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141.  リーサル・ウェポン 《ネタバレ》 - Lethal Weapon - “致死性兵器”銃とかナイフとか人を死に至らしめる兵器全般です。軍隊経験だけでなく格闘術を備えたリッグス刑事自身のことも指しています。反対は- Non-Lethal Weapon(非致死性兵器) - で、催涙スプレーやスタンガンなんかを指します。 '80年代のバディ・ムービー代表作ですね。若造と年寄り。白人と黒人。武闘派と穏健派。独り身と家族持ち。いい組み合わせです。 そこにきてリッグスに自殺願望という、あまりアクション映画の主人公らしくない設定を加えたのも見事です。 リッグスの武器の扱いには惚れ惚れする。銃を撃ちながら地面を転がる姿は素早く、どこぞのお腹の丸いダイ・ハードの人と比べると、これが本物だって思ってしまう。またどんどん遠くなるヘリを撃ち続けるシーン。砂漠で射撃ポイントまで走るシーン。捕まったあとにライフルを抱えて道路を走るシーンと、何か仕草が本物っぽいというか、刑事モノなのに元軍人っぽさが出ている気がしてとてもカッコいい。射撃場の( ・ )から(笑・顔)にしてしまうシーン、もうカッコいいのなんの。 事件は売春婦飛び降り事件を本線として、飛び降り志願の男や、子供への聞き取り、シリーズ定番のマータフ家の人々(お風呂でサプライズ誕生ケーキ、リッグス呼んでの夕食)と見所も多く飽きさせない。 私は特に最後の、リッグスの愛犬サムとマータフ家の愛猫バーバンクが会った瞬間に喧嘩するのと、そんな喧騒気にもしないで入り口の電球を穏やかに締め直すマータフのシーンが大好き。 今後安定のシリーズ化をしていくが、本作を最後にリッグスの自殺願望も無くなる。当時のメルの本当にヤバそうな目付きがたまらない。[地上波(吹替)] 8点(2022-10-09 16:11:18)《改行有》

142.  ひまわり(1970) 《ネタバレ》 -I Girasoli- イタリア語で“ひまわり(ジラソーリ)” 最初のIは男性名詞の定冠詞の複数形。花だと女性名詞な印象ですが、チューリップやひまわりは男性名詞なんだそうな。 結婚休暇や嘘の精神疾患を駆使してアフリカ戦線行きを避けたアントだけど、結果もっと悪いソ連戦線送りに。イタリアからソ連行きなんてあったんだな。てっきり死んだか、死んだ扱いで強制労働と思っていたところ。執念で見つけ出すジョバンナ。 さてあの広大なソ連で、どうやって夫を探したのか。ソ連に派遣されたイタリア軍はそう多くはないはず。旧友の「ドン河で一緒だった」も大きなヒントで、そこ近辺で総崩れした部隊にきっとアントは居たんだろうと。あとはドン河流域の村を当たっていけば…でもこれ、言葉も通じない土地でとんでもない労力と根気が必要。お金も掛かるし精神も磨り減るよな。 若くて子供もいる現地妻マーシャと、あれから10年歳を取った独り身のジョバンナの対比も可哀想。敵兵を助けて夫にしてなんて、本当にあるのか?って思ってしまうけど、ソ連ではキャベツと兵隊は畑で取れるものだから何ら不思議ではない。この2022年に一方的に他国の州を併合するような国家。国家のために働けて敵意のない男だったら、受け入れた可能性も。 ジョバンナの立場で話を追っていたけど、このマーシャがとても純粋で、全然悪い人じゃないのがまた苦しい。10年前に助けて、そのままずっと一緒に暮らしてるんだから。ジョバンナが来て、引っ越すときもすごくアントを気にして、考え込んでる時に話しかけなかったり、無理に明るく話しかけられたら笑顔で答えたり。とても良く出来た奥さんです。 ドン河で頑張ってアントを引きずるマーシャ。コレどっかで観た画だなって思ったら、レッドリボンにやられた悟空を助ける女の子だ。ほらあの、ジングル村の、ハッチャンと暮らしてる。ほら。 ちなみにロシア語でひまわりは“подсолнечник(パトソールニチニク)”だそうです。 ウクライナ語では“соняшник (ソーニヤシュニク)”だそうです。ぜんぜん違うんですね。[インターネット(字幕)] 8点(2022-10-06 20:29:27)《改行有》

143.  スパルタカス(1960) 《ネタバレ》 -Spartacus- 人名。確か中学生くらいにのときにテレビのロードショー(前後編)で観ました。大規模な行軍や戦闘が素晴らしく、スケールの大きい歴史大作として印象に残ってます。 ホント久しぶりの鑑賞。オープニングの「奴隷制度の崩壊が現実となる2000年前だ」ってところが凄い。確かに歴史を俯瞰してみるとそうなるか。 そしてスパルタカスの反乱のキッカケとなったのが、対戦相手で黒人のドラバによる命を懸けた抵抗だったこと。勝算なんて無いのに貴族席に矛を投げ襲い掛かった。この勇気がスパルタカスら奴隷たちに伝わり、大規模な反乱となっていく。 でも、中学生当時は反乱軍とローマ軍のどっちが勝つかハラハラしてたけど、最初から勝つのは無理な反乱だったんだな。 キャンプを張る反乱軍の丘を馬に乗ったスパルタカスが悠々と歩くところが好き。訓練するもの、食事の支度や子供を風呂に入れたり。奴隷で一生を終えるハズだった人たちが、あの場所で自由に生きているところ。それぞれが好き勝手に生きるのではなく、勝ち取った自由だからこそ、みんなの食事を作り、戦いに備えて訓練する。海の先への脱出が最終目標だったにせよ、あの丘の場面こそがスパルタカスたちが勝ち取った自由だったように思う。だから最後、勝てないのは解っていても、自由のためにみんな戦ったんだろう。みんながスパルタカスを名乗って立ち上がるシーンは覚えてたけど、今回観ても涙が出た。 最後のグラッカスのしっぺ返し。バリニアとの再会は覚えてなくて、トドメのボロ泣きしてしまった。[地上波(邦画)] 8点(2022-10-01 23:30:40)(良:1票) 《改行有》

144.  猟奇的な彼女 《ネタバレ》 -My Sassy Girl- “生意気なカノジョ”とかかな? “猟奇的”は-bizarre-みたいです。 じゃあハングルだとどうでしょう『엽기적인 그녀』…邦題ままですね。 冬ソナに代表される韓流ブームのちょい前、ブーム前の斥候とも言える本作。タイトルのインパクトから日本でも知名度は高く、私も興味はありましたが、今回初視聴です。もっと包丁振り回すとか危ない人物を想像していたけど、そうではなかった。 彼女が追いかけたくなるほど可愛く見えたり、『アレは無いな』って思ったりと、同じ彼女に多面性を感じたように、あぁ見えてキョヌも多面性があるんだろう。幼少まで自分を女だと思ってたそうだし。男らしく生きよう、女の子を追いかけよう。という一面の他に、意外とキョヌの女性的な面が、彼女のDV男のような乱暴な部分に惚れたのかもしれない。 西野カナのトリセツを彷彿とさせる彼女のマニュアル。キョヌを向かいの山に登らせての聞かせたくないホンネ。韓国映画だからホロリと来る系のエンディングかと思った所で、延長戦。序盤の伏線回収を絡めて、とにかく綺麗にまとまってた。 延長戦は原作にはないとのことだけど、多少力技っぽくても観た人がハッピーになれる終わりを選ぶあたり、いいセンスだと思う。 ちょっと長めの劇中劇2連発。韓国では受けるのかもしれないけどねぇ…って部分。この辺がまだ韓流ブーム一歩手前、海外進出を狙った作品っぽくなく、国内向けの映画っぽさが感じられた。ここ残しておく洗練されてなさが、却って掘り出し物感が感じられてよかった。[インターネット(字幕)] 8点(2022-10-01 16:37:57)《改行有》

145.  太平洋ひとりぼっち 《ネタバレ》 リメイクの必要がないくらい、この一本で完成されている作品だと思った。内容に全然古さを感じさせない。 前置きも何もなく、いきなり出発直前から始まる。でも進みたいけど風がないから進めない、いきなり前途多難な船出にグイグイ引き寄せられた。 石原裕次郎演じる“青年”の明るさ、前向きさ、バカっぽさが、板についてない関西弁と相まって、いい塩梅で楽しませてくれる。ひたすら陽気に孤独な旅を続ける青年。そんな彼が泣き出したりぼ~っとしたり、はたまた“もう一人の自分”との会話なんか、自ら孤独を紛らわしてるのか、孤独が生み出した幻影なのか境界線が曖昧で、結構リアルだと思えた。 あの小さい船のわりに結構な荷物が積まれていて、積み荷の目録を見ているだけでも想像力が湧いて楽しい。角砂糖とクリープとバターで作った森永ケーキ、なんか美味しそう。こけし印の牛肉缶を直接火で炙るの、ハフハフ言って食べたい。ご飯をビールで炊くの…コレは不味そうだな。水は腐っても床拭いたり洗濯とかで使えそうだけど、捨ててしまったんだな。実話をモトにしているだけに、サバイバル生活がリアルに楽しそう。 嵐に見舞われてガラスが割れたときはやばい雰囲気だったけど、他にトラブルと言えばサメと米軍機くらいか?過酷だけど画的にどうしても単調になってしまうであろう単独航海。変にアクシデントを盛り過ぎてリアリティを失うより、青年がパクパク海苔食べて暇潰ししてるのがリアルで良かったかな。 そして合間合間に青年が出発に至る経緯や家族との話を挟み込むことによって、飽きずに観せるのはうまい演出。[インターネット(邦画)] 8点(2022-10-01 15:04:54)《改行有》

146.  リトル・ダンサー 《ネタバレ》 -Billy Elliot- 主人公の少年の名前。イギリスの炭鉱町を舞台にした映画って数本あるけど、結構みんな出来が良い印象。 才能のある人が必ずしも才能を伸ばせる環境に居るとは限らない。ビリーもそうで、如何にも頭の硬そうな父親と、話の通じ無さそうな兄。徘徊する祖母。毎日の組合のストライキと、働くものへのバッシング。どう見たって将来に向かって希望を見出だせない環境で、突如ビリーに開花したのは“バレエ”という特殊な才能。もともとビリーにボクシングを習わせていたのは、単に男らしさを身に付けさせるためでしか無かったんだろう。 父親として、息子の将来にレールを敷いてやれない現状。 そんな父の決断、覚悟が凄い。自分の信念、置かれている環境、それを全部捨ててでもビリーのバレエの才能に全部賭け、炭坑行きのバスに乗る覚悟の重さ。 『息子がバレエが好きだから』とか、そんなレベルでする覚悟じゃない。炭坑の仕事は遅かれ早かれ無くなる。自分もトニー(兄)も失業して別な仕事を探さなきゃいけない。だけどビリーだけは将来バレエで食べていける。息子に自分と違う人生を歩ませる為、偏見を捨て、自分の価値観を捨て、父親として出来る限りの、なりふり構わない手助け。この姿勢こそが本当の男らしさ。父親らしさじゃないだろうか。 女の子との関係。親友との関係と、男女の性に対するビリーの苦悩とかがもっと描かれるかとも思ったけど、ビリーは一本筋の通った男らしい少年だったかな。それでいて親友の性に対する悩みにも理解を示せるあたり、あの父親の子供なんだなぁって、微笑ましくも思えた。[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-09-25 18:21:14)(良:1票) 《改行有》

147.  蒲田行進曲 《ネタバレ》 「コレが、コレなモンで」ってモトはコレだったのか。 とっても勢いがあって、サクサクとスピーディな展開に目が離せない。問答無用で小夏をヤスに押し付ける銀ちゃんの無理やりさに『ちょっ、えぇ!?』ってなりつつも、何だかんだ状況を飲み込んで、2人イイ感じになって行くところが面白い。 身勝手に自分のことだけ考える銀ちゃんだけど、要所々々でみせる気の弱さとか、言葉にはしないヤスへの気持ちとか、憎めないキャラに仕上がっている。 ヤスの地元の大歓迎っぷり。事情を察知してる母の言葉。コレはコレでありなのかもなぁって思えてしまう。大部屋の苦労も笑いに変えて、ヤスがスタントに体を張るごとに増えていく小夏の快適グッズ。 最初っからデーンと構える未完成の大階段が、後の波乱を物語っている。後半シリアスになるけど、散々引っ張っての大階段落ちは大迫力。その後の大団円で一気に緊張していた空気が溶解するのもお見事。 銀ちゃんだけでなく、橘こと原田大二郎、千葉真一、志穂美悦子、真田広之といった銀幕のスターたち。 対するスターを輝かせる名もない大部屋の人々。住む世界の違うスターと大部屋。 この映画は、大部屋のヤスが一瞬だけスターになった映画にも観えるけど、そこを“チャンチャン”として、コレは映画だ!って終わらせる。 撮影所の映画だけに、最後の大合唱が生きてくる。色んな人が関わって、色んな思いがぶつかって、一本の映画が出来てるんだなぁって。コレが映画だ![インターネット(邦画)] 8点(2022-09-17 19:17:39)(良:1票) 《改行有》

148.  父と暮せば 《ネタバレ》 『母と暮せば』は観ていたが、正直あまり良い印象が残ってなくて。本作は3部作の1作めって事なので、どうかなぁ?って思ったけど、予想外にガツンと来た。どこか幼さが残る娘と、頼りになる面白いお父ったん。テンポの良い親子の会話が心地よく、重たい原爆の話だけどスルスルと抵抗なく観られた。親子で押入れに入るのカワイイ。 お茶もまんじゅうも口にしないお父ったんに『あっちの映画同様、亡くなってるのかなぁ?それがこの映画のオチかなぁ』なんて思ったけど、案外早くに亡くなっていたことが解る。そこが観どころじゃないんだ。 ストレートに、当時原爆の下に居た人たちの恐怖を語ってくれる。まるで読み聞かせのようだ。浴衣姿のおっとりした美津江の昔話から、エプロン劇場と陽気に始まったお父ったんの広島の一寸法師。広島の人が鬼に対し、原爆瓦でどうしてやりたいか。忘れることの出来ない内に秘めた怒り。美津江じゃなくても怖くなった。原田芳雄の語りの、息が止まるような迫力。 美津江の話。感情を抑えきれなくなったアキコさんのお母さんから出た言葉。父を助けられず見捨てて逃げたこと。あの時生き残った者が幸せになることを阻む。3年前の記憶がいつまでも美津江を苦しめる。宮沢りえの語りも、まるで生存者の体験談のように生々しく聞かせてもらった。主演2人の聞かせる力。 最後のは何だったんだろう?あの不安を煽る音楽と原爆ドームから、美津江ももしかして?って思ったりもしたけど、きっとたぶん、料理してる美津江のカットと、家の天井から続くドームのカットは、続いてるように観えて、別カット、別の建物なんだろう。 ドームの外に咲く2輪の花は、原爆の後を生きる生命で、たぶん美津江と木下さん。観る側に木下さんの具体的なイメージを持たせるために、敢えて浅野忠信を登場させたんだろうか。モヤモヤさせる終わりにした監督の意図は掴めなかった。 モトは舞台の戯曲として創られて、ほぼ舞台そのままのスタイルで映画化されていると思う。だから伝えたいテーマがシンプルに伝わる。死者が会話するファンタジー要素を入れて、死者と生存者の両方の体験者の話を聞かせる。 「前の世代から伝わる話を、いじったりせずに、あとの世代に忠実に伝える」この映画のテーマは、美津江の所属する昔話研究会の方針と通ずるものがあるんだろう。この話を映画にすることで、より多くの人が目にする機会が増えるだろう。私も映画だからこの作品を観る事が出来た。恐ろしく心にガツンと響く映画だけど、観て良かったと思ってる。被爆者の気持ちを“いじったりせず、忠実に”表現したこの映画を、一生に一度で良いので観てもらいたい。[インターネット(邦画)] 8点(2022-08-31 21:42:45)《改行有》

149.  小さな恋のメロディ 《ネタバレ》 -Melody- “快い調べ”…ほう、なるほど。今更だけど邦題の解釈が深まる。トレイシー・ハイド演じる女の子の名前でもある。 また- S.W.A.L.K -のタイトルが付けられたこともあったそう。意味はwikiに。 学校生活や運動会の様子が実に自然で、あの年代の子供を活き活きと描いている。気軽にタバコを吸っているのに驚くけど、お国柄かな。 男の子たちは空き地の廃墟で手製爆弾に火を付けて盛り上がってるし、女の子は墓場でミック・ジャガーのポスター(“ミュリエルへ愛をこめて”ってサイン付き。本物ならとっても貴重)にキスしてる。 幼い2人のデートも、ホントただ遊ぶだけで可愛らしい。恋愛と友情は別物なのに、その区別が曖昧な年齢だから、ダニエルをメロディに取られたことに嫉妬してるトム。なんかわかるその気持。ダニエルをからかって憂さ晴らしするのは子供らしいけど、ケンカのあとすぐに謝れるのは、やっぱりトムって一歩大人。家でおじいちゃんの世話をするだけある。 性を語るにはまだ幼い男女の恋愛、お互いが好き同士で、ずっと一緒にいたい。けど好きのその先どうして良いか解らないから、いろんなものをすっ飛ばして辿り着いた結論が、結婚。 スパッと一言でいうと「お前にはまだ早い!」なんだけど、理屈をぶつけるのではなく幼いメロディに解るように話すお父さんの優しさ。「幸せになるのって何でこんなに難しいの?」社会を知らないからこそだけど、もっともな正論を言うメロディ。有名な墓場の雨宿りのシーンから続くこの場面大好き。 この映画、米英ではヒットしないで、日本で局地的に大ヒットしたとのこと。 最後の“自分たちでなんとかしようとする子供 VS 社会のルールに則って阻止しようとする大人”の構図は、日本のジュブナイル物でよく出てくる構図で『ぼくらの七日間戦争』なんかを彷彿とさせる。 社会のしがらみからどこまでも逃げていく2人が、抑圧からの開放っぽくもあり、四畳半フォークが流行ってた当時の日本で、この映画がウケる要素が詰まっていたのかなぁ。この映画の『キスシーンもない純粋な子供の恋愛映画』の一面より、そっちの面がウケたような気がしないでもない。[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-07-13 10:41:33)《改行有》

150.  異人たちとの夏 《ネタバレ》 片岡鶴太郎の演技力がとても評価されてた記憶がある。コメディアンが映画に主演して、真面目な演技をして評価されるって、当時としては珍しいことだったと思う。そんな人、北野武くらいじゃないかな?テレビで初めて観て、なるほど納得。見事に“英雄のお父さん”を演じていた。 本作が大林宣彦監督作品だって忘れてた。若者の青春映画の監督ってイメージだったから、こんな大人のメルヘンファンタジーを撮っていたことに驚いた。当時の私は知って観てたのかな。ホント忘れてた。 画面から伝わる夏の暑さ。浅草の異世界感。「暑いから脱げ」ってセリフがホント両親っぽい。もう40歳になる英雄を子ども扱い。この両親、自分たちは既に死んでいることを自覚しているけど、どういう仕組みで現世に戻ったとか、よく解ってないんだろうな。英雄と再会した喜びとか、涙とかは無く、出会いから日常生活から、スッと自然に取り入れていくところが、本当に不思議な世界を観ているような気持ちにさせてくれる。 英雄と房子がアイスのカップを取るシーン(いやこの場面も、裕福な家庭でないのにそんな物があるのが、なんか実家っぽい)。英雄も私たちもドキッとしてしまうけど、落ち着いてる房子のギャップが面白い。下手したら年下のお母さんだけど、子供の母親は何歳でも母親なんだな。 そんなお母さんが趣味でラジコンカー(本格的なのでなく子供のオモチャのヤツ)で遊んでるなんて可愛い設定、どっから思いつくんだろ?凄いよ大林監督。 すき焼き屋の別れは涙が溢れてくる。時間が来たら消えてしまうことは理解している両親。それも子供の為と受け入れているところ。両親に食べてほしい英雄と、子供に食べてほしい両親のお互いの思いやりが何とも切ない。 桂の正体。「バカな、今は空き室ですよ!」慌てる間宮と管理人に、当時はゾ~~~ッとしたわ。怖かった。その後のホラー描写はやり過ぎ感があって、なんか、今までの感動や余韻を台無しにされた感があったなぁ、やっぱり。 でも今観ると、案外悪くない結末なんだよね。身体フワーリ、ベッドグルグルー、血がドバー。は、当時の流行りだろうか、やりすぎだと思うけど、気がついたら地縛霊になってた桂は、彼女なりに、自分が原因とも知らずに、英雄の身を案じてたと解釈すると、それはそれで切ない。[地上波(邦画)] 8点(2022-07-11 00:11:44)《改行有》

151.  12モンキーズ 《ネタバレ》 -Twelve Monkeys- ・・・と言う名の過激な自然保護団体。 テリー・ギリアム作品のなかでは珍しく、エンターテインメントとして、かなりスッキリしていると思う。未来の世界とタイムスリップを扱っているので、最初観ていて??って思うような部分も、後々きちんと事情が解る創りで、私はこの監督ではこの作品が一番好きかもしれない。 ブラッド・ピット演じるジェフリーの狂人演技、ハイテンションのヤバいヤツ感が抜群に素晴らしく、また人を引き付ける魅力も感じさせる。 そして主人公のジェームズ。主人公としてマトモなハズの彼だけど、キャサリン視点で観るとマトモとは思えず、怖くて仕方ない。妄想に思える人類滅亡のシナリオが、オオカミ少年の顛末や(出来すぎ感があるけど)第一次大戦の写真で、キャサリンが信じるまでを、一歩一歩踏みしめるように追っていけるシナリオが見事。 キャサリンが未来を信じた所に、未来を妄想と思い込んだジェームズをぶつけるのも面白い。あの不気味なテープから正気を取り戻し、テンポ良く結末に向かっていく流れも秀逸。 12モンキーズの起こした事件の清々しさ。・・・そりゃ危険なのもウロウロするわけだから、手放しじゃ喜べないんだけど、今までのドロドロしたダークな雰囲気を吹き飛ばす爽快さを感じた。 ここまで観ると、結末は悲しいものになることも想像できるけど、タイム・パラドックスを信じるなら、あの場に居たジェームズ少年には、空気の美味い明るい未来が待っている。と思えるかな。 サッチモの“この素晴らしき世界”がとても印象深く耳に残る。観終わって『良い映画観たな』って思える作品。[地上波(吹替)] 8点(2022-07-06 20:41:49)《改行有》

152.  遊星からの物体X 《ネタバレ》 -The Thing- “無生物”・・・って事は、アレは生命体じゃないってことか?寄生型の・・・何か。邦題は“物体”としたんだね。遊星ってのは惑星と同じ意味みたい。 で、アレだけど、完璧な擬態を見せて人間(と言うか生物)に近づき、普通にコミュニケーションをして、おぞましい姿で寄生する。犬の変身がおぞましくて凄かった。他の犬が関心を持ちつつチラチラ見てるなか、バックリ裂けて大変身。触手をピシュンピシュンしならせる。あの不気味さはパペット技術の産物。もしブルーバック合成やストップモーション撮影だったら、きっと人形っぽくてシラケてたと思う。 明るい医務室でじっくり観えるノリスの変態。常識を逸脱した部位の使い方。炎から逃げるために首だけ脱出させるセンス。蟹のような足とカタツムリのような目。逃げて隠れずじっとして燃やされる最後も意味不明で怖い。 寄生されるとどういう感覚なんだろう?ノリスが寄生されてた時、縛られてるパーカーも既に寄生されてたと思うけど、アレどうし助けるとか協力するとかしない。助け合い、協力。その裏にある裏切り、疑心暗鬼。そういう感覚がもう生物的で、アイツら無生物とは違うのかもしれない。寄生した個体のどれかさえ生き残ればOKって考えかな。 そう考えると医務室の検査の前に、外で不気味に叫んでたベニングスは「寄生されたらこうなるよ」って、人間に嘘の情報を植え付ける役割だったのかも。 でも、ノリスもパーカーも、寄生されたことに気がついてない可能性もあるしなぁ、正体を表す直前まで人間的すぎたから… アレによる被害も大きいけど、人間による被害も同様に大きい。乗り物や無線機とかは人間のブレアが壊しているし、建物を破壊したのは人間同士の話し合いの結果。建物焼いても人間が不利になるだけなのに、ブルドーザーのような重機は動くんだからそれにガソリン積んで逃げるのも方法だったろうに、パニックで誰も疑問に思わない。アレは雪の下で何万年も生きていられるのに。 “ちょっとビビらせたら勝手に争って、勝手に自滅する”のが、アレに言わせれば、直接的にしかコミュニケーションを取れない生物、社会を形成して群れて生きる人間の、欠点であり、倒し方なのかもしれない。[ビデオ(字幕)] 8点(2022-06-25 23:09:29)(良:1票) 《改行有》

153.  トイ・ストーリー4 《ネタバレ》 やはり私も『最高の終わり方をした3の後日談を創る意味ってあるの?』って疑問もあったためか、4は劇場で観るつもりだったけどタイミング悪く観られず。1~3はそのうち円盤を買おうと思っていたけど、4は賛否両論あることを知り、どんなタイミングで観るか迷っていたところ、ネットニュースの『金ロー最悪。3の翌週4やるなんて』って記事にまんまと踊らされた。どんだけ酷いんだ?ようし、テレビで観てやるべ!って…観たんです。 今回のテーマは「子供は毎日のようにオモチャを失くす」そう、確かに。 “あげる”“壊す”“捨てる“売る”あと“あの場所で失くして、探したけど見つからなかった”そんな、最後どうなったか?を覚えているオモチャはともかく、もう一つ“どうしたか忘れた”があると思う。この4はその持ち主のもとで天寿を全うできなかった“忘れたオモチャ”のアンサーだ。 序盤の回想が、3から出なくなったボーとRCがメイン。漠然と“どっかの時点で捨てたんだな”って思っていたボーのその後が、ここでようやく解る。みんなのところへ戻そうとするウッディだけど、ボーの持ち主は妹のモリー。モリーがあげると決めたなら、ボーは貰われて行くしか無い。 ここで一瞬、ウッディも箱に入ろうとするトコ。最後に繋がる見逃しちゃ駄目なポイント。これがオモチャのウッディの自我、意志。だけどまだ自分がアンディに必要とされていることを自覚して残るウッディ。 ボニーのお気に入りになれなかったウッディ。まだ持ち主のモトにあるのに、既に忘れられつつある存在になっていて、このまま居てもきっと最後どうなったか、ボニーは覚えてないし、探しもしないだろう。 その後ボニーが大人になって、アンディと会った時「ウッディってカウボーイのオモチャ覚えてる?」とか言われて「あれ?う~ん・・・近所の子に全部あげたと思う」とかってなるかも。そんな未来が観える中、ボニーのことを思い続けるウッディが涙ぐましい。 そして最後、ボニーに必要とされないからではなく、9年前に思いとどまった事を実行したウッディ。迷うウッディの背中を押してやるバズの友情。 これでトイ・ストーリーを観た子供に「そういえばわたしの○○(オモチャの名前)、どこにいったの?」と聞かれた時「自分でどっかに捨てたんだろ」と冷たく言う以外の回答「○○もきっと、ウッディやボーのようにじぶんのかんがえで、たくましくいきているんだよ」って言える。このテーマを1~3の劇中に挟むのも難しかったろうし、単独の話として創って正解だったと思う。 トイ・ストーリーは1~3まで、公開年と劇中の時系列が一緒だったハズ。3が2010年の話で、この4も同じ2010年の話。だからカブーンの決め台詞がオバマ大統領のキャッチコピー。ちなみに9年前の回想シーンは実は2001年になる。 別に2019年のウッディたちの話でも良かったろうに、シリーズで例外的に時系列から外して創ったのは、やはり1~3が完璧と思う層(4を受け容れられない層)に配慮したように思える。そしてトイ・ストーリーは2010年で終わったシリーズを意味するんだと。4って付けてるけど、番外編でいいですよ。って。だから5は無いんじゃないかなぁ? 私は、4大丈夫だった。この出来なら劇場で観たかった。 ちなみにRCのその後、成れの果てが、スカンク・ラジコンなのかな?いやそんなウマい話無いだろう。たぶん壊れて捨てたんだろうけど。 ただフォーキーは…本作のスカンク・ラジコンみたく、オモチャなのに命のないものも居る中で、アレをオモチャとして良いのかどうか…これが例えば“お婆ちゃんが創った刺繍の人形”とかなら命も入りそうだけど。 アレだと、鉛筆さんや消しゴム君にも命があるってことになりそう。そういうので遊ぶ子供への配慮かもしれないけど、コッチの“どこまでがオモチャ?”の線引は、どうかなぁ?って思った。[地上波(吹替)] 8点(2022-06-25 12:42:10)《改行有》

154.  ミザリー 《ネタバレ》 -Misery- 架空の小説の主人公。意味は“惨めさ”だって。嫌な意味だな。ミゼラブル(miserable)で“惨め”。 キング原作の映画で、原作の持ち味そのままに上手に映画化されてて、原作も映画も両方とも大ヒットした初めてのキング作品かもしれない。 アニーを演じたキャシー・ベイツ。ミザリーの一番のファンだという喜びの笑顔。豚のマネをする可愛らしさ。ライターオイルを足元に掛ける静かな怖さ。怒りをぶちまけるガチな怖さ。そんな喜怒哀楽に振り回されての投げキッスの怖さ。アニーの怖さを引き出す演出が見事。 ほとんど動けない主人公、変化の少ない舞台にも関わらず、希望と絶望、恐怖が交互に起きる展開が素晴らしい。役に立たなそうでいて、徐々に真相に近づいていく、実は凄腕の保安官。策を練って仕込んだワインが偶然こぼれてしまう絶望感。静かで手に汗握る展開、ストレスが沸々と沸く展開が続き、それらが最後の反撃にドカンと結びつく。 軟禁生活で書いたミザリーの続編が出版されるのはしたたかで良いと結末だと思う。事件が解決してからもアニーのトラウマに悩まされるのも納得。それくらいキャシー・ベイツは怖かった。 小説の方の話をチラッと。あとがきでヒヤッとさせられます。 古本屋に行く度、カバーの下に遊び心がある単行本版を探してるんだけど、見つからないんだよね。[ビデオ(字幕)] 8点(2022-06-18 18:07:00)(良:1票) 《改行有》

155.  素晴らしき哉、人生!(1946) 《ネタバレ》 -It's a Wonderful Life- “それこそが素晴らしい人生”とかだけど、良い邦題です。なんか名画感が溢れてる邦題。 クリスマスイブに天使が現れて、自分の存在しない世界を観せてくれる。バック・トゥ・ザ・フューチャー2で観た“もしも”の世界が、こんな戦後間もない映画で語られていたのは驚き。 自暴自棄になり、家族に八つ当たりし、死んで責任を取ろうとしたジョージ。自分がこの町に与えてきた影響。自分の存在意義。よほど自意識過剰でもないと、自分では気が付かないものなんだろう。 いま、この時代に生を受けて、時代とともに生きることの喜び、素晴らしさ。左耳は聞こえなくても、世界中を飛び回る仕事は出来なくても、8,000ドルが出てこなくても、今自分が存在する“この世界”こそが、掛け替えのない最も素晴らしい世界なんだ。 何度もイライラした階段の装飾がカポっと取れることさえ愛おしい。 死を選ぶほどの絶望的な状況も、本人の受け止め方次第で、死ななくても何とかなるさ。と前向きに捉えられるかもしれない。 今までの過去の自分が、たった一つしか選べない選択肢の中から“そうするのがベスト”と考えて、選んできた結果が、今の自分。 それはきっと、自分が選ばなかった沢山の選択肢より、きっと素晴らしいものに違いない。 自ら死を選ばない限り、自分で選んだベストな人生は続いていく。[CS・衛星(字幕)] 8点(2022-06-12 22:25:03)(良:1票) 《改行有》

156.  鬼畜 《ネタバレ》 テレビなんかで毎月のように、子供の虐待死のニュースを見る。本当に胸糞悪いけど、もしこの映画が昨今のニュースで見るような虐待だったら、きっと最後まで観る自信はなかったと思う。一方的な虐待や、被害者に逃げ道のないものは、どれだけ評判が良い映画でも苦手意識がある。観終わって嫌な気持ちになるのは、どうもねぇ…この作品はどこかのサイトで“トラウマ級”だの“鬱展開”だのって書いてあるのを見たことがあって、う~ん…私に耐えられるかなぁ?なんて思って観てみたけど、これが想像以上にグイグイ観せる映画だった。 幼い子供に対する、今じゃ絶対に撮れないような虐待行為は出てくるが、そうした理由や感情がしっかり描かれているので、一方的に不快感だけを感じることはなかった。お梅にしてみれば、印刷所は火事になるし経営は傾くしで、毎日火の車であくせく働いているところに、突然夫の妾が乗り込んできて、自分が産めなかった子供を3人も置いていかれた立場。これでは腹の虫は治まらないだろう。『子供の顔を見るたびあの女を思い出す』というのも解る。もしお梅に子育ての経験があれば。もし印刷所の経営に回復の兆しがあれば。もし宗吉に事態を丸く収める話術でもあれば、お梅もどこかで折れていたかもしれない。 庄二に対する“このまま見て見ぬふりをしたらどうなるんだろう”という、手を汚さずに事態が進むことを期待(?)するところは、何とも生々しい。宗吉は子供を望んでいたこともあり、苦しみつつも2人の子に手を下す様子が痛々しく描かれる。もちろん身から出た錆で同情の余地はない。だけどもし私が宗吉の立場だったらと思うと、どうにも胸を締め付けられる思いだ。一方で実際に手を掛けないお梅の、提案や証拠隠滅の冷徹さ。追い込まれた人間はここまでやるんだなって、妙な説得力を感じた。 利一が生きていたことにホッとして、迎えに来た父を否定することに複雑な心境になった。僅か6歳でどれほど大人の汚さを見せられたことだろう。 同時に利一が今後、どうやって生きて行くのか不安にもなったけど、きっと良子とも無事再会して、兄妹2人、施設かどこかで、健やかに育っていってほしいと願うばかり。 子供3人に対する3通りの処置の仕方。これはペットを飼えなくなった時の手段と一緒に思えた。宗吉にとって“自分の子供”って、金に余裕がある時に出来心で買ったペット程度にしか、思っていなかったんじゃないだろうか。その子どもたちを突然押し付けられた現実。もともと養っていく覚悟の無さが、宗吉をあのような鬼畜の所業に走らせたんだろう。 本作の夫婦と、昨今のニュースで見る子供の虐待事件との一番の違い。『躾だから』と虐待する自分たちを正当化していること。そして子供を痛めつける目的が、八つ当たりだったりストレスの発散だったりと、呆れるくらい自分勝手な理由なこと。元日の事件は、人間の所業とは思えないほど残酷だ。 そんな本当の鬼畜夫婦の映画だったら、間違いなく嫌悪感・不快感しか湧かず、観たことを後悔しただろう。[インターネット(邦画)] 8点(2022-06-05 22:12:31)(良:1票) 《改行有》

157.  セッション 《ネタバレ》 -Whiplash-“鞭打ち”というジャズの曲名であり、ドラマーの持病とも言えるむち打ち症であり、文字通り鞭で打つことでもある。 すっごくストレスを感じる映画です。フレッチャーの中にしか正解が無く(…いやそもそも正解なんて無いと思う)、どうすれば認められ、どうすると怒られるのか解らない練習風景は、逃げ場のない拷問にしか思えない。あのやり方で、本当に優秀なプレイヤーが生まれるのか疑問。 認められて自信を付けて、勇気出して好きな子に告白して、付き合って、一方的な思い込みで振るアンドリュー。なんて人付き合いの下手な奴なんだ。 人を罵倒し、自分の才能が認められることだけに前向きな主人公に、才能があればキャリア関係なく入れ替えて、とことんシゴイて競わせる指導者。 こんな自分のことしか考えてない人たちの映画にどうしてセッション(演奏者の集まる様子)て邦題を付けたのか。 のんびりと生きて来た私には、自分をとことん追い込むアンドリューにも、他人をとことん追い込むフレッチャーにも全く共感が出来ず、ただただストレスを感じ続ける鑑賞時間だった。大事なコンペのために負荷を掛けられて、自分にも負荷を掛けて、偶然の不幸に足を引っ張られ、それが悪い方に破裂して…何ともスッキリしない、モヤモヤする結末。あんなに頑張ったのになぁ… そこから後日談的な和やかな再会シーン。ここからが本番と言わんばかりの詰め込まれた展開は予想外で、ホッとしたのも束の間、ゾッとして、観てるのが辛くなって、ソレぶち壊してしまえ!って気になって、興奮して共鳴した。スゴいラストを用意したものだ。 この最後だけまた観たい。けど、絶対最初から観て、ストレス溜めたほうが、絶対最後盛り上がるんだよコレ。[インターネット(字幕)] 8点(2022-05-19 22:16:53)(良:1票) 《改行有》

158.  JSA 《ネタバレ》 -JSA- =Joint Security Area “共同警備区域”南北朝鮮の境界線ですね。 血生臭い事件から始まり、何故そんな事件が起きたのか、過去に遡って徐々に紐解かれる真実。何でそうなってしまったのか。先に結末を知っているだけに、話が進むにつれ悲しい気持ちになる。 南と北の兵士たちの交流。突飛に見えないように、地雷除去からタバコの交換と、最前線の兵士の意外な暮らしが描かれていて、“平時の敵国兵士との付き合い方って、案外こんな感じかもな”なんて思わせてくれる。 南北に分断されたばかりの'40年代とかならともかく、ごく最近の1999年10月の事件と考えると、さすがに監視カメラだってあった時代だろうし、無線の定期報告も入っただろう。北と南があんな徒歩で渡れる橋で結ばれた距離なのに、警備兵2人に任せっぱなしなんて、リアリティ面から考えにくい。大の男が4人集まって遊ぶとしたら、ギャンブルさせとくのが一番リアルだろう。 それがこの4人、無邪気に子どもの遊びばかりやってる。あぁそうか、これは現代版のおとぎ話なんだ。 同じ言葉を話す民族が、戦争の勝者の事情で南と北に分けられ、大人になると徴兵され、憎くもない相手に向かって銃を向け合う。その真相究明を、北にも南にも行く事を拒んだ者の子ソフィーが担う。戦争の爪痕、現代の朝鮮半島の縮図。 「双方が望んでいることは、この事件が曖昧になることだ」ソフィーの上官が言うように、事実を突き付ける事は新たな悲劇を生んでしまう。 ソンシクの死の真相。曖昧にしていた真実が、北でも南でもないソフィーの何気ない一言で暴かれる。友人を殺した事実と向き合い、自殺を選ぶスヒョク。 過去に同じ民族で殺し合った事実、今後再開するかもしれない南北戦争。双方が立ち入らない最前線の共同警備区域がクッションとなり、同胞同士、直接殺し合った過去の事実を曖昧にしているんだろう。 平時においては、曖昧にしておかなければ成り立たない現実。せめておとぎ話の中だけでも、無邪気に遊んでいてほしい。 そんな気持ちで映像化されたのかな。良い映画です。[インターネット(字幕)] 8点(2022-05-17 23:48:30)《改行有》

159.  ドーン・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》 -DAWN OF THE DEAD- “死人の夜明け” 大好きなゾンビのリメイク。ピーター、ロジャーにトム・サヴィーニも出てくるファンサービスに思わず『おぉ!』となってしまった。 ロメロ版との大きな違いはやはり“走る”事でしょう。走るゾンビはバタリアンの頃からあるので、それほど抵抗はなかったかな。ノロノロ歩くゾンビと違い、やっぱり走ると強そうに見えるし、怖い。銃がないと勝てる気がしない。 アナが襲われるまでの前置きが短く、外に出たら近所は地獄絵図。逃走中に事故に巻き込まれる車の不運。バスの中で襲われる人をただ見るだけの悲しさ。正常な人間にレイプされたのか裸の女性…森で車を壊すまでで、世の中の状況がだいたい解る創りが上手い。 話逸れるけどサラ・ポーリーがバスタブに飛び込むところ、小窓から地面に落ちるところなんて、体張ってるよなぁ。 ゾンビといえばショッピングモール。デパートとスーパーのイイトコ取りで、娯楽から何から生活に必要なものが一通り揃っている。設定次第でどんな商品も置けるショッピングモールは、ロメロ版の当時も今も、最も生存率の高そうな籠城施設だと思う。今回ガンショップをモールの外に設定したお陰で、ケネスとアンディの奇妙な友情も描けた。メッセージボードに血で何かを書くシーンは悲しくなった。 だけど何でも揃ってるモールを放棄してまで、未知の無人島に武装バスで向かう必要性は弱い。ロメロ版との違いを出すためかもしれないけど、もっと『コレは仕方ない』って状況を演出してほしかった。銃は沢山手に入ったんだから、私だったらモールを死守するな。 …とまぁ、そうやって『私ならこうするのに』を想像させてる時点で、この映画もゾンビ映画の名作だと思う。 スティーブンの死体から船の鍵を探すアナ。そういえば家で旦那に襲われる時も、真っ先に車の鍵を取ってたっけ。冷静で頭の回転が速い子なんだね。 エンディングで“その後”が描かれているのも良い。プロローグ同様、短い時間で何が起きたのかが伝わる。生存ルートは考えにくいけど…[DVD(字幕)] 8点(2022-05-04 19:39:28)《改行有》

160.  ツィゴイネルワイゼン 《ネタバレ》 もうね、指パッチンですわ。こんな不思議で不気味な作品、よく思いついたものですよ。 原田芳雄の演じる中砂の強烈なキャラクター。「ウナギが食べたいなぁ」あの力強い声でそう言われると、私までウナギが食べたくなる。特大のうなぎの蒲焼を手掴みで食べる。焼きとうきび。すき焼きに大量のこんにゃく。蕎麦と日本酒。腐りかけの桃。なんて美味そうなんだろう。戸棚の中の鱈の子のこだわり。青池夫婦が食べるいっぱい並んだ料理も、何だか解らないけどどれも美味そう。赤い器が印象的。 印象的な赤。女の股から出てくる赤い蟹。赤くなっていく弟の骨。中砂家に吊るされた赤い提灯。中砂の眼球を舐める周子の舌の赤さ。船の渡し賃にパカパカ開いて見せる門付の女の股ぐら。観えないんだけど赤いんだろう。 門付の3人組がまた強烈なインパクトを与えてくれる。イチャイチャしたい若い2人、だけど稼ぎ場までの道を知ってるのは年重の男だけ。三角関係の結末は、コントみたいな殴り合い。 コントというより不条理に近い。「ダメダヨ」のタイミング。屋根に落ちる小石。トマソン・トンネル。小雨の中登場人物たちが勢ぞろいで見上げる花火。サラサーテのツィゴイネルワイゼンに入る声。何でか解らないモノ・現象から醸し出される不思議さ。「怖いな…気をつけなくっちゃ…」椅子の上で体育座りの中砂カワイイ。 カワイイといえば青地の腕を引っ張る園「もうじき落ちてまいりますわ、早く参りましょ」の少女のような仕草カワイイ。旦那の居ない家の中で胸がはだけて、さぁコレから。ってタイミングで入る指パッチン。怪しい雰囲気から一瞬で目を覚ますような指パッチンの可愛さ。このセンスが素晴らしい。[インターネット(邦画)] 8点(2022-05-03 20:01:09)(良:1票) 《改行有》

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