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61.  男はつらいよ 寅次郎物語 《ネタバレ》 シリーズ39作目。同年公開された『次郎物語』から付けられたタイトルなんだって。冒頭の夢が、中学時代に寅が家を飛び出した、回想と呼べるものでした。 秀吉みたいな小さい子が出てくると、満男が大きくなったなぁって実感が湧きます。寅のことを「俺買ってるんだ、割と」なんて、年上に対すると言うより同格な言い方。ヘタしたら母親のさくらのほうが寅のことを敬ってるかも? マドンナはてっきり秀吉の母のふでかと思いきや、たまたま旅館の隣に泊まった客。ひょんな事から「母さん」「父さん」と呼び合う自然な流れが微笑ましい。告白とかの恋愛のステップを飛び越えて、突然夫婦役として2人を着地させるのは、また面白いアイデア。 外堀は埋まって、寅と隆子も居心地良く夫婦ごっこをしてるけど、どうも寅が一歩引いた立ち位置で、冷めた気持ちで夫婦ごっこしてる雰囲気がつきまとう。あぁ、もう寅は燃えるような恋は出来ない歳なのかなぁ… 秀吉がまた、子役子役した演技派でなく、自己主張しないリアルな子供なのもいい塩梅。ただ別れ際が「おじちゃ~~ん!!」と泣き叫んで船を追い掛けるなんて、ちょっとベタかな。 でも最後、家を出る寅とさくらの会話「働くってことは」に、悩む満男が寅に問いかける「人間は何のために生きてるのか」と名言が続く。 二見ヶ浦でふでと秀吉を見つけて、とっさに隠れる寅。「俺達のような人間が、声をかけたら迷惑なんだよ」と。これが寅の、カタギになった人との付き合い方なんだな。33作目で登との別れが随分素っ気ない印象だったけど、あの時はついつい嬉しくて、自分を曲げて登の家まで行ってしまったんだな。って思えるようになったわ。[CS・衛星(邦画)] 6点(2024-01-24 22:21:18)《改行有》

62.  アウトロー(1976) 《ネタバレ》 “The Outlaw Josey Wales”『ならず者ジョーシー・ウェールズ』。この作品を観て『北斗の拳とか武論尊作品ってイーストウッドの主人公の影響を結構受けてるんだな』って思いました。“無口で怖くてちょっと下品、でも根は優しい。”本作のウェールズは所構わず唾を吐きかけます。 家族を、仲間を無惨に殺された男の復讐劇。冒頭の殺された子供役がイーストウッドの実子だそうで、映像で観る以上に男の怒りが感じられます。 さてウェールズは、どこで早撃ちを身に着けたんでしょう?原作小説では描かれてるかもしれないけど、ここ描いたらきっと長くなるから割愛したんでしょう。農夫からゲリラになって、ゲリラ部隊の活躍はダイジェストで出るだけ。ウェールズが目立った活躍をするシーンは描かれません。家の焼け跡から拳銃(猟銃でなく)を出したことから、恐らく農夫になる以前から名うてのガンマンだったのかもしれません。 若者ジェイミーが死に、孤独になったウェールズが、どんどん仲間を増やしていくのが面白い。インディアンの爺さん。別なインディアンの女。犬…犬の額に見事唾を命中させて、犬が怒ってるシーンは結構好き。でも『大所帯になってきたな』って、犬も仲間にカウントしてるのが微笑ましい。 イーストウッド作品で高確率でレイプ被害に遭うソンドラ・ロック。あ~ぁ本作でも言わずもがなでした。でも乾いた大地に彼女の紙のような白い柔肌が、とても良く映えますね。[DVD(字幕)] 6点(2024-01-22 11:19:43)《改行有》

63.  スペース・カウボーイ 《ネタバレ》 “Space Cowboys”複数形なくらいで邦題まま。4人のおじいちゃんの若かりし頃、'50年代の音速実験機から始まり、宇宙開発をすっ飛ばし、現代に至る。旧ソ連がアメリカから盗んだ誘導装置を使ってたって設定が、実際ありそうで上手いです。レーガン大統領の時代に『スター・ウォーズ計画』なんてのがあって、まだ子供だった私は、現実がSF映画に一歩近づいた気がしてワクワクしてたのを思い出します。 アメリカも実現できなかった当時の計画を、ソ連がNASAから盗んだ技術で実現してたって設定は、あれれ?って思うけど、きっとこの世界ではアメリカも同様の核ミサイル衛生を打ち上げてたんでしょう。 マックやウィンドウズから進化してきたコンピューターの足跡とは違う、'80年代のロストテクノロジーはまさに驚きです。余談だけど、数年前にファミコンを買って時々遊んでるんですが、当時作られた中古のカセットを挿して電源を入れると、ほぼ100%見事に息を吹き返します。劇中「アイコン」がチームを“敵”と認識して攻撃態勢を取る様子が、今も元気なウチのファミコンと重なりました。 '50年代のX-2飛行実験シーンが短いので、誰がどんな担当なのかイマイチ掴めなかったけど、おじいちゃんたちが頑張って訓練して、世論とか努力以外の面でも後押しされて、みんなで宇宙に行くシーンは夢があります。さすがベテラン俳優4人、シャトル内の無重力演技もサマになってました。 この年代の作品で、スペースシャトルに乗って、落下物から地球を救うシナリオのお約束。この映画もソレだったけど、オープニングのホークと月への思い、『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』が上手に作用して、しんみりしない清々しさを感じました。 シャトル着陸はやり過ぎにも思えたけど、若造どもを追い出してチーム・ダイダロスでやり遂げるんだ!って場面を入れるための演出でしょうね。 最後の月面シーン。ホークが辿り着けたかどうか?を後の考察に委ねるのも良いけど、おじいちゃんたちには悠長に考えてる時間はないんだよ!って意味で、思いっきり観せたんだろうと思うと、ちょっと微笑ましい演出。[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-01-22 10:23:31)《改行有》

64.  タンポポ 《ネタバレ》 『死』のハウツー映画の後に『生』の根幹にある『食』をテーマにしてるところが見事。ショートコントみたいなサブストーリーを散りばめてますが、本作のメインテーマがラーメン。ラーメン歴40年の老人が伝授するラーメンの食べ方。いきなり口に運ぶのでなく、見て、箸で撫でて、心のなかでつぶやく…「何が『後でね』だよ~」って、私までラーメンを食べたくなってしまう。 この、口に運ぶ前に食べ物の情報を味わう事こそが、'80年代半ばから今でも続くグルメ・ブームの基本だと思います。そしてこのブームの最大の火付け役が、漫画『美味しんぼ』と、映画『タンポポ』だったと思ってます。 この2作品がキッカケとなり、「あの店の◯◯が美味い」なんて飲食店の情報がメディアで取り上げられるようになり、単に『美味い・不味い』だけだった味の追求に『何がどう美味いのか?』って理由・根拠が求められるようになり、一億総グルメ評論家となって、誰でも楽しめる娯楽として、お店に点数やランクを付けるようになっていきました。 さて、令和の時代に小説の老人が食べるラーメンを観ると、まるで社員食堂のラーメンだ。あれ?こんなだったっけ?当時は美味そうに観えたんだけどなぁ…このおよそ40年の間に、ラーメンってとんでもなく進化してしまったんだなって思う。言い換えると、この映画が発端のラーメンブームがあったからこそ、今のラーメンがあるんだろう。余談だけど40年前に大人気だった札幌のラーメン屋で、今でも人気なお店って少ないです。当時大人気だった玄咲は閉店。時計台は様変わり。味の三平や純連は頑張ってます。 ラーメンの次に出てくるのが、タンポポが作る朝食。おひつのごはん、豆腐の味噌汁、たまご納豆、ぬか漬けに鯵の開き。これがまた実に美味しそう。この40年で進化したものもあれば、変わらないものもある。食ってとっても面白い。 ここでターボーが言う「母ちゃんの作った料理は美味いからねぇ~。ラーメンも日本一だよね!」ここがもう、この映画の答え。伊丹監督が創った食ブームの答えなんです。 たとえ他人にはどんなに不味くても、母親が自分のために作った料理こそが、最高のご馳走なんだ。って。 やれ、あそこのラーメン屋が美味いだ不味いだなんてのは、お金が動く情報の世界の話だよね。って。 数あるサブストーリーの中で、きっと一番印象に残るのが、死に際にチャーハンを作るお母さんじゃないでしょうか? チャーハンをガツガツ食べる家族。それを見て微笑み、死んでいくお母さん。こんな短時間の物語から、食べることは、生きていくことなんだなって、改めて思わせてくれました。 そして“お母さんの母乳を吸う赤ん坊”で映画は終わる。どれだけお金を掛けたグルメも母親の味は超えられない。 余談だけど伊丹監督の次の作品は“看護婦の乳首を吸う死にかけの老人”から始まるマルサの女。人間の『欲』を扱った映画。 神がかってる。[地上波(邦画)] 9点(2024-01-20 18:24:10)(良:1票) 《改行有》

65.  アルゴ 《ネタバレ》 “Argo”実際にあった架空のSF映画のタイトル。モトはギリシャ神話の巨大船だそうです。 ベン・アフレックと言うと、なんかアイドル俳優みたいなイメージがあります。パールハーバーやアルマゲドンの影響かな?そんな彼が実際にあった事件映画の監督をやってることに、正直違和感を感じたものでした。 『架空のSF映画をでっち上げて、イランに閉じ込められてる外交官を脱出させる』なんて、映画以上に映画っぽい事を、CIAが大真面目に実行したことが非常に興味深い。 怖さの演出は控えめです。路上で囲まれて撃たれる人の1シーンと、クレーンで吊るされる死体のシーンがあるくらい。それでも『捕まったら残酷に処刑される』緊張感はきちんと伝わってきました。 911テロ以降、私たちに焼き付いている“中東=命の価値が違う国だから怖い”ってイメージからでしょうかね?印象操作? 恐怖演出は控えめながら、バザールのロケハン。デモ隊との遭遇、写真を撮ったことから始まる揉め事など、バレたら即殺される、生きた心地のしない緊張感はきちんと感じられました。 クライマックスの空港脱出も、アメリカとイランにまたがってのハラハラ具合は、まさに映画の醍醐味。ここに来て予想外な人物の活躍もスカッとさせてくれました。視聴2回目の今回、大統領史上かなり地味なジミー・カーターが、作戦承認を即決したところが良かった。またこの救出作戦を、自分の人気取りに使わなかったことも好感度UP。 最後の飛行機とパトカーのチェイスは、やっぱり映画的演出だそう。でもそこを映画的に脚色するなら、脱出の前の晩に外交官たちが酒宴を開いてるシーンは削っても良かったかな。 せっかくトニーが入国するとき、イラン領空で乗客のアルコールを回収するシーンを入れたんだから、脱出で領空を出てから、やっと久しぶりの酒呑んでみんなでイェアーー!!じゃないでしょうか?映画的には。 でもこの事件において、外交官6人はもちろん、人質となった52人全員が解放、死者もゼロだったことは、当時のイランとは、まだ話の通じる関係だったんだなって、思えました。[映画館(字幕)] 7点(2024-01-20 18:13:15)《改行有》

66.  ある愛の詩(1970) 《ネタバレ》 “Love Story”『恋愛小説』。直球勝負の思い切ったタイトルです。どんな内容かも想像がつくタイトル。そしてこの、美しくもどこか悲しげなテーマソングは聞き覚えがありました。 小説と映画の同時進行(メディアミックス)の先駆けだったんですね。テーマソングをレコードで掛けながら小説の続きを読み進める…なんて立体的な楽しみ方も出来た作品だったことでしょう。 冬の寒空の下、スケートリンクの端に一人の男が座っている。その横にタイトル“Love Story”。テーマソングがサビに入り、この映画の一言目が「彼女は25歳で世を去った」と。驚いたことにこのお話は、男女の恋愛物語の『結末』から始まります。そして彼女との出会いの回想に続き、2人がどのように愛を育み、なぜ彼女は世を去ってしまったのかが描かれていく。 クリスマスの朝方にジェニファーは亡くなるけど、彼女が息を引き取るシーンは描かれない。 オリバーとジェニファーが、最後の晩にベッドで抱きしめ合うシーン。このシーンが2人の最後として描かれる。 死別を描いた映画だと、その後の彼女が息を引き取る瞬間がクライマックスで描かれそうなものだけど、この映画では一切オミットしている。彼女を失った夫(オリバー)と父親(フィル)の別れのシーンへと続く。そしてオープニングのスケートリンクへと繋がる。 神を信じない2人は、夫婦となることを神に誓わない、新しい時代の結婚式を上げた。2人には天国や転生といった概念がない。 オリバーの中で、彼女と出会った図書室から、彼女と別れた病室までが延々とリフレインされる。それが終わることのない2人の“Love Story”…なんて、ちょっと怖い方向になっちゃったね。[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-01-20 14:08:50)(良:1票) 《改行有》

67.  グランド・ホテル 《ネタバレ》 “Grand Hotel”とは、欧米において、その地域の最上級ホテルを指す…みたいです。日本では最上級=グランドとは限らないけど、まぁ、その地域の『格が高めなホテル』には違いなさそうです。 主要登場人物の5人は、たまたま同じ日々をこのホテルで過ごし、その後の人生が変わってゆく。今でこそもっともっと複雑な人間関係が絡む映画も出来ているが、90年以上も昔の映画だけにシンプル。当時斬新な作品として世に登場したこの群像劇は、今の目では目新しさはあまり感じられないけれど、それは後年、色んな作品で散々弄り倒さ(パクら)れたスタイルだからだろう。 この映画のキモとなるところは、登場したときには思いもしなかったカタチで、ホテルを後にするところ。そして全員がハッピーエンドじゃないところ。グルジンスカヤの希望からの絶望は描かれることがないけど、真相や結末はホテルを出てから、エンディングのその先の話となる。 私はこの映画のような格式高いホテルに連泊したことがないので解らないけど、泊まり客同士で、あんなに交流を持つものなんだろうか? みんな富裕層なので、同族意識のようなものがあるのだろうか? 温泉大浴場にて ??「こんにちわ!」私「あ、こんにちゎ…」 ??「地元の方ですか?」私「え?はぁ…まぁ…へへへ」 ??「私、大阪から来たんですよぉ」私「え?あ。へ、へえぇ~~・・・おおさか・・・」 大阪人「・・・」私「・・・」 大阪人「さって、先に上がりますね~じゃ!」私「あ、どうも・・・」 う~ん…ここ10年でも挨拶程度しか記憶がない。私が人見知りすぎるのかな?…恐るべし富裕層のコミュ力。 そんな私からすると、やはり庶民の代表のようなクリンゲラインが共感を得やすかった。死ぬ前の豪遊。クリンゲライン目線で、今まで見上げるだけだった富裕層と同じ目線で同じ景色を観て、ゲームや酒に興じる。その先に待つ第二の人生。 彼の寿命が伸びるとは思えないけど、残りの人生に良い変化をもたらせた一人だろう。 じゃあ、クリンゲラインが手に入れたものって?グルジンスカヤが一転して希望に溢れた理由は? 人生の価値の有る無しを感じる基準って、結局“金”と“異性”なのかなぁ…?いやあと“時間”も大事。絶対。[DVD(字幕)] 6点(2024-01-19 22:39:59)《改行有》

68.  男はつらいよ 知床慕情 《ネタバレ》 シリーズ38作目。あれれ?夢オープニングじゃないぞ?寅の一人語りと桜が満開の江戸川の土手。そして語りの〆が「私の故郷と申しますのは、東京は葛飾柴又…」そう!東京って付いてるから、1作目の一番最初のナレーションを意識してのオープニング。 あぁ、本作が寅さんの最後って噂もあったのか。確かに、おいちゃんが肺炎で入院している。跡取りの寅は何してるんだって話をしてる。おばちゃんは「もう店辞めよう!」って騒いでる。そして三船敏郎がゲストで出てくるとなれば、最後の寅さんと言われても納得の布陣。 本作の本流は獣医の先生と、はまなすママの恋愛模様です。'80年代に入り、もう若くない寅は、若者の恋をサポートすることは多くなってきたけど、熟年の恋をサポートするというのは、意外性としても面白い試みだったと思います。 常に難しい顔をしてた先生が、その難しい顔のまま、勇気を振り絞ってママに告白するシーンは、とても手に汗握る展開で、ある意味微笑ましく、そして知床の風景に負けないくらい爽やかでした。 舞台はほとんど“This is知床”の斜里町。観光名所も多く、カラッと爽やかな斜里の風景がじゃんじゃん出てくる。ご存じの方もいるだろうけど、劇中何度か歌われる『知床旅情』って、斜里の裏側、観光地化があまり進んでない漁師町・羅臼町の歌です。 斜里の自然描写が多いぶん、割りを食ったのが、寅とマドンナりん子との恋愛模様だったのかもしれません。二人の関係が終わるところも、船長の語りで済まされてしまいました。 ところで、りん子はどうしてまた東京に出てきたんでしょうか?東京にはあまりいい思い出はなく、知床で暮らしたほうが幸せだったんじゃないかと思うところ。もし本作が最終回だったら、寅とりん子の今後を、もう少し匂わすカタチで終わっていたのかもしれません。だから、東京に出てきたのかな?って。 何せ竹下景子は3度も別人マドンナをしたくらいだから、リリー/浅丘ルリ子とは別な意味で山田監督のお気に入りだったんでしょう。 本作が最後でも納得の内容でした。でも一本の映画としては完成度が高く、寅という一人の男の物語の最後としては、少し消化不良だったんでしょうか?何より寅が大きな恋をしないで終わるというのは、ちょっぴり寂しかったのかもしれませんね。[CS・衛星(邦画)] 7点(2024-01-18 22:45:11)《改行有》

69.  マルサの女 《ネタバレ》 映画は大好きだったけど、この当時邦画って殆ど観てなかったんです。何でしょう、青臭い子供向けのアイドル映画か、カビ臭い年配の人が楽しむものって感じで、アニメ以外に私に合う邦画作品って無いと思ってました。 そんな中登場したのがこのマルサの女。子供向けでも年配向けでもない、とてもスタイリッシュな作風。そのまま当時のバブル期日本を舞台としたリアリティ。脱税という扱っているテーマの重厚さと、それを面白可笑しく、決して悪ノリしない絶妙なコメディタッチな味付け。こんな邦画もあるんだ!!って、本当に目からウロコでした。以降、邦画は殆ど観ないのはそのまんまだったけど、伊丹映画だけは別格として観てましたね。 税務署(&マルサ)と脱税の戦いって、とっても地味なテーマだと思うけど、ヤクザは出てくるけど銃撃戦とか度を越したアクションを入れること無く、しっかりと地味なまま、あくまでリアル路線で押し通した手腕が見事。序盤しっかり港町税務署の日常業務を入れて、身近な脱税のあるあるネタをたっぷり入れて、いわゆるハウツーものとして、観る人の興味を惹きつけるのに半分の時間を割いている。だって亮子がマルサ入るの、映画始まって1時間後だよ?タイトル『マルサの女』なのに。この思い切ったバランスの取り方がもう、伊丹監督すごい。 そして板倉亮子のキャラクター。おかっぱ頭にそばかす。レイバンのサングラスから除く眼光の鋭さ。頭の回転が速い切れ者税務署員。一方寝癖で出勤するシングルマザーで、残業しながら5歳の大ちゃんに電子レンジの使い方を教える、完璧じゃない一面も覗かせる。普通の税務署のベテランおばさんを、総じてとても魅力的な女性に魅せる手腕が素晴らしい。 彼女だけでない、権藤の足が悪い理由は描かれないけど、杖突いて歩く印象的な姿。憎めない悪党のお手本のような人物像が素敵。「俺たち、会う度におめでとう言い合ってるな」バーで亮子とサシ飲みするところの人間味と強敵感、ほんのり生まれる男女の感情。この時のハンカチの、結末での使い方がもう、カッコいいこと。あの印象的なテーマソングと昭和末期の風景と夕焼けの美しさが、何年経っても忘れられない。 花村もマルサの管理課長も、マルサのジャック・ニコルソンも、働いてる大人の男って感じがとっても素敵。それとちょい役でもクセ強めな登場人物が揃ってる。私は特に宝くじの男の高い声のギャップと、ブルブルって首を振る銀行の課長が好き。 私は邦画の、いわゆる“濡れ場”が嫌いだったんだけど、この映画のはどれも笑える。看護婦の乳首を必死に吸うジジイ。「女はここに隠すんだー!」オバサンのM字開脚。スリップ姿で屋根を這うオバサン。「ダメよぉ~、ダぁ~んメ!!」。極め付きはケツに挟まったティッシュ。 『邦画の濡れ場なんて、笑えば良いんだよ』って、伊丹作品が教えてくれた。ありがとう伊丹監督![地上波(邦画)] 10点(2024-01-13 14:32:37)(良:1票) 《改行有》

70.  男はつらいよ 幸福の青い鳥 《ネタバレ》 シリーズ37作目。この年はキネマの天地があったため、お盆の寅さんは無し。劇中さくらが「一年間もご無沙汰よ」なんてクスっとくる場面あり。キネマの天地ネタもチラホラ。 「幸福の青い鳥がほしい」ってマドンナに「お?青い鳥だったら俺持ってるよ」って鳥のおもちゃを出す寅が粋で素敵。子供の名前を聞かれた博の「タロウでもジロウでも良いんじゃないですか?」って関心の無さが面白かった。そして『お客様の声』もベタだけど笑わせてもらいました。筑豊の風景、寅が立ち寄る古い劇場の画は郷愁を感じさせて素晴らしい。 小ネタはいつもの寅さんだけど、内容的にはちょっと難あり。リアルタイムには去年の正月以来。1年待ってこの作品というのは…って出来でした。 本作のマドンナは、8作目からチラホラ登場していた旅一座の娘・大空小百合。'64年にヒットした『愛と死をみつめて』のヒロイン(TV大空眞弓・映画吉永小百合)から安直に付けたっぽい名前の設定が、一座の場末っぽさが出てて良かった。 困った(ネタに詰まった)時の坂東鶴八郎一座。1年のブランクがあったのにネタに詰まってたのか… なんで演者変えた?志穂美悦子では私たちが観てきた大空小百合と全然雰囲気が違う。過去にもおいちゃん、満男、江戸家のおばさんなんかが演者変わったけど、それは良いさ。座長の名前(中村菊之丞)が変わってるのも、まぁ良いさ。でも大空小百合は変えちゃダメだ。 小百合が寅を思い出した瞬間「寅さん?」って、それを言っちゃおしまいだよ。BSテレ東『土曜は寅さん』の番組紹介に[「車せんせ!」のあの娘がねぇ…]と。この[あの娘がねぇ…]が強烈なイヤミになってたわ。 岡本茉利にマドンナさせなかったのが、内容の出来以前にとても嫌。そりゃ観客を1年待たせてマドンナが岡本茉利じゃ、お客さん呼べないって踏んだんだろう。だったらこの回は大空小百合以外の話にしなさいよ。例えば寅は年相応のマドンナと恋愛させて、小百合はサブとして若い男と恋愛させれば、それなら岡本茉利もしっかり使えたじゃないか。監督も制作陣も、本作の大空小百合と場末の旅一座への、愛のなさにガッカリ。 今回、長渕と志穂美のTVドラマ『親子ゲーム』の延長戦って感じ。志穂美・美保はラーメン屋で働くし、満男は隅っこでスーパーマリオやってるし、ジンマ・長渕はそのまんまキクラゲ・長渕で、ハーモニカでノリノリついでに「SUPER STAR」歌い出しそうな勢い。今回、歌手役じゃなく画家役だろ?なに自分の格好良さ売り込んでるの?都はるみの演歌歌手そのまんま加減、渡瀬恒彦のヤクザ俳優そのまんま加減って回もあったけど、今回の長渕は… ジンマの部屋のラブシーンは、寅さんにしては長く生々しい。てめぇシャツの下から手入れてんじゃねぇよ、これ寅さんなんだよ、お盆と正月の様式美なんだよ。そして私たちのとらやで、あんな不味そうに団子食ってんじゃねぇよ。寅がジンマを警戒する目が、まんま私の気持ち。 長渕って我が強すぎて、どの役演じても長渕のまんまで、すでに創られた作品世界をブチ壊すんだな。なんか自分の親戚の集まりに不良の同級生がいつものテンションで下ネタブチ込んで来るような、そんあ居心地の悪さ。[CS・衛星(邦画)] 3点(2024-01-13 13:06:11)《改行有》

71.  カンニング・モンキー/天中拳 《ネタバレ》 “Half a Loaf of Kung Fu(一招半式闖江湖)”『カンフー半分でも無いよりマシ(半人前の世渡り)』でしょうかね? テレビのロードショーでジャッキー映画がバンバン流れて、学校で流行ってた時期に公開された作品です。 親に連れて行ってもらって観てきた友達が羨ましかったぁ。 当時テレビで観たんですが、普通に面白かった印象。「ジャッキーがー、拳法の秘伝書をー、カンニングしながら闘うのがー、面白かったです!」って子供みたいな感想で、あまり印象に残ってないのが正直なところ。どんな内容だったっけ? 今回観たのはレンタル版DVDで吹替無し。冒頭、演舞というかコントをするジャッキー。それがすごく長っっがい。意味の分からないコントが5分もだよ、何だこれ?なんかシュール。子供だったら飽きてしまうな。 主人公ゴン。出てくる度に前髪パッツンのオカッパだったり、センター分けだったり、ボサボサだったり、マユに掛かるほどの毛量だったりと前髪が安定しない。ラスボスがカツラだったのもあるし、もしかしたら当時の香港でカツラ・ネタが流行ってたのかもしれない。 登場人物がたくさんで覚えきれない。って思うけど、結構上手に処理されてて、「あれ?あの人どうしたっけ?」ってことが少ない。何かデッカイ事してくれそうな、銀魂の神楽みたいなオレンジ髪男もアッサリ負けたっけ。 師匠の弟子(ゴンから観て兄弟子ポジション?)のディーン・セキが結構活躍してるのも珍しい気がする。 だけど敵も味方もこんなに沢山出した意味は解らない。この時期のジャッキーはシリアス路線からコメディ路線に舵を切りたかったそうで、「俺に共鳴してくれるカンフー俳優仲間が、こんなにいるんだぜ」ってアピールするための映画だったのかも? 妄想だけどジャッキー派の地固めの第一歩で、そのためロー・ウェイが面白くなくて公開を遅らせた…として考えると、少し興味深い。 う~ん、これは吹き替えで観てナンボな作品かもねぇ~ア~イマ カンニンマンキーャ ハッピ カンニンマンキー♪[地上波(邦画)] 4点(2024-01-13 13:01:38)《改行有》

72.  かもめ食堂 《ネタバレ》 フィンランドという非日常空間で繰り広げられる日本人女性の日常。不思議な雰囲気とやんわりとした空気が、なんか良いのだ。 何でその話?って思えるオープニングのナレーション。太った猫の死と痩せた母の死。美味しそうに食べる太った生き物に弱いって話から、遠巻きに店を見る太めな現地女性3人組。このお話はどこに向かっていくのかな? サチエがフィンランドに来た理由。ミドリにもっともらしい理由を話すけど実はその場の思いつき。「ここならやっていけると思った」と言うけど、結局サチエが日本を出てここに来た理由は不明。小さいけど綺麗なお店。ピカピカの食器に調理器具。統一感のある北欧家具。サチエ、お金はあるんだな。 ミドリがお店をガイドブックに載せて宣伝したり、現地の人向けのおにぎりの具を考案するのに対し、売上にまるで執着がないサチエ。ダメなら辞めます。ってのは、自信があるからというより、サチエは自分を曲げて商売に熱を入れるんじゃなく、好きなことをやってる今が大事なんだろうな。だから明日世界が終わっても良いような毎日を送っているんだろう。 目をつぶって地図を指差したミドリは、ムーミンが好きなくらい。親の介護が終わったマサコもエアギター選手権で興味を持ったくらい。サチエ含めみんなフィンランドに絶対のコダワリはない。 3人とも過去に何かがあって日本を出てきている。3人ともそんな過去をリセットして、たまたまここで出会って、同じ時を過ごしている。 夫が出ていった中年女性、コーヒーの煎れ方を教えた中年男性。共に過去をリセットして、これからリスタートするかどうかってところ。 食堂のメインはとんかつや唐揚げ、鮭の塩焼きといった日本食。ソウルフードのおにぎり。おにぎりにはシャケ、梅、おかか。 おにぎりにトナカイやザリガニを入れても合わない。こちらから無理に合わせるのではなく、自分に合うものを選んでもらう。 そんな生き方がしたくて、サチエはこの地で店を始めたんだろう。 日本を離れた彼女たちの生き方が、この映画自体が、遠い異国のフィンランドから、日本人に向けて発信されているメッセージのように思える。 そんなメッセージを受け取る勇気も行動力もなく、ただ忙しい日常に流される毎日だけど。 サチエの「いらっしゃい!」がとても心地よい。[CS・衛星(邦画)] 7点(2024-01-08 15:24:30)《改行有》

73.  あげまん 《ネタバレ》 お葬式からマルサ2まで、後世に残る名作&日本映画師に残る大ヒット・大ブームを連発していた伊丹十三監督&宮本信子主演の、超期待作『あげまん』。ちょっと照れくさいタイトルもインパクトが大きくて、もうね、公開前から『今回は伊丹十三が監督だし、絶対面白いに違いない』って、日本中が期待していた作品。だった。公開されると、あれれ?イマイチ盛り上がってないぞ?と。観た人の感想も『うぅ~~ん…』って感じ。 期待が高すぎたために期待外れ感が強く、また前年の伊丹印の『スイートホーム』と本作の2連続の不発で、伊丹映画ブームは一気に落ち着いた印象。 当時45歳の宮本信子。彼女が中学生(声は若いけど宮本信子だよな?)から大人までを演じているのが無理がある。もちろん魅力的な女優さんだけど、男をメロメロにする芸者さんにはとうてい観えない。タンポポであれ亮子であれ、普通のおばさんが、ちょっとした仕草や丁寧な描写で、徐々に女性としても魅力的に観えてくるのが伊丹映画の面白さだったけど、本作のナヨコは最初から観る側が『ナヨコは魅力的な女性なんだな』って思いながら観ないといけない。 そして肝心なナヨコ=あげまんの部分。男にどう幸運をもたらすのか、そしてそれがどんな類の幸運なのかが、観てても全っっ然わからない。最初の夫・多聞院が坊さん世界でどう出世したのかがサッパリわからない。結婚して3年(65歳の若さ)で死んでしまうのも、いくら出世したって、良いんだか悪いんだか… 主水は浮気も続けるし、出世のためにアッサリとナヨコを捨てて元サヤに戻るし、主人公としての魅力が… 主水が支店長になって、最初の挨拶でビシッと決めたのは格好良かった。ここから映画も面白くなっていくのかと思ったら、業績アップは文字で説明のみ。具体的にどう成績が上がって、ナヨコがどう影響を与えたのか、相変わらず描かれない。長編映画のデキの悪い編集ダイジェスト版を観てる気分。[地上波(邦画)] 4点(2024-01-08 13:28:37)《改行有》

74.  男はつらいよ 柴又より愛をこめて 《ネタバレ》 シリーズ36作目。タイトルはまぁ、雰囲気で付けたのかな?酒井がロシア語関連の仕事してるのと、ロシア料理が出てくるくらい? 登場から一気にレギュラー化した個性派キャラ・あけみ。4作目で準マドンナ枠の大活躍の裏には何があったのか?歳を重ねた寅の代わりに満男の恋を描く流れは、何となく知ってたけど、高齢化していくとらや一家に対し、まだ子供な満男。あけみは満男が成長するまでの中継ぎリリーフとして、登場したのかなぁ? それと今さらだけど、1作目で結婚してしまい、まるで寅の姉のように落ち着いてしまったさくらに対し、寅の妹分の役割を持たせたかったのかな。マンネリ打破には良い方向性だけど、それなら、あけみとポンシュウの好いとこ取りの、テキ屋の弟分・登をもっと活かせばよかったのになぁ。とも思う。 まぁでも登だと、今回みたいな露天風呂のお色気シーンは撮れないか。ってか、寅さんでヌードが観られるとは思わなかったから、驚いたわ。ロマンポルノ出身の美保純にどれほどの集客効果があるか解らないけど、長寿シリーズの苦労の跡に思えた。 子供の頃から寅を知っている女から見ると、今の寅はどう映るのかが、よく描かれていたと思う。登場する度にずっと結婚の愚痴ばかりだったあけみが、遂に家を飛び出してしまう。旅先でのほのかな恋模様。あけみに一切その気がなかった描写、悪気なく人妻だと伝えてなかったから起きた失恋に、マドンナ目線から見た寅の失恋を見たような気になった。そう、告白した茂は知らなかったけど、私たちはあけみが人妻だと知っている。過去のマドンナも、想い人が迎えに来て寅の恋が終わったりしたけど、マドンナにも自分で歩んできた過去があるんだよなぁって。 オープニングのNASAは可笑しかった。『ロシアより愛をこめて』が、アメリカのロケット打ち上げをスペクターが妨害するのをボンドが止めたのが話の発端(観たのが昔過ぎて内容覚えてない)だそうで、今回は寅が打ち上げを邪魔するのが類似点と言えるのかも? 久々に寅自身が恋をするのと、貧弱装備で海釣りに行こうとする姿が、『馬鹿だねぇ』って言われてた寅さんっぽくて良かったな。[CS・衛星(邦画)] 6点(2024-01-08 12:28:22)《改行有》

75.  チャーリーとチョコレート工場 《ネタバレ》 “Charlie and the Chocolate Factory”邦題まま。原作の邦題は『チョコレート工場の秘密』だそうです。公開当時、劇中チョコレートの香りがするって演出があった記憶があります。劇場で観ときゃよかったかな。 今回久々に視聴したけど、ウンパ・ルンパ以外、内容ほとんど覚えてなかったです。個性的な4人の子供(ライバル?)、こんなの、居たっけ? バイオレットなんて、後のヒットガールを彷彿とさせる雰囲気で、可愛くてカッコイイ。もっと記憶に残ってそうな気がするけど、登場は格好良かったけど、その後活躍もなく、青紫のまん丸状態になってフェードアウト。 他の子も同様で、一切活躍すること無く、行儀の悪い行いしてフェードアウト。みんな劇中チャーリーとそんなに絡むこと無く、勝手に自滅して勝手に退場して、その後が語られること無くそれっきりだったから、きっと記憶に残らないんだわ。 でも、子どもたちのフェードアウトは、結構原作通りだったので、案外再現度は高いのかもしらん。 ゴールドチケットの獲得方法。①食いしん坊だからたくさん食べてて②父親の財力を活用③勝つために好物のガムをチョコに変えて④統計取って一発獲得と、個性的なメンバーに対し、⑤チャーリーは拾ったお金で、店員おじさんが渡したチョコが当たるという、なんか一番モヤモヤする当選方法。 そもそも工場見学のチケットにそこまでの魅力を感じるか疑問だけど、優秀な子も多いのに、有り得ない方法で勝手に自滅していく様子が楽しめるかどうかがキモだろうか。'71年の映画とかミュージカルとか、派生作品も多いみたいで、バージョンの違いを楽しむのも良いかも。[地上波(吹替)] 6点(2024-01-05 19:36:15)《改行有》

76.  キャノンボール 《ネタバレ》 “The Cannonball Run”訳すなら砲弾レースでしょうか。'70年代にアメリカで実際に開催された、非合法の大陸横断レースの映画化です。公道を警察に捕まらないように工夫しつつ、ゆる~くゴールを目指すレースで、同様のレースは'80年代以降も開催されていたけど、回を重ねる毎に、スピードとテクニック重視の、いわゆる“しょっぱい内容”になっていったようです。 映画は同レース初期のコンセプトに沿っているため、正攻法のスーパーカーもあれば、忍者のようなハイテク四駆やボンドカー、警官が止めにくい救急車なんて各チーム工夫のあとが出てます。 子供の頃この映画が大好きで、ゴールデン洋画劇場で放送される度に観てました。ジャッキーがコミカルに活躍するのが嬉しいし、カッコいいムーア・ボンド本人が三枚目を演じるのもイイ。ドクターが顔は不気味だけどお茶目なところとか、キャプテン・ケイオスの登場シーンなんて、こういう明るいおじさん、子供は大好きなんです。 ピチピチ衣装の美女コンビ&黒いカウンタックの組み合わせが最高だけど、それ以上にノーブラ童顔のファラ・フォーセットがエロ可愛い。 スーパーカー、豪華俳優陣、セクシーな美女。オープニングからワクワクする要素が詰まりまくったこの映画。レンタルレコード(当時そういうのがあったのよ)で借りてもらったサントラをカセットにダビングして、あのオープニングをステレオ(ラジカセでしたが)で聞いたら、もうテンション爆上がり。 またエンディングののNG集が、撮影現場のゆる~い空気を感じさせてくれて、ホンワカしていい感じです。今回DVDを安く手に入れたところ、嬉しいことに吹替版が入っていて、懐かしい超豪華声優陣に感動してしまいました。アドリブ満載。意訳たっぷり。吹き替え現場もきっと、撮影現場並みにホンワカ・ゆる~く楽しく録ってたんでしょう。 あのカッコいい映画ポスターもゆるくて、何故か美女コンビのピンク(タラ・バックマン)の衣装を着たファラ・フォーセットが真ん中でババ~ンと…カウンタックも赤だし…もう見栄えが良ければ何でもアリです。 バート・レイノルズにはトランザムに乗ってほしかったけど、カッコいいJ.J.と明るいビクター、天然ボケのパメラと変態ドクター。レースより4人の珍道中がメインなので、この映画では救急車で正解でした。当時は気が付かなかったけど、J.J.ほとんど運転してないのね。9割ビクターが運転してたわ。 ジャッキーは「ニホンの~イチバンの~カーレーサー」です。ジャッキー&日本車と言えば三菱のイメージだけど、本作ではハイテク装備のスバルレオーネ。あんな小さい車体に四輪駆動って、当時はまだ珍しい先端技術だったんですね。 最後まで三枚目のボンド。画面に出る度に助手席のボンドガールがコロコロ変わってるのが芸が細かい。「すご~い!私がジョージ・ハミルトンの車に乗ったなんて!!」を吹替版では「ショーン・コネリー」に変えてるのがもう100点満点! 思い入れたっぷりだから映画は7点!サヨナラ~!バイバイ!![地上波(吹替)] 7点(2024-01-05 13:04:53)《改行有》

77.  新・明日に向って撃て! 《ネタバレ》 “Butch and Sundance: The Early Days”『ブッチとサンダンス:若かりし日々』。前作のタイトルが2人のフルネームだったのに対し、名前だけになってます。 公開から10年後の続編、しかも前日譚だから役者さんも変わってます。トム・ベレンジャーがポール・ニューマンに似てるか?なんて考えたことなかったけど、まぁ案外違和感は感じません。 ブッチもキッドも実在した人物だけど、前作で作り上げられた陽気な義賊といったイメージが強く、その創られたキャラクターをモトに、さらに軽い性格にしたように観える。 若いだけに軽くても良いんだけど、ストーリーは行き当たりばったり。出所したらO.Cに仲間を売ったと勘違いされ、ひょんな事からサンダンスと組んで、雪道をスキー履いて血清を届け、ブッチの家に寝泊まりして…このツギハギの集合体のようなお話は、どこに向かってるんだろう?って、あの有名な『明日に向かって撃て!』に向かってるから観ていられる内容。最後が列車強盗だから何となく納得して終わる。 この当時、相当下火になっていたであろう西部劇映画。誰もが知る名作のキャラを出して、今風の軽いノリの青春映画にしたら、こんな風になりました。って感じ。…ネガティブな書き方になってしまっているかもだけど、前作に特段の思い入れがなければ、また気持ちをリセットして観ることができれば、案外普通に楽しめる作品でした。暇な深夜にボ~~~ッと観るのに最適。[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-01-03 23:06:32)《改行有》

78.  クライマーズ・ハイ(2008) 《ネタバレ》 歴史に残る大事故を地元新聞社の中から観る。当時の空気、あの時の夏の暑さを追体験する作品としてとても良く出来ていて、グイグイ引き込まれ、最後まで飽きることなく観られました。 日航機墜落事故は“夏休みの終わりの方の大事件”として覚えてます。多くの人とともに坂本九が亡くなったこと。生存者がヘリに釣り上げられる映像のインパクト。垂直尾翼の無い123便の写真。大人が読む週刊誌には生々しい現場の写真が多数載っていたとか。 ネットのない時代、いわゆるスクープ写真の載った雑誌が売れた時代。当時の報道の過熱ぶりが本作からも感じられました。 でも本作のメインは墜落事故自体ではなく、事故を取材する新聞社の内側。劇中何度もでる“大久保・連赤”は14年も前の事件で、社内上層部にはいわゆる当時の“レジェンド”たちがデカい顔をしている。等々力が若手に“読者は記者の姿を見ている”ことを延々と語っている、あの面倒くさい空気。そんなの良いから無線機入れろよって言えない環境。気に触った一言をいつまでも引っ張って設けた宴席、土下座の蒸し返し。昭和っぽい暑苦しさが良く出てました。 事故自体の経緯を俯瞰して観せてくれる作品ではなく、あくまで記者目線で事件を追う。私は事故の全体像を当時の記憶で補完出来たけど、若い人には説明不足に思えるかもしれない。『大統領の陰謀』もそんな創りだったなぁ。あっちは基礎知識がないからチンプンカンプンだったわ。 佐山の「…出来すぎじゃないですか?」から抜きネタ不掲載の流れ。悠木の信念「チェック、ダブルチェック」の結果として不掲載は納得だけど、社長じゃないけど恥の上塗りから辞表。乗客の手記でおしまいって、そこから先描かないんだ。最後のテロップ、隔壁じゃないなら何なのか、何を隠してるのかも、匂わすだけでも知りたいところだけど… 息子から「僕のかわりに」と渡される石。現代パートの悠木が大事に持っている石。悠木が空港で子供と別れてからの事故。乗客名簿の子供の名前で手が止まるとこ。なんだろうこの流れ。『子供が死んだのか?』って思って観てしまった。私のようなポンコツには説明が足りなかったか、ミスリードにハマったのか解らないけど、ストーリーに集中できなくなってしまった。 集中できないもう一つに要因が、話の流れと無関係に挿入される現代パートの登山部分。最後にまとめて入れても良かったと思うし、何なら無くても良かった。息子は事故と無関係だし、息子のことは最初と最後しか出てこない。一緒に山を登るのが安西の息子というのも説明不足に思える。 あと社長のセクハラと安西の病状。悠木の母親の話も、中途半端に掘り下げる必要性もね。社長が悠木を犬として扱っている描写、佐山に悠木の陰口を漏らすとことか、145分も尺使って書ききるつもりも無いなら、入れなくても良かったかも。 むしろ日航機事故に特化した映画にしたほうが良かったんじゃないかなぁ。[CS・衛星(邦画)] 5点(2024-01-03 13:55:40)《改行有》

79.  男はつらいよ 寅次郎恋愛塾 《ネタバレ》 シリーズ35作目。ポヨンポヨワァ~~ン♪ビインヨヨョ~~ン♪何なんでしょうね?『ここ笑うところですヨ!』とでも言いたいんだろうか、アホみたいな効果音がとても目立つ一作です。男はつらいよは、そういう安直な笑いに逃げず、ちょっとした間とか、テンポの良さとかで、じんわりと笑えてくる作風だと思っていたので、この効果音攻撃は結構ツラいです。 タイトルがもう『恋愛塾』と来たから、寅は恋をしないだろうってことで、マドンナ若菜と民夫の恋の行方を見守るんだけど、民夫が若菜に惚れたのはわかり易い程わかる。けど若菜が民夫のどこが良かったのかイマイチわからない。寅が仮病のドタキャンで二人をくっつけるのがキッカケにはなってるけど、このデートがあってもなくても、今回も上手くいく恋愛模様。寅必要なかったじゃん。 若菜の部屋で眠ってしまった民夫への、「終わりだよ!!」寅の当たりのキツさ。「惚れた女の部屋で居眠りするなんてな!」ここ、あじさいの恋とかでタヌキ寝入りしてた寅が『どの口が言う』って笑うところなのか、最後「死ぬんだよ!」で終わらせるところが、笑いとして厳しいものになってる。 山奥で睡眠薬?で服毒自殺を笑いに結びつけるのは強引に思えるし、最後のリフトで捜索・発見からの若菜の告白も、何もあんな場所でなくても…って感じ。 以前失恋からのガス自殺でとらやを吹き飛ばした『頑張れ!』事もあったし、ぬいぐるみの熊『夜霧にむせぶ』なんてのもあったけど、馬鹿馬鹿しさでは群を抜いている一作かも?[CS・衛星(邦画)] 4点(2024-01-01 17:45:28)《改行有》

80.  シザーハンズ 《ネタバレ》 “Edward Scissorhands”登場人物のフルネーム。 雪が降るなか灯りが落ちた夜の20世紀FOXロゴ。ちょっと不気味さのあるオープニング。小さな女の子の「雪はどうして降るの?どこから降るの?」って素朴な疑問から始まるおとぎ話。その答えの何とも悲しいこと… パステルカラーの家々、車、住人の服装。なんともポップでお洒落な町と、この町に似つかわしくない黒くて禍々しいお城。孤独に生きてきたエドワードが受けるカルチャーショック。手がハサミの奇妙な人物によって変わっていく町の変化が面白い。そのままの延長でハッピーに終わっても、きっといい映画だったと思うけど、ティム・バートンらしい“闇”が良い味付けになっている。 手より先に心が創られる悲劇。心を創られる前のエドワードは、工場の隅っこでセロリか何かを刻んでた。工場(というか博士の趣味)がクッキー作りになってから、エドワードは用済みになってたんだろう・・・ってあれ?博士がエドワードに本を読んで教育してる奥に、セロリのロボットいるぞ!?ふたりは別人??ってことは、博士はエドワードをゼロから、敢えてハサミの手を持たせて、創った??博士ひょっとして、そういう悪趣味な一面があった? 博士が亡くなってからのエドワードは、1人孤独に、誰も見る人のいないトピアリー(って言うんだと)を造り続けてきた。他にしてきたことは、ベッドのまわりに雑誌か何かの切り抜きを貼ることくらい(※『生まれつき目のない少年が手で字を読む』記事を貼ってるところがバートンらしい)。 好奇心旺盛なエドワードは頼まれてもいない犬のトリミングを初め、女性のヘアカット、遂には氷の彫刻創りへと、独創的なセンスを発揮する。 ほんの僅かな数日間、人と触れ合うことで広がってきたエドワードの創作意欲、新しい発想。お城に戻ったエドワードは、1人孤独に、あの一時の思い出だけを胸に、クリスマスに氷のキムを創り続ける。キムがお婆ちゃんになるまで、何年も何年も。 雪の降らなかった町に雪が降る理由を知りつつ、あの街で孫が出来るまで、何年も何年も暮らし続けるキム。 このロマンチックだけどアンハッピーな所も、おとぎ話として良く出来たクリスマス映画ですね。[ビデオ(字幕)] 9点(2024-01-01 12:45:25)《改行有》

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