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【製作年 : 1980年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
41. ハンター(1980) 《ネタバレ》 始まって十数分、粉塗れになる乱闘シーンで「あれ?」と思い、そこから更に三十分後の爆発シーンで、ようやくコメディ映画なのだと気が付きました。 かと思えば、クライマックスにおける電車上のアクションは中々の迫力であったりして「一粒で二度おいしい」タイプの作りとなっていますね。 これが遺作であるというスティーヴ・マックィーンが、色んな面を見せてくれたという意味においては、非常に嬉しい内容。 ただ、自分としては正直コメディ部分は退屈だったりもして、残念でした。 その分、終盤のアクションパートでは画面に釘付けになる事が出来たのですが(どうせなら両方を楽しんでみたかったな……)と、切なく感じてしまったのですよね。 好きな俳優さんの作品であるだけに、全面的に肯定出来ない事が、もどかしかったです。 ラストに関しては、ほのぼのとしたハッピーエンドで締められており、驚くと同時に癒されるものがありましたね。 西部劇、刑事ドラマ、脱獄物と、シリアスな作風の品に出演している印象が強いマックィーン。 そんな彼が、何とも優しい手付きで赤ちゃんを抱き上げて、父親として笑ってみせている。 その姿が、最高に似合っていて、最高に決まっているのだから、本当に凄い事だと思います。 映画の内容そのものよりも、最後の出演作までマックィーンは格好良くて、魅力的だったという、そちらの方に感動させられた一品でした。[DVD(吹替)] 6点(2016-06-22 03:39:12)(良:1票) 《改行有》 42. 猛獣大脱走(1983) 《ネタバレ》 動物って怖いなぁと、しみじみ思わされた作品ですね。 やたらと残酷な描写が多い気がして、監督さんの経歴をチェックしてみたら「さらばアフリカ」などのモンド映画を数多く手掛けてきた人だと知って、大いに納得。 モンスターパニック映画というよりも「グレートハンティング」に近い代物であるように感じられました。 それでも、アスファルトの道路上を疾走するチーターなど、極めて珍しい映像も収められており、一見の価値はあるかと。 象の鼻さえも恐ろしい存在として描いているカメラワークには、素直に感心させられましたね。 一方で、ネズミを火炎放射器で焼き殺す件に関しては 「人間が殺される場面ではフェイクを用いているが、他の動物が殺される場面では本当に殺している」 というのが伝わってきて、何となく居心地が悪かったりもしました。 ラストシーンにて、子供達も狂気に犯されてしまい「人間も、また動物である」と示して終わるのは、非常に衝撃的。 色々と悪趣味な内容ではあるのですが、劇映画としても、人間が猛獣に襲われる衝撃映像集としても、水準以上のクオリティを備えているのではないでしょうか。 「怖いもの見たさ」という人間独特の感情を満たす上では、的確な一本かと思う次第です。[DVD(吹替)] 5点(2016-05-25 08:50:41)《改行有》 43. 変態家族 兄貴の嫁さん 《ネタバレ》 世の中にはパロディAVというジャンルが存在します。 そこでは「アベンジャーズ」や「パイレーツ・オブ・カリビアン」などが元ネタとなっている訳ですが、これは小津安二郎監督の作品を元ネタにした同ジャンルの品である、という印象を受けました。 とにかく予想以上に「絡み」のシーンが多くて、笑えるシーンも極僅かであったのが意外。 当初は「東京物語」単独のパロディかと思っていたのに、他の作品からも色々と拝借している事にも、驚かされましたね。 自分としては、食べ物として「お茶漬け」が登場する場面で(あぁ、パロっているなぁ……)と思わされた後、時間差を置いて再び「お茶漬け」が登場して(またやるのかよ!)とツッコまされた場面が、一番面白かったです。 ただ、正直に告白すると、そこ以外のシーンは退屈だったというか、趣味の合わないAVを早送りせずに延々と見せ付けられたという印象だったりしました。 周防監督の作品は好きだけど、小津監督の作品は今一つピンと来ない……なんて感性の持ち主である自分ではなく、小津監督が好きな人が観賞した方が、より楽しめる一作なのだと思われます。[DVD(邦画)] 3点(2016-05-25 07:52:39)《改行有》 44. ア・ホーマンス 《ネタバレ》 今回の松田優作、ターミネーターみたいだなぁ……と思っていたら、本当に正体がロボットだったのには驚きました。 詳しい背景は作中で語られていなかったと思うのですが、一体なんだったのでしょうね、彼。 何処かから脱走してきたか、あるいは彼もまた未来から送り込まれてきた代物なのでしょうか。 そういった部分を秘密のままにする事によって、神秘的な魅力が生まれるパターンもありますが、本作に関しては「結局、何だったの?」という疑問の方が大きく、少し残念でしたね。 監督としての腕前に関しても、才気やら個性やらを感じさせる場面もあるのですが「間が長過ぎる……」と思える部分も多く、どうも褒めるのが難しい映画、という印象。 そんな中で煌めきを感じさせてくれるのが、これが俳優デビュー作である石橋凌と、悪役を演じたポール牧の二人ですね。 どちらも存在感たっぷりで「俳優」としての松田優作と、堂々と渡り合ってくれています。 もしかしたら「監督」最大の功績は、この二人の演技力を引き出してみせた事にあるのかも……なんて考えが頭をよぎってしまう映画でありました。[DVD(邦画)] 4点(2016-05-22 20:22:49)《改行有》 45. 誕生日はもう来ない 鑑賞後、誰かにオチを話したくて仕方がない気持ちに襲われる映画というものがありますが、そういった観点からすると、この作品は非常にポイントが高いように思われます。 そして、衝撃的な結末という意味では文句無しなのですが「じゃあ面白かったの?」と問われれば、素直に頷きがたい映画であるのも事実。 バッドエンドであるという事もあり、気持ち良く笑い飛ばす事の出来る映画ではないのですよね。 衝撃に関しても、呆気に取られてしまったという要素が大きく、後味は良くないです。 この点、同じような吃驚オチでも、奇妙に爽やかな青春のテイストを感じさせてくれた「エイプリル・フール」という映画とは対照的。 両方を観賞済みの方と「どっちの結末が好み?」と語り合ってみたくなります。 終盤の死体を並べての誕生日会のシーンからは「悪魔のいけにえ」を連想させられて(もしやコレが元ネタなのか?)と思って公開年を調べてみたら、当然のようにこちらが後発の作品であったという事を、何だか印象深く憶えていますね。 監督さんは様々な結末を用意した後に、その中から最も面白いものを選んだという逸話を何かの本で読んだ記憶がありますが、他の結末がどんな内容だったのかを知りたいところです。[DVD(字幕)] 3点(2016-05-02 21:58:48)《改行有》
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