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プロフィール
コメント数 296
性別 女性
ホームページ kawamari7.hatenablog.com (質問と建設的な指摘をお待ちしています。JTNEWSに届けてあるほうでは文字化けします。)
自己紹介 取り締まる法律が必要な(1)XX中毒。生まれた場所のせいで3歳で兆候が現れ、13歳で表彰状物の重症に、今ではより強い刺激を求め(2)X屋の中だけではなくこのサイトに出没、ネットで(3)XXXXXXがないかと探し回るのに誰も助けてくれません。KW = 「かわまり」「はてなブログ」で原子力開発関連の「プロメテウス達よ」と19世紀ヨーロッパを夢と詩で描いた「黄昏のエポック」を公開しています。  (Xの数に文字数が一致する言葉を入れてください。)

空欄の答え:(1)XX=「言語」、「活字」も可、(2)X=「本」、(3)XXXXXX=「読める外国語」、キリスト教国際病院で生まれ、宗教は仏教。

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61.  カラーパープル(1985) あらすじに書けなかったことを淀川長治さんの言葉を借りて言うと「この映画は映像の詩」です。加えて音楽が雰囲気にぴったりですばらしい。この映画のサントラ盤(なぜかクインシー・ジョーンズの音楽ということになっていますが、これどういうこと?)のCDは私の宝物です。「おまえは黒人だ!」という言葉が「自分の文化に誇りを持て!」という意味で発せられるのは黒人ジャズ・ミュージシャンなどが輩出した後、しかも都会でのことで、この時代アメリカ南部では黒人を馬鹿にするために発せられていたようです。(主人公の夫も主人公に向かって馬鹿にする意味で言っています。)平凡な黒人を描いてこれほどのパワーのある作品ができるのだから非凡な黒人を描いてオスカーをどんどん狙ってほしいです。芸術家ならチャーリー・パーカーかマイルス・デービス、社会運動家や政治家ならノーベル平和賞を受賞したキング牧師やラルフ・バンチ博士・・・黒人俳優よがんばれ!9点(2004-03-02 02:15:53)

62.  ロミオとジュリエット(1968) これはもう正統派、古典的作品そのものです。きらびやかな衣装や中世イタリアの都市と名門の家庭の室内の調度に至るまでに気配りがなされているようで、舞台を模倣しながら舞台にはできない映画の世界を築いています。レナード・ホワイティングとオリビア・ハッセーも若々しくて綺麗だしニーノ・ロータの音楽が吟遊詩人の弾き語りになったり葬式の時のコーラスになったり雰囲気を盛り上がるいわゆる普通のBGMとして使われていたりするのもいろんな音楽を混ぜて使うよりも効果的に感じました。9点(2004-02-08 02:19:35)

63.  司祭 同性愛が犯罪に近い行為として非難される保守的な国でのストーリー。初老の司祭と若い司祭の二人によって運営されているカトリックの教会で初老の司祭は家政婦とできていて若いほうはゲイだという設定、もちろん教会は信者に頼られる全く普通の教会です。ローマ法王はこの映画の上演に反対したそうですが、アメリカで司教(司祭の上)を始めとする何人かのカトリックの聖職者が幼児愛で実際に告訴された時にはローマ法王は「こんなことするのはおまえらだけだ。恥を知れ!」と教会のイントラネットか何かで激怒の言葉を送ったことでしょう。神に使える聖職者が食べたり寝たりを別としてどれほど普通の人間並みの生活をしていいものかは昔から問われてきた問題で、ルネッサンス期には一時期、枢機卿(法王の下)以下に試験的に結婚(といっても内縁の)が許されていたそうです。でも教会の財産を着服したりするような者が妻子ある聖職者の中から出てきたりしてあまりいいことがなかったせいでカトリックの聖職者の結婚は結局禁じられたようです。ユダヤ教のラバイやプロテスタントの牧師は本質的には「教師」であり、清貧に徹する代わりに結婚は許されていますが、カトリックの聖職者はラバイや牧師とは大きく異なります。一般人がカトリックの聖職者のモラルについてとやかく言うのは簡単ですが、この作品を見ると、先輩の司祭の情事にはみんな薄々気づきながら目をつむり、また自分は精神的に苦しむ教区の信者を支えようと精一杯努力しているのに同性愛者として厳しく非難される若いグレッグ司祭の孤独がひしひしと伝わってきました。9点(2004-02-07 12:02:03)(良:1票)

64.  デッドマン・ウォーキング 《ネタバレ》 日本では死刑執行直前の死刑囚に僧侶が説教をするそうです。坊さんは何をどう話すのか、魂を救済することが宗教家の仕事だとすればこの役割はやりがいがあるのかどうか、といった疑問にこの映画でキリスト教のシスターの役を演じたスーザン・サランドンが答えてくれます。日本と異なり、長期間この役割を果たします。サランドンの大きな目に湛えられた無言の訴えかけに引き込まれました。「あなたは一人ではありません。私はあなたの魂を救うためにやってきました・・・。」でも、ふてぶてしい面がまえの死刑囚(ショーン・ペン)は心を開こうとはしません。「この男は恥ずかしがり屋で自分の問題を人に話さなかったから悪の道にのめりこんでいったのに違いない。」と説明することはできてもこの男に殺された人は戻ってはきません。シスターが車をとばす周囲の田園風景が美しく、「あの男はもうじきこんな風景を見ることもできない暗闇に追いやられるんだ。」と理不尽な気持ちになり、その後で「あの男は自分の手で複数の人間をこんな風景を見ることもできない暗闇に追いやったんだ。」ともっと理不尽な気持ちになります。この映画の製作者は映画という媒体ができる全てをし尽くしたといえます。ただ、作品中のセピア色の回想シーンは現実には神と真犯人しか知りえない視覚イメージだということだけは忘れてはならないと思います。法曹制度上、あるいは道徳的に事件に関わる全ての人間は証拠の積み重ねと論理によって判断を下すことしかできません。神ならぬ人間がそこで間違いを犯さないと言えるでしょうか?それでもなお、本当の意味での裁きや贖罪は真犯人が非難や拷問などの外的な圧力なしに自分の犯した行為を釈明した時にしか実行されえないし、また、されるべきではないと思います。だから、この作品中の死刑囚は制限時間ぎりぎりで生きて贖罪を果たして州法によって正しく裁かれましたし、死刑囚をその境地に導いたシスターの役割には大きな意義があると思います。 (☆アメリカの死刑制度について「エピソード・小ネタ」をご覧ください。)9点(2004-02-02 08:23:15)(良:2票)

65.  戦場のピアニスト 原題はただの「ピアニスト」。そうでなくてもタイトルに惹かれてピアノ演奏を聴こうと映画館に足を運ぶ音楽ファンは多いと思いますが、作品中演奏されるピアノ曲は多くはありません。ピアノ演奏のためにこの映画を見ようと思った方は忍耐を強いられます。でも、そんな忍耐、ナチの脅威に晒されながら逃げまくった実在のピアニストの忍耐には比べようがないでしょう。ナチの暴虐、非人道性はこの手の作品では当たり前のように出てきますがその中にちらりと「ドイツ人だって芸術もわかるし家族もいる人間なんだ・・・。」あるいは「時代が悪かった。」というやるせないメッセージが汲み取れれば映画を見る鑑賞態度は及第点。もちろん、そこは抑えて抑えて表現されています。敢えてネタばれを恐れず言うならば、最後のシーンで主人公が生き延びた喜びを謳歌するかのようにショパンの「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」を弾きます。彼の両親も兄弟姉妹もみんな殺されちゃったんでしょうに・・・。でも、ラストがショパンの葬送行進曲じゃさまにならないですからね・・・。薄暗い色調の画面の中で展開される主人公の孤独と不安のサスペンスは圧巻ですが、主人公が生き延びたからこそこの映画ができたという事実も見る前から自明・・・。むしろ、生き延びるために主人公同様の壮絶な努力をしながらもあっけなく殺されていったユダヤ人が大勢いたという事実を肝に銘じるべきでしょう。この映画はナチの歴史のほんの氷山の一角を見せ、残りを想像にゆだねているところに価値があると思います。9点(2004-01-22 10:49:20)(良:1票)

66.  さらば、わが愛/覇王別姫 人類全体(と言おうかあえて言えば全世界の女性)に対して有益この上ない同性愛関係、あるいは徹底的なプロフェッショナリズムのお話として私はこの作品を見ました。日本でも坂東玉三郎を追い回す熱烈なファンは女性がほとんどだし、この映画の中でもレスリー・チェン扮する女形に向かって客席で涙を流しながら手を振っている女性が写し出されていました。歌舞伎でも京劇でも女形は女性の美しさとその本質を体現することを職業とするプロなのです。暁楼の妻を演じるコン・リーの美しさをもってしてもプロとしての女形の人工的な美しさには及ぶべくもないと感じたのは私だけでしょうか?それにしてもコン・リーって強い女しか演じられない女優みたいです。ここまで徹底して女性の美しさを表現しつくすプロに対抗しようと思ったら本当の女性はしおらしく、か弱く振舞うしか太刀打ちするすべがないと思うんですけどね・・・。全体的にはストーリーや音楽、レスリー・チェンに満点、その他(少年役やコン・リー)でちょっと減点といったところです。前半の主人公の暗い子供時代に関しては「いい映画を鑑賞するためには忍耐も必要」の一言・・・初めてみる方、我慢して付き合ってあげてください。幼年時代の主人公はレスリー・チャンにそっくりなのに少年役が全く似ていないことを点数に加味するのは不当でしょうが、相棒の石頭(暁楼)は幼年時代には末恐ろしいほど豪胆な性格で少年時代はモチベーションの高い秀才だったのに大人になってからは確かに尻すぼみですよね。 ノーカットバージョン(海賊版?)では蝶衣が侵略者日本軍の将校の前で普段着の素顔で舞う場面があり、生き生きとした表情と相まって主人公の芸術至上主義がわかる好場面だったのにビデオなどではカットされているのが残念です。9点(2004-01-22 04:39:26)

67.  ゴジラ-1.0 《ネタバレ》 正論を吐く理系官僚ということで財務省をいびり出されたインフルエンサーの某氏が「既に4回見たがまだ何回か見るつもり」と言ったので怪獣映画は子供の頃から嫌いでしたが見に行きました。主演はNHK の朝ドラで植物学者の役をやった神木くんじゃないですか。途中でゴジラは今まで日本の国土と国民を脅かした地震、台風、津波、B29(空襲)、原爆におまけの蒙古襲来を全部足したもののアレゴリー(比喩)じゃないのかと気づいてからは「ゴジラを倒すのがウルトラマンだったりしたらわたしは出口で観覧料の返金を要求するぞ!」と息巻きましたが幸いにしてそんなこともなく最後は国土を襲うどんな災難も他国のせいにはせずにゴジラの姿に結晶させて科学技術とチームワークで立ち向かい、決して他国のせいにしたりはしない、ましてや十倍返しにしたりしない日本人の賢さと優しさに感涙しました。さて、日本は第二次世界大戦の終盤で英米の科学者がナチスドイツを倒すために製造した原子爆弾の被害を被りましたが原爆製造で功績のあった科学者四巨頭(オッペンハイマー、フェルミ、ロレンス、コンプトン)の原子爆弾を日本に投下すべきか否かの議論には結論が出ず、議長のオッペンハイマーは「わたし達4人の科学者はそれぞれ一票の投票権を持つ市民でしかありません!」と結論を放棄してしまいました。では誰が広島・長崎の原爆投下を決めたかというと時のトルーマン大統領だと言うのは簡単ですがトルーマンに復讐することはできないし、トルーマンを大統領に選んだアメリカ人に十倍返しをするのは憎悪の連鎖を生むだけだし⋯結局ゴジラにしてしまった方が全て平和裡におさまるわけです。日本の周囲には大きな大陸国と小さな半島国が何をしでかすかわからない状態にありますが、これから何が起きてもゴジラを倒すつもりで対処できればと思います。[映画館(邦画)] 8点(2024-03-20 19:10:20)(笑:1票) (良:2票)

68.  ドライブ・マイ・カー 《ネタバレ》 村上春樹氏の原作は映画観賞予定の前日の夜に読破⋯と言っても短い作品なのでなぜこれが3時間の超大作でしかもアカデミー賞を受賞したのかワケわかめ状態で映画館に入りました。理由は簡単にわかりました。わたしがダ~~イ好きな劇中劇、しかも劇を作っていくと言うオハナシが入れ子になっているではないですか! 類似の作品として本サイトでもカルロス・サウラ監督の「カルメン」と「タンゴ」にわたくし奴がレビューとあらすじを書いておりますのでDVDなどで是非ご覧ください。但し両者共に音楽劇(前者はギターが伴奏のフラメンコ劇で後者はミュージカル)なのに対して本作は純粋な話劇を作るお話で人間関係ももっと複雑だしなんと言っても3作共通の主演でディレクター役の中年男優の中では本作の西島秀俊がダントツに魅力的です。観賞中に目を背けたくなったのは濡れ場ではなく例の男の高槻が運転しながら家福と長々と家福の死んだ妻について語り合うシーンです。正直言ってこんな運転をする奴はまともな男か間男かとは関係なく立木かガードレールに激突して死んでしまえばいいと思いましたが類似の結末になってひとまず安心です。家福と高槻と後部座席にみさきちゃんが乗った車は自損事故も他損事故も起こしませんので安心して観賞してください。但し高槻のような運転は絶対にNGです。みさきちゃんのような運転を心がけましょう。 全般的に練習が進んで日に日に劇としての骨格や登場人物の個性という色彩を備えていく舞台に比べて現実の方が色褪せて見えました。早春の広島から北海道に行くのには車より飛行機の方がいいとか履いている靴は皮靴かスニーカーかとかばかり気になったのに引き換え、虚構である演劇の世界では北京語の女優と韓国語手話の女優の間に一瞬通った魂の交流は真実を描いて余りあるシーンだったし家福が高槻に語るチェーホフ劇の魅力と魔力にも納得、虚構を通して真実を描く演劇人としての家福の姿は清々しかったです。 ここで小ネタです。軍事侵攻後に西側ライセンスビジネスのロシアからの撤退が相次いだことは周知ですが、ロシアのKFCは店の旗印を紅白のC.S.おじさんのものから赤地に黄色の”B”の字を染め抜いたものに変え、店名を全て「ワーニャおじさん」に変えたそうです。 ロシア語表記では「ワーニャ」の頭文字がBなんだそうで、旗は全てマクドナルドから譲り受けたものを90度回転して使っているそうです。詳しくは https://youtu.be/XPsO65jOGoY をご覧ください。小ネタ2として家福の妻は原作では子宮癌で亡くなりましたが子宮癌には体癌と頸癌があって40歳代だったらしい家福の妻は前者には若すぎます。(映画でのくも膜下出血もかなり無理筋っぽいですが⋯}、後者(頸癌)はイスラム教徒の女性と未婚(未経験)の女性は罹患率がほぼゼロなのですがその理由は自分で調べてください。「ワーニャ伯父さん」岩波文庫の電子版を映画館の中で予告の間にダウンロードしたのでこれから読みます。[映画館(字幕)] 8点(2022-04-06 19:37:24)《改行有》

69.  蝶々夫人 《ネタバレ》 あるインタビュー番組で八千草薫が青春時代の思い出として口パクとはいえ懸命に役作りをして歌詞も全部覚えたことをあまりに懐かしそうに語ったのでDVDを探しまくって国際通販サイトを通じてスペインから購入しました。八千草薫にこだわらなければ名指揮者、名男性歌手(蝶々夫人の相手役のアメリカ人は贔屓の歌手にはあまりやってほしくないけれど…)、主演は中国人女性歌手だったり白人の名女性歌手だったりとか各種ありますがこの版では(明治維新直後の日本の状況の説明がスペイン語なのは仕方がないとして)東宝が美術と日本人のキャスティングを担当しているだけあって、これがカラー作品だったらとため息が出ました。そのせいか台詞・歌唱のない日本の伝統音楽を次々とオーケストラ演奏で聴くことができ、その合間合間に歌われる蝶々夫人とアメリカ人士官ピンカートンのアリアやデュエットはあくまでも甘く、はたまた糸引きモッツアレラチーズのようでした。ストーリーは改めて紹介するまでもなく、元武家の娘の蝶々さんとアメリカ人士官の文化を超えたラブストーリーがアメリカ人の方の裏切りで蝶々さんの武家のしきたりに従った自害に終わるという悲劇です。なんだか日本の異国情緒をてんこ盛りにして舞台にのっけるためにストーリーを作り、「純心で高貴な日本女性を欺く薄情男はアメリカ人にしちゃえ!」みたいな作品で、そのせいかイタリアでの初演は不評だったそうですが、まあそれでもいいじゃないというのが感想です。一応、日本の高い文化や美意識は表現されているし、若き日の八千草薫は純心で高貴な雰囲気をよく出しているし…、ということで八千草薫のファンにはお勧めです。初演は不評ながらいろんな主演女性歌手で再演され続けている理由は納得できます。[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2021-09-01 18:20:58)(良:1票)

70.  大いなる遺産(1998) これもあらすじを投稿してから十年もの間レビュー投稿を忘れていた作品。作品中でイーサン・ホークが演じる一流画家の才能を秘めた漁師の青年フィンの絵画にかける想いに焦点が当てられるわけでもなく、少女から女へ変化していくミステリアスなエステラに対するフィンの恋心に焦点が当てられるわけでもなく、ストーリー的には「中途半端やなあ」という感想しかない本作品に超アマ8点をつける理由はひとえにフィンが描いたことになっている洒脱な絵に魅せられたからです。でもフィン人生はそれでいいのではないかと思います。本当はこうなって、ああなっていればストーリー的に面白いのに、とかもっと幸せになれたとかいういけんを戦わせてみるのもいいかもしれません。映像美は抜群です。[DVD(字幕)] 8点(2020-06-01 07:13:42)(良:1票)

71.  炎の人ゴッホ 《ネタバレ》 長かった。しかも前半ではゴッホの絵はほとんど出てきません。オランダで炭鉱労働者に同情して説教師の傍ら彼らの生活を描くことから画家として出発したゴッホは一説によると売春で自分と子供との生計を立てていたという貧しいシングルマザーに振られ、ものの本によるとイギリスでも誰かに振られ、他人に対する共感性多過だと返って女性には振られやすいのかもしれませんが、彼自身それほど頼り甲斐のある男だったかというとそんなことはなかったわけで、どうせ一夫一婦の誓いを立てて身を捧げるなら、例えば画家に転身する前のポール・ゴーギャンのような稼ぐ男の方が絶対にいいです。そして弟テオの誘いで流れ流れてフランスのパリから南仏のアルル、パリ郊外のサンレミとゴッホの長い長い忍耐の旅が続くのですがこの旅に付き合って退屈させられないのはゴッホと同じくらい共感性の高い人だけかもしれず、そういう人ならこの作品に10点満点をつけるかもしれませんが、わたしは残念ながらそうではないのでこの点数です。アルルでの開放感とゴーギャンとの共同生活と苦い喧嘩別れを起点としてゴッホ特有の数々の名作が生まれるわけですが、ここに至るまでに本作品の鑑賞者が強いられる忍耐はゴッホ自身の忍耐とは比べものにならないはずなので我慢して鑑賞しましょう。絵画に生命力を爆発させたゴッホの生涯を演じたカーク・ダグラスには「迫真の名演技」を超えるものがあります。なぜならゴッホ自身が自殺を遂げてその肉体が滅びた後もゴッホが描いた数々の絵画はこの世に残り、それらに感動を覚える俳優ならゴッホの精神の軌跡を言動で表現することは絵画を見ることと同等なのです。[DVD(字幕)] 8点(2020-06-01 02:32:11)

72.  マルサの女 あらすじを書いた後で直ぐにレビューを書かず、そのうち「こんな名作、みんなが寄ってたかって書くからいい!」というズボラ根性を発揮し、そのうち書いたような気になっていました。この作品、印鑑文化とか銀行通帳といった日本ならではの慣習をキーとして描写しながらも世界中、特にアメリカで大受けしたのはやはりタックスポリスと脱税者というお金だけを巡るせめぎ合いを描いたおそらく世界初の作品だったからでしょう。山崎努が演じる守銭奴の権藤は「奥さんに本当に惚れていたら離婚して慰謝料をガバっとやってから再婚するんだぜ。慰謝料は非課税だからな。」と合法手段での節税からきわどい手段までを駆使するなぜか憎めない男ですし、彼に相対するマルサの女も「再婚する前に奥さんが逃げちゃうかもね。」というなかなかのキレ者でこの二人のやりとりが最後まで息をつかせませんでした。[ビデオ(邦画)] 8点(2020-05-30 11:34:05)

73.  千と千尋の神隠し 巻頭では無気力で新しい環境に適応する気もない女の子の千尋が両親と共に廃墟になったテーマパークらしい場所に迷い込んで好奇心が旺盛であって然るべき子供らしくもなく「帰りたい。進みたくない。」とゴネるという決して魅力的とは言えない始まり方なのですが、両親がブタに変えられ、野原だった入り口のゲートと江戸風の街路との間が海か湖に変わって大きな遊覧船が千尋に向かって進、接岸すると胴体が無い仮面が下船してくる下り(その間、沖縄の音楽のようなBGM)から俄然興味が湧いてきました。そしてミステリアスな昔の装束を纏った禿(かむろ=おかっぱ)頭の少年ハクの出現。。。 ハクはその後も、千尋が魔女の湯ババによって名前を「セン」と変えられた後もずっと超自然の世界で影に日向に千尋を守ろうとするのですがその理由が明かされるのはずっと後になってからです。しかし、千尋が経験した世界は超自然の世界ではなく、わたしたちが暮らす世界そのものなのでは無いでしょうか? ただ万物に宿る精霊たち、日本風に言えば八百万(やおよろず)の神々は通常は万象の影に身を潜めているのかもしれません。そしてそれらの中にはハクやリンのようにわたしたちを支えて助けてくれる精霊たちが多く存在し、湯ババ、銭ババや顔なしのように全悪の判別が難しいものも多くいるのです。人間の想像力が精霊たちを生かし、精霊たちに人間が生かされるのは日本ならではと言えるかもしれませんが、西欧でもハローウィンに奇怪な面をつけて練り歩いたり妖精の存在を信じたりと、一神教が行き渡っても今なお万物に宿る神秘的な存在を感じる人々がいるからこそ、この作品は欧米でも多くの人を惹きつけるのだと思います。[DVD(邦画)] 8点(2020-04-13 02:10:04)

74.  平成狸合戦ぽんぽこ - [x] この作品は多摩丘陵のお話ですがタヌキは結構適応力があって東京二十三区内どころか山手線の中でも皇居、新宿御苑、明治神宮、護国寺、増上寺などタヌキがいそうな場所を多く思い浮かべることができます。ぞのタヌキたちがどうやって食べているかというとやはり夜な夜な森林地域から出てレストランの残飯を漁ったり残飯を漁るネズミを捕食したりして結構栄養バランスの良い食生活を送っているのではないかと思われます。ただキツネと違って脅かされると気絶したりマヌケな仕草や生態があるらしくそれだけ親しみを感じさせます。作品中のタヌキたちは人間のように直立して環境保全の策を練っている時にはイラストが巧みな人が一筆書きで描くような単純な線でユーモラスに描かれていますが、四国のタヌキたちが戦列に加わってから一目で水木しげるさんの筆だとわかるゴージャスと言いたいほどの精緻な化け物や妖怪がオンパレードで、もしも東京に生息しているタヌキたちが訳が分かって水木しげるさんのイラストを見たらさぞ面映いことだろうと思います。タヌキによる環境保全という主張はありますがタヌキの方がキツネよりもずっと適応力があるのではないかと思わせ、わたしたちをある意味なごませてくれると思います。[DVD(邦画)] 8点(2020-04-12 08:55:55)

75.  コッポラの胡蝶の夢 《ネタバレ》 邦題の「胡蝶の夢」というタイトルよりも「邯鄲の夢」と言うタイトルが相応しいと思える内容ですが、高校の漢文の授業を思い出してもらっては困るのでこのようにしたようです。と言っても正式な邦題も中国の古典である「壮子」、直接的には作品の最後の方でのドミニクと同僚らしい年配者との集いでの会話から来ています。老子と並ぶ道教の思想家である壮子は西欧の芸術家に多大な影響を与えました。わたしが知る限りではメキシコ人ノーベル賞詩人兼哲学者でスペイン語圏に俳句を導入したオクタヴィオ・パスが「胡蝶の夢」というタイトルの詩を書いていたはずですで監督のコッポラも壮子の胡蝶と邯鄲の故事の両方を知らなかったはずはありません。そして中国語の習得に励むドミニクが書いた最後の漢字は「未熟、無知」を表す「蒙」です。それはいいとして、中盤からドミニクがナチスの秘密警察に追われるようになった経緯はよく耳を傾けたのですがわかりませんでした。ストーリーはハンガリーの首都のブダペストで始まり。ドミニクは精神科医の助けで中立国スイスに逃げ、そこで戦後になってヴェロニカと出会うのだと思うのですが、間違っていたらごめんなさい。でも今回2度目となる鑑賞ではそれらはどうでもいいことだとわかっていました。ただ、東欧の良識ある人々にとって、特に第一次世界大戦終結までオーストリアと同じ君主を元首として戴いていた独立国のハンガリーにとって、1939年にオーストリアがナチスソイツに無血併合されたことは悪夢のような出来事だったに違いなく、第二次世界大戦後そのままソビエト連邦の傘下に入ったこともまた然りだったということは記憶に留めないといけません。この作品が制作されたのはベルリンの壁が崩壊して9年後ですが、ナチスドイツとソ連の支配下から脱することができた東欧の人々はこの頃ようやく自分の頬をつねっては「醒めない悪夢はないのね。」と呟き始めたのではないでしょうか? バルカン半島だけは1984年に自由ろ繁栄を謳歌する冬季オリンピックを主催した後で民族抗争の嵐に見舞われ、10年後のオリンピックの開会式で黙祷が捧げられたことを鮮明に記憶しています。醒めない悪夢がないなら醒めない甘い夢もないということなのでしょうか。。。これを書いている現在、わたしが住む街ニューヨークでは伝染病が猛威をふるい、第二次世界大戦後に国際平和の実現のために設立された国連の事務総長が(おそらく)ニューヨークから「人類の敵であるウイルスと戦うために世界中の全ての紛争を停止せよ!」という号令を発しました。戦争の脅威は死と破壊ですが、死と経済衰退という脅威を目下人類に与え続けている伝染病が「醒めない悪夢は本当にないんだね。」とみんなが思えるような形で収束し、全ての人類が地球に生まれて良かったと思えるような思い出とともに人生を全うできるといいです。[DVD(字幕)] 8点(2020-04-06 04:53:02)

76.  十戒(1956) むかしむかしあるところに… ヘブライ人という人々が住んでいました…。とお話を始めるのが本来なら適当かと思います。本作品はエジプトナイル川のほとりで「ファラオ(王)がわたし達ヘブライ人の男の子を皆殺しにする命令を出したけれどこの子だけは。。。」と母と娘が生まれたばかりの男の子(後のモーゼ)をバスケットに入れて川に流すシーンから始まります。ヘブライ人(ユダヤ人)はナイル川の恩恵で生産性が上がったエジプトに労働力として移住してきたようですが、この民族は他民族と異なり、原始多神教ではなく唯一絶対神を信仰し、後年世界宗教となるキリスト教とイスラム教の間接的な始祖、ひいては法律や科学の基礎を築く民族になるのです。さて、お話しはほとんど終盤までユル・ブリンナー演じるファラオがこれでもかこれでもか、と言わんばかりにモーゼとヘブライ人を弾圧する内容に終始しますが、その過程でモーゼの杖が毒蛇に変わったり、モーゼが神の声に導かれたり等々、それはモーゼとヘブライ人達が「そうだ。われわれは神に選ばれている。われわれは世界の創造者たる唯一絶対神を敬う民なのだ!」と民族の自覚を獲得していく過程なのです。そして最後近くで神からの十ヶ条の戒めを与えられたモーゼが「規則なくして自由はない!」と宣言しますが、これこそ現在、宗教を問わず国家の基本となっている法治主義の起源なのです。数々の奇跡のスペクタクルが目を楽しませてくれる作品ですが、現在先進国に住むわたし達が当然と受け取っている考え方の源流を探ってみると面白いです。[DVD(字幕)] 8点(2020-03-29 01:17:12)(良:2票)

77.  赤い靴(1948) 巻頭から鍛錬されたバレーダンスに目を奪われます。2回見ると主人公ヴィッキーと踊っているプリマが別人だということが分かる様になるのですが、初見ではそこまではいかないでしょう。初期テクニカラー時代に製作された視覚的にも楽しませてくれる作品です。ストーリーの上では舞台とダンサーたちをを自分の持ち物のように考えている支配人レルモントフの存在感が光っています。ただ、婚約を発表した直後に解雇されてしまったプリマは練習に40分以上遅れてくるなど、自分の力量に驕っていたきらいがありました。ここでヴィッキーの表情を大写しにする必要はあったのか。。。彼女も作曲家ジュリアンとの恋愛で同じ轍を踏むのだという暗示だったのか。。。現代では往年のプリマが政治家と結婚したり、あるいは自分でバレー学校やバレー団を運営したりと踊ることだけに束縛されない自由な人生自分で選択しもちろん結婚によって受ける制約も柔軟にかわすどころか人生の糧としているので古今の感があります。[DVD(字幕)] 8点(2020-03-28 09:59:21)

78.  めまい(1958) 男性と女性の脳の働きで最も異なるのは男性は思考に当たって右脳と左脳を別個に使用するのに対して女性は左右の脳の連携プレーに長けているとのことです。そのせいか女性が「彼こそわたしの運命の人!」と思って追いかける相手は大体ハズレのことが多いとか(笑)。左脳データベースに貯まっている「こういう人は誠実」とか「こういう人がわたしのタイプ」という客観的(?)情報が情動を司る右脳に影響するからだからだとか。。。 そういう目でこの作品の高所恐怖症の主人公スコティを見るとかなり女性的な感性の持ち主のような気がします。そして依頼人の妻マデリンの尾行を開始した後に彼女を追って入場した美術館で彼女そっくりな女性の肖像画の前のベンチに打ち捨てられた、肖像画の女性が持つのと同じピンクの薔薇のブーケと肖像画の前でたたずむマデリンの美しく結い上げられたプラチナブロンドの髪の渦巻。。。 監督のヒッチコックは「何の意味もなく打ち捨てられたものに恐怖が感じられるように映画を撮影する」と言ったそうですが、確かに黒猫や髑髏や短刀などのうわべだけの怖さを与えるものよりも一層恐ろしい世界が再現されていました。モノクロ映画を卒業してテクニカラーの時代に入ったモノクロの巨匠の面目躍如たるものを見ることができます。でも恐怖の源泉をカッコで括ってマデリンを追うことに専念するスコティの行動は男性的でやはり元犯罪捜査官です。[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2020-03-26 11:41:00)(良:1票)

79.  天国と地獄 韓国映画の「パラサイト」がアカデミー作品賞などを受賞し、インド映画がパクリ元の名乗りを上げ、思わず「こちらこそがパクリ元ではないか?」とSNS上に投稿したので数年、もしかしたら十年以上の時を隔ててもう一度鑑賞することと相成りました。ただしこちらは「パラ」のポン・ジュノ監督が黒澤明監督の影響を受けたことを隠しもしていないしまた本作品が娯楽作品(推理作品、あるいは警察もの)として押しも押されもしない作品なので当事者によるパクリ元の主張はあり得ないでしょう。「パラ」と本作品に共通するのは高台と下町に象徴される富者と貧者の格差、そして小道具などにも神経を行き届かせている緊密な構成です。ただし、両作品の世界観や社会観は非常に異なっています。本作品に於いては富は勤勉と献身の対価として与えられるものであり、「パラ」の富豪はなぜか裕福、また本作品での貧者は正当な努力を拒む異常者、「パラ」の半地下一家は社会の波に乗り切れずに凋落した社会の犠牲者です。社会における人間についてこれだけリアルに描きながら他の黒澤明作品ほど人間性の奥底に切り込んでいるわけではない本作品にはわたしが娯楽作品につけることにしている最高点の8点しかつけられないのですが、本作品と韓国映画「パラ」を比較することは高度経済成長期の入口に立っている日本の倫理観とイギリスのEU離脱になぞらえてKOREXITとも呼ばれる韓国の自由主義陣営からの離脱を予見させる社会観や正義観を対比させてみると面白いかもしれません。[DVD(邦画)] 8点(2020-03-08 09:36:42)

80.  HACHI/約束の犬 アメリカにいくつもある大都市それぞれの周辺にこれまたいくつもありそうなベッドタウンが舞台のお話しで1987年の日本映画「ハチ公物語」のリメイクですが飛行機の貨物として送られてきた高価な秋田犬の子犬がケージが壊れて受取人の住所を書いた紙とも泣き(?)別れになってあっさりとリチャード・ギアが演じる教授に引き取られるという話の始まりも嘘っぽいけれどもっと嘘っぽいのは教授の死後に野良犬の道を選んだ主人公ハチは狂犬病の注射は受けたのか、鑑札はどうしたとかの問題もなく、銀行口座を開設できたり信託責任者(ホットドッグ屋のおっちゃんと肉屋さん?)が任命されて野良犬を続けているんですよね。まっいいです。とてもアメリカ的です。作品の撮影は4頭の秋田犬俳優を使い、動物俳優虐待されないよう愛護協会の監視のもとで行われました。ワンちゃんたちの可愛さに免じてオリジナルからの減点は1点だけにしておきます。[ビデオ(字幕)] 8点(2019-12-10 08:49:24)

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