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プロフィール
コメント数 296
性別 女性
ホームページ kawamari7.hatenablog.com (質問と建設的な指摘をお待ちしています。JTNEWSに届けてあるほうでは文字化けします。)
自己紹介 取り締まる法律が必要な(1)XX中毒。生まれた場所のせいで3歳で兆候が現れ、13歳で表彰状物の重症に、今ではより強い刺激を求め(2)X屋の中だけではなくこのサイトに出没、ネットで(3)XXXXXXがないかと探し回るのに誰も助けてくれません。KW = 「かわまり」「はてなブログ」で原子力開発関連の「プロメテウス達よ」と19世紀ヨーロッパを夢と詩で描いた「黄昏のエポック」を公開しています。  (Xの数に文字数が一致する言葉を入れてください。)

空欄の答え:(1)XX=「言語」、「活字」も可、(2)X=「本」、(3)XXXXXX=「読める外国語」、キリスト教国際病院で生まれ、宗教は仏教。

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81.  マルチン・ルターの生涯 登録を要請しておいてレビューをすっかり忘れていました。すみません。全く正統派の作品。ヨーロッパに旋風を巻き起こしたとはいえ、地味な宗教家の生涯を描いているので退屈に感じる人もいるかもしれませんが、論争あり、戦乱あり、恋愛も結婚もしたという宗教家としては波乱の人生を送ったルターに共感を呼び起こすように描かれています。わたしはルーテル教会の付属の幼稚園に一年間だけ通ったのですが、開祖さま(?)の伝記映画を鑑賞して非常に誇りに思いました。テレビで放映される機会があるかどうかわかりませんが、ルーテル派のプロテスタントの方は必ずご覧になる機会があるでしょうし、そうでなくても、ルーテル教会が無料上映することもあるかもしれないので、世界史の勉強をかねて是非鑑賞していただきたい作品です。[DVD(字幕)] 7点(2010-05-02 00:47:57)

82.  アメリカン・プレジデント 《ネタバレ》 今までに見たアメリカ大統領ものの中で一番好きになれました。これも一重にマイケル・ダグラスの風格に満ちた演技のおかげだと思います。政争・政局において、権力を狙う安っぽい輩は私生活を叩いたり、金脈を暴いたりしてライバルを蹴落とそうとしますが、所詮大切なのはその政治家がどれだけ国民のことを考えているかであって、政治家の私生活や金脈は常に公共の目に晒されなければならないものの、政策から離れた攻撃材料にされるべきではないと思いました。「国民一人一人の権利が守られ、みんなが幸福に暮らせるように・・・。」と持っていって自分の私生活を弁護したこの架空の大統領の口上はさすが・・・。「リンリ、リンリ」と鈴虫みたいに馬鹿の一つ覚えを繰り返すどこかの国の野党政治家に観てもらいたい作品です。[DVD(字幕)] 8点(2010-04-14 04:18:25)(笑:1票) (良:1票)

83.  眺めのいい部屋 この作品についての事前知識は、身分違いの恋愛を題材としている非常に美しい画面とBGMの作品だということでした。そして多くの方がやはり美しいメロドラマと理解していらっしゃるようですが、わたしは一見して「本当にそうなのかな・・・」と感じました。「身分違いの恋」として私がイメージしていたのは大概は破綻するのがオチの、深窓の令嬢が慣れない掃除や炊事・洗濯にいそしむ光景なのですが、ここで身分が下とされているジョージ・エマソンはイタリアだギリシアだと遊びまわれる身分で決して貧乏人ではなく、おそらくセシルよりも裕福な新興ブルジョアのようです。そして馬車と車の両方が使われている時代背景・・・。さらに想像するなら、経緯はまったく触れられず、いきなり婚約者となったセシルの人柄ではなく血統にルーシーは惚れていたようです。19世紀後半のビクトリア朝、イギリスが世界の工場にのしあがったこの時代、血統書つきの貴族は荘園を小作人に耕させて馬車で領内を見回るだけで優雅に暮らし、工場を経営して自動車を乗りまわす新興ブルジョアたちに「狭い英国、そんなに急いでどこに行く。」と軽蔑的な視線を浴びせていたようですが、ブルジョアたちは議会下院に選出され、イギリスを動かす政治権力も手中にしました。さらに、イギリスの歴史そのものがフランス出身のノルマンディー公がイングランドの王朝を創始したり、貧民出身のウェリントンがナポレオンを破って公爵になったりと、常に激動とは無縁ではありませんでした。ルーシーが巻頭で演奏するピアノ曲はエネルギーと躍動を体現したようなベートーベンのソナタ「ワルトシュタイン」、一方のセシルが好きなのはひ弱なロマンチストのシュ-ベルトの曲で、ジョージと仲のいいルーシーの弟の低俗な(?)ピアノの弾き語りにセシルが逃げ出すシーンも象徴的です。[DVD(字幕)] 7点(2010-03-15 12:43:46)

84.  コレラの時代の愛 《ネタバレ》 出雲かどこかにいる縁結びの神様が未婚の男女の小指についている赤い糸を男女一組づつ結ぶ作業に一区切りついて、赤い糸が三本余っているのに気付き、「ええい、面倒だ・・・。」と三つをくくってしまったので三角関係が出来上がりました・・・というのは日本の落語ですが、この落語のラテンアメリカ版です。清純なというよりもダサい少女のフェルミーナが医者の奥さんになって洗練されていくさまは女性には必見。そしてそれを見守るフロレンティーノの「この人こそがわたしの終生の伴侶・・・。」というすさまじい思い込み・・・。わたしたちの人生は縁結びの神様やソウルメートの存在など、決して説明のつかないことで決まっていくことも多いのですが、50年待って頭のはげた爺さんになりながら、相手の旦那が事故死した直後に「待ってました。」とばかりに押しかけていって求婚する執念はとにかくすごい。違和感を覚える人もいるかもしれない70代の爺さん、婆さんのベッドシーンも、お互いを自分のソウルメートだと信じているカップルは皺が刻まれた相手の顔に永遠の若さを見るのかもしれないということで、「自分もこうなりないな・・・。」なんて少し感じました。でも・・・でも・・・フェルミーナを貴婦人に磨き上げて事故で亡くなったご主人も立派でセクシーだったんですよ・・・。やはりこれは縁結びの喜悲劇です。全体に流れるラテンアメリカの雰囲気やBGMがとても気に入りました。一番のりの方と並んでまたまた女性によるコメントで恐縮です。男性の感想も是非聞きたいですが、原作者ガルシア=マルケスは男性で恋人との結婚を親に執拗に妨害された苦い経験(といってもほんの数年間)に基づいた自伝的(?)作品だそうです。[DVD(字幕)] 8点(2010-03-15 04:36:24)

85.  フェリーニ 大いなる嘘つき 観るものの心に鋭く訴える作品を作る監督、茫洋として捕らえどころがないけれど何となく余韻を残す作品を作る監督、美しい作品を作る監督、リアルな作品を作る監督・・・どのような監督をとっても「あなたの映画哲学は・・・?」みたいな、あるいはネタバレ的なインタビューなんか公開する必要は全くない。ただ巨匠フェリーニもお年だし、関心のある人も世界中にいるだろうから、ということで作られたドキュメンタリー作品。それ以上でもそれ以下でもない。点数の内訳は音楽・・・でもこれだって「女の都」とかから借りてきたものにすぎない。[DVD(字幕)] 6点(2010-03-07 03:38:03)

86.  四十七人の刺客 時は平成、潤沢な社内留保を誇り、社員の福利厚生にも厚いAK社はライバルYZ社の密かなロビー活動によって採用された新基準のために製品の大量リコールを余儀なくされ、さらには公聴会での社長の失言によって自らの業務の完全停止、生産ラインの他社への売却と労働者の他社への移管、経営陣とトップ技術者計約三百名の大量解雇という制裁を課されてしまった。この難局に際し、経営の実権を握る専務大石は備蓄してあった部品と原料の即時売却による収入と社内留保とを併せて解雇されたトップ社員の生活保障に充てるよう計らい、再就職先が潜在的に多数存在する某商工業都市に失業窓口を設けるなど対策に奔走した。しかし、大石ら旧AK社幹部の真の目標はライバルYZ社の意図のままに製品基準を変えるよう動いた国会議員吉良(きら)の政治資金規正法違反を暴くことだった・・・。原作を読んだ方がロジスティクスなど緻密な内容が再現されていないと指摘され、また「討ち入り場面が山場であとは平坦・・・。」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、原作未読で「討ち入り場面だけが見所なのだろう」くらいの考えで何も期待しなかったわたしは十分満足することができました。何よりも画面が美しいのが良かったです。組織のありかたなどについて学ぶべき教訓を多く含み、映画としてはこの上なく緻密に作られていると感じました。特に、解雇に伴う手当ての支給額が発表されるところなど、服装が違うだけで現代でもしばしばありそうな光景でした。美人の奥さんとの間にたくさんの子供がいて、京都にも愛人がいて、自分の死後に二人が困らないよう手配して散っていった渋いおじさん、大石内蔵助を演じているのは・・・高倉健・・・エンド・クレジットまで気がつきませんでした。わたしにとっては初めて見た高倉健のちょんまげ姿でした。[DVD(邦画)] 8点(2010-02-12 13:19:28)

87.  ロビン・ウィリアムズのもしも私が大統領だったら・・・ 《ネタバレ》 アメリカ市民権がある脚本家が脚本を書いたとは思えないお粗末なできの作品。点数のうちわけは民主主義に対する熱い想いを体現するロビン・ウィリアムズの芸に10点、脚本に0点で平均5点。ロビンが政治家として登場するコメディー・シーンと電子投票システム会社もと社員の女性の登場するサスペンス・シーンがちぐはぐで何を言いたいのかわからないです。地方分権のアメリカでは全米が同じ選挙システムを一斉に採用することはありえないし、メディアも新聞に関しては分権化されているので、各州の選挙予想に照らして、選挙が正当に行われたかどうか州ごとに検証が行われ、世論の大勢と異なる候補者が大統領に選ばれるはずがないことは誰でもしっています。2000年の大統領選挙の際、年寄りが多いフロリダ州が旧式の方法を採用して、得票カウントをめちゃくちゃにしてくれたせいでアメリカ史上二人目の有権者得票での完全敗北、初めての選挙人得票での???の大統領が登場し、同時多発テロを機会にまっしぐらにアフガンとイラクの戦争につき進んだことは記憶に新しいですが、この事実に遺憾を覚えるもうろく脚本家の駄作です。わたしだったらロビン・ウィリアムズ大統領が笑いとおちゃらけでイスラム圏の理解を得て本来は科学者にしか与えられないイグ・ノーベル平和賞を受賞、本物のノーベル賞がほしいと大統領が言い出して、「結果はともかく方法が・・・」としぶっていたスェーデンのアカデミーが検討を始める、みたいなストーリーにするんですけどね。 ロビン・ウィリアムズにノーベル賞受賞講演をやらせるんだったら世紀の爆笑ものになるようにして・・・脚本書くのはむすかしいだろうな。[DVD(字幕)] 5点(2010-01-31 09:31:30)

88.  レディ・ジェーン/愛と運命のふたり 《ネタバレ》 「1000日のアン」に続く英国史ものということで鑑賞しましたが、こちらは「1000日」と異なって恋愛モノの色合いが強く点数はちょっと辛めです。主人公のジェーンとギルフォードは当初はお互いに反発しあっていたものの恋愛・結婚の順序を逆にしたような深い絆で結ばれたカップルとして描かれています。Wikipediaの英語サイトは二人両方を独立した項目で取り上げていて、どちらも「当時では稀な自由主義教育を受けた」秀才だったと書いています。と、言っても、二人とも年輪もいかないうちに女王とその配偶者に祭り上げられて処刑されたので、きっと二人ともに書籍の出版件数も少なかった時代に存在する全ての出版物を読んでしまうほど知識欲が旺盛で、国教徒派の周囲も国を治めるパワーカップルとしては息がぴったり合って最高の組み合わせと判断したのでしょう。ところで、ジェーン女王の即位を即位後9日目に覆したメアリー女王がスペインのフェリペ王と結婚した時はすでに37歳、今なら医学の知識を借りて子供を作ることはさほどむずかしくないけれど、「跡継ぎはどうするの???」と当時の周囲はやきもきしただろうと思われるオバサンでした。フェリペ王はこの時、野心見え見えの26歳、この若い夫のご機嫌を取るためか、メアリーは後年「ブラディー・メアリー」とあだなされるほど、国教徒派を粛清・処刑しまくったようです。ヘンリー8世とエドワード6世のときは様子見だった国民の多くがこれで英国教会に傾いたようです。このメアリー女王に子供ができなかったせいで、次のエリザベス一世の支配下で英国教会のイギリスが誕生するわけですが、短期間の女王在位の後に同じく斬首刑になったアンが「わたしの血を引く者(娘のエリザベス)が必ずイギリスを支配する・・・。」と予言しながら死んでいったのとは違って、ジェーンはひたすら来世で夫のギルフォードと再会することだけを願って死んでいったので、恋愛ものとしては素晴らしい作品だけれど、歴史ものとしてはちょっと迫力に欠けるな・・・なんていうことを鑑賞後に考えました。[DVD(字幕)] 8点(2010-01-13 06:18:17)

89.  女の都 《ネタバレ》 あれ、みなさん点数低いんですね。わたしは非常に気に入ったのですが・・・。初期のモノクロの時代にはリアリスティックな映画を作っていたフェリーニがこのようなシュールな作品を作ったのはもうろくでもなんでもなく、モノクロの制約がある時代にすでにリアリズムを追求しきった巨匠としての自負があったからだと思います。カラーがモノクロよりリアルになるのは何ていっても当たり前ですから、リアリズムを超えることに専念したんでしょうね。つまり、映画を欲望、幻影、ナンセンス、さらには精神分析を始めたフロイトが強調した無意識を描く手段にしようとしたのだと思います。最後のほうでマルチェロが気球で昇天するシーンの気球のカゴはまさに揺りかご、彼を空に導く人物は、(敬虔なキリスト教徒には申し訳ないのですが、)まさにイエス・キリストを女にしてビキニとハイヒールを履かせたようないでたち・・・。わたしたち人間は知的生物であると同時に獣で、男と女の関係もその二点をバランスするべく歴史的にいろいろ規定されてきたのだけれど、ウーマンリブ運動がようやくイタリアに波及した1970年代の終わりに、男と女の間の新しいバランスの方向を模索するかのように既成観念、特に男女を問わず抱いている下半身にまつわる思い入れや感じ方などを暴露し、笑い飛ばしているフェリーニ監督にフェミニスト(女権論者)として最大限の拍手(私がコメディーにつけることにしている最高点)を献上します[DVD(字幕)] 8点(2009-12-28 03:09:56)

90.  リチャード三世(1955) 1995年作のイアン・マッケラン版がシェイクスピアの普遍性を強調し、1930年代のナチスの台頭も髣髴とさせるノスタルジックで絢爛豪華な設定をとっていたのに対し、こちらはシェイクスピアの時代の演出にかなり近いものになっています。イアン・マッケラン版のインパクトが強かったこととローレンス・オリビエのつけ鼻に違和感があったので、正当派の人の意見とは異なると思いますが、ちっと点数は低めです。ローレンス・オリビエの扮装はいかにも「わたしは悪者です!!」という標識を下げているようで、いただけなかったです。かといってあの眉目秀麗なオリビエが素顔でも違和感があるし・・・、むずかしいですね。こすい、せこい感じはよく出ていたし、マッケラン版にはなかった宮廷の腐敗なんかもシェイクスピアの脚本にはない歴史上の人物を台詞なしでさりげなく登場させたり、うまくやっていたのですが、マッケラン=リチャードをヒトラーに重ねたアイデアには勝てませんね。まあ、映画勃興期にシェイクスピア劇の映画化を担ったシェイクスピア役者の草分けとしてはこれが精一杯といったところです。[DVD(字幕)] 6点(2009-12-06 13:08:13)

91.  1000日のアン 映像と衣装の美しさ、豪華さで40年も前に作られたという古さを全く感じさせない作品です。リチャード・バートンのヘンリー8世は、「クレオパトラ」の中でレックス・ハリソンが演じたジュリアス・シーザーや「イル・ポスティーノ」の中でフィリップ・ノアレが演じたパブロ・ネルーダと並んで名優そっくりさん出演のチャンピオン格じゃないでしょうか。(ちなみに「クレオパトラ」の中でリチャード・バートンが演じたアンソニーはたいしたことないです。)アン・ブーリン役の女優さんの悪魔っぽいかわいさも際立っています。鑑賞の鍵となるのはやはり、ばら戦争などの内戦で疲弊した弱小国だったイギリス(イングランド)がヨーロッパの他の大国からの独立を保って次世代のエリザベス一世の下で日の沈まぬ国になったという運命のからくりです。「国王は男でなければならない。」というヘンリー8世に可愛いがられて成長したエリザベス一世が色恋を全く拒む女性君主になってスペインの無敵艦隊を破ったことは、生母アン・ブーリンと前妃キャサリンとの確執の因果でしょう。前妃キャサリンはスペイン史上人気ナンバー・ワンのパワー・カップル、イベリア半島からイスラム教徒を追い出してスペインを統一し、コロンブスの航海のスポンサーも務めたカスティラ女王イザベルとアラゴン王フェルディナンドの娘で、元々はヘンリー8世の兄のところに嫁いできて兄の死後、弱小国イギリスが大国スペインに頭が上がらなかったためにヘンリー8世が彼女の二人目の夫にさせられたという事情もあります。だから、キャサリンの娘でヘンリー8世の後を継いだメアリー女王は母方の宗教のカトリックに深く帰依し、映画「エリザベス」の中で描かれているように、国教会に属した異母妹のエリザベスを虐待したのです。こんなことに想いをめぐらせながら鑑賞すれば二時間半はあっという間に過ぎてしまいます。質、長さともに久々に見た大河ドラマでした。[DVD(字幕)] 10点(2009-12-06 11:52:09)(良:1票)

92.  真珠の耳飾りの少女 《ネタバレ》 全編を通じてにドラマらしい波風は一切なし、17世紀のオランダの庶民生活を淡々と描いた映画と言ってもいいとも思いますが、それがやはりドラマ仕立てで映画になっているのはやはり、わたしの前の方も書いておられるような押さえたエロティシズムの表現が十分ドラマとしての要件を満たすとプロデューサーが考えたからでしょう。ハリウッドばりの派手な映画がお好きな方には必ずしもお勧めはしません。前の方が触れられた、グリーダが髪の被り物を取る時のエロティシズムが脱衣に対応するなら、フェルメールがろうそくの火で消毒した針でグリーダの耳たぶに穴を開けるのは・・・説明するまでもない、非常にきわどい内容なのです。しかもフェルメールは妻との間に多くの子供をもうけていて、それが妻に対する愛情の徴だったとするならば、通常の意味では若い女の子に普通に手を出す必要は全くないわけで、グリーダとの関係や肖像画など、妻に対する世俗的でありきたりな愛情を超越した、光を求めた画家の精神世界でのエロチシズムに昇華された美への渇望だったのかもしれません。だったらこの作品は精神世界でのエロチシズムを描いていると言っても過言ではないでしょう。ところで、フェルメールがどんな顔だちをした人だったかは知りませんが、主演のコリン・ファースの顔は同じオランダ人で銅像が残されている、奇怪な絵を描いたことで有名なヒエロニムス・ボッシュに似ています。スカーレット・ヨハンセンの抜擢は実在の真珠の耳飾りの少女に似ているからでしょうが、ファースの採用もももしかしたらボッシュと関連あるかもしれません。[DVD(字幕)] 7点(2009-09-27 04:31:02)

93.  ブラザー・サン シスター・ムーン 《ネタバレ》 面白い話ではあるし、画面などが素晴らしく美しいと思いますが、最後にローマ法王をひれ伏させるだけの説得力なんかあったのか?ローマ法王に質問されて空を飛ぶ鳥がどうのとか答えにもならない答えをして、ただ単に風体を省みない変人か下手すると狂人だと思われてもしかたがない様子で説得力がありませんでした。確かにゼッフィレッリ監督お得意の美しい画面には訴える力がありましたが、映画では映像や演技よりも脚本がものを言うのです。聖フランチェスコについて詳しい言行録が残っているわけでもないと思うので、思いっきり想像力を働かせることができるような天才脚本家が聖フランチェスコの感動的な台詞を書いていたのなら満点なんですけれどね。[DVD(字幕)] 6点(2009-09-13 05:07:22)

94.  おくりびと 《ネタバレ》 自由な時間が持てて初任給が50万円だってさ・・・みんなが嫌がる仕事で始める人があまりいないからなんだろうけどこの映画がヒットして始める人が増えれば初任給はこのままではないだろうな・・・英語サイトに「自分の才能に限界を感じた音楽家が云々。」と書いてあったの は嘘だよ、主人公が失業したのは何度も海外遠征さえ経験した主人公の才能のせいじゃないもん・・・無縁仏になるかもしれない死亡者のために急遽呼ばれた葬儀屋は納棺の儀式なしに遺体を棺おけに放り込もうとしたところを見ると、この儀式をやってもらうためには結構な金額を払わなければいけないらしいな・・・この仕事を喜んでやる人が増えても自由な時間はそのままだろうな・・・両親の期待を背負ってお金も時間もかけて習得したチェロを主人公が簡単に捨てるわけないでしょ・・・といった数々のへそ曲がりの感想をマイナス1点に押し込んで、久々に見る心にしみる映画だと思ったことを白状します。ギャグでも作為でもない自然な演技で人を上品に笑わせることができるのは世界中に輸出するべき日本の芸術の粋かもしれません。下町情緒が漂うニューヨークのソーホーのマチネでエンド・ロールが始まっても席を立つ人が少なかったのは知り合いやひいきの俳優が出演しているかどうかを確かめるためではなかったようです。それにしても、「様式美」とどなたかが書いていらっしゃった納棺の儀式はまさに芸術ですね。.[映画館(邦画)] 9点(2009-06-25 02:35:59)

95.  スラムドッグ$ミリオネア 子役が登場する作品では点数辛め、波乱万丈の原作と違いすぎ(本作品も十分波乱万丈だと思う方もいると思いますが)、この後、高評価が続きそうなのでひねくれ根性を発揮、加えてムンバイ出身のインド人が「インド映画なんて、美男と美女と悪漢が必ず登場して、すったもんだの結末が最初から見え透いている作品ばかりだ・・・。」と言ったその雛形どおりの作品なので点数は超辛です。インド映画ではオースティンの「Pride and Prejudice(高慢と偏見)」をもじった「Bride and Prejudice(花嫁と偏見)」という、アメリカの映画評で少しだけ取り上げられたミュージカルがきれいで楽しかった記憶がありますが、アカデミー賞を総なめにしたこの衝撃は一体何なのか・・・。やはり、スラムの汚さとクイズ番組の華やかさを組み合わせたアイデアのせいでしょうか。確かに雛形どおりでも原作と異なってもカタルシスを与えてくれればいいのですが・・・。原作では主人公がしぶとい悪者で兄(原作では兄貴分)のサリムが俳優を目指すまじめな少年、主人公の恋人がもっとすごい職業に就いていて、アクションや発砲だけではなく病気や死、殺人や強姦(そ、そ、そうなのです)のエピソードまであったので本作品を見て少しがっかりしました。主人公がアグラのタージマハルでもぐりのガイドをした時の最初の観光客が原作では日本人だったのですが、映画では白人だったのでこれはいいことだと思いました。監督はイギリス人ですがストーリーと最後の歌と踊りはインド映画の定番、主人公を尋問する警部(原作では主人公の身の上話を聞くのは女性弁護士)が王貞治監督を黒くしたような哲学的な顔立ちをしていたので「ガンジー」をもう一度見たくなりました。ところで、原作者で外交官のヴィカス・スワラップはもうすぐ総領事として大阪に赴任するそうです。彼が「ブラック・レイン」を超える日本を舞台にしたアクション物の原作を書いてくれることと、スラムの子供たちの中からオーディションで選ばれた子役たちが立派な俳優に育つことを期待しています。[DVD(字幕)] 6点(2009-04-06 00:16:55)(良:1票)

96.  即興曲 愛欲の旋律 レンタル業者のストリーム配信で鑑賞して業者の謀略か接続状況のせいで最後の5分は鑑賞できなかったのですが、音楽や美術が好きな人には是非お勧めします。ショパンのピアノ曲がふんだんに取り入れられているのはもちろん、水彩画のような田園風景が美しく、ショパンがドラクロアの絵を鑑賞して批評を求められる実際にあったようなシーンまであります。本作品の主人公はショバンではなく女流作家のジョルジュ・サンド(本名:オーロール・デュドバン男爵夫人)で、彼女の大胆な行動はアンチ・フェミニストやポーランド国粋主義者にはかちんとくるかもしれませんが、時に笑いをさそい、実に爽快でした。ショバン役のヒュー・グラントも当たり役を演じたようで、実際に彼に会った人(知人の日本人既婚男性)が「こんな美しい男性は他にはいない。」と形容した彼の良さが最大限発揮されています。でも、本作品は芸術度の高いラブコメの域なんですね。フランス人とポーランド人のハーフだったショバンの両国に関する誇り、希望、苦悩、絶望といった気持ちは彼の音楽に凝縮されているわけだけれど、恋人のサンドはショバンのことは「才能のあるかっこいい兄ちゃん」くらいにしか見ていないし(実際にそうだったようです)、BGMに使われた曲も軽いものが多かった気がするし・・・ということで、当時のヨーロッバを映すショバンの内面をもっと掘り下げた脚本や演技・演出がでることを期待して点数は辛めです。もう一度見たい作品ではあります。[地上波(吹替)] 8点(2009-03-31 07:01:31)

97.  欲望という名の電車(1951) 《ネタバレ》 王子様系(例えば「サヨナラ」)がぴったりなのにと私が勝手に思い込んでいるマーロン・ブランドの、体臭が画面から立ちこめるような粗野なスタンレーの演技に監督を恨んだのは私だけではないようです。ヴィヴィアン・リーもスタンレーに「カナリア」と揶揄されているうちは「Tomorrow is another day!」のスカーレット・オハラを髣髴とさせてよかったのですが、ミッチにふられそうになり、困惑を隠すためかしゃべりまくるシーンでは正体がばればれで「一体あなたには自尊心というものはないのか・・・。」と目を覆いたくなる始末でした。唯一の救いはニューオーリンズのそこここにみられる「鉄のレース」と形容される例の瀟洒な住宅の装飾でした。これはニューオーリンズに行ったことがある人にしわからない美かもしれません。ニューオーリンズに観光客として行ってもカメラを駆使するのは誰でも多分昼間だけ、夜のバーボン・ストリートでジャズを楽しんでもスポットの外にでればホテルに急ぐだけのよそ者が見落とす夜のニューオーリンズの陰影の美しさがこの作品には溢れています。とは言うものの、空港から市内に行くバスの中から垣間見た墓地の光景(海抜マイナス地域にあるため、浸水しないように棺は地面から一定以上の高さの石台に安置しなければならず、ニューオーリンズでは死ぬのに金がかかる)のせいで、私はマルディグラの狂奔を見てもニューオーリンズという街を死の影と切り離して観光することはできず、この映画のストーリーと美学も死の影と無縁に見ることはできません。晩年の太ったマーロン・ブランドがジョニー・デップとの協演で精神科医を演じて「彼(ジョニー・デップ)の明るく愉快な色情狂は伝染性・・・。」と言いながら踊るシーンがある「ドン・ファン・デ・マルコ」でも見て口直しをしましょう。[DVD(字幕)] 7点(2009-03-29 13:07:33)

98.  リチャード三世(1995) 《ネタバレ》 1930年代のラジオから聞こえてきそうなBGM、そのころの軍服、ファッションやメイク、クラシックカーや汽車などに魅了されっぱなしでした。2度目に鑑賞した時、古本屋で入手した原書を片手に原作と比べながら見ようと思ったのですが、絢爛たる画面のせいで途中で挫折しました。かなり省略している感じですが、リチャードとの決戦を前にしてのリッチモンド伯ヘンリー・チュダーと亡きエドワード四世の王女のどさくさの婚礼とベッドシーンは創作のようです。この二つのシーンと前後のカメラや構成がとてもうまいのです。醜いおっさんのリチャードを見慣れてきた鑑賞者に、(王女のうれしそうな顔は映りますが)どうせこっちもたいしたことはないだろうと思わせておいて後でヌードまで奮発、原作での政争の犠牲者の幽霊が出るシーンはリチャードの悪夢に換えて、大胆不敵な童顔のリッチモンド伯と王女の決戦前のロミジュリにも劣らない甘いベッドシーンと対比させ、そしてそのリッチモンド伯とリチャードのチェイスと一騎打ちと最後まで飽きさせませんでした。婚礼とベッドシーンにこだわりたいのは、ヨーク家の女性との結婚によってランカスター派のリッチモンド伯ヘンリー・チュダーが戦乱に飽きた民心をつかみ、次のチュダー朝創設の契機となったからなのです。どの俳優さんの演技も非のうちどころろがないのですが、あえて素敵なファッションで登場した女優陣を褒めておきます。「弱きもの汝の名は女なり。」を地でいった前王朝の皇太子未亡人アンはとてもきれいで哀れでしたが、政争渦巻く薔薇戦争の顛末において、次男クラレンスを殺した三男リチャードをヒキガエル呼ばわりして見捨てた母のヨーク公爵未亡人、二人の息子が生死不明ながら、唯一手元に残された娘を本来は敵方だったランカスター朝の末裔リッチモンド伯と結婚させて平和への切り札にしたエドワード四世の未亡人エリザベスの二人の賢く強い女がいなかったら次王朝への道は開かれなかったのです。 でも、王位継承のもめごとで近代戦の戦車が稼動されたことってあったっけ・・・(マイナス1点要因)。[DVD(字幕)] 9点(2009-03-23 05:57:58)

99.  天井桟敷の人々 邦題から貴族のお話しかと思ったらさにあらず。Disk2を先に見るというまぬけな不運のためにDisk2を見ているあいだ中、ガランスは貴族か金持ちで俳優のバティストとの身分違いの恋の悲劇だと思っていた馬鹿さかげん・・・。でも、Disk1の冒頭でガランスの正体はあきらかで、しかもコメンタリーつきの版が借りられたのでドジを補って余りある収穫がありました。高得点をつけた人でも昼メロ風とおっしゃっていますが、この作品はそんな甘いものではありません。ナチス当局の検閲をかいくぐり、かいくぐり・・・スタッフの一人がユダヤ系だったせいもあり、製作者一同、英仏連合軍の進行状況を見ながら、「この頃にフランスは解放される。」と予測された頃にユダヤ系スタッフの名前をクレジットに入れて封切ることに決めたそうです。フランス人(被占領者)にしかわからない抵抗のメッセージを占領者のナチスの検閲官にはわからないようにオブラートに包んでメロドラマにしたわけです。もちろん、ユダヤ系の人のクレジットなしで解放前に封切ってもフランス人には受けたでしょうが、そこは巨額な費用を投じた作品・・・商業的な計算もあって当然でしょう。コメンタリーの全てをここで書くわけにはいきませんが、言葉で語りかけようとする俳優フレデリック以上に雄弁でガランスを救ったバティストの無言劇がヒントです。すばらしい作品だとは思いますが、どうのこうの言ってもやはり、解放後に作られた単刀直入な作品(たとえばHiroshima Mon Amour、邦題は「二十四時間の愛」)のほうがわかりやすいので満点マイナス1点にします。[DVD(字幕)] 9点(2009-03-21 16:27:48)(良:2票)

100.  太平洋の地獄 三船敏郎のファンがディスカウント・ストアで4ドル(400円弱)で売られていたこのDVDに遭遇したら・・・飛びつくのは当たり前、ましてやDVDの字幕でスペイン語とフランス語を勉強しようと欲ばっているわたしとしては天にも上る気持ち・・・と言いたいところですが、後者の期待は裏切られ、「うるさい!」とか「こんちくしょう!」といった表現ばかりを学ぶこととなりました。美しい南太平洋の島を舞台にくりひろげられる、敵対する国の軍人としての威信と生存をかけての壮絶な戦いと協力の顛末を描く重厚な作品で、言葉が通じない二人の登場人物間で交わされる台詞はほとんど重要ではないのです。三船でなければできない演技に魅了されっぱなしの本作品は三船以外の俳優が主演していたらBC級の作品になっていたことはまちがいありません。「三船敏郎の後継者と目されている某氏は首から下は演技をしていないよ。」という俳優志望の人の指摘を聞いたことがありますが、それからというもの、三船敏郎出演の映画を見るたびに彼は世界の演劇史でも稀にみる名優だとつくづく思います。米人役がちょっと軽いかったり、三船には超エリート海軍中佐の風格が十分なのに簡単な英語も話せなかったりするのが不自然ですが見ごたえは十分でした。ディスカウント・ストアさん、これからは20ドル以上でこのDVDを売ってください。それだけの価値があります。 BGMがジャズもありクラシックもありでおもしろかったです。[DVD(字幕)] 8点(2009-03-21 13:39:40)

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