みんなのシネマレビュー |
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1302. エンター・ザ・ボイド 《ネタバレ》 俺の名前はオスカー、大きな声じゃ言えないが東京でヤクの売人をしてる。狭っくるしいファッキンアパートで可愛い妹と同居中だ。言っとくが俺は決してジャンキーじゃないぜ。だが、今夜は運が悪かった。友達にLSDを渡そうと〝ボイド(無)〟って名のバーへと出向いたら、そこに日本の警察が踏み込んで来やがった。ファッキンジャップ!!急いでトイレへと逃げ込んだものの、奴ら、俺がちょっと凄んだだけでいきなり銃を撃ちやがった。俺は糞汚いトイレで糞まみれになって死んじまったのさ――。猥雑な熱気が濃厚に漂う夜の東京を舞台に、フランスの鬼才ギャスパー・ノエが新たに挑んだのは、そんなセックスとドラッグにまみれた一人の青年の精神世界を疾走感溢れるサイケデリックな映像と音楽とでエネルギッシュに描き切ったトリップムービーでした。確かに、最後まで延々と続く「これって、どうやって撮ったんだろー」って感じのひたすらカッコ良い映像の数々には素直に圧倒されました。POVよろしく、とある一人のジャンキーの主観目線で描かれたトリップ感満載の冒頭から、射殺されて幽体離脱し魂だけの存在になってしまった彼が彷徨うことになる東京の猥雑な夜の風景、そしてそこに走馬灯のように甦る決して幸せだったとは言えないこれまでの彼の人生……、モチーフとなるチベット仏教の輪廻転生思想と有機的に絡み合い、唯一無二の映像世界を構築しているところは確かに評価に値すると思います。ただね、この監督の作品って毎回そうなんだけど、良くも悪くも映像だけなんだよね~。観終わって、冷静に考えてみたらけっこう単純で浅~いストーリーだったなぁってすぐに実感しちゃうトコが玉に瑕(笑)。それに時間がちょっと長いかなってところも若干気になりました。90分くらいでサクッと纏めてくれた方がより切れ味鋭い作品になったような。とはいえ、昨今のぬる~いエンタメ映画ばかり製作しているハリウッドや日本映画界にガツンと喝を入れるような刺激に満ちた映像の数々は充分堪能させてもらいました。最後までテンションの衰えない、実際にLSDでトリップしたような気分にさせてくれるこの浮遊感、ほんとサイコーっす!だからって、ドラッグに手を出しちゃ駄目だぜ、みんな。[DVD(字幕)] 6点(2014-09-04 07:56:52) 1303. ラストタンゴ・イン・パリ 《ネタバレ》 ここでは名前は必要ない。君の名前なんか知りたくもない。どこに住み、どこから来るかも何ひとつ知りたくない。君も俺もここでは名なしだ。外の世界のことは全て忘れてこの部屋だけで肉体を重ね合おう――。長年の不倫の末に妻に自殺され、絶望の淵に沈み込んでいたポールは、ある日、とある無人のアパルトマンで可憐な若い女性ジャンヌを衝動的に犯してしまう。ところが何ごともなかったかのように別れる2人。数日後、またもやその部屋を訪れた2人は、お互いの身分を隠し、まるで生きている実感を得ようとでもするようにただひたすら性愛の海に溺れてゆくのだった…。若き日のベルトルッチがメガホンを取り、その大胆な性描写で内外にセンセーションを巻き起こした、ある一組の男女の刹那的な交流を濃密に描き出した文藝作品。ベルトルッチって昔からけっこう好きな監督の1人で、彼がその名を広く知られることになるきっかけとなった今作にも、確かにその気品に満ちた上品で美しい映像や音楽の数々、永遠に分かり合えない男女の心の機微に鋭く迫った深い視線等、後に開花する彼の才能の萌芽が随処に感じられて素直に良かったとは思うのですが、うーん、なんだろう、僕はそこまで心に響くものを感じませんでした。たぶん理由を考えてみると、それは主人公のこの男女にこれっぽっちも魅力を感じなかったからだろうと思う。主人公が街で見かけた若くて可愛い女の子をレイプしたら彼女が快感に目覚めちゃって婚約者が居るにもかかわらずその肉体とテクにオチちゃったって…。あんた、そんなエロ漫画じゃないんだから(笑)。ちょっと男の妄想が酷すぎますって、これ。それに、タイトルでもある最後のタンゴ大会に酔って無理やり乱入しちゃう2人のくだりも、いかにも傍迷惑な酔っ払いって感じで見ていてちょっぴり不愉快でした。とはいえ、この全編に漂う、いかにもベルトルッチらしい気品と情熱が絶妙なバランス感覚で同居しあう高尚な雰囲気は素直に良かったですけれど。要は、脚本がマズかったということなのでしょうね。あと、どうでもいいことなのですが、主演女優の方のアンダーヘアがアホみたいに濃かったのが鮮烈に印象に残ってしまいました。ウニが貼り付いているのかって思ったぞ(笑)。[DVD(字幕)] 5点(2014-08-24 12:23:36)(笑:1票) 1304. マリーゴールド・ホテルで会いましょう 《ネタバレ》 マリーゴールドホテルにようこそ。英国式の伝統建築で建てられたここでは、インドでの優雅で洗練されたバカンスを約束します――。亡くなった夫の借金を返すため家を売ったイヴリン、子供のころの親友に会って謝罪したいグレアム、長年の夫婦生活の末に酷い倦怠期を迎えているダグラスとジーン、足を骨折し手術を受けようとしている酷い人種差別主義者ミュリエル、生涯現役を自任しパートナー探しに余念がないノーマン、息子夫婦と上手くいかず家を飛び出してきたマッジ……。人生の終盤を迎えインドの郊外に建てられたという豪華ホテルへとやって来た彼ら。だが、そこはそんな魅力的な写真とは真逆の寂れたホテルだった。「広告と全然違う。こんなの、詐欺だわ!」当然のようにそう抗議するものの、支配人である若いインド人に強引に説得され仕方なくチェックインする彼ら。そんな薄汚れたホテルでいろいろと不満を覚えながらも、みんなで共同生活を送るうちに彼らは次第に第二の人生を謳歌していく……。初老の域に差し掛かり、自分のこれまでの人生を見つめ直すことになる様々な人々の生活を、洗練された美しい映像と音楽で瑞々しく描き出すハートウォーミングなコメディ作品。ここ最近、ハリウッドでは初老の人たちの第二の青春?ブームが続いてますね。「恋におちたシィクスピア」で有名なジョン・マッデン監督が新たに挑んだのも、そんな若いエネルギーに満ちたインド社会に触れ再び生きる活力を得ていく初老の男女を軽妙なタッチで描いたヒューマンドラマでした。個性豊かなキャラクターたちが繰り広げる終始ほのぼのとしたお話はなかなか楽しい。ただ、ちょっと軽すぎますかね、これ。あくまで個人的な好みなのだけど、こういう登場人物誰もがみんな最後はちゃんと幸せになって終わる薄味作品ってあまり好きではありません。確かに、映画としてよく出来ているとは思うのですが、「やっぱり人生って幾つになっても素晴らしい!」というこの作品のテーマはちょっと凡庸に過ぎる。理不尽で残酷な現実に翻弄され人間として壊れてしまった人(インドのスラム街にはそんな人がたくさん居るはずです)なんかを、その片鱗でもいいのでもう少し直視する視線があればより物語に深みが増したと思うのに。それにこの全編に漂う、いかにも英国風のお上品な雰囲気にもいまいち馴染めませんでした。これはもう好みの問題なので致し方ない。[DVD(字幕)] 5点(2014-08-22 12:08:20) 1305. 許されざる者(1992) 《ネタバレ》 現代ハリウッドの歴史と共に生きてきた、もはや生ける伝説クリント・イーストウッド監督。その代表作と呼ばれるものはだいたい観てきたし、その何作かは僕の感性に少なからざる影響を残してきたのだけど、この数々の賞に輝く彼の代表作だけはずっと未見のままでした。理由は単純、そもそも僕が西部劇が苦手だから……。でも、そんな個人的理由だけでもしかしたら大傑作を未鑑賞のまま一生を終えるかもしれない(大袈裟?笑)という懸念を払拭するため、この度鑑賞。いやー、さすがイーストウッド、シブいですね~。まだ俳優として脂の乗り切っていたころの彼が演じる主人公は、荒野に建てられた一軒の寂れた小屋で子供と共に平凡に暮らす初老の男ウィリアム・マニー。しかし、彼の元を一人の若い賞金稼ぎが訪ねてきたことから、マニーの隠された過去が明らかとなる。彼はかつて無法の限りを尽くした伝説のガンマンだったのだ。そんな今や落ちぶれてしまった老元ガンマンの過去を回想形式で描くのかと思いきや、そこには一切触れず、あくまで金のために再び銃を手に取り賞金の懸かった悪辣なカウボーイを殺すために荒野をゆく彼の姿を淡々と追った、シンプルでありながら深いストーリーは見応え充分でした。賞金首である女の顔を切り刻んだカウボーイよりも、強大な権力欲を糧に街を支配する極悪非道な保安官を最大の悪役に設定したところもお話に奥行きが拡がり良かったです。権力維持に関しては惜しみない情熱を注ぐ保安官、愛する妻の献身的な尽力により立ち直った老ガンマン、人を殺すことを単純に格好良いと思う血気盛んな若者、金のことしか頭にない娼館の経営者、そして男の暴力に怯え娼婦として生きざるをえない女たち……。それぞれに許されざる者がいて、誰もが単純に正義でも悪でもないという、そんな登場人物たちの深い人物造形はさすがイーストウッド。人は誰しも自分本位なエゴを抱え、その感情のぶつかり合いの果てに様々な悲劇が繰り返されるという、現代社会にも通じる今作のテーマは、それまでの勧善懲悪の娯楽西部劇への彼なりのある種の総括ともとれる。やっぱり僕の個人的に苦手なジャンルである西部劇ということで彼の数々の名作群の中では若干落ちるとはいえ、素直に観てよかったと思える良作と言っていい。[DVD(字幕)] 8点(2014-08-20 10:38:38) 1306. 17歳のエンディングノート 《ネタバレ》 末期の白血病を患う17歳の少女テッサ。懸命な治療の甲斐も空しく、彼女はとうとう主治医から余命数ヶ月であることを告げられるのだった。深い哀しみの底に沈む彼女だったが、それでもなんとか前向きに生きようと死ぬ前にしたいことのリストを作る。「無免許だけど車の運転」「いけないことだけど万引きしてみたい!」「なんとかして空を飛ぶ」「とことん酒を飲んで酔っ払う」「ドラッグだってやっちゃう!」「そして誰とでもいいからセックスをする」――。大の親友と共にそんな残された日々を刹那的に過ごすテッサだったが、ある日、障害のある母親と一緒と暮らす青年アダムと出逢う。純朴で心優しい彼に次第に惹かれてゆくテッサ。しかし無慈悲にも彼女の病はどんどんと悪化の一途を辿ってゆく……。過酷な運命に翻弄される17歳の少女の葛藤と青春、そして切ない恋心を瑞々しく描き出す青春ラブストーリー。最初こそ、そんな彼女のいかにも自己憐憫にまみれた卑屈っぷりにけっこうイライラさせられたりもしたのだけど(テッサが友達と笑いながら万引きするシーンはいくらなんでも不愉快千万!)、それでもアダムと出逢ってからのテッサが様々な葛藤を抱えながらも少しずつ心を開いてゆく繊細な心理を詩的で美しい映像と音楽で描く後半部分はけっこう良かったですね。もうすっかり成長してしまったダコタ・ファニングちゃんが、難病に苦しむ可憐な少女を頑張って演じていて、そこも素直に好感持てました。ただね~、さすがにちょっとベタ過ぎじゃないっすか、これ?実話を元にしたかどうか知りませんけど、このいかにも「不幸な自分に酔いたい若い女の子たちの願望に応えてあげました」って感じの超ベタベタなストーリーには、もうすっかりおじさんとなってしまった僕としては観ていてちょっぴり(いや、かなり?笑)気恥ずかしくなっちゃいました。もう少し大人目線なシーンがあっても良かったように思います。よくよく考えたらけっこう悲惨なお話なのにあくまでポップで明るい雰囲気を最後まで維持した、この監督のセンスはなかなか良かっただけに惜しい作品でありました。[DVD(字幕)] 5点(2014-08-19 00:54:00) 1307. コロニー5 《ネタバレ》 ここは雪と氷に閉ざされた絶望の世界。もはや太陽の暖かさすら忘れてしまった。俺たちは地下に建造したコロニーで、風邪をひくことにすら怯えながら暮らしているのさ――。地球温暖化を阻止するために建造した、地球規模の気象調節タワーの暴走によって、突如として氷河期を迎えてしまった未来の地球。地下コロニーでひたすら終焉を待つかのような生活を強いられているコロニー7の通信機に、突如SOS信号が舞い込んでくる。発進元はここからそう遠くない場所に建造されたコロニー5。原因を調査するために選抜された、青年サムを中心とする3人のメンバーは、強風吹き荒ぶ雪原へと繰り出してゆく。だが、その〝コロニー5〟には、恐ろしい者どもが闇に紛れ待ち構えていたのだった……。そんな、いかにもなB級設定に90分という適度な尺、そして終始寒そうな雪雪雪描写が続くだろうストーリーに、これは超蒸暑~い真夏の熱帯夜にビールと枝豆片手に観るには最適の映画なんじゃないかと思い、この度ツタヤでレンタルしてきました。なんですが、うーん、ちょっと展開がたる過ぎますね、これ。肝心のコロニー5に辿り着くまで30分以上かかったうえに、物語の最大の見せ場となるあの凶悪な敵の皆さんが登場するのにさらに20分経ってから(合計50分!)。普通のエンタメ映画なら短いカットをさくさく繋いで、恐らく15分程度でそこまで到達しただろうに、今作のこの間延び具合といったらかったる過ぎて終始睡魔が……。それに、主人公サムの幼き日のトラウマエピソードだとか風邪をひいたらそく死か追放というコロニーの変な規則だとか無駄としか思えないエピソードも多過ぎます!ここは潔く、人喰い野郎たちとサムたちとの決死の攻防を、もうやり過ぎってくらいの怒涛の展開で描いてくれたら、ビールによく合ういいおつまみ映画になったであろうに。残念![DVD(字幕)] 4点(2014-08-16 00:37:53) 1308. のび太の結婚前夜 《ネタバレ》 昔、当時付き合っていた彼女と一緒に観たのだけど、観終わってから僕が何気なく彼女に言ったセリフ→続編で『のび太の結婚初夜』って映画が作られたら面白くない?のび太がさ~、ベッドで「し、しずかちゃん……、ごめん、ちょっと待ってて。ドラえも~ん、どうしたらいいか分かんないよ~」って助けを求めてさ、そしたらドラえもんが「もう、仕方ないな~、のび太くん。そんな時は(ドラえもん、四次元ポケットに手を入れて)タンタラタン『〇〇〇〇〇〇!』」。うん、ドラえもん史上初、放送禁止コードに引っ掛かる本当の秘密道具が出てくるの。どう、観たくない?そんな『のび太の結婚初夜』……、当然のように彼女にはどつかれました(笑)。[DVD(字幕)] 6点(2014-08-13 17:45:28) 1309. ダーケストアワー 消滅 《ネタバレ》 ロシア企業と重要な商談をするために、モスクワへとやって来たアメリカ人ベンとショーン。ところが、同僚の汚い裏切りによってそんな大事なプレゼンの場がぶち壊しにされてしまう。夜になって、憂さ晴らしにクラブへと繰り出した彼らは、そこで出会った同じくアメリカから旅行中の可愛い女の子2人組と良い感じになるのだった。昼間の嫌な出来事も忘れすっかり浮かれる能天気なベンとショーン。だが、何の前触れもなく飛来してきた黄色い煙のような謎の地球外生命体によって、人類は突如として滅亡の危機に直面してしまうのだった。無慈悲にも破壊されるロシアの街並み、次々と〝消滅〟させられてゆく何の罪もない市民たち……。そんなピンチをなんとか生き延びたベンとショーンたち5人の男女と、一瞬にして人間を消滅させることが出来る恐ろしい宇宙人との緊迫の攻防を描いたSFアクション。うーん、なんでしょうね、この作品に漂う恐ろしいまでの「トホホ感」は…(笑)。人類滅亡の危機を地球規模で描く物凄くスケールの大きい設定なのに、お話自体は5人の大して魅力のない若者たちがひたすらクリオネみたいな変な宇宙人から逃げ続けるだけという超こじんまりしたものなのが終始失笑でした。それに突っ込みどころも多すぎ!すぐ側で大声で叫んでるのに、宇宙人全く気付かないって彼らに聴覚はないの?ないんなら(宇宙船造れる技術はあるんだし)超高性能補聴器くらい作ろうよ!対する主人公も、宇宙人がすぐそこまでやって来ているという絶体絶命の危機をパトカーの下に潜り込んでやり過ごしちゃうのも何だかな~。ラストも「僕たちの地球を取り戻す戦いはまだまだ始まったばかりだ…」というめっちゃ独り善がりなメッセージを残して中途半端に終わっちゃった(笑)。と、いう訳で、僕の記憶から速攻で〝消滅〟しそうなトホホ映画でありました。終わり。[DVD(字幕)] 3点(2014-08-12 21:17:06) 1310. マジック・マイク 《ネタバレ》 新米大工として日々現場で働くマイクは、どこにでもいるような平凡な若者。取り立てて特技があるわけでもなく、人を惹き付けるような魅力があるわけでもない。だが、彼は夜になると誰も知らない別の顔をみせるのだった。そう、彼は女性たちが酒と一夜の享楽を求めて殺到する男性ストリップ劇場で働く人気ストリッパー〝マジック・マイク〟だったのだ――。ある日、偶然知り合った若者アダムのその引き締まった身体を見て何か光るものを感じたマイクは、職にあぶれていた彼をそんな男性ストリップのきらびやかな世界へとスカウトする。持って生まれたセックスアピールを武器に次第に女性たちを虜にしてゆくアダム。だが、それと反比例するように彼の私生活はどんどんと荒んでいくのだった……。退廃と喧騒、酒とドラッグ、騙し騙され合う男と女のセックスと愛情。それらが猥雑に交錯する夜の街で、若さを持て余したそんな彼らの栄光と挫折をスタイリッシュに描いた青春サクセスストーリー。監督はエンタメ映画界の重鎮、スティーヴン・ソダーバーグ。普通、こういう題材をテーマにした映画ってもっと下品で猥雑でそれこそ賛否両論分かれそうな密度の濃い作品になりそうなものだけど、どこまでもお上品で小奇麗でお洒落~な感じに仕上げてしまうところがソダーバーグ監督の持ち味なんだろうね(良い悪いは別にして)。おかげで、ちょっぴり欲求不満気味の有閑マダムの奥様方が若くてハンサムな男の子の引き締まった肉体美に最後までうっとり見惚れるだろうこと請け合いの昔懐かしのレディースコミックみたいな作品に仕上がっておりました。まあ、男の僕からしたらさすがに暑苦しかったですけどね。若い女の子のTバックなら何時間だって見ていられる僕ですが、男のTバックをひたすらここまで見させられるとさすがに終盤は「う、うおぇぇ…」ってなっちゃいました(個人の感想!)。と、いうわけで、まあ面白いとは思うんですけど、さすがに狙っている層が狭すぎますね、これ。もう少し僕みたいな普通の男の観客のことも考えて欲しかった。6点![DVD(字幕)] 6点(2014-08-10 17:43:36) 1311. サプライズ(2011) 《ネタバレ》 「つ、ぎ、は、お、ま、え、だ」。結婚30周年を迎えた両親を祝うため、郊外に佇む別荘へとやって来た子供たち。それぞれの恋人たちをも引き連れ楽しいディナーになるはずだった。そう、ボウガンの矢が無慈悲に窓を突き破ってくるまでは――。突如として侵入してきた羊や虎の仮面を被った男たちによって、そんな別荘は阿鼻叫喚の地獄へと変貌してしまうのだった。次々と血の海へと沈む家族たち…、だが長男の大学教授の恋人エリンだけはかつて体験した壮絶なサバイバル経験を糧に意を決して謎の犯人たちへと立ち向かってゆく。孤立した一軒の山荘で繰り広げられる血みどろぐちょぐちょの惨劇をノンストップで描き出すスプラッターホラームービー。うん、観終わってすぐの率直な感想を言います、「ふ、普通…」。これって昔からほんと大量に創られてきた、よくあるB級ホラーと大して変わんないじゃん。唯一、新しいかもと思えるのは、中盤で明かされるどんでん返しくらいで、それだってよく考えたらけっこう強引だし、だいいち犯人たち頭悪すぎっしょ!10人近い大人の男女をたった3人で皆殺しにしようとするのに、武器はボウガン1丁とナイフ類のみって…。せめてピストルの1丁くらいは用意しましょうよ!それにグロ痛~い描写がひたすら続くのはもちろんこういう映画なんだから有りなんだけど、さすがにミキサーで脳味噌グチョグチョグチョ~は明らかにアホ過ぎだと僕は思っちゃいました(しばらくトマトジュース飲めなさそうです!笑)。でもまあ、延々とリピートされる血みどろ映像にミスマッチなポップで明るい音楽だとかスローモーションを多用した映像センスだとかはそこそこ良かったかな~。取り敢えず、犯人側にピストルが3丁もあれば確実に30分で片が付いてただろうね、これ(笑)。[DVD(字幕)] 5点(2014-08-07 19:18:42)(良:1票) 1312. 落下の王国 《ネタバレ》 むかしむかし…、と言ってもここは20世紀初頭のロサンゼルス。郊外にある静かな病院で、左手を骨折し退屈な入院生活を送る幼い少女アレクサンドリア。彼女はある日、同じく両脚を骨折し入院生活を余儀なくされた青年ロイと出会う。ほとんど娯楽などない毎日に退屈しきっていたアレクサンドリアへ、ロイは戯れに即興の作り話を聞かせ始めるのだった――。「想像してごらん。絶海に浮かぶ蝶の形をした無人島に佇むのは、弟を殺された黒人奴隷、愛する妻を奪われたインド人、孤立へと追い込まれた爆発物専門家、貴重な蝶を標本にされた生物学者、今まさに弟を処刑されようという仮面の男……、彼ら5人はそれぞれの理由により邪悪な総督オウディアスに復讐を固く誓った男たちなんだ」。ロイが語り少女が静かに耳を澄ます彼らの復讐の物語は、次第に病院内の現実社会へとどんどんと侵食していって……。そんなオリエンタルな雰囲気が濃厚に漂う映像と悪趣味紙一重の極彩色で美しい衣装の数々で描かれるのは、そんな摩訶不思議な世界が画面の端々にまで横溢するヒロイック・ファンタジーでした。監督は、唯一無二の映像表現で独自の世界観を構築するターセム・シン。確かに、この監督にしか描き出せないであろうエキゾチックな映像美が凄いことは認めます。画面の隅々まで計算された構図に豊かな色彩感覚、全編にほのかに漂うどこかノスタルジックな雰囲気。とはいえ、あまりにも我が道を行き過ぎていて、中盤辺りから僕はもうお腹いっぱいになっちゃいました。それに、「こんな映像を撮りたいんだ!」という監督の情熱が先走りすぎたのか、ストーリーの至るところに「?」な部分がたくさんあるせいで、いまいち物語に入り込めません。「だって、結局はロイの即興の作り話なんだもん」って言い訳されてもねー。こういう荒唐無稽なお話だからこそ(映像だけじゃなく)脚本の細部にまで拘って欲しかったです。観る者を圧倒するこの唯一無二のエキゾチックな世界観が好き!って人の気持ちも分かるのだけど、昔から僕はこの監督とはあんまり相性がよくないんだよね~。うーん、5点、ごめんなさい![DVD(字幕)] 5点(2014-08-02 21:54:32) 1313. プリズナー(2007) 《ネタバレ》 障害のある息子を抱え様々な悩みを抱えながらも家族と共に充実した日々を過ごす女性アナ。ギャンブルによって出来た多額の借金に追い詰められ今まさに銃を手に取り犯罪へと手を染めようとしている青年ソール。決して出会うはずのなかった彼らの物語は、アラバマの刑務所へと車を走らせるアナと独房でとうとう死刑執行の朝を迎えたソールという、その後のお話を複雑に行き来しながら、とあるコンビニで起きた凶悪な強盗事件へと収斂されてゆく…。加害者と被害者のそれぞれの苦悩と救済を4つの物語を対比させることで重層的に炙りだしていく人間ドラマ。観終わって、頭の中で解体してみればしごく単純な2つのお話なのに、それを時間軸を寸断し複雑に再構成したところやアナの息子が辿ることになる運命を意図的にぼかして描き出したことで、最後まで緊張感を途切れさせずに見せ切るこの監督の手腕はなかなかのものだと思います。主役を演じたミニー・ドライバーとジェレミー・レナーのナチュラルな演技も見応えありました。ただ、なかなか深いテーマのわりにお話のスケールがちっちゃ過ぎるのが玉に瑕でしたね、これ。もう少し観る者の心に深く突き刺さるようなドラマティックなシーンなり展開なりが欲しかったところ。それに言いたいことは分かるのだけど、最後にテロップで表示される「このように加害者と被害者を直接面会させる“修復的司法”は劇的な効果を生んでいる。それについては下記サイトに詳しいので、君たちおのおの勉強しておくように」的な、なんだか上から目線の偉そうなメッセージにはちょっぴりカチンときちゃいました。うるせーよ![DVD(字幕)] 5点(2014-08-01 09:05:48) 1314. しあわせの帰る場所 《ネタバレ》 厳格で厳しい父親に育てられた作家マイケルは、親戚の子に会いに久し振りに地元へと帰ってくる。そこに、ずっと疎遠にしていた両親も顔を見せる予定だったのだが、両親夫妻の乗った車は途中、あろうことか交通事故を起こしてしまうのだった。助手席に乗っていた母親は即死、家族の再会の場は一転して葬儀会場となってしまう。物語は、そんな突然の悲劇に見舞われたマイケルたち家族と、彼がまだ幼かったころの過去の出来事を複雑に行き交いながらそれぞれの秘められた思いを炙りだしてゆく……。すっかり心が離れ離れとなってしまった家族が、母親の死をきっかけに向き合うことになるそれぞれの心の葛藤をのどかな田舎の風景の中に描き出すファミリードラマ。普段、こういう「しあわせのなんたらかんたら」という、いかにもぬるそうな邦題の付いた映画ってほとんど観ないのだけど、なんだか地味に豪華なキャストがそろっていたので今回鑑賞。なんですが、いやー、やっぱりぬる~~い映画でしたね、これ。とにかく、実家に戻ってくる家族の数がやたらと多いのに、これが誰で誰とどういう関係でいったい誰との愛憎に悩んでいるのか極めて分かりにくい!さらには過去と現在を複雑に行き来するストーリーがその分かりにくさにますます拍車をかけているせいで、最後まで観るのがかなり苦痛な作品でありました。また、登場人物に誰一人として魅力的なキャラクターが居なかったところもいただけない(特に主人公マイケル、母親の葬儀だってのに元嫁と久し振りに会ったからって思わずセックスしてんじゃねー!)。無駄に豪華な役者陣がホントもったいなかったです。[DVD(字幕)] 3点(2014-07-28 13:15:40) 1315. 隣人 ネクストドア 《ネタバレ》 都会のアパートで恋人とともに平凡な生活をおくる青年ヨーン。だが、些細な喧嘩をきっかけに彼は思わず暴力をふるってしまい、当然のように恋人は部屋から出て行ってしまうのだった。まだ彼女のことが忘れられない失意のヨーンはある日、偶然エレベーターに乗り合わせた怪しげな隣人である若い女性に声をかけられる。「あなた、未だ彼女のことが忘れられないんでしょう?壁が薄いからずっと聞いていたわ…」。そう話す彼女に隣室へと招き入れられるヨーン。そこには、かつて3人の男たちに暴行されたという哀しい出来事をきっかけに引きこもりとなったという彼女の妹も居たのだった。何もかも分かったような怪しい言動を繰り返すそんな姉妹たちに、次第に心を掻き乱されるヨーン。まるで深い迷宮に誘われるように、彼はどんどんとその淫靡で怪しげな隣室へとのめり込んでゆく……。この後、「チャイルドコール-呼び声-」という、オチはちょっぴり残念賞だったもののその全編に横溢する暗鬱でミステリアスな雰囲気と全く先の読めないストーリーとでなかなか見応えのある作品を撮ることになる監督のデビュー作。こちらも低予算ながら、いかにもこの監督らしい練られた脚本と随処にセンスを感じさせる映像とで不穏な雰囲気が濃厚に漂うダークミステリーの佳品に仕上がっておりました。いやー、良いですね、これ。いったいこのアパートは何LDKやねん!ってくらいあり得ないほど部屋がいっぱいあるこの隣室で繰り広げられる、過去と現在、愛情と性欲、サディズムとマゾヒズムが複雑に交錯するストーリーは今回も見応え充分でした。良い意味で、嫌~な余韻が残る胸糞悪いラストシーンもグッド!ただ…、オチはやっぱり今回も容易に読めてしまう凡庸なものだったのが少々残念でしたけど。この監督さん、風呂敷を拡げるのは物凄く上手いのに、それをたたむのがちょっと下手みたい(笑)。でも、このデビット・リンチを分かりやすくしたような、この監督らしいシュールな世界観は今回もなかなか堪能できました!次はオチをもっと頑張ってね!![DVD(字幕)] 7点(2014-07-28 09:11:30) 1316. 47RONIN 《ネタバレ》 主君に絶対的な忠誠を誓った誇り高き47人の侍たちが、非業の死を遂げた主君の無念を晴らすため、市中でひたすら耐え忍ぶ生活を続けた挙句、自らの死をも省みずに復讐を果たす――。かつては年末年始に必ずといっていいほどドラマ化され、日本人の古きよきメンタリティに強く訴えかけてきた古典的名作「忠臣蔵」。そんな名作をハリウッドが巨額の予算を投入し、さらには豪華な日本人俳優を多数そろえ最新のCG技術を駆使して、まさかの映画化!しかもその内容は、「忠臣蔵」をこよなく愛する真面目な日本人が見たら怒り狂って卒倒しそうな程のトンデモファンタジー映画でありました。いやー、バカですね、これ。「忠臣蔵」という極めて日本的な物語を「ロードオブザリング」風味の欧米フィルターにかけるとこんな感じになるんですね。それならそれでもっと無茶苦茶なエネルギーでもって徹底的に我が道をゆく「<300>」のようなおバカ映画にしてくれたらまだ観れただろうに、なんか中途半端に真面目に創ってるトコがけっこう失笑でした。とにかく、キアヌ・リーブス演じる主人公が強いのか弱いのか人間なのか妖怪なのか愛する女性を救い出したいのか侍として名誉ある死を選びたいのか最後までふわふわふわふわしている所なんか、「で、結局アンタ何がしたいねん!」と思わず突っ込んじゃったし(笑)。でも……、この作品の随処に見え隠れする「とんでもなく頭の悪い人が、こう見えてボクけっこう頭良いんだぞ!センスだってありまくりなんだからね!って頑張ってアピールしているみたいな感じ」、自分はけっこう嫌いじゃないです。クラスに1人くらい居ますよね、友達グループで必死にマウント取ろうとしてひたすらはったりかましてくるみたいな人。監督さん、恐らくそんなタイプの人なんじゃないかな~。というわけで、決して面白かったわけじゃないけど、自分は暖かい目で観ることが出来ました。まあ、事前にトンデモ映画だって情報を仕入れてて、ハードルをめちゃくちゃに下げて観たからかもですけどね(笑)。[DVD(字幕)] 5点(2014-07-26 20:52:06) 1317. ゴースト・エージェント/R.I.P.D. 《ネタバレ》 相棒の汚い裏切りにより無残にも殺されてしまった刑事が、なんだかんだあって現世に復活し、悪霊を専門とする〝ゴーストエージェント〟になったのだった!彼とコンビを組むことになるベテランエージェントとの世界を救う大活躍をコミカルに描いたエンタメアクション。ぶっちゃけ、それだけっちゃぁそれだけの映画なんだけど、こういう風呂上りにビールと枝豆片手に肩肘張らずに観るのに最適な薄味エンタメ映画も、たまに観る分にはけっこう好きなんですよ、僕(毎回そればっかだと、さすがにIQが下がっちゃいそうなんで10本に1本くらいの割合がちょうど良い感じですかね)。それにそんな映画の中にたまに、「え、これは意外にけっこう好きかも…」という掘り出し物が混ざっていたりもするんで、なかなか侮れない。でも……、今作は見事なまでに「まあまあこれくらいなんやろうな~」と僕が事前に予想したくらいの出来に仕上がっておりました。てか、これって『メン・イン・ブラック』を宇宙人から幽霊へと設定を変えただけで中身はほとんど一緒ですやん(笑)。さすがにもうちょっとこの作品ならではと言ったオリジナリティが欲しかったですかね。でも、このけっこうお金かけたであろう派手なアクションシーンや主人公コンビが人間にはゴージャスセクシー美女&冴えない中国人オヤジに見えるというアホらしい設定などはぼちぼち楽しめたかな~。まあ、3日も経てば完全に記憶から消え去りそうだけど、ヒマ潰しに観る分にはぼちぼち楽しめるこの作品、うん、6点![DVD(字幕)] 6点(2014-07-25 21:12:26)(良:1票) 1318. ビザンチウム 《ネタバレ》 娼婦として自由奔放な生活を送る母クララとともに、まるで世間の目から隠れるかのようにひっそりと暮らす美しい少女エレノア。200年前に起きたとある悲劇をきっかけに、彼女たちは誰にも言えない暗い秘密を隠し持っていた。そう、エレノアとその母クララは永遠に歳を取らない呪われたヴァンパイアだったのだ――。ある日、200年前からそんな彼女たちを追う謎の集団に見つかってしまった母子。すんでのところで逃げ延びたエレノアたちは、一人の孤独な男が支配人を務める寂れた元ホテル〝ビザンチウム〟へと転がり込むのだった。そこで新たに娼婦たちを集め娼館を開業しようとするクララ、永遠に続くかのようなそんな母親との鬱屈した日常からいつか逃げ出したいと願う娘エレノア、そして淫靡な秘密を抱えた彼女たち親子に振り回される周りの孤独な男たち……。果たして彼女たちの運命は?かつて、トム・クルーズ&ブラット・ピットという豪華なキャストで製作された『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』を世界中で大ヒットさせたニール・ジョーダン監督がふたたび挑んだのは、そんな妖艶な雰囲気が濃厚に漂うゴシック・ホラー作品でした。確かに、これまでのキャリアに裏打ちされたであろう全編に横溢するグロテスクでありながらどこか怪しげな美しさに満ちた世界観は秀逸だと思う。ただ、個人的に昔からこの監督とは微妙にセンスが合わないんですよね~。『インタビュー~』ももちろん観たし、この監督のそれ以外の代表作も何作か観てきたのだけど、いつもなんだか作りが優等生に過ぎていまいち僕の心には響かないのです。もう少し登場人物の人間味を感じられるような下世話な部分や、他の映画にはないこの監督ならではという観る者の心に深く突き刺さるような突出した演出とかがあれば良かったと思うのだけど…。でも、これはもう完全に好みの問題ですね。繊細でスタイリッシュな映像の中に、200年にわたって生き続ける母娘の確執を濃厚に描いたゴシックホラー作品としてなかなか良く出来ていたと思います。ただ、僕の好みとは合わなかっただけで。[DVD(字幕)] 6点(2014-07-24 22:11:07) 1319. ファントム/開戦前夜 《ネタバレ》 1962年、東西冷戦のさなかに起こったキューバ危機では米ソの核戦争勃発は無事に回避された。だが、それから数年後、ある1隻の核搭載型潜水艦が暗い海の底へと消えたとき、世界は再び核戦争の危機に直面してしまうのだった――。長年、ソ連の原子力潜水艦の優秀な乗組員として広大な海原を駆け巡っていたもののもはや年老い、退官間近となってしまったズボフ艦長。ある日、彼に極秘任務が命じられる。それはKGBの将官ブルニーを乗せて出航し、密かにアメリカの原潜を監視するというものだった。疑問を感じながらも艦長以下数十名の船員たちは、長期休暇を返上して暗い海の中へと乗り出してゆく。だが、ブルニーには祖国を愛するあまり、誰も知らない過激な作戦をその胸の内に秘めていたのだった……。実際にあった事件を基に、核戦争の危機に直面した原子力潜水艦内部での男たちの攻防をスリリングに描き出す軍事サスペンス。「Uボート」が製作されて以来、「レッドオクトーバーを追え」や「クリムゾン・タイド」「K19」と脈々と作り続けられてきたいわゆる〝潜水艦もの〟の系譜を色濃く受け継いだ本作。実力派の役者陣を配した演出は丁寧で分かりやすく、史実を基にしたということもあり大変興味深く観ることが出来ました。ただ逆に、史実を元にしたから仕方ないのかも知れませんが、ずーっと潜水艦内部でのみお話が進むため、全体的に冗長で少々退屈という印象が否めない作品でもありましたね、これ。もう少しドラマティックな展開が欲しかったところ。ただ、ちょっぴりプーチン大統領に見えなくもない、円熟味を増したエド・ハリスの艦長役はまさに男気たっぷりでなかなか良かったかな。それに、後半の狭い艦内で繰り広げられる男たちのギリギリの駆け引きは、まあベタではありますけど、けっこう緊迫感もあってそこは素直に楽しめました。でも、やっぱり引っ掛かるのは最後のスーパーナチュラルなまさかのオチ。これまでのシリアスで超現実的なストーリーはいったいなんやったんやー!と、思わずずっこけそうになっちゃいました(笑)。完全に蛇足っす![DVD(字幕)] 5点(2014-07-23 09:01:28) 1320. モスダイアリー 《ネタバレ》 「9月5日、今日から私は毎日日記を書くことに決めたの。将来、16歳の自分に起きた出来事を全て思い出せるようにね」――。全寮制の女子高へと入学したレベッカは、そこで出会ったルーシーとなんでも話せる大の親友同士となっていた。学校に行く時も昼休みにご飯を食べる時もいつも一緒。レベッカはそんな大親友ルーシーとの充実した日々をいつでも思い出せるよう日記を書くようになる。ところがある日、向かいの部屋に転入生の少女エネッサがやって来たことから2人の関係に微妙な罅が入るのだった。どこか影のあるエネッサの魅力に次第に惹かれてゆくルーシー。焦ったレベッカはなんとか元の関係に戻ろうとエネッサの悪口をクラスメイトに言い触らしたりするのだが、もちろんそれが功を奏するわけもなく、2人の関係には決定的な亀裂が入ってしまう。でも、誰も知らない。実はエネッサには誰も知らない暗い秘密が隠されていることを。夜な夜な裸足で庭を歩き廻るエネッサ、彼女の部屋に乱れ飛ぶ蛾の大群、そしてまるで養分を吸い取られるようにルーシーはどんどんと痩せ細ってゆく……。全編にわたってそんな怪しげな雰囲気が濃厚に漂うゴシックホラー作品。なんだけど、いやー、何もかもがとにかく稚拙。まだまだ人に見せるレベルに達していない、かなり退屈な作品でありました。いちいち繋がりの悪い編集に、とっちらかったエピソードの数々(唐突に出てきてストーリーに最後まで絡んでこないルーシーのロストバージンシーンとか怪しい男性教師とのキスシーンとかいったい何の意味があったの?)や、欠片もセンスを感じさせないちっとも怖くないホラーシーン……。実質80分の作品なのに最後まで観るのがホント苦痛でした。だいいち、タイトルでもある〝蛾〟や〝日記〟という、魅せ方によってはいくらでも面白くなりそうなアイテムを全然巧く使いこなせてないとこなんか、もう苦笑するしかなかったです。まぁ簡単に言うと、駄作です、はい。[DVD(字幕)] 2点(2014-07-21 11:25:55)
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