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41.  あんにょんキムチ ナショナリズムの問題は根深く、迂闊なことを言えないイメージがあって、なんとなく敬遠してしまう。本作もテーマがテーマだけにそこまで観たい内容ではなかったのだが、松江監督の卒業制作、いわばスタートを飾る作品であるという点がどうにも気になり、四の五の言わずにと言い聞かせ、とりあえず鑑賞。感想としては、なかなか面白かった。まずこれが卒業制作だということが凄い。編集の技術や情報収集の行動力その他諸々、プロ顔負けの、舌を巻く出来だと思ったのは大袈裟だろうか。だが、少なくとも、お金を取れるクオリティであることは確かだ。内容が内容だけに説教っぽさに満ち満ちた仕上がりになりそうなものだが、このドキュメンタリーは松江監督本人のアイデンティティに対する漠然とした悩みが出発点とあって、全体論ではなく、「うちの家族は~」に終始しており、教科書的というよりは私小説的であるため重くない。同じ状況下にありながら、悩める兄と、飄々とした妹の対比は特に面白かった。自分はドキュメンタリー映画にはあまり期待していなかったが、松江監督の作品を観てからその底力を知った。「うちの家族はどこにでもキムチを持っていく」というまるで小学生の作文のような文言の背景に、ここまで壮大な家族の歴史物語があるなんて。切り口次第で、現実はたくさんのドラマを生み出すんだな、ホント。[映画館(邦画)] 7点(2010-09-23 02:17:39)

42.  恋するポルノ・グラフィティ 《ネタバレ》 ケヴィン・スミスという人は、根底にあるものが全く変わらない。ちょっと変わったラブコメ、オタク、エロ、多弁、下品。本作を象徴するキーワードは十年以上も前に制作した「チェイシング・エイミー」と同じある。監督としての世間的な彼の地位が、この十年~十五年くらいでどのように推移しているのか私は把握していないが、こんなに(勿論いい意味で!)成長しない人は、業界にあまりいないのではないか。盟友?ジェイソンも相変わらずの馬鹿キャラで堂々の登場。ファンとしては嬉しい限りだ。私の感覚では、ずっと居心地のいい関係(幼馴染以上恋人未満、とでもいおうか)だった男女が、事務的なセックスをきっかけに意識しあうようになるというストーリーは理解・共感できないのだが、全体的にグダグダでリアリティがないために完全に自分と切り離して楽しめた。[DVD(字幕)] 7点(2010-09-23 01:34:03)

43.  間宮兄弟 このとりとめのなさ、森田ワールド。2時間の尺で結局なんにも変わらない二人ですが、人間そう簡単に変わってはいかんのです。恋したり口説いたり、人並みの欲望はあるけどやっぱり二人でいるのが好きな二人。山下作品、それから「ジャージの二人」もだけど、自分はいい年をした、ちょっとダメな男が二人でいること(ホモという意味ではなく)のオフビートな空気が好きなんだとわかった。これは女二人だと多分「寂しいウチラ」の構図で、痛々しいとか自虐的な方向になるけど。とかく独特の味わいが楽しめる映画。[DVD(邦画)] 7点(2010-08-19 12:44:16)

44.  アメリカン・クライム エレン・ペイジの悲痛なる表情がいつまでも胸に焼き付いている。本作も「ボーイズ・ドント・クライ」「乙女の祈り」などのいつまでも記憶に残る不快映画の類だが、一番怖いのはこれらが実話という点だ。惨い。下手なホラーよりよっぽど怖い。こういったことが惨いとか怖いと思えるうちは自分も健康なんだと思うが、人間は慣れていく、麻痺していく生き物だから、自分だけは絶対にこんなことをしないと思っていても、壊れる瞬間があるのじゃないかという疑いがある。それも結構怖い。人間(自分も含め)不信になりそうだ。観たくなかったが、大切なことを知る、考えるため、或いは現時点での自分の感覚を試すという意味でも、観るべき映画だと思う。余談だが、エレン・ペイジは誰かに似ていると思っていたが、大路恵美に似ていることに気づいた。別作品では大竹しのぶに似ていると思ったし、要するに日本人的な顔なのだろう。目に馴染みやすい女優さんである。[DVD(吹替)] 7点(2010-07-03 23:35:38)

45.  アウトレイジ(2010) 《ネタバレ》 文字通り、恐ろしいものを観たという感じ。やっぱりバイオレンスは苦手だ、劇中5割は薄目状態だった(無論ストーリーがわかる程度には開けているが)。とかく非道で下劣。魂やら仁義やら、竹内力のVシネマみたいな、私が勝手に信じていたジャパニーズヤクザの美学みたいなものはこっぱ微塵である。ちなみに「全員悪人」というテーマだが、それでも共倒れせず、最終的には勝者と敗者が提示される。武道派より知能派が強いというのは結構分かりやすい構図で、生き残るメンバーに意外性はそんなになかった。そしても一つ残念なのは、そうそうたる俳優陣なのに、それぞれのキャラクターが役者さんのイメージを大きく外れていないこと。例えば、今や草食系なんていうありがたくない肩書きが定着しつつある加瀬亮のインテリヤクザもファンからすれば今更感あるし。腕のある役者さんを揃えてるぶん、配役はもうちょっと遊んで欲しかったかなと欲張ったコメントをしてみる。ところで、映画のジャンルとしてアクションやバイオレンスは殆ど観ない私だが、以前たまたま観た「レザボア・ドッグス」は屈指の名作だと思っている。本作も北野監督こだわりの暴力描写にはオリジナリティがあり(歯医者でグチャグチャの発想は純粋に驚いた)、逐一派手だが、「レザボア~」のグロいけどスタイリッシュというギリギリラインを狙った攻撃性のほうが個人的には好きだな。とにかく大画面でのイタイイタイ感じが私にはちょっと刺激が強すぎた。そんなバイオレンス・ビギナー(要するにただの怖がり)な私なりにこの映画の美点を挙げるとするなら、陰惨な暴力映画なのに、何か可笑しく、何かダサいことだ。悲劇と喜劇という一見相反する要素が同時に成り立つというのは何時でも人生の真理というわけではなく、チャップリン然り、やはり見せる側の才能なんだと思う。初日舞台挨拶のとき、北野監督は某納棺師を題材にした映画をネタにジョークを飛ばしていたが、人がごろごろ死ぬことさえ、即席で笑いにできるこの人は本当に凄い。やっぱり映画監督・北野武はお笑い界の奇才・ビートたけしでもあるわけで。彼が「世界のキタノ」と呼ばれ、愛される理由はこういうセンスにあるんだろうなとしみじみ思った。無論、穏やかな死の映画「おくりびと」のほうが私の肌には合いますが、ね。[映画館(邦画)] 7点(2010-06-13 23:51:54)

46.  女の子ものがたり 《ネタバレ》 少女版スタンドバイミーということで観てみた。なるほど、物を書く仕事に就いた人が昔の友情を振り返る→友人は死んでいる→ああいう友達はできないだろうという流れは全く同じ。友情が「不幸」という似た境遇の絆で結ばれているのも同じか?だったらスタンドバイミーでいいじゃない、と言いたいとこだけど、私はこっちのほうが好きだ。自分に女の子時代があったからというのもあるが、作中の女の子たちの、自分たちのわかりやすい不幸やわかりきった生き方を笑い飛ばす強さが何とも潔い、哀しいけれど。西原センセの作品というのにあまり馴染みはないのだが、底辺の暮らしを知っているというのは物書きにとって強味だと思った。脱却しようにも光を見出せず、主人公以外の二人のように生きてしまうしかない、圧倒的多数の女の子たちに色んな道を示すという意味で、彼女にはこれからも描き続けて欲しいものだ。ところで、某ドラマ以来、大後寿々花ちゃんは私の気になる女優さんであるが、彼女の凛とした雰囲気が成長過程で全く損なわれることなく、むしろより一層研ぎ澄まされていくことにいたく感動した。[DVD(邦画)] 7点(2010-06-13 23:13:07)

47.  世界中がアイ・ラヴ・ユー 実に軽快。突然人が歌い踊りだすという、ミュージカルという設定そのものの荒唐無稽さと、上流家庭の人々の暢気な生活ぶりを描いた、どことなく浮世離れしたストーリーが実にマッチしている。全体的に軽いが、随所に政治・社会的アイロニーやブラックユーモアが織り交ぜられる、良くも悪くもちょっと鼻につく感じはいかにもウディ・アレンらしい。この作品のキャラクターたちの、人生にあまり危機感のないお金持ちならではの緩い価値観は、私のような庶民からすれば羨ましい半分、少し滑稽であり可笑しかった。愛の形は様々だが、単純に「アイ・ラブ・ユー」と言える相手がいることの幸福を噛み締めたい、そんな後味の良さが魅力的な一作。[DVD(字幕)] 7点(2010-03-28 13:18:51)(良:1票)

48.  ロルナの祈り 《ネタバレ》 ダルデンヌ兄弟の映画は何となく観るのだが、お恥ずかしい話、ストーリーやらキャラクターについては全体的にうろ覚えである。共通して社会のどちらかというと下層部に生きる人の話で、ネガティブな面が描かれているのだが、あまり押し付けがましさがなく淡々としているといった感じで、それぞれの作品の印象が似通っているからかもしれない。この作品についても、兄弟らしく、描かれる内容はダークながらも全体的に上品。インパクトといえば全て中盤のロルナの心境の変化に集約されるだろう。かなり疎ましく感じていた(と思われる)相手に対し、あそこでどうしてああなるのか、一瞬理解できなかったが、安っぽい表現をすれば好きと嫌いは紙一重、愛するのも憎むのもエネルギーがいることで、そのエネルギーのベクトルが変わるだけの話だと思えば、そういうものかなという気もする。ジャンルとしてはラブストーリーなんだろうが、だとすればひねくれているし、事実だけみると、かなりの悲恋話である。だがラストは絶望じゃなく、どちらかというと希望が見出せそうですらあるのは不思議だ。私はこういったところに兄弟の作り手としての温かみを感じる。とはいえやはり、私のなかでは他の作品同様、残念ながら埋没してしまいそうである。このでしゃばらない感じがむしろ、ダルデンヌ兄弟作品の味なのかもしれないが。[DVD(字幕)] 7点(2010-03-18 01:21:33)

49.  ラースと、その彼女 要するにダッチワイフの話という点で本作は「空気人形」と似ている。しかし、心を持った空気人形が、「心なんか持ったら面倒だ」と言われるのに対し、本作は心がないはずのビアンカが、さも心を持っているかのように周囲から生かされているという話で、全く正反対である。不思議なことに、人形が動き出すという設定上、ファンタジー要素は前者のほうが強いはずなのに、本作のほうがよりファンタジックである。多分、現実ならば、この映画の登場人物たちのようにラースを温かく見守る人は皆無で、どちらかといえば、大多数の人間がラースを気味悪がるはずだと思うから。そういう意味では、「空気人形」の登場人物たちのドライさが私にとっては現実的で、ラースの周囲の温かい人たちは何だか出来すぎた感じがした。だが、虚構ゆえに、と切り捨てたくない気持ちがあるのも確かだ。「ビアンカの存在は我々の勇気を試した」という神父の台詞があったが、そのまま私自身にも投げかけられたような気がしている。[DVD(字幕)] 7点(2010-03-08 20:19:05)

50.  おとうと(2009) アンパンが喋るとか未来からネコ型ロボットがやってくるとかいった国民的アニメの設定に「そんなバカな」とつっこむ人は誰もいない。単にフィクションというのとは違う意味合いで、この世に起こりえない「非現実」の話だからだ。この映画も同様に、山田洋次の世界という、現代日本に似た異世界の、全くの非現実の話だと思うことにしてみると違和感なく観れる。時代錯誤という単純な話では済まされないほど独特すぎるキャラクターたちの言い回しや行動は、現代の日本では絶対にお目にかかれないだろうが、それでも深い味わいがある。いかにも人情物らしく、脇役たちが生き生きしているのも良い。特にレオ&笹野ペア。二人のいかにも下町の人間らしい陽気さ・お節介さが微笑ましい。ただやはり、蒼井優や加瀬亮など良い意味で「普通さ」が売りの若手の役者陣は、観ていてこそばゆいくらい演じにくそうではあった。でもまあ、それもご愛嬌だ(逆に吉永さんはマッチしている。ご本人が浮世離れしているからだろう)。最後に鶴瓶について。「ディア・ドクター」も良かったが、今回も素晴らしい。彼はおそらく監督に愛されるのだろう。(多分)本人の人柄がそのまま生きた役を貰って、ありのままで楽しく演じている。だから観ている者も楽しくなる。ストーリーはありきたりだし、オチも何となく分かっていたが、それでも最後はホロリとくる。山田洋次の愛する、寅さん的なステレオタイプな人情の世界は、やはり日本映画には必要だと痛感した。自分で言っててなんだが、これが現代日本の話として観られないことがちょっと哀しい気もする。[映画館(邦画)] 7点(2010-02-28 23:48:04)(良:1票)

51.  さよならみどりちゃん 《ネタバレ》 この映画の(映画に限らず小説でも漫画でもサブカル臭の漂う作品には結構ありがちなんだけど)、ルックスその他諸々、それなりに恵まれた人間の恵まれているなりの悩みやらセンチメンタルやらそういったものを描き出し、「わたしせつないの」(あえてひらがな)って言いたいだけのストーリーには正直虫唾が走る。愛されないなんてぶーぶー言う以前に、そもそも、文字通り水も滴るいい男・西島秀俊の、知性とだらしなさが漂う美しい顔に、あるいは程よく中年くささもある色っぽい身体に、一生のうちで一瞬たりとも触れることができない女が世の中の圧倒的多数だと思うぞ(そしてその圧倒的多数のうちの一人、男日照りが続くこの私には、主人公の感傷が最早不幸自慢に思える。哀)。一体どの層が共感するのか。っていうかこの映画に共感できる人とは仲良くなれそうもないな、自分は。いかにも遊び人なユタカに近づいて、案の定深みにはまって自暴自棄になり、自分を慕う男の子と軽く寝てみるとかいうヒロイズムも何か気持ち悪いし。でも、いるんだろうな、こういう人たちって。一握りのドラマッチックな人間は、こうやって何もかもがスタイリッシュな恋をするんだろうな。その挙句失恋したって何となく慰められて前向きに生きられるきっかけもたくさんあるんだろうな。そしてまたそれなりにいい相手と出会うんだろうな。それで恋愛中はウン○もしなけりゃ、オ○ラもしないんだろうな。…とまあ、一回どおり僻んでみて、結論としては好きな作品では絶対無い。だが、映画としてはなかなかのもんです。原作未読だが、この手のサブカル漫画の空気感みたいなものは描けているはずだし、ミニシアター系邦画特有の映像の透明感みたいなものも描けていると思う。あと特に評価できるのは、主人公に、昔から美人でちやほやされ続けているようなオーラの女優ではなく、「中学のときイケてない」女子だった感のある、どことなく垢抜けない星野真里を起用したことかな。[DVD(邦画)] 7点(2009-12-10 22:09:27)

52.  コドモのコドモ 《ネタバレ》 幼い少女が出産するというストーリーの映像作品がここ数年で何作か世に出て、物議を醸した。でもよくよく考えたら、作品中でもばあちゃんが言ってたが、産むことができる身体だから赤ちゃんができるってことなんだし、自然の摂理に反しているわけではない。子どもが出産するというテーマの問題点は、私が思いつく限り2つある。1つは赤ちゃんを育てるということは経済力や躾の面で子どもには難しいということと、そしてもう1つは―こちらの方が大きいと思うが―妊娠や出産以前の過程で、そもそも子どもがセックスするというのがタブーであるということだろう。前に他のレビュアーさんが書いてらっしゃる、セックスの意味も分かっていない子どもがセックスするということが暴力であるという意見はもっともだ。ただ、この手の作品の意味は、無論、幼い子どものセックス礼賛ではない。汲み取るべきは、「よかったね~」と笑い合っている周囲の理解ある仲間や家族という奇麗事ではなく、批判的な第三者というリアルの部分であると私は思う。また本作の、幸せそうな「今」だけ切り取り、あまり未来を感じさせないラストシーンはどこか名作映画「卒業」に似たものを感じる。これからもずっと幸せなんて約束はない。世の理みたいなものに背いて選んだ道は、間違いなく厳しい。それでも生まれてしまったものは仕方ない。たとえ産みたいという感情は一時的なものでも、結果は永遠についてまわる。ともかく子どもだろうが大人だろうが、命を作り出すという行為はいろんな意味でとーっても重い。そういうことを、不安も感動もひっくるめて、感じられればいいのではないか(そしてそれが似たテーマの「JUNO」よりは断然感じられる本作)。ただまあ個人的には、ハルナの大きなお腹にばあちゃん以外の大人がいつまでも気づかないというのが、子どもにしか見えない赤ちゃんの存在…的なファンタジー設定ゆえにかと思っていたから、本当に産んじゃうのには驚いた。「自分の子どものことは何でも分かる」と豪語する母親がずっと気づかないという設定はやっぱりどうしても無理がある。そこに何らかの意味を持たせたかったのは承知の上でも。[DVD(邦画)] 7点(2009-12-07 21:35:46)(良:1票)

53.  ジャーマン+雨 野嵜好美といえば山下敦弘監督の秘蔵っ子という印象だ。それだけに(?)、よしこのような、憎たらしいがある意味魅力的な破天荒キャラがぴったりくる稀有な女優さんである。その彼女を主演に据えた横浜監督のセンスとガッツ、それだけでも私のなかでは結構高評価な本作だが、私が特に素晴らしいと思ったのは作中キャラクターである。登場人物に誰一人真っ当な人間がいないながらも、舞台が辺鄙な田舎町だから特に、こういう奴いそうだよね的な共感を呼ぶ。同じ変人系映画でも、ケラや三木聡作品のように「こんなやつおらへんやろ~」と思わずつっこんでしまうようなぶっ飛びタイプではなく、横浜監督が好むのは山下タッチのリアリズムである。愛を持って「ヒト」をよく見ている、そんなイメージ。それから、ストーリーについて。一見ポップだが、本質としては前のレビュアーさんがおっしゃるとおり、結構暗い。「ウルトラミラクル~」もそうだったので横浜監督の好みなのかもしれないが、積極的な前向きさはなく、どちらかというと諦念を抱き、どう開き直るかが主眼であるように思える。それで下手なメッセージ映画よりも、何だか逆に励まされるのは私だけではないと思う。映画の規模を考えたら限界があるとはいえ、人々にもっと観られていい映画。ただ、もう少し分かりやすくてもよかったんじゃないかと思う場面は多々あった。ドイツ人とよしこは性関係を持ったのかな?私は勝手にそう解釈しちゃったけど…。[DVD(字幕)] 7点(2009-12-05 14:53:50)

54.  スカイ・クロラ The Sky Crawlers 《ネタバレ》 私が今ここに存在しているということ自体の苦しみ。「永遠」への恐怖。私は随分昔に気づいてしまった。私たち人間はみな、逃れることのできない仕組の中に生きていることを。私たちもまたキルドレである。終わりなく戦い続け、苦悶し続ける存在だ。ようやく忘れかけていたことをまた思い出させられた。観たくなかった。[DVD(邦画)] 7点(2009-10-20 18:16:29)(笑:1票)

55.  ブラインドネス 《ネタバレ》 設定そのものには色々と筋の通らないところがあるのだが、突然わけのわからない極限状況におかれたとき人がどうなってしまうのかという心理的な面は上手く描けていると思う。右も左も分からない不安定な世界だからこそ、日頃は社会性という名の被服に隠された肉欲、性欲、支配欲が丸裸になり、(各々の共通認識では)全員が盲人という等しく不自由な状態にあっても、何らかの条件で自然にカーストができあがる。おぞましいシーンの連続で非常に不愉快だが、このようなテーマであるからにはそのあたりの描写は避けて通れまい。そんなもんは観てるこっちも覚悟の上だ。ただ、どれほど苛酷な思いを味わっても、恵みの雨に打たれたとき、視力が回復したとき、傍にいる仲間との友情を確かめ合ったとき、人は笑っていられる。乗り越えていけるのだ。この、人間の精神の強さや美しさが大事なところなのだと思う。また銃と視力という、集団内で圧倒的に強い武器を持った二人の運命が、己の欲のために使うか、他人を助けるために使うのかによって、明暗分かれたのも良かった。性悪説も性善説もなく、人は王になるべきか聖母になるべきか、その都度選択するのだろう。非常に訓示的であり、理屈っぽさも感じるところだが、純粋に心に残る作品だった。ただ欲をいえば、もう少し目の見えない演技を徹底してほしかったかな…一番重要な設定のはずなのに、時々完全に忘れていることがあった。[DVD(字幕)] 7点(2009-10-18 14:16:05)(良:1票)

56.  ワンダフルライフ 是枝監督の作品は観る人を選ぶというよりは、観るときの気分を選ぶような気がする。この映画も、レンタル店で何度か手に取ろうとしてはやめた作品だったが(私には人の生き死にについて考えることをやたら忌避してしまう時期がある)、今の私にはすっと入ってきた。静謐さのなかにほのかな温かみが滲んでおり、製作者側に人間そのものへの愛がないと作れない作品だろうと感じた。また、大学時代に専攻していた学問がきっかけで、人の「語り」に興味がある私にとっては、アドリブっぽい自分語りのシーンも興味深かった。俳優陣も見事に味のある人揃いで、特にARATAの透明感のある文学的な風貌が印象深い(年をとってちょっと寂びれた今の彼のほうが個人的には好きだが)。人生は誰にとっても物語なんだな、そんなことをしみじみ感じた日曜の昼下がり。退屈だが、悪くない時間だった。[地上波(邦画)] 7点(2009-10-05 00:06:40)(良:1票)

57.  プール(2009) 《ネタバレ》 ミニシアター系邦画にありがちな、消化不良なままぶつっと切れる感じのエンディング。もたいさんは死んでしまうのか、さよと青年の間に特別な感情は生まれないのか、小林聡美はタイにとどまるのか、少年の行く末はどうなるのか…台詞は少なく、登場人物たちのバックグラウンドはいまいちよくわからないまま、勿論先のこともほぼわからないまま映画終了。もう少し処理のしようもあっただろうにと思わなくもない。しかし、付け足しの如く説明的な結末だったらそれはそれで違和感が残っただろう。この映画は、映画そのものが「旅」なんだと思う。きれいだとか美味しいとかめいっぱい感じ、刹那の幸せや感動を味わい、あとは思い出が残るだけ。変わろうとか変えようとか、そんな意気込みを持って旅することも勿論あるにはあるのかもしれないが、タイという国にはこの映画のようなとりとめのない旅がぴったりなんだろう。はっきりと形に残るわけでもないが、さよの旅はさよ自身、それから 彼女が係わった人々それぞれの心に何らかの後味を残す。そしてみんな、それぞれの場所で生きていく。それだけでいいと思う。けちをつけるところはいくらでもあるが、帰国して振り返れば、なんとも素敵な「旅」だった。[映画館(邦画)] 7点(2009-09-30 19:04:11)

58.  月光の囁き 《ネタバレ》 私にとって本作は、水橋研二とつぐみという、(名前を把握したという意味では)邦画界になくてはならない唯一無二の役者二人と出会った思い出の映画である。そして、二人とも、この映画以上にはまっている映画は他にないと思う。二人の実際の性癖がどうなのかは知れないが、水橋の卑屈な目は、Sっ気がない人もそっちに目覚めて、彼をいじめ抜きたくなって然るべきパワーがあり、つぐみの凛とした美しさは、Mっ気がない人もそっちに目覚めて、彼女に傅きたくなって然るべきエロスがある。もうキャスティングの段階で大成功。性別を超えて、つぐみの足に踏みつけられたいと思ったり、水橋研二を縛りたいと思ったり、自分でも気づかなかったアブノーマルな欲望が露呈してしまったりしなかったりで、色々興奮・混乱しながら観るのはなかなか気持ち良いもんです。ラストのスピッツが無駄に爽やかで、何だか食事の後のブレスケア的なわざとらしい清涼感なのも好印象。原作も読んだけれど、なかなか良いまとめ方かと。余談ですが、つぐみは女優としては脱ぎ要員のようですが(失礼!)、本作ではおっぱいを出してません。いつもなら残念に思うはずが、この作品に関しては出してなくてよかったと心から思う。[ビデオ(邦画)] 7点(2009-08-30 01:01:29)(笑:1票)

59.  マルホランド・ドライブ 《ネタバレ》 2001年の映画にしてはどこか古めかしく、それでいて鮮やかで、いつまでも心に残るであろう一作。謎解きは謎解きで楽しみだが、不可思議な世界を不可思議なまま捉えていても魅力的なストーリー。哀しくて、儚い。ところで、とにかくナオミ・ワッツが褒めそやされる本作だが、私は妖艶なローラ・ハリングにやられた。美人女優とはかくあるべきという、気品と色気が漂い、圧倒される。こんな人なら、訳ありで怪しくても助けてしまうし、こんな人に捨てられたら、私もきっと暴走してしまうだろう(ちなみにノンケですが。笑)。女性同士のラブシーンでこんなにうっとりしてしまったのは初めて。[DVD(字幕)] 7点(2009-08-17 20:50:45)

60.  みんな誰かの愛しい人 《ネタバレ》 作家先生の周囲にいる人々のお話だが、なかでも特にロリータに共感できるか、できないか、観客のこの映画の印象はここで決まるのではないかと思った。ロリータのいじけっぷりは人によっては不快に感じるだろう。実際私も「この人痛い!」と思ったが…どこか自分に似ているから、こんなに痛く感じるんだろう。彼女の人物描写は、モテないうえに、唯一自分を認めてくれる存在であるはずの父親にすらぞんざいに扱われ、周囲の人間には偉大な父親に近づく手段として利用され…と三重苦以上の不幸を背負っている女のメンタリティーとしては非常にリアル。誰だってああなるわ。でも歌っているロリータはそれなりに美しく、その姿に私もはっとなり、セバスチャンと同様、ロリータに惚れ直した(しかも、そこもやっぱり見てない親父。芸術家というのはどこか自分本位で、側近の人を傷つけながら自己を高めるというイメージがあるが、まさにそのイメージのとおり。がっかり)。結末は、ロリータに感情移入しているぶん、何となく嬉しい。確かに大きく事態が好転するわけでもなく、ラストは静かなものだが、急変せずにじわじわと変化していく人間関係や、小さな言葉のすれ違いなど、物語が現実感を損なわず作られている点、私は好きだ。ただ、やはりちょっと地味で、あまり残らない作品かもしれないと思い、この点数。[DVD(字幕)] 7点(2009-08-01 03:10:22)

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