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プロフィール
コメント数 344
性別 男性
自己紹介 「昔は良かった」という懐古主義ではなく
「良い映画は時代を超越する」事を伝えたく、
 昔の映画を中心にレビューを書いてます。

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41.  博奕打ち いのち札 《ネタバレ》 任侠映画への「哀歌」。 監督山下耕作+脚本笠原和夫+主演鶴田浩二で制作された「博奕打ち」シリーズの9作目。 大傑作「博奕打ち・総長賭博('68)」から3年経った後の制作に当る。 旅先で出会った男女が1年後の再会を期して別れたものの、逮捕・投獄の為 かなわかった男が5年の刑期を終えて知った事実、それは女が自分の居る組の 組長の後妻となっていた事、そして組が敵対組織の襲撃を受け組長は殺され、 彼女は未亡人(姐さん)となってしまっていた事であった。 任侠映画というのは苦悩する主人公が堪忍(任侠道やら因習やら理不尽な敵のやり方とか) を重ねた上での爆発が主題と思うが、この作品は主人公の苦悩のメインが「結ばれなかった恋」 なのが珍しい。近年出版された笠原和夫の脚本集にも記載されてるのだから、代表作の一本だろう。 ただこの作品が受け入れられない点がまさにそこで「組長の奥さん、実は私の元カノです」という んな馬鹿な、というストーリー展開に観客が耐えられるかどうかにかかってると思う。 鶴田浩二の「いつものやせ我慢」+「叶わない慕情」時の切なさ儚さ、これを堪能してもらいたい。 今回廉価版のDVDが出たのと合わせて笠原和夫の脚本集を読了したが、実はラストの 殴り込みシーン、「血の海での殴り込み」と記載されてなかったのは意外だった。 て事はこれ、監督山下の演出オリジナルだった事になる。 「こんな世界から、この渡世から出てゆくんだ」と呟き、女を抱きかかえながら 血の海の中を切り結んだ挙句、盃杯を叩き壊す主人公。 邦画界の経営没落と合わせて、実録・エログロ路線に走りつつあった ヤクザ映画に対しての監督なりの意思表示であったんだろうな。 (この後役者・脚本家みな時世に上手くシフト出来たのに、山下監督だけは  あくまでも任侠映画にこだわって生涯を閉じた事を踏まえて哀しくなってくる) あとは黒づくめの天本英世と時代を感じる若い衆、渡瀬恒彦に注目。[映画館(邦画)] 7点(2021-08-29 10:07:44)《改行有》

42.  パンダ・コパンダ 「生まれてきてよかったんだ、と子供にエールを送るのが児童文学」 (by 宮崎駿 岩波新書「本へのとびら」より) これは個人的な感想なのだが、高畑監督はご自身が監督するアニメに関して 理念というのか伝えたいテーマを予め立てた上、そこから逸脱しない様に 気を使いながら作品を手掛けられた方なのではないか、と思う。 例.「ハイジ」=「アニメ的な大自然の風景描写+魂の救済」、「母を訪ねて~」=「国境と貧困」、 「赤毛のアン」=「女性の社会進出」、「ホルス」=「神話の創造」 (その点キャラクターと基本的なプロットを設定した後は多少の逸脱をも 気になさらずに進めていた宮崎監督とは異なる制作アプローチだった気がする) で、原作/脚本宮崎駿のこの作品に関して高畑監督が心がけたのは 「アニメーションによる児童文学の再現」。 大人には理解できない、子供の突拍子もない創造力や行動を描写している児童文学。 真面目な高畑監督はその再現をこの機会に真摯にとりくんだ、そこが私は好きなのだ。 この映画をスクリーンで見たのは2008年のリバイバル上映時。 今回レビューを書くために改めて見直したが、大人の自分にはこの面白さは もう理解できない。一抹の寂しさを感じると同時に制作50年を迎えるこの映画が ちゃんと今でも手軽に見れる事に感謝。[映画館(邦画)] 6点(2021-08-06 17:55:18)(良:2票) 《改行有》

43.  柔らかい肌 《ネタバレ》 点数を8点にしたが、私が一番好きなトリュフォー作品はこれ。 というと、たいていの映画ファンからは「あれがぁ?」というリアクションをされる。 だいたいこの映画、レビュアー様の評価もまちまちだし。 フランス本国では不評だった、らしいし。 わからなくはない。不倫を題材にした映画で、尚且つ 「柔らかい肌=若い女性の魅力に溺れる」中年男性の不徳と不実を これでもかと描写した挙句の顛末を描いてるんだから不快にはなりますな。 (そんな意味では主人公ピエールを演じたジャン・ドサイの演技は良い) 私がこの映画が好きなのは監督トリュフォーが敬愛するヒッチコック等の巨匠の 撮影テクニックに触発された上で、「日常での最もスリルある行為=背徳の恋」を 映画的な効果でストーリー化しようとした試みが自分の琴線に触れたわけだ。 冒頭の手の絡み合いから始まるショットからラスト、夫に制裁を加えるべく 移動する車の不安定な動き~銃声。あからさまな裸や性描写を駆使 しなくとも、官能を表現する事は可能だし、感情を表現するのに表情を 映すのではなく、動作やフィルムに映し出された陰影でちゃんと表す事が 出来る、という点で面白い映画だと思う。 なので撮影:ラウール・クタール(ヌーベルヴァーグを支えた名カメラマン/後監督)、 音楽:ジョルジュ・ドルリューもいい仕事してる。 あとはフランソワーズ・ドルレアックを一番美しく捉えた映画として。 「定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー(晶文社)」を読んだ上で、 この題材に問題なければおすすめ、って結構高いハードルだなぁ。[映画館(字幕)] 8点(2021-08-04 18:52:04)《改行有》

44.  ストレンジャー・ザン・パラダイス 《ネタバレ》 「予定調和を壊す空気・間」を堪能する映画。 1986年4月、今は無き有楽町スバル座での単館ロードショー。 中学3年生の自分が始めて一人でチケットを買い、劇場鑑賞したのがこの作品。 といってもちろんジャームッシュも主演ジョン・ルーリーも、(字幕の)戸田奈津子女史 だって知るわけない、単に親離れして、大人じみた背伸びをしたかっただけの事。 当時の世評としては「映画ファンには大好評、一般的には?」というのが通説。 そりゃあそう、80年代はまだ「脱力系ギャグ」という笑いは認知されてないから。 観客が想像するストーリーをことごとく外していく、ずっこけロードムービー。 ズレというか不調和を楽しむ映画として、私は彼の映画が好きだ。 気付いたら最新作「デッド・ドント・ダイ」までちゃんとスクリーンで追いかけている。 ヴィム・ヴェンダースやニコラス・レイ、そして小津安二郎を知ったのもこの映画だし、 音楽(スクリーミン・J・ホーキンスとかジョン・ルーリー、後にトム・ウェイツ)なんかも 彼から知った気がする。 彼の文化的教養に、自分影響されまくり。 そして齢50代になりつつある私、この度リバイバル上映(ヒューマントラストシネマ有楽町) にて鑑賞。「この映画が人生最初の映画館(おひとりさま)体験で本当に良かった」、 心底思ったよ。 この映画はぜひ、スクリーンで見て欲しい。 特に若い映画ファンに。[映画館(字幕)] 9点(2021-07-11 19:36:53)(良:1票) 《改行有》

45.  仇討(1964) 《ネタバレ》 前作「武士道残酷物語(’63)」監督今井正+主演中村錦之助コンビが橋本忍のオリジナル脚本を使い、改めて武士社会の理不尽さを描いた作品。だけど「橋本忍脚本+武士社会への糾弾」というテーマでは小林正樹「切腹(’62)」「上意討ち・拝領妻始末(’67)」が有名で、この作品にあまり触れられないのがちょっと残念だ。武家社会において「仇討を果たさない限り主家の名誉(武士道)は回復しない」という風潮の中、些細な事情から正当防衛で上級武士を殺してしまった下級武士の主人公は武家社会からは討たれるべき対象となり、一般社会からは抹殺されるべき憎悪を向けられる。可愛がっていた弟分が家の名誉回復の為、討ち手として仇討の場に出てくる事を知り、男は刃引きした刀を持ち果し合いの場へ出向く。そこで彼が見たものは...。理不尽な境遇に追い込まれた哀愁感漂う演技から最後、狂気を込めた大爆発と壮絶な仇討シーン、と中村錦之助の演技力がやはりこの映画の白眉。仲代達矢も三船敏郎も怒りは演じれるけど、悲しみや哀愁を感じさせる演技は出来ない。ラストの悲劇性がちょっと薄いかなぁという事でこの点数にしたけど、個人的には好きな一本という事で機会が有れば。(ってか東映ビデオ、中村錦之助作品のDVD化もう少し頑張って下さい。)[映画館(邦画)] 7点(2021-05-31 20:55:01)

46.  男と女 人生最良の日々 《ネタバレ》 ジャン・ルイ・トランティニアンも良いが、アヌーク・エーメ(この時87才)に尽きる。 14歳で映画デビュー。「火の接吻(’48)」「恋ざんげ(’51)」「モンパルナスの灯(’58)」「甘い生活(’60)」、 そして「男と女(’66)」での演技は素晴らしかった。それから53年が経った2019年の続編。 「男と女」のラストシーンでは二人が結ばれる事を示唆して終わったあの後、 結局二人は結ばれる事なく(男が女から姿を消すことで)年月が経ってしまった事が窺われる。 男は老人ホームで昔の記憶が曖昧なまま。心配した男の息子は艶福家だった 彼の心に残っている唯一の女性を探し求め、再び会って欲しい旨を伝える。 作中では前作「男と女」のシーンが度々挿入され、彼らの記憶にあの輝かしい日々がよみがえる。 ただこの作品が良いのは彼らが老いらくの恋に引きずられる訳ではなく、「同じ時間を 過ごしてきた同士」として経験を糧にし、より人生において素晴らしい日々を過ごしていきたいと 感じているというか考えさせられるその演技、特にアヌーク・エーメの「眼差し」が素晴らしい。 実生活でも彼女自身恋多き女であった分、その想いはひとしおのはず。 フランス映画の歴史と文化あってのこの作品、邦画では全く出来ないモンだ。 本当に羨ましい。まずは名作「男と女(’66)」を見てから、機会があれば。[DVD(字幕)] 8点(2021-04-27 11:51:48)(良:1票) 《改行有》

47.  柳川堀割物語 《ネタバレ》 水路で有名な福岡県柳川市。過去に水路の汚染問題、そしてそれに伴う埋め立ての都市計画に対して「水路を浄化して生活に役立てる」事を提案し、実際に再生を果たした市役所の一係長の話をロケハンで訪れた際に聞いた高畑監督はこの話を元にドキュメンタリー映画を製作する事を思いつき、1年間の予定で現地に入り撮影を開始。ところが実際は撮影が2年に及んだ挙句資金が枯渇し(「ナウシカ」の売り上げは全てこの映画に消えたとか)、製作者宮崎駿は家を抵当にかける羽目になったのは有名な話。何しろ上映時間2時間40分は長い。映画館で鑑賞した私、マラソンみたいなものでしたよ本当。但水路の歴史や人々の営み、汚染問題や住民運動、そして再生を描き出すのにはどうしてもこの内容で無かったら駄目だったんだろう。ポイントは3つ。1 水路を走る船やそこからの光景、また人々の生活の捉え方はまさにアニメ的なダイナミズムに溢れているのが面白い。アニメによる説明よりも実写の方がアニメ的というのか。 2 高畑監督はテーマを設定し、それを基幹にストーリーを展開する事にこだわりを持っていたと思うが、この作品以降はそれに加えて「アニメーションと社会との関わり(現実的なリアリティ)」といったポイントをも考慮する様になった、という意味で作歴のターニングポイントになったと私は思う。そして3 盟友宮崎駿の「ナウシカ(’84)」「ラピュタ('86)」に対する高畑監督なりの回答:自然と人間生活の共生、そしてその在り方がこの映画に含まれているのではないかと感じたのでこの点数。 「火垂るの墓」「平成狸合戦ぽんぽこ」「おもひでぽろぽろ」だけじゃない、ってかまずは世界名作劇場の高畑作品を見てからなのだろうけど、機会があれば。[映画館(邦画)] 8点(2021-04-17 19:09:51)

48.  四畳半襖の裏張り しのび肌 《ネタバレ》 長い事映画見てると初見時に比べて評価が著しく変わる作品、というのはあるもので、この映画もその内の一つ。初見は20代前半、ポルノ映画館(汗)。挿入される劇中内映画【田坂具隆「土と兵隊」/内田吐夢「土」】シーンはわずわらしいし、何よりこういう映画を見る際に期待していた性行為のシーンは唐突に黒色の枠が入り、ほとんど見えない(大量の汗)。映画終了時に前に居た酔っ払いのおっさんが、ふざけんなーと言ってたのがやけに印象に残った。で評価が変わったのが神代監督の名作「赫い髪の女('79)」を鑑賞してから。彼の映画は遺作「棒の哀しみ(’95)」に至るまで人間の孤独や寂しさを丁寧に描写していく事、そしてそんな哀しみ寂しさを抱えた男女のドラマを写し出す事がポイントであっただろう事と合わせて、彼の性行為描写は(それこそ今村昌平みたいな生命力=性欲みたいな描写とは異なる)寂しさを埋める=優しさや温もりを求めての行為なのではないのか、という観点を認識した上でこの映画を再見。するとこの作品、ロマンポルノの体を借りた彼なりの反戦映画であるのではないかと感じたのでこの点数。 特に最後芹明香がつぶやく「男と女にはあれしかないよ、バンザーイ」というのは物凄い反戦句だなと思う。国家が奨励している「産めよ増やせよ(=性行為)」政策は戦争下においては戦場に駆り出される兵士人員を生み出す為の生産行為でしかなく、男が戦場に行った後には(主人公正太郎の様な)子供か、女性しか残らないという皮肉こめまくりだから。ロマンポルノなのでそりゃぁHなシーンは多いけど、これは女性にもおすすめ出来る一本として機会があれば。あと裸を見せる事が目的の作品で演技というのは二の次かもしれないけど、やっぱり宮下順子はレベチだなぁと思うこの頃。[映画館(邦画)] 7点(2021-03-17 10:21:33)

49.  スペンサーの山 《ネタバレ》 この度TSUTAYAでのレンタル解禁を機に約30年ぶりの鑑賞。雄大なワイオミングの自然を背景に繰り広げられる、大家族の物語なのだが、後に同じようなストーリーラインを踏襲した作品が山の様に出てきている昨今では目新しさも何もないけど、最後まで(悪意/偽善といった負の要素を取り上げる事なく)希望溢れた作品展開にした事が私にとって好印象で+1点。でもって他のレビュアー様も述べておられるが、(実際インテリな役どころを得意としたとは逆に)ブルーカラーなお父さんを演じたヘンリー・フォンダもいいけれど、やはりこの映画を支えているのはモーリン・オハラの存在感。素晴らしい。 昔の廃盤ビデオや未DVD化映画がここに来て鑑賞可能になっていることが多くなっている流れでようやく見る事ができたこの映画、心が洗われますよ、という事で機会があればぜひ。[ビデオ(字幕)] 8点(2021-03-11 13:50:09)

50.  月夜の願い/新難兄難弟 《ネタバレ》 長いが昔の自分語りをさせていただく。仕事で中国深圳に滞在していた約4年間、楽しみは香港まで出てきて日系デパートの書籍店で本を買い、茶餐廳(香港式喫茶店)でミルクティーを飲み映画館で映画を見て帰る月に一度の休日であった。携帯がようやく普及、ネットはもちろん無く「冷房の効いた(涼しすぎる)映画館で暑気を乗り切る」文化がギリギリで残っていた時代。ジャッキーかMr.Booか霊幻道士くらいしか知らなかった自分が香港映画好きになったのはこの経験が大きい。現地で見る香港映画は(地元民対象というのもあったろうけど)10本中9本はこのサイトでいうなら4点とか3点くらいのものばっか。作品というより映画館の雰囲気を楽しんでた感もある。そんな自分の香港映画ライフにインパクトを与えてくれたのがピーター・チャン(あとドニー・イェン)。90年代の彼の描いた作品群「都市情縁」「君さえいれば/金枝玉葉」「ラブソング」はドンパチ/カンフーとはまた違った切なさはかなさ、暖かさという点で香港映画の新たな魅力を世界中に発信させてたと思う。でようやくレビュー。この作品、ベタベタすぎるほどのベタな人情もの/ロマンチック・コメディなんだけど監督の手腕=ドタバタ/人情劇の緩急使った演出力があるからこそ、この荒唐無稽なタイムスリップ・ファンタジーが成り立っているのだと思う。「ラブソング」が好きな方、これもおすすめ。- そして最後に照れくさいけど、かっこつけた述懐で終わらせて欲しい。トニー・レオンが彷徨いついた若き日の父親が居たあの世界は、まさしく自分Nbu2にとっての20年以上前の香港映画の映画館と同類=ノスタルジアであった、という事を。つらい事もたくさんあったけど笑って過ごしていた日々、映画館で映画を見た体験・あの時代は戻ってこないが、素敵な記憶は残る。ちょっと高めの点数なのはそういう事ですので、ご容赦ください。[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2021-01-18 17:52:21)(良:1票)

51.  春の珍事 《ネタバレ》 野球シーズンの開幕に合わせて起こる「意外な伏兵」「ファーストラック」をスポーツニュース界隈では「春の珍事」と称する事が多いが、この映画は珍事どころか、奇妙奇天烈な話だと思う。能力が友情努力勝利ではないチート(ズル)である事も、キャッチボールの基本すらできてない投球フォームを見せるレイ・ミランド(これは多分わざと下手に見せている演技とは思うけど)も、「(盗塁を)刺す/殺す」という言葉をギャングの隠語と勘違いされるギャグも、ベタすぎる話の展開も。2020年代の映画人からすれば馬鹿馬鹿しい、それは否定しない。ただ私は何もない時代に創意工夫で面白い映画を撮ろうとしていた手作り感溢れるこういった「ホラ噺」が大好きだ。そしてそれ以上にアメリカ映画界の野球、じゃないベースボールに対するリスペクトがこういった佳品にもちゃんとある事が嬉しいし、なによりこういった題材をつかわれても全く動じる事のないベースボールの「おおらかさ=器の大きさ」に感心してしまう。「私を野球に連れてって('49)」→「くたばれ!ヤンキース('58)」→「がんばれ、ベアーズ!('76)」→80年代の「ナチュラル」「フィールド・オブ・ドリームス」「メジャーリーグ」と続くアメリカン・ベースボール・ファンタジーの系譜の原点として、機会があれば。[DVD(字幕)] 7点(2020-11-01 08:19:51)(良:1票)

52.  十兵衛暗殺剣 《ネタバレ》 1964年10月の公開(世の中は東京オリンピックで映画どころではない)+カラー映画の隆盛期にも関わらず白黒+でもって地味な主演陣という、どう考えても映画館の上映スケジュールを穴埋めする為だけに作られたであろうこの作品が、現在でも東映チャンバラの名決闘シーンとして記憶に残る一本になっているのだからわからないものではある。但これは「影の軍団」シリーズや東宝版「子連れ狼」に連なる、アクション時代劇のまさに先駆け的な立ち位置にある映画なんだろう。アクションといっても大友柳太朗と近衛十四郎が水中でくんずほぐれつしてるくらいなんだけどさ(笑)。時代劇の様式美とか概念を取っ払ったような、ノビノビ感がたまらなく好きなんだよね...。面白さだけなら+1点でもいいくらい。あと弘樹&祐樹パパとしての印象でしかなかった近衛十四郎の魅力が溢れまくってるのも好印象。何せ大友柳太朗の格上感溢れすぎてて、小物な柳生十兵衛(刀を失った時の狼狽ぶり、最高)というのはめちゃ新鮮。機会があればぜひ。[映画館(邦画)] 7点(2020-10-18 19:46:24)

53.  ラスト・シューティスト 《ネタバレ》 私は(役柄上の擬態かもしれないが)俳優ジョン・ウェインの「過度な正義感」ぶったキャラクターが好きではない。にも関わらす、この映画は映画史史上最高の「役者人生の幕の降ろし方」を実践できた稀有な例なのだと思う。癌によって余命いくばくも無い名ガンマンが訪れるその町は多分、本名マリオン・ロバート・モリソンにとっての余生を過ごす為の理想の生活を具現化したもの。友が居て、愛した女性が居て、未来を託す若者が居る。だが人間モリソンなどはどうでもよいとばかりにガンマン、ブックス(の名声)に忍び寄る暗い影。この映画における敵役は彼の人生における障害弊害のメタファー、隠喩なんだろうな。(すげぇネタばれ):彼がやられる様が1.病で体力がもたない+2.若者を人質に取られる、で3.背後から打たれるという「どんだけジョン・ウェインに配慮してんのよ」的あざとさなんだけど、それを許してしまうだけの制作陣/役者の協力の度合いが私にとって好印象なので、この点数。特にローレン・バコールの美しさに+1点。 ...最近TSUTAYAの「発掘良品コーナー」にラインナップされたので機会があれば。[地上波(吹替)] 7点(2020-05-17 19:52:39)

54.  龍が如く 劇場版 《ネタバレ》 ファミコン黎明期からのゲーマーである私(ほぼ引退)だが、「Football Manager」「龍が如く」といったSEGA作品は惰性で続けている。今回このレビューを書いたのは最新作「龍が如く7」の発売もあったので一応確認の為。なんというのか「ゲームやってる人にはわかるよね」みたいな作り方、やめていただきたい。特に龍が如くシリーズはゲーム中に挿入されるムービーシーンが配役演技、みんな完璧なのでどうしても実写にするとガッカリ感半端ない。この映画では各演者が一生懸命演技してる分(特に「嶋野の狂犬」真島吾朗兄さん=岸谷さんは素晴らしい)、脚本雰囲気がグダグダだと面白さも半減どころか駄目だこりゃ、なのであった。...たぶんもう二度と実写化という暴挙にはならないだろうがやるなんなら徹底的に、それこそ名作「龍が如く0〜誓いの場所」から桐生一馬一代記としてやってもらいたい。AmazonプライムとかNetflixで。因みに極私的「龍が如く」シナリオベスト5は「0>1>7(新作はシナリオだけなら『買い』です。RPG戦闘はかったるいけど)>4>2」です。おっさんの呟きでした。[DVD(邦画)] 2点(2020-01-19 11:02:11)

55.  盗まれた欲情 《ネタバレ》 最初から今村昌平は『イマヘイ』だったんだな、という事が良く分かる1958年のデビュー作。20~30代の私は彼の初期~中期、それこそ「人間蒸発(’67年)」「神々の深き欲望('68年)」くらいまでの作品が大好きで『社会理念や常識を吹っ飛ばす人間の生命力』を徹底して描き上げるスタイルに惹かれていた。だいたい助監督が浦山桐郎で周りが西村晃/小沢昭一/仲谷昇/菅井きん/高原駿雄って時点でもう今村節全開。ヒロインが春川ますみとか沖山秀子だったらもっとエロエロなんだろうなぁという煩悩まで起こってしまった。後期の今村ならバッドエンドもしくは人生のほろ苦さを感じさせて終わらせるのだろうけど、Show Must Go Onで明るさを感じさせる終幕にしたのも(原作未読なので原作がそうなのかもしれないが)新人監督らしいみずみずしさに溢れているのでこの点数。先に「豚と軍艦(’61)」「にっぽん昆虫記(’63)」を見て、気に入ればかな。機会があれば。[映画館(邦画)] 6点(2020-01-04 10:32:33)

56.  死霊の盆踊り 《ネタバレ》 おっす!おらNbu2!おらもレビュアー仲間にいれてくれよな!(野沢雅子さんの声で) という訳で今年最後の映画鑑賞、アラフィフおじさんがこの度32年ぶりのスクリーンリバイバル・HDリマスターを劇場で見ましたよ。もう何と言うのか...劇場で映画を鑑賞して「2001年宇宙の旅」「アラビアのロレンス」「燃えよドラゴン」を見たのと同等の衝撃=何にも感慨が起こらないという衝撃、虚無の感情が脳内を駆け巡った90分。 自分はこれまでワースト映画は見てきたつもり、だった。「デビルマン」=怒り:漫画史上空前絶後の傑作台無し、「北斗の拳」=哀しみ:バツが悪そうに演技する鷲尾いさ子や真剣に吹替えしてる神谷明、「シベ超」:驚き=情熱に対する映画の面白さがここまで反比例している実例、そして「北京原人」:おぱーい。...悪いなら悪いなりに感情感想を抱くし、込められるだろう。がこの作品、怒り哀しみ驚きおぱーいといった歴代のワースト作品に対して感じた要素がてんこ盛りにも関わらず、なんにも感じない。あるのはただ「他になにか有益な時間の使い方があったのでは」「何故俺は、劇場まで来てこの映画を見ているのだろうか」という禅問答。ラスト救助隊が助けに来た時、マジで「助かった~!」って思ったよ。巻き戻し早送り、ストップ出来ねーんだから。 で思ったんだ、これは映画ファンにとっての予防接種のようなもの、新井選手にとっての護摩行そのものだって。この先どんなにつらい映画ライフを送ろうとも「俺は『盆踊り』を劇場でお金を払って90分時間をかけて、鑑賞したんだ」って。心の苦しみ、全てオーケー。映画製作者や関係者にも希望の一本かもしれない。「下には下がある」と(それはそれで困ったことだが)。フェリーニ「道」でリチャード・ベースハートがジュリエッタ・マシーナにも言うてたやないか、「どんなものにも意味がある、この石ころにだって」。だから映画の内容はともかく1点を献上する。んじゃ、またな! でもこの映画が人生最後に見た映画だとしたら...絶望だな。[映画館(字幕)] 1点(2019-12-30 18:43:39)(笑:2票) 《改行有》

57.  雲ながるる果てに(1953) 《ネタバレ》 GHQの占領統治が終結、これが1953年=その前後から各メディアへの情報統制/規制も解除されつつあり、それは映画界にも影響を及ぼした。メジャー会社より独立した「独立プロダクション」の隆盛もこの頃から。山本薩夫/新藤兼人/今井正などが有名だが、家城巳代治もその一人。...すみません、説明が長かったですね。で現在でもよく上映される「太平洋戦争における特攻作戦」の先駆けになったのがこの作品。私も久方ぶりに映画館で見て印象をもったのは、軍上層部の特攻兵に対する見方=徹底して「兵器」としての感覚で表現している、その点にありました。平成~令和の戦争映画はその点、まだ人間としてあつかわれてる気がします。とうちゃんかあちゃんと号泣した特攻兵が国のためにと飛び立っていったその後で、更なる「兵器」の投入を示唆する軍上層部の非情さ。 あとは鶴田浩二。19歳で徴兵され海軍航空隊に所属していた彼は整備兵として、間近で特攻隊を見続けた体験をしております。私財を投じ戦没者の遺骨を収集し続け、戦争に対する講演活動をその俳優人生において積極的に行っていた彼にとってこの作品はたぶん忘れられない一本であったでしょう。そういった点を考慮してこの点数。[映画館(邦画)] 7点(2019-08-11 07:51:41)

58.  ひろしま(1953) 《ネタバレ》 世の中には「総合芸術たる映画」とは違った、作家監督が「自分達の主張を何とかして伝えたい・伝わって欲しい」という側面で作られた作品がある。 同年の「原爆の子(新藤兼人)」は鑑賞済であったが、恥ずかしながらこの作品は最近まで知らなかった。戦後8年経った広島。「原爆について学んでなかった・忘れようとしていた」風潮の中で人々はあの日の悪夢を思い浮かべる。この作品のポイントはやっぱり原爆の惨劇をとことん映し出した前半の群衆シーン、そこに尽きるのだと思う。正直このシーンだけで疲労感は極限に達した。...映画において「イデオロギーを声高に主張する」という方法は作家の押し付けがましさが過度に出がちな感があり、個人的な感想としては「原爆の子」「ゴジラ(’54)」には及ばない。そしてこの点(「ドイツではなく日本に原爆が落とされたのは、日本人が有色人種だからだ」台詞=松竹は「反米的」と判断)が全国上映の扉を閉じ、幻の映画となってしまったのだろう...   以上が初見時の感想(2017年)。 がこの度リマスター化したフィルムを劇場で見る機会があり、私は映画としての良し悪しとは別にこの作品に携わった関係者キャストの想い、特に「絶対に戦争を起こさない+この悲劇を風化させない」という気持ちをなんとか皆様に伝えたく、点を+2にすることにした。被爆者が語る「一番自分が経験した事を身近に感じさせるフィルム」「(実際にエキストラとして映画に参加した被爆者の証言)現実から比べたらとてもじゃないが、あんなものではない、と私たちから言えば思いますけどその体験をした人がどんどん少なくなっている現在だからこそ、何かの形で伝えていく事は絶対に必要な事なのではないかと」(ETV特集×NHK1.5chより)[DVD(邦画)] 8点(2019-08-07 13:06:02)(良:2票)

59.  あした晴れるか 《ネタバレ》 「芦川いづみの魅力は『憂い顔』(風船/洲崎パラダイス・赤信号/陽の当たる坂道)だ」と小生は言う。友は「笑顔が素晴らしい(乳母車)」「大人の魅力(嵐を呼ぶ男【渡哲也版】/若草物語)」「幸薄い美少女も素敵(佳人)」そしてここに「ツンデレ」コメディエンヌも継ぎ足そう。話に齟齬があるというのは野暮ってもの、これはアイドル映画なのだからキャラクターに魅力があればそれで十分なのだ。久しぶりにスクリーンで鑑賞したが今回改めて強く感じたのは、この様な小品に渡辺美佐子/中原早苗/高野由美といった他社作品なら主演級の若手俳優を惜しげもなく助演として投入し、三島雅夫/東野英治郎/殿山泰司という多くのベテランで脇を固めている→「日活」という会社の当時の勢い=映画が流行の最先端であり発信地であった事実そのものでありました。もちろん監督中平康の映像テクニックが、この映画の魅力に貢献しているのは間違いない。生きてるうちに中平+芦川いづみの「結婚相談(’65)」見てみたいなぁ...。[映画館(邦画)] 7点(2019-04-12 07:29:56)

60.  風と女と旅鴉 《ネタバレ》 三國連太郎の起用/ドーランを使わず全役者はスッピン/同時録音の実施と、監督加藤の作歴上始めて?の股旅映画は50年代東映チャンバラに、「リアリズム」を組み入れるという試み溢れる意欲作。ただ率直に言えば主役二人以外の人物造形/脚色は東映チャンバラ映画のファンタジー世界そのままなので、(千両箱を置いて逃げ出す殿山泰司とか長谷川+丘+錦之助の三角関係、もしくはコメディ悪役の造形?と思われる進藤英太郎)その半端感がマイナスポイント。 それでも最後まで見る事ができたのは監督加藤のワイドスクリーンを存分に活用したローアングル+クロースアップの使い方、そして画面上の人物配置に工夫を凝らしたショットの素晴らしさと役者錦之助の演技=明暗含めた感情の出し方が抜群に上手い、という点にあるのだろう。...でこの作品がなぜ未だDVD化されてないのですかね?がんばれ東映ビデオ![映画館(邦画)] 7点(2019-04-08 22:04:57)

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