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621.  キセキ あの日のソビト 《ネタバレ》 買い物袋を提げた女性が踏切を越え、街を見下ろす高台の階段を登る。父親が医者ということでの山の手住まいの設定なのだろうが、 後々に兄弟二人が車で走り抜けていく坂道がようやく活かされる程度で、そのせっかくの勾配も踏切もあまり効果的な画面を創ってはいない。 その分、明と暗に関する対比はかなり意識されている。 初舞台で華々しくスポットを浴びる弟と、それを暗い観客席後部で見守る松坂桃李と奥野瑛太。 バンドと学業の間で悩む菅田将暉は公園の木陰の暗がりの中、彼に背を向ける忽那汐里は陽光の下だ。 バンドに復帰する為、仲間を待つ菅田を左端、階段を下りてくる仲間たちを右端に捉えた校舎のロングショットの壁は 前者を黒、後者を白で分割している、という具合だ。 菅田が自室の机で「キセキ」の歌詞を書き出すシーンの机、椅子、スタンドライトの配置も「光に向かう」構図だろう。 前半に曇りがちの天候が多いのは有名俳優らのスケジュールの都合かと感じていたが、 菅田が復帰を決意して走り出す踏切のシーン、菅田と忽那が仲直りする公園のシーン、小林薫と麻生祐未の夫婦が兄弟を見送るシーンは しっかり快晴を選び、背景に肝心なグリーンを配置することも忘れてはいない。 しかし、日本刀を抜いて「成敗してやる」とのたまう小林薫のインパクトが絶大すぎて他の感動シーンまで霞んでしまうというのも、、。[映画館(邦画)] 6点(2017-02-01 22:04:28)《改行有》

622.  バイオハザード: ザ・ファイナル 《ネタバレ》 無数のコラージュが集積してヒロインの像を象っていくオープニングは、彼女のアイデンティティをめぐるドラマを象徴する。 鏡像の反射を活用すべく設定された美術や道具立ても、分身の主題を強調する為のものだろう。 そうした謎解きはともかくとして、あの手この手のアイデアを駆使したアクションの釣瓶打ちによって、 追い追われるの状況のみを展開していく潔さがいい。 装甲車上、タワービルからピット内の地下エリアへ、装置の高低差のサスペンスを活かした見せ場がふんだんな上、 打撃系のインパクトを強調して組み立てた格闘がパワフルで素晴らしい。「指を切らせて腹を断つ」とか。 各ショットは短いながらもケレンある構図でコンティニュイティがしっかりしているので、速度に同調すればこのアクションは見れる。 ラスト、再びの映像イメージのコラージュによる記憶の補完もまた、何となくゴダールの『映画史』を連想させたりするといえば大袈裟か。 アクション映画の引用コラージュ集とも云えるし。[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2017-01-18 16:26:41)《改行有》

623.  ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー 《ネタバレ》 雑多な種族が往来する街のシーンが二度ほどあるのだが、こういうシーンは美術セットやメイキャップの見せ場だろうに、 画面上は単に粗雑で目まぐるしいモブシーンでしかない。人物の対話シーンとなると、浅い深度のカメラによって後景はほとんどボケボケである。 折角のデザインスケープならば、その仕事を観客によく見せてあげればよいのに。美術の手抜き仕事を隠している訳じゃあるまい。 CG特撮を駆使したロングショットの奥行きとの落差が際立ってしまうわけで、そうした画面の単調さもドラマの足を引っ張る。 その観点では、ルーカス版よりは『帝国の逆襲』のカーシュナー版のスタイルであり、『GODZILLA(2014)』と同じ傾向である。 落胆させられるのは、いよいよクライマックスに向かいフェリシティ・ジョーンズに賛同してディエゴ・ルナらが集結するのだが、 彼の背後の仲間たちにもほとんどピントを合わせないことだ。 これは彼らの物語ではないのか。 カルチュラルスタディーズ的にもよく語られるこのシリーズ。この人種配置とrogue stateを連想させずにおかないこのタイトルなら、 彼ら一人一人の表情にもしっかりフォーカスしなければならぬのではないかと思うが。 このような細部こそ疎かにして欲しくない。[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2016-12-21 00:00:01)《改行有》

624.  力と栄光 《ネタバレ》 時間推移が、カメラをパンさせながらのオーヴァーラップや影を落とすエフェクト等で様々に表現されるのだが、それもあまり統一感はない。 技法というよりはドラマの語りの点で『市民ケーン』の原型だといえる。 成り上がった主人公スペンサー・トレイシーの浮気の告白、それを聞いた妻コリーン・ムーアの末路、息子の堕落。 そこから遡って、新婚時代の幸福なエピソードを見せていき悲劇性を際立たせたのはプレストン・スタージェスの巧さという事だろうか。 親友役のラルフ・モーガンが妻に語り聞かせる形式だが、顛末の全真相を語りきってしまうのも少々無理を感じさせる。 そうした諸々の改善の積み重ねが後のウェルズの達成に繋がったようにも思える。 新婚時代の夫婦の姿と、彼らの後景の窓外を走る汽車のショットなど、画面的に『市民ケーン』を思わせる断片も随所にある。[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 6点(2016-12-04 06:04:27)《改行有》

625.  舞妓物語(1954) 《ネタバレ》 若尾文子は前年の溝口健二『祇園囃子』に引き続いての舞妓役だけあって、初々しいながらも貫禄も十分。 踊りも堂に入っている。 入江たか子の母親の前では子供っぽく、恋敵となる阿井三千子と対峙するシーンでは凛とした表情で、 またコスチュームも、根上淳とのデートシーンでの明朗な学生服姿と、座敷を務める着物姿とで多彩に魅せる。 様々なしがらみによって悲劇的な趣を強めていくドラマと共に、祇園の世界は暗い画調だが、 根上と連れ合って歩く高台や河原など、随所に挟まれる京都の開放的なロケーションに救われる。 特に、舞妓仲間が声援を送るラストの河原と橋がいい。[DVD(邦画)] 6点(2016-11-27 23:17:52)《改行有》

626.  聖の青春 《ネタバレ》 これがもう少し身体性を伴う競技ならばまた違うのだろうが、表情や仕草・佇まいの再現を重視した演技設計ゆえに松山・東出の両者共に 精巧な模写の印象が強くなってしまうのがつらいところである。 ならば対局シーンはそれに徹して、顔と手のアクションで通してくれれば良いのだが、そこに屋外の情景や白鳥の心理的なショットなどを スローでインサートしてしまうのは、あまり効果的とは思えない。 新聞紙の上に切られた爪と髪の毛を見せてから、わざわざカメラを動かし手と頭まで証拠提示するような愚直でくどいショットもちらほら。 それでも窓外を静かに雪が舞う定食屋でテーブルを挟み語らう松山と東出の朴訥とした情感などは素晴らしい。 シーンの最後に、店外からのショットに引くリズムなどがほどよい緊張に満ちて胸に迫る。 筒井道隆、安田顕、柄本時生、リリー・フランキーらも味があっていい。[映画館(邦画)] 6点(2016-11-25 23:36:31)《改行有》

627.  ジャック・リーチャー NEVER GO BACK 《ネタバレ》 収監されるもあっさりザル警備の隙をついて脱出してみせるトム・クルーズ。それはいいのだが、序盤からこうもタスクの難度が低いと その後の展開に不安を抱いてしまう。アナログなりの知略をもう少し披露して欲しいところである。 ハロウィン・パレードの混雑の中、パトリック・ヒューシンガーを見つけ出し追跡するシーンも同様に今一つ盛り上がりきらない。 壁を伝って階上へと追っていくトム・クルーズのアクロバティックなスタントをもっと見せてクライマックスへ向けてのテンションを高めて欲しい というのは酷な望みか。地味なアクションを指向しているのは承知だが。 派手な銃撃戦からは、コビー・スマルダーズとの連携プレーを見せていくわけだが、アップの多すぎが逆効果になっている。 ラスト、一旦は別れた娘が踵を返してトム・クルーズに駆け寄り、抱擁を交わすのだが、このショットも想定通りすぎてあまり巧いと思えない。[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2016-11-18 23:54:21)《改行有》

628.  溺れるナイフ 《ネタバレ》 菅田将暉と小松菜奈が初めて出会う入江の波立つ情景などは観る側の心もゾクゾクさせてくれるのだが、そのロングショットと 小松の視線、水面の菅田のカットバックが少々ぎこちなく感じられる。 土手のシーンなども、二人の位置関係が不明瞭で、高低差が活きていない。 劇伴や挿入曲も過剰に感じてしまう部分が多く、地方の映画なら尚のこと河川や水路のせせらぎや波音などをもっと活用して欲しいところだが、 ロケーションをロングショットのフレームの中で良く活かし、俳優らを良く動かし、彼らを幾度も水に浸らせて頑張っている。 森の中を風のように駆け、海に浸かり、炎と共に舞う菅田も小松もさすがに達者だが、 これだけ映画への露出が多いと食傷気味にもなるが、本作では重岡大毅がなかなか新鮮なバイプレーヤーであり、ナチュラルな口跡が素晴らしい。 彼絡みのシーンに長回しが多用されているのも頷ける。 バッティングセンターのショット、カラオケバーのショットなど、緩急自在の呼吸でロングテイクを活かしていて感心だ。 快活さとナイーヴさを体現し、一部で科白を噛んだりしているのも逆に自然体の魅力を生んでいる。[映画館(邦画)] 6点(2016-11-05 23:37:45)《改行有》

629.  インフェルノ(2016) 《ネタバレ》 映画にブレーキをかけがちな謎解きを抑え気味にして、冒頭から一気に逃走劇に突入していく手際がいい。 記憶も不鮮明なまま事件に巻き込まれるトム・ハンクスが、ヒロインと共に複数の組織から追われる展開が主となり、なかなかにスリリングである。 そこにロン・ハワード的な落下や水のイメージが溢れ、観光映画の趣ともよく融合している。 が、アップのショットの多さは辟易するし、アパート裏口からの脱出や壁の乗り越えなど、危機突破の具体的描写が弱いと思う。 アイデアの貧しさ以上にアクションの撮り方の不味さである。 トム・ハンクスとシセ・バベット・クヌッセンが雨の中で見つめ合うメロドラマ的な回想パートは 水のモチーフとも相まって情感のあるシーンだ。[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2016-10-28 22:37:59)《改行有》

630.  両棲人間 《ネタバレ》 いわゆる半魚人である主人公が彷徨う街の色彩に満ちた風景や衣装はメキシコ風、流れる音楽も人種も雑多、そして会話はロシア語という、 とりあえずエスニック風とでも呼ぶのが相応しい渾然とした情緒がある。 ヒロイン:アナスタシア・ヴェルチンスカヤも可憐なダンスを披露してとても魅力的だ。 水中シーンも豊富で、男女が碧い海中を泳ぐイメージシーンなども美しく優雅だが、ダンス風というよりは体操的な動きを 志向している風にみえるのがロシアファンタジーの味だろう。 ラストの夕暮れの海岸シーンが、太陽が沈んでいく際を背景とした恋人たちの別れの芝居になっており、その夕陽の光がなんとも哀切である。[DVD(字幕)] 6点(2016-10-21 23:57:59)《改行有》

631.  何者 《ネタバレ》 携帯端末がキーアイテムであることからしてもあまり映画向きとはいえないが、様々な視覚化の苦心はうかがえる。 ルームシェアによって手狭な部屋。エリアを仕切られた喫煙ルーム。窓外の見えない地下鉄車両内。隔絶と閉塞のイメージが続く。 有村架純が下車した後に残った佐藤健の姿を、電車のドアとホームドアが二重に遮断するというショットも酷薄な印象を強める。 タクシー後席に座る佐藤と菅田将暉の微妙な距離と、二人を照らし出す赤いライティング、 沈黙のアパート内に遠く響く救急車のサイレンなど、じわじわと湧き上がる不穏なムードは ラスト近く、それぞれの液晶パネルを光源として向かい合う佐藤と二階堂ふみのシーンで陰影演出の最高潮を迎える。 無表情な観客達の拍手の中、有村は特権的に輝きを放ち、佐藤は自然光と共に開かれたドアへと向かう。[映画館(邦画)] 6点(2016-10-16 21:56:16)《改行有》

632.  ハドソン川の奇跡 《ネタバレ》 映画に対する感動、というよりは実話に対する感動といった方がよい。 ラストも結局は実際のモデルに頼ったようにみえる。 まずは眉をしかめたトム・ハンクスの表情のアップの多さが気になってしまう。 夜間にジョギングする彼のシルエットの背後に影が覆いかぶさるようなショットなどにらしさがあるが、 トラウマのシーン以外、人物の顔に深い陰影を落とせないのは今回も実在の人物をモデルとしているからか。 簡潔に処理した二度の回想シーンなどはともかく、ビル群に突っ込んで爆発する妄想CGまで必要か、結構無駄を感じる。 わざわざコンピュータ処理に頼らずとも、誰しもがそれを連想するのだから。 隣席に同乗した女性の代わりに乳児を抱いてショックに備える男性客のエピソードなど、細部のドラマはさりげなく感動的であり、 ラストのアーロン・エッカートのジョークも爽やかでいい。[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2016-09-25 20:09:30)《改行有》

633.  10 クローバーフィールド・レーン 《ネタバレ》 街の情景から窓辺にピントが移り、女物の服飾のデッサンから恋人同士らしきツーショット写真へとパンされる。 案の定、そこは女性の部屋で彼女は憂鬱そうな表情で誰かと何やら通話しており、荷物をまとめた彼女は酒瓶を手に取るが、 アクセサリーらしきものは残していく。 冒頭からタイトルの出る事故シーンまで、音声はスマートフォンから響く彼氏らしき男性の声のみだが、仮にそれがなくとも 二人の間に何らかの諍いがあり、家を出てきたことは彼女の表情から容易に想像がつく。 24時間営業の給油所で彼女の車の後から入場してくるヘッドライトも含めて、後の展開の伏線となる要素が 一切台詞抜きで画面によって効率的に提示されていく導入部がいい。 クロースアップの多さが苦にならないのは、俳優の表情が心理劇を一層引き立てると共に、閉鎖空間の強調効果を生んでいるからだ。 ダクト内を匍匐前進するヒロインをナイフが襲うショットではその閉塞感が生むサスペンスはなかなかである。 防護服を通して生き物の音が響いてくる、車の警報音が鳴りだすなど、音響の強弱も随所で効果をあげている。 アクションが絡むと途端に乱雑になるカメラワークが惜しい。[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2016-06-21 22:58:52)《改行有》

634.  オオカミ少女と黒王子 《ネタバレ》 相変わらず、親も勉学も完全消去された惚れた晴れたオンリーの陳腐な世界観。それが少女漫画なのだろうから文句は言わない。 どう見せるかが問題な訳だから。 とりあえず、開巻から二階堂ふみがよく歩き、よく走り、よく食べるので救われる。 新宿の雑踏を捉えた『さよなら歌舞伎町』の撮影も頑張っていたが、こちらも渋谷らしき街中で山崎賢人を追って歩く彼女をゲリラ的に撮影した長廻しなど、ロケーションを活かした移動が楽しい。その後も学校内で駆け回り、ピーカンの雨の中で走り、マンションからの帰り道を鼻歌交じりに歩くなど、長めの移動撮影によって映画は弾む。 山崎の言葉に傷つき、喫茶店を飛び出して歩道を歩く彼女は泣きながら、やはり後ろも気になってしまう。そんな彼女のいじらしい心情表現が達者だ。 ラストには今度は男の方が彼女を追って走る。のだが、その後が良くない。 彼との大切な思い出の品を探しまわる彼女の姿を目撃するものと思いきや、彼女がごみ袋の中を漁って探していたことを通行人の女性の台詞で処理してしまうのだ。中盤で山崎が風邪をひくエピソードは、彼の家で二階堂がおかゆを作るのをソファから窃視すること、そして二階堂が山崎の寝顔を窃視し、撮影することが重要なポイントであり、相手に見られていることを知らない素の表情を垣間見ることによって、それぞれが相手の本質を理解していったという事である。 であれば、やはりラストは彼女が無様ながらも懸命にマスコットを探し、それを見つけ喜ぶ姿を彼の眼で見つめさせるべきであり、あくまでその視線の劇を通して彼の恋情を提示すべきだろう。 ここでは俯瞰ショットとなる南京町商店街の広場はきちんと水が撒かれ、赤や黄のネオンを反射して画面を彩るという具合に美術も頑張っているのだから、 もう少し肝心な部分で台詞に頼らないなどの工夫が欲しい。[映画館(邦画)] 6点(2016-05-28 23:25:07)《改行有》

635.  64/ロクヨン 前編 《ネタバレ》 男たちの黙々とした行動をまず提示し、後から徐々に状況を明らかにしていくスタイルで物語る。 記者クラブや他部署の男たちは露骨なまでに憎々しい表情と熱演を以て、佐藤浩市の広報官と対峙する。 中でも、北野映画でならした椎名桔平、三浦友和らキャリア組の凄みがいい。 前編のクライマックスはとりあえず記者クラブ相手の佐藤の弁舌とリアクションということで、 結局はひたすら彼の表情芝居の映画という印象が強いが、心情説明的な音楽をいれてこないのは幸いだ。 序盤の寒々しい曇天のルックもいい。[映画館(邦画)] 6点(2016-05-12 22:50:09)《改行有》

636.  レヴェナント 蘇えりし者 《ネタバレ》 冒頭でまずレオナルド・ディカプリオがほとんど瞬きをする事なく銃を撃つショットに少し驚き、この映画で彼はほとんど瞬きをする事が無いだろう事を なんとなく予感しその通りに進行していくのだが、そのディレクションの意味も中盤でより明瞭となる。 スコープサイズ画面の半分を遠景、半分を極端なクロースアップで占める構図の多用によっても、人物や動物の見開いた眼へのこだわりは特徴的だ。 もっとも、目を瞑る度に妻や息子の回想シーンや気取ったイメージショットが頻繁に現れてはドラマを引き延ばしにかかる訳だけれど。 そうした中、アルフォンソ・キュアロン『トゥモローワールド』の長廻しからさらに難易度を高めたアクションシーンの機動的なワンショットは やはり圧巻である。 樹上からの人体落下、顔面を貫通する矢、林間の乱戦から騎馬戦への視点切り替え、それらを繋いでゆく高難度のカメラワークの合間に陽光を瞬間的に入れ込んで生々しさを際立たせるところこそルベツキの本領だろう。 評判のよい「美しい景観」のロングショットはただ美観にとどまる限り、それ以上のものにはならない。[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2016-04-29 21:37:01)《改行有》

637.  セーラー服と機関銃 -卒業- 《ネタバレ》 順撮りだろうか。序盤はあまりパッとしない橋本環奈も感情を発露するに従い、次第にさまになっていく感じはある。 が、ラストの雛壇にしてもヒロインの魅力を引き出しきれていないように見えるのは撮り方の問題ではないか。 荒らさせたカフェの中で橋本が大野拓朗、宇野祥平と共に語り合う長廻し、 長谷川博己と手を取り並び走る二人に雨を降り注がせる長廻しなど、シネフィル心をくすぐろうという魂胆が 見えなくもないが、相米慎二アプローチもしっかり踏襲し、おそらくは不得手だろうアクションシーンも 北野武などにはまるで及ばないながらも頑張って撮っている。 全編通して光にも気を遣っており、クライマックスの派手な逆光を始めとして、軽トラックでの逃避行から夜明けまでのシーン、 武田鉄也の行く手に集結するパトカー群の赤色灯など、よくドラマに寄与させている。 ちなみに、スクリーンでの武田鉄矢を今回初めていいと思った。[映画館(邦画)] 6点(2016-03-05 23:53:14)《改行有》

638.  犯された白衣 《ネタバレ》 モノクロからカラーに変わるショットの淫靡で毒々しい赤。 そして海の蒼と、夕景のオレンジに続き、白い布に旭日旗の如く放射状に塗られた血の鮮紅色。そして女性達の死骸の白。 その中心で少女の膝上に赤子のように青年はうずくまっている。少女は男に「何故、自分の血を流さないのか」と問う。 その問いはなかなかに意味深だ。 柱や襖などの障害物が監禁された女たちの姿を隠しては現させ、溝口的な抑圧空間を創り出している。[DVD(邦画)] 6点(2015-12-10 23:45:20)《改行有》

639.  サクラ花 -桜花最期の特攻- 《ネタバレ》 夜の整備場内、夜の滑走路と先の見えない視界不良の場から続き、鹿児島から沖縄へと飛ぶ一式陸攻機内という限定空間を主たる舞台とすることで、 マクロな戦争スペクタクルを封じている。 沖縄まであと一時間半程度という台詞から、かなり実時間に近づけている事もわかる。 直前まで会話していた仲間が、突然の機銃音と共に血まみれになって即死する。 敵機に狙い撃ちされる度に機体に穴が空き、撃たれた隊員達は次々に身体から血を噴き出し、のたうつ。 低予算を逆手に取った風防外部の状況を示さない戦略は、より目前の戦場の惨状即ち人間が損壊し絶命していく痛みを際立たせている。 乗り合わせる隊員らの過去も多くは語られない。その事が一方ではサスペンスを生み、一方では桜花に乗り込み特攻していく十七歳の若者と 一式に残る若者の短いやりとりを感動的にする。 「ボタンの掛け違い」、「まさか時代がここまで急転するとは」といった科白の数々は今現在に向けられている。[映画館(邦画)] 6点(2015-11-03 21:47:58)《改行有》

640.  ダイバージェントNEO 《ネタバレ》 この壁に囲まれたエリアに生きる人々という世界観。邦画でも洋画でも最近よく見かけるのは偶然か。 その舞台となるデストピアの細密な描写力がなかなかで、瓦礫混じりの都市の俯瞰などに眼を奪われる。 ヒロインの脳内イメージシーンであることを前提として展開されるビル崩壊やアクロバティックなアクションにサスペンスなど無いが、 その瓦解のスペクタクルで乗り切ってしまう。 そのイメージの中で、髪を切ったシェイリーン・ウッドリーがその澄んだ瞳と、凛とした美しい表情をみせる。 ロベルト・シュベンケ監督となって、120分を切ったのもいい。前作からの説明もそこそこにドラマは進むが、把握には困らない。[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2015-10-25 20:31:40)《改行有》

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