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61.  ザ・インタープリター 《ネタバレ》 ニコール・キッドマンの演技は下手ではなく、ショーン・ペンのそれは上手くはない印象でした。 話の内容で引っ張っていくシーンは気になりませんが、彼等の演技で見せるシーンは2人の存在感が有る為に逆に平均点辺りをウロウロしている演技だと物足りなく感じてしまいます。 ショーン・ペンは直近に妻を亡くした悲壮感から抑えた演技をしているのは解かるのですが、微妙な表情を作り過ぎて若干台詞回しが単調になっていたシーンがしばしばあったように思えます。 また、どのプロットも作品から逸脱するようなものは無かったので最終的には上手く纏まっていたと思いますが、幾分話を詰め込みすぎている印象があり、特に全貌がまだ明かされない前半部は私にとっては付いて行くのが大変な所も有りました。 少し気になったのが市バスの爆破テロのシークエンスで、作品的な盛り上がりでは絶対に必要だとは思いましたが、ストーリー的にはゾーラと共闘体制を取ろうとしているクマン・クマンをあのタイミングで殺す事はズワーニ派の犯行とみられるのは必至ですからズワーニの自作による暗殺未遂での印象操作を相殺してしまう事になると思います。 終盤の国連ビル内での一連の騒動も多少力技で押し切られた印象が残りました。 見終わってみれば映画としての枠組みはしっかりと作られていますし、内容も幾重にも話は重なって濃いものになっていたと思いますが、正直それ程魅力を感じさせてくれるような作品には仕上がっていなかったように思いました。[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-09-01 21:17:45)《改行有》

62.  日本侠客伝 《ネタバレ》 冒頭からテンポ良く話が展開し分かり易く見ていて楽しめましたが、後半になっても勢いはそれ程付かずに討ち入りのシーンも迫力はあまり無く、見終わってみれば盛り上がりに欠けてしまったように感じました。 木場政の中に魅せるべき役者さんの数を増やした為に逆に印象が弱くなってしまったみたいで、討ち入りシーンに役者さんの数を掛けて迫力を倍増させる事が出来ずに、討ち入りシーンをみんなで割ってしまいそれぞれが淡白に仕上がってしまったかのようでした。 しかし、ドラマ部分ではそんな彼等の人間関係や男女の情などを上手に絡ませて木場政親分がいなくなってからの若い彼等の粋々とした姿を楽しむ事が出来ました。 鉄と粂次や清治とお咲の関係ややり取りを始め、お柳の姐さんっぷり全開の落ち着いていて慈愛に満ちた佇まい等良い所は沢山有りましたし、話自体も沖山一家に対する木場政の討ち入りに行く為のマイレージの溜め方も無理がなく良かったと思います。 木場政陣営の俳優さん達は勢い任せの人もいましたが、敵役の沖山兄弟は確かな演技力と滲み出るようなダークな雰囲気を感じられました。 また、お柳役の藤間紫さんの虎を留置場に迎えに行くシーンや鉄が質入れした事に対して諭すシーンで見せる柔らかい表情はかなり魅力的です。 熟しに熟した女優パワーにやられてしまい色々ウィキ等で調べてしまいました。 しかし、健さんの登場シーンでのインパクトの弱さや前述した煮え切れない討ち入りの為に任侠映画としては中途半端な出来になってしまったように思います。 長吉と沖山の立ち回りなどは弱い沖山に対してそれなりの時間を掛ける為に健さんの刀捌き(かなり大振りです)も彼に付き合いカッコの良いものとはなっていません。 それならば3~4人力強く切り倒して時間を稼いでから一瞬にして切り伏せて貰いたかったです。 この様に内容的にも迫力不足の立ち回りを前半のドラマシーンと同じようにミドルからロングに近いカメラアングルとスピード感がないカット割りで説明的な印象になっていたので緊迫感や高揚感は感じられませんでした。 内容的にも映像的にもラストのカタルシスが爆発しない任侠映画では一体何の為に前半にマイレージをコツコツと溜めていたか分からなくなってしまいます。 作中で健さんが「仏作ったからには魂だけは入れときたい」と言っていましたが、任侠映画の不文律を踏襲して頂いて娯楽作品を作ったからには盛り上げる所は盛り上げて貰いたいと思いました。[CS・衛星(邦画)] 6点(2015-08-10 19:30:34)《改行有》

63.  ワルキューレ 《ネタバレ》 この話は脚色は出来ても史実の根幹を違う表現には出来ないと思うのでやはり見せ方を工夫するしか無いと思います。 前半を淡々と見せて2時間で収めるのでしたら作戦決行後はやはりもっと盛り上げた見せ方にしないと見ている側も不完全燃焼で終わってしまいます。 クーデター勢力がベルリンを制圧していく見せ方は良かったのでその後の正規軍が鎮圧していく様子をオセロの最後の一手でパタパタとひっくり返して一気に形勢逆転してしまうように作中でももっと大胆に畳み掛けて見せるか、逆に後半をあの程度で見せるのでしたら前半部の人間関係や登場人物の見せ方に厚みを持たせて2時間以上の深みのある作品に仕上げるかにしないと淡々とした話が少しテンポアップして終わっただけの作品という印象しか残りません。 作品全体を通して見ても次の展開に急いで進もうとしているだけで、緊張感というより質の良くない焦燥感のようなものを感じるだけでした。 史実に基づいた作品は脚本に限界があるので映像や演出に特出する所が無いと魅力を感じられないものになってしまいます。 アメリカ側の製作者はシュタウフェンベルクをハリウッドが大好きなファミリーマンとして、またドイツ側の製作者は彼を英雄として描きたかったのではないでしょうか。 勿論これは推測ですが確かな事は前者の描き方が中途半端な為に後者のイメージを損ねてしまっているという事です。 家族を大事にする男というよりも大事の前で私事に目を向ける残念な人物に映ってしまった印象があります。[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-07-13 00:20:53)(良:1票) 《改行有》

64.  あなたへ 《ネタバレ》 食堂の多恵子の旦那が南原だったとは最後まで判りませんでした。 私だったら多恵子に言われた通りに写真を海に流して「良い事したなぁ」等と思いながらまっすぐ富山に帰っていたでしょうから、誰の気持ちも汲めずに彼等をがっかりさせていたと思います。 気が付かなかった自分の事を頭が悪いと思いたくないのでポジティブに考えると写真を渡した時点で大体判ってしまうと最後のシーンでの感動が半減してしまう為にわざと判りづらくさせている演出と考える事にしました。 局留めの手紙が「さようなら」だけですが、その言葉の本当の意味が判った時には、英二の洋子への依存の大きさが理解できるのと同時に手紙を認めた時の洋子の気持ちを想像すると切なくなりました。 しかし、彼等2人の思い出は作中何度か出てきますが、2人の関係性がそこまで深いものだと感じさせてくれるシーンがないので感動が半減してしまいました。 このプロットが作品のテーマだと思いますのでここの演出はしっかりと機能するように判りやすく描いて貰いたかったです。 移動中に挿入される洋子との過去のシーンによって時間軸に幅が出来たり、各登場人物が健さんに追いついたり追い越したりしながら話が進む事により相対的な移動感覚の効果で実際に健さんが移動した距離と時間よりも変化に富んだロードムービーとなっています。 健さんのキャラクターを考慮すると彼自身がバタバタ動くよりも、健さんも動くけれども周りが彼以上に動くという本作の見せ方は良かったと思います。 しかし、ジャニーズと吉本が絡むと宣伝効果が有るとしても作品的にはあまり良い事が有りません。 また、長崎に着いてからの健さんの落ち着いた佇まいや大滝さんとのやり取りはやはり彼が演じた事によって説得力が有りました。 控え目で自己主張をしないという日本人の属性を主役としてスクリーンの真ん中で存在感と共に演じるという相反する事を見事なバランスで毎回こなして、見ている側を納得させてきた健さんには感謝します。 作品の中で英二は洋子の希望通り死んだ彼女の思い出を乗り越えて自分の時間を生きて行くのに対して、私自身が自分の時間を生きて行くのに色々な映画の色々な健さんに今だに依存しているのは皮肉とも取れますが、逆に映画スター高倉健の存在の大きさを感じさせてくれます。[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-07-08 21:52:00)《改行有》

65.  クライマーズ・ハイ(2008) 《ネタバレ》 社会派ドラマとして見ると痛い目に会うというか肩透かしを食らいます。 「チェック、ダブルチェック」を旨とする主人公が大事故の全権デスクを任されたタイミングで同僚の入院や部下の死が重なり自分を見失いかけながらも奮闘する物語なのですが、中身はスッカスカです。 情況描写は非常に上手いのですが本来それを支える作品のテーマや主人公の信念といったものが見えて来ません。 スポーツの試合を一試合最後まで見届けて勝敗や内容を堪能すると言うより、同じ時間で好プレー珍プレー集を見せられた感じです。 特に作品のメインとなる圧力隔壁のスクープの掲載判断を迫られる場面等は醜悪です。 フィクションとはいえ毎日新聞が抜いたスクープを覆すような安い脚色にしないのは当然ですから話の落とし所は最初から決まっているので、判断結果ではなく判断理由を克明に表現すべきなのにほぼ出来ていません。 あれでは主人公が慎重というより次長の言う通り腰が引けたといった感じに見えてしまいます。 その後の辞表提出のタイミングにより主人公が「コネ入社のキレやすいビビリのダメ社員」という印象になってしまいました。 こうなってしまうと本作が何を表現したいかが全く解らなくなってしまいます。 しかし、役者さんの演技や個々の演出にはかなり魅せられます。 田口さんを除くほぼ全ての登場人物が肉食系といった感じです。 そんな彼等のバラバラの利害を絡めてカオス寸前の北関東新聞社を見ていると、こちら側にも緊張感が伝わってきます。 事故の遺族や関係者の方には不謹慎とも取られてしまうかもしれませんが大事故が起きて色めき出す新聞社内や配慮のない社員の言動等には説得力が有り作品としては好感が持てます。 記者の葬式の後に短く差し込まれた所以外は音楽や話の内容をオーバーラップさせながら見せる登山シーンもそれなりの効果を出せていたと思います。 右脳にとっては良い映画だったかもしれませんが、左脳にとっては退屈な145分になってしまったと思います。 作品を通して役者さん達の高い熱量の演技を維持させる演出は見事なので原田眞人さんは監督業に専念して脚本は外注した方が良いのではないかと思いました。[CS・衛星(邦画)] 6点(2015-06-28 16:57:19)《改行有》

66.  おとなのけんか 《ネタバレ》 自分の子供が友達に怪我をさせた(させられた)という事象だけで、その原因を知る前に話を始めれば拗れるのは当然です。 議題がはっきりしていないのに会議をしても要領を得ずに時間だけが過ぎていくのと同じです。 加えてその原因を自分達で勝手に補完しても結論に至るはずもなく想像によるものなので否定も出来ずに話は広がっていくと言うより散らかっていくのもまた当然です。 時間も短く演劇的なほぼワンシチュエーションの本作は箸休め的な作品といった感じですし、映像的な工夫もリビングの逆側に掛けられていたB全くらいの鏡の効果だけです。 しかし、これらの「程度」が流石という位に調度良かったです。 ゲロとお酒で話に拍車をかけていきます。 それらのシーンを挟む様にエレベーターホールが2度出てきて、見ている側にロングストリート家からの舞台転換が起こり新たな展開が有るのではないかと思わせる効果と同時に話全体の抑揚にもなっています。 2度目の出戻りで舞台は此処だけだという事を理解させられつつ、この惨劇を腰を据えて見る覚悟をさせてくれますが、お酒が出てきた時点でそれぞれが顧みられない様な展開になるのだろうと予想がついてしまいますし、正直意識の半分くらいはエンディングの纏め方をどの様にするのだろうかと考え始める程に客観的な視線で見てしまっていました。 彼等が酔えば酔う程シラフの私は冷めてしまいますし、それは現実でも映画を見ていても同じ事です。 ゲロを吐くケイト・ウィンスレットに女優としての彼女の気概を感じます。 正直吐いた瞬間は私の口の中も酸っぱくなる程に最悪でしたが…。 ナンシーという役を彼女のものにしているのと同時に彼女自身も作品の1つの要素でしかないという割り切った潔さはカッコ良ささえ有りますし、ジョディ・フォスターの酔って顔を紅潮させて吃音気味にアフリカについて捲し立てる興奮した演技等はそれだけでも舞台劇を映画という媒体にして見せて貰った価値があると感じました。[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-06-24 20:26:22)《改行有》

67.  インサイド・マン 《ネタバレ》 作品の核となる最大のギミックは壁の後ろにラッセルが隠れていた事と犯人達が人質に紛れ込んでしまうという2つだと思います。 ラッセルが冒頭に計画に自信があると言っていましたが冷静に考えてもギャンブル的な要素が大き過ぎます。 357マグナムが本物であったとしても他がモデルガンだったら初動の段階で警備員に撃たれていたかもしれませんし、肌と髪の色、体格、性別、壊れる前の防犯カメラの映像、顔見知りの行員は内通者の可能性はあっても押し入ってきた4人から除外できればかなり絞り込めるはずですし、身元は全員はっきりしているので事件後の追跡調査を地道にやっていれば犯人に辿り着ける可能性は有ると思います。 何も盗られていなくても警察が一番重要としている面子を守る為でしたらその位の事はやっても普通だと思います。 切り札となるナチの秘密書類もケイスとの取引材料に過ぎず、警察から逃れるものでは有りません。 ラッセルに接触した人物が2人いますがホワイトはナチの書類を表沙汰にはしたくないので積極的に協力はしないと思いますが、刑事のフレイジャーがあれだけラッセルと話したり取っ組み合ったりしているので人質・容疑者グループにラッセルがいない事は直ぐに分かると思います。 そうなれば建物内に彼が残っているという事は勉強嫌いの小学生でも理解できます。 監督はスパイク・リー、出演者はビッグネーム揃い、映像はしっかりと撮られています。 これだけのものを揃えても脆弱な設定と脚本をフォローしきるのは難しかったようです。 また、貸し金庫の中身をナチの書類にした事や監督のいつもの人種問題を絡ました演出が作品を少し重たいものにしようとして返って迷走させています。 ナチの書類ではなく買収した政治家のリスト程度にして、人種問題等も極力抑えてスパイク・リー色を払拭した方が丁度良い軽さになって見易くなったと思いますし、本作はその位の娯楽作品に落とし所を見つけた方がすっきりとして良かったと思います。 スパイク・リーも割り切って撮った方がこの程度の娯楽作品に無理やりねじ込んだ人種問題等で中途半端に仕上がった印象を後世に残す事は彼の為にも良くないかと思いますし、前述した設定の甘さ等も目くじらを立てる程にならずに観客にとっても良かったのではないかと思いました。 作品の質を上げようとして色々と画策しても肝心の脚本や設定が追いつかない結果になってしまっています。 フレイジャーがケイスにダイヤの指輪を見せる時に中指にはめて指をおっ立ててるカットは良かったですが、私にとってはオープニングのミクスチャートライバルの音楽の使い方のカッコ良さで終了してしまった感じです。[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-06-21 18:47:50)《改行有》

68.  座頭市(2003) 《ネタバレ》 殺陣のシーンにCGを多用したり、時代劇でボリウッド的ラストのタップダンスを挿入したりとアイデア自体は面白いのですが個々のクオリティーを見るとそのアイデアに全く追い付いていない印象です。 殺陣に限らずアクションシーン等でもCGに頼る事は肯定しますし必然な時代だと思いますが、作中での血の飛び散り方等は何時何処で誰をどの様に斬っても一様な表現で、テレビアニメの使い回しのカットを見せられている様で、『暴力』に拘りのある北野監督作品としては残念に感じますし、刀が体を貫いているカット等は前世紀のCG技術で今世紀のそれとは言えない程に見ているこちらが恥ずかしくなってしまうレベルです。 また、タップダンスからは本来見せたかったであろうダイナミックさは感じられません。 理由としてダンサーの数と技量、カメラアングル、編集、そしてナイトシーンにした事で画に拡がりがなくなってしまっていることです。 ストーリーとは切り離した割り切っているシーンだと思うので、途中からデイシーンに瞬間的に転換させて青空の下で撮っても良かったのではないかと思いましたし、欲を言えば作中にあった狐の嫁入りの様な中での殺陣シーン宛ら晴天の雨降りという中で踊るくらいの極端な振り切り方をして、スケール感を出して貰いたかったです。 幾つかの場面で作業をパフォーマンスにしたり、それらの生活音をミクスチャーさせて遊んでいるシーンがある為にラストのタップダンスにそれ程違和感なく繋がっていたので残念です。 役者としてのたけしさんは相変わらず存在感が有りカッコ良かったです。 台詞回しにはムラが有り良い時もあればそうでない時もありますが、体の左右のバランスが崩れた姿勢の悪い佇まいから来る危険な雰囲気は未だ損なわれていませんし、居合の達人座頭市としての凄みは十分感じられます。 殺陣シーンでの決して美しいとは言えませんが地に足をしっかりと付けた低い重心からの直線的な斬り込みや、目を閉じているので歯を噛み締めた力んだ表情で見せる演技の付け方等は、強さと同時に市の不器用な性格と人を斬るのに力が要らない訳がないという勝手な想像から来る説得力を感じてしまいますし、掛け値なしで痺れます。 最後に一映画ファンでしかない私ですが生意気な事を書かせて貰えれば、良いアイデアを具現化出来ないのは『コメディアン上がり』という生粋の映画業界出身でない為にスタッフに遠慮してしまっているのかなぁとか、自分自身に言い訳してしまっているのかなぁ等と考えてしまいます。 役者にしても監督にしても『コメディアン上がり』等という低いレベルで評価されるような映画人でないのは周知の事実なのですから、もっとストイック且つ丁寧に拘りを持って作品を仕上げていって貰いたいと思いました。[CS・衛星(邦画)] 6点(2015-06-17 18:57:14)《改行有》

69.  続・荒野の用心棒 《ネタバレ》 ドラクエの死に損ないのパーティーの様に棺桶と人間がぬかるんだ荒野を旅するオープニングを見て「あれ?自分が想像していたのと違う…。本当に荒野の用心棒の続編なのかなぁ…。」などと思いながら見終わってから、ここの過去のレビューを読んでみるとやっぱり違いました。 まんまと騙されてしまいました…、酷いです。 ヤクザな配給会社です。 騙し討ちの様なタイトル同様に主人公も西部一の早撃ちと言われながら、ガトリングガンみたいな機関銃で敵を掃射してしまいます。 内容も登場人物もこの様に一貫性が余り有りませんが、世界観が一定に保たれていればそれらに一貫性がなくても問題はなく、逆に捻くれている私にはその方が楽しめたりします。 昨日の敵は今日の友などと人間や物事には一貫性などはそれ程無いと思います。 容赦の無い内容で登場人物の男性は主人公を除いてほぼ全員死にます。 ラストカットで主人公はヨレヨレとフレームの奥に消えて行きます。直後に野垂れ死んでも不思議はありません。 そうだとしたら男性陣全滅という、1960年代制作というまさにこの時代のウーマン・リブがマカロニ・ウエスタンにまで波及した証拠となる記念碑的作品で…、ないです。 50年近く前の作品という事もあり刺激的な映像は余りありませんが、酒場で主人公とリカルドの殴り合う技斗はカメラや展開を含めて引き込まれます。 ハンディを多用する事で臨場感を保ちつつ、斜俯瞰からのアングルでも人物を勢いをつけてフォローする事で迫力は失われません。 また、双方互角の展開で進むので最後まで何方が勝つか判りませんし、決着が意外な方法で着くところにも好感が持てます。 独特の世界観の中で展開される本作の中で一番興味を唆られたシーンが、主人公がヒューゴから奪った棺桶に入っている砂金を底なし沼に落としてしまい身を挺して拾いに行きますが棺桶は砂金諸共沈んでしまって、主人公も沈みそうになるところをマリアに助けられそうになります。しかし彼女は主人公を追ってきたヒューゴ一味の銃弾に倒れ(死にはしません)結局主人公を救ったのは砂金を盗まれたヒューゴだったという件です。 少し深読みして棺桶を死、砂金を欲望、底なし沼を地獄の象徴とそれぞれ考えると面白くなります。 死と欲望という相反するものを追っかけて地獄に嵌まり、そこから助け出そうとした人物は自分が捨てた女と、自分に欲望を奪われた男というところに三重構造とも言えるアイロニーを感じてしまいます。 そして、ヒューゴの「沼に飲まれた砂金なんかいらない」という台詞は「地獄に飲まれるような欲望に興味はない」と解釈出来ます。 作中では一番残虐なヒューゴですが実は仁義に厚い現実主義者として好意的に描かれています。 監督も私の様な捻くれ者なのかと考えてしまいました。[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-06-13 22:41:50)《改行有》

70.  八つ墓村(1977) 《ネタバレ》 村に伝わる落ち武者の祟りに見せかけた営利目的の殺人事件ですが、人間関係や過去の事件、主人公や犯人の出生等も全てその怨念によって導かれているという設定は俊逸ですし、事件と怨念のバランスの取り方が素晴らしく話自体が非常に怖くて面白かったです。 タイトルからして原作者のセンスを感じます。 舞台となっていた村や東屋、洞窟等のロケーションも素晴らしく作品自体に深みを与えるものになっていたと思います。 特筆すべきは何と言っても多治見要蔵の大量虐殺のトップカットでしょう。 ふんどし姿にガンベルトをたすき掛けにして、右手に日本刀、左手に猟銃、そして有ると無いとではインパクト的には全く違うDIYのヘッドライト。 そんな狂気の彼が青白い薄暮の桜舞い散る中を真っ直ぐこちらに走ってくるハイスピードの映像は芥川也寸志さんの迫力ある音楽と相俟って極めてかっこ良く、そして美しいものになっています。 パロディでは何度と無く見た事が有りましたが、オリジナルを初めて見て痺れました。 個人的にはオカルト的なミステリーにベクトルを向けて欲しい内容でしたので、村祭りでの落ち武者惨殺シーンの見せ方は時代を差し引いて見てもクオリティーを含めて少し残念でした。 もっと心情に訴える様なおどろおどろしい表現に欲しかったです。 恐らく監督はスプラッター気味のホラー作品にしたかったのだろうと感じましたが、その為に粗さの目立つ脚本になってしまう箇所がありました。 前述した様に話自体が面白いので、脚本の整合性や細部を詰めていっても小さく纏まることは無かったと思うので勿体無い印象が残ります。 ゲゲゲの鬼太郎がリミットだった子供の頃の私にはこの様な作品は怖くて見れませんでしたけど、今回初めて見て子供の頃の自分の判断に感謝しました。[CS・衛星(邦画)] 6点(2015-06-08 16:36:06)《改行有》

71.  新選組(1969) 《ネタバレ》 馬上から切りつける殺陣のシーンや、伊東甲子太郎暗殺場面での一連の剣捌き等は流石に見ていて迫力を感じますが、動きが無くなり台詞メインになると三船敏郎さん演じる近藤勇は途端に硬くなります。 近藤勇の持っている素朴で愚直というイメージや、芹沢鴨が死んで新選組のトップになり、逆にその立場に縛られて苦悩している様な硬さではなく役者としての幅の無さを見せられている様でした。 三船敏郎さんの演技は体の動きと連動した時にその良さが発揮される様な気がします。 局長になった事をゴールと考えた芹沢とそれをスタートと考えた近藤の相反する様相を写した前半が私にとっては見所でした。 ガチガチな三船敏郎さんに対して、やりたい放題の芹沢を演じた三国連太郎さんのアウトローっぷりは見応えが有ります。 芹沢が暗殺されてからは個人的には可もなく不可もなくといった印象でした。 しかし、全体的には脚色を混じえながらも幕末日本の内戦と新選組の内ゲバをバランス良く描いていて見易い作品になっていたと思います。 埃まみれの着物で京の街に居を構えた時の結束力のあった新選組が、隊を纏めるために厳しい局中法度を設けて、着る物も良くなっていくのに隊内が最後までバラバラだったのは皮肉な事です。 最後に他のレビュアーの方も書いていた様に三船敏郎さんを近藤勇に据えた事で配役全体の年齢層が高くなってしまい、幕末という時代を駆け抜けたというよりも、時代とがっぷり四つを組んでしまっている位に風格を感じてしまう新選組には感情移入するのが難かったです。[CS・衛星(邦画)] 6点(2015-06-07 21:08:38)《改行有》

72.  ボクたちの交換日記 《ネタバレ》 「夢を諦める時は、その夢を諦めてでも幸せにしたい人が出来た時で、それは父にとって母と私と田中さんです。」 田中の才能を伸ばす為ではあるが、それ以上に自分が彼の足を引っ張っているのを認める事は、彼をお笑いの世界に誘った本人としては諦めろと言われても諦めきれない様な決断だったと思います。 島田紳助さんがM-1グランプリは売れない漫才コンビの解散のきっかけを与える為に作ったと言っていましたが、内村さんも同じ事を大好きな映画で表現したかったのではないでしょうか。 残酷な様で必要な優しさだと思います。 監督が業界内の人間だけあって、悪戯に大袈裟にはならずにいきいきと主役の2人とその周辺が描けていたと思います。 伊藤さんと小出さんの演技もよくいるお笑い芸人以上のキャラクターを登場人物へ与えていたと思います。 また監督の人間性がそのまま作品に表れ、売れない芸人さんへの慈愛に満ちたメッセージと共に利他的な登場人物で溢れた心温かいものになっていた印象です。 本作の様な心の綺麗な登場人物になりたいといつも思いますが、残念ながらまだまだです。無理っぽいです。 上手く纏まっていましたが、スケールの小さな話を小さく纏めている印象が強かったです。 交換日記という手法は面白かったですが、話もスタンダードで内容も濃くはないのでTVドラマで十分な気もしました。(決してTVドラマを悪く言っているのでは有りません) また、音楽の使い方やそれ自体が終始軽くて安っぽく感じましたが、鑑賞後に思い返しても作品とそれ程かけ離れてはいなかった様に感じたので、作品自体がやはりそのようなものだったんだと再認識してしまいました。 毒にも薬にもならないと言ったら言い過ぎかも知れませんが、見終わった時に一番感じたものは少々の「物足りなさ」でした。[CS・衛星(邦画)] 6点(2015-05-11 21:58:26)《改行有》

73.  戦う幌馬車 《ネタバレ》 アメリカの人は作中のジョン・ウェインとカーク・ダグラスの様な、ライバルともケンカ相手ともバディとも取れるようなトムとジェリーみたいな関係性のコンビを描くのがつくづく好きなんだなぁ、という印象です。 そんな関係を邦画のように浪花節全開にしないで、ドライに描いているので見ていて肩がコリません。 派手なガンファイトや緊迫する一対一での決闘等はあまり無く、策略を持って敵と対峙します。 そしてそのイベントが結構多いので物語はサクサク進みますが、少し淡白にも映ります。 死んで欲しい人は死んでくれますし、くっつきたい人はくっつきますし、お金も程よく手に入ります。 ロールプレイングゲームの原作に丁度良さそうなお話です。 プレイヤーはジョン・ウェインとカーク・ダグラスのどちらかを選択できる、といった感じでしょうか。 ジョン・ウェインを選べば苦労なく簡単にクリアー出来ると思います。 一方、カーク・ダグラスを選ぶと色々と苦労しますがお色気シーンが結構見れそうです。 当時のアメリカ西部でのメキシコ人や中国人への見下した様な態度や、主人公グループと協力関係にあるが人種的に対立しているネイティブアメリカン達が最後に裏切った為に、彼等の多くが爆死してしまうのに対して、旧約聖書の出エジプト記のユダヤ人の様に荒野の中を彷徨っている別のネイティブアメリカンの集団が最終的に40万ドル相当の砂金を手にするのは何かを示唆しているのかテレビの前の日本人の私には解りませんでしたが、そんな事を考えずに見ていてもそれなりに楽しめた作品でした。[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-04-29 16:41:37)《改行有》

74.  はやぶさ/HAYABUSA 《ネタバレ》 お年寄りからお子様まで楽しめる映画という印象でした。 その為かデフォルメの仕方が偏り過ぎたキャラクターがいたのが気になりましたし、その割には上手く使い切れていない感じがしました。 「こういう人物はこんな感じでいいだろ。」みたいに上から目線でカテゴライズしている様で快く思えませんでした。(更にその上から私はレビューを書いているのですが…) 水沢が綺麗過ぎるのは主役なので仕方無いとしても、坂上を奇抜に描いてもそれに繋がるものが何も描かれていないので完全に空振りしています。 はやぶさ君の絵日記などは非常に解りやすくて助かりました。 竹内さんのアテレコも本編の水沢役より良かった気がします。 その様な効果もあって、大気圏で燃え尽きてしまうはやぶさには目が潤んでしまいました。 トラブル続きの満身創痍で帰ってきて最後に大気圏での機体焼却は計画通りなんて…。 何年も放浪していた放蕩息子が帰ってきた時に親の言いつけを思い出して、困っているおばあさんの荷物を持ってあげたら荷物の中から出てきたマムシに噛まれて玄関先で死んじゃったみたいです。 2時間位の付き合いで感情移入してしまうのですから、何年も参加していたプロジェクトスタッフの気持ちを想像すると更に切なくなってしまいます。  最後に前々から思っている事ですが、やはり宇宙開発の国家予算が少なすぎると思います。 今日まで技術大国と自負して、その恩恵を受けてきたのですから、それに見合った額の予算を割いてもらいたいです。 献身的な技術者に支えられていても限度があると思いますし、それでは未来は有りません。 声を大にして言いたいのは、私は税金を今以上取られたく有りません! なので、無駄に使われている予算や、役人や議員の懐に入るお金をきちんと調べ上げて適切に配分して貰いたいです。 映画とは関係なくなっちゃいました。ごめんなさい。[CS・衛星(邦画)] 6点(2015-04-28 18:52:12)《改行有》

75.  ゴールデンスランバー(2009) 《ネタバレ》 冒頭、主人公の友達が主人公に「人間の最大の武器は、習慣と信頼だ。」と言います。 信頼は、それに足りうる言葉かもしれませんが、習慣は疑問です。 逃走劇を扱った作品は、追う側(本作では警察)の追い詰め方によって作品のハードルの高さが設定され、逃走側(主人公)の逃げ方によって作品の世界観が決まっていきます。 本作はハードルの高さや世界観がかなりバラバラです。 話が進むに連れ加速度的にハードルが地面スレスレまで低くなります。 そして逃走劇のクライマックスである主人公と香川さん率いる警察側の直接対決での一連のシーンで気付かされます。ハードル走だと思っていたら、バーリトゥードの格闘技だったと…。結局、なんでもありです。 前半の主人公の最大の武器は信頼だったかもしれませが、後半の主人公の最大の武器は製作者の都合の良い脚本です。 そのあたりの脚本や演出に統一性を持たせて丁寧に撮っていればもっと見やすく、娯楽大作と呼ばれるような作品になったと思います。 個々のシーンも面白かったですし、メインの役者さんで下手な方は居ませんでした。 特に濱田さん、石丸さん、伊東さんが良かったです。 伏線の張り方や、その処理の仕方、台詞回しなども良かったです。それだけに非常に勿体無く感じました。 また、主人公の役者さん自体を整形後に変えるのでしたら、冒頭のエレベーターのシーンで滝籐さんの顔を軽く見せてしまい、ラストの方も同じエレベーターのシーンで顔出しした方が演出的に良かったのではないかと思いました。(ラストシーンのインパクトが増したのでは無いかと…) 周知の通り「GOLDEN SLUMBER」はビートルズの曲で、三曲からなるメドレーの中の一曲です。「Carry That Weight」「The End」と、続きます。 主人公は友達の車の中で目覚めると、首相暗殺容疑者の濡れ衣を着せられ、この事件に巻き込まれます。二曲目の「Carry That Weight」で、本家は「お前はこれから長い間ずっとその重荷を背負うんだ」という歌詞を叫ぶように連呼しています。 そして主人公は友達や知り合った人の信頼を武器にしてこの事件を乗り越えます。 「The End」では「結局、あなたが受ける愛は、あなたがもたらす愛に等しい」と、歌っています。 最後に主人公は顔を変えて、青柳雅春に戻れず生きていきます。「GOLDEN SLUMBER」の歌詞は劇中でもあったように、「かつてそこには故郷へと続く道があった」 即ち、今はもうその道はなく故郷へは戻れない、という意味です…。少し切ないです。[CS・衛星(邦画)] 6点(2015-04-25 18:34:32)《改行有》

76.  はじまりのみち 《ネタバレ》 木下恵介という名前は聞いたことが有るといった程の認識で鑑賞しました。 陸軍省後援で作られたという「陸軍」のラストシーンを10分程挿入しています。 それ以外のシーンを見ていないので詳しい事は言えませんが、私でも反戦とまではいきませんが、戦意高揚を謳っている映画とは感じる事は出来ませんでした。 日の丸の旗を振っている人混みの中を出征して行く息子を追う母親の姿は、戦争という大河の流れに逆らう小さな魚の様で、それが如何にも弱々しくて、無機質に行軍して行く軍隊に対して追い縋る彼女の姿は、切なさを通り越して悲痛にも映りました。 この様な感傷的なシーンを批判するのなら、「女々しい」という言葉がピッタリだと思います。 しかし、戦時中に陸軍省後援でこの様な「女々しい」映画を撮ることで逆に木下監督の気骨を感じられるのは皮肉です。 どちらが本当の意味で女々しいんだと問われれば軍人さんは下を向いてしまうでしょう。 しかし、この映画は上映されたという事を考えると、陸軍の検閲官も何か感じ入る所があったのか、他のシーンが彼等の要求を満たしていたのか判りませんが、便利屋さんの様な人に見て貰えて、あのように感じた人は実際にも結構居たのではないでしょうか。 そして彼の気骨は本作の中でもリヤカーで50kmの起伏のある道を病床の母親を疎開先まで運ぶというエピソードで表されています。 そのような母親への深い愛情を持った木下監督が「楢山節考」を撮っていると本作の中で知ったので、ぜひ見てみたいと思いました。[CS・衛星(邦画)] 6点(2015-04-25 18:26:19)《改行有》

77.  第三の男 《ネタバレ》 頭の良いハリーは希釈した盗品のペニシリン密売という道理に反した行為を、わざわざアメリカから呼び寄せたとしても愚直なホリーが首を縦に振ると思っていたのでしょうか。 甘言を与えてはいても観覧車のシーンを見て分かる通り、恐らく本人の代わりとなって墓に埋められたハービンと同様に手駒の一つとして利用して終わりという結末が自然だと思います。 友情関係は幻想で淡い恋愛感情も成就しなかったウィーンは純粋すぎるホリーにとっては敷居が高すぎたと思います。 本作はアントン・カラスのチターの調で始まります。 『The Third Man Theme』は楽器の音色や特性を活かして特出した印象的なメロディーラインを持った名曲だと思いますが殆どのシーンには合っていなかった様に感じました。 映画音楽としてはラウンジのBGM程度にしか使えない印象でした。 また、映像の方ではカメラのレベルを傾けたり、当時としては結構なワイドレンズを使ったり、コントラストや影のパースを強調したりとイギリス映画ですがアメコミの様な大胆なアングルを切っていて単体として見れば単純にかっこ良かったです。 しかし、それらの力の入ったカットとそうではないカットの落差が激しすぎたり、パンフォーカスを狙って何処にもフォーカスが合っていないカットもあり見ていて集中出来なくなったりもします。 もう少し全体的に丁寧に撮っていれば見易くなると同時に前述したカットも活きてきたと思います。 脚本で言えば整合性は殆ど外してはいないのですが、前半の第三の男に迫るミステリーの本筋で問題を解決出来なくてもホリーに不利益が起こらないので緊迫感が全くありません。 その為、見ている私にも緊張感が持てない結果、物語に入り込めずに話を追いかけるだけの作業になってしまいました。 この辺りが高評価の妨げになった最大の原因だったと思います。 唯一、緊迫感があったのは講演会場まで拉致られるサイドストーリー的なシーンでした(ここは面白かったです)。 後半の地下水道という上下左右を構造物で制限された空間での映像的な緊張感が良かったのでストーリーそのものに緊張感がなかった事はとても残念でした。 他にもオーソン・ウェルズのキャスティングや彼の登場シーン、本作のラストシーンなど優れた要素が沢山あると思うのですが凡庸な印象の作品になってしまいました。 負け試合でのホームラン量産みたいな…。 105分というコンパクトなボリュームに仕上げられていますが、作品としては纏まった印象があまりないので映画の教科書というより資料集といった感じでした。[CS・衛星(字幕)] 5点(2016-06-14 23:43:57)(良:1票) 《改行有》

78.  ガントレット 《ネタバレ》 武器使用の際は適材適所なモノを選び行いましょう、という教則DVDの悪い事例の項目を見せられているような作品でした。 ストーリーパートがかなり単純で広がりがない為に無尽蔵とも言える銃弾を使った銃撃シーンもその迫力が作品自体にまで大きな効果を与えていた印象はなく、話から乖離してしまい悪い意味でそこだけ目立ってしまったように感じました。 映像的に見ると展開は中々激しいのですが、脚本的な展開力の弱さと主役の2人を始めとする登場人物にキャラクターの魅力や深さが無い為にそれらに足を引っ張られ凡作になってしまったように思います。 パトカーをジャックされた警官に色々と喋らせたりはしていますが、やはりそれもそこ迄の効果は得られてはいないように感じてしまいます。 バスの中でのショックリーとマリーの会話と沈黙が比較的良かったようにも取れますが、厳しい事を言ってしまえば演出が透けて見えてしまっているとも言えてしまえます。 黒幕2人の処理の仕方や主役の2人が助かり去ってゆく姿などは大味の西部劇のようでそこ迄に至る経緯を考えるとそれはそれで納得できる流れなのですが、個人的にはラストにショックリーがあの場で死んでマリーが泣きながら彼に覆い被さる脇を箱から出てきた赤いバラが風で散らばっている画を俯瞰ロングで抑えて欲しかったです。 作品通りのラストならばヌルいようですがジョゼフソンの命も助かっている事を望んでしまいます。[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-10-19 13:54:41)《改行有》

79.  マイレージ、マイライフ 《ネタバレ》 オープニングの空のワイプ映像、パッキングの模様やスーツケースを短いカット割りで繋いで行く映像効果に余り魅力を感じられず、同様に魅力の乏しい登場人物が織り成す話にも入り込め切れなかった印象の作品でした。 大学で心理学を専攻し首席で卒業したというナタリーも彼女の会話からそれを感じさせてくれるようなものはないですし、主役のビンガムも独身を謳歌しているやり手のビジネスマンで交渉相手の幸福度と彼への評価の高さが反比例する仕事の内容などで観客の感傷を誘う方法など少し前時代的な古さとありがちとも言える人物設定となっていたと思います。 一般的には副産物でしか無いマイレージをステータスと考え、超一般的とも言える家族や結婚というものを否定的に捉えているビンガムの生き方は価値観は人それぞれなので全然否定はしません。 近親者の結婚やアレックスとの関係の顛末など彼にしてみれば小さなイベントの1つや2つではないかと考えてしまいますし、そうでなければそれ迄培ってきた自由を愛し感情を極力排除してきた彼の生き方という設定に疑問が生じてしまいます。 逆にそれらの事柄が彼のストイックとも言える生き方を変える程の描かれ方をしていたようにも感じられませんでした。 彼の感情や考え方の変化の見せ方や動機付けが弱かったように思います。 仕事と家族の絆との葛藤といったようなハリウッド的なテーマやそれなりの域を出ない映像表現、結末を描かない脚本等、まさにありがちな作品という印象でした。[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-10-14 21:22:49)《改行有》

80.  カプリコン・1 《ネタバレ》 設定、音楽、車の暴走とドッグファイトが素晴らしかったのですが全体的に見ると少々雑とも言える造りになっていたと思います。 特に設定について言えばかなり面白い着目点なので見終わった時には残念な気持ちになってしまいました。 面白い設定で前半が良く後半になるにつれ話の展開に無理を感じてしまうのは、質の良くない最近の邦画を連想してしまいます。 また、音楽の良さがギャップとなって作品の稚拙さを逆に際立たせてしまっていた印象でした。 しかし、ドッグファイトやブレーキの効かない車のシーンはカメラワークで誤魔化す事なく素材の迫力に圧倒されてかなり興奮させて貰いました。 特に追跡シーンにも使われていた2台のヘリコプターはそれ自体が意思を持ったような連動した生物的な動きと操縦者の声も顔も出さない無機質な不気味さが相俟って恐怖を煽る演出として効果的だったと思います。 しかし私が見たかったのはやはり陰謀がどの様に暴かれていくかを緊張感を持って最後まで楽しみたかったので返す返す残念に感じてしまいます。 また、他の方のレビューを読むとラストも賛否両論有るようですが私的にはあと10分欲しかったので、スローになってクレジットが出てきた時には「あれれ……そーなんだ…」って感じでした。 まぁその後のお決まりの展開としては、ソ連の人達に嘲笑と罵倒されてキレたアメリカ大統領が核ミサイルの発射ボタンを押して地球が大変なことになるんだろうけど…。 続編カプリコン2(ザ・デイ・アフター)だったかな?違うかな?[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-09-01 00:04:31)《改行有》

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