みんなのシネマレビュー |
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1361. レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ ロシア(ですよね?)からアメリカへ渡り「ヘタクソ!」と罵られながらその場その場の流行りの音楽を演奏するもどこか古臭さがあるのかどうしても受け入れられない。ラストで成功をおさめる地がアメリカではなくメキシコってところに、音楽がショービジネスと化したアメリカへの風刺と感じました。しゃべらない男たち、レニングラード・カウボーイズが繰り広げるロードムービーの中で彼等は延々とボケてくれます。独特の間が笑いを誘うわけですが、この間を利用して我々はツッコミを入れるわけです。「長すぎるって!」「オマエもか!」「凍るなよ!」「ずっと牢屋でそのポーズかよ!」「並んで寝るなって!」「犬にやるのかよ!」・・・つまり視聴者参加映画ですね。もちろん彼等はことごとく我々のツッコミを無視してボケ続けますが(笑)。6点(2005-02-21 12:22:34)(笑:1票) 1362. 傷跡 ドキュメンタリータッチが実にうまく機能している。時代が動こうとするときに生ずるひずみを見事に捉えています。心の底から町のために誠実に動く主人公がこのひずみに翻弄されます。そして主人公を通してその時代のポーランドの一画を如実に映し出す。ちょうどポーランド関連の本を読んでいるときに観たせいもあってか興味深く観ることができましたが、思い返せばたしかに淡々としすぎて退屈に感じる映画かもしれません。6点(2005-02-14 18:57:35)(良:1票) 1363. 愛のイエントル 《ネタバレ》 全然ミュージカルしてないところにバーブラが自らの心情を語るときだけミュージカルになるという、良く言えば斬新、悪く言えばバーブラのための映画。学問が男だけのものだった時代にひとりの女性が敢然と立ち向かった、というたいそうなものではありません。ただ学びたいがために男に化けるが結局その地ではなく女性でも学んで良いという開かれた地へと旅だってゆくという結末からもわかるように。そういった特殊な環境の中で繰り広げられるコメディと言ったほうがぴったりくるような。霞みがかったような画に柔らかい光を採り入れ、時代と設定をうまく表現していた。6点(2005-02-04 13:21:15) 1364. 變臉~この櫂に手をそえて~ 《ネタバレ》 冒頭の祭りの場面での雑談が棒読みなのにひいてしまった。内容はコテコテのお涙頂戴ものと言えるでしょう。でもそうわかっていても見入ってしまうのは中国のことをよく知らない私が、京劇や中国の伝統芸能を絡めながら人身売買市場や男尊女卑という中国の歴史の暗部を描いた世界観に惹かれたからだと思う。あと、なんといっても子役のすばらしい演技でしょうか。変面王に父を見るのではなく、ただ生きる為に大人に媚びへつらう姿が痛々しい。きっと今まで買われたところからすればずっとましな養父であり、男だと思って接していたときの優しさに希望を託せざるおえなかったのでしょう。その健気な表情は演技の枠を越えています。演じた女の子はこれまで幸せに暮らしていた普通の女の子なんでしょうか?と要らぬ心配までさせてしまうくらい真に迫った演技でした。ラストは強引ですが、誰もがそうなってほしいと思っていたシーンにホッとするのです。6点(2005-02-01 10:22:24) 1365. マン・オン・ザ・ムーン 《ネタバレ》 ラストがすごく良かった。人生そのものを脚色して生きてきたカウフマンの病気を家族さえも信じない、その時点ではかなりブラックだなぁと思いましたが、死んでも実はあれは演出でちゃんと別の名前で生きている、そうあったらいいのに、という映画スタッフの気持ちを映像にのせたラストが心憎い。アンディ・カウフマンというコメディアンは人を笑わせる、楽しませる、というより人がなんらかのリアクションをすることに喜びを感じる、延いてはそこに自身の存在意義を感じる人。本人は知りませんがこの映画を見るかぎりそんな印象を持ちました。そんな捉えどころの無い行動をするカウフマンを映画の主人公とするには、ある程度は感情移入のできる人物に描く必要もあるわけで、その辺りをカウフマンのまわりの人物を使ってうまく描けていたと思います。ジム・キャリーはこの時期あたりから演技の幅の広さを見せてくれますが、この作品の彼はホントにいい。6点(2005-01-26 11:31:57)(良:1票) 1366. 太陽を盗んだ男 原爆を作る過程が一番面白かった。バスジャックをした老人の要求と現代人の代表・城戸の要求の対比も面白い。だが、アクション色をどんどん色濃くしていく中盤以降は思わず「おいおい、、」と突っ込みをいれたくなる展開へとなだれこむ。ド派手なカーチェイス、あり得ない行動をするラジオDJ、ヘリから飛び降りても死なない文太、撃たれても死なない文太、撃ちまくられても死なない文太、、、。それでも初代RX-7のどう考えても法定速度をはるかに越えた爆走ぶり、そして大量のエキストラが登場するデパートの騒動など、この映画にはゾクゾクしてくるようなパワーを感じる。皇居前の撮影も国会議事堂の女装潜入も首都高カーチェイスもすべて許可無しゲリラ撮影。警察が出るたびにスタッフを一人、また一人と留置場へ行かせて撮影を強行したとか。それ相応の覚悟と意気込みがなければ出来ない。そしてその覚悟と意気込みが確かに映像ににじみでている。6点(2005-01-20 14:42:57) 1367. 歌麿をめぐる五人の女(1946) 溝口映画の女たちはけして男の添え物にはならない。(↓男が添え物なんですね。)一人の人間として女を描く。この作品ではそれを特に感じる。女をしっかりと描けばこんなにも生々しいモノが出来あがる。女の情念、女の欲、女のプライド、女の意地がぎっしりと詰まった映画。製作時からすればそれだけでも評価されるべき作品なのかもしれません。資料の少ない謎の絵師・歌麿(写楽ほど謎ではないですが)にまつわるエピソードも時代考証がきっちりとされており、そのおかげで楽しく拝見することができました。ただ、『雨月物語』の後に見たせいか、それともタイトルから勝手にもっと妖艶なものを期待してしまったせいか、いまひとつ物足りなさを感じてしまったことも事実。歌麿なのに肝心の「絵」があまり出てこないのもなぁ..いや、絵は出てこなくていいんですが絵を書いてる時のモデルを、舐めるようにじと~っとカメラが捉えてくれたら..あっ、それじゃぁ男の添え物映画になっちゃうか..。まだまだ修行が足りんようです。6点(2005-01-06 12:36:39)(良:1票) 1368. キル・ビル Vol.2 Vol1があれほどのインパクトのある作品になったのはこのVol2があればこそ。Vol1をただ戦うだけのトンデモ映画にするには前後のストーリーを省かなきゃならない。その省かれたものがVol2。Voi1を作りたいがゆえのVol2という印象。それでもひとつの作品として成立させるために引用先を変え作風を変えることでVol1とは違う個性を持たせている。連作なので前作同様に漫画チックな展開を見せるものの起承転結のあるこちらが本来、主となる映画なのでしょう。二作を合わせて時系列をバラバラにして{戦い}だけを前に持ってきたという仰天連作を評価したい。6点(2004-12-28 16:53:54) 1369. 2010年 もともと『2001年宇宙の旅』もこの作品と同じようにナレーションがあったのをキューブリックが公開直前に全カットしたのだそうです。それでは意味が全く解からなくなる、というアーサー・C・クラークの言葉に対しモナリザがなぜ微笑んでいるかが解かっていたら今日のように人々を魅了しただろうか、というようなことを言って意見を通したとなにかで読んだことがある。そして、観た人の数だけ答えがある、とも。観客たちがそれぞれ思い、考え、そして漠然とだけど導き出した答えがすべて正解ということ。なのにこの『2010年』は私が無い頭を振り絞って出した答えにあっさりとダメダシをくらわせやがった。だから私はこの作品を『2001年宇宙の旅』のある人が導き出した答えのもとに作られた続編、と位置付けている。そうみると、「あぁ、この人、なかなかするどい見解だなぁ」と思うわけです。..と文章にしてみて今気付いたのですが、これっておもいっきり負惜しみじゃないですか!6点(2004-12-08 12:36:46) 1370. 裸足の1500マイル オーストラリアのアボリジニに限らず、日本の蝦夷(えみし)、アイヌ、アメリカのインディアン等先住民族の文明人による迫害はどこにでもありました。我々もその時代に生きていたらその当事者になっていたかもしれません。その時代ではそれが普通、その部分がよく表れていました。この作品では「迫害の時代」の後の「保護の時代」。しかしその保護がいかに文明人のエゴの元にされていたかは見てのとおり。これもまた今だから言えること。しかし今だから言えることをきっちりと今言うことも大切なことです。この点は見習うべきところだと思います。映画はドラマチックな展開を抑えているようですが個人的にはもっと抑えてもいいくらい。追うアボリジニと追われるアボリジニの頭脳戦は十分ドラマチックでしたし、従妹が捕まるシーンの演出はドラマチック過ぎるくらいです。1500マイルという距離と9週間という日数をもっと表現してほしかったです。広大な大地のロングショットとうさぎ除けフェンスをうまく使ってましたが、まだまだ..(えらそーに)。6点(2004-12-07 11:25:47) 1371. 21グラム ついさっきまで元気な声を聞かせてくれた旦那と二人のかわいい子供の死を、駆けつけた病院で知らされる妻、、ダメです、、こういうの、涙がドバッときました。 人を殺めてしまった男と家族を殺された女、この二人はコレをきっかけに生ける屍と化す。一方コレをきっかけに生ける屍から「生」を取り戻してしまった男もいる。この映画は結局、生きる意味を教えてくれない。ただ、Life goes on 人生は続くと何度も謳いあげるだけ。しかし人生とはそういうものかもしれない。生ける屍であっても21グラムの何かを持っている以上人生は逆行することなく続いていく。この映画はそのことを言いたいがためにあえて人生を遡らせて見せていると思いたい。ただ観客をひきつけるためだけにそうしたと言うならちょっと悲しいから。6点(2004-11-24 10:45:19) 1372. 五月のミル 五月革命の最中、母が亡くなり久しぶりに家族が集まるが話題は遺産のこと。なんとも不快な展開ではあるけども、ブルジョワのブルジョワゆえの身勝手さや楽観的な行いを見ているうちに不快感は薄れていく。その気楽さ、正直さにフランスの田舎町ののんびりとした美しい風景があいまって「なんだか楽しそう」と思うに至る。しかしドンチャン騒ぎの傍らで黙々と墓穴を掘る使用人の描写で再び不快感を呼び戻す。だからブルジョワ狩の噂に総出で逃げ出す場面はちょっと気分が良かったりする。結末はなんてことはない。五月革命と同じようにこの人達はなにも変わらずそれぞれの家に帰ってゆく。ミルの人格が素晴らしく、そしてそのミルだけがひとり寂しそうなエンディングを見ると、一貫したブルジョワ批判ではなさそうではある。ルイ・マル監督のブルジョワ階級への憧れと嫉妬が垣間見れたような気がする。6点(2004-11-12 12:45:29) 1373. 一票のラブレター イランのある島の夜が明けてから陽が沈もうとするまでをたかだか2時間足らずに収めているのに時間の流れがゆっくりに感じる。静かな情景と何も起こらないストーリーゆえにそう感じるのでしょう。島民の生活は誰にも頼らずに独自の風習のもと成され、また自らの生活で手いっぱい。民主主義だの選挙だのということにピンとこないのも仕方ない。でも少しだけ何かが変わっていってるんです。選挙管理人の女性のひたむきさに惹かれる兵士の最期の行動、そして女性もまたいつのまにか後部座席から兵士の隣に座っている。時間をかけてお互いを知ることでちょっとだけ心に変化を見せる二人。言いかえれば(国を動かすことに繋がる)民の心を動かすには時間と根気が必要ということ。焦りは禁物。ソコに銃はいらないのです。先進国のリズムを持ち込んじゃいけない。”ゆっくり根気良く”、我々も立ち返らねば。6点(2004-11-08 13:02:42) 1374. めまい(1958) 《ネタバレ》 ラストは小さい頃にシスターに叱られたトラウマでうろたえちゃって落ちたんだと思ってたんですが違うの?同僚を亡くしたトラウマからなる高所恐怖症に始まり、愛する女をそのトラウマのせいで失うという二重のトラウマを抱え、ラストで一気にトラウマを克服したとたんに女が自らのトラウマによって死ぬという構成に、巧い!と思ってたんですが..(誰も触れていないので不安になってきた..)。スコティの視点からマデリ-ン(ジュディ)の視点に切り替わるところも巧いなあ。ネタばらしのシーンです。真相を知ってしまったら、知らされていないスコティに感情移入するのは難しいし、反対にどう乗りきろうか、というジュディに感情移入しやすくなっている。スコティの変質的な愛は不安な心理にあるジュディの視点から描かれているのでことさらにスコティを異常に描いているんじゃないだろうか。 個人的にダメだった点を一つ。途中、スコティがどん底に落ちていくのを象徴するような映像は個人的にダメです。顔がくるくる回転していくやつ。もちろん不安を煽る演出のひとつなのでしょうがどうも苦手。また厄介なことにこの作品を思い出す時にその場面が一番最初に頭に浮かんでしまう。なので総合評価は「巧い!でもちょっとイヤ」6点(2004-11-05 12:10:44)(良:1票) 1375. 裏窓(1954) 身動きのとれない主人公同様に、部屋から一歩も出ないカメラが観る者に好奇心とジレンマをもたらす。双眼鏡や望遠レンズごしの人物がいつこちらを見るのかという緊張感を持続させながらサスペンスのクライマックスでとうとうこちらを見る。あ~、だから言わんこっちゃない!と誰に言うでもなく(きっと自分自身に)言ってしまう。ここで緊張は途切れない。電話が鳴り、足音が近づき、恐怖感まで伴う。しかしその後がちょっと不満。フラッシュで目を眩ませるという時間稼ぎがチトしつこい。相手の視点の眩む映像は巧いけど、視力が回復するのが早いし、回復したら駆け寄るとかすりゃあいいのにゆっくり歩み寄るし。イマイチ緊迫感を削がれた。技巧に走りすぎた感あり。まあ、それまでの演出の効果があまりにも素晴らしかったからこその不満であります。ジョークに対しジョークで返す軽快な会話のキャッチボールも楽しめます。6点(2004-11-04 13:37:38)(良:1票) 1376. 女と女と井戸の中 全編を被う青い映像が最初の1~2分は綺麗な映像だと思ってたんですが、だんだんうっとうしくなってきました。が、井戸のシーンあたりからホラー色が漂ってきて青い映像がいっそうひんやりとした怖さをひきたてていてコレはコレで効果的だったと思います。それでもやっぱり「青」が濃すぎるかなぁ。もうちょっとだけ抑えてほしかった。少女に恋をする中年女性の心の揺れを丁寧に描いたドラマからホラー、サイコスリラーの様相へ、そしてそこからからまた一転するオチ、なかなか良かったです。この作品、主要キャラはもとより監督、脚本、それから原作者、製作者まで女性なんです。「ふーん」て思いました。いや、それだけなんスけど..。6点(2004-10-28 11:34:46) 1377. 冒険者たち(1967) 飛行機乗り、エンジニア、芸術家と三者三様の夢を追いかけるのですが三人とも浅くて青い。挫折してすぐに方向転換してしまうことからも明白。三人が大人になっていく様を描くものと思ったら青いまま終わってしまった。いい年の大人たちがなにしてるんだ、しかしながら青いままでいられることって羨ましい。青いままだからお金が手に入っても友情に亀裂が入らない。そういう意味では理想の三人組。冒険家というのはこういう青い部分をもってる人達なんでしょう。ただ、ストーリーの展開にも浅さを感じてしまった。6点(2004-10-13 10:25:46) 1378. シカゴ(2002) 現実の世界とミュージカルの世界を完全に分けることでミュージカル映画特有の違和感を排除し、同時に舞台で見るミュージカルの豪華さを堪能させるというのは、舞台が本業の人間らしいアイディアで、又、本領も発揮できるつくりと言える。個人的にはソコが不満だったりするんですが、見ているうちに知らず知らず足がリズムをとりだし、ミュージカルを堪能している自分がいました。でも映画を楽しんだのではなく、ショーを楽しんだにすぎないことも事実。もちろん映画がショー的な要素を多分に含んでいるものであることを否定しません。それにショーを映画で見せる、というのがそもそも監督の狙いだと思うので、ショーを楽しむ、という見方で正解なのでしょう。 ずるい者勝ちという中身が人によっては受け入れ難いものになっているようですが、「ショー」だと思って見ればかえって爽快ですらあります。キャサリン・ゼタの豪快なダンスとレニーのマペットが見所です。6点(2004-09-17 13:08:53) 1379. クレイジー・イン・アラバマ アントニオ・バンデラスが妻であるメラニ-・グリフィスを主演に据え初監督した作品、と聞けば正直あまり期待はできない。ところが見てびっくり。少なくとも見て損はない作品に仕上がってます。人の死を軽く扱いブラックコメディ風に仕上げたちょっとおバカなコメディと人の死を重く扱った公民権運動を背景に描いた社会派ドラマが同時進行します。法律上の罪と道徳上の罪を両極端に描いたわけですが、この両極端ぶりは天晴れとしか言い様がない。強引であり得ないハッピーエンドも許せてしまうのは、2つのエピソードの片方がとことんコメディタッチで描かれていたからでしょう。社会派ドラマの方が重くなりきれないのはこの展開だと仕方ないのかもしれない。メラニ-・グリフィスも旦那が撮るとなんとも可愛らしい。6点(2004-09-07 13:21:13)(良:1票) 1380. マイ・プライベート・アイダホ 赤を強調した画やカラミを連写風に見せたりと映像はそこそこに楽しめました。内容は解かったような解からないような..。鮭が川を上る画があったように皆自分の家へ帰っていく、しかし帰る家が夢の中にしかないマイクはアイダホの道でまた眠る。ラストでマイクを拾ったのが兄だとしたらマイクの帰る場所はやっぱりアイダホなんだ、と救われたエンディングのようにとれなくもないし私はそうとった。男が男に恋をする、このシチュエーションがよりせつないものにしている。6点(2004-09-06 13:45:51)(良:1票)
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