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81.  のぼうの城 《ネタバレ》  原作を読んだ時から、のぼう様という人の、ユーラモスな天然系的なそのキャラクタに好感を持っていたから、萬斎の如何にも策をめぐらしている顔と、笑っていない目つきをみると、若干の違和感を感じていた。  しかし、田楽踊りのシーンの、敵陣のサムライたちを巻き込んで(惹き込んで)しまう説得力は、さすがホンモノの能楽師、古典芸能の世界で培ったチカラというものなのだろう。  ナニか芝居じみた大仰な台詞回しや、立ち居振る舞いも、このシーンの説得力に繋がるための、計算された演技プランなのだと思わせる魅力がある。『柳生一族の陰謀』の、一人で異質な演技をしていた錦之助を、思い出させる。  何より、ここでこの踊りに、心のなかで手拍子を打ち、リズムを刻んだ自分は、まんまとのぼう様の策にハマった他の多くのものと同じ者となったことが、なんだか嬉しい。古めかしい、しかし原始的な魅力を持ったこの歌と踊りのシーンは、この映画のクライマックス、のぼう様の人を惹きつける力を見せつけ、体感させる、見事なシーンだ。  ところで、所々セリフが聞き取りにくいのと、播州武士の末裔である百姓たち、という部分の説明をもうちょっとしっかりとして欲しかった。戦う気概を失っていない、侍だった農民というのも、ちょっと面白そうな部分だと思ったのだが。[映画館(邦画)] 8点(2012-12-18 01:40:07)《改行有》

82.  八甲田山 《ネタバレ》  何しろ日露戦争頃のお話。無線も飛行機も未だ普及していない。そんな時代(110年も前だ)には大層な冒険だったことだろう、吹雪の雪山の行軍。そのその過酷な行程の、イヤというほどの時間を使った描写は、見事。途中途中に回想として挿入される、青葉の木漏れ日や、美しい花畑などの映像が、さらに吹雪の厳しさを強調する。登場人物たちの背景に、遠目に見える雪崩が、CGなんかじゃ無いことを知っているだけに、余計に怖い。  また、この映画は他にありがちな、事件当人にまつわる家族や、恋人などの周辺の人のドラマを、あまり追っかけておらず、事件そのものの描写に注力しているのも良い。  戦争批判というのとはちょっと違うが、実際に当人に伝えるすべのない状態で、「作戦は中止した」のなんのって言う、司令官たちの会話が、実に虚しく滑稽だ。その上、馬鹿な上司のお陰でドンドン、ドツボにはまる様を見ていると、腹立たしくなってくるが、原作者は確かお役人さん出身だったと思い出し、彼の上司にこんな人がいたのかなあ、なんて思ってみたりもする。[DVD(邦画)] 8点(2012-11-24 01:51:22)《改行有》

83.  王様と私(1956) 《ネタバレ》  オリジナル版、各種再演版、サントラ版、、スタジオ録音版、はては日本公演版まで、様々な王様を聴き比べてみても、やはりユル・ブリンナーの王様は、ずば抜けている。個人的にはブリンナー再演版の、ラストの次世代王の誕生のシーンが大好きだ。  この映画を見て、白人優越主義などとは、思わない。アンナ先生はそんな事は言ってはいないし、制作側だってそう思っているとは思えない。彼女は「人は対等だ」と、直接は言っていないが、王様に対して他の家臣のようにひれ伏したりしない態度で示しているだけだ。一方、自国の近代化のために、教育から始めようと考えた王様もスゴイ。  そういう意味では、アンクル・トムの劇中劇が実に素晴らしい。奴隷制度という非人権的な制度を批判したこの劇は、同時に先生に習った知識のおさらいになっている。アンナ先生のもたらしたものの成果として、ここをゴールと目指した物語にしても良かったくらい。  だが、物語はもっと先へ進み、名曲『Shall we Dance?』を聴かせてくれた後、クライマックスへ。思えば、シャム国を近代化する、という手段に教育係を呼んだ意義が実を結ぶ瞬間だ。人が乗れるほどの氷、雨が凍って降る雪、それらを信じない子らを叱責した王様が、自身の考えと違えども、新しい王の考えを支持したこのシーンは、子供たちだけでなく、王様をも変えた、実に感動的な場面だ。これはシャム近代化に対する、アンナ先生のみならず、王様の勝利でもある。だから、私はこのシーンが大好きなのだし、だからこそ、様々な録音盤で、このシーンが収録されているのだと思う。[DVD(字幕)] 8点(2012-11-03 01:08:19)(良:2票) 《改行有》

84.  ベン・ハー(1959) 《ネタバレ》  ジュダ=ベン・ハーが、復讐を果たすまでの波瀾万丈なさまは、本当に面白かった。ガレー船による海戦も、馬車レースも迫力があり、手に汗を握った。そりゃあ、もう8点を付けるだけの面白さだ。  しかし、この物語はイビツである。ジュダは、復讐を遂げた後に、イエスの磔刑を目にして、その教えに心奪われたように描かれる。物語の主題もおそらくそこにある。だが我々はすでに、騎馬戦の勝利と復讐の成就に感情を移入し、大いに溜飲を下げた直後なのだ。ここから「汝の敵を愛せよ」に涙するには、相当な、それこそ宗教的な説得力がないと難しい。元々キリスト教の素地がない普通の日本人には、もっと、ジュダの考え方を根本から突き崩すような、そういうエピソード、そういった描写が必要だったろう。  イビツと書いたのは、ジュダの復讐の成就までと、その後のイエスの奇跡に涙するまでの物語のバランスの悪さと、彼の心の転換部分の判りずらさだ。しかし考えてみると、これは、聖書における旧約と新約のそれに近いのかもしれない。もしかして、これは、一人の人間の人生を使った、聖書そのものだったのだろうか。[DVD(字幕)] 8点(2012-10-28 13:18:00)(良:1票) 《改行有》

85.  ガメラ 大怪獣空中決戦 《ネタバレ》  この映画の優れた点は、巨大生物が現れた際の、日本の社会や防衛関係者などの、リアリティある描写にあると、多くの人が言う。私もそう思う。しかし、実はそれよりももっと、私が評価している、嬉しく思っているところがある。ガメラの性格である。いや、人格的な意味でなく。  ガメラは、子供の味方だった。ただし、旧作を見返してみると、そんなに説得力のある理由は無かった。いきなり「子供の味方」と言い出したのを、我々は喜んで観ていたわけだ。それを、子供→人類と置き換え、それにSF的設定を与えただけのことで、その性格をそのまま、上手く引き継いだこの平成版ガメラは、戦う不自然さを根本的に解消できた。  なによりこの設定で、ラストシーンの「来るよ、ガメラはきっと来るよ」という、実に晴ればれとしたセリフに帰結するさまが見事。 久しぶりに通しで見ると、色々と原作(『大怪獣空中戦』)の要素を、新解釈で描いていたりして、楽しい。ガキが勝手に名付けていた、名称についてのやりとりとか、「こんな生物はいない」というセリフとか、完全無欠な生物でもやはり夜行性なのかとか、足を切断するのはギャオスの宿命なのかとか。そういえば、ラストのシーン、急速に炎が収束するシーンで、ガメラの、炎好きで火を吸入する習性を思い出した。そういう事だったのか?[ブルーレイ(邦画)] 8点(2012-10-13 01:01:31)(良:2票) 《改行有》

86.  HOME 愛しの座敷わらし 《ネタバレ》  なんと美しい日本の田舎の風景。葉擦れの音の気持ちの落ち着き。古民家の黒光りする柱、床の安心感。そして、囲炉裏の火のやさしさ。昔の、日本の自然の気持ちよさを思い出す。そして、昔の自然には少しだけ、妖かしの世界へ通じているような部分も、あったりする。そんな、いろんな事を思い出す。  その大自然の中の古い民家に引っ越してきた、どこか上手く行っていなさ気な家族が、座敷わらしらしきモノによって、次第に結びつきと自信を取り戻す話。  座敷わらしは、悪さをしないとか、家運が上がるとか言われている。確かにこの家族がまとまり始めたのは、「なにか見える」という体験を共有し始めてからだ。座敷わらしは彼ら家族と、関係無い話だったのか?そんな事は考えるのも野暮なことだ。小さな子供の前で争う大人がいないように、座敷わらしの存在自体が、彼らを変えたのだろう。  最後にウエイトレスが、6人ですね?と確認した時の、彼ら家族の嬉しそうな笑顔が、見るものをも嬉しくさせる。心温まるいい映画だった。  ところで、渥美清が寅さんの他に、映画で見せる見事な芝居を観た時に思った感じを、久しぶりに思い出した。一つの役をずーっと演じるのも、それは意義ある事だろうけど、もっともっと、いろんな芝居を見せて欲しい。そう思わせるだけの役者に、いつの間にかなっていたんですね、水谷豊さん。[DVD(邦画)] 8点(2012-10-10 00:18:24)《改行有》

87.  男はつらいよ 《ネタバレ》  モノクロから始まる導入部、公開時にリアルタイムで見た人たちは、当時の白黒のTV版を思い出しながら、見たのかなあ。  物語の始めこそ、状況説明的に描写が進むが、さくらのお見合いの席あたりの寅さんの「舌好調」ぶりは、今見るとイタイほど。見ているこちらが恥ずかしくなってきて、いたたまれない。当時はあれが、庶民感覚として受け入れられていたのだろう。  それにしても、志村喬、というか子を思う親の心は泣かせるなあ。寅さんじゃないけど、すっかり気持ち持ってかれる。  そして、寅さんの初フラれ。意外とあっさりしていて、ちょっと拍子抜けではある。  後に何十作と作られるシリーズの、ほぼ基本的な構造が、第一作目にして出来上がっていたことに驚いた。というより、何十作も見たくなるような、フォーマットを的確に作り上げたセンスに拍手、と言うべきか。[地上波(邦画)] 8点(2012-10-01 10:08:55)(良:1票) 《改行有》

88.  ピカドン 《ネタバレ》  最初に観た時には、固まった。これは、商業映画でなかったために、わりと作られてから早いうちに、朝の情報番組で放送したのだ。  一度それを書いてから消した(!)という、トレス線の無い、絵本のようなやさしい絵柄の子どもや人々が、一転、ドロドロ溶けてゆく描写は、非常に恐ろしいものだった。  子供のあこがれや、おもちゃも、実はその延長(或いはその根が)に、恐ろしいものになりうるとでも言うようもに、子供の作った紙飛行機が、やがて黒い飛行機となって、現在の町の上を飛ぶというシーンも、示唆的で怖い。  LDの時代までは、販売されていたのだが、今は手に入れることが困難な映画であるが、公共図書館くらいには置いておいても良いのでは…と思ったら、大手動画サイトで見れるのか。うーむ。[地上波(邦画)] 8点(2012-08-29 02:56:33)(良:1票) 《改行有》

89.  ALWAYS 三丁目の夕日‘64 《ネタバレ》  泣きっぱなしである。  もちろん、そういう風に「設計された」んだろうとは思うが、それでもやはり、泣きっぱなしである。泣きどころ満載、これでもかって程、ツボを突かれるのだ。ロクちゃんの彼氏の「娘さんをください」から、嫁入り前のあいさつから、茶川-淳之介親子の話から、何から何まで、オイオイ泣いてしまった。  TVドラマの話だが『前略おふくろ様』という名作がある。ショーケン演じるサブが、母親の青春時代を思い、母もまた一若者であったこと、母の若き頃の恋愛などを思う件がある。  茶川が娘と夕日を眺めるシーンでふと、このドラマを思い出し、あゝこの時自分は2歳だったのか、その頃、世の中はこんな風で、人々はこんな感性で生きていたのか、自分の両親たちもまた、こんな時代にこんな風に生きていたのだろうか、と思いなぜかまた、目頭を熱くしてしまうのであった。  もう、泣きっぱなしである。[地上波(邦画)] 8点(2012-08-05 06:20:24)(良:1票) 《改行有》

90.  二十四の瞳(1954) 《ネタバレ》 この映画を見ると、唱歌というものの美しさを、しみじみ感じる。 そして、浜辺の歌の歌詞がなんと物語に合っているかと驚いたものだが、今回調べてみて知ったのだが、この歌には3番目の歌詞があって、それがまた実に物語のラストに沿っている(*)。このみごとさは、童謡『赤とんぼ』のイントネーションと音階がちゃんと合っている凄さ、という話を思い出させる。  そして、映像的にも、美しい風景はモノクロでもちゃんと美しいんだなあ、とアタリマエのことだが思う。電車ごっこのシーンの桜の美しさは、後のカラー映画を含む、邦画の中でも屈指だろう。 *:(自分解釈) [DVD(邦画)] 8点(2012-08-04 04:32:52)(良:1票) 《改行有》

91.  赤い河 《ネタバレ》  昔、「チザムトレイル」という、インディアンの脅威を通り抜けて、牛を運ぶ道を開拓した人がいた、と何かで読んだ。  その道は途中から枝分かれしたりして、網の目のように発達し、最盛期には年に何十万頭という牛が通ったという。本作はそのチザムトレイルを最初に通り抜けた、キャトルドライブの話だ。  現実の話としては、ジェシー・チザムという人が開拓したらしいが、映画では別の人の話となっている。  アメリカの国内事情により、テキサスの牛が近隣でその市場価値を失い、東部の人間をターゲットにミズーリまで牛を移動することにした。  誰も通ったことのない道を通り、数々の困難に会ううちに、使用人ではあるが旅の仲間だったはずのカウボーイたちに横暴になるダンスン。新たな積み出し駅の噂による目的地の変更の進言を拒否し、信頼を失い、怪我をして、息子同様に思っていた若者マシューに牛を奪われて、復讐のため先行する本隊を追う羽目になる。よく本などで読む、キャトルドライブの大変な辛さや、牛の暴走の迫力や、カウボーイたちの荒々しさなどが、良く描かれている。  昔の西部劇は、銃で物事を解決しないものが多いように思う。よく映画で見るカウボーイたちの酒場での乱痴気騒ぎなどを見ても、殴り合いという「自分自身の力」で相手に打ち勝つ事の重要さ・誇りといったものを、心に持っていたと言われている実際の西部人の、その時代に近しいからなのだと思っている。だから、本作のラストには、とても気持ちのいい思いを抱くのだ。  牛を奪われたと思い込んでいたダンスンが、追跡途中の村落で出会った女とマシューとの、ダンスンの昔を思い起こさせるエピソードで、恐らく彼を許す(少なくとも殺すつもりが無くなった)気になったのが、うっすら分かるのも良い。ただ、その部分のシリアスさと、最後の二人の和解の具合が、私にはアンバランスに映ってしまうのだが、その辺の気持ちの振れ幅の大きさが、豪快な西部人の特色なのかも知れない。 [DVD(字幕)] 8点(2012-07-04 16:31:17)(良:1票) 《改行有》

92.  トゥームストーン 《ネタバレ》  今はDVDが廃盤になってしまって、なかなか見ることが出来ないが、VHSを借りて久しぶりに見てしまった。  近い時期に公開された「ワイアット・アープ」とよく比較され、「こちらの方が面白い」と評判の映画だが、それは多分、善悪をはっきりと振り分け、更にそれを強調しているからだと思う。カウボーイズは、より凶悪な殺人集団のように描かれ、ワイアットは、ジョシーに心寄せてはいるが、不倫までには至っていない。双方ともにちょっとずつ入っている補正がうまく効いている。  乾気を求めて療養しているにしては、まるで良くなりたい気の見えない、いわば死に(あるいは生き)急いでいるドク・ホリデイと、生まれた事を恨んでいるリンゴーという、微妙に対になった生死観を持つ二人をライバルのように描いて、その対決も魅せてくれる。その「早撃ちガンマン観」の取り入れ具合(早撃ちはこの二人だけというの)も絶妙だ。やはり、早撃ち対決は、西部劇の醍醐味の一つだ。 2020年追記  市長・ジョンクラムが兄弟たちに保安官就任を高乞う場面のあと、バージルの助けた顔に傷のある女性のカット、彼の火のような正義感を見てとれてさすががだと思った。彼は決闘の日にもただ武装解除するだけのつもりだったと言われているしね。 これを見た時期は正確な事件記録に縛られていたが、やはりそれをもとに作られた多少誇張された本作のドラマが感動的だ。ワイアットとドク・ホリデイの友情感や、途中でカウボーイズを抜けるシャーマン・マクマスターズかな?が良いね。 これは本当にDVD/BD化してほしいものだ。[DVD(字幕)] 8点(2012-06-27 16:14:44)《改行有》

93.  駅馬車(1939) 《ネタバレ》  定期便としてのアメリカ横断駅馬車というのは、合衆国にとって安定的に自国の交通を確保するという、非常に重要な役割を担っていたという。また、それはいわば、アメリカが一つに繋がったという象徴的な意味を持っている。その中で、いろんなタイプの人間がひとつの目的地に向かって乗り合うというのはまた、象徴的で意味深い。欲を言うとこの中に黒人がいて欲しいところだが、いろんな意味で時代的に難しかったのだろう。  さて、そんな合衆国統一の象徴に襲いかかる外敵に、搭乗員たちが一丸となって迎撃するこの映画は、とてもアメリカ的で感心する。外敵が宇宙人になる時代に下っても、アメリカ人はこういう話が大好きなのだ。もちろん、最後に敵を蹴散らすのはアメリカ軍だ。  しかし、そんな穿った見方をしなくても、このインデアン襲撃シーンは、手に汗握る良いシーンだ。馬の走りを表現するのに、コマ数を落として撮影したという話は、あまりにも有名だが、銃に撃たれたインデアンの馬が転ぶカットも、また迫真である。また、世間から蔑まれている女と、お尋ね者のガンマンの恋物語とその結末も良い。中途半端な決闘は要らなかったくらい、この二人のエピソードがいい。時代もシチュエーションも違うが、中島みゆきの「ふたりは」を思い出した。 [DVD(字幕)] 8点(2012-06-27 16:12:53)《改行有》

94.  バッド・ガールズ(1994) 《ネタバレ》  いいなあ。女だけの無法者集団。昔から、ガールズバンドが好きだった。美しくて、カワイくて実力がある連中だったから。 男とはちょっと違う論理で動く、そのサウンド、その行動原理、その生き方。そして、強い!彼女らは、西部開拓時代の『プリプリ』だ。(古い?)  えー、実際、あの取引なら最初から、ガトリングガンに何か細工するでしょ、とか思う自分は、かなり卑怯なのか?最後のコーディとキッドの撃ち合いの場面で、弾切れを信じてなかった上に、銃弾を拾うところで「撃て!」と思った自分は、彼女らには好かれないだろうな、と落ち込みました。 [地上波(吹替)] 8点(2012-06-22 02:59:26)《改行有》

95.  シェーン 《ネタバレ》  日本の昔が侍だけの世界でなかったように、アメリカの西部開拓史というのは、ガンマンだけの世界ではない。むしろ、農地開拓の歴史が、アメリカを西へ押し広げたのだという。この映画は、最後に悪漢をカッコよく倒して、颯爽と去ってゆくガンマンをヒーローとして描いているように言われるが、実はその大半が、自ら耕す農民の正義と、新旧の世代の戦いを描いている。  シェーンは自分が銃で物事を解決する時代の側の人間であることを自覚して、それから抜け出そうと農民の社会に生きようとするが、結局は辺境の治安維持の不備によって、力を行使せざるを得ない状況に陥る。  彼がカッコイイのは、自らを傷つけながらも、新世代を無垢のままに守ったからだ。スターレットを直接守ったのはもちろんだが、その目の前で人を殺してしまったジョーイ少年を、銃の世界に引き込まぬようにか、一家の前から去るその潔さ!  それにしてもライカー、インデアンから土地を守ったという、彼の言い分にも一理あると思ったが、やり方がダメすぎたな。 【追記】  何でもWikipediaによれば、ラストシーンに関して、シェーンの生死の議論があるそうで…。そう言われてみると、ラストのシェーン一人のカットは、モノクロかと思うほど色調も暗く、死を暗示させる。が、シェーンは馬を操っているし、何よりこれがシェーンの死を表現しているとしたら、わかりずら過ぎるし、悲しすぎる。[DVD(字幕)] 8点(2012-05-24 01:43:29)《改行有》

96.  情婦 《ネタバレ》  ラジオ番組で、戸田奈津子がオススメしていたので鑑賞しました。  弁護士が被告の無罪のために、妻を追い詰めていくのが、被告へのダメージになっている、という構図になっていて、皮肉で辛い裁判劇なのだな、なんて思っていた。その後の見事などんでん返し(しかも二重)で、気持良く騙されて、ミステリの醍醐味を味わった。戦時下に恋人を待つ歌で有名なデートリッヒが、ここで歌う歌のあまりの内容に苦笑。  そう言えば、妻を「名女優」と言っていたのに、回想シーンではタダの酒場の歌うたいだったのが、気にはなったのだが、それ以上の考えは及ばなかった、というのは、悔し紛れの言い訳か。  検察側の証人という題も、どんでん返しの後には、なんともひねりの効いたタイトルだと思った。そう考えると、もう一つ仕込まれたどんでん返しである「情婦」というタイトルもまた、見事な邦題だと思う。 [DVD(字幕)] 8点(2012-05-18 22:56:09)《改行有》

97.  犬神家の一族(1976) 《ネタバレ》  前半もの凄いテンポの良さで、ドンドンと事が進む。でも、というか、それ故なのか、「生卵!」などのギャグとか、謎解きの情緒的な部分とか、しっかり描く余裕があって、見事。  これは原作の優れた部分なのかどうか、もう忘れちゃったけど、これが「母子の愛の物語」であることが素晴らしい。故にメインテーマの曲名も「愛のテーマ」。息子のための殺人を、その息子自身が母のため後始末して回るなんて、すごい発想ではないか。そして、そこに(道徳的な正しさは別として)親子の愛情を見つけて、クローズアップした脚本、演出。この一点において、他の金田一モノを遙かに押さえて、ダントツの評価なのだと思う。  ところで、今回見直し気付いたが、逆さスケ"キヨ"が、「ヨキ・コト・キク」のヨキを表してたって、映画では言ってなかったんだな。同様に、この作品にはもの凄い記憶補正がかかってしまっていて、数々の細部の思い込みが入る。大流行した横溝作品として、同じ時期にたくさんの映像化作品があり、そこで描かれたものとごっちゃになるのだ。単体の映画としては、不幸な周辺事情なのかもしれない。[DVD(邦画)] 8点(2012-04-23 17:56:24)《改行有》

98.  カーズ アニメーションの第一義は、何と言っても子供のもの、と思っているので、こういう、ベタではあるが友達の大切さ、を描いたアニメーションは、大好きであるし、ぜひ子供たちに奨めたい。また、古いものをちゃんと評価する事の大切さというものを、教えられる。[DVD(字幕)] 8点(2011-12-19 04:03:11)

99.  海底二万哩 《ネタバレ》  1868年という設定が凄い。南北戦争が終わってちょっとの頃の話。と思ったら、原作自体1870年の作品だそうで、まあ凄い先見性である。アメリカではリアルに西部劇の時代に、まさか原子力を予見していたのではないだろうが、科学技術の危険性と、それが愚かな人間社会の有りように掛かっていると、警鐘を鳴らす物語は、驚嘆すべきものがある。そういえば、BTF3で西部劇の時代の教師が、ジュール・ベルヌの話をしてたっけ。  映画自体は1954年作、原爆から9年後。原作の方は未読でよく判らないが、映画版ノーチラス号は、明らかに原子力船で、島の爆発もきのこ雲。ディズニー映画だけあって、さすがに核兵器を使いはしないが、この圧倒的に強大な技術を以って、軍艦を沈めている天才科学者・ネモ船長は、もはや神の立ち位置だ。  捕らえられたフランスの学者は、人を殺していることに変わりはない、と彼を責めるが、その技術を悪用させないと言い張り、それを欲する。この人を見てゴジラの山根博士を思い出した。学者って時として無自覚に罪深い。  「怪物」と思われていたノーチラスに、本当の怪物が襲うのは、興味深い展開だが、生き物が鉄の塊を襲うのは、リアリティにかけて、ちょっと萎える。この事件で、人の善意を知ったネモ船長だが、結局最後まで彼は、人類の善意を信じられずに、船と運命を共にする。先の学者も、記録を失った事について「これで良かったのかも」と、国家不信。直前に、仲間をも標的にした軍を、見たからかも知れないが、ちょっとダークな終わり方だ。これが当時の人々の世界観なのだろう。  特殊映像的にも、このあたりの時代は「日本の円谷特撮が世界をリードしていた」と、ずっと聞かされていた者として、「そんな事無いじゃん」と素直に思えた。カラー作品としては、この映画のほうがリアルで、同時期に東宝が作っていたのが「ゴジラ」で、初のカラー作品は2年後の、ミニチュア感丸出しの「ラドン」である事を考えると、結局総合的には、昔からハリウッドの方が、見せ方上手かったんじゃん、と思った。 [DVD(字幕)] 8点(2011-10-22 03:31:58)(良:1票) 《改行有》

100.  上を向いて歩こう 《ネタバレ》  高橋英樹の腹違いの兄と、小百合ちゃんが不自然に知り合いで、彼らを引っ掻き回すのを除けば、フツーに青春映画として楽しめた。  数々の行き違いや、憎しみの応酬により起こった、青年たちの大げんかが、小百合ちゃんの一喝によって、終結し許される映画。新車のトラックや、当時10万という高額なドラムセットがダメになったにしては、明るく和解して(しかもそれぞれ新調している!)、ノーテンキに合唱しているのが、ちょっと引っかかる。  しかし、その歌声が日本の伸び盛りだった頃の、働く日本の元気に対する応援歌だという事に気づいた時、そしてその時代の働く人々の映像を見た時に、不覚にも涙してしまった。いろんな社会問題もあったけど、二年後にオリンピックを控えていたこの頃の、日本の未来は明るく希望があった。  この映画が、元になった歌のように、「泣きながら歩く、一人ぼっちの夜」ではなく、「手をつなぎ、歌おう、若い僕らの歌」と締めくくるのは、見ているものとしても、とても嬉しい。また、おこがましいようだが、この映画の主題歌として、まこと正しいと思える。 ワンフレーズだけど、高橋英樹、小百合ちゃん、浜田光夫らの歌声も聞ける。 【2011.1.1追記】なんだ、これ「幻の4番歌詞」ってやつだったのか…。でもいい歌だ。 [DVD(邦画)] 8点(2011-10-07 16:01:14)《改行有》

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