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プロフィール
コメント数 1876
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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1161.  ノア 約束の舟 《ネタバレ》 ダーレン・アロノフスキー監督が巨額の予算を投入して描き出す、旧約聖書中のノアの箱舟の物語を元にした壮大なるスペクタクル巨編。現代ハリウッドの第一線で活躍する監督たちの中でも、僕がその次作を心待ちにする数少ない傑出した才能の持ち主であるアロノフスキー監督。彼のそんな待望の最新作なのですが、これがこれまでの素晴らしいフィルモグラフィーの中で僕が唯一「これはさすがに失敗作やろ~」と言わざるをえない『ファウンテン』という作品を髣髴とさせる問題作でありました。うーん、確かに唯一無二の壮大なる世界観や哲学的で難解なストーリーなどはまぁある一定の水準に達してはいるのだけど、観終わってすぐの率直な感想は、「とはいえ、さして面白くはないよね、これ」でした。旧約聖書はずっと昔に所謂「モーセ五書」だけは読んだのだけど、ノアの箱舟ってこんな話でしたっけ?なんだか神の意思なら我が子をも殺すアブラハム(確かそんな名前だったと思うけど自信なしッッ)の物語とごちゃ混ぜにしているような印象が?まあ、そんなことはどうでもよくなるくらい映画としてみれば普通に退屈でした。特に、画的にも地味な前半1時間はまだ箱舟出来ていないのに、僕の意識が睡魔という名の荒波に漕ぎ出しそうになっちゃったし(ZzzZzz…)。大洪水が起きてからの後半はちょっぴり盛り返したものの、その結末があらかじめ分かっている展開にやはりのめり込めず…。監督、世間では失敗作と評される『ファウンテン』のリベンジをしたかったのかも知れないけど、完全に返り討ちでしたね、これ。うーん、こういうのはこれでもう終わりにして、次は『レスラー』や『ブラックスワン』といった、人間の心の闇や弱さを鮮やかに照射してみせる傑作をまた撮っちゃってください!期待して待ってるよ~ん☆追記・この後、監督はやはり聖書をテーマとした問題作『マザー!』を撮って無事撃沈(笑)。世間からどれだけ悪評を得ようとそれでもやりたいんだったら、僕はもう止めません……。[DVD(字幕)] 5点(2014-12-11 19:52:35)

1162.  美しい人(2005) 《ネタバレ》 罪を犯し、刑務所に服役中の37歳の女性サンドラは、幼い娘との面会だけを希望に生きていた。夫と共にこれから幸せになろうという妊娠中の人妻ダイアナは、ある日の買い物中に偶然かつての恋人と再会する。父との深い確執を抱える黒人女性ホリーは、そんな父親と決着をつけるために意を決して実家へと帰ってくる。自己中心的な夫と一緒に金持ちの友人宅を訪れたソニアは、その日も案の定大喧嘩となってしまう。愛が冷め切った両親と暮らすティーンエイジャー・サマンサは、自分の将来について悩みを抱えていた。元夫の新たな妻が自殺してしまったローナは、色々と葛藤を抱えながらも葬儀会場を訪れる。不倫相手と共に小さなモーテルの一室へとやって来た中年女性ルースは、隣室の女性が警察に逮捕されるのを目撃してしまう。乳癌を患い、今まさに乳房の切除手術を受けようとしているカミールは、押しよせる不安に押し潰されそうになっていた。そして、祖母と共に死んだ母親のお墓参りにやって来た幼い少女マギー、彼女は人の生と死というものを少しずつ理解しようとしていく――。9人の様々な女性たちのそんな苦悩に満ちた十数分のドラマを美しい映像でもって切り取ったオムニバス作品。なかなか豪華な役者陣を揃え、そんな短い作品を全て編集なしのワンカットで撮るという、カメラ畑出身のこの監督らしい意欲作でありました。確かに緻密に考え抜かれたであろう流れるようなカメラワークはとても素晴らしかったです!若干パンチに欠けるとはいえ、それぞれのお話も人生の悲哀と喜びを瑞々しく切り取っていて素直に良かったと思います。ただ、個人的にあまり好きになれないお話が何個かあって(特に、妻の葬儀会場なのに再会した元嫁に縒りを戻してと縋りついちゃうウザいヘタレ男の話!)、そこがちょっとマイナスでした。それに、アマンダ・セイフライトの胸の谷間を強調したカメラアングルは、男としてはもちろん嬉しいのだけど、今作のテーマには完全にそぐわなかったですね。総じて、映像が美しい映画ではあったけれど、いまいち共感出来る部分が少ないオムニバス作品でありました。[DVD(字幕)] 6点(2014-12-08 22:09:55)

1163.  ザ・コール [緊急通報指令室] 《ネタバレ》 911。それはアメリカにおける、緊急通報システム。日夜、多種多様な人々からの様々な緊急連絡に対応してきた優秀なオペレーターであるジョーダンはある日、とある少女からの悲痛なSOSを受ける。今まさに猟奇殺人犯に捕まろうとしている少女の切実な叫びに、受話器越しに必死に対応するジョーダンだったが、彼女の致命的なミスにより、少女は数日後に遺体となって発見されるのだった――。6ヶ月後、以来現場から退き教官として後輩の育成にあたっていたジョーダンだったが、またしても幼い少女の誘拐事件が発生してしまう。犯人の車のトランクから携帯電話で必死に助けを求めてくるケイシーと名乗る被害少女。いてもたってもいられなくなったジョーダンは、そんなケイシーの命を救うため、再び現場へと復帰すると受話器越しに様々なアドバイスを与えてゆくのだったが……。猟奇殺人犯に拉致された少女と911のオペレーターとの電話越しの遣り取りをスピーディに描くサスペンス・スリラー。90分という適度な尺、小気味よく進む娯楽に徹したストーリー、相変わらずお美しいハル・ベリーの華のある熱演…。まあ、犯人があまりにも頭悪すぎ(死んだと思ってトランクに閉じ込めた被害者の男が実は生きていたって、犯人、脈ぐらい確認しろよー!てか、最初からケイシーを縛っといたら良かったじゃん!笑)ってところがちょっぴり失笑でしたけど、ツボを押さえたエンタメ作品としてはなかなか良かったんじゃないでしょうか。でも、それも中盤まで。ずっと受話器越しの遣り取りのみで被害者を救出すると思われた主人公が、何故かそんな司令室を飛び出して犯人のアジトへと乗り込んでいくって、おいおい(笑)。しかもそこから思いっ切り、『羊たちの沈黙(劣化版)』になっちゃってるし~。挙句の果てに、もうここまでベタでいくなら最後までベタで通してほしかったのに、奇を衒ったような変てこなラストシーンを迎えちゃいます。いやー、いろいろと残念賞な作品でありました。ハル・ベリーの相変わらずスタイル抜群のナイスバディと、反対に誘拐された少女の妙にエロいムチムチ・ランジェリー姿に+1点![DVD(字幕)] 6点(2014-12-06 00:41:23)

1164.  インターステラー 《ネタバレ》 僕のこよなく愛する『インセプション』という傑作を撮ったクリストファー・ノーラン監督の最新作にして3時間に迫るSF大作ということで、久し振りにわざわざ映画館へ――。結論を言うと、無茶苦茶面白かったです。圧倒的なスケールで描かれる壮大な世界観、イマジネーションが奔流のように迸るスタイリッシュで洗練された美麗な映像、哲学的で難解なお話なのにそれを微塵も感じさせない考え抜かれたストーリーテリング……。特に、あの1時間経つと地球時間では7年もの年月が過ぎる水の惑星から帰ってきた主人公が、あの僅かな時間で既に27年も経っていたと知ったときの絶望感といったら凄まじかった。地球時間と宇宙時間のずれを見事に対比させることで、今まで誰も見たことのないような壮大なアクションシーンを創り上げたところなんか、さすが『インセプション』のクリストファー・ノーラン!ブラックホールを越え、予想だにしなかった世界へと迷い込んだ主人公が知る驚愕の真実には度肝を抜かれました。そして、最後に彼が娘との約束を果たすシーンは切なくてちょっぴり泣きそうになっちゃったし。そんな綺麗な円環を閉じながらも、物語は新たな旅立ちの余韻を残す希望に満ちたラストシーンを迎えます。ただただ圧倒されてしばらく席から立ち上がれませんでした。最近、この世界は結局唯物論であり、人間はDNAを運ぶための単なる容れ物にすぎないのではないか。愛だの神だの幸せだといった概念は、所詮は人間が作り出した生きるための勝手な理由付けなのだろうという虚無的な考えに捉われがちな僕なのですが、人間はそんな絶望を乗り越えうる素晴らしい観念(想像力)を持っているということをあらためて教わったような気がします。僕はこの作品から生きる希望のようなものをほんの少し得られました。個人的な好みで言えば『インセプション』の方に軍配が上がるけれど、こちらも映画史にその名を燦然と刻むだろう傑作と言っていい。[DVD(字幕)] 9点(2014-12-01 22:40:05)

1165.  愛する人 《ネタバレ》 「深いお付き合いをするまえに、あなたに話しておきたいことがあるの。私、14歳のときに妊娠して女の子を産んだの。もちろん育てることは出来ず、その子はすぐに養子に出されたわ。以来37年間、一度も会ってないし何処に居るかも分からない。そう、生きているのか死んでいるのかすらも……。でも私、ずっとその子のことを考えて生きてきたわ。私にとって、その一度も会ったことのない子供が生きる支えだった」――。娘を捨てたという十字架を背負いずっと独身で生きてきた気難しい初老の女性カレン。生まれたその日に母に捨てられたというトラウマを抱えずっと独りで生きてきた女性弁護士エリザベス。子供が欲しい一心で養子縁組をしようと奮闘する子供を産めない身体である若い人妻ルーシー。都会の片隅で鬱屈した想いを抱えながら生きる、そんな3人の女性たちの愛と葛藤と救済のドラマを終始淡々と描いた静かなる群像劇。登場人物に特別な人は誰もおらず、皆自分の心の弱さから他人を傷つけたり傷つけられたり、時に自分が何のために生きているのかすら分からなくなりながら、それでも誰もが〝親であり子である〟人々の姿を優しい目線でもって描き出すこの監督の手腕は素直に素晴らしい。主要登場人物のみならず、さらっと描かれる脇役たちのエピソードもそれぞれ印象的で心地良い余韻を残してくれます。この一向にドラマティックでもない普通の人々の地味なお話をただ淡々と描きながらも、最後まで惹き込ませる編集の力は凄いですね。優れた作家が優れた文体でもって物語を語るのと同じように、優れた映画監督は優れた編集力でもって物語を紡ぐということを再認識させられました。母と子とは、必ずしもお互いを幸せにすることは出来ないのかも知れない、それでも母になろうとする女たちの凛とした姿に静かな感動を覚えます。特に、ナオミ・ワッツ演じる孤独な弁護士エリザベスの辿る哀しい運命には涙せずにはいられませんでした。なかなかの良作だったと思います。この美しい作品を少しでも多くの人に観てもらい、児童虐待や育児放棄といった痛ましいニュースが世の中から少しでも減ることを祈ってやみません。[DVD(字幕)] 8点(2014-11-29 21:30:50)

1166.  縞模様のパジャマの少年 《ネタバレ》 ホロコーストという未曾有の狂気が嵐のように拡がり始めた第二次大戦中のヨーロッパ大陸。立派なドイツ軍軍人である父と共に平穏な生活を送る8歳の少年ブルーノは今回、父の転勤によってドイツ郊外へと引っ越すことに。家族と共に新たな地で新生活を営もうとするブルーノ。だが、そこはユダヤ人という〝劣等民族〟を数多く収容する絶滅工場の隣地に建つ官舎だった――。何も知らない無垢な少年であるブルーノは、そこで常に〝縞模様のパジャマ〟を着て有刺鉄線の向こうで暮らす同い年の少年シュムールと出会うのだった。有刺鉄線越しにケーキやボールの遣り取りを交わし、次第に友情を育んでゆく彼ら。だが、過酷な現実がそんなブルーノとシュムールを呑み込んでいく……。20世紀において人類のもっとも愚かな過ちであるホロコーストという悲劇を、8歳の少年の純粋な目を通して描き出すヒューマンストーリー。政治的な背景を徹底的に排除し、何も知らない子供でもそんな悲劇的な史実を理解できるように何度も練られたであろう分かりやすい脚本の力もあり、最後まで引き込まれて観ることが出来ました。主人公ブルーノを演じた少年のナチュラルな演技も巧く、おかげでラストの衝撃の結末にも心を揺さぶられました。うん、素晴らしい良作であった……と、言いたいところなのだけど、観終わって冷静に考えてみると、この衝撃のラストを撮りたいがあまり、脚本の粗が目立つところが玉に瑕でしたね、これ。やっぱりあんなに簡単に収容所に入れちゃあかんでしょ。それに後半10分の展開が急ぎすぎで説得力に欠けます。もっと時間が長くなってもいいので、ブルーノが何度も収容所に進入して冒険を繰り返していたという展開にした方が、2人の友情ももっと深く描けただろうし、衝撃のラストももっと嫌な余韻を――それこそ誰もがもう二度とこんな悲劇を繰り返さないと心から思えるほどの最悪な余韻を残せたであろうに。惜しい。とはいえ、何も知らない子供にも分かりやすくホロコーストの残虐性を描いたドラマとして、なかなか良く出来ていたと思います。多くの子供たちに本作を観てもらい、『アンネの日記』や『ライフ・イズ・ビューティフル』といったさらなる素晴らしい作品を手にとるきっかけになってくれればと切に願います。[DVD(字幕)] 6点(2014-11-25 20:22:08)

1167.  最愛の大地 《ネタバレ》 1992年、ボスニア・ヘルツェゴビナ。画家の卵である若き女性アイラと軍部隊将校である青年ダニエルは、仲の良い恋人同士としてささやかながらも幸せな日々を過ごしていた。だが、突如として民族紛争が勃発。ムスリムであるアイラとセルビア人であるダニエルは、そんな時代のうねりに巻き込まれ図らずも敵同士となってしまう――。収容所に投獄されたアイラは、日夜男たちからの理不尽な暴力とレイプに耐える屈辱的な日々を過ごすことに。かつての恋人を救うため、ダニエルはそんな彼女を軍専属の画家として雇うのだった。束の間の平穏を享受する2人。だが、泥沼化する紛争と民族浄化の嵐の中で、彼らの精神は次第に壊れ始めていく……。国連親善大使でもあるアンジェリーナ・ジョリーが初メガホンを取って描き出すのは、第二次大戦以降最大の人道危機とも呼ばれたボスニア紛争によって、運命を翻弄されるそんな恋人たちの悲劇を描いた重厚な人間ドラマでした。有名俳優は一切起用せず、最後までドラマティックな音楽も流さず、ただひたすら理不尽な現実に翻弄される市井の人々を淡々と追うことで、戦争がいかに人間性を破壊していくかを冷徹に見つめた彼女のそのストイックな姿勢には感服するものがあります。ただ、誤解を怖れずに言うと、そんな圧倒的な現実に対して肝心の物語が弱い。僕が映画に求めるものは、この世界は残酷で理不尽な暴力に満ち溢れていて人間は何処までも愚かで人生とは生きるに値しないのかも知れない、それでも生きていたいと思わせる何らかの〝言葉〟。あるいはラース・フォン・トリアーのように「この世は生きるに値しない」という絶望的な〝言葉〟でもいい、監督が極限まで考え抜いて絞り出した答えがそれなら僕は真摯に受け止めます。対してこの作品には、そんな心に響く〝言葉〟が乏しかった。これでは、遠くない過去に起こった――そして今でも世界の何処かで起こっているだろう残酷な現実をただ再現しただけに過ぎません。今も何処かで声にならない悲鳴を発し続けているだろう社会的弱者を少しでも救いたいというその思想には好感がもてるものの、今作を観るかぎり彼女に映画監督としての才能は乏しいと言わざるをえません。[DVD(字幕)] 5点(2014-11-22 21:29:35)

1168.  ブラック・スネーク・モーン 《ネタバレ》 うだるような熱気が立ち込める、アメリカ南部のとある田舎町。実の弟に妻を寝取られ、以来独りぼっちの寂しい生活を余儀なくされた中年男性ラズ。ある日の朝、彼は顔をボコボコに殴られ道端に捨てられた半裸の若い女性レイを発見するのだった。面倒事を恐れたラズは、思わず彼女を自宅へと連れ帰ってしまう。だが、ラズはこの時知らなかった。彼女は町の男どもに「あいつは近くにあれば木とでもヤってるよ」と噂されるほどのセックス依存症のビッチだったのだ――。「人間は皆、神が世に送り出した宝物」という価値観を信条とする堅物のラズは、そんな彼女を立ち直らせたいと思うあまり、とある計画を思いつく。それは彼女を鋼鉄の鎖へと繋ぎ自宅のリビングへと監禁すると自分の理想とする貞淑な女性へと調教させようというもはや犯罪と言ってもいいものだった。やがて目を覚ましたレイは、自分の置かれたあり得ない状況に愕然とする……。男と見れば誰にでも股を開くようなビッチという汚れ役に体当たりで挑んだクリスティーナ・リッチと、ちょっぴり(いや、かなり?笑)イカれた保守的キリスト教徒を怪演してみせたサミュエル・L・ジャクソン。2人が初競演を果たしたという本作は、鋼鉄の鎖に繋がれ監禁された若い女性と彼女を調教しようという中年男性の緊迫の密室劇というかなりぶっ飛んだ設定のエロティック・バイオレンス・人間ドラマでした。いやー、今まで見過ごしていたことを後悔しちゃうくらい、普通に面白かったですね、これ。冒頭からタランティーノやロドリゲスの影響を色濃く受けたであろう、乾いた映像と格好良い音楽とアクの強いキャラクターたちとわけ分からんヘンテコなストーリー展開にめっちゃ惹き込まれました。てか、サミュエル・L・ジャクソン、あんた、自分では正義感からしてることなのかも知れないけど、これってれっきとした犯罪ですからー!近くに住んでたら一度はお相手してもらいたいロリビッチなクリスティーナ・リッチちゃんも、そんな変態オヤジに調教されてくうちに次第に心を開きそれまでの自分の人生を悔い改めていくっておいおい(笑)。そんな2人の倫理観のぶっ飛び具合がサイコーに楽しかったです。ただ…、レイが鎖から解き放たれる中盤からが失速して、後半はなんだか普通のヒューマンドラマとなってしまったところがちょっぴり残念ではありましたけれども。とはいえこの全編を覆うアクの強~い濃ゆ~い汗臭~い我が道を行く唯一無二の世界観は充分堪能出来ました。うん、面白かった!7点![DVD(字幕)] 7点(2014-11-20 00:51:17)

1169.  50/50 フィフティ・フィフティ(2011) 《ネタバレ》 「母さん、落ち着いて聞いてくれ。実は僕、癌なんだ。2日前に分かった。でも、大丈夫。ネット情報だけど5年後の生存確率は50%、カジノなら楽勝の勝率だよ、きっと生き残ってみせるさ」――。ラジオ局に勤める働き盛りの27歳の青年アダムは、愛する彼女や友人たちと充実した日々を送っていた。だが、ある日彼は、医師から重度の癌を患っていることを知らされるのだった。突然のことに、もちろん動揺を隠せないアダム。それでも彼は、周りの心優しい友人や恋人、セラピストの励ましを糧に、持ち前の楽観的な性格からなんとか前向きに生きようと試みる。施設から捨て犬を引き取ってみたり、思い切ってスキンヘッドになってみたり、自虐ネタで女の子をナンパしてみたり…。だが、そんな気丈に振舞うアダムも、とうとう癌という病と真剣に向き合わざるを得なくなってしまう……。若手脚本家が実際に体験したそんな重い事実を、反対に終始軽いタッチで描いた闘病物語。うん、評判どおりなかなか良かったですね、これ。まるでポップアイドルグループのPVのようなセンス溢れる映像と軽快な音楽でこんな暗いお話を、ちゃんと現実の理不尽さを直視しながらも最後まで小気味よく見せきるこの監督と脚本家の手腕は素直に素晴らしいと思います。若い女性カウンセラーとの恋愛描写もちょっぴりご都合主義っぽかったけれど、医師と患者との間で揺れ動く彼女のいじらしい姿にはけっこう胸キュンでした~。反対に、あの浮気しちゃう主人公の彼女のいかにもビッチって感じの描き方は、脚本家の相当の私怨が込められてますね(笑)。なんだか、同じくゴードン・レヴィット主演の男目線ラブストーリーの佳品『(500)日のサマー』を思い出しちゃいました。総じて、世に溢れ返る薄っぺらいお涙頂戴の闘病物語とは一線を画する、軽さと重さの間を絶妙のバランス感覚で描いた人間ドラマの秀作であったと思います。ただ…、主人公の親友であるカイルがあまりにもデリカシーのないやつ(こいつ、ホントに女とHすることしか考えてねーんじゃないのって何度も突っ込んじゃったし!笑)で、いまいち僕の好きになれないタイプのキャラクターだったんで、そこだけちょっぴりマイナスっす。[DVD(字幕)] 6点(2014-11-17 18:01:49)(良:1票)

1170.  フローズン・グラウンド 《ネタバレ》 「奴は、羊を狙う狼のように次の娘に迫っている。そして犯し、必ず殺す。娘たちには一刻の猶予もない。だから、部長、捜査令状をくれ、今すぐに」――。1983年、アラスカ州。何人もの娼婦が誘拐され残虐な方法で殺されて死体となって発見されるという猟奇殺人事件が多発していた。そんな中、監禁されていた17歳の少女シンディが自力で脱出し警察署に保護される。彼女の証言を元に、すぐに容疑者としてハンセンという男が浮かび上がるのだが、有力な証拠は見つからなかった。そんな困難な事件を担当することになった、正義感の強いハルコム刑事。捜査を進めていくうちにハンセンが犯人であるという確信を得ていく彼だったが、まるで蛇のように狡猾な犯人はするりするりとそんな捜査の手を潜り抜けてゆく。やがて、とうとうシンディの元にも再び犯人の魔の手が迫るのだった…。実際にあった事件を基に、刑事と猟奇殺人犯、そして社会から疎外され孤独に生きてきた娼婦の決死の攻防をスリリングに描いたサイコ・サスペンス。最近、あまりにもトホホな作品への出演が相次いでいるニコラス・ケイジ&ジョン・キューザックという二大トホホ俳優が競演といういうことで、あまり期待せずに観たのだけど、結果はやっぱり「トホホ…」でしたね、これ。実話を基にしたから仕方ないのかもしれませんが、とにかくストーリーが分かりづらい!容疑者であるハンセンが普段何をしている人で家族関係がどうで心にどんな闇を抱えているのかさっぱり分からないから、こういう猟奇殺人モノに不可欠な要素“身も凍るような恐怖”が一切感じられず不満爆発!事実を追うだけなら単にドキュメンタリーや再現VTRを見ればいいのだし、少なくとも映画という芸術表現でもって人様からお金を貰おうとするのなら、映画として最低限のクオリティは確保してほしい。最後に表示される、実際に殺された少女たちもこれでは浮かばれないでしょうね。[DVD(字幕)] 4点(2014-11-14 00:38:19)

1171.  オーガストウォーズ 《ネタバレ》 それはたった一度の過ちだった――。2008年、次第に悪化するロシアとの緊張から不穏な空気が漂う小国グルジア。ロシア軍兵士である夫と離婚し、シングルマザーとして最愛の一人息子と暮らすクセーニアは、彼氏である会社社長と結婚を巡る重大な局面を迎えていた。だが、息子チョーマは極度の空想壁により、いつも面倒ばかりを起こす問題児だった。「たった一日だけなら…」と、彼氏との婚前旅行のために、チョーマを元夫が赴任するグルジアのロシア軍駐屯地へと預けることにしたクセーニア。それが、親子の絆を断ち切るほどの過ちになるとも知らずに…。グルジア紛争という実際にあった戦争を基に、決死の覚悟で愛する息子を追い求める母親のドラマを、憧れのヒーローである巨大ロボットを夢見る少年の虚実入り混じる視線を絡めて描き出す軍事アクション。予告編のそのごりごりのロボットものっぽい内容を見て、きっとこれは「ロシア版トランスフォーマー」なんだろうなーと、昔からそんなロボット系が苦手な僕はずっと敬遠してきた本作なのですが、実際のグルジア紛争を背景にしているということに興味を惹かれて今回鑑賞してみました。冒頭から、そんな巨大ロボットは主人公である少年の空想の中だけにしか出てこず、あとはずっとリアルな戦場描写が延々と続き、「あれ?これってもしかして僕のこよなく愛する『パンズ・ラビリンス』のロシア・少年・ロボットバージョンなの?!」と否が応にもテンション上がっちゃいました。でもね~、そんな何の力もない少年が目の前の理不尽で残酷な現実にただ想像力のみで立ち向かうという設定が活きてくるのは後半15分だけってバランス悪すぎじゃないっすか、これ。これでは、この魅力的な設定がなんだか蛇足となってしまった感じがして僕はいまいち乗り切れませんでした。それに、ロシア軍全面協力だから仕方ないかも知れませんが後半の臆面もないロシア軍礼賛描写にも辟易です(激しい銃撃戦の後に、クセーニアが発する「これで給料幾ら貰ってるの?」という問いに、ロシア兵が「大した額は貰っちゃいねえ」と答えるというクサい演出にはちょっぴり失笑)。でもまあ、ハリウッドも似たようなことしてるからおあいこかな(笑)。結論。あくまでリアルな戦争アクションにしたかったのか、想像力豊かな子供の目で描くファンタジーにしたかったのか、僕にとってはなんとも中途半端な印象の強い作品でありました。[DVD(字幕)] 4点(2014-11-11 19:13:14)

1172.  オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主 《ネタバレ》 僕の名前はオッド・トーマス。何処にでも居る、いたって普通のフリーターだ。セレブでもないし、その子供や恋人ってわけでもない。でも、僕の生活はほんの少し変わっているんだ――。死者の霊が見えるという特殊な能力を持つ青年“オッド(奇妙な)・トーマス”。持ち前の正義感から、彼はそんな能力を活かして世の未解決殺人事件を解決へと導き、幼馴染みの超可愛い彼女ストーミーともラブラブという、とっても充実した毎日を過ごしていた。だが、ある日、血の匂いに惹き寄せられる死神ボダッハが大量発生したことをきっかけに、オッドとストーミーは恐ろしい大量殺人計画へと巻き込まれてゆくのだった…。これまで肩の凝らない良質のエンタメ映画をいくつも撮ってきたスティーブン・ソマーズ監督が新たに挑んだのは、そんなシンプルな青春ホラーアクションでした。冒頭から始まる、この監督らしい小気味の良いスピーディーな展開と軽快でノリのいい音楽、死神や霊たちの適度なグロ描写、そして主人公オッドの青臭~いモノローグでぐいぐい引っ張る二転三転するストーリー展開等々なかなか面白かったっすね、これ。まあ、ベタっちゃあベタですけど、この手の中2病的青春映画には珍しく主人公が初めから妄想力爆発なぐらい超リア充なとこはけっこう新鮮だったかも。特に、オッドの彼女ストーミーを演じた女の子が滅茶苦茶可愛いくてしかも性格もスタイルも抜群(そのホットパンツから覗くすらりと伸びた両脚なんてめっちゃキュートで、思わず「その脚で僕の首を絞めてくれたならもう霊になってもいいかも!」なんてアホなことを考えてみたり…笑)で、そんな彼女とますますリア充爆発しちゃうクライマックスなんか観ていてちょっぴり腹立つくらいだったのだけど、最後の意表を突くラストシーンには完全にやられちゃいました。まさか、こうくるとは…。うーん、切ない!!というわけで、ちゃんとツボを押さえた楽しいアクション映画でありながら、最後は意外にも切ない余韻を残してくれる良質のエンタメ作品であったと思います。うん、7点![DVD(字幕)] 7点(2014-11-09 00:43:13)

1173.  ムード・インディゴ うたかたの日々 《ネタバレ》 フランス、パリ。豊富な財産を糧に悠々自適な生活を送るコランの家には、不思議なものが溢れかえっていた。蛇口を捻ればは水の変わりにうなぎが飛び出し、呼び鈴を押せばベルから足が生えて部屋中を這い回り、小さなネズミ人間がそこらじゅうを闊歩する…。でも、それはちっとも不思議なことじゃない。何故なら、パリ全体がそんな摩訶不思議な現象で溢れているのだから――。ある日、そんなコランは友人のパーティーで出会った美しい女性クロエと瞬く間に恋に落ちるのだった。様々な困難を乗り越えて、やがて結ばれる2人。だが、クロエの肺に睡蓮の種が迷い込んだことからそんな幸せいっぱいの彼らの生活に暗い影が忍び込むのだった…。マジカルでポップ、独創的でシュール、そんな唯一無二の摩訶不思議な映像で描き出される、ストーリー自体はいたってシンプルなラブストーリー。僕のこよなく愛する「エターナル・サンシャイン」を撮ったミシェル・ゴンドリー監督が新たに挑んだのは、そんないかにも彼らしい冒険心に満ち溢れた前衛的な作品でありました。うーん、この監督の作品って観れば観るほどやっぱり「エターナル~」は奇跡の一品だったんじゃないかという思いを強めていたのですが、本作を鑑賞してみてそんな僕の疑念は確信へと変わっちゃいました。何が駄目かって、この全編を彩るまるで監督が自分のセンスをひけらかすような映像の数々に必然性が一切感じられないこと。たとえば「エターナル~」では、そのシュールな世界観は脳内記憶消去というプロセスの中で主人公が見る想念の世界を映像化したという大前提があったからこそ素晴らしい作品として成立していたのです。ところが、残念ながら本作ではその基本となる前提が成立していないから、一向に作品世界に入り込めません。それに監督の独り善がりとも思える、意味不明な映像も多数あって僕はちょっぴりイライラさせられちゃいました。例えるならアリスの出てこない不思議の国の物語を延々と見せられただけで、観客が感情移入できる登場人物が一人も出てこないなんとも締まりの悪い作品でありました。ミシェル・ゴンドリー監督、前衛的な作風へとアグレッシブに挑戦するのもいいけれど、今度はちゃんと中身のある充実した作品も撮ってもらいたいものです。あなたは、かつて「エターナル・サンシャイン」という傑作を創った人なのだから。[DVD(字幕)] 4点(2014-11-07 21:18:57)

1174.  グリフィン家のウエディングノート 《ネタバレ》 女にだらしない禁酒中の家長をはじめとするグリフィン家には、彼に負けず劣らず個性的なメンツばかりがそろっていた。そんなグリフィン家の子供の一人が結婚することになり、相手方の両親をも含めて豪華なディナーの席を設けたのだったが、様々な問題を抱えた家族が一堂に会したものだから、さあ大変。果たして、グリフィン家は無事に結婚式を披くことが出来るのか?豪華な役者陣をそろえて、そんなグリフィン家の騒動を軽妙なタッチで描くファミリー・ドラマ。普段はこういういかにもぬるそうな作品ってほとんど観ないのだけど、ロバート・デ・ニーロ、ロビン・ウィリアムス、スーザン・サランドンを初めとするもう本当に豪華な役者陣の競演に惹かれて、今回鑑賞してみました。結果は…、「やっぱ、観なくてもよかったな…(笑)」。とにかく登場人物がやたらと多いのに、僕の理解力が乏しいせいか、それともこの映画の見せ方がお粗末なだけなのか、これが誰で誰とどういう関係で誰との愛憎に悩んでいるのか、最後までさっっっぱり頭に入ってきませんでした。それにやたらと下品な下ネタが多いのにも辟易っす。松茸やらキャビアやら松坂牛やら超豪華な食材を集めたのに、調理法が分からずそれをただ鍋で煮込んだだけの酷い代物を、ただ小奇麗に盛り付けただけの料理を食べさせられたような、そんな残念な映画でありました。余談だけど、本作でのロビン・ウィリアムズさん。ちゃんと演技はしているものの、いかにも精彩がなく目付きも虚ろでその後の自死を予感させる鬱状態が垣間見えてなかなか痛々しかったですね。彼の遺作が、こんなつまらない映画となってしまったことがつくづく残念でなりません。ご冥福をお祈りします。[DVD(字幕)] 3点(2014-11-03 12:54:20)(良:1票)

1175.  エンダーのゲーム 《ネタバレ》 「姉さんへ。僕はこれから敵の母星に程近い訓練基地に向かいます。そこで最終試験を受け、合格すれば、僕は侵攻艦隊を任されることになります。本当は嫌だけど、戦争は避けられないでしょう。姉さんの無事を祈っています。エンダーより」――。凶悪な異星生命体“フォーミック”の突然の襲撃により、滅亡の危機へと陥った未来の地球。人類は偉大な指揮官の犠牲により、辛うじて敵を追い返すことに成功するのだった。だが、戦力を回復した敵の再襲撃が近いことは明白だった。人類は世界中から天才児を集め、幼いころから英才教育を施し、彼らに希望を託したのだった。その中の一人である聡明な少年エンダーは、訓練施設内で様々な葛藤を抱えながらも仲間たちと共に少しずつ成長してゆく…。数々の権威ある賞に輝くベストセラーSF小説を、ハリソン・フォード&ベン・キングスレー主演で映画化したごりごりのSF作品。徹底的に拘りぬいて製作されたであろう、その美麗な映像は確かに見応えありました。冒頭の訓練施設内での、「フルメタルジャケット」のハートマン軍曹へのオマージュとも言える描写が象徴するように、SFの枠を借りながらも戦争がもたらす人間性の破壊とそれでも戦争を続けざるを得ない人間の宿命を寓意的に描き出す、その視線の鋭さには感服するものがあります。そして、この全編に横溢する半端じゃない緊張感にも素直に圧倒されました。ただ…、あくまで個人的な傾向なのだけど、僕はこういう登場人物誰一人として最後まで心の底から笑わず、ずっと眉間に皺を寄せて、延々とクソ真面目に任務を遂行するような超クソ真面目な作品って個人的に苦手なんすよね~。この子供たちっておならとかしないんですかね(笑)。それに、終盤辺りまで一向に敵と開戦しないものだから「あんたら何時まで訓練しとんねん!」と突っ込みそうになったら、最後に「実は…」という展開を見せるところも僕は「はぁ、マジで!」って感じでした。そこのところを許容できるかどうかが、今作の評価の分かれ目でしょうね。でもまあ、通好みのハードなSF作品として、「スタートレック」や「エヴァ」シリーズが好きな人は充分楽しめると思います。主人公エンダーを演じた少年の目力も凄かったっす。[DVD(字幕)] 6点(2014-11-02 00:49:12)

1176.  キャリー(2013) 《ネタバレ》 ねえ、ママ、どうして生理のこと教えてくれなかったの?あたし、みんなに笑われたんだよ。それとママがいくら反対したって、あたし、絶対にプロムに行くわ。たとえ、どんな目に遭おうとも――。狂信的なまでに保守的で厳格な母親に大事に大事に育てられた大人しい少女キャリー。クラスメートとうまく打ち解けることが出来ない彼女は、周りからの理不尽なイジメにずっと耐える生活を強いられていた。だが、キャリーには誰も知らない恐ろしい力が備わっていたのだった。そして…、プロムの夜、いじめっ子の思いついた些細なイタズラが恐ろしい惨劇を招くのだった…。スティーブン・キングの伝説のデビュー作をブライアン・デ・パルマが映画化した名作の誉れ高い作品を、クロエ・グレース・モレッツという人気若手女優主演で現代風にリメイクした青春モダンホラー。デパルマ版の過去作はずっと昔に観たという記憶はあるのだけど、僕の感性にはいまいち嵌らなかったのか、その内容はほとんど憶えていない状態でこの度鑑賞してみました。うーん、観終わってすぐの率直な感想を言わせてもらえば、「無難」という言葉に尽きると思います。ストーリーの盛り上げ方も、映像の見せ方もキャラクターの描き方も全てが予想の範囲内の及第点クラスなんですよね。だから、クライマックスのキャリーの暴走もカタルシスがあってけっこう見応えあるし青春ドラマとしてもなかなかセンスを感じるし決してつまらなくはないんだけど、こうもう一つ何かが足りないという印象が強いんですよ。あのジュリアン・ムーア演じるお母さんがもっとぶっ壊れてて一度見たら忘れられないくらい強烈なキャラクターだったりだとか、クライマックスの惨劇ももっとやり過ぎなくらい血みどろグチャグチャにしちゃうとか、そんなデパルマ版を少しでも追い越そうというようなエッジの利いた演出があればもっと良かったと思うんですよね~。クロエちゃんも頑張ってるけれど、彼女はもっと元気もりもりキャラを演じたほうがその魅力を発揮できると思います。という訳で、まあそこそこ面白いかなって感じっすね。うん、6点![DVD(字幕)] 6点(2014-11-01 21:29:55)

1177.  キル・ユア・ダーリン 《ネタバレ》 自分の好きなものを葬り去れ!これまでの退屈な詩や小説なんか全て切り裂いてしまえ!その向こうに新たな文学の地平が拓けるんだ――。1943年、偉大な詩人を父に持つ若き学生アラン・ギンズバーグは、旧時代の体制や芸術などに反抗的な目を向ける青年ルシアンと出合う。彼を取り巻く芸術家や作家志望の若者たちと、酒やドラッグに溺れる刹那的な日々へと身を投じるアラン。いつしか同性愛にも似た友情を育んでゆく2人だったが、ある日、突発的な悲劇が訪れるのだった…。実話を元に、戦後アメリカ文学の一翼を担うことになる作家たちの若かりし日の破滅的な友情と挫折を濃厚に描いた青春ドラマ。僕が今もっとも注目している若手俳優ディン・デハーン君と、大ヒット作であるハリポタシリーズも終わってしまいただいまちょっぴり迷走気味(?)のラドクリフ君が競演ということで、今回鑑賞してみたのだけど、いやー、つまんなかったっすね~、これ。とにかく何がやりたいのかさっっっぱり分からない登場人物たちが繰り広げる、何が言いたいのかさっっっぱり分からないストーリー展開に終始睡魔が…。特に、図書館に忍び込むシーンの意味不明っぷりにはびっくりっす。挙句、最後に表示される「彼らはこの後、こんなにも大活躍したのだよ」と言わんばかりのテロップを読んで僕は「知らんがな!!」と思わず叫びそうになっちゃいました(笑)。この作品に携わった全てのスタッフたちに一言忠告して差し上げたい、「既存の映画という枠組みを葬り去ってやる!と意気込むのはいいけど、その前にもっと映画作りの基本もちゃんと勉強してください!!」。野獣のように鋭い目つきのデハーン君の相変わらずの格好良さに免じて+1点![DVD(字幕)] 4点(2014-11-01 13:33:57)(良:1票)

1178.  アメリカン・ハッスル 《ネタバレ》 でっぷりとしたお腹にざんばらハゲを隠すためのバレバレの一九分けヘアがトレードマークの生粋の詐欺師アーヴィン。彼の仕事上でも私生活でも名実共にパートナーである男にだらしない女イーディス。自分の出世のことしか頭にない自己中心的な俗物FBI捜査官リッチー。鬱からくる情緒不安定でネイルアートだけが生き甲斐の現在別居中のアーヴィンの妻であるロザリン。一癖も二癖もあるそんな彼らの本音と建前、嘘と真実、愛と憎しみが複雑なタペストリーのように絡み合うコメディタッチの社会派ドラマ。このデビット・O・ラッセルって監督、前々から感服しいてたことだけど役者を使うのが実に巧い!!「あんた、何処まで肉体改造したら気が済むねん!」ってくらい今回も役者魂を見せ付けてくれる胡散臭さ爆発なクリスチャン・ベール、絶対に友達になりたくない“ザ・やな奴”を見事に演じたブラッドリー・クーパー、いつおっぱいポロリするか分からないような露出狂ファッションで常に男を振り回すビッチを生々しく演じたエイミー・アダムス、関わり合いになりたくないけど客観的に見る分には面白いイタいお騒がせ女ジェニファー・ローレンス…、他にもほんのチョイ役ながら相変わらず存在感抜群のデ・ニーロやらおバカな市長役のジェレミー・レナーやら、そんな豪華な役者陣が織り成す見事な熱演の数々は見応え充分でした。ただ…、ストーリー的にちょっと弱いかな~と感じたのも事実。実際にあった事件を元にしたからか、いまいちカタルシスに欠けるという印象が拭えない作品でもありました。個人的には、同監督の前作「世界にひとつのプレイブック」の方がドラマティックで好きですね。それにこの監督って良くも悪くも優等生なんですよね~、作品としてもう少しアクの強さみたいなものが僕は欲しかったですかね。それでも、最後まで安定して観ていられるエンタメ映画の佳品に仕上がっていたと思いまーす。[DVD(字幕)] 6点(2014-10-31 23:39:50)(良:1票)

1179.  ホビット/竜に奪われた王国 《ネタバレ》 ロードオブサリングの感動再び!と勢い込んで観たものの、確かに映画としてはある一定の水準に達してはいるのだけど、さすがに原作のボリュームを考えるとこちらも同じような枠組みで三部作にするにはやっぱり無理があったんじゃ…、と思わせた前作。――今回、続編である本作を鑑賞してみて、そんな僕の懸念は残念ながら確信へと変わっちゃいました。壮大な世界観、世界の存亡を懸けた血湧き肉踊る躍動的なストーリー、個性豊かな魅力に満ち溢れたキャラクターたち…。前シリーズに横溢していたそんな魅力があらゆる面でスケールダウンしちゃってますって、これ。やっぱりスピンオフという位置づけで一作だけですっぱり終わらせちゃうか、それとも90分位の尺で三部作としちゃうか、どちらかにしたほうが良かったと思います。もう、今作の中盤からクライマックスに掛けての半端じゃない「頑張って引き伸ばした感」は観ていて痛々しくさえありました。そして、主人公ビルボをはじめとする髭もじゃドワーフたちにほとんど魅力が感じられないせいでいまいちストーリーにのめり込めないってトコがもう致命的ですね。冒頭から襲い掛かってくる巨大毒蜘蛛の群れだとか樽を活用したドワーフたちの脱出シーンだとか、細部の映像のクオリティの高さは相変わらず良かっただけに残念っす!!最終作が公開されればもちろん観るけれど、うーん、今からちょっと期待薄な予感が…(笑)。でも、一縷の望みにかけて次作を待ちたいと思います。頑張れ、ピーター・ジャクソン!![DVD(字幕)] 5点(2014-10-31 19:40:13)(良:1票)

1180.  ウルフ・オブ・ウォールストリート 《ネタバレ》 貧しい母子家庭に育ったものの、持ち前のバイタリティと人を惹きつけるカリスマ性のみを武器に、金とハッタリと欲望だけがものを言う金融取引の世界でただひたすらのし上がってゆき、いつしかウォール街の狼と呼ばれるようになった男、ジョーダン・ベルフォート。だが、その私生活は酒とドラッグとセックスが渦巻く欲望の海にただひたすら溺れていくかのような破天荒なものだった――。栄光と挫折を味わった実在の金融マンがその半生を赤裸々に綴った自伝を元に、巨匠スコセッシが若き盟友ディカプリオと再びタッグを組んで描き出したエネルギッシュなサクセス・ストーリー。いやー、アメリカってホントに法治国家なんですか(笑)。映画が始まって、ただひたすら3時間、金と女とドラッグが乱れ飛ぶ乱痴気騒ぎが延々と繰り広げられて、もうお腹いっぱいっす!彼らに実際に騙されて資産を失った被害者とかがこれを観たら、もう怒りのあまり血管が切れちゃうかもね。それにしても、もう70を越えているはずのスコセッシ御大がこんなにも猥雑で下品で胡散臭くて、それでも生きるエネルギーに満ち溢れたつわもの共の宴を最後までテンションMAXに描き出すその衰えない手腕はやっぱり賞賛に値すると思います。かつて巨匠と呼ばれた監督たちが、最後はその晩節を汚すような作品を遺して逝ったことを思えば、彼のこの無尽蔵のバイタリティはホント凄いですね。そんなスコセッシの要求に、もはや名実共にハリウッドトップクラスの俳優であるディカプリオが見事な熱演でもって応えていて、最後まで充分見応えのある作品に仕上がっておりました。これまでのスコセッシ&ディカプリオコンビの作品の中でベストワークと言えるほどのクオリティを誇っていたと思います。それにしてもこのベルフォートって男はなんと愚かで馬鹿でイヤらしくて最低のゲス野郎なのに、どうしてこんなにも魅力的なのでしょう。この映画で彼の半生を辿ると、人間ってもっと馬鹿で愚かになってもいいんだと何故だか生きるエネルギーを貰えたように感じます。少なくとも、「情熱と努力と奉仕の精神でこんなにも会社を大きくしました。だから、みんなも希望を捨てずに頑張りましょう」という世の多くの会社社長たちの建前だらけの胡散臭い演説よりは彼の言葉の方が信じられるような気がします。…あれ、もしかして自分もいま、騙されかかってる?(笑)。[DVD(字幕)] 8点(2014-10-30 06:48:13)(良:2票)

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