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プロフィール
コメント数 2001
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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141.  パリの調香師 しあわせの香りを探して 《ネタバレ》 大人の人生が交錯する話を描くなら、やっぱりフランス映画はすごく巧い。人生への考察が深くてそして本作は優しい。品があって上質なのでした。アンヌの着用しているコートのように。 エマニュエル・ドゥヴォスが頑固な芸術家(調香師)を演じているのだけどこれがまた見事に‶取り扱い面倒な人”で。じろっと人を見る目線とか冷たく反論するその口元とか、さすが大御所女優の演技力です。その頑なさが彼女にとっては防御たる鎧と気付いてからは、どんどん親しみを覚えていきました。 運転手ギヨームの人生についても丹念な描きっぷり。娘の共同親権を得るために奮闘する姿は健気そのもの。世の父親にありがちな、ティーンの娘の気持ちを正確に量ることができなくて失敗したりする姿には、笑っちゃうけど泣けました。ユニコーンついてるトレーナーは着ないですって。(なんでこんな良い奴が離婚沙汰になるのかしらという疑問はちょっと湧きますね) 人生の挫折を乗り越えて新たな局面に進むとき、一緒に力と思いやりを分かち合える人が側にいるのってほんとに僥倖なこと。観た後はこちらにも幸せな気分を分けてもらえました。[CS・衛星(字幕)] 8点(2024-02-26 22:31:07)《改行有》

142.  ディナーラッシュ 《ネタバレ》 舞台であるイタリアンレストランと、そこにいる人たちがとても魅力的な群像劇。 お店は監督の有する本物だそうで、だからこそのリアリティなのですね。フレンチのように気取らず賑やかで、でも心が落ち着く種類のざわめきで満たされている。粋なバーテンが場を回すミニ・バーの心躍る空気。地下厨房からキビキビと上がってくる一皿一皿がしっかり美味しそうなイタリアン。舞台装置が素敵に整っているうえ、そこに配置された個性的な人間たちの日々のドラマも興味を引きます。 ギャングとの駆け引きが文字通り命がけのオーナー。女にだらしないけれど腕の立つ料理人の跡取りシェフ。ギャンブル依存で首が回らなくなってるサブシェフと、男女のあれこれ。 皆しょってる人生が濃いなあ。アーティストを目指すウェイトレスや、厨房内でちょっぴり格上げになった若手料理人とか脇役の者たちも存在感があって単なるモブではないです。一人ひとりに目配りの効いている脚本だからこそと思う。出時間の少ない料理評論家のおばさん二人のインパクトの強さをごらんあれ。もう忘れ難い。 なんてことない一日を切り取った形であっても観られる作品になったでしょうけど、どっこい終幕に向けて驚きの伏線回収も見せてくれます。ちょっとしたカタルシスも得られて、とても面白かったです。[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-12-29 14:21:21)《改行有》

143.  ドミノ(2023) 《ネタバレ》 これ面白かったですよ。邦題がぱっと見意味分かんないのも、話を予想できなくて良かった。 序盤~中盤までの流れからは全然思ってたんと違う所へ着地。この驚きが快感なタイプ(わたしです)は必見。 プロットの全体像(国家VS個人の超能力バトル)は昔っからよくあるものだけど、見せ方がぐっと洗練されて巧い。画像加工の技術はもちろん、逃走劇を引っ張って引っ張って、ついに主人公が気づいた場面はその鮮やかさに「えええ」と声が出そうになりました。 配役も良かった。ベン・アフレックは安定感あるし、敵方W・フォクナーは風貌からして手強いし、娘ちゃんハラ・フィンリーもラスボス感漂ってて頼もしい。 尺が短いので頭も疲れない。ノーランが畳みに畳んだ何層もの折りパイだとしたら、こちらは手軽な練りパイといった感じ。どっちも好きです。[映画館(字幕)] 8点(2023-11-10 21:17:12)《改行有》

144.  AKIRA(1988) 《ネタバレ》 わたしの知る(そんなに数は多くないけど)日本アニメの中で一番‶かっこいい”のが本作。 猥雑なネオ東京のブレードランナー味、狂気の度合い強めな暴走族、政治屋。一見無秩序な近未来都市を疾走する金田のバイクの鮮烈さ。 カオスで暴力的な社会にさらに暗い影を落とす圧倒的エネルギーの存在と、その中にあっても尚信じるに足る金田の熱さ。対照的に心に刺さる鉄雄の卑屈。 硬質で容赦無くて美しい。どこに連れていかれるのかどきどきした。 クール・ジャパンの代名詞のようなAKIRA。30年経ってもこのジャンルでAKIRAを超える作品をわたしは知らない。 空を切る真っ赤な金田のバイクを、わたしは本当に東京オリンピックの開会式で体感したかった。MIKIKO案が見たかった。[ビデオ(邦画)] 8点(2023-10-06 23:19:31)《改行有》

145.  Summer of 85 《ネタバレ》 オゾン監督のタクトが冴えわたる繊細で美しい思春期。初恋の喜びと、その喪失による心の痛み。十代のキラキラを見事に体現した新鋭二人バンジャマンとフェリックスが素晴らしいです。 アレックスは純粋で一途。ダヴィドは奔放で小悪魔的で、男女間の恋愛に置き換えてもよく見かけるこの構図。 ダヴィドみたいのは人を惹きつけるんですよねえ、かっこ良いもん。だけど彼の魅力である明るい軽やかさは時に誠実さとは距離が遠いものであるんですよね。 ちょいちょいそんな彼の性格は顔を出してたのだけど(ヨットを片付けてくれてなかったとか)、恋は盲目。アレックスはダヴィドを慕い続けて破滅へ向かってしまう。わたしが好きなのはここで飛び出す英国女子ケイトの恋愛金言。「あなたが愛していたのは彼ではなかったのだと思う」 そうなんだよね 結局人は自分の理想に恋い焦がれるもの。無理に理想のカタチをはめられても相手は「重い」と負担に感じるのです。 フランスの海辺の風景も美しいし音楽も80年代ぽくて(ロッド・スチュワートだ!)素敵です。しみじみと心に沁みました。[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-10-03 16:14:28)《改行有》

146.  インビクタス/負けざる者たち 《ネタバレ》 マンデラ大統領の激動の人生を、95年ラグビー南アW杯にスポットを当てて観易く仕上げた脚本力が見事だと思いました。スポーツイベントの持つフェアな爽やかさが、人種差別というえぐみを中和させる効果もあって心地よい仕上がりになりました。 キャスティングも超安定。フリーマン大統領とM・デイモンキャプテン。ハリウッドでもトップクラスの「信頼感を醸す」二人ですから、これはもう心の底から任せた、という気持ちになりますよね。 試合のシーンも良かった。もっと観ていたいと思わせるような臨場感がありました。 ラジオ実況を聞く白人のおっちゃんたちと黒人の子どもの連続一コマ劇場、いいなあこれ。見る度に縮まる距離と、いつの間にか買ってもらってるジュース。笑って泣きました。 ああ、ひとつだけ。低空飛行を演出したパイロットもとい航空会社は事前に警備および主催に連絡しとくべきだったとは強く思うな。[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-09-10 19:06:59)《改行有》

147.  ライダーズ・オブ・ジャスティス アナス・トーマス・イェンセンが贈る「かん違い世直し」奇譚。 理不尽な辛い目に遭うと人は因果を求めたくなる、これって洋の東西を問わないのですね。エストニアのタリンで女の子が青い自転車を欲しがったことから始まるデンマーク住みの家族の悲劇。 たしかに繋がってはいる。けれど、今生きてる我々の現在はなにがしかの結果であり、流れの途中でもあるのだから振り返って遡っても意味はないよ、キリが無いよと軽やかに言ってのける監督のセンスを大いに支持したい。 人物らがクセありな面子ぞろいで、いかにもイェンセン。傷心の父娘の前に現れるは三馬鹿(と言いたくもなる)トリオのおっさん。彼らの純度の高い阿呆力がじわじわと観てる方にも浸食してきます。いや、みんな傷ついててけっこうボロボロなんだけども。今作では飛びぬけて乱暴者のマッツも彼らの悪意なき天然に浄化されてゆくよう。 後に一人加えての、ラストのクリスマスシーンは奇跡的なまでに幸福な画でしたね。ああ、自転車タリンに渡ったんだ・・。思うところはあるけれど、まあいいでしょう。デンマークの6人が今幸せなのだから。[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-08-13 23:08:41)《改行有》

148.  告発のとき 《ネタバレ》 こんなに原題とかけ離れた邦題もないのではないか。これではジョディ・フォスター主演のやつかな、と勘違いしてスルーする人もいるだろうし、第一制作の思いが全然伝わらない。 トミー・リー扮する父親は古いタイプの軍人。かつての自らの軍人としての経験・信条が未だに生きていると信じていたのでしょう、息子二人も軍人になった。父は息子に語るのでした「共に戦線で命を張った仲間を裏切るはずはない」「お前はちょっと神経質になっているだけだ」。 でも現在の戦争は彼の時代と大きく様変わりした。父たるトミー・リーは大きく見誤っていたのです。 かつてエラの谷で英雄になったダビデの物語。(これが原題ですね)幼い子にトミー父が語ったような「勇気をもって戦えば勝利することができるんだ」的理想論はもう通用しない。 戦争はより複雑化して残酷になって人間の心を粉砕してしまうということを、ラストに息子の同僚に聞かされているトミー・リー。彼のひしゃげた顔はむごくて見ていられなかった。 トミー父の傍に地元刑事であるシャーリーズ・セロンを置いてサポート役にしていることが、観ている側の理解を助けます。彼女もまた、職務において自身の判断の誤りで悲劇を回避することができなかったという重荷を負っています。そして幼い息子の「なぜ王様はこどものダビデを行かせたの?」という問いに答えられない。 なぜ国家は若者を殺すのか。敵はゴリアテではなくなっているのに。国旗を逆さに掲げたトミー父の絶望を思うとやり切れない。 誰も勝者のないイラク戦争の一端を、静かに深く掘り下げた作品でした。[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-07-23 22:29:44)《改行有》

149.  最後の決闘裁判 《ネタバレ》 ああ、苦手な中世だ。科学も芽生えてなくて因習ギチギチで人間は争ってばかりの。さすがリドリー・スコット、画の力にかけては当代随一の手腕とセンスの監督です。眼前に広がる石造りの城も荒野も硬くて寒々しい中世ヨーロッパそのもの。画力だけで映画作品としての格の高さを感じます。 主演の三名の演技も良かった。各々の視点に沿って出来事を描く羅生門スタイルであるゆえ、それぞれが三パターンの演技を要求されるのですが、なかでもジョディ・カマーが見事。微妙な表情はちゃんと三通りに違い、三番目の‶本物のマルグリット”がやはりというか一番説得力のある造形でしたよね。 それにしても現代の人権感覚では何もかも理解しがたい話です。実事件とはいえ数百年も前のこと、この映画の解釈とは別の事情があったのかもしれない、とか色々考えさせられました。だって敗けたらマルグリットも火あぶりだなんて。なんでこんな滅茶苦茶な決闘裁判に臨むの二人とも。ああやだやだ中世こわい。 三パターンのドラマを観終えて思うはクソな男どもに搾取されるばかりのマルグリットの心の痛み。封建時代の根底に流れるあまりの男尊女卑の思想にはめまいがしそうになりました。こんな時代でも仲睦まじい夫婦もいたんだよねきっと?そんなお話を聞きたいな。[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-06-25 18:14:08)《改行有》

150.  エンド・オブ・ウォッチ 《ネタバレ》 数ある「ロス警察もの」の中でも屈指のドキュメンタリー感です。演技巧者J・ギレンホールとM・ペーニャが普通の公務員たる警官にしか見えないので、彼らの日常そのものに付き合ってるみたい。まさしくLA警察24時です。 奥さん役のアナ・ケンドリックもほどほどの中流美人なので‶一般感”がより強まった効果があり、キャスティングの妙味と思います。 ひと月の間に一体いくつ映画になるネタが転がってるんだろうというレベルの、極めてハードな勤務内容でにわかに信じ難いほど。しかし監督自身がこの犯罪多発地区で育ったというのだから、普通に「ある」のでしょう。薬物絡みの酷い犯罪も人種差別に起因する銃犯罪も警官への暴行も。それも毎日毎日。 ドキュメンタリーの題材レベルの事件が次々に起きて、でも一つ一つに丁寧に関わってる時間なんかなく流れてゆく日常と化している犯罪と隣り合わせのエリア。これってつまり地獄なんじゃないの。何とかすべきじゃないの、との制作の叫びそのものの映画。わたしが子どものころ、アメリカはもっと伸びやかな自由の国のイメージだったのに。心して観ないとふらふらになりそうだ。[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-05-21 23:27:35)《改行有》

151.  さらば友よ 《ネタバレ》 いやあーもう何、グッとくるこの二人。神経質そうなピリピリ感を纏ったドロンと、人を食ったようなニヤニヤ顔のブロンソン。こりゃ絶対ソリ合わなさそうだもんね。実際やたらと殴り合ってるし初めのうちは。 あんま聡明な印象じゃないんだよね二人とも。ドロンは賭けゲームも下手だし女には良いように使われるし。大体数字も揃ってないのに金庫開錠に臨もうだなんて。(しかも女はちゃんと知っていたわけで) ブロンソンはブロンソンで怪しげな手段で小銭稼ぎしてるし。女の子に妙な辱めを与えての、あの妙なパーティは一体。 ああそれにブロンソンたら得意なはずの「表面張力寸止めコイン投入技」に肝心な時に失敗してんの。パリ警察にしつこく苛められるブロンソンてのもまた見どころではあります。 互いが互いを売らないと決めた漢気あふれる終盤は、静かなれど胸アツ。ドロンが立ち去るブロンソンにタバコの火を差し出すラストはハードボイルド映画界でも屈指の名場面と言えるでしょう。 ‶yeah"が渋く耳に残るオッサンたちの物語。そして二人ともやっぱり脱ぐんだな、これが。[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-05-09 22:44:23)《改行有》

152.  セリーヌとジュリーは舟でゆく 《ネタバレ》 まさに映像で見る「不思議の国のアリス」。アリスの世界観を実写にするときっとこんな感じ。 もっとも、鑑賞の仕方にはコツが必要です。コマや人物らに整合性を求めるととてもツライことになります。わたしも中盤までは訳わからなくて泣きそうになりましたもん。 もう、監督の手に委ねちゃうことです。目にしたもの全部受け入れる。そうしたらお話が頭からキレイに虚実ない交ぜに入れ替わりながら、繋がっていることが分かります。 「入れ替わる」、これ現実でもアチラ側でも発生してて幻惑状態です。なぜ顔が違うのに久々に会う恋人とすんなり受け入れてしまうのか。そもそもジュリーあての電話を取るなよ。セリーヌの仕事をつぶすなよ・・。や、いかん。こんなことを考えてはいけないのだった。ラストを見てごらんなさいよ。もうそれどころじゃないから。 よく笑って元気いっぱいの女の子二人に引っ張られながら、迷宮の探索に行きませんか。なかなかびっくりしますよ。 ともかくも斬新な経験。有無を言わせぬ感性で一本撮りきっていて、こんな映画は初めて観ました。[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-04-29 22:21:18)《改行有》

153.  処刑人 《ネタバレ》 シリアス寄りのクライム・ムービーと思って観始めたんですよ。見目スタイリッシュな兄弟、クラシックを聴きながら現場を検分するクセ強そうなFBI、マフィアが殺られてこれは血で血を洗う惨劇に発展するのだろうな、おっかないな・・・と。 いや、シリアス目線を捨てたのはどのあたりだったかな。デフォーが床を共にした相手(男)に「このオカマ野郎」(!!)と言い放ったトコだったかな。ここで点になったわたしの目はその後ずーっと点々のままでした。 わりかしすぐ殺られる悪役マフィア、キレいまいちのアクションシーン、主人公兄弟二人の狂気度の低さ等、バイオレンス分野最高峰のタランティーノレベルには及ばない。及ばないものの、怪方向へ振り切れたW・デフォーの貢献もあって、おやなかなか良いんじゃないかこの映画、と私的評価はうなぎ上りに。 デフォー、凄いもん。どんどん加速度増しの怪演だもん。仕草も表情もどんどんと。セルフパロディまでかますのかあ、そこがピークかと思いきや血も凍る女装ときたもんだ。参りました。 正直デフォーが凄すぎて兄弟側の主張「悪への社会的制裁」の是非についてはけっこうどうでも良くなっちゃった。 Pコートの着こなし方のお手本とW・デフォーの最高の仕事が観られる、わたしにはコレはそんな映画です。[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-03-09 17:58:27)《改行有》

154.  1917 命をかけた伝令 《ネタバレ》 1カットが話題となった本作、観る前は映像酔いを心配したのだけど意外なほど観易かったです。むしろ中盤まで‶切れ目のない”ことに気付かなかったほど。 主人公目線の多さゆえ、その者とのシンクロ感が半端ないです。前線に飛び出して行く時は身体がすくむ思いがするし、振り返ったら仲間が刺されているショッキングな場面では腰が抜けそうになりますし。チキンなわたしは引き返したいけどもちろん主人公は前に進むので、なかなかしんどかった。 撮影技術の進歩を実感する、こういう「体験型」作品が増えてますね。命令を届けに行くだけのこの話、第三者目線の撮り方をしたら単調になってしまって、これほどの緊張を伴う仕上がりにはならなかったのかも。 映像がまたキレイなんですよね。緑の稜線、夜に映える炎のゆらぎ、真っ白な塹壕すら視覚に強烈に訴えてきます。隣り合わせの死がより不条理に感じられて、印象的でした。[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-02-13 17:37:18)《改行有》

155.  座頭市物語 《ネタバレ》 邦画No1のハードボイルド味。情感は完ぺきに和のテイスト。抑えめの友情、仁義、淡い悲恋。良いなあ控えめなケレンみ。 剣術のレベルが超人的な市の、その技が三回ほどなのも良いです。あまりに連発されるとありがたみが減っちゃいますもんね。「見世物じゃねえや」です。 勝新の市は文字通り唯一無二のキャラクター。親分には(一応)へりくだりつつ、腹の中では高く買っちゃいない。そのトボけ具合と真人間としての気骨。この役をその後も誰一人ものにできていないのもむべなるかな。 天地茂の愁いを帯びた平手の存在感もおたね役の万里の美貌も、組の下っ端らのこすっからさも皆その役柄にピースのようにぴたりとハマる。観ていて快感です。 江戸の町がリアルに感じられる美術も撮影も素晴らしいと思いました。夜道は闇が深いし、人物が提灯を手渡す気遣いをしょっちゅう見せるところに日常の考証の行き届きを感じます。乱闘の際は貧しい町民の家屋の壁戸がばりばりと破られたり。市がおたねを避けて街道の脇の小高い藪の中を行くラストシーン。上から小さい彼女を見下ろした画がほんとに‶土の道だけ”で、確かに往時は馬や人が通るだけの、土ぼこりの舞うそこが街道だったのだろうなあとそんなことを思いました。[CS・衛星(邦画)] 8点(2023-02-03 23:07:49)《改行有》

156.  ワイルド・バレット 《ネタバレ》 2分で考えついたような安易な邦題が「どうせB級」という不当な先入観をもたらしている感があります。B級はB級ですけども、かなり一生懸命に練られた脚本で面白いですよコレ。 一丁の銃が次々と人の手に渡っていくにつれ広がる騒ぎと予想不可な展開。場面の一つ一つが手抜き無しに緊迫するし、次に繋がる伏線にもなるしで目が離せなくなります。少年が出会う娼婦の情の厚いこととか、チャズ・パルミンテリ扮する悪徳刑事の狡猾な存在感とかDVロシア親父がJ・ウェインに心酔のオタクぶりをまさかの場で発露するとか、脇キャラに至るまで強烈な個性を放ちます。 秀逸エピソードがベラ・ファーミガvsサイコパス夫婦の一幕。本筋とはほぼ無関係なこのくだり、無関係にもかかわらずしっかり作り込んでいてセットも役者も完璧に不気味。なぜここにこれだけ情熱を注ぐのか。良いなあ。ベラ姉さんの気っ風も麗しい。 ラスト直前の数分には複数回のひっくり返しがあります。わたしはどれも読めなかった。最後まで驚かせてやろうという気概を感じる気持ちの良い映画でした。[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-01-17 23:21:49)《改行有》

157.  怒りの日(1943) 《ネタバレ》 恐ろしいことこの上ないお話でした。体調が万全の時に観ることをお勧めします。 中世に吹き荒れた魔女狩りの恐ろしさは人類皆周知のところかと思います。この映画、人類史の暗黒出来事のすべてがつぶさに描かれていてしんどい。 人が人に不信を抱く連鎖の怖さ、嫌いな者を魔女と決めつけて処罰しようとする人間の心の狭隘なこと、いつ自分が指差されるかもしれないという陰鬱な社会の空気や拷問を受ける老婆の断末魔。気分が落ち込むこと必至です。 舞台となるのは牧師館。若い後妻と彼女と年の近い息子の帰還によって生じる家庭のひずみを、魔女狩り社会の暗い空気と連動させていることがエグさ倍増たらしめています。 元々そりの合わない姑と嫁の間にたつ波風のなか、若い二人の不倫が惨劇のトリガーに感じられて観ていておっかなくて、もう。 通常の時代であればモラルを逸した不倫は男女両名の責任であるでしょう。しかし魔女という烙印は女一人を徹底的に悪たらしめ、男は責任逃れをしてのける。その心変わりの酷薄なこと、姑の老獪なこと。絶望した若い女の表情、こんなに恐ろしく心の冷えるラストは他に数本しか思い浮かばないですわ。[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-01-10 16:29:17)《改行有》

158.  ザ・ドライバー 《ネタバレ》 わあ、これはカッコ良い映画ですね!わたしはハードボイルドの自己陶酔成分が苦手なのだけど、この作品は酔っぱらう隙が無いほどに無愛想です。へらへらと人を小馬鹿にした表情の刑事ブルース・ダーンを除いては誰も笑わない。口角すら上げない。紅一点のアジャーニすら。 ”男は黙って○○”式の美学。ライアン・オニールのストイックさが夜の街の画とぴったり合って、心ときめく素敵さです。 カーアクションも元祖作だけあって迫力あります。今ほど派手に画がブレない分、むしろ観易い。後続作品のお手本になるだけあります。 クルマの一台一台に個性と存在感があって70年代ぽいですね。オレンジのベンツが素敵!(なのに壊された。ショック。) 濃い目のコーヒーにテキーラを垂らしたようなガツン、とくるハードでクールな一本。好きです。[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-12-13 16:43:06)《改行有》

159.  赤い河 《ネタバレ》 ああこりゃ名画ですねえ。映画「シティ・スリッカーズ」で都会暮らしに疲れた現代の男たちが熱く語るのがこの「赤い河」でした。 もう、広大ですもんね空も大地も。アメリカが夢を抱いていた頃の人間の希望、ひたむきさがスクリーンに迸る西部劇のマスターピースというのも頷けます。 映像が圧巻。スクリーンいっぱいの牛牛牛。この大暴走を止めるべく疾走する男たち。この迫力、男くささ。ジェンダーだなんだとかまびすしい現在ではちょっと口にしづらいけど、これは真に男の仕事、男にしか成せない事業と思いました。いやシビれるなあ。 で、当然主人公はジョン・ウェインだから正統にかっこ良いのだろうと予想していたら、裏切られましたまさかの。よもや老害と部下らに反駁され、解任される展開になるとは夢にも思わなんだ。オイオイ、大丈夫かアンタらジョン・ウェインやぞ? それに、ワタシ的にはダンスンがさほど理不尽に横暴とは思わないんですよ。契約違反と盗みをしでかした奴はシメないと組織がばらけるでしょ。私刑はよろしくないですが。あのドロボー二人の処遇を養子モンゴメリーがどうしたのか描かれてないのがちょっと不満。[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-12-02 23:32:21)《改行有》

160.  黒猫・白猫 《ネタバレ》 良く言えば「生命力あふれる」、違う表現をすれば「カオス」な賑々しさ。人も動物も入り乱れてとにかく元気。若者は恋愛中、オヤジ連中は賭け事や犯罪で一攫千金を目論み、殺人は起こるわ豚は車を食べるわガチョウは群れるわで、ハリウッドや西ヨーロッパ仕様のいわゆる「きちんと感」に慣れた目で観るとかなり強烈です。これが東欧白人のパワーか・・。 本作においてプロ俳優はなんと3名しかいないというではありませんか。本物のロマの人たちの発散するパルス、エネルギーが本作をまるごと包んでます。あんなに歯の弱った役者がアップになる映画はかつて見たことないもんなあ。 力業なんてレベルを超えた、強引なハッピーに次ぐハッピーエンド。呆気にとられもしますが、じわじわときます。笑っちゃいました。 これほどに陽気なエンディングは、監督のバックボーンである故国が苦難の多かったことと影響しているのでしょうか。 ところで、豚がむしゃむしゃと食べていた廃車って、かつて東ドイツで製造されていた‶紙でできた車”なのかな。[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-10-22 16:24:51)《改行有》

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