みんなのシネマレビュー |
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1501. ブラックホーク・ダウン 「ブラックホークダウン!ブラックホークダウン!」「RPG!RPG!」等の叫びが頭にこびりつく悪夢のソマリア市街戦。たくさんスター俳優が出てるのだけど、個々人のドラマに焦点を当てるということが無いので、誰が誰だか分からない。皆一兵士となって戦火のなかで阿鼻叫喚である。酷い。映像はドキュメンタリーの如く極めて冷静でクリア。140分の長きにわたって生き延びるのに必死な様子を見せられていると本当に疲労困憊。この映画を観て素直に反戦を叫ぶべきなのかアメリカも大変ねえ、と思うのが正解なのか、もおよくわからない。[DVD(字幕)] 6点(2013-04-27 00:27:31) 1502. パーマネント・バケーション 「家が戦争で中国人に爆撃された」と不可解なことを口走る主人公の青年。ほんとに爆撃されたかのような朽ちた廃屋のようなビルと生い茂る雑草。川向こうには高層ビルが密集している摩天楼。N.Yとは一見思えない奇妙な街を主人公とただただ彷徨うはめになる映画。当時あまりの起承転結の無さに衝撃を受けたものでしたが、独特の突き放したようなからからに乾いた孤独な映像が、青春を生きてた心のどこかにぴったりと合わさったような気持ちがしたのも事実。[映画館(字幕)] 6点(2013-04-27 00:14:52) 1503. ぼくのエリ/200歳の少女 北欧の、陽光すら淡い国で撮られると映画そのものの体温が下がる感じがするせいか、グロなシーンをはっきり見せるわりに、それすらこう、冷え冷えと淡々としてたりする。わーっという感情の昂ぶりすら白い息になって消えてゆくようだ。映像がとことん印象的な映画。抜けるような白い肌のオスカーと血に塗れたエリの赤。金髪と黒髪。暗い森の青と雪。度肝を抜かれる惨劇の場面、これまた静謐感あふれているのだけども、ここまで来た頃には観ているこちらもすっかり身体が冷え切って、つい両腕をさすってしまうのだった。[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-04-26 23:56:08) 1504. ソルト ああそうか、アンジーのスーパーアクションヒロインぶりを堪能するための映画かあ、と気づいたのは中盤くらい。初めから知ってれば良かったな。アクションメインに作られてると分かってればなー。シュワルツェネッガーの映画を観るような心持ちで観るのが正解だったんだろうな。ヒロインの思惑が分からないうえ、二転三転と話がどんでん返しするたび「ええっ?!(驚)」ではなく「ええ~・・??(脱力)」となってしまうのは脚本としていかがなものか。アンジーのアクションが全部が全部吹き替えでなさそうなのは評価しますが三角跳びはやんない方がいいよね。[CS・衛星(字幕)] 5点(2013-04-26 00:34:28)(良:3票) 1505. フォー・ルームス どの話もそれほど面白くは無い。一話めが最低につまらない。ティム・ロスの浮いてる演技がこれまた鼻につく。やりすぎ、作りすぎ。ぬう、と立ってるだけでなんとなくやばい雰囲気のバンデラスのみ良かった。[CS・衛星(字幕)] 5点(2013-04-26 00:08:17) 1506. U・ボート 潜水艦乗務を経験したければ是非この映画を。この圧迫感閉塞感息苦しさ絶望感、こんな目に合わされる映画はそう無いです。ソナー音のかん、かんという響き。敵艦の位置を感じる場面で極限状態に顔を引きつらせる乗組員、取材で同乗した記者の憔悴っぷり、諦念すら含んだ艦長の表情。自分もそこにいるかのような喉の渇き。ディーゼルエンジンが生き返った時は、ドイツ人の技術の高さに心から称賛を送りましたよ、ほんとに。非常な幕切れもあいまって、忘れがたい強烈な映画でありました。[ビデオ(字幕)] 7点(2013-04-25 00:47:04) 1507. パブリック・エネミーズ J.デップとC.ベールか・・皆さんご指摘の通り、かのヒートのデ・ニーロとパチーノの存在感の十分の一位でしたな。全体的に薄味な出来・・。特にC・ベールには覚悟とか気合とか、峻烈な覇気が感じられなくって、こいつに捕まってたまるか的な弱さがダメだと思った。それに比べればデップの方が人物造形に奥行きを持たせた描写があってまだしも。というかラストで第三の男である捜査官があんなに鮮やかではやっぱり作品としてバランスが悪いでしょう。[CS・衛星(字幕)] 5点(2013-04-25 00:30:30) 1508. エネミー・オブ・アメリカ 《ネタバレ》 久しぶりに観たG・ハックマン、すっかり老けてて眼鏡かけてて誰だか初めはわかんなかった。分かんなかったけど、なんか存在に華があるというか、オジサンなのにW・スミスを食ってるなあと思った。いやあジーン・ハックマンでしたか、そうでしたか。ハリウッドベテランのオーラって凄いなあ。もんのすごく頭の良いハイテク合戦だったのが、フィナーレが最新機器と無縁の差し向かい銃撃戦だったのには笑った。[DVD(字幕)] 6点(2013-04-23 23:53:29) 1509. 真実の瞬間(1965) 《ネタバレ》 一攫千金とばかりに闘牛士を夢見た男が見事スター・マタドールに成り上がり、しかし日々命をすり減らすショービジネスに徐々に消耗してゆく・・、と話はややありきたりではあります。でも闘牛のシーンは迫力があり、主人公の彼の牛をかわす身のこなしが流麗でセクシーで見惚れます。闘牛の人気って命がけのハラハラ感のほかに、刹那的な美しさも魅力なのかなあ、と新しい発見でした。マタドールの素敵さはよく分かったんだけども、でも牛が血まみれで絶命するのにやんやと喝采はできないなあ・・ヒト様の文化なので何も言えませんが。[CS・衛星(字幕)] 5点(2013-04-19 01:02:55) 1510. アマデウス 《ネタバレ》 ああー、サリエリ、貴方の心のありようが私にも手に取るようにわかるよ。嫉妬と、一方でモーツァルトの芸術を完全に理解できるのは自分だけという強烈な自負心。神は残酷なものだなあ。創り出せはしないけど、理解できる能力だけを与えるなんて。皇帝には“聴く耳”が無かった。完璧なオペラを前に欠伸をする皇帝を見て、うすく微笑むサリエリの暗い喜び。モーツァルトとの作曲に精魂を傾ける姿からもわかる倒錯した愛情。光り輝く稀代の天才の傍らにいたばかりに、その影となってしまった男。悪魔と取引したばかりに代償を晩年に支払うこととなってしまった。美術も演技も脚本も音楽も全てが濃厚で、息もつけないくらい。完璧。[映画館(字幕)] 10点(2013-04-19 00:44:51) 1511. ブーリン家の姉妹 映画の感想で、歴史上の人物の悪口を言うのはなんか違う、とはわかっているのだけどヘンリー王ってやっぱどうかしてるわあ。ほいほい貴族の首がとぶ時代とはいえ、6人も王妃を娶ってうち2人の首を斬るって・・ああ猜疑心が渦巻く王宮の凄まじいこと。エリック・バナが肖像画と違いすぎる。あんな気弱なイケメンなんかじゃなかったはずだー絶対。いかにして娘を王に差し出すか、という節操の無さがお話の大勢を占めているのだけど美術は完璧だし、王妃役のアナ・トレントがひとり凛として美しくて私は完全に王妃派でした、はい。[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-04-18 17:55:31) 1512. ダークナイト(2008) 《ネタバレ》 やっぱり長いし。バットマンなのに“正義とは”でみんなしかめ面してうっとうしい。なんとG・オールドマンまで大真面目。ヒロインのキャスティングには問題大ありだし。けれど数多の粗がかすむほど、ヒースのジョーカーが凄い。バットマンのジョーカーといえば、J・ニコルソンで完全体だと誰もが思っていたはず。リニューアル版でかの役に挑むなど、この勇気と覚悟に気圧される。コミック色を排したノーラン版に合わせてか、ヒースのジョーカーはリアルな狂気が全身から放電しているかのよう。わざわざ顔に塗ったんだ的なメイクが、口裂けの物語をひとつひとつ創作した感じが、この男のサイコパスぶりを感じさせて総毛立つ。相手の信義を破壊すべく策を弄する、これぞ真の悪党。あっぱれな役者魂。とうとう模倣犯をも現実世界に生み出したヒース渾身の異形キャラに、点数すべてを捧げます。[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-04-16 14:46:52) 1513. 奥さまは魔女(2005) N・キッドマンは「オファーが来ないかもしれない強迫症候群」なのかしら。来る仕事は拒まず、あっぱれな姿勢かもしれないけどこの映画でこの相手役でサマンサをやりませんかって、これは新進女優のための席じゃない?ダーリン役のウィル・フェレルと釣り合いが取れなさすぎで画面がめちゃめちゃです。[CS・衛星(字幕)] 2点(2013-04-13 23:20:21)(良:1票) 1514. サイン 《ネタバレ》 ・・私これけっこう気に入ったんですが・・みんな厳しいなあ。私も初めは予告のミステリーサークルの画からしてうさんくさいなあと警戒してたのですが、しかしテーマは一人の男の魂の再生の物語だったですよ。たぶん監督、予兆と何をリンクさせようかなあと考えて、幽霊は使っちゃったからよし、宇宙に担ってもらおう、としちゃったもんだから客の耳目がそっちに行っちゃったうえにエイリアンの造形がちと陳腐で評価散々の憂き目に。いや抑えに抑えたメル・ギブソンの演技、P・フェニックスの大真面目っぷり、良いじゃないですか。映画の質感も抑制が効いて上品。亡き妻の部屋から、不穏な電話を受けるメルを撮る場面や包丁に写し出された“何か”の影、ブラウン管に映る“例のもの”。ひっそりとして研ぎ澄まされたようなカメラワーク。うるさい音楽に耳を煩わされることのない静けさ。電話の音には飛び上がった。所々にはさまるユーモアも好き。ああー消されちゃった叔父さんの“水着特集”、メルも絶句するぺかぺかのアルミ帽子。“ムー”みたいな本を三人で拝読、ちゃかすメルと怒る息子が可愛い。みんなばかにするけど、現実にあんな報道があったら誰でもホアキンになると思うよ。[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-04-12 01:28:42) 1515. TAXi 《ネタバレ》 なんかリュック・ベッソンって、大真面目に腕まくりして大作に取り組むよりは、低予算でやりくり、センス勝負の小品の方が出来が良いような気がする。この作品も強盗団はじめ警察の皆さんもどこかユルイ。本格アクションをお好みならば「真面目にやれよっ」と思うかも。上司の彼女はモデル以外には見えないし警官のあいつは阿呆すぎる。家まで焼くか。ああユルイ。「ビンタか押し倒し成功かは五分五分」と言ってたけど、観ているこっちはいや、10-0でしょ、と分かっているわけで、お約束通りの展開に思わず微笑んでしまうという。私けっこうこのユルユル感、好きです。[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-04-12 00:57:11) 1516. マリー・アントワネット(2006) ソフィア・コッポラのしたかったことがストレートに伝わるポップでキュート、少女趣味爆裂のブルボン絵巻。舞い散るフリルとレースの層に目がちかちか。ピンクでゴールドな小物の数々、可憐なお菓子。気合てんこもりの美術に目くらましをかけられそうになるけれど、K・ダンストのマリーは無邪気な女子高生みたいで、いやあだって当時14才で嫁いだという史実を思えば実際ほんとにこんなお嬢さんだったのじゃないかしらと思わせて好演だったと思う。後半の暗さは物語のボルテージを一気に下げてしまって、中途半端。マリーアントワネットをポップアイドル仕立てにしたかったのなら、あの革命をも軽やかに生き抜いたくらいの創作をしても良かったのかも。ソフィア・コッポラにタランティーノばりの胆力が無かったのは残念だ。[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-04-12 00:40:14) 1517. ひまわり(1970) 《ネタバレ》 何度も観ているけど、分かっちゃいるけど、また号泣。オープニングの、マンシーニの音楽と地平線まで埋めつくす金色のひまわり、ここでいきなり涙腺にくるけど、堪える。ロシアの大地が広くて美しいなあ。無数の十字架と黄金色の畑、反則なまでに甘美な音楽。きりっと男らしいソフィア・ローレンと子犬のような瞳のマストロヤンニ。ロシアで探し当てたマストロヤンニと言葉も交わさず列車に飛び乗るソフィア、ついに涙腺決壊だ。後戻りできない現状を、苦さを噛みしめて受け入れる二人。二度と会うことはないだろうと悟った二人の、別れの駅。未練を残すマストロヤンニの瞳と、ぽろりと涙をこぼすソフィア。ここに至っては私は嗚咽状態である。泣く行為は心をすっきりさせる効果があるというけれど、この映画は泣いても泣いてもつらい。切ないよ。まぶたが腫れ上がってしまうので、観賞時は選ぶべし、と学んだ映画でもあります。[地上波(字幕)] 10点(2013-04-11 00:55:19)(良:1票) 1518. ベニスに死す 《ネタバレ》 おじさんが延々と熱っぽい目で少年を追ってるだけですから、話は面白くはないです。とはいえ、ベニスの街並に貴婦人と美少年おまけに疫病、と舞台も小道具も完璧に揃って、これは退廃美ジャンル(そんなのあるのか)の中でも最高峰に位置する一作。自らの手で美を完遂すること叶わなかった老芸術家が神の創りたもうた完璧な美と心中する。自分は醜く朽ち果てようと、彼の心の幸福はいかばかりか。ビョルン・アンドレセン、凄かったですねえ。当時はちょっとした事件を目撃したかのような衝撃でしたよ。少女マンガの存在が具現化して立ち現れたんですから。このキャスティングでなければもちろんこの映画の成功も無かったと思われます。[ビデオ(字幕)] 6点(2013-04-11 00:30:41) 1519. セルピコ アル・パチーノは反社会の象徴みたいな役以外にも、こんな真逆なキャラクターも上手いんだあ、と唸る一作。汚職を糾弾する役回りですもん、人はそれを“正義”と呼んだり、立場が違えば“変人”であったり。一人きりで闘うことのなんと孤独で困難なこと。作中ずうっと思いつめたようなパチーノの瞳が印象的。考えさせられることは多い映画だったけれど、なんかこうお尻がもぞもぞして居ずまいが悪いのは、もしも組織の中にいたら自分も賄賂を断る勇気なんか無いのではないかと自問してしまうからなのかしら。[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-04-11 00:12:42) 1520. オール・ザ・キングスメン(2006) 《ネタバレ》 あれー、これって権力を得たために、当初の清廉な志から変容してゆくペンの人生を描くのではなかったのですかね。なんにもしてないJ・ロウの人間関係ばかり熱心に描写するけども、ふくらましが足りなくってすっかすか。ペンに至っては徐々に変わってゆくどころか、一こまで机に足をどかーんとのせる横柄なクソおやじに変貌。早っ。ペンの人生なんてテーマじゃないんだよ、ということか?いやそれにしたってJ・ロウの人生だって描けてないって。あと、台詞がなんかいちいち哲学ぶっているというか詩的というか、気取っているというか。やだったなー。うるせえと思ったなー。 [CS・衛星(吹替)] 3点(2013-04-04 17:41:54)《改行有》
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