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プロフィール
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自己紹介 ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。
「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。
映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。
目指せ1000本!

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41.  TATAMI 《ネタバレ》 2023年の東京国際映画祭で本作が紹介されており、劇場公開を期待していた。 イラン政府の家族や立場を人質に取ってでも棄権を強要するやり口には憤りを覚えるし、 柔道の指針である「心・技・体」の精神に背いていて、国家としての参加資格はないだろう。 スポーツと政治は別物のようでいて表裏一体。 歴史上、国威発揚と言いながらプロパガンダの道具にされたことなど数知れず、現在でも変わらない。 工作員が大会の観客として、スタッフとして紛れ込み、揺さぶりをかけてくる。 信頼していたコーチからも同じチームの選手からも孤立し、 人生を賭けた試合で肉体もメンタルも限界の中、レイラはどう勝ち上がっていくのか。 同時に訳ありなコーチの葛藤や心の機微も綿密に描写しており、もう一人の主人公と言っても良い。 モノクロでスタンダード比率の画面が映像を引き締め、閉塞感を強調する。 (低予算で観客のエキストラを呼べない、チープさを誤魔化したいのもあるが)。 己の立場や面子より試合を続けさせるためにレイラを守ろうとする柔道協会のスタッフの奔走、 一度はレイラを裏切ったコーチが「負けるな!」と応援する展開が熱い。 スポーツにはフェアネスがあり、尊厳があってこそ成り立つものだと認識する。 それでもレイラは準決勝で負けてしまうのだが、もしイスラエルの選手と戦っていたら、 優勝する展開があったら、リアルで大問題になってしまうからか、フィクションとは言えあえて出し惜しみしたのかな。 政府の意向に背いたコーチは拉致されかけるが逃走、柔道協会に助けを求める。 そしてレイラに涙を流しながら自分の嘘を告白し和解する。 国家に利用されるだけの嘘だらけの人生に別れを告げ、一年後、亡命先のパリで難民代表として再スタートを切る二人。 イランに限らず、母国から亡命した人々が祖国に戻れるように、 良い国だと誇れるように少しでもマシな未来になってほしいものである。[映画館(字幕)] 7点(2025-03-01 22:10:19)《改行有》

42.  ANORA アノーラ 《ネタバレ》 大人だからこそ、若さがあるからこそ、大きな困難を乗り越えられると思っていた。 だが、いくら大金を得られてもヒエラルキーからは逃れられない。 そして強大な権力によってどうしようもない厳しい現実に打ちのめされる。 NYのストリッパーで時折性的なサービスも請け負っていたアノーラが求めていたのはお金だったのか、 それとも自分自身を受け入れてくれる代わりの利かない愛情だったのか。 最初で最後かもしれないチャンスに彼女は必死にしがみつく、必死に抵抗する。 大富豪の部下たちの脅しには汚い言葉で打ち負かし暴れまくる。 決して折れまいと毅然とした態度で立ち向かうマイキー・マディソンのパフォーマンスに圧倒された。 ポールダンスからロシア語まで完璧にこなし、アノーラというキャラクターに現実味を与える。 本作では愚かな人間しか登場しない。 勢いでアノーラと結婚した大富豪の息子のイヴァンですら、彼女を置いて逃走して、NYのクラブで泥酔しまくるし、 自分という核がなく流されるがままの幼稚で無責任な青年。 両親を見ても「この親にして、この子あり」な横柄さでロシアという国家そのもの。 その中で寡黙な用心棒のイゴールだけはアノーラに対して距離を置きながらも、彼女を気遣い、見守っていた。 婚約解消のシーンで部外者ながらイヴァンを謝罪させるべきだと進言したのも彼だった。 ある意味、彼だけはファンタジーの住人だ。 当たり役を好演したユーリー・ボリソフに肩入れしたくなる。 夢から醒めたように現実に叩き戻されるラスト。 朝から白い雪が降り続く灰色の世界に、車内にはワイパー音だけが響いている。 自分に良くしてくれたイゴールへの厚意を性行為でしか示せない悲しさに今まで張り詰めていた糸が切れ、 アノーラは"一人の女の子"として泣き崩れる。 イゴールもやんわり拒否しながらも無言で、 「もうこれ以上、自分を傷つけなくていいんだ、頑張ったよ」と彼女を慰めているように見えた。 アノーラのこれからの物語はどうなるのだろうか? きっと、二人は恋人同士になれなくても、お互いに信頼し合える存在として支え合いながら強く生きていくと思う。 なんたってアノーラはロシア語で"光"を意味するのだから。[映画館(字幕)] 7点(2025-03-01 21:18:50)《改行有》

43.  タバコは咳の原因になる 《ネタバレ》 タバコに含まれる5種類の有害物質で悪の軍団と戦う「タバコ戦隊」は今回も敵を退治するも、 地球滅亡を企むラスボスのトカーゲに立ち向かうには結束力が足りない。 そこでネズミ司令官の命令で湖畔の基地で合宿を行うのだが…。 日本の戦隊ものをリスペクトしているのか、茶化しているのかよく分からないゆる~い空気に、 本筋とはかけ離れた怪談話ばかりして、時折牙を剥くグロ描写。 ダニエルズとは別のベクトルのシュール&ナンセンスさに戸惑いを感じてしまう。 5人ともほぼ同じスーツで色さえ分けてくれたら少しは楽しめたかも。 本作の本質とはズバリ"恐怖"。 合宿先で特殊なトレーニングを受けることもせず、ヒーローものとは無関係な怪談話に花を咲かせる。 しかもどれもこれも中途半端でオチがない、ただ消費されるだけ。 つまるところ、自分たちが負けたら地球が滅亡するという本筋=最悪の恐怖から逃げているとも言える。 だから、トカーゲの計画が前倒しになったとき、狼狽して何もできないので新たなサポートロボットに頼る。 ところが、その最後も脱力したくなる展開で、トカーゲは夕食で妻子に毒を盛られて死ぬことになり計画は中止、 サポートロボットの時代逆行機能も一向に起動することなく、前のロボットの方が有能だったという。 今までの話は、怪談話はいったい何だったのか…… 戦隊5人でタバコを吸いまくり、プカァーって煙を浮かべるラストシーンに哀愁が漂って笑える。 喫煙で頭がボーッとしていって、後ろ向きな脆い絆とひたすら現実逃避し続ける人間の弱さがそこにあった。[インターネット(字幕)] 4点(2025-02-28 22:50:13)《改行有》

44.  24フレーム 《ネタバレ》 映画の1秒とは【24フレーム】で作られている。 その一瞬を4分半に引き延ばし、全24章に構成された固定カメラによる映像は美術館の絵画のように並べられている。 凡例としてピーテル・ブリューゲル作『雪中の狩人』が提示される。 静止画に村の煙突の煙が立ち上り、鳥や犬といった動物の鳴き声が聴こえ、雪が降り積もる。 タルコフスキーを意識しているのか、残りの23フレームにキアロスタミの完璧な構図と映像美が全編台詞なしで静謐に語られる。 映画館で上映されていたら確実に眠りに誘うものばかりで、1ショットに集中するにも2分くらいが限界だろう。 次のショットは何が来るのかを期待してしまっているため、現代美術館のビデオアートで1ショット別々に展示されても違和感がない。 ドキュメンタリーのようでいて、かと言って本物と見紛うCGアニメの合成もある。 静止画と動画が混在している。 物語は存在していない。 でも、現実はその集合体で、我々は当たり前のように"見ていない"だけで足を止めて目を凝らせば"物語"に光が当たる。 現実と虚構の垣根をあっさり壊す彼ならではの演出だ。 ラストのフレームでは机の上に突っ伏して寝ている人がいる。 本作を見て寝ている人がいることを想定しているように。 それでも構わない。 映画の見方に数多くの可能性があり、こうあるべきという強制はしていない。 手前のモニターには映画のワンシーンが流れ、THE ENDのテロップが表示される。 キアロスタミと呼ばれる名匠の人生はここで幕を下ろした。 美しいものを遺して旅立っていった。[インターネット(字幕)] 6点(2025-02-28 21:42:57)《改行有》

45.  はなればなれに(1964) 《ネタバレ》 タランティーノの製作会社名の元ネタで有名な作品を観られる機会ができたので忘備録として。 ゴダールの初期作品ではかなり敷居が低く、影響を受けるのも納得なシーンのオンパレード。 アメリカへの憧憬に、ゴダール本人によるメタフィクション的なナレーション、 登場人物が沈黙すると周囲の自然音もかき消される遊び心満載の演出、 カフェで突然踊り始めるマディソン・ダンスも、3人でルーブル美術館を走り抜けていくゲリラ撮影も、 その自由すぎる撮り方が瑞々しく輝いている。 終盤のサスペンスフルな展開でもどこかとぼけた味があり、一筋縄ではいかない。 軽快で刹那的な犯罪ロマコメの佳品。[インターネット(字幕)] 7点(2025-02-26 23:03:44)《改行有》

46.  セプテンバー5 《ネタバレ》 報道が、情報が、人を殺す、社会を捻じ曲げる。 スピルバーグの『ミュンヘン』でも描かれた、 1972年のオリンピックで起きた「黒い九月事件」をアメリカの放送局の視点で描いた社会派ドラマ。 全編の9割がスタジオのみの展開であり、直接的な犯行シーンが一切ないことから、 前代未聞の事件に対する混乱、情報が錯綜するクルーたちの判断が"報道することの重み"を突きつける。 パソコンもない時代、当時のテロップが如何に表示されていたのか興味深い。 注目を浴びたいがためのインパクト重視の報道により、犯人側に重大な情報が提供されてしまう皮肉さ。 情報の裏付けを取らないまま、人質解放のニュースを流し祝杯を挙げたその矢先の急転直下、そして最悪の結末へ…… 未曽有の事態によって生み出された悲劇を教訓に、その繰り返しによって現在の平和が成り立っている。 テレビの報道バラエティで活躍する某ジャーナリストが本作へのコメントを寄せていたが、 別の記事で偏向報道を是として開き直る姿勢に呆れ果てたことがある。 日本のオールドメディアを見ていると、過去からむしろ何も学んでおらず、 フラットな視点もないまま扇動しているとしか思えない。 視聴率さえ取れれば、メジャーリーガーの自宅を空撮しても構わないほど良心の呵責もなく、 自分たちに都合の悪い情報は"報道しない自由"を行使するわけ。 その積み重なった信用のなさがネットやSNSといった新たなメディアへと移行するきっかけになった。 だからといってネットが真実でもなく、プロパガンダもデマもディープフェイクもあふれる世界で、 どれが正しいかを見極め、誰もが情報を発信できることに身が引き締まる思いだ。 テロの生中継という結果的に凶悪犯を喧伝させる事態にさせたこと、そして9億人がその生中継を目撃したということ。 ラストのテロップが静かに重くのしかかる。[映画館(字幕)] 7点(2025-02-24 23:15:13)《改行有》

47.  ブルータリスト 《ネタバレ》 アメリカンドリームが華々しく煌びやかであるほど、あぶれた分だけ漆黒の絶望が広がっていく。 虚栄と強欲にあふれたアメリカで偽りの自由に囚われ、"アメリカ人"として生きていくこと、そして己の帰属意識とは? 「期待はしていない」と常にやつれた顔を見せる建築家。 ホロコーストから逃れても、新天地でも差別され、搾取され、凌辱されて支配される。 緩慢な地獄、そしてシオニズムへの回帰。 ブルータリズム建築物はコンクリートを中心に構成された、どこか無機質で冷たく、コントロールされた印象を受ける。 それはタイトルの語源である"Brutal"="残忍な"を意味する通り、 人間の残忍さだけでなく、狡猾さ、傲慢さ、醜さ、愚かさと卑小さを兼ね揃えている誰にでも持つ本質。 それでもなお、その先にある"到達点"こそ重要であると。 ユダヤ民族の苦渋の歴史を生々しく映しながらも、尊厳としての、抵抗としての建築物を残すこととリンクする。 そこに意思を貫こうとする"美しさ"があった。 (ただ、イスラエルのガザ侵攻を見るに、公開時期的にタイミングが悪いとしか言いようがない)。 215分の長尺であるが2部構成に分け、中盤に15分の休憩時間を差し込むことで、 意識の切り替えと後半への期待を寄せる、故に観客を退屈させない仕組みを構築している。 昔の大作映画にはそういうものがあったそうで、今までにない貴重な体験。 オープニングとエンドクレジットの意匠凝らしに、 クラシックへの回帰だけでは終わらせないアーティストとしての矜持を感じた。 そう、本作の監督はブラディ・コーベット。 ミヒャエル・ハネケのリメイク版『ファニーゲーム』に出演したぽっちゃり系の若者は生き残るため監督へと転身した。 若さ故だからこそ挑発的な作りであり、巷にあふれている消費されるだけの映画業界に対して抵抗を叩きつけた。 粗削りで暴力的とも言える野心たっぷりで、負けてたまるかと言わんばかり。 次世代のアーティストが力で押さえつけようとする時代と戦い続ける限り、これだから映画はやめられない。[映画館(字幕)] 8点(2025-02-21 22:36:03)《改行有》

48.  魔法少女リリカルなのは Detonation 《ネタバレ》 TVシリーズのStrikerSを見ると、なのはが再生困難な深手を負う展開を知っていたので、 一種の不穏さは予感していたものの、案の定そうなる割には意外にも最新鋭の再生医療によって無事に夏休みを過ごせたという。 御都合主義を外しても良いような、大団円でも構わないような複雑な心境だ。 登場人物が非常に多すぎて、描き切れてない印象はなくはない。 キリエを裏切ったイリスにも事情があって、さらに裏で手を引いていた黒幕がいたという入れ子みたいな構造もらしいというか。 こうなればあとは全力全開で突っ走るだけ。 前編では敵側だったディアーチェたちも共闘し、熱い展開とバトルを繰り広げる。 戦闘中でも印象に残る台詞ばかりで(下手したらあざとさもあるが)、 挿入歌「暁の祈り」をバックにしたディア―チェ vs ユーリの戦いが一番の白眉。 今までなのはが戦う動機としてのネガティブな面があまり描かれていなかったが、 本作では誰かを救いたい気持ちと自己肯定感の低さが背中合わせなのが良かった。 自分では大したことないように思えて、大事な家族と親友と仲間がいることに初めて"自分のため"だと受け入れることができた。 まだまだ小学生というのもあるが、命に関わる過酷な宿命故に大事なことを忘れていたかもしれない。 実は映画シリーズはまだ継続中だそうだが、ここまで描かれれば綺麗に完結でも良いだろう。 丁度3部作でキリが良いし、これ以上、インフレと複雑さで空中分解してもおかしくないから。[インターネット(邦画)] 8点(2025-02-20 00:14:23)《改行有》

49.  魔法少女リリカルなのは Reflection 《ネタバレ》 魔法少女もののフォーマットに複雑なガジェットとハードSFの要素を併せ持つ無印とA'sは、 TV版も映画版もとても気に入っていた。 ただ、A's後のTVシリーズであるStrikerSにはガッカリして途中で視聴を切った経験からして新作の2部作に不安しかなかったが、 高速道路から遊園地までを舞台にインフレを振り切った熱いバトルあり、血を超えた親子愛あり、 複雑な事情を持った敵勢力の裏切りのドラマありで106分ダレることなく最後まで飽きずに見れてしまった。 (なお、TV版と映画版はパラレルワールドという設定)。 中盤からシリアス展開のつるべ打ちな分、ほのぼのとした日常シーンを序盤でしっかり描いていて、 ファンへの目配せも忘れず、リリカルなのはとしての面白さが詰め込まれていた前編だった。 後編からよりハードな展開が予想され、如何に納得のいく結末に持っていけるかに期待できそうだ。[インターネット(邦画)] 8点(2025-02-17 23:50:33)《改行有》

50.  リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様 《ネタバレ》 公開当時、一部の識者から「ヤバい」と言わしめた怪作をようやく見れた。 タイムスリップ、ミュージカル要素があるとは知っていたが、意外にも"普通の映画”だった。 初めてテニプリを見る人には開いた口が塞がらない凄まじさだが、 私にはもっと狂ったものを期待しただけに肩透かし感はあった。 原作漫画こそ原点で頂点ということを再確認した形だ。 CGがプレステ2並みのクオリティだなんて些細なこと。 テニスギャングやらラップバトルやら脚にラケット付けてテニスやら、アレな情報量が多すぎる。 現役時代の南次郎に見つかっても、家族共々なぜか受け入れてしまうしツッコミどころ満載。 歴史改変を始めとしたタイムパラドックスとか大丈夫?かなんて気にしない。 「だってテニプリだから」で片付けられるヤバい世界だから。 原作の最初期に登場し、終盤につれて次第に存在が透明化していったヒロインの桜乃が、 本作ではメインで活躍していたのは嬉しかった。 原作者が製作に関わっているのもあるが、『テニスの王子様』の本質に立ち返った物語になっていた。 本作には二つのバージョンが存在しており、公衆電話からの通話相手がそれぞれ違い、 己の価値観に基づいたアドバイスをリョーマに授ける(全体のストーリーに大きな変化はなし)。 クライマックスでは強さの根源を探るべく南次郎と試合するのだが、なぜか青学の先輩たちを始め、 他校の選手たちも召喚されて踊り狂うミュージカルに。 特に突然の柳生比呂士の独断場に笑ってしまった。 声優がかつて『アナと雪の女王』のハンス役の吹き替えを担当していただけあって、 わざわざこのシーンのためだけにその上手さを笑いに変えているのがズルい。 少年誌原作ながら女性ファンの心を射止め、乙女ゲームまで作り、 ドラゴンボール並みにインフレ化していくギャグバトル"テニヌ"漫画としての側面も忘れない。 老若男女、誰もが笑顔になる、それが『テニスの王子様』だ。[インターネット(邦画)] 5点(2025-02-15 23:59:20)《改行有》

51.  劇場版 テニスの王子様 英国式庭球城決戦! 10数年ぶりに視聴。 ウィンブルドン開催の世界中のジュニア選手の強豪を集めた大会で、謎の組織によって選手たちが襲われる事件が発生。 日本代表校として招かれた青学、氷帝ら他校も例外ではなく、借りを返すために一部が組織の巣窟に向かうのだった。 これ、一昔前の玩具催促アニメの設定にしか見えず、テニスの形をした格闘技が繰り広げられる。 これぞテニプリ、これを待っていたんだ!と序盤はワクワクしたが、前作に比べるとインパクトに欠ける。 技のインフレで慣れてしまったのも大きいが、メインの試合が一本調子になってしまい、87分が冗長に感じてしまった。 如何に前作の演出が斜め上に神がかって、狂気を孕んでいたのかが分かる。 原作のキメているとしか思えないぶっ飛んだ発想を超えて欲しかったし、あのテンションを続けるには60分で限界だろう。[インターネット(邦画)] 4点(2025-02-15 23:46:00)《改行有》

52.  チャレンジャーズ 《ネタバレ》 テニスプレイヤーの親友の二人が将来有望な一人の女性テニスプレイヤーを愛し合う。 まるで実話みたいな内容だが、本作は完全なフィクションである。 (かつて選手だったフェデラーの妻のしかめっ面から着想を得たらしい)。 親友同士だった二人の試合と10数年にも渡る愛憎に満ちた三角関係の行方を、 ラリーのように現在・過去・現在・過去という具合に時間軸を交錯させていく。 三角関係だったらどこにでもある題材だが、男二人のキスシーンに驚いた。 その二人を止めることなく、笑顔になるヒロインのタシ。 監督がかつて同性愛映画を撮っていたルカ・グァダニーノだから、普通のテニス映画にならないわけだ。 現在で描かれる試合に向けて、テニスでしか生きる意味を見出せない三人がそれぞれ切望しているもの。 試合前日に罵り、不安を煽り、心理面で揺さぶりをかける。 タシは本当に二人を愛していたのだろうか? 選手生命を絶たれ、それでもコーチとして表舞台で注目を浴び続けたい理由付けのためにアートを利用したのか? アートは自分をコントロール下に置くタシに愛想が尽きたのか? パトリックは本当はアートと復縁したいのか? それぞれの思惑が意見の分かれる曖昧なラストに結実していく。 その後の物語は一切描かれていないが、タシの"Come On!"(やった!)を見るに、 あの一瞬の理想のために三人は手に入れたいものを手に入れたのだろう。 テニス映画として見ると、コミュニケーションツールとしての役割でしかなく、別にテニスで描く必要はない、 デヴィッド・フィンチャー映画でお馴染みのT・レズナーとA・ロスのコンビによる スコアの完成度が高かっただけに拍子抜けした。[インターネット(字幕)] 5点(2025-02-15 01:16:04)《改行有》

53.  永遠の法 The Laws of Eternity 《ネタバレ》 アマプラで配信されていたので、せっかくの機会に視聴。 エジソン、アインシュタイン、ヘレン・ケラー、ナイチンゲール… 世界中の偉人たちが集う霊界版アベンジャーズ! ロボットvs怪獣バトルもあるよ。 エル・カンターレファイト! …と言いたいところだけど、 本作の第一印象は霊界とは「ユートピアの皮を被ったディストピア」ということだ。 "○次元○○界"といったそれぞれの偉人たちの住む階層化された天国に、 あの世に行けばその人の生涯が映画になって心の中まで筒抜けで、観客から評価次第で天国か地獄に行くプライバシーの無さに、 仲間のパトリックやロベルトみたいに心の持ち方次第では一気に地獄に落とされる。 パーフェクトヒューマンな隆太と夕子と違って、彼らみたいな人間臭さに共感するのに葛藤すら許されないのか。 何の疑問も持たないまま、「神を信じない」「心は脳の作用」「信仰の自由や宗教を信じないのも自由」を否定する見方に、 現実という名の地獄に苦悩する人間にとって逃げ場所がどこにもないのだ。 そもそも何の代償も無く、精神統一だけでお手軽に霊界に行ける時点で、一種の選民思想を感じてしまう。 いつもの幸福の科学アニメらしく、様々な偉人が登場しては世界観を延々と語るだけで見ていてしんどくなる。 20年近く前のインターネット黎明期の作品なので現在の観点であーだこーだ言うつもりはないが、 清廉潔癖に描かれるエジソンやマザーテレサのクズエピソードを知ったら映画化しようとは思わないはずだ。 地獄に墜ちたニーチェの「神は死んだ」に対する隆太の答えが「地獄にいるから、あなたは間違っている」で、 神の正しさを説き、身体が光り輝いて勝利するあんまりな展開に開いた口が塞がらない。 そして唯一盛り上がるのはヒトラー側の怪獣と霊界側の巨大ロボットの対決(なおロボットの伏線は張ってない模様)。 それ以降は九次元宇宙界に至るまでのアレな挿入歌が延々と流れて眩暈がした。 とにかく、隆太と夕子が欠点のないキャラとして描かれていて、無機質で全く感情移入できないのは致命的だ。 宗教や信仰を否定するつもりはない。 ただ、形式だけだとしても、何気ない生活の中に宗教が根付いていて、それが数百年数千年かけて、 その土地の文化を、倫理観を、社会基盤を形成して、グラデーションのある世界を形作っている。 神はただそこにいるだけで良い。 本作を見ると、便乗して信者に無理強いをすることが正しいと言えるのか。 ただでさえ、現実は地獄そのもので、自ら命を絶ったらカルマによって来世はもっと苦しい思いをする、 自助努力ではどうにもならない悲惨な環境でもそれは魂の成長の過程だから頑張れ!なんて言われたら、 本当に逃げ場がないから当たって砕けるしかないじゃないか。 犯罪者に墜ちるのはともかく、たとえ何も成せず、人知れず死を迎えても、苦しみも悩みも悲しみもなく、 安らかに眠らせてほしい、静かにそっとさせてほしいのが私の願いです。[インターネット(邦画)] 1点(2025-02-08 00:03:05)《改行有》

54.  ビッグ・フィッシュ 《ネタバレ》 10数年ぶりに視聴した。 ホラ吹きと言わんばかりのありえない展開の数々。 でも、ファンタジーだからこそできること、見えるものがある。 父が辿った人生の足跡には、数多くの人たちとの出会いがあり、数多くの宝物を作り出した。 自分をよく見せるためではなく、誰かを幸せにするための優しい嘘。 ぎこちない関係だった父子の最後の願い、そして語り継がれていくもの。 クライマックスのおぼろげだった記憶が甦り、涙を流していた。 自分も親に家族に対して、そこまで向き合えるだろうか。 本作製作当時のティム・バートンは家庭を持ち、父親を亡くしたことから、 彼のパーソナルな要素が多分に含まれているだろう。 その輝きが詰め込まれた代表作の一つと言っても良い。 近年ヒットはしてもピンとこない作品ばかりなので、特大ホームランをもう一回打って欲しい。[インターネット(字幕)] 8点(2025-01-31 23:59:47)(良:1票) 《改行有》

55.  Chime 《ネタバレ》 『CURE キュア』ver.2.0 と言えば良いのか。 ある異物が気付いたら存在していて、"恐怖"という名のウイルスがじわじわ広がっていく。 45分の中編である分、ストーリー性も含めて無駄な要素が徹底的に排除され、 如何に演出力だけで恐怖を伝えるかに注力している。 爬虫類顔の吉岡睦雄が適役。 料理教室の一生徒が異常のように見えて、後の面接シーンでは自分のことばかり延々と喋っていて不気味。 いや、妻も息子も唐突なアクションを起こし、どうしてそうなったのか説明されない。 黒沢清が追求する根源的な恐怖とは、この"分からない"にあるだろうか。 『関心領域』と同様に、本作でも音響が要。 BGMがない分、包丁で肉を切る音、空調設備の異音、空き缶を潰す音、その環境音がより際立ってくる。 気付いたら何気ないことでもストレスが蓄積されて、魔が差したように防衛本能としての暴力に走る。 音に敏感で神経質である分、避けたくなるような、悪いことが起きるかもしれないという恐怖と不安に共感してしまった。 外界の物音からシャットアウトされた映画館で観たかった。[インターネット(邦画)] 7点(2025-01-31 23:42:23)《改行有》

56.  ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語 《ネタバレ》 いやぁ、最後までシュールだった。 映画と演劇と小説を合体させた演出手法で、作家から富豪へ、富豪から医師へ、医師から導師へ、 語り手が入れ子のように代わっていく構成が面白い。 徹底したセット撮影と仕掛け絵本みたいなアーティスティックな美術に、 これぞウェス・アンダーソンの映像センスが光る。 嘘みたいな話をみんな真剣な表情で淡々と語るのが何とも可笑しい。 映画の中心人物であるヘンリー・シュガーが意図も簡単に透視能力を得てカジノで大儲けするも、 働いたことのない金持ちのボンボンだから心の充足感がなくて、 イカサマで世界を渡り歩きながら慈善事業に奔走するのがどことなくシニカルで味がある。 40分で気楽に見られて本作でしか得られない栄養素がそこにあった。[インターネット(字幕)] 7点(2025-01-28 22:28:48)《改行有》

57.  ジャックは一体何をした? 追悼デヴィット・リンチ。 長編デビュー作の『イレイザーヘッド』を彷彿とさせる粗めのモノクロ映像に、 尋問する刑事と猿の会話の噛み合わなさがコントのやり取りみたいでもあり、 深く解釈しようにも意味の無いような感じだったりが原点回帰とも言える。 明らかに猿の口元が合成臭さ全開でより歪さを際立たせる。 人間と動物が上手く共存しているかのように見えて、 それぞれの価値観の尺度に齟齬が発生する様は『ズートピア』的である。 このフィクションの世界で"正しさ"とは何か、それは誰が保証して、どこまで許容されるべきか。 現実世界の差別と偏見の本質はそこにある。 …とは言え、変に雁字搦めに考えるよりは、 この意味不明さを堪能することがデヴィット・リンチらしさとも言える。 唯一無二の世界観を作り出した監督の逝去に、一つの時代の終わりを迎えた。[インターネット(字幕)] 5点(2025-01-27 22:52:07)《改行有》

58.  劇場版 テニスの王子様 二人のサムライ THE FIRST GAME 《ネタバレ》 ふと思い出して検索してみたら、本作が登録されていたのね。 視聴時期はテレビアニメが流行っていた当時のものになります。 原作漫画もテレビアニメも本気で見てはいけない類のものだよ。 全国大会前後からテニスの形をした"テニヌ"という格闘技を描いた能力系バトルギャグ作品です。 中盤の不二の必殺技の演出からギアが入ってきて、ますます現実離れした展開に。 特に手塚ゾーンは腹を抱えて笑いっぱなしの歴史に残るシーンだろう。 テニスの試合で豪華客船が沈没して、水中で球の打ち合い、 終いにはドラゴンボールみたいに空を飛んで、服がビリビリに破れて全裸でスーパーショット。 あれってイメージですよね?演出ですよね? そういうツッコミを入れながら見る映画です。 なお、続編の『新・テニスの王子様』になってからは、予想の斜め上をいく能力系バトルギャグ漫画になっており、 あまりの開き直りっぷりと、連載から25年経っても勢いが一向に落ちないのは凄いとしか言いようがない。[DVD(邦画)] 5点(2025-01-26 18:45:56)《改行有》

59.  逃走中 THE MOVIE 《ネタバレ》 本音を言えば、作品の新規登録なんてしたくなかった。 誰かが身代わりになって酷評して欲しかった。 公開当時、あまりのクオリティの低さで、 映画系YouTuberから格好のおもちゃにされてお祭り状態。 興行成績も348スクリーンの大規模上映の割に初登場5位、次週圏外という悲惨さ。 邦画恒例の『○○・ザ・ムービー』という題名のTV番組の映画化と聞けば、 粗製乱造のネガティブなイメージしか湧かない。 そう、見る前から地雷原以外の何物でもなく、本作はその中でもそびえ立つク○の中のク○映画だ。 手抜き、子供騙しでもヒットするだろうという観客を馬鹿にした姿勢が透けて見える。 TV番組自体はよく知らないが、セミドキュメンタリー要素により、 結果がその後のストーリーを反映させているという(ある程度の台本はあるにせよ)。 ただ、この劇場版は100%台本ありきで動いているため、 要である「逃走中」要素に臨場感が全く伝わらない。 ゲスト登場のヒカキン、クロちゃん、ガチャピンをはじめとする着ぐるみキャラが 時折画面に挿入され、バラエティのノリをそのまま映画にした姿勢に安っぽさを禁じ得ない。 後半の異空間デスゲームでは前半のロケ撮影で製作費が尽きたのか、 クライマックスをひたすら引き延ばすグダグダが延々と続く。 主人公の青年たちが一人一人脱落するも即ではなく、 これでもかと青春のぶつけ合いみたいな陳腐なドラマを引き延ばす。 もはや「逃走中」ではなく「会話中」だ。 ワイルドハンターに捕食されるグロ描写など一切なく、 量子化されて吸収されるCG演出に、振り切って観客を楽しませる気などないらしい。 全体的に友情物語が薄っぺらすぎてバラバラになった絆が一つになっていく説得力も感じられない。 女子高生と口の利けない弟の存在は要らないし、番組を乗っ取った謎の組織の詳細も投げ出したまま。 ケバケバしい衣装やら、チープなセットやら、本作の評価を決定付けさせるマズい予感しかなかった。 アイドル映画として需要はなくはないが、誰もが魅力も演技力も感じられず、 一週間も経たずに忘れ去られるだろう。 無許可撮影で近隣住民とのトラブルが発生し、 クルーが「あなたたちとは違うんです」と開き直る始末。 過去の栄光と成功体験にしがみつき、その選民主義と言わんばかりの傍若無人さが、 まともで才能のあるスタッフを流出させ、下請けに任せてばかりで番組制作能力を失い、 やがて大御所タレントのスキャンダルから始まった局ぐるみの大問題に繋がったのは当然と言える。 総務省が庇ってでも、偏向報道、質の低い手抜き番組しか作れないフジテレビに存在価値が果たしてあるのか? 最悪、倒産によりサブスクで見れなくなる可能性があるが、駆け込み需要で見るほどの価値すらない。 かつて、ドリフのお笑いやごっつええ感じ、トリビアの泉で楽しませてもらったが、 東日本大震災直後の粗製乱造の手抜きとゴリ押しとフジテレビ抗議デモで見限ることになった。 それから10数年して落ちるだけ落ちたフジテレビには何の感慨もない。 本作はフジテレビ末期を象徴する世紀の大愚作と言えよう。 実写版『デビルマン』のように歴史に残さず、存在自体を抹消したい。[インターネット(邦画)] 0点(2025-01-24 23:53:22)(良:1票) 《改行有》

60.  太陽の法 エル・カンターレへの道 《ネタバレ》 昔だったら信者でもない限り、レンタルでの視聴も困難なはずが、 今やサブスクでも見れる良い時代になったものだ。 隆法の代表的経典をアニメ化したものだけあって、 歴史番組をそのままなぞっただけのストーリー性のない代物であり、 さらに思想強めの説法が延々と続き、一体何を見せられているんだ? 如何にもなアレな映像の洪水に、映画館で観ていたら気が触れていただろう。 何度見てもついていけない。 『UFO学園の秘密』で登場した宇宙侵略者のレプタリアンは既に本作からいたのね。 隆法亡きいま、関連のアニメ作品のほとんどがサブスクで見れるとのことで、 あとは『永遠の法』と『宇宙の法 黎明編』を見るのみ。 どの作品もネタで見てるにしても時間が勿体ないと感じる。 生活していくために嫌々請け負ったアニメーターと出演声優たちに労いの1点を献上します。[インターネット(邦画)] 1点(2025-01-23 22:21:07)《改行有》

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