えた時、それは極めて魅力的な作品へと昇華するが、本作もドキュメンタリーながら彼女への私的な偏愛振りを隠そうとせず、しかもそれが変なねちっこさを持たずどこか突き抜けた変態ぶりでもって、被写体の彼女に迫っているようだ。そしてやはりラストが素晴らしい、というかビックリした。これは是非見て頂きたい。タルコフスキー的な風土を背負いながらもそこに妙な楽観性・通俗性を同居させ、さらにはとんでもないハッタリまでかますソクーロフ、「太陽」の次の作品がこの作品というのもまた、らしいというか。[映画館(字幕)] 9点(2007-09-20 21:04:01)

49.  カンヌ映画通り 「書かれた顔」や「トスカの接吻」等を見れば一目瞭然なのだけど、ダニエル・シュミットの映画に登場する老人は凄い。単なる数字的な加齢では説明の付かない老いがそこにはあって、何か怪物的な雰囲気が、いや、怪物だって人間の創造物に過ぎず、なんというか、物理法則の影響下から解放された特権階級みたいだ。というのも、この映画に登場するキーラ・ニジンスキーという老女が小さい頃、彼女の父つまりあの偉大なバレエダンサーであるニジンスキーが空で止まっているのを目の当たりにしたというエピソードが印象的だったからで、それに加えてキーラさんも信じられない身のこなしでダンスを披露するものだから・・・また、彼女とこの映画の主人公であるビュル・オジェ(彼女は「天国の門」を観る事が出来たのだろうか?)とが交わす視線が作り出す空間や、この映画の中で進行しているカンヌ映画祭と、ビュル・オジェがオペラグラス越しに見る昔のカンヌ映画祭との距離にみられるいかがわしさ、つまり本来交わらないものが何食わぬ顔で交じりあうダニエル・シュミット的な邂逅。最高です。ビュル・オジェ、当時42才。見えん。[ビデオ(字幕)] 9点(2007-06-22 20:07:09)(良:1票)

50.  デジャヴ(2006) 《ネタバレ》 面白い、文句なし!全編是映画って感じの画面が冒頭の船爆破のシークエンスから途切れることなく持続され、目が離せなかった。特に冒頭の空撮は何度でも見たい。川を入れた多様なロングショットや、その川の周辺を囲うパトカーや警官の配置、というかこの冒頭に限らずこの映画全体としてとにかく(場所にしても人にしても)配置が見事だった。あの、タイムスリップ装置がある施設での人物配置なんてまさにいい例で、捨てキャラが一人もいない。特に黒人の研究員の表情やアクションの入れ方の上手さなんて凄いと思う。そして過去を写すスクリーン上には美しいクレアがいる。最初に彼女が振り返るシーンの素晴らしさは、ただ女優自身が綺麗なのではなく、それ以前に美しい遺体として登場するという前段の演出をしっかりとこなしたからこその表情でもあり、あのシーンで完全に武装解除されてしまったせいか、それ以降内容はどうでもよくなり目の前に繰り広げられる過去と現在の交錯に一喜一憂するしかなかった。ラストもそうなるだろうな、と思いつつトニー・スコットの演出の的確さはそれを新鮮なものとして画面上に投げかけるので「よかったねえええ」とアホみたいに感動するしかなく。いやー面白かった。「ドミノ」はまさに驚きの一言だったが「デジャヴ」はなんというか、トニー・スコットという監督のまとめ的な映画だろうと思う。そして何より大人の映画だろう。必見。[映画館(字幕)] 9点(2007-03-18 01:10:50)(良:1票)

51.  ヴェルクマイスター・ハーモニー 《ネタバレ》 秩序の回復とか調律の不快という言葉、巨大クジラと"プリンス"、不穏な群集。かたや、世界の法則を回復せよ、カリスマという巨木、後半登場する武装した集団。後者は黒沢清の「カリスマ」だが、両者の構造は非常に似ている。発表された時期もほぼ同じ(ヴェルクマイスター:2000年、カリスマ1999年)。まあ、どっちが優れているかという比較は置いといて、「ヴェルクマイスター・ハーモニー」はアートへの志向性が強い作品ではある。実際かなりユニークな作品で、ガス・ヴァン・サントの2000年以降の変貌にも一役買っているところがある。酒場での人間プラネタリウムに始まり、クジラを乗せたトラックの不気味な登場、そして圧巻である広場の群集と焚き火。この街を支配するシステムの循環がすでに異常をきたしている事がありありと映し出され、さらにクジラと"プリンス"による外乱が、そのシステムをある一点に収束させ、やがてクライマックスの暴動へと繋がる。この手の映画はかなり好きなのだけど、なんか「トゥモロー・ワールド」っぽくて中々入り込めず・・・志の高さはこっちの方が断然上だろうが。それにしても、計算され尽くした長回しというのは画面の中に規律を(暴動でさえ)作りだすが、それは映画の主題と対を成してしまわないか。肝心の音も弱い気がした。がっ、この映画は面白い!それは間違いない。映画館で見なかった事が悔やまれる。この人の新作(なんか、いわくつきらしい)や、ヴェルクマイスターのプロトタイプ的作品で上映時間7時間オーバーの「サタンタンゴ」(米アマゾンでDVDあり。信じられん)も是非観てみたい。ちなみに、【エスねこ】さんの上記の脚色を結構真に受けて鑑賞したのでビックリしました、ある意味で(笑)[ビデオ(字幕)] 9点(2007-02-21 14:05:35)(良:2票)

52.  荒野のガンマン 《ネタバレ》 色々と問題のある映画だとは思うが、この処女作ならではのタガの外れ様は圧倒的だった。冒頭の首を括る拷問とか、主人公の誤射により死んでしまう少年の登場シーンなど、インパクトの強い画面構成が印象的で、この映画自体そういうインパクトだけで繋いだような感じがする。それが作品のバランスの悪さとなるのだろうが、本能的とも言っていい求心力に何故だか惹かれてしまった。「ガルシアの首」と正反対の展開も面白い。ところで「ガルシアの首」って、見るたびに「あぁ~」って唸るしかない映画なので困る。何なんだあの映画は本当に。で、こういう映画を処女作として撮るような人間が「ガルシアの首」のような映画を撮れるんだなあ、と変に納得してしまった。あと、強盗した金で南部に軍隊を作ろうと意気込むあのおっさんの倒錯的なキャラクターは凄い。[DVD(字幕)] 9点(2007-02-14 16:43:33)

53.  ピーター・フォークの ビッグ・トラブル カサヴェテスとは波長が合わない。というのは作品についてではなく、鑑賞機会についてである。何故かカサヴェテスの映画を借りると、その時に限って忙しく、結局見れずに返却というパターンが多い。彼の作品は総じて上映時間が長いのも原因の一つ(ちなみに、アントニオーニも何故か全然見る事ができない)。というわけで短い部類に入る「ビッグ・トラブル」をレンタルして意地で鑑賞、で、これがまたカサヴェテスの遺作でありしかも本人的には気に入っていないらしいのだが、いやいや、全然おもろいです。後半、思いっきり路線変更してるが、遺作にしてこの逸脱ぶり。しまいには最後にわけわからんパーティが・・・で、これがまた楽しくて。普通に撮ってるように見えて、全然普通でない。特に顔面のクローズアップが、なんというか、良い。うまく言えないが、要するにこの映画はビッグ・トラブル、極めて映画的なビッグ・トラブルなんだと思う。 【追記】自分で書いててなんだが、何書いてんのか意味わかんねー(笑)何だよ、映画的なビッグ・トラブルって・・・・・[DVD(字幕)] 9点(2007-02-01 23:23:32)

54.  硫黄島からの手紙 《ネタバレ》 硫黄島よりスリバチ山が印象的。「父親たちの星条旗」では外側が、「硫黄島の手紙」は内側が主要な舞台となる(だから、「硫黄島~」を見たら必ず「父親たち~」も見なければならない。逆も然りだが・・・)。スリバチ山の内部で展開される攻防の様子は見ごたえ十分なのだが、何よりも迷路のように作られた洞穴での非戦闘時の様子が心に残る。手紙を書く視線とオフの声、戦闘前の渡辺謙による万歳三唱、弾に当たらないよう腹に巻かれる縁起物(名前ど忘れ・・・)の哀しさ、伊原剛と米兵捕虜との対話、玉砕前にラジオから流れる歌声・・・あと例外的ではあるが中村獅童が洞穴で結局捕虜として捕まってしまうシーンの可笑しさ。これらの見事な叙情性は「父親たち~」ではほとんど見られることはなく(だからといって「父親たち~」を見ない理由は・・・って、しつこいか)、「硫黄島からの手紙」におけるスリバチ山の内部という、絶対的な「暗」の中でわずかに照らされる光となる。日本兵(日本人)に対してこれ程真摯に向かい合ったイーストウッド、そしてそれに見事に応えた日本の俳優たち。それらが最終的に優れたアメリカ映画へと昇華されたということ。ていうか、褒めることしか見当たらない(笑)のだが、「父親たち~」の方がやっぱり上かなと思う。それはイーストウッドのいまだ衰えぬ野心を、直接触れたら凍傷になってしまう冷たさを、「父親たち~」は持っていたように思うからである。あの、海辺で米兵たちが戯れるラストシーンの浮遊した感じなんかでも、いまだに言葉にする事が出来ない。それに比べれば「硫黄島からの手紙」は上記のように褒めることができる分、安全な感じがするのは否めない。[映画館(字幕)] 9点(2007-01-11 23:35:36)

55.  百年恋歌 三話構成で、三つの別の時代が描かれ、それぞれで主役となる男女のカップルは同じ役者が演じる。この三話にはストーリー的なつながりはないものの、ホウ・シャオシェンの、映画監督としての約20年の歩みというか、変遷に沿っている構成である。つまり、最後の現代篇がホウ監督の最前線ということになるだろうか。が、最後の現代篇は、なんか、よくわからない。一話目のような幸福感もなく、二話目のような官能的な画作りもなく、ただただ青白く重苦しくて、観終わった後の失語状態がシャレにならなかった。「ミレニアム・マンボ」でもそうだったが、ホウ監督の扱う現代は、どうしようもなくしんどい雰囲気が漂っていて、観ながら眉間にシワを寄せてしまう。なんとかして、ホウ・シャオシェン的なものを探したいのだが、それを見つける事すらできないことへの苛立ちもつのる。だがホウ監督がダメになったとは思えない。実際、「百年恋歌」の第一部は、あの「恋恋風塵」や「風櫃の少年」を凌ぐほどの密度だし、二話目だって「フラワーズ・オブ・シャンハイ」を想起させる。ということで、必見なのは間違いない。何よりスー・チーの佇まいが半端ではないのです。一話目のスー・チーの可愛さといったら・・・何なんだあれは、可愛すぎて反則だよ。と、それは置いても(置けないが)、ホウ・シャオシェンはやっぱり断固支持。とりあえず「ナイルの娘」と「憂鬱な楽園」を見ておこう。[映画館(字幕)] 9点(2006-12-27 19:29:56)

56.  ありがとう (2006) 生きていることが既に奇跡であるとすれば、生存を持続させる全ての事柄もまた奇跡だろう。だから何も奇跡を特別視することはないのかもしれない。だが、この映画のメインストリームである持続する奇跡、そしてそれが起こらないという疑念すら生じさせない力強さ、これらが実話という事象を飛び越えて、ドライヤーの「奇跡」に接近してしまうという事態を目の当たりにして、ただ言葉を失いひたすら感動するしかないのは何故だろうか。何の気なしに観に行ってここまで打ちのめされるとは思わなんだ。素っ気無く通過されてもおかしくない、「シネコン映画」の一つとして数え上げられるには余りにも惜しい。「ありがとう」は、紛れもなく映画作家による現代映画である。赤井秀和の「ニコッ」とした笑顔の素晴らしさ、薬師丸ひろ子の髪を梳くときの表情、そして田中好子の愛すべきキャラクター。是非もう一度観たいですね。[映画館(字幕)] 9点(2006-12-27 14:21:22)(良:1票)

57.  アウトロー(1976) ツバ汚っ!しかも黒っ!いくらアウトローだからって、ビーフジャーキー喰らい過ぎです。だが、この映画は相当素晴らしい。段々仲間が増えていく過程なんて見ているだけでワクワクするし(インディアンの女子が最高)、イーストウッドのギラギラ振りも相当なもの。ソンドラ・ロックが、清純そうに見えながらしっかりイーストウッドを誘惑しているところも面白い。場面としては中盤の川流しのくだりが堪らない。帽子をかぶったおばあちゃんのカッコよさ、南北の歌を歌い分ける漕ぎ手のオッサンの軽薄ぶり、イーストウッドの一発の銃弾でピンチを簡単に切り抜けてしまうというオチも効いている。「サンダーボルト」のジェフ・ブリッジスを想起させずにはいられないサム・ボトムズの繊細な表情の変化も良かったなー。見所のみで構成された実に豊かな画面の中を生き生きと動く人物、体内には映画の血が流れているとしか考えられない。中でも最も濃い血を持つであろうクリント・イーストウッドが監督した、傑作としか言いようがない作品。[DVD(字幕)] 9点(2006-11-24 22:45:27)

58.  まわり道 《ネタバレ》 ヴェンダースの作品特有のまなざしである、いわゆる天使の視点は、「まわり道」においては見受けられない。曇天の空撮から始まり、リュディガー・フォーグラーが窓を割る時のあの音、そして拳から流れる血、これらは小説を書けない作家の過剰な自意識というよりは、作品全体を包み込む否定――「まわり道」の原題は「間違った動き」という意味のドイツ語である――として画面に焼き付いている。ロードムービーとして想起されるような典型事象は、「まわり道」では発生しないだろうし、発生してもそこには必ず「~ない」という否定が絡まりつく。どうやらドイツという場所が悪さをしている。旅というのは端的にいえば移動に他ならないが、リュディガー・フォーグラーの移動は旅へと再変換できないような不可逆性を前提としており、彼が途中で出会う人たちとの関係性の変化がそれを物語る。ドイツを巣食う地霊は、人物から旅がもたらすセンチメンタリズムを奪い、純粋な移動(ただし、間違った動き)へと人物を導く。やがてリュディガー・フォーグラーは出会った人々と別れ、ツークシュピッツェ山頂へと登り、そこで奇跡を待つも、結局何も起こらなかったと述懐する。そんな彼を突き放すように登場する真っ赤な「FALSCHE BEWEGUNG」という題字。隙のない暗さの連打がまず圧倒的なのだが、その暗さを画面として表出するヴェンダースのセンスにはウットリする。痛々しい終わり方ではあるが、曇り空の無い高所で途方にくれるリュディガー・フォーグラーを捉えたラストショットは、ヴェンダースのあの天使の視点だったように思う。[映画館(字幕)] 9点(2006-11-22 20:11:47)

59.  Mの物語 この映画を見終えたなら、間違いなくこの映画が「Mの物語」などというタイトルではなく、「マリーとジュリアンの物語」だと了解できる。配給会社の方は、「リヴェットの映画=長い」の重圧に押しつぶされ、最後まで鑑賞できなかったのだろう。こんなタイトルになってしまった為(?)、レンタル屋ではエロティック洋画(「エマニュエル夫人」みたいなやつ)のコーナーに並ぶのが常であり、またそのタイトルゆえに並んでいても全く違和感がないという現状。ま、確かにエマニュエル・ベアールは裸体を惜しげもなくサラしているのだが、それよりもこの映画ではベアールがカワイイと感じる瞬間が何度もある。ジュリアンの元恋人の存在に嫉妬するところなんか特にそうなのだが、その元恋人の残した衣類を着散らかす場面や、猫と戯れる場面(ジュリアン氏も負けてないが)等、それまで自分が抱いていたベアール像(=官能の人)を大きく変えた。と、こんな記述だけだとそれこそ「Mの物語」でいいじゃん、となってしまうので軌道修正するが、この映画はヘンである。そのため、ラストの雨月物語にはグッときたが、数々の夢のシーン、邸の中心にすえられた巨大ゼンマイ時計、マダムXという唐突な存在、それらを何の疑いもなく包み込む空間等、掴みきれない部分が錯綜するので、軌道修正は難しい。結局この映画は「マリーとジュリアンの物語」であるかどうか、はっきり言ってよくわからない。が、この映画を見終えたなら・・・[DVD(字幕)] 9点(2006-11-09 21:05:22)

60.  LOFT ロフト(2005) なんだこれは。ホラーなのかと思ったら気がつくとサスペンスに、そして仕舞いにはラブストーリーなってる。しかも時間が経つごとに映画は逸脱の度合いをどんどん大きくしていくし。破綻というスケールに当てはめられないこの逸脱はオリヴェイラ級。役者も凄い。中谷美紀はメチャクチャきれいだし、西島秀俊の最低人間振りには言葉も失う程で、安達祐実なんかは2人の男を破滅に導く役を演じちゃってる。トヨエツに至ってはもはや意味不明。映画ってこんなに面白くていいの?と思わず自問自答してしまうような妖しい艶で画面一杯張り巡らされています。[映画館(字幕)] 9点(2006-09-10 00:46:54)

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