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プロフィール
コメント数 615
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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61.  スクリーム3 《ネタバレ》  全四作の中で、3だけ犯人が誰だったか思い出せない……という状況のまま再鑑賞。  観終わってみれば「主人公シドニーの兄」であり「シドニーの母を殺した黒幕」という凄い犯人だった訳ですが(いやぁ、これは憶えてなくても仕方無いよ)って、何か開き直る気持ちになっちゃいましたね。  とにかく印象に残らないというか、犯人が明かされた時に(……えっ、誰?)と戸惑ってしまう度合いの高さでは、間違い無くシリーズ随一。  何せ顔を明かされた時は本当に誰だか分からなくて、犯人自ら「監督のローマン・ブリッジャー」と自己紹介した事で、ようやく(あぁ、いたなぁ、そんな奴)と納得出来たくらいですし。  これって「観客は決して犯人を当てられない」って意味では凄いのかも知れませんけど……正直、感心するより呆れる気持ちが強いです。  例えば、途中までミスリードしていた通りに、キンケイド刑事が犯人というのであれば「主人公シドニーに親身に付き合い、ロマンスの匂いも漂わせた好人物が犯人」って事で、ベタではあるけど「意外な犯人」と呼べたはずなんですよね。  でも主人公と全然絡まず、出番も少なく、観客の印象にも残ってないローマン監督が犯人とか言われても、それは「意外な犯人」ではなく「地味で目立たない奴が犯人」ってだけであり、本末転倒。  スクリームの中で、この「3」だけ脚本がケヴィン・ウィリアムソンではないって事も大きいんでしょうけど……  本筋には全然関係無いレイア姫ネタを挟んだりとか、どうもシナリオに引っ掛かる点が多いです。  その他にも「便利過ぎる変声機が登場するのに、何故そんな凄い代物を犯人が持ってるのか、説明が一切無い」「シドニーがトラウマを克服したのを示す為、ラストシーンにて家のドアを開けっ放しにしてるけど、流石に不用心過ぎるとしか思えない」といった具合に、不満点を挙げ出したらキリが無いんですが……  一応、良い所も色々あったりして、総合的に考えると「それなりに楽しめた」って結論になるのが不思議ですね。  監督は変わらずウェス・クレイヴンなので演出は手堅いし、ちゃんと「スクリームらしい魅力」を感じられたのが大きかったのかな、と思えます。  犯人の正体はスッカリ忘れてた自分でも、鮮明に憶えていた場面が二箇所あり、その「ランディからのビデオレター」「シドニーが映画の撮影現場に迷い込み、1の頃を思い出す件」の二つに関しては、文句無しで良かったです。  デューイとゲイルも相変わらずイチャイチャしていてラブコメ的な魅力があったし、最後にデューイが求婚して終わるというのも、グッと来る結末。  「エルム街の悪夢」さながら、シドニーが母親の悪夢を見る場面も、監督繋がりの遊び心が感じられて、クスッとさせられました。  それと、派手な爆破シーンもあったりして、ちゃんと観客を楽しませようという気持ちが伝わってくるのも嬉しい。  こういう「映画としての優しさ」のようなものが感じられる作品って、不満点はあっても嫌いにはなれないです。  そんなこんなで、シリーズ四作の中で評価するなら、残念ながら最下位になってしまうかも知れませんけど……  それでも一定のクオリティは保っていた辺り、流石だなって思えましたね。  有名ホラー映画のシリーズって、長く続いた分だけトンデモない代物が混ざっていたりするものですし。  一番微妙な品でも、これだけ面白いんだなって考えると「スクリーム」シリーズの地力の高さのようなものが感じられました。[DVD(吹替)] 5点(2021-11-04 01:46:55)(良:2票) 《改行有》

62.  俺たちダンクシューター 《ネタバレ》  ウィル・フェレル主演作の中では本作が一番好き……と言いたいのですが、ウディ・ハレルソン演じるエドの方が実質的な主人公に思える内容な為、ちょっと困っちゃいますね。  とはいえ「途中で主役交代しちゃう出鱈目な映画」ではなく「ギャグパートの主人公はウィル演じるジャッキー・ムーンであり、シリアスパートの主人公はエドというダブル主人公物」だと解釈すれば、良く出来た品だと思います。  バスケシーンも意外と本格的だし「観客を増やす為に色んなショーを行う主人公達」という場面が、試合の合間の良いアクセントになってる。  チャンピオンリングを掴んだベテラン選手だけど、優勝の際にはずっとベンチウォーマーだったというエドの設定も良いですね。  彼が「試合に出てなくても、俺はプロとして戦った」と演説し、チームの意識改革を行うシーンはグッと来たし、完全なギャグ路線かと思って観ていた自分に、心地良い不意打ちを与えてくれました。  そんなエドと、チームで一番才能がある若者のクラレンスとの衝突と和解が描かれ、次第に二人が師弟関係のようになっていく展開も良い。  クライマックスではリーグの首位チームであるスパーズに勝利する訳だけど、当時は戦術として確立されていなかったであろうアリウープを駆使したお蔭で勝利出来たって形になっているのも、上手かったですね。  1970年代の世界を2000年代に描くという利点をフル活用している感じで、ちょっとズルいけど説得力がありました。  クラレンスがスパーズの誘いを振り切る形で、主人公チームのトロピックスを選ぶ場面を劇的に描いたのに、試合後には結局スパーズを選ぶのは拍子抜けとか「背の低い人々には、この世に生きてる理由がない」なんて曲を楽しそうに唄う場面は引いちゃったとか、欠点と呼べそうな場面もチラホラあるんだけど……  「おふざけギャグ映画かと思ったら、意外としっかりしたバスケ映画だった」というサプライズも含めて、満足度は高めでしたね。  劇中曲の「ラブ・ミー・セクシー」も、最初に聴いた時には何とも思わなかったはずなのに、エンドロールにて流れた際には(もしやコレって、名曲なのでは?)と思えたんだから、全くもって不思議。  それと、ラストの台詞「どこかな、クマちゃん?」は最初意味が分からなかったんだけど、今になって考えるに、あれは映画館だからこその「映画館の中に、劇中で逃げ出したクマがいるかも知れないよ」という、上映中の暗闇に包まれた観客に対しての、恍けたメッセージだったんでしょうね。  その辺も含めて(これは、出来れば映画館で観たかったなぁ……)と思えた、意外な掘り出し物の一本でした。[DVD(吹替)] 7点(2021-10-15 14:25:04)(良:1票) 《改行有》

63.  ドメスティック・フィアー 《ネタバレ》  実に豪華な俳優陣。  メイン三人の「濃い顔」を見てるだけでもワクワクしちゃいましたね。  今となってはコメディ映画のイメージが強いヴィンス・ヴォーンが、悪人を演じているのも新鮮。  当時は「サイコ」(1998年)の印象が色濃く残っていたがゆえの配役かとも思えますが、元々彼って「エリートな気品」「どこか不気味で冷たい顔立ち」を備え持ってる人でもありますし、本作についても適役だったと思います。  スティーヴ・ブシェミも胡散臭くて、妙に憎めない「殺され役」を演じているし、ジョン・トラヴォルタ演じる「頼れるパパさん」っぷりも、文句無し。  子役のマット・オリアリーも可愛らしく、守ってあげたいと思えるような息子のダニーを好演してましたね。  こういったストーリーの場合、演じる「子供」の魅力如何で評価が変わってきますし、そこは文句無しに合格だったんじゃないかと。  BGMも雰囲気があって良かったし、89分と短く纏まってるのも好印象でした。  ……ただ、脚本と演出は凡庸としか思えず、褒めるのが難しいです。  一応良い所もあって「ダニーは不良少年なので、周りが中々『殺人の目撃』を信じてくれない」って展開には説得力ありましたし、そんな中で、真っ先に信じてくれたのが父親のフランクっていうのも、グッと来るものはあったんですけどね。  父子の逃亡劇になるのかと思いきや、親権争いの裁判になったりするのも、意外な展開ではありました。  でも正直、それ以上に粗が目についちゃって……  「脚本と演出の不備を、演者の力で誤魔化してるだけ」って印象は拭えないです。  そもそもダニーから「人殺しが同じ家に住んでる」「しかもそれが、義理の父である」っていう恐怖や、緊迫感が伝わってこないのが致命的。  これに関しては、いくら子役が怖がった演技をしても「何も対抗手段を取らず義父の言いなりになってるだけのキャラクター」「だから追い詰められてる感じがしないし、恐怖が窺えない」って形になってる訳だから、脚本の責任だと思います。  フランクの現在の妻であるダイアンの影が薄いのや、ダニーの母が妊娠したのを活かせてない辺りも不満。  恐らくは「フランクの孤立感を高める」「ダニーの疎外感を強める」為の要素だったんでしょうけど、ダイアンは途中から出てこなくなるし、妊娠についても言及されなくなっちゃいますからね(一応、最後に流産したのが示唆されるけど、後味が悪くなっただけ)  この手の「必要無い人物、要素が多い脚本」って、どうしても評価が低くなっちゃいます。  極め付けは終盤における「ライター自爆着火」の間抜けさで、これには本当ガッカリしちゃいました。  ダニーの母が夫を疑うキッカケにしても「夫の衣類からガソリンの匂いがするのに気付き、彼が犯人と疑う」って流れでも成立したと思うし、もっと脚本を煮詰めて欲しかったですね。  たとえシンプルなストーリーでも、細部を丁寧に作れば良作、あるいは傑作と呼べる品に仕上がったのでしょうが……  残念ながら本作は、それに当てはまらない例に思えました。[ブルーレイ(吹替)] 5点(2021-09-23 16:18:07)(良:1票) 《改行有》

64.  カニング・キラー 殺戮の沼 《ネタバレ》  ドミニク・パーセルが主演のワニ映画だなんて、それだけでワクワクします。  男臭くて恰好良いパーセルが、アフリカの巨大ワニと戦い、見事仕留めてくれるのを期待して鑑賞した訳ですが……  色んな意味で、予想も期待も外れちゃう内容でしたね。  まず、思った以上に社会派というか、ワニよりも人間同士の争いにスポットを当てた作りなんです。  この場合の争いっていうのは「自分だけが助かろうと、遭難者グループ内で醜い争いが起こる」って代物じゃなく、文字通りの戦争であり、民族間の内戦。  そもそも巨大ワニのグスタヴが人喰いの味に目覚めたのは「内戦や虐殺で多くの遺体が河に捨てられた為」というのだから、云わばワニなんて内戦の副産物に過ぎない訳です。  映画の半分が過ぎても、パーセル演じる主人公は「俺はワニになんか興味無いんだ」って断言してるし、ヒロインも「ワニなんかより、ここで行われてる虐殺を世界に伝えるべきよ」と言い出すしで、作り手としてもワニより内戦にスポットを当てていたのは明白。  それが失敗だったとは言わないし、斬殺シーンや射殺シーンなどには(確かに、ワニなんかより人間の方が怖い)と感じさせる力がありましたけど……  やっぱり、普通の、王道のワニ映画が観たかったなぁって、つい思っちゃいました。  第一、社会派な内容にするのであれば、もっと事実に即した作りにすべきだったと思うんですよね。  「人喰いワニであるグスタヴ」以外は全て架空の人物ってのが、何とも中途半端。  そんな架空のドラマ部分は悪くなく「友人を失った代わりに、彼が救おうとした現地の若者を保護する事が出来たハッピーエンド」ってのは納得なんですけど、実話に即した「結局グスタヴを退治する事は出来なかった」ってオチまで付くのが、足を引っ張ってる形。  いっそワニの存在も架空にして「今回遭遇した個体は倒したけど、まだまだアフリカには巨大な人食いワニが残ってる」みたいな形にしても良かったんじゃないでしょうか。  ジャーナリストで知性派なパーセルってのも意外性があって良かったですし、カメラワークや演出なども洗練されていたのですが……  何とも勿体無い、もうちょっとで傑作に化けてくれそうな一品でした。[ブルーレイ(吹替)] 5点(2021-09-22 19:25:17)(良:1票) 《改行有》

65.  ゾンビランド 《ネタバレ》  世にゾンビ映画は数多く存在しますが「その中で一番好きなのは何?」と問われたら、本作を挙げるかも知れません。  そのくらい面白いし、楽しいし、魅力的な一品なんですよね。  文明社会が崩壊した理由を長々と語らず「ゾンビウイルスに汚染されたハンバーガー」がキッカケだとナレーションで軽く説明してしまい、後はひたすら主人公達が「ゾンビランド」で生き抜く様を描くという、そのシンプルさが心地良い。  主人公のオタク青年に、相棒となるタフガイ、ヒロイン枠とマスコット枠となる美少女姉妹という、登場人物のバランスも良かったです。  主人公が「ピエロ恐怖症」なんだと告白すれば、その後にピエロゾンビと戦うシーンが挟まれ、恐怖を乗り越えて成長する姿が描かれたりして、とにかく観客の期待を裏切らない作りになっている辺りも、実に素晴らしい。  そうやって、本筋に関しては王道を守りつつ、要所要所で「意外性のある場面」を挟み、飽きさせないようにしている工夫も上手かったですね。  「姉妹達の裏切り」にせよ「相棒のタラハシーが可愛がっていた仔犬の正体」にせよ、直接本筋と絡むエピソードではないので「初遭遇時から姉妹と仲良くなる」でも「タラハシーは仔犬を失ってしまった男」でも、構わないといえば構わないはずなんです。  でも、そこをあえて「裏切られた後に仲良くなる」「仔犬ではなく息子を失ったのだと知って、一同の絆が強まる」という形にする事によって、観客を驚かせる事にも、劇中の人物達に深みを与える事にも成功している。  この辺りの「お約束な魅力」と「意外性の魅力」との使い分けが絶妙で、本当に上手い脚本だなぁと、観ていて感心する事しきりでした。  恐らくは軍隊が乗り捨てていったのであろう戦車がさりげなく背景に映っている(しかも主人公達はそれを驚きもしない)とか、文明崩壊後の世界の描写に、ちゃんと説得力があった点も良いですね。  土産物屋で暴れて、店内を滅茶苦茶にする場面では「ゾンビ」(1978年)から通じる「文明が崩壊した世界で好き勝手やる楽しさ」が感じられたし、皆で暖炉の前に集まってモノポリーする場面なんかも、凄く好き。  「お金はいくらでもあるけど、もうモノポリーで使う事くらいしか出来ない」っていう皮肉さを、さらりと描く辺りなんて、本当に御洒落だと思います。  ビル・マーレイが呆気無く死んじゃうのは寂しいとか、姉妹はシャワーを渇望していたのだから、それを叶えるシーンがあっても良かったのにとか、遊園地でピンチになるまでの流れが無理矢理過ぎるとか、不満点もあるにはあるんですが……  それらもテンポ良く、ギャグを交えながら描かれているので、あまり気になりませんでしたね。  それよりも、小さな売店に籠城して、四方八方から襲い掛かるゾンビを迎え撃つ場面が、痺れるほど恰好良かった事。  クライマックスの舞台が遊園地だからこその、様々なアトラクションを駆使した「対ゾンビ戦」も丁寧に描かれている事など、長所の方が、ずっと印象深い。  終盤にて、主人公は「女の子の髪を撫でる」という夢を叶える事が出来たし、相棒も念願のトゥインキ―を無事ゲット出来たしで、カタルシスを存分に味わえる作りになっているのも、嬉しかったですね。  「僕達は皆、ゾンビランドで一人ぼっちだ」と呟いていた主人公が、家族を手に入れて、再び旅立っていく。  そんなハッピーエンドで終わる辺りも、文句無し。  遊園地で一日過ごした後のような、心地良い充足感に浸れる映画でありました。[ブルーレイ(吹替)] 9点(2021-09-09 15:44:18)(良:3票) 《改行有》

66.  パーフェクト・ストレンジャー(2007) 《ネタバレ》 「お金は諸悪の根源よ」 「諸悪の根源は、金を愛する事。愛だ」  という男女の会話が印象的。  最終的に、男の方は「愛」ゆえに彼女に無防備に近付いて、その結果殺された形にも思えるし、中々皮肉が効いているように思えます。  この映画の是非に関しては「主人公が犯人だった」というお約束オチを受け入れられるかどうかに掛かっているのでしょうが、自分としては「ギリギリOKなんじゃないの」という感じでしたね。  女友達との駅でのやり取りが、とても仲良しには見えなかった事や「お母さんによろしく」という台詞が伏線であった事には、素直に感心。  父親の話題を出された際に、意味深に話を逸らしてみせたのも「性的虐待を受けていたから」と思わせておいて、実は「父親の死の真相を知られたくないから」だったと分かる形になっているのも、上手かったと思います。  勿論「やり方が回りくどすぎる」「主人公が犯人というオチありきで無理やりストーリーを組み立てている」など、ツッコミどころもあるにはありますが、何とか許容範囲内でした。  予備知識は殆ど仕入れず、先入観を持たないで観賞したのも幸いしたのかも知れません。  「マイルズはセクシー」の場面における、ストーカー的な気持ち悪さも良く出来ていたと思いますし、最後の最後、ようやく秘密を知る人間を全て始末したと思っていたのに、それさえも元上司に見られていたという「そこまでやるか!」なオチも結構好み。  映画の大半を占める「会社への潜入行為」「ブルース・ウィリス演じるハリソン・ヒルとの駆け引き」などには魅力を感じず、退屈な時間も長かったのですが、最初と最後が綺麗に繋がった感覚を味わえたし、満足度は高めでしたね。  期待して観ていたら「期待外れ」だったかも知れないけど、期待せずに見たせいか「意外とイケるじゃん」と思えたというか、そんな感じの一品でありました。[DVD(吹替)] 6点(2021-08-25 08:53:53)《改行有》

67.  グラスハウス 《ネタバレ》  舞台となる「グラスハウス」は雰囲気満点。  ジムにホームシアターまで揃っているし(良いなぁ……住んでみたいな)って思えましたね。  海に面したレストランや、海辺の道路など、美しい場面が多い点も良い。  ヒロインのルビーが夜中にプールで泳ぐ場面なんかは、神秘的でエロティックな魅力がありましたし、ラストのカーアクションも中々迫力あったしで、ビジュアル面の満足度は高かったです。  では、シナリオ面についてはどうかと考えてみると……ちょっと微妙でした。  上述の通り、ビジュアル面には拘りが感じられたんだけど、それが裏目に出てる部分もあるんですよね。  夜のグラスハウス内での場面はともかく、まだ昼間のはずの校舎ですら薄暗い場面ばかりとか、流石に「やり過ぎだよ」って呆れちゃいます。  どうしても薄暗い場面ばかりにしたかったのであれば、そこは脚本でフォローして、不自然さを消すべきだったんじゃないかと。  主人公姉弟にはジャック叔父さんがいるはずなのに「グラス夫妻と一緒に暮らすのが嫌なら、施設に入るしかない」って言われるのも不思議だったし(その後、ジャック叔父さんに引き取られて幸せに暮らしてるとしか思えないエンディングとも矛盾してる)脚本の詰めが甘かった気がします。  それと、主人公姉弟があんまり「良い子」とは思えなくて、応援する気持ちになれなかったのも残念ですね。  例えば、麻薬中毒のエリンがルビーに寄り添うように死んでしまう場面なんかでも、観客は事前に「幼いルビーと仲良しだった頃のビデオを観て、感傷に浸る場面」を知ってる訳だから、ついエリンに同情しちゃう展開なんだけど、ルビーはエリンの死体を気味悪がってるだけなんです。  ルビーは観客と違ってエリンの悲しい一面なんか知らないから当然の反応ではあるんだけど、こういう描き方は、どうしても「感情移入出来ないヒロイン」って印象になっちゃいます。  この映画では最も重要だろう「良い人かと思われたグラス夫妻が、実は悪人だったと判明する場面」あるいは「主犯であるテリーに止めを刺す場面」にカタルシスが欠けているのも、如何なものかと。  特に後者に関しては、テリーが発砲する前に轢き殺してるので正当防衛って感じもしなかったし、もうちょい上手くやって欲しかったです。  「絵を描くのが趣味なヒロインが、防犯装置のパスワードをスケッチブックにメモする」とか、良い場面も色々あっただけに勿体無い。  何より悲しかったのは、せっかくグラスハウスが素敵だったのに、結局そこから飛び出して普通の道路でクライマックスを迎えちゃう事ですね。  せめて最後はタイトル通り「グラスハウス」で決着を付けてくれてたら、もっと良い形に仕上がったんじゃないかなって思います。 [ブルーレイ(吹替)] 6点(2021-08-16 16:47:55)《改行有》

68.  テイキング・ライブス 《ネタバレ》  これは困った一品。  イーサン・ホーク演じるコスタの存在意義が「好青年と見せかけて実は犯人」という以外には思い付かないようなキャラクターの為、観ていて早々に犯人に気付いてしまうのですよね。  キーファー・サザーランドという大物を起用し、彼が犯人かと勘違いさせるべくミスリードを行っているのは分かるのですが「それで騙そうとするのは、ちょっと無理があるよ」という感じ。  最後の「実は妊娠していなかった」オチに関しても、事前に医者に告知されるシーンなどがなく、いきなり主人公のお腹が膨らんでいる展開なので、その瞬間からもう「本当に妊娠しているの?」と疑ってしまうんです。  だから、その後に真相が明かされても「あぁ、やっぱり」と嘆息するしかない訳で……本当に困っちゃいます。  そんな具合に、どうにも脚本が肌に合わなかったのですが、それでも何だかんだ退屈せず観られたのは、役者さんの力が大きいのでしょうね。  アンジェリーナ・ジョリーは前半の「出来る女」っぷりと、中盤以降の騙された「弱い女」っぷりの演じ分けが見事でしたし、彼女とイーサン・ホークの演技合戦を眺めているだけでも、何だか得した気分。  演出に関しても「相手を突き飛ばして車に跳ねさせる場面」や「エレベーターの中で犯人が母親の首を捥ぎ取る場面」などは中々ショッキングであり、良かったと思います。  低予算な映画が脚本によって救われて、傑作に仕上がる事がありますが、本作の場合は逆に、脚本の不備を役者さんの力によって補ってみせたというパターンではないかな……と感じられました。[DVD(吹替)] 5点(2021-07-09 18:11:03)(良:1票) 《改行有》

69.  ブラックホーク・ダウン  これは評価するのが難しい一本です。  リドリー・スコット監督の手腕は大いに信頼しているし、ジョシュ・ハートネットもユアン・マクレガーもウィリアム・フィクトナーも大好きな身としては、史実がどうこうは忘れてしまって、戦争映画というフィクションと割り切って楽しみたかったのですが、決してそれを許してくれない内容。  さながら「命は平等である」という価値観を真っ向から否定するように描かれているアメリカ人とソマリア人。  観賞中ずっと、この映画から「アメリカ軍の兵士十九人分の命は、ソマリア民兵の千人分の命よりも尊いのだ」と囁かれているような気がして、その声に耳を塞ぎたい思いに駆られました。  とはいえ、戦争映画という性質上、観客に色々考えさせてくれるのは有益な事だと思いますし、本当に自分が戦場にいるかのような臨場感は、凄いものがあります。  映画では英雄的に描かれているアメリカ兵だけど、彼らのモデルになった実際の兵士達には、六歳の娘に性的暴行を加え逮捕された人物もいたりする訳で、そんな「現実とのギャップ」も味わい深いですね。  恐ろしい映画でした。[DVD(字幕)] 3点(2021-05-19 16:16:43)《改行有》

70.  半分の月がのぼる空 《ネタバレ》  作中にて「こういうの言うのって、疲れるね」との台詞がありましたが、観ているこちらまで疲れてしまうような内容。  まず、大泉洋が主人公の未来の姿であったという叙述トリックについては、見事に騙されました。  その驚きと感動が同時に味わえる演出は確かに凄いと思うのですが、ただ一点。  主人公には娘の未来がいるにも拘らず「里香がおらん俺の人生、空っぽや」なんて、それだけは父親として絶対に言っちゃいかんだろうという台詞を口にしたのが、受け入れ難いものがあったのですよね。  過度な自己憐憫で泣かせようという、作り手の意図が透けて見えたように思えて、折角の感動的な場面なのに、白けた気持ちになってしまいました。  せめて、その後にもっと明確に「自分には娘がいた」と気付いて反省したり、この子の為に頑張って生きようと決意するシーンがあったりすれば良かったのですが、それも無し。  また、最後に勇気を出して手術を行うと決意する理由も「里香の命令やもんで」って、照れ隠しではなく単なるヒロイン依存症に思えてしまい、残念でした。  基本的にはベタな「難病もの」であり、王道の魅力を備えているのだから、ツボにハマれば、素直に感動出来たのだと思います。  けれど、本作は自分の好みとは違っていたみたいで、何だか凄く勿体無い気持ちになりましたね。  一緒に病院を抜け出して、ヒロインの思い出の場所に連れて行ってあげる件。  そして学校の劇に、急遽代役として二人が出演する件などは、ご都合主義ではあるけれど「青少年がやってみたいと願う事を、映画の中で疑似体験させてくれる」という意味では、とても良かったですし、好印象。  特に後者の最中にて「私は、一瞬でも長く貴方の御傍にいたいんです」という台詞を、ヒロインが迷った末に口にする流れなんかは、本作の白眉であるように感じられました。  その劇の後、お姫様の恰好のまま倒れたヒロインを、王子様の恰好をした主人公が病院へと運ぶシーンにて、おんぶ等ではなく、ちゃんとお姫様抱っこで運んでいる辺りにも感心。  こういった細かい部分にて、観客の喜ばせ方を心得ているかどうかって、とても大切な事だと思います。  宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」が作中で効果的に扱われている辺りなども、ファンとしては嬉しい限り。  ラストにて、二人のキスと同時に、エンディング曲が流れ出す演出も秀逸でしたね。  性行為などの演出は徹底的に省いているのも「純愛」「真摯な物語」といった感じがして、作り手の誠実さが伝わってきます。  細かい部分での違和感、好みの違いはありましたが……  決して嫌いにはなれない、とても真面目な映画でありました。[DVD(邦画)] 6点(2021-04-29 05:05:34)(良:1票) 《改行有》

71.  80デイズ 《ネタバレ》  「八十日間世界一周」をジャッキー主演で映画化したという、正に夢のような映画。  その分、ちょっとファンタジー色が強過ぎるというか、映画版「八十日間世界一周」(1956年)のリメイクと考えたら違和感が大きいけど、自分としては満足でしたね。  あくまでも、ジュール・ヴェルヌの小説を翻案した「ジャッキー映画」として楽しむべきなんだと思います(エンディングのNG集は無いけど)  物語の大オチ「日付変更線を越えたから期限に間に合った」は変えてないし、世界一周の旅を通して「金や名誉よりも大切な人を得る事が出来た」という、原作で一番大切な部分を、きちんと踏襲しているのも嬉しい。  随所にアクションも盛り込まれているし、急造飛行機以外にも「色んな機能を備えたステッキ」「車輪を付けた靴」など、ワクワクさせられるアイテムが揃ってるのも良かったです。  主人公格のフォッグを発明家キャラにした事に、ちゃんと意味があったと思います。  ゴッホやライト兄弟にウォン・フェイフォンなど、史実におけるビッグネームが登場する事と「俳優としてのビッグネーム」が登場する事をシンクロさせている作りも面白い。  この辺りは「さりげなくスターを出演させる」という1956年版の遊び心に通じるものがあるし、ただ真似をするだけでなく、一歩先に進んでみせた感もありますよね。  特に「ジャッキー・チェンとシュワルツェネッガーの共演」には胸躍るものがあって、本作が「夢の映画」である事を実感させてくれました。  万里の長城を徒歩で移動する場面なんかも、旅映画らしい切なさを感じられて好きだし、パスパルトゥーの故郷の描写も「懐かしき我が家に帰ってきた……」って感じがして、良かったですね。  敵と戦っている内に、自然とキャンパスに絵が完成しちゃう場面も可笑しくって、コメディ部分としては、ここが一番お気に入りかも。  そんな具合に、様々な長所が備わっている映画なんですが…… ・船を材料として提供した船長達が、その後どうなったかについて描かれていない。 ・「また腕が取れた」と笑いを取って終わるのは、ちょっと微妙。  といった具合に、終盤において短所が目立つのが残念ですね。  最後の最後で、テンションが下がって終わっちゃう形。  これって「終わり良ければ全て良し」の逆の現象であり、作品全体の印象も微妙なまま終わっちゃう訳だから、凄く勿体無い。  せっかく旅の途中までは楽しかったのだから、その勢いのままハッピーエンドまで駆け抜けて欲しかったものです。[DVD(吹替)] 7点(2021-04-16 14:58:23)《改行有》

72.  幸せになるための27のドレス 《ネタバレ》  オチの良さありきというか、それがやりたい一心で映画撮ったんじゃないかと思えるような品なんですが……  自分としては、過程も含めて楽しめましたね。  例えば、話の流れとしては冒頭の「タクシー運転手とのやり取り」が面白くて、もしや彼が恋人候補かとも思える感じなのですが、ちゃんと配役や演出でケビンこそが「ヒロインと結ばれる王子様」だと分かるよう作ってあるんです。  上司のジョージを(良い人だけど、何か違う……)と観客に思わせる辺りも絶妙で、たとえヒロインが彼に恋い焦がれていても、最終的に結ばれるのはケビンの方なんだろうなと、予想も出来るし、納得も出来ちゃう。  「先が読める展開」「安易な脚本」ではあるんだけど、ちゃんと丁寧に作られていたと思います。  主人公カップルに「結婚式が大好きな女性」と「結婚式が嫌いな男性」を据えて「相性最悪かと思われた相手が、実は運命の相手だった」というラブコメ王道の魅力を描いている点も良い。  それと「ドレスを着たままおしっこする際は、誰かの補助が必要」とか、男性からすると(そうなんだ)と思える場面があるのも良いですね。  女性向けのラブコメ映画だからこその、意外な魅力って感じです。  「要領が良くて、周りに愛される妹」「それに対する、姉としての複雑な感情」を描いている点も、女性主人公ならではって感じがして、これまた楽しめちゃいました。  終盤、主人公が妹の結婚をぶち壊して憎まれ役になる訳だけど、そこで親友がキチンと「こんなの間違ってる」と諭してくれるのも良いですね。  観客が主人公から心を離してしまうのを繋ぎ止める効果があり、ラブコメの親友キャラとして、良い仕事したなって思えました。  アン・フレッチャー監督は「あなたは私の婿になる」(2009年)も良作でしたし、こういう細かい部分の作り込みが自分好みなんでしょうね、きっと。  そんな本作の欠点は……  「姉妹が仲直りする場面に、無理がある」って事でしょうか。  ここに関しては、些細な部分ではなく、映画の中で重要な部分だと思うので、ちょっと看過出来ないです。  妹のベスは、彼女なりに色々考えて「ジョージに相応しい女性になろうとした」と告白するんだけど、具体的に何か努力したという訳じゃないので、説得力に欠けるんですよね。  その辺に関しては、作り手側も気になったのか「実は仕事をクビになったばかりだし、元カレに振られていたりで、妹も挫折を経験していた」「妹は妹で、姉にコンプレックスを抱いていた」と、様々な要素を用意してはいるんですが、どれも和解に至る決定的な材料とは思えず、残念でした。  せめて「喧嘩の切っ掛けになった母親のドレスについて、妹が謝る」って場面があれば、印象も変わったかも。  とはいえ、冒頭にて述べた通り「ブライズメイドを務めてあげた友達27人が、ドレスを着て結婚式に来てくれた」というオチが凄く良かったもので、鑑賞後の満足度は高め。  (これまでの主人公の行いは、無駄じゃなかったんだ……)って感慨を抱けるし、映画のクライマックスと共に完結する構成が美しかったです。  新聞記事に擬したエンドロールも御洒落だし、ラスト数分で一気に評価を高めてくれた一本でした。[ブルーレイ(吹替)] 6点(2021-03-16 22:55:50)(良:2票) 《改行有》

73.  あなたは私の婿になる 《ネタバレ》  これ、好きですね。  「偽りの恋が、いつしか真実の愛へと変わっていく」という既視感満載なラブコメ物なのですが、適度なサプライズがあり、ちゃんと新鮮な魅力を味わえるんです。  その最たる例が「心臓発作で倒れる祖母」であり(これは彼女を死なせて盛り上げる展開か)と、観ていてまんまと騙されちゃいました。  それが「家族を仲直りさせる為の演技でした」と判明する訳だけど、全く嫌味が無いし「悲劇を回避出来た」「お陰で皆が仲良くなれた」という形の嘘なんだから、不快感が無いんですよね。  「観客を騙す映画」って沢山あるけれど、ここまで気持ち良い騙され方をした例は、ちょっと他に思いつかないくらい。  アンドリューの元カレが復縁を迫るのかと思いきや「このままマーガレットと別れても良いの?」と言い出す場面も、凄く良かったですね。  本当に脇役が良い人達ばかりだから、彼らに支えられる形で主人公二人が結ばれる流れが、観ていて心地良い。  そんな「サプライズ」が巧みな一方、序盤でヒロインのマーガレットが「泳げない」と言う伏線があったら、ちゃんと後に溺れそうになる場面を用意したりとか、観客の予想や期待を裏切らない構成になっているのも、お見事でした。  あとは、男性目線で観ると「美人な女上司の弱みを握り、言いなりにする」という邪な願望を満たす内容になっているし、女性目線で観ると「実家が金持ちの彼と結ばれる玉の輿展開」になっているしで、その辺の「男女どちらが観ても楽しめる」というバランスの良さも、絶妙でしたね。  孤独だったマーガレットが「家族の温もり」に触れ、アンドリューの家族を騙す事に耐えられなくなり、結婚式での告白に至る流れも丁寧に描かれており、説得力がありました。  そんな本作の不満点を述べるとしたら……  冒頭にて登場する「毎朝ラテを用意してくれる店員」が可愛くて、メインキャラかと思ったら違ってたのが残念とか、男性ストリッパーの場面は観ていてキツかったとか、精々そのくらいかな?  サンドラ・ブロック主演のラブコメ映画は色々ありますが、自分としては本作が一番好きですね。  エンドロールの質問にて「婚約者は誰?」と問われ、嬉しそうに「アンドリュー」と答える姿も可愛らしいし、彼女の魅力が存分に味わえる一本でした。[DVD(吹替)] 7点(2021-03-07 07:56:32)(良:2票) 《改行有》

74.  9デイズ 《ネタバレ》  主人公が双子の兄弟に成り済ます為、チェコ語を習得したり、葉巻の吸い方やワインの飲み方を学んだりするパートが面白かったですね。  黒人男性版の「マイ・フェア・レディ」「プリティ・ウーマン」といった趣があるし、実際に劇中で後者の曲が流れたりするのだから、作り手としても意図した演出であったように思えます。  観賞前の期待通り、安心して楽しめる娯楽作品なのですが、ちょっと細かい点が気になったりもして、そこは残念。  例えば、高層ホテルにて刺客に襲われた主人公が、咄嗟に窓の外に逃げるというシーンがあるのですが、ここの件って、どう考えても窓の外の方が室内より危なかったりするんです。  何せ、足場が自分の靴ほどしかない訳で、実際に主人公は落ちそうになりながら、おっかなびっくり移動しているんですからね。  対するに、室内にいる刺客なんて全く強そうじゃなくて、主人公もガラス瓶で殴って撃退したはずなのに、わざわざ危険な窓の外に逃げたのだから、どうにも不自然。  恐らくは、その後の屋外での追いかけっこに繋げる為の脚本なのでしょうが、それならもっと自然にやって欲しかったなぁ……と、つい思ってしまいました。  「別人に成り済まして危険な取引を行う」という王道ネタを扱っているわりに「正体がバレそうになってドキドキさせられる」展開が無かった辺りも、不満ですね。  そういったベタな面白さを避けた以上は、他に何か目新しい面白さを提供してくれるのかなと思ったけれど、それも無し。  結果的に、映画の後半においては「主人公が別人に成り済ましている」という設定が忘れられてしまったかのようで、観ていて居心地が悪かったです。  そんな本作の白眉としては、主人公の母親の存在を挙げる事が出来そう。  最初は厳しい人なのかなと思ったら、実は息子に無償の愛を注いでいるのだと分かり、グッと来ちゃいましたね。  自分は、どうもこういうギャップのある描写に弱いみたいです。  息子の為に都合してあげたお金が「ビンゴの賞金250ドル」という辺りも、絶妙な塩梅。  「この母ちゃんの為にも頑張ってくれよ」と、主人公を応援する気持ちにさせられました。  それだけに、報酬の一部を母親に渡すラストシーンでは「一万ドルじゃなくて、九万ドルの方を母親にあげれば良いのに」と思わされたのですが……  実際にそうしようとしたら「私は一万で良い。九万は結婚資金に使いなさい」と叱られちゃう気もしますね。  最初は仲が悪かった堅物の相棒が、慣れないジョークを口にして祝福してくれたという、結婚式での風景も素敵。  後味が良い結末のお蔭で、なんだかんだ言っても満足出来た一品でした。[DVD(字幕)] 6点(2020-12-07 09:01:16)(良:2票) 《改行有》

75.  スパイダー パニック! 《ネタバレ》  これは好きな映画ですね。  手に汗握る緊迫感とか、物凄いセンスの良さがあるとか、そういう訳じゃないんだけど、定期的に観返したくなるような魅力がある。  分析してみるに、やはりモンスターである蜘蛛の描き方が良かったんじゃないでしょうか。  見た目も怖過ぎず、気持ち悪過ぎずで、そこはかとなく愛嬌があるし、殺し方もそこまで残酷じゃない。  銃を持った人間と一対一なら負けちゃうけど、数の力を活かせば圧倒出来る。  移動速度も素早く、徒歩の相手なら楽勝で追い付き、バイク相手なら逃がしてしまう事もある。  知能は道具を扱える程ではないが、原始的な狩りの術は習得済み。  そしてオスの三倍も大きいメスという、視覚的にも分かり易いボス格の存在……  様々な点でバランスの良い、名敵役といった感じでした。  主人公側の戦力も程好いバランスでまとまっているし、何と言っても主武装がショットガンというのが自分好み。  モールに立て籠り、襲い来る蜘蛛の大群をショットガンで迎え撃つ場面とか、もう本当に大好きなんですよね~  こういうゲームがあったらプレイしてみたいなぁ、なんて思っちゃいます。  人物設定も良くって、男性主人公と、子持ちのヒロイン、幼い息子、年頃の娘と、もう完璧な布陣。  何でなのか分からないけど、こういう組み合わせって琴線に触れるものがあるんですよね。  「君も子供達も、纏めて幸せにしてみせるよ」という、男としての自尊心みたいな物が満たされるからかな?  息子くんの背伸びしている感じや、娘ちゃんの思春期な感じも、実に好ましかったです。 ・バイクに乗ったままジャンプし、空中で蜘蛛に蹴りを食らわせる。 ・金網越しに突き出た蜘蛛の足を、チェーンソーで一気に斬り落とす。 ・武装しろと言われた男が、ホッケーマスクにチェーンソーという「ジェイソンのようでいて、実は武器のチョイスがジェイソンじゃない」恰好をしてみせる。  等々、印象的な場面が色々と配されていて、観ている間ずっと飽きさせないのも良い。  客が少ないモールに、蜘蛛から逃げてきた人々が大挙して押し寄せるのを見て(ようやくモールに客が来たか)と喜ぶ町長のシーンなんかも、惚けたBGMと併せて、味わい深いものがありました。  誰も本気にしていないと思っていた「エイリアン襲来を警告するラジオ」のリスナー達が、終盤に駆け付けてくれるのも良いし「巨大蜘蛛に立ち向かうよりも勇気が必要な告白」をヒロインに対して行ったら、アッサリ受け入れてもらえて拍子抜けしつつ死地に赴く主人公って展開も、これまた素晴らしい。  無事に敵を一掃し、お約束のハッピーエンドを迎える結末まで、とても楽しい時間を過ごせました。[DVD(吹替)] 8点(2020-11-27 11:39:09)(良:1票) 《改行有》

76.  ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い 《ネタバレ》  既に三部作を鑑賞済みで再見した為 (1は意外と出だしがシリアスで、サスペンス物にも思えるような作りだ) (この頃はダグも主人公の一人だし、チャウは端役でしかなかったんだな……)  といった具合に、色んな発見があって面白かったですね。  本作の場合「新郎のダグは、何処にいるのか?」という謎がキーとなっているので、その答えを知っている状態で観たら楽しめないかもという不安もあったんですが、それを見事に吹き飛ばしてもらえました。  あと、1の時点だとアランの駄目人間っぷりも控えめで、観ていて不愉快に思える場面が無かった事も、非常にありがたい。  三部作の中では本作が最も優れていると思うんですが、その理由としては「長所が多い」という以上に、後の二作よりも「短所が少ない」という事が挙げられそうなくらいです。  特に感心したのが「昨夜の出来事を何も憶えていない」という設定にも「酒の飲み過ぎ」だけで済まさず「ドラッグの効果」という理由まで付け足し、リアリティを補強している事。  そして「ドアは開けておけよ」という、序盤の何気無い一言が伏線になっている事ですね。  後者は短いながらも印象的な場面ですし、真相が判明した際(そうだ、屋上のドアは中からじゃないと開けられないんだ)と観客に思い出させる効果があるしで、とても良かったです。  こういう部分がしっかりしていないと「設定に無理がある」「伏線が弱い」っていう欠点に繋がってしまう訳で、本作はそういう欠点を生まないように、丁寧に作られているのが窺えました。  足を引っ張ってばかりのアランが、実はカードカウンティングが可能な天才だったと判明する流れも、非常に気持ち良い。  三部作の中では、本作が最もアランの主人公っぷりが薄いんですが、活躍度では随一だったと思いますね。  義兄となったダグを「お兄ちゃん」と呼んでハグする場面も、幼い男の子なら感動的になりそうなんだけど、実際は髭っ面の良い歳した男性なのでシュールな絵面にしかならない可笑しさがあったし、自分としては本作のアランが一番好きです。  「虎」「赤ん坊」「パトカー」といった謎掛けアイテムの数々も魅力的だし、車を飛ばして結婚式場に向かう場面はカーチェイス的な魅力もあったしで「掴み」と「盛り上げ方」が上手かった点も、お見事。  「屋上での乾杯から記憶を失う」「実は、ダグの居所も屋上」っていう構成になっているのも、凄く良いですね。  盲点を突かれたというか「答えの場所を予め示しておいた」というフェア精神のようなものが感じられて、観ていて心地良かったです。  そんな中、数少ない欠点を挙げるとしたら……  フィルが生徒達から金を騙し取り、ベガスで遊ぶ為の資金にしている冒頭部分が、不要に思える事(カードカウンティングの際の資金にしたのがコレと示すとか、予想以上に儲けたので生徒達に豪華な見学旅行をプレゼントする後日談を付け足すとか、もっと上手い活かし方があったはず)  次作以降で明かされる「アランは歌が上手い」「スチュはジェイドと結ばれない」などの情報とは、矛盾した描写が目に付く事とか、そのくらいかな?  勿論「無茶をやり過ぎ、車の修理費だけで凄い額になる」とか「鶏は虎の餌にする為に連れてきたの?」とか、細かいツッコミ所や疑問点はあるけど、観ている間は気にならなかったです。  「その後のシリーズと比べると矛盾がある」って点に関しても、コレ単体で評価する限りでは欠点とは言い難いですし、本当に良く出来ていると思いますね。  「実際には、どんなパーティーだったのか」を明かしてくれるエンドロールに至るまで、楽しい時間を過ごせました。[DVD(吹替)] 7点(2020-11-20 16:26:27)(良:2票) 《改行有》

77.  ブリジット・ジョーンズの日記 《ネタバレ》  この映画に関しては、元ネタである「高慢と偏見」を知っているかどうかで評価が分かれそうな感じですね。  それというのも、文学少女の憧れである「ダーシー様」を1995年のドラマ版で演じたコリン・ファースが「マーク・ダーシー」役を演じている訳だから、本作のブリジットは彼と結ばれるって事がバレバレなんです。  一応、ストーリーラインとしては「マークとダニエル、どちらと結ばれるのか分からない三角関係」って形になっているので、これはかなり致命的なネタバレ。  作り手側としては、もう配役の時点で開き直り、最初から「三角関係」要素を薄めて「ブリジットとマークが紆余曲折を経て結ばれるラブコメ」として仕上げているんでしょうけど……それでも消しきれない「三角関係」要素が、重荷になってる気がしましたね。  ダニエル役にヒュー・グランドが起用されているのも「豪華」というよりは「準主役でもないのに、勿体無い」と思えちゃいました。  そんな訳で、自分としては「悪い意味で結末が分かり切ってる映画」という、大きなハンデを背負った上での鑑賞だったのですが……  それでもしっかり楽しめた辺りは、流石という感じ。  本作が2000年代を代表するラブコメというだけでなく「ブリジット・ジョーンズは2000年代と寝た女」と思えちゃうくらい、彼女が魅力的に描かれていたんですよね。  ちゃんと仕事は頑張ってるから「彼氏がいないのを嘆いて、自堕落な休日を過ごしてる姿」も微笑ましく思えたし「ぽっちゃりとした女性の色気」が、視覚的に描かれていた辺りも良い。  特にカメラに向かってブリジットの巨尻が落ちてくる場面なんて、ギャグタッチにも拘らず昂奮しちゃったくらい。  メールでは強気な態度を取れるけど、いざ相手と目が合ったら愛想笑いしちゃうとか、そんなところも憎めない。  そんな彼女を愛でる「萌え映画」として考えれば、本作は満点に近い出来栄えだったと思います。   「人生やり直せるなら、今度は子供を作ったりしない」と母に言われる場面では鼻白んだとか、ブリジットの友人達の存在意義が薄いとか、不満点も色々あるんだけど、まぁ御愛嬌。  どちらかというと、終わり方がアッサリし過ぎていたのが気になりましたね。  これは欠点というよりは「マークと上手くいきそうになって、これから面白くなりそうだってところで終わるのが残念」っていう類の不満点です。  結果的に三部作になったので、この不満も続編で解消される訳だけど、本作単体で考える分には、どうしても「物足りない終わり方」って評価になっちゃうと思います。  後は……上司にカッコいい啖呵を切って辞職する場面が痛快だったとか、頑張って新しい自分に変わろうとするブリジットに「ありのままのキミが好き」とマークが言ってくれる場面にはグッと来たとか、そのくらいかな?  こういったシリーズ物の場合、初代が一番面白くて続編は蛇足ってパターンも多い訳ですが……  本作に関しては、続編の方が面白いんじゃないかと思えましたね。  興味がおありの方は、是非チェックして欲しいです。[DVD(吹替)] 6点(2020-11-20 04:26:52)(良:1票) 《改行有》

78.  アメリカン・パイ in ハレンチ教科書<OV> 《ネタバレ》  中盤までは、とにかく退屈。  「自慰を家族に見られる」「恥ずかしい動画が拡散しちゃう」っていう過去作のネタをなぞりつつ、淡々と物語が進んでいく感じで、全然ノリ切れなかったんですよね。  初代に出てきた「性書」が再登場した際には(おっ……)と思いましたが、それも読める部分が殆ど無くて役立たずっていうんだから、観ているこっちもガッカリ。  唯一魅力的なキャラである「主人公の母」は出番少なめだし、山場となる「下着の万引き」「お婆さん娼婦の死」に関しても、あんまり笑えなかったです。  そんな訳で、これはシリーズでも最低の作品ではないかって失望すら浮かんできちゃったんですが……  そこで颯爽と、ジムの父親が登場!  前作の「ハレンチ課外授業」での失態を帳消しにするくらい、一気に映画を面白くしてくれたんだから、もう嬉しくって仕方無かったですね。  ボロボロになった「性書」を復元していく様はスピーディーな演出で楽しかったし、結婚生活が35年続いた秘訣について「妻を愛し、妻を尊重してきたからだ」と演説するジム父の姿も良かったです。  本作においては「若者達を優しく見守り、アドバイスを与えてくれる」というジム父の魅力がしっかり描かれており、その点でも自分泣かせというか(ちゃんと、このシリーズの魅力を分かってる人達が作ってくれたんだな……)って、感激させられるものがありましたね。  そんなジム父が退場した後の、スキー旅行のパートも面白くって、序盤~中盤にかけてのグダグダっぷりは何だったのと不思議に思えちゃうくらい。  それまで全然魅力を感じなかったヒロインのハイジについても「スキー場の女性は綺麗に見える」の法則で、スキーウェア姿が実にキュートだったし、それまで「嫌な奴」だったスコット・スティフラーには天罰が下り、反省して「憎めない奴」に変わっていくしで、それまでの欠点の数々が、悉くプラスに転じているんですよね。  「魅力を感じないヒロイン」「不愉快なだけで愛嬌皆無のスティフラー」が、一本の映画の中で、こうも変わるものかと感心しちゃいました。  それと、前作で失われた「青春映画の切なさ」が復活している点も、忘れちゃいけない魅力。  空中で止まったゴンドラにて言葉を交わし、結ばれる男女の姿なんて、実にロマンティックでしたからね。  最後に「性書」の貸し出しカードにサインして、元の場所に戻すのも「童貞からの卒業」「青春の終わり」を感じさせて、良い場面だったと思います。  冒頭にて述べた通り「中盤までが退屈」っていう明確な欠点がある為、総合的に評価するなら6点くらいになっちゃうんですけど……  後半で一気に挽回してくれた為、鑑賞後の印象は良かったですね。  やはりアメリカン・パイシリーズって良いよなぁと、しみじみ思わせてくれた、そんな一品でした。[DVD(吹替)] 6点(2020-11-13 09:51:53)《改行有》

79.  ディセント2 《ネタバレ》  前作ラストの答え合わせ。  思わせぶりなシーンは「主人公が洞窟から脱出する前に見た、束の間の幻」だった訳ですね。  まぁ、元々インパクト重視のバッドエンドというだけで、そこに深い意味なんて無かったように思えるので、単なる夢オチの一種だったという事なのでしょう。  さてさて、そんな訳で前作と地続きな続編となる本作なのですが、ご丁寧に「主人公グループが未知の地底人と遭遇するまで」の件を、たっぷり時間掛けて描いている事に吃驚です。  これって、1を未見で2から観たという人に対する配慮なのだろうけど、連続視聴した自分としては「いや、地底人がいるとか、そんなのとっくに知ってるって」と、少々ノリ切れないものがありましたね。  そんな具合に序盤は既視感が強いシーンが続き、正直退屈。  でも「前作で死んだと思われていたジュノが、実は生きていた」というサプライズが飛び出す中盤からは、ようやくギアが入った感じで、面白く観賞出来ました。  考えてみれば、確かに前作でも彼女の死亡シーンは明確に描かれていませんでしたからね。  観客を裏切らない程好い衝撃といった感じがして、好印象。  前作を生き延びた主人公のサラと、彼女が再会し、対立しそうになるも最終的には共闘してみせる展開なんかも、ベタだけど良かったと思います。  お約束の「自己犠牲」を意図的に否定してみせた前作を踏まえた上で、本作ではあえてお約束の「自己犠牲」を主人公が行ってみせる構造になっているのも面白い。  途中まで退屈だったがゆえの反動もあるかも知れませんが、この後半部分に関しては、本当に良かったと思います。  その一方で、ラストが前作と同じ「助かったと思いきや結局は助かっていない」というバッドエンドであった事には、心底ガッカリ。  何もそこまで重ね合わせなくても……と、つい思っちゃいましたね。  もし3が出たら、今作の黒人女性も実は助かっており、サラに代わって彼女が再び洞窟に入って、そこで生き延びていたサラと再会して……という無限ループ的な展開になったりするんでしょうか。  そこまでやってくれたら天晴な気もするけど、どっちかっていうと(変に凝ってバッドエンドにするより、そのまま脱出に成功してハッピーエンドで良かったのに)という気持ちの方が強かったです。  そんな本作は「洞窟に入るメンバーが女性だけではなく、男性もいる」という点が前作との大きな違いとなっている訳ですが、結局は「男なんて不要」とばかりに、バッサリ切り捨てる脚本になっているのも凄かったですね。  「何があっても、君を見捨てない」なんて恰好良い事を言っていた男性キャラクターも、その二分後には崖から墜落して瀕死となり、そのまま何の活躍もせず退場するのだから、恐れ入ります。  その後に文字通りの意味で「足手まといな男を斬り捨てる」展開も存在しているのだから、徹底しているなぁと呆れる思い。  もしかしたら、一種の女性賛歌の映画なのかも知れませんね。  1と2の合計で、約194分。  色んなシーンを拝ませてもらいましたが、結局は「怪物なんかより女の方が怖い」という結論に至るという……そんな二作品でありました。[DVD(吹替)] 5点(2020-11-12 09:03:30)《改行有》

80.  ディセント 《ネタバレ》  地底人という怪物なんかよりも、人間の方が怖い。  そして人間の中でも「女」は特に怖い……と感じさせる映画でしたね。  前半は洞窟からの脱出劇かと思いきや、中盤から地底人が登場して「モンスター映画だったのかよ!」とツッコませてくれる辺りは中々楽しかったし、終盤にて「友人を犠牲にして自分だけでも助かろうとする主人公」を描いているのも衝撃的。  後者に関しては、普通なら嫌悪感しか抱かないはずなのに、何となく納得出来るように仕上げられているんですよね。  その友人が主人公の夫と不倫していたからとか、誤解も重なった上での選択であるとか、そういった「理由付け」以上に「他者を犠牲にしてでも生き残ろうとするエゴイズム」を肯定的に描いており、そこに説得力が生まれているように思えました。  とにかくもう、犠牲にする友人を見下ろす主人公の目線が怖くて、強くて、ちょっと恰好良く見えたりもしたんだから、お見事です。  この手のホラー映画なら、友人側が率先して自己犠牲を選ぶのがお約束であるだけに、それを逆手に取った展開が、非常に新鮮だったと思います。  一方で、オープニングの事故がラストの夢オチに繋げる為にしか機能しておらず、劇中ではむしろ「夫と友人が不倫していた」事に重点が置かれている辺りなんかは、チグハグに思えましたね。  だから最後に娘の幻を見たとしても、何か「取って付けた」感がある。  それと、夢から覚めて起き上がった際に、気絶する前は周囲に散らばっていたはずの白骨が無くなっているなど、ミスなのか演出なのか良く分からない部分があるのも気になりました。  演出だとすれば「地底人も、その地底人の犠牲者である白骨も存在しない。洞窟で起こった惨劇は主人公達の妄想による代物」あるいは、娘の姿が消えた事も含めて「ようやく主人公が死から解放されたという事を示す為に、あえて白骨は映さなかった。血まみれなのも出産直後の赤子を連想させて、生まれ変わった事を示す為」なんて可能性もありそうなんですが……そのわりには地底人の声を被せてくるし、主人公は娘の亡霊に囚われたままみたいな表情だしで、どうも納得し難い。  「ただ単に、脱出したと思ったら、実は夢オチで未だ洞窟の中にいたというバッドエンドをやりたかっただけじゃないかなー」と思えちゃいましたね。  最後には「洞窟探検に旅立つ前の、皆が笑顔で映った写真」で〆る辺りも合わせ、後味の悪さ重視の結末であった気がします。  ……なんて具合に、色々と解釈が出来そうな「投げっぱなしオチ」だった訳ですが、その答え合わせが続編にて行われていましたね。  本作を観賞後「結局あれって何だったの?」と気になって仕方ない人には、オススメです。[DVD(吹替)] 5点(2020-11-12 08:55:46)(良:2票) 《改行有》

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