みんなのシネマレビュー
スロウボートさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 73
性別 男性
自己紹介 映画をいっぱい観るようになったのは、大学生になってから。
映画を創作できること自体とてもすごいことだと思うので、
なるべく誠意のあるレビューを書こうと思っています。
好きな映画のレビューだけ書こうと思っていたのですが、
ちょっと個性が埋没してしまいそうなので、おいおい酷評も
入れちゃおう。

☆好きな監督☆

黒澤 明
山中貞雄
溝口健二
エルンスト・ルビッチ
フランク・キャプラ
ビリー・ワイルダー
アルフレッド・ヒッチコック
ミロス・フォアマン
チャン・イーモウ

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

評価順1234
投稿日付順1234
変更日付順1234

61.  12モンキーズ 《ネタバレ》 少々鼻につくような技巧的なプロットですが、娯楽的な要素もたっぷりあるので、この時空を超えた世界観、お遊びにどっぷりつかって楽しんでしまうのが正解だろうと思います。それぞれのシーケンスが言わば、点の集まりであって、これらが順を追って見事に線で繋がっていく仕掛けがとても楽しい。何度も繰り返される空港での射殺のシーケンスは、最初は意味が解らず困惑するものの、否応なく観客の脳裏に焼き付いてしまう。この時点で、観ているものが、あたかも夢の中のこのシーケンスの意味を理解できない主人公と同じ立場に立たされてしまっているところがこの映画の面白いところ。最後の最後でこのシーケンスの意味を解した時には、時すでに遅しです。予め焼きつけれられたフラッシュバックの餌食となって、主人公ともども時空をさまよっていたことに気付きます。一見すれば悲壮感が漂うエンディングですが、救済保険業の下りで、「運命は変わったんだ」と個人的には解釈しています。ラストで自分の死を見つめる少年の眼差し。このクローズアップはとても秀逸で、実に感傷に訴える満点のカット。おそらくこれが未来への光明を暗示しているのではないでしょうか。そう、この少年は自分で運命を切り開き、そして、その未来はきっと明るいのだ。7点(2004-05-25 00:42:02)

62.  座頭市(2003) 驚いたのは色彩です。「銀のこし」処理なのか、デジタル補正なのか解りませんが、ここまで色を落とす必要はなかったのではないでしょうか。これは好みの問題なのかもしれませんが、本作の作風からすればもっと色を強調してやった方が絶対によかったと思います。プロットはまずまず。相変わらず行き当たりばったりの即興的なストーリーであることは明白なのですが、これがなかなか面白くて、結構楽しめました。これはもう完全に北野監督の持ち味。ご都合主義的なお話で、3段落ち、いやラストカットまで含めれば4段落ちの結末ですが、エンターテイメントとしては十分成功しているように思います。もちろん勝新の座頭市とは全くの別物。もっとも同じ勝新の座頭市でも大映シリーズと後の座頭市(89)では、すでに趣を異にしていますので、勝新だってこれくらいは許してくれるはずです。タカの剣術稽古のシーケンスは大爆笑。TVドラマなどの時代劇で見られる殺陣の形式主義を見事に皮肉っていますね。言ってみれば、お約束的な笑いなのですが、わかっていても思わず吹き出してしまう笑いの数々。流石です。タップシーンも圧巻。ただ、これらを「斬新」と評するのはちょっと早計のような気がします。すでに戦前においても、伊丹万作、山中貞雄などが時代劇にこうしたユーモアをちりばめた傑作を残していますし、マキノの時代劇『鴛鴦歌合戦』(39)に至っては完全にミュージカルです。これを初見した時の驚きに比べれば斬新という印象はやっぱり薄いです。この映画に対する斬新という形容詞は現在のTVドラマの時代劇に対して当てはまるものであって、映画史的にみれば、決して斬新なものではないのではないでしょうか。伊丹万作、山中貞雄、稲垣浩らの残した傑作時代劇。TVドラマはいざ知らず、映画史的に見れば、これこそ斬新な時代劇だと思うのです。一方ではリアリティを求め、他方ではそんなものは切り捨てる。そして、あらゆるものを詰め込もうとしたこの映画に漂う妙なアンバランスさは、決して観客に対する迎合(サービス)のみに起因するものではないでしょう。勝新の座頭市からは逃れることはできても、北野監督は、日本の伝統的な時代劇の枠組みからは決して逃れることはしなかった。これは斬新な時代劇などではなく、北野監督が愛した先人へオマージュの塊が生み出した映画でしょう。何しろ、北野監督は時代劇の大ファンなのですから。7点(2004-04-17 01:28:28)(良:2票)

63.  ジャイアンツ まず、ドラマの舞台をベネディクト一家という一つの家庭に限定しながらも、これを親子3代、実に壮大なスケールに仕立て上げた試みに拍手を送りたいと思います。とは言っても、これはなんというか、やはり失敗作なのかも知れません。まず、こうした大河ドラマの命とも言えるプロットですが、これが致命的に弱いような気がします。語りではなく、映像の切り変わりによって、スムーズに時の経過を知らしめるあたりは、実に映画的なのですが、何しろ長尺なので、この流れ一辺倒ではどうしても飽きがきてしまいます。回想などを多用して、時間軸を操作するなど、ある程度プロットに工夫が必要だったのではないでしょうか。時間を順送りせず、もう少し荒削りで乱暴な編集をしても面白かったと思います。どうにも単調すぎて入り込めず、途中、何度も単なる傍観者になってしまっている自分に気付きました。ドラマとしての盛り上がりも、もう一つといったところでしょうか。この映画が内包するテーマは実に多彩。恋愛、結婚、出産、教育、死別、貧困、差別、権力など。しかし、こうしたテーマは、結局のところ、全て「アメリカの光と影」という、一つのありふれたテーマへと集約されてしまっているような気がします。アメリカの精神を描いたベストセラー小説の映画化ですので、これが狙いなのかも知れませんが、人物描写の甘さという大きな犠牲を払ったことは否めません。テキサスという風土は見事に描写されているものの、それを強調するあまり、そこにいる登場人物の肉付けが強引過ぎ、リアリティが欠落してしまっています。風土の中に人間の個性が埋没してしまっては、ドラマとしては面白くないでしょう。唯一の救いがジェームズディーン。特に権力と酒に酔いしれ、そして飲まれてしまった男、ジェットの最後の演説は出色。ラズがジェットを「磨かれていないダイヤモンド」と賞する台詞がありますが、これはまさに演じたジェームズディーンそのものではなかったかと思います。彼の演じたジェットのみが、リアリティを持つことを許され、彼のみがその個性によってアメリカを語り得ました。そして彼は一人で「アメリカの光と影」を演じてしまった。その意味ではこの映画はまさにジェームズディーンの映画。彼がダイアモンドになった姿をスクリーンで観たかった。失敗作と思いつつもなぜか愛すべき映画の一つです。7点(2004-04-13 01:36:38)(良:1票)

64.  死刑執行人もまた死す 《ネタバレ》 マーシャをかばった花屋の老婆が地下室で息を引き取るカット。鉄格子が作り出す長い影の向こうに浮かび上がるやつれた容姿。全編にわたって光と影、そして白と黒のコントラストを効かせた映像が印象的。プロットも秀逸で、前半はややしつこさがあるものの、後半の大胆な編集によるスピード感は圧倒的。一気にテンポアップしていきます。レジスタンスの地下組織でナチのスパイとして活動するチャカ。ゲシュタポそのものではなく、この卑怯千万な裏切り者を陥れて行くという展開が実に面白いです。このあたりはまさに第一級のサスペンス映画。戦争はどうしても集団という群れの中で生きることを人に強いるもの。単独で生き抜いて行くことを容易には許しません。ゲシュタポが生まれれば、レジスタンスが生み出され、一つの組織がもう一つの組織を作り出す。人々はこの組織の一員と成らざるを得ず、結局のところはその動向、形勢によって振り回されることになります。ゲシュタポとレジスタンス。この二つの組織のどちらからもはじき出されたチャカの悲劇はとても興味深いです。卑怯千万な彼の死は自業自得。しかし、徹底的におとしめられた彼の死は、「群衆」の恐ろしさをまざまざと感じさせます。反ナチス映画としてとらえればいいのでしょうが、市民の結束によって果たされたこの復讐劇にも、やはり非人間的なものを感じてしまいます。裁かれることなく撃ち殺されるチャカの死は決して民主的な解決にはなっておらず、まだまだこうした戦いは繰り返される、つまりNot TheEndということなのでしょうか。7点(2004-03-18 20:37:26)(良:4票)

65.  影武者 仲代達矢も名演であったと思います。ですが、武田信玄といえば、イメージとしては仲代達矢より勝新太郎であるのは間違いありません。黒澤監督の絵コンテも勝新太郎のイメージそのままですし、まして降板という事実を知れば、なおさら勝新太郎でなければダメだという思いがするのは当然です。勝と仲代はどちらも名優であることは間違いないと思いますが、本作においては勝新太郎がより似つかわしいキャスティングであることは明白でしょう。もっとも脇を固めた新人や経歴の浅い役者の委縮したような演技はさらに困りものです。違和感がまともに画面に出てしまって、どうしても作品に入り込めないし、メッセージも弱い。黒澤監督のマルチキャメラにはとても耐えられるものではありません。この起用は完全に裏目に出ていると思います。ただ、夢のシーンとラストの長篠の合戦は秀逸。唯一、この作品のテーマが映像によって浮かびあがるのがここです。合戦シーンについて言えば、思う存分の活劇を見せてほしかった気もしますが、スローでつながれた編集によって強烈な「悲哀」がもたらされ、むしろ力のあるシーケンスに仕上がっています。おそらく活劇で見せることは可能であったと思いますが、この「悲哀」が哀れな影武者のクローズアップと相まって見事に無常観を演出しています。テーマを考えればこの選択は正解だったと思います。何しろ、馬が「名演」ですね。本作はカンヌでグランプリを受賞していますが、これは確かにネームバリューという見方もできます。往年の作品群に比べれば、プロットが圧倒的に弱い。ただし、もし、これを他の無名監督が作ったとしたらどうでしょうか。恐らくはそのスケールの大きさゆえに、やっぱり驚いてしまうのではないでしょうか。7点(2004-03-12 22:52:33)(良:2票)

66.  その男、凶暴につき 《ネタバレ》 説明的なショットが山積みになっている映画を、「いやらしい」という言葉で否定する北野監督独自の省略法が見事に成功している作品です。北野のスタイルは、既存の映画に対する彼の否定であったり、嫌悪感から自然に生まれてきたもので、恐らくは理屈ではなく、感覚的なものに起因しているのでしょう。「感覚的」=「行き当たりばったり」の演出というのは、いささか強引かも知れませんが、恐らくは遠からずといったところで、妥当な評価ではないでしょうか。ただ、この「行き当たりばったり」の演出が、明らかに計算され尽くしたものとは違う「戸惑い」のようなものを観客に与えるのは確かで、自分にとって北野作品の魅力はまさにそこにあります。違和感に等しい「戸惑い」。長い静寂と静寂の間に響く唐突で重い銃声。死ぬというよりは、むしろ動かなくなった人間。そして物体のように転がる死体。断末魔の声もなく、そばで泣きじゃくる人もいない。映画にしてしまえば、観るものを戸惑わせるこれらの演出も、実は北野のリアティ。そして、本作で何よりも恐ろしいのは、警察と麻薬組織の対決という、いわば非日常的な裏の世界を日常的な風景の中で描いていること。例えば、ガサ入れのシーケンスでは、刑事の一人が野球をしている少年の目の前で頭をかち割られる。しかも、凶器はその少年らが使用していたバット。たけしが殺し屋に襲われるシーケンスでも、たけしのかわした銃弾が何の脈絡もなく、そこに通りかかった関係のない通行人の頭を打ち抜く。見なれた風景をバックしたこの惨劇の恐さ。ただし、ラストシーケンスは明らかに蛇足でしょう。あれこそ、まさに「いやらしい」カットなのでは、と思いますがどうでしょうか。7点(2004-02-28 00:37:09)(良:6票)

67.  生きものの記録 精神病患者となってしまった老人を、家庭裁判所の男と老人の妾が見舞いに訪れるラストがとても素晴らしい。このシーケンスにこの物語の全てが集約されていると言っても過言ではないでしょう。妾の背に抱かれた赤ん坊の寝顔がほんとうに印象的で、「何も知らん赤ん坊を水爆なんぞに殺されてたまるか」と言う老人の台詞に素直に共感させられ、「狂っているのはあの老人なのか、それとも正気でいられる我々なのか」という最後の問いかけには思わず言葉に窮してしまいました。登場人物の中で、老人の理解者として印象づけられるのは、血縁関係にある妻や息子達ではなく、見舞いに訪れた家庭裁判所の男であり、妾という、いわば他人である人物です。実際、彼等の立場は非常に弱く、実に無力な存在として描かれ、黒澤監督は、ここに「正しきもの=無力」という図式を作り出し、社会に対する怒りとも言うべきメッセージを全面に打ち出しています。原水爆反対という社会的な大テーマを家族ドラマの中で訴えようとしたことでかなり無理が生じている部分もありますが、メッセージは徹底的に強く、娯楽は徹底的に面白くというように、作品のコンセプトがはっきりしているところが黒澤監督の魅力。作品の中でとことん突っ走ってしまう黒澤監督は良い意味でとても「不器用」な監督だと思います。これは娯楽大作でも同じだと思うのですが、実にわかりやすく明確なテーマを持って突っ走った本作は、特にその「不器用」さがまともにでている作品と言えるでしょう。原水爆というものに対する知識や理解については、現在では随分変わってきていると言えども、この映画で黒澤監督の発したメッセージはとても重要だと思いますし、強く共感できます。マルチキャメラ方式を採用した最初の作品であり、早坂文雄の遺作となった作品。ちなみに興行成績は黒澤作品中で最低らしく、こんなところもまた良かったりします。7点(2004-02-21 23:55:10)(良:1票)

68.  JAWS/ジョーズ 人間が鮫に襲われるという、パニック映画としてはなかなかリアリティを持った設定で、その心理的恐怖を利用しまくって、全編に切れ目のないスリル感を持たせているところが人気の理由でしょう。編集技術も素晴らしく、海面付近を不安定に出入りするキャメラは、鮫と人間の視点を交互に演じながら、絶妙のタイミングでつながれ、観客にあたかも海中にいるかのような臨場感を味わせます。リアリティを演出するために用意された学者の存在。自然界を畏敬するものと軽んじるものの対立。前者は生き残り、後者は次々と犠牲になっていく。パニック映画の一応のセオリーは踏まえ、「人類への警告」という定番のメッセージは確かに存在してるものの、一貫してエンターテーメントを追い求めたことで、こうしたテーマは完全に薄らいでいるような印象です。友情ドラマや家族ドラマなどにあまり寄り道せず、人間と鮫の対決に終止したことも重要で、脇道を断つことで、緊張感を持続して行きます。テーマの幼稚性や単調さゆえに、オスカーを長年取れなかったスピルバーグですが、逆にそこがスピルバーグのテリトリー。少年のような純朴な映画愛こそ彼の魅力です。この映画も、若きスピルバーグがなんとかして観客に楽しんでもらおうという純朴な思いがにじみ出ていて好きな作品です。オスカーを取れなかった頃のスピルバーグがやっぱり好きです。7点(2004-02-14 01:52:18)(良:1票)

69.  HERO(2002) 《ネタバレ》 偽りの証言を繰り返しながら、20歩、10歩と徐々に秦王に近付いていく剣士。否応にも緊張感が高まりそうな見事な設定ですが、ここでスリルやサスペンスを追い求めることに固執しなかったところがいかにもチャンイーモウ監督らしい。と言うよりも、これらの設定は単なる「おとり」で、この映画で彼が求めたのはスリルやサスペンスではなく、彼本来の人間ドラマでしょう。さらに言ってしまえば、この映画では、アクションまでもがイメージとも言うべき印象の集合体と化しています。ワイヤーに吊るされているのは人ではなく、人の魂。血もなく、あくまでも優雅で圧倒的な映像美をもって示される決闘シーンは、感情の衝突や心のふれ合いなどが印象として現れた人間ドラマそのもの。人工的に作り出された情景がまるで絵画のような情緒をもたらしますが、ラストで剣士が手厚く葬られている様は強いインパクトを残します。アクションでもスリルでもサスペンスでもない、骨の太い人間ドラマこそ、この映画の真髄でしょう。7点(2004-02-11 00:57:28)

70.  Shall we ダンス?(1995) 題材は風変わりで斬新ですが、画づくりは割と古風なところが魅力的です。デブっちょに関西弁のおじさん、奥手でまじめな主人公。この3人組のおかしなやり取りと、正面からの漫画ショットは、小津安二郎監督を敬愛する周防監督ならではの風合いです。特に、カットとカットを滑らかにつながず、あいだにワンテンポの「間」を取る編集によってもたらされる笑いの数々は、ツボにはまった人にはこたえられません。正面からの漫画ショットだからこそ、この「間」がよく効いています。以前、ちょっとだけですが、やっぱり社交ダンスをやっていたことがあるのですが、最初は照れくさいのとステップをうまくしなきゃって思うのとで、ついつい下を向いて踊ってしまうんですよね。そんな初心者が必ずしでかす典型的なパターンも「顔を上げて!」って、ちゃんと取り入れられています。こうしたところは取材もちゃんとされていて、思わず大爆笑してしまいました。相撲に社交ダンスに、次は何?っていう期待も高まりますが、異色の題材としてあとに続いた『ウオーターボーイズ』などの成功によって、邦画成功の一つの形を決定づけたこの作品の価値はさらに高まったという気がします。7点(2004-01-23 01:19:25)

71.   《ネタバレ》 楓の方が首をきられるシーンでの躍動感と凄み、大炎上する城、ラスト近くで三郎が矢に倒れるシーンでの衝撃など、見応えのある場面が点在していますが、途中で何回か息切れをしてる感があります。新人や素人の役者を使い、自然な演技を求めたというものの、逆にあまりにもお芝居が堅く、効果的ではない気がします。『影武者』にも言えることですが、違和感すら覚え、作品に入り込めない一つの要因になっているような気がします。また、秀虎が発狂する場面も「大殿が狂われた!」と衝撃的な演出で成功していますが、この後、この狂った様をピーターとの絡みで何度も繰り返し描かれるとさすがに流れが悪い。もちろん狂言の様式を取り入れた台詞のやり取りは往年の力量で、個々のシークエンスとしては評価できますが、あまりにも同じ要素を持ったシーケンスが次々と繰り返されるのは評価の分かれるところ。ただ、この作品は一文字家の家紋が「日」と「月」を象った、「明」であって、秀虎はまさに黒澤の分身との意が強い。その意味では、他の作品に比べて、特に個人的な趣向が直接的に作品に反映されている、いわばライフワークと考えてもよく、多少のしつこさは致し方ないところか。とにもかくにも、この作品は黒澤監督がやっと自分の為に映画を作れた作品であると位置づけたいのですが、こうした重要な作品に黒澤の最良の分身であった三船がいない、ということはやっぱり悲劇であったという気がします。往年の作品に比べて、何か悲壮感が漂うこの作品も、三船であったならば、何か違った演出を試みたのではないか、と思われてなりません。 7点(2003-10-28 00:52:56)(良:2票)

72.  下妻物語 これはなんとも困った映画です。だって面白いんだもん。でも、これは映画じゃなくて、漫画ですよね。カットが多過ぎる上に、カット割りが映画のそれとは違うし、この独特のモンタージュには多少戸惑いました。おまけに、何の躊躇もなく役者がキャメラ目線で観客に話しかけるという、こうゆう文法はとても苦手。アニメーションのインサートに違和感はありません。でも、正直に言うと、これもちょっと苦手。水野晴夫が登場するシーケンスでは僕も大爆笑。でも、このシーケンスは単なる「笑い」以外に奉仕しているものは何もないのではないでしょうか。映画における「笑い」とは、そこにウェットがあったり、反語的な意味が含まれていたり、あるいは人物の個性を表現したり、映画を色づけるもっと広意義なものでなくてはならないのではないでしょうか。つまり、このシーケンスはどこにも繋がらず、そして何も残してはくれない。これでは単なる「お笑い」です。僕が本当は傑作である本作を見誤っているのかも知れませんし、大事な部分を見逃しているのかも知れません。あるいは単にこの文法が体質に合わないのか。云々。確かに思いっきり笑わせてもらいましたので、それが狙いだと言われれば、これは納得するしか仕方がありません。そうゆう映画なんだと。そしてこれは才能なんだと。でもやっぱりこれでいいんだろうか?という疑問も脳裏をよぎります。笑えなかったら思いっきりブッタ斬るのもよかったのですが、僕は思いっきり笑ってしまいました。でも、なにか釈然としない。なんとも困った映画です。映画ってこれでいいのだろうかって言う意味において。斬新な映画とは、映画ではなくなることでは決して無いのです。素晴らしいお手本がいっぱいあるのにどうしてそれを真似しないのか。こうゆう映画はレビューなどせず、放置しておくべきとは思ったのですが。。。とりあえず、中途半端に4点ということで。。。ダメ?。おまえ思いっきり笑ってたじゃないかって?。やっぱダメか。。。じゃ、5点。これ以上は無理かなって気がします。5点(2004-12-26 22:43:24)(良:4票)

73.  ヴァン・ヘルシング ヴァンパイアにフランケンシュタインということで、是非とも観ておきたい映画の一つでしたが、ある意味何やら非常に嫌な予感がする映画でもあったので、遅ればせながらやっと鑑賞の運びとなりました。結果としては、この嫌な予感が見事に的中。冒頭から効果音と音楽がひっきりなしに鳴り響き、あまりの仰々しさに思わず閉口してしまいました。テンションが上がったまま、上がりっ放しで、壊れちゃった映画です。映画は物語を自由に創作していくものなので、辻褄が合わないとかそうゆう部分を突っ込むのはあまり好きではありません。でもこの映画はそれいぜんにストーリーらしいストーリーがほとんどありません。つまるところ、食材は豪華なのに味が全くしない料理を食べているかのようです。こっちまで壊れそうでした。映画に入り込める一つの要素としては、この次一体どうなるんだろうとか、最後はどうなっちゃうのかな、といったモチベーションがある程度必要だと思いますが、この映画には「別にどうなってもいいや」としか思えないほどの薄っぺらなプロットしか存在していません。何しろ、全編ほとんど決闘、対決シーンなんですから。おかげで何度も途中退場を申し入れようとしましたが、結局、最後までこのけたたましい作品にお付き合いしました。そんなにこけおろすなら、最初から観るなと言われそうですが、ほんとその通りです。これは観るべきではなかった。選択した自分がダメダメ君だったとしか言い様がありません。というわけで、これはヴァンパイアとフランケンシュタインの味のないフルコース。もう少しで倒れそうでした。個人的にはあまりお勧めできない映画です。2点(2004-10-03 04:05:20)(良:1票)

000.00%
100.00%
211.37%
300.00%
400.00%
511.37%
600.00%
71419.18%
82432.88%
92635.62%
1079.59%

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS