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プロフィール
コメント数 615
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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161.  リンダ リンダ リンダ 《ネタバレ》  途中までは退屈で仕方なくて (リアルな高校生活を描きたいのかも知れないけど、そのせいで山場の無い映画になっているよなぁ……)  などと意地悪に考えていたのですが、いざ本番での演奏シーンには圧倒されましたね。  それまでがテンションだだ下がりであっただけに、揺れ幅の大きさを感じられました。  演奏開始前に、主人公の女の子達が「どうだった?」「言えなかった……」と笑顔で会話を交わす辺りも良かったです。  上述のように、ラスト十分ほどは楽しめた作品なのですが、気になる点も幾つか。  まず、主人公達が遅刻したせいで色んな人に迷惑が掛かっているはずなのに、謝罪する姿が殆ど描かれていない事。  そして観客である自分としては、映画冒頭にて、ぎこちなく「リンダリンダ」を歌っていた留学生の少女が、きちんと歌えるようになったというギャップに感動させられたけれど、映画の中の人々まであんなに熱狂しているのは不自然に思えた事。  ユニコーンの「すばらしい日々」などが、あまりにもブツギリな編集となっており(ちゃんと区切りの良いところまで聴かせて欲しいな)と思わされた事。  一番キツかったのが、エンドロールにて本物のThe Blue Heartsによる「終わらない歌」を流した事で、これはもう何と言うか、残酷です。  せっかく(女の子達が頑張って演奏する姿、良いなぁ……)と思っていたところだったのに(やっぱり本物は違う!)と唸らされ、先程までの演奏が、完全に霞んでしまったのですよね。  せめて劇中で彼女達が「終わらない歌」を唄っていなければ何とかなったかも知れませんが、ご丁寧に連続して聴かされたものだから、たまらない。  全体的には嫌いな作風ではありませんし、監督さんの「溜めて溜めて、クライマックスで解き放つ」上手さは凄いと思うのですが、最後の最後で(何も本物を流さなくても……)と、嘆息させられた形。  一度は感動したはずなのに、それを上書きされてしまったという、貴重な体験を味わえた映画でした。[DVD(邦画)] 6点(2017-12-30 05:10:00)(良:2票) 《改行有》

162.  夢の中へ 《ネタバレ》  観賞中「酔っている」感覚を味わったのは、手持ちカメラの画面ブレだけが原因ではなく、この映画そのものに酩酊感が漂っているからなのでしょうね。  性病に掛かった主人公が「おしっこ痛ぇ~っ!」と絶叫する絵面なんて、何だか全く現実感が無かったりして、作中世界のどれか一つが現実なのではなく、全ての世界が夢であるように思えてきます。  こういった映画であれば、同じ酔うにしても心地良い酔いを提供してくれたら楽しめるのですが、本作には「悪酔い」に近いものを感じてしまったりして、残念。  主張が独り善がりであるとか、ストーリーが難解だとか、それ以前の問題として、自分はどうも手ブレ映像が苦手だったりするので、それで参ってしまったみたいです。  とはいえ、園子温監督作品で何度か扱われている「現実と虚構の境目が曖昧になる感覚」「走るという行為の快感」などの要素が、本作でも見受けられる辺りは、不思議な安心感があり、嬉しかったですね。  オリジナリティが無いと主人公が責められる件も併せ「排尿に伴う苦しみ」=「監督自身の創作の苦しみ」と受け取る事も出来そうですが、それよりはもっとシンプルで、普遍的な 「生きていれば綺麗事だけじゃ済まない」 「他者との触れ合いが、厄介な痛みに繋がる事もある」 「それでも、走って、叫んで、唄って、生きなければいけない」  というメッセージが込められた映画なのではないか、と解釈したいところです。  正直に告白すると「楽しめた」「面白かった」とは、とても言えない内容な本作。  けれど、力強く前向きなメッセージは、確かに感じ取る事が出来た為、不思議と嫌いになれない一本でした。[DVD(邦画)] 4点(2017-12-30 04:53:02)(良:1票) 《改行有》

163.  おまけつき新婚生活 《ネタバレ》  決して面白くない訳じゃないんだけど、後味が悪いというか、観ている間も気分が悪くなってしまうという、奇妙な映画。  いや、本当に「面白いか否か」と問われれば、結構面白いんですよね。  ベン・スティラーとドリュー・バリモアが夫婦を演じているというだけでも楽しいし、演出も冴えています。  終盤、殺し屋に支払う二万五千ドルを捻出する為、家具を売り払う件なんかは、特に好き。  音楽に合わせ、一つずつ家具が消えていく様が、まるで魔法みたいなんですよね。  寂しさを感じると同時に、広やかになっていく部屋には爽快感もあったりして、不思議な気分に浸る事が出来ました。  で、そんな楽しい演出やら音楽に反し、何とも悪趣味なのが「骨幹となるストーリー」というのだから、困ってしまいます。  「善良な主人公夫婦が、間借り人の老婆に迷惑を掛けられ続け、遂には彼女を殺そうと決意する」に至るまでの流れが、非常に丁寧に描かれており「これは殺したくなっても仕方ない」と納得させられるのですけど、それが即ち「殺したくなるほど憎たらしい老婆の振る舞い」を延々見せ付けられるという結果に繋がっているのですよね。  特に唸ったというか、これは嫌だなぁと感じたのは「本に貼られた特価99セントのシール」の件。  (なんだ、本当は良いお婆ちゃんじゃないか)と気を緩め、作家である主人公が快くサインしてあげようと本を開いた途端に、そのシールが目に飛び込んでくるという形なんですよね。  恐らくは意図的にやった事なんでしょうが(なんて性格が悪いんだ)と舌を巻く思いです。  それと、作中でも愚痴られていましたけど、命を助けようとしたのが「老婆をレイプしようとした」なんて誤解に繋がってしまい、警官に睨まれる展開なんかは、観ていて本当に辛かったですね。  「苦労して小説を締め切り前に書き上げる」→「お婆さんにパソコンを燃やされる」という流れで、編集者に「本当は書き上げていなかったんでしょう?」と断定されてしまうのも、何ともやり切れない。  ストーリー上、そういった「主人公夫婦に降りかかる災難の数々」を描いておくのは必要な事なんでしょうが、それにしたってコレは、観ていて気分が落ち込んじゃいました。  ラストに関しては「返された酒瓶の中身が減っていた」など、序盤から「この老婆は嘘を吐いている」という伏線があった為、それほど反則的なオチとも言えないんですが、それにしたって、やはり悪趣味は悪趣味。  死んだように偽装するのは「復讐される事を避ける為」だろうに「いい夫婦よね。幸せになって欲しいわ」なんて老婆が呟いたりするんだから、あまりに偽善的な物言いで、呆れちゃいます。  これまで騙して追い出してきた夫婦の写真を並べて飾ったりしている辺りにも、正直ドン引き。  一応「今回の出来事を題材に新作を書き上げ、主人公は作家として成功した」という未来が示唆されている為、ハッピーエンドと言えない事も無いんですが、やっぱり引っ掛かる物が多かったですね。  「老婆」「大家」「警官」の悪党一家には、何らかの罰が下って欲しかったなと、つい思っちゃいます。  それか、せめて老婆が主人公夫婦に命を救われた事に感動し、改心して「二度とこんな事はやらない」と言わせる展開にしても良かったんじゃないかと。  この終わり方では、新しく引っ越してきた夫婦も同じような目に遭う未来に繋がってしまう訳で、そう考えると、とても笑えない。  あと、主人公が書いた本「2世帯住宅」の中身についても、もうちょっと言及して欲しかったところです。  予想としては、著作の中では問題の老婆が一貫して心優しい人物として描かれており、とびきりの美談に仕上げられているんじゃないかなぁ……と思えるのですが、真相や如何に。  「手を叩く音に反応して、電源が点いたり消えたりするテレビ」が伏線となっており「手を叩く音」と共に映画が終わる形なのは、中々洒落ていて、良かったですね。  でも、上述の通り本の内容が気になりますし、自分としては、もう一度手を叩いて、もうちょっと詳しい後日談まで、観せてもらいたかったところです。[DVD(字幕)] 6点(2017-12-21 10:23:48)《改行有》

164.  ロミオ・マスト・ダイ 《ネタバレ》  安心して楽しめるアクション映画だと思います。  一応はマフィアの抗争がストーリーの核となっているのですが、人物相関図が複雑過ぎるという事も無く、黒幕が誰なのかもキチンと観客に教えてくれる親切設計。  主人公の登場、及び正体が判明するまでに少し時間が掛かる点は気になりますが、それでも肩の力を抜いて、リラックスしながら観賞する事が出来る内容かと。  ジェット・リー主演作の中では、確か二番目か三番目に触れた作品だったので、観賞中「へぇ、ジェット・リーって、こういうコミカルさを備えた役も出来るのか」と、新鮮な気持ちを味わえた記憶がありますね。  所々ワイヤーで宙吊りにしているのが分かり易い箇所があり、そこは好みとは言い難いものがありましたが、ホースを使った格闘シーンや、敵を倒す際のレントゲン演出なんかは素直に面白かったです。  後者も多用していたらマンネリだったかも知れませんが、回数が少なかったので好印象。  死人も次々に出る映画なのですが、作中で観客が好感を抱きそうなキャラクターである「ヒロインの父親」「モーモーちゃん」などは明確な死亡シーンが描かれておらず、後味が悪くならないようにしている辺りには、作り手の配慮が感じられましたね。  ラストの格闘シーンでも、足元の炎で盛り上げてくれたりして、何だかそれだけで満足してしまいます。  主人公と黒幕との対峙、そして結末には、若干のほろ苦さもありましたが、その後にヒロインと抱擁を交わして「救い」を感じさせて終わるバランスなども好み。  押さえるべきところは押さえてくれている一品です。[DVD(吹替)] 6点(2017-12-12 11:31:16)《改行有》

165.  ストレンジャー・コール 《ネタバレ》  舞台となる家の造形が良いですね。  (こんなところに住んでみたいなぁ……)と、羨望の溜息が漏れちゃいます。  そんな家の内装と、ヒロインを眺めているだけでも楽しい映画……と言いたいところなのですが、そういった気分も、中盤に差し掛かる頃には流石に醒めてしまいました。  その理由としては、まず、犯人が出てくるまでが異様に長い。  勿体ぶって、これでもかこれでもかと引き延ばした割りに、その正体は意外な人物でも何でもなく、初対面のオジサンだったりするのだから、大いに肩透かしです。  喧嘩中の彼氏と、女友達だけでなく、ベビーシッターとして派遣された先の家庭にもメイドやら大学生の息子やらを思わせぶりに配置していたのは、全てミスリードを誘う為だったのでしょうか。  子供達の姿が全く見えないから「実は既に殺されている」「実は最初から存在しなくて夫婦の妄想の産物」なんて展開も予想されるのですが、これまた全部外れ。  もしかして、退屈な留守番を任されるベビーシッターの心境を観客にも理解してもらう為に、意図的に冗長な演出にしたのではあるまいか……とも考えられますが、きっとこの推理も外れなのでしょうね。  何よりもキツかったのは、この映画において最大の衝撃を受けるであろう「実は犯人が屋内にいる」という部分。  これって有名な都市伝説が元ネタなので、観客である自分もとっくに知っていた事なんですよね。  仮に知らなかったとしても、序盤のアラームが鳴った件やガレージが開きっぱなしだった描写やらで「犯人が潜入している」というのは、すぐに気が付いたと思います。  だから当該のシーンで衝撃を受けるヒロインに対しても(えっ? 今更?)という印象を受けてしまい、どうしても感情移入出来ません。  せめて守るべき対象となる子供達との間に絆があれば応援出来たのでしょうが、それも無し。  そもそも子供達の台詞が極端に少なく「守りたい」「この子達には何とか生き延びて欲しい」と思わせるような描写すらも乏しいものだから、困ってしまいます。  ヒロインが恐怖のあまり精神を病んでしまったかのような、後味の悪いバッドエンドなのも、好みとは言えません。  何だか不満点ばかりを並べる形となりましたが、犯人を撃退する「暖炉の装置」に関しては、完全に忘れていたので意表を突かれたし、良かったと思います。  パトカーの中からヒロインを見つめる犯人の眼光にも、ゾクっとさせられるものがあって、印象的。  恐らくは意図的に血を映さず、適度な「怖すぎない怖さ」を提供してくれた事にも、好感が持てます。  それでも「ここを、もっとこうすれば面白くなったんじゃないかな?」という思いが頭を離れない……そんな映画でありました。[DVD(吹替)] 3点(2017-12-09 12:00:41)(良:1票) 《改行有》

166.  ゲット スマート 《ネタバレ》  お気に入りのラブコメ映画「50回目のファースト・キス」と同じ監督さんという事で、大いに期待していた本作。  ところが、ジャンルの違いもあるからなのか、今一つ楽しむ事が出来ませんでした。  好きな女優さんであるアン・ハサウェイがヒロイン役ですし、アクションシーンなども結構しっかり描かれていたと思うのですが、熱中する場面も無く、気が付けばエンドロールになっていたという印象ですね。  自分にとっては善玉の印象が強いドウェイン・ジョンソンが実は悪役であったという展開なども、意外性があって良かったはずなのに、何故か興奮を誘われない。  その理由として、一つ印象に残っているのは、飛行機内にて手枷を掛けられた主人公が悪戦苦闘する場面。  スパイらしく、小型のクロスボウで狙いを定め、手枷を破壊しようとするも、見事に失敗。  自らの足に矢が突き刺さってしまい、悶える事になる……というギャグがあるのですが、これ、一回目はクスっと笑えたのです。  ところが二回も三回も失敗して矢が刺さるのを繰り返されてしまうものだから(もういいよ……)と、少々飽きてしまったのですよね。  で、ようやく最後に成功するのかと思ったら、間違えてボタンを押してしまって床が開き、そのまま主人公が地上に向かって真っ逆さま、という顛末だったのです。  この「肩透かし」っぷりがシュールで面白い、という人もいるのでしょうが、自分としては(どうも、この映画とは相性が悪いな)と思えてしまい、以降は少し距離を置いて観賞していたような気がします。  書類仕事は優秀であっても、実務においてはドジな主人公。  そんな彼が、有能な相棒の助けと幸運とで事態を乗り切っていくだけなく、終盤にて「やれば出来る男」と実力を証明してみせるストーリーラインなどは、とても好み。  最後も安心のハッピーエンドで、何故この映画を楽しむ事が出来なかったのか、自分でも納得出来ないくらいですね。  面白いはずなのに面白くないという、不思議な感覚。  映画と自分との「ズレっぷり」が残念に感じられる一品でした。[DVD(吹替)] 5点(2017-12-06 04:13:08)(良:1票) 《改行有》

167.  12ラウンド 《ネタバレ》  良くも悪くも古風でオーソドックスな作りの為 (これが八十年代の作品だったら「スピード」の元ネタとして評価されたんだろうなぁ……)  なんて、つい考えてしまいましたね。  バスにエレベーターにヘリコプターと、様々な舞台装置を駆使して楽しませてくれるし、基本的には好みな作風のはずなのですが、この「既視感」は如何ともし難いものがありました。  主演にレスリングのスター選手であるジョン・シナを迎えており、身体を張ったアクションを見せてくれるのも嬉しいんだけど、基本的には「高所からの飛び降り」「飛び移り」という形であり、対人戦の要素が薄いというのも、何だか寂しい。  (こういうの好きだよ。好きなんだけど……もうちょっと、ココをこうして欲しかったなぁ)っていう、そんな歯痒さがあるんですよね。  この手の作品ではお約束の「実は目的は復讐ではなく金だった」オチに関しても(結局金だったのかよ!)と、落胆する気持ちが大きかったです。  一応、犯人としては「愛する女の仇を取りたいという想いは本物。でも、それはそれとして金も欲しい」という考えだった可能性もあるんですが、どっちにしても恰好悪いって話ですからね。  殆ど全編に亘って、主人公と犯人との戦いを描いた話である訳だから、もう少し犯人側にも魅力を感じさせてもらいたかったところ。  監督はレニー・ハーリンという大物ですし、演出には安定感があって、決して退屈はしなかったのですけどね。  序盤にてラブラブだった主人公とヒロインが、一年後には喧嘩しがちになっており、それがラストにて再び強く結ばれるというストーリーラインも、娯楽映画の王道を踏襲していたと思います。  それでも、あと一歩、自分が「好き」だと言える領域まで踏み込んできてくれなかった……そんな、もどかしくなる映画でありました。[DVD(吹替)] 5点(2017-11-30 15:04:39)(良:1票) 《改行有》

168.  それでも恋するバルセロナ 《ネタバレ》    (結局、ヴィッキーとクリスティーナどっちが主役なの?)とヤキモチしたりもしたのですが、終わってみれば良いバランスだったように思えますね。    どちらかといえばクリスティーナの出番が少なめで、影が薄く無個性になってしまいそうなところなのに「欲しくないものは分かるけど、何が欲しいかは分からない」などの台詞によって、彼女というキャラクターを的確に表している辺りも上手い。  この手の恋愛映画ではお約束の「現実的な女性」「ロマンスを求める女性」という組み合わせな二人だったけれど、実は前者の方が内心ではロマンスを求めており、後者の方が意外と根っこの部分は現実的という対比も面白かったです。  序盤にて「彼はありがちなタイプじゃない」というクリスティーナの言葉に対し「ありがちなタイプって、ダグの事を言っているの?」と喧嘩腰に反論するヴィッキーという場面を描く事により「実はヴィッキーは婚約者のダグに物足りなさを感じている」と、観客に自然と覚らせるのも良かったですね。  こういう描写で、わざとらしさや押し付けがましさを感じさせず、すんなり理解させてくれるのって、凄い事だと思います。  「翻訳で失われるものは多い」という、字幕や吹き替えに頼っている身には耳の痛い言葉が劇中で飛び出す辺りも印象的。  この映画に限っても、字幕では「成就しない愛はロマンチックだ」と表示される台詞が、吹き替えでは「成就しない愛だけが本当にロマンティックだ」という台詞になっていたりするんですよね。  どちらかといえば、後者の言い回しの方が好み。  確かに色々と失われているかも知れないけど、翻訳によって生み出されているものも多そうだなぁ……と感じました。  ラストには「非現実」を求めた二人がそれに失望し「現実」に戻っていくオチとなる訳だけど、そんな二人が、実に味わい深い表情を浮かべていた辺りも良かったです。  安易な表現になってしまいますが「大人になった」というか、憧れていたロマンスさえも結局は下らないものだったと知ってしまった虚しさというか、そういうものを感じさせてくれました。  しかしまぁ、あれだけの事を「つかの間の恋」の一言で済ませ、婚約者には真実を告げないまま夫婦になるという辺り、女性は強かというか、怖い存在だなぁ……と再認識。  主人公の女性達に関しては、どうも感情移入出来なかったというか、最後まで距離を感じていた気がしますね。  それと、劇中では基本的に「退屈な男」とされている婚約者のダグが優しくて良い奴であり、作中の美女達にモテまくるファンの方が薄っぺらで魅力が無いように思えた辺りも興味深い。  これって作り手側も意図的にそうしたのかどうか、気になるところです。  観客もバルセロナを旅行した気分になれるという、バカンス映画に必要な要素がしっかり詰まっている辺りは、好印象。  途中出場にも拘らず、大いに存在感を発揮してくれたペネロペ・クルスも、忘れ難い味がありましたね。  ウディ・アレン監督作とは肌が合わない事も多かったりするのですが、これは中々楽しめた一品でした。[DVD(吹替)] 6点(2017-11-21 12:43:39)(良:1票) 《改行有》

169.  スーパーヒーロームービー!! 最'笑'超人列伝 《ネタバレ》  基本的なストーリーは「スパイダーマン」(2002年)を踏襲している事。  そして脇役ながらもレスリー・ニールセンが出演している事。  この二つの要素が、効果的に作用しているように思えましたね。  前者は「パロディ映画だけど、話の筋を追い掛けているだけでも面白い」という結果に繋がっているし、後者に関しては流石の貫録で、画面をビシッと引き締めてくれました。  下ネタもあったり、人死にが絡んだ際どいネタもあったりと、多少鼻白む場面もありましたが、相対的には楽しめた時間の方が長かったです。  肖像画と思ったら本人だった件と、ネイルガンでのやり取りに「五分だけくれ」の台詞なんかが、特にお気に入り。  一応はヒーロー映画調なのに最終決戦が盛り上がらない点や「とうとう空を飛べた」というハッピーエンドかと思いきやヘリに激突オチが付く辺りは微妙に思えましたが、その後のNG集(というか何というか)でトントン、といった感じ。  劇中曲も、結構良かったと思います。  こういったパロディ映画は基本的に「一度観たら、もう二度と観ない」というパターンが多かったりするのですが、これは例外的に「忘れた頃にでも、もう一度観てみたいな」と思わせるものがありました。[DVD(吹替)] 6点(2017-11-18 18:05:30)《改行有》

170.  バガー・ヴァンスの伝説 《ネタバレ》  とにかくもう、終盤における「真実の申告」の件が素晴らしい。  ボールは動いていないと訴えるキャディーの少年に対し「動いたよ」と告げて、自らペナルティーを背負う主人公ジュナの姿が、実に恰好良かったですね。  ゴルフは最高のスポーツだと笑顔で語った少年にも、自分自身に対しても、嘘なんて吐きたくないという毅然とした態度に、惚れ惚れさせられました。  優勝を争うライバル達も、そんな申告に喜んだりはせず「きっと君の勘違いだよ」と言い出して、堂々たる決着を望むものだから、もうたまらない。  戦っている三人が三人とも誠実で魅力的な人物である為、観ているこちらとしても、非常に爽やかな気分になれるんですよね。  「動いていない」と言えば、周りはそれを受け入れてくれる、誰も自分を嘘吐きと責めたりしないと承知の上で、それでもフェアプレーの精神に則り、真実を告げる主人公。  その姿を、ごく静かに、淡々と「ゴルファーであれば当然の事」とばかりに描いているこのシーン、本当に大好きです。  プレッシャーに耐え切れず、一度は逃げ出そうとしたジュナが「街の為に頑張ってくれ」と人々に声援を送られ、出場する事を決意するシーンも良かったし、ギャラリーが街中の車を集めてライトでゴルフ場を照らし、夜のラウンドを可能にしてくれる展開も、凄く好みでしたね。  ゴルフの試合に熱狂する街の人々が、本当に楽しそうで、ちょっとしたお祭り感覚なのも伝わって来たりして(こういうの、良いなぁ……)と、しみじみ感じたりしました。  決着のロングパットに関しても、それまでの伏線、音楽、演技、カメラワークなど、完璧と言って良い出来栄え。  カップインした瞬間に無音となり、浜辺のバガー・ヴァンスの背中を映し出すシーンで、初めて歓声が聞こえてきて、そこで祝福のステップを見せる演出なんかも、非常に御洒落だったと思います。  で、そんな本作の不満点はというと……実は、タイトルにもなっているバガー・ヴァンスというキャラクター自体には、そんなに魅力を感じなかったりしたのですよね。  ちょっと物言いが説教臭いというか、どこか宗教めいた匂いも漂っていたりして、どちらかといえば苦手なタイプでした。  実際、この映画のメインは明らかにジュナとハーディーの二人なのでしょうし「挫折した天才ゴルファーが、キャディーの少年との交流によって再生する話」というだけでも良かったんじゃないかなぁ……なんて、つい考えちゃいましたね。  それでも、冒頭で述べたシーンに関しては、あらゆるゴルフ作品の中でも一番好きだったりするし「全ては死に際の老人が見た走馬燈」と思わせておいて、やっぱり死なないでゴルフを続けるという惚けたオチも、妙に憎めなくて好き。  時々「面白い」という気持ちよりも「好き」という気持ちの方が強い映画に出会う事があるのですが、どうやら本作もまた、そんな一本みたいです。[DVD(吹替)] 8点(2017-11-12 20:21:49)《改行有》

171.  自虐の詩 《ネタバレ》  良い話だし、感動もしたはずなのですが、どうも引っ掛かる部分がある一品でした。  まず、主人公の内縁の夫であるイサオに感情移入出来ないというか、同性の目からすると引いちゃうものがあるんですよね。  実質的な妻であるはずの幸江を働かせて、自分は働かない、家事もしない。  喧嘩して警察のお世話になったり、パチンコに使う金を幸江に集ったりで、あまりにも情けない男なんです。  こういった「暴力的で不器用な男」に惹かれる女性がいるのは分かるし「ああ見えて、良いところあるんだから……」という幸江の一言によって、彼女がイサオに依存している事も、分かり易く描かれてはいるんですが、ちょっと自分としては距離を感じちゃいました。  唯一「幸江を殴ったりはしない」という線引きを守っている事には感心しましたが、流石にそれだけじゃ物足りなかったです。  そんな二人の馴れ初めが、後半の回想シーンによって明かされる形になっている本作品。 「不幸な生い立ちゆえに薬物中毒の売春婦となっていた幸江を、イサオが救い出してくれた」 「だからイサオが駄目男になっても幸江は見捨てたりしない」  との事なので(良い話だなぁ……)と感じる一方(で、そんな理想の王子様みたいだったイサオが、何で駄目男になったの?)という疑問も湧いてきたりして、どうもスッキリしないんですよね。  「根っからのヤクザ気質なので、ヤクザを辞めたらまともな仕事も出来なくて恋人のヒモになってしまった」「そんな自分がやるせなくて、かつては女神のように崇拝していた幸江にも冷たくなってしまった」のだと解釈すれば、やっぱり(情けない奴だ)って感想しか出て来ないです。  イサオの代名詞であろう卓袱台返しに対しても、作中でお約束として何度も繰り返される度に「食べ物を粗末にするなよ」ってツッコんじゃったくらいなので、自分とは相性の悪いキャラクターだったのだと思います。  そんな具合に、根底の部分で肌に合わないものがあったのですが、全体的には楽しめたし、面白かったですね。  牛乳と饅頭をくれたりした新聞配達の雇い主が「悪いけど、明日から配達来なくて良いよ」と言う場面は衝撃的だったし、そういった不幸な場面が丁寧に描かれているから、観客としても、主人公には幸せになって欲しいと思わされる。  お守りの五円玉や、刻み海苔など、小道具の使い方も上手い。  熊本さんと殴り合って育まれる友情、駅での別れ、空港での再会も、ベタだけど良かったです。  「前略お母ちゃん、貴女は何故私を産んだのですか?」という冒頭の問いかけが、妊娠によって主人公の身に返って来る構成にも、ハッとさせられました。  その問いに対する答えは、やはり「幸せになりたいから」だろう。主人公も子を産む事によってハッピーエンドを迎えるはず……と思っていたら、それがちょっと違う方向に着地する辺りも、意外性があって良い。 「主人公カップルは生まれてきた子供と一緒に、幸せそうに海を眺めて終わり」 「その一方で、ラーメン屋の店主や隣人の小春さんは、不幸になる未来が示唆されている」 「結局、主人公達は結婚もしないし、イサオは真面目に働き出したとも思えないしで、子供が生まれた事以外は何も変わっていない」  という形であり、完全なハッピーエンドとは言い難いけど、主人公二人の状況は改善されたし(まぁ、これで良いのかな?)と思える、不思議なバランスだったのですよね。  恐らく「幸や不幸は、もういい」「どちらにも等しく価値がある」「人生には間違いなく意味がある」というメッセージで完結させた以上、何もかも幸福にして終わる訳にはいかない為、こんな形になったのだと思われます。  自分としては主人公カップルよりも、彼女達を支える隣人側に肩入れする気持ちがあっただけに、そこは少し残念。  主人公達が不幸を乗り越え「人生の意味」を見出せたのと同じように、店主や小春さん達も、何とか乗り越えて欲しいものです。[DVD(邦画)] 6点(2017-10-28 04:34:54)(良:2票) 《改行有》

172.  フラッシュバック(2008) 《ネタバレ》  同名の邦題映画が、四つも登録されている事に吃驚。  自分が観賞したのはダニエル・クレイグ主演の青春映画でしたが、丁寧に作られた品であると感じました。  何といっても、登場人物達がデヴィッド・ボウイのファンであるというだけでも好感を抱いてしまいますね。  全編に亘ってノスタルジーをくすぐる匂いが漂っており、こういったタイプの映画としては、安心させられるものがあります。  基本的なストーリーラインとしては「ニュー・シネマ・パラダイス」との共通点が幾つか窺えました。  俳優として成功したは良いものの、今はもう落ち目と見られている主人公が、親しかった友人の死を知らされて帰郷し、そこで若き日の出来事を回想する事になる……といった形。  つまり、この亡き友との絆、友情こそが映画の骨幹となるだろうと予想していたのですが、中盤から彼の存在がどんどん薄くなってしまい、困惑させられましたね。  結局は主人公とヒロインの恋愛、そして人妻との不倫が中心であったように思えます。  それでも、メロドラマとして面白ければ構わないと頭を切り変えようとしたのですが、どうも上手くいきませんでした。  理由としては、まずヒロインとの仲が、それほど濃密には思えなかった事。  自分と同じ曲を好きな女の子、というだけでも主人公が恋心を抱く気持ちは良く分かります。  一緒にレコードを聴きながら口パクし、ブライアン・フェリーとバックコーラスとになりきっている場面などは、本当に楽しそうで良い場面でした。  ただ、そこから更に深い仲になろうとした矢先に、主人公は人妻の誘惑に負けて彼女との約束をすっぽかしてしまう訳で、観ているこちらとしては「そんなの別れる事になるのが当たり前じゃないか」と気持ちが冷え切ってしまったのです。  そこから復縁する展開になる訳でもなく、更に主人公は不倫をし続けて、遂には不倫相手の娘さんの事故死を招く結果となってしまいます。  ここまできたら、流石に主人公に感情移入する気持ちなどゼロです。  何といっても、子供の死に対して悲しみや罪悪感を抱く描写が決定的に不足していたと思いますし、不倫相手の人妻にしたって、死を聞かされて言い放つ言葉が「亭主に責められる……」って、子供を可哀想に思うのが先じゃないの? 自分の保身を真っ先に考えちゃうの? と大いに興醒め。  若い男との情事を楽しみたい母親から家を追い出され、一人遊びの最中に事故死してしまった幼い女の子が、本当に哀れでしたね。  海岸に流れ着いた機雷による爆死などという、非現実的な出来事だったので、実感が湧かなかったのかも知れませんが、もっと主人公達の「子供の死」に対する苦悩も描いて欲しかったな、と思います。  この後、親友に慰められる事となり、そして冒頭に繋がるのだろう……と思っていたら、それすらも無し。  終盤、実は不倫相手だった彼女も、自分が家を飛び出した後に不遇の死を遂げていたと知って、主人公がショックを受ける展開となる訳ですが、ここまで冒頭の「親友の死」を軽く扱うのであれば、初めから彼女の死を知らされて帰郷する形の方が良かったのではないでしょうか。  結局、ヒロインは残された親友と結婚しており、幸せな家庭を築いていた事も明らかになるのですが、帰郷した主人公と、夫を亡くした彼女が再びくっ付く、なんてエンディングにならなかった事には、ホッと一安心。  故郷を後にして、元の生活に戻っていく主人公の姿に「If There Is Something」の歌詞と、それを一緒に聴いた在りし日の二人の姿が重なり合う演出は、心に響くものがありました。  全体的に「好きな映画である」とは言い難いけれど「好きな場面」は幾つも見つける事が出来る。  そんな作品でした。[DVD(吹替)] 5点(2017-10-21 16:35:21)《改行有》

173.  マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋 《ネタバレ》  優しいファンタジーという言葉が似合う一品ですね。  作中で人の死が描かれているのに、ちっとも残酷じゃないし、不愉快じゃない。  結局、最後までマゴリアムおじさんの詳しい正体は謎のままであり、その事に対し引っ掛かりを感じてもおかしくなかったのですが、本作では特に気になりませんでしたね。  不思議な存在であるのなら、不思議のままで良いか、と思わせてくれました。  マゴリアムおじさんの飄々とした生き様や、モリーの女性的な魅力にも惹かれましたが、一番のお気に入りはヘンリーとエリック少年の関係性。  年齢という垣根を越えて友達になれた二人の姿は微笑ましかったし、何と言ってもエリックが背広姿になって「買収」に訪れたシーンが好きなんですよね。  (そう来たか!)という驚きもあったし(小さな子供といえども、本気で店を守りたい一心で行動しているんだな……)と思えました。  コレクションの帽子を売ろうとするエリックに対し 「帽子は売っちゃダメだ」  と即答するヘンリーの姿も良かったです。  幼い友達が、どれだけ帽子を大切に思っているかを理解しているからこその発言と感じられて、心が温まる思い。  最後もハッピーエンドで綺麗に纏めており、非常に好ましい映画なのですが 「マゴリアムおじさん死後の店を、どう立て直すか?」  という問題を、簡単に解決し過ぎたような印象も受けましたね。  一見すると不可能に思える事でも、心の持ち様一つで容易く成し遂げられるという前向きなメッセージが込められていたのかも知れませんが、ちょっと疑問符が残りました。  他にも、拾い切れていないと感じる要素が幾つかあったりして、不満もあるのですが、総じて魅力に感じる部分の方が多かったですね。  店を主題とした映画を観賞した後に「この店、行ってみたいな」と感じた以上は、あまり難しく考えず「この映画を観て良かった」と素直に認めたいところです。[DVD(吹替)] 6点(2017-10-14 05:15:48)《改行有》

174.  俺たちニュースキャスター 《ネタバレ》  冒頭にて「これは実際の出来事に基づいています」なんてテロップが表示されるものだから、意外と真面目な実録物かと身構えたけど、全然そんな事はありませんでしたね。  ごくごく軽い、お馬鹿なノリのコメディ映画でありました。  出演者がとにかく豪華であり、贔屓のベン・スティラーやジャック・ブラックもチョイ役で出てくるのが嬉しい。  中盤の乱闘シーンで彼らの役目は完了、御役御免かと思いきや、終盤にてティム・ロビンスやルーク・ウィルソンが再登場するという、二段仕掛けの構造になっているのも良かったです。  ストーリーに関しては 「結局、主人公がヒロインを危機から救って復縁するというだけなので、女性の社会進出による男性との対立なんてテーマは放り投げられている」 「ラストに主人公が復職するだけでなく、出世までする事に説得力が無い」  といった感じで、不満点も多いです。  でも、そんな細かい点をツッコむ方が野暮だと思わせる空気が、作中全体に漂っているんですよね。  これは映画としての強みだと思います。  ただ、肝心の「笑い」の部分が好みではなかったりしたので、そこは非常に残念。  香水の匂いを「使用済みのオムツ」に喩えるとか、主人公が勃起しているのをヒロインに指摘されたりとか、どうも下品さが目立って、笑えないという以上に鼻白むものがあったんです。  ルーク・ウィルソンが腕を斬り落とされる展開なんかも、そこだけ妙にスプラッターな笑いで浮いている気がして、天丼演出までされているのに、全然ピンと来ない。  「犬を橋から蹴り飛ばすシーンでは、途中で分かりやすくヌイグルミに変えられている」「クビになった主人公が、酒の代わりにミルクを飲み干している」などの件は結構好きなんですが、全体的にはイマイチに思えました。  ラストに関しても、ヒロインと結ばれるし、出世もするしで、ハッピーエンドなのは嬉しいんだけど、やっぱり前提として「ヒロインを本当に愛しているという主人公の想い」「仕事にかける主人公の情熱と努力」を描いてもらいたいんですよね。  本作は終盤にて「命の危機にあるヒロインよりも仕事を選ぼうかと悩む主人公」ってシーンがある時点で、恋愛物としては不適切だと思うし、クビになった後に復職の為の努力を全くしていなかった時点で「仕事に生きる男」として応援する事も出来なかったです。  自分でも無粋なツッコミだって分かっているけど、やはりそこは外して欲しくないというか、芯が定まっていないと枝葉の部分で笑う事は難しいんじゃないかと。  何も考えずに観れば、それなりに楽しいし、心地良い雰囲気を味わえるというだけでも、凄い事だと思います。  それでも、本作に対しては(もうちょっと丁寧に作って欲しいな……)と、つい思ってしまいました。[DVD(吹替)] 5点(2017-09-25 06:21:59)(良:1票) 《改行有》

175.  デッド・サイレンス(2007) 《ネタバレ》  冒頭で主人公と奥さんがイチャつくシーンを観ただけでも「あっ、ホラー映画だな」と分かるような、暗く陰鬱な画面作り、雰囲気作りがお見事ですね。  ラストの「種明かし」におけるスピーディーな演出も、正にジェームズ・ワン印といった感じ。  赤い車が走る様を上空からの俯瞰で捉え、鮮やかに映し出すビジュアル的なセンスも良かったです。  特に好きな監督さんという訳でも無かったはずなのですが「才能ある人なんだなぁ」と、しみじみ感じ入りました。  腹話術の人形が醸し出す恐怖に着目した映画としては「マジック」という先例がありましたが、あちらが二重人格的なスリラー映画だったのに比べると、本作はもっとシンプルに「人形の怖さ」を突き詰めた、純粋なホラー映画と言えそう。  で、そんな本作のリアリティレベルは「超常的な幽霊が黒幕なので、何でもあり」に分類されると思うのですが……どうも、その辺が曖昧なんですよね。  上述の種明かしシーンでも「主人公の父親は実は死んでいて、黒幕のエラ=メアリーが腹話術のように動かして騙していた」というネタがある訳ですが(あれだけ色々好き勝手出来る幽霊のはずなのに、何でそんなところだけ妙に現実的なの?)って、引っ掛かっちゃうんです。  多分、監督さんとしては「言われてみれば確かに、父親が喋る時はエラがピッタリと寄り添っていた」と観客を唸らせたり「飲ませたはずのスープが人形の口を素通りして、ボタボタと受皿に落ちる」場面で、視覚的な衝撃を与えたりする狙いがあったのでしょうが、どうもチグハグなバランスに思えました。  妙に現実的なトリックの種明かしなどせず、思い切り良く超常的なホラーとして割り切るか、いっそ「悪霊の仕業ではなく、全ては普通の人間のエラが仕掛けた一大芝居だった」という現実的な作りにするか、どちらかを選んだ方が良かったのではないかと。  特典映像からすると「主人公の父親が黒幕」など、様々な案を用意していたのが窺えるので「どの案の結末にしても不自然じゃないバランスで撮ろう」と欲張りな見切り発車をした結果、こんな仕上がりとなったのかも知れませんね。  他にも「人形と二人きりの場面が多く、何時でも殺せたはずの主人公を殺さなかった理由が謎」(あえて推理するなら、完璧な人形のエラを誰かに人形と気付いてもらい、驚く顔が見てみたいというメアリーの欲望ゆえ?)「主人公の奥さんを殺した理由は妊娠していたからという種明かしの通り、メアリーは復讐の為に過去の事件に関わった血族だけを殺していたはずなのに、血の繋がりが無い警官もアッサリ殺しているのは一貫性が感じられない」など、色々と気になる点が多い本作。  でも、演出が上手い為か、如何にもなホラー映画としての雰囲気が心地良いせいか、観ている間は楽しかったし、自分としては結構満足ですね。  人形や登場人物など「ソウ」や「インシディアス」との繋がりも匂わせている為、監督さんのファンであればチェックしておく事をオススメしたい一本です。[DVD(吹替)] 6点(2017-09-21 00:18:58)(良:1票) 《改行有》

176.  ハウス・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》  同監督作の「ウォールストリート・ダウン」が、危険な内容ながらも中々面白かったので、期待を抱きつつ観賞。  ところが序盤、主人公が他の登場人物を紹介するパートにて(友達相手のはずなのに、悪口ばかり言っているなぁ……)と思ってしまった時点で感情移入が出来なくなり、以降も第一印象が覆る事はなく、残念でしたね。  「実は主人公こそが、後にゾンビを大量発生させる元凶である」という、2にも繋がる伏線である為、嫌な奴として描いておくのは仕方ない事なのかも知れませんが、それならそれで「最初は善人だった主人公が、事件を通して狂気に囚われてしまった」という形にしても良かったのではないでしょうか。  この手の映画の主人公は「駄目な奴」だったとしても「実は良い奴」だからこそ(生き残って欲しい)(頑張って欲しい)と思える訳なので、今作のように一貫して「嫌な奴」だったりすると、それだけで観るのがキツくなっちゃいますからね。  唯一、ヒロインへの愛情だけは本物だったのでしょうが、流石にそれだけでは肩入れ出来なかったです。  決定的に(これはダメだろう)と落胆してしまったのは、クライマックスの場面。  何故かラスボスが「主人公に首を斬り落とされるまで、剣を手にしたまま無防備に突っ立っている」という不自然な態度を取っていたりして、これはもう完全に興醒め。  背中を向けていた恰好なので、振り向き様に首を斬られるだけでも充分だったと思うのですが、何故ああも無抵抗だったのか、本当に謎です。  勢い良く突っ走るタイプの映画に、こんなツッコミをするのは野暮かも知れませんが(勢いを重視する作風だからこそ、こういう細かい部分で観客にブレーキを掛けさせるような真似はしないで欲しい)と、つい思ってしまいました。  とはいえ、ゲームの爽快感を再現した中盤の大袈裟なアクションシーンなんかは、結構好み。  作中で「ロメロゾンビ映画の四作目」が「多分やらないだろう」と言われているのも可笑しかったですね。  冒頭、ヒロインについて「フェンシングにのめり込んでいる」との情報があり(何その分かりやすい伏線)とツッコませておいて、終盤で本当にチャンバラをやらせてくれちゃうノリの良さも、嫌いじゃないです。  ゾンビ映画に必要なものが、面白さではなく愛嬌だとしたら、それは間違いなく備えている一品だと思います。[DVD(吹替)] 4点(2017-09-15 06:18:57)《改行有》

177.  DOOM ドゥーム 《ネタバレ》  王道の娯楽アクション映画ですね。  序盤に研究所の職員達が逃げ惑い、閉ざされるドアに挟まれて手首が千切れちゃうシーンなど、掴みも上々。  盲腸の手術痕によって、怪物が元人間だと気が付く件も良かったし、BFGを発見するシーンに関しては、原作未プレイな自分ですらテンション上がるものがありました。  「後ろにいるんだな?」って台詞も、お約束だけど面白かったです。  そして何といっても、クライマックスのFPS風演出が楽しい。  ゲームならではの臨場感を映画的手法として取り入れたという意味においても、非常に価値ある数分間だったんじゃないかな、と思います。  その一方で、ゲームとは違い「主人公が誰なのか分からない」という映画ならではの特徴を活かし「隊長役のザ・ロックではなく、カール・アーバンこそが真の主人公だった」というネタも盛り込んでいるのですが……  これに関しては、ちょっと微妙に思えてしまいましたね。  まず、種明かしを勿体ぶっているせいで衝撃が薄れている点が痛い。  唐突に豹変させるのではなく、段階を踏んで丁寧に「実は隊長は主役ではなく、悪役」と描写するのは誠実だと思いますが、ちょっとやり過ぎかと。  せめて、命令に従わない部下を殺した時点で種明かしをしていても良かった気がしますね。  その時点で観客としては「こいつがラスボスか」と分かっているのに、その後も隊長は味方側のままストーリーが進行し、最後になってようやく明確な敵となる形なので「そんなの、とっくに分かっていたよ」と白けてしまうんです。  今となっては悪役のザ・ロックって結構貴重だし、上手く描いてくれていたら、ラスボスとしての暴れっ振りを素直に楽しめたかも知れないなと思うと、非常に残念。  ストーリーの流れとしては「隊長に殺された同僚達の仇を討つ主人公」という形なのに、主人公と同僚が全然仲良く見えなかったというのも難点ですね。  唯一まともに交流し、絆が窺えたのはヒロイン格の双子の姉だけであり、彼女だけは死なずに共に生還する訳だから、敵を倒しても復讐のカタルシスなんて皆無なんです。  これは如何にも寂しいし、勿体無い。  そういう細かい部分を、もうちょっと何とかしてくれたら「傑作」と言えそうなポテンシャルは窺えただけに、惜しくなってしまう一品でした。[DVD(吹替)] 5点(2017-09-12 21:31:10)《改行有》

178.  ゾンビハーレム 《ネタバレ》  冒頭「The Evil Dead」(邦題:死霊のはらわた)のコミック片手に熱弁を振るうオタク男が出てきた時点で、掴みはOKといった感じ。  他にも、恋人と別れたばかりの男、ゲイの男、プレイボーイに、離婚の危機を迎えている男という、バラエティ豊かな面子が、彼女や彼氏や妻の罵倒を背に旅に出る導入部は「Wild Hogs」(邦題:団塊ボーイズ)っぽいしで、どちらの映画も好きな自分としては、嬉しくなっちゃいました。  そんな中年男達のドライブ旅行にて、バスの運転手を務め、唯一の女性メンバーとなったキャンディが、あっさりゾンビ化しちゃうのだから、意外性も抜群。  何せ彼女、メンバーの誰かと恋人になりそうな気配があったし、鹿の死体を片付ける件では、一番男らしく(?)て頼もしい姿を見せていましたからね。  彼女だけは紅一点としてゾンビ化せずに、一緒に戦ってくれるんだろうなと予想していただけに、それを気持ち良く裏切られました。  舞台となる町に子供の姿が見えない事を含め、徹底的に「男VS女」という構図に拘ったからこそ、思い切り良く彼女を序盤で退場させたのでしょうね。  結果的に、それは大成功だったかと。  斧を持った花嫁ゾンビに、両手に鋏を装備した美容師ゾンビと、登場する女ゾンビ達が個性豊かなのも嬉しい。  中盤にて、今まで遭遇した女ゾンビの中で、誰が可愛かったかと男達が品定めするシーンなんて、如何にも「旅の夜」ならではの会話って感じがして、楽しかったです。  上述の場面に限った話ではなく、全体的に男性目線で作られた品であり、女性ゾンビを指して「あいつらは頭が悪い」なんて言い放つシーンもあるから、女性が観ると、ちょっと抵抗があるかも知れませんね。  物を投げたら女ゾンビの巨乳に命中して跳ね返る場面とか、思わず笑っちゃったけど、上品とは言い難いです。  玩具屋で即席の火炎放射器を作る件はワクワクさせられたし、ゾンビ映画ではお約束となりつつある「ゾンビの振りをして、襲われないように移動する」が「女装して襲われないように移動する」になっている辺りも、クスッとさせられました。  ラストも物凄く爽やかで、仲間の絆を確認し合い、皆で笑顔になって、走って終わりというハッピーエンドっぷり。  彼らの背後には大量の女ゾンビが迫っており、根本的な解決にはなっていないのですが、それでも友情の強さの前には、些細な問題と思えてくるのだから凄いです。  ショッピングカートに男を乗せて、それを押しながら爽やかに終わるのは「What to Do in Case of Fire」(邦題:レボリューション6)の影響もあるのかも知れませんね。  気になった点としては、そんな終わり方で「友情は素晴らしい」と感じさせる内容であるにも拘らず、作中で友達の中から死者が出てしまっている事が挙げられそう。  皆して楽しそうに笑っているけど、友達が死んだばかりなんだよなぁ……って事が、どうしても引っ掛かっちゃうんですよね。  ちょっと残酷な物言いとなりますが、所謂「殺され要員」ならキャンディや、途中で出会った軍人さんもいる訳だし、こんなに明るいハッピーエンドで纏めるなら、男友達グループの死者はゼロにしても良かったんじゃないかなと。  その方が、ラストの爽快感も強まったように思えます。  とはいえ、総合的には満足感の方が大きかったですね。  こういう「当たり」と出会えるから、ゾンビ映画の棚を漁るのを止められないんだよなぁ……と、しみじみ感じました。[DVD(字幕)] 7点(2017-09-11 04:38:38)(良:1票) 《改行有》

179.  カンガルー・ジャック 《ネタバレ》  監督の前作「コヨーテ・アグリー」は好きだったので、期待を込めて観賞。  序盤からカーチェイスを盛り込んだりと、観客を楽しませようとしている作りなのは分かるのですが、今一つノリ切れなかった気がしますね。  全体の雰囲気などは好みなのに、細部に引っ掛かる点が多かったです。  例えば「義父のサルは主人公達を殺すつもりだった」と序盤で分かる以上、終盤にて何らかのどんでん返しがあるだろうと思っていたのに、全然そんな事は無かったりするんだから、これは如何にも寂しい。  それでも、そこをサラッと流すなら気にならなかったかも知れないけど、如何にも衝撃の事実を明かすかのように「分かってねぇな、坊や」と悪役が種明かしする形なんですよね。  観客の目線からすると「そんなの、とっくに分かってるよ」と呆れちゃうし、その告白に対して驚いている主人公達には、距離を感じてしまう。  映画のクライマックスにて、こういう事をされちゃうのは、大いに興醒めです。  カンガルーやラクダなども登場するけど、彼らを可愛いとも面白いとも思えなかったのも、辛いところ。  激辛キャンディーを舐めて悶えるとか、おならネタとか、何ていうか扱い方が下品なんですよね。  だから「画面に動物が映っているだけでも癒される」って事も無いしで、ちょっとキツかったです。  長所としては、飛行機内でのやり取りや、絶景の滝で水浴びする場面など、きちんと「旅行映画」ならではの魅力を感じ取れる内容であった事。  そして、主人公チャーリーとルイスの友情が微笑ましく、気持ち良いハッピーエンドであった事が挙げられそうですね。  特に終盤、崖から落ちそうなルイスをチャーリーが助け、子供時代に命を助けられたという借りを返し、二人が対等の関係になる流れなんかは、凄く良かったです。  「これでチャラだ」  「お前と俺とは、負い目だけで結ばれていたんだ」  と会話を交わし、いつも迷惑を掛けてばかりな相棒から離れようとしたルイスを「それは違うよ。ずっと必要だった」「これまでの人生で、人に話せるような話は、どれもお前と一緒だ」と言って、チャーリーが引き止め、笑顔でハグし合う場面は、本作の白眉かと。  二人の友情を描いた部分だけでも、観て良かったなと思えた映画でした。[DVD(吹替)] 5点(2017-09-10 19:59:37)《改行有》

180.  オープン・ウォーター2 《ネタバレ》  しっかりと作られた娯楽映画ですね。  前作に比べると、死の恐怖や絶望感などは薄れているかも知れませんが、その代わり展開に起伏があるし、無事に船に上がる事が出来たシーンではカタルシスを味わえるしで、自分としては、本作の方が好み。  最後ちょっとボカす感じになっているのが気になりますが、一応ヒロインも元彼氏のダンも生還し、ハッピーエンドに近い形なのも良かったと思います。  難点を挙げるとすれば、登場人物の言動にツッコミ所が多く(おいおい、何でそんな事を……)と戸惑う場面が存在する事ですね。  特に、携帯電話を投げ捨てる件なんかは衝撃的で(いやいや、流石に無理あるだろ)と思っちゃいました。  極限状況で頭が回らなかったんでしょうけど、あそこは、もう少し何とかして欲しかったかも。  逆に、良い意味で印象深いのは、梯子を下ろさぬまま海に飛び込む場面。  思わせぶりにスローモーションになっていて「あぁ、やっちゃった……」感が、ひしひしと伝わって来るんです。  あそこで飛び込みさえしなければ、何事も無く楽しい船旅で終わっていたはずだし、何ともやり切れない。  イルカの浮袋や、風に靡く旗、水着を結んで作ったロープなど、様々なアイテムを駆使して、色んな脱出法を次から次に試してくれるのも面白かったですね。  中には(おぉ、その手があったか……)と驚くものもあり、そのアイディアの豊富さには、素直に感心。  自分としては(船体に隙間があるんだから、そこにナイフを突き刺し、誰かが支えて足場にすれば良いのでは?)と思っていたもので、解決策がそれに近い形だったのも嬉しかったです。  もう一つ、本作の巧い点は「赤ん坊が船内に取り残されている」という状況設定にしている事。  「馬鹿な事をしてしまった若者達が、何とか助かろうと足掻く話」で終わらせず「我が子を救おうとする母親の話」という側面も備えている為、自然とヒロインを応援出来るんですよね。  過去の水難事故や、トラウマの克服などもドラマ性を高める効果があるし、何よりもそれによって「ヒロインだけが救命胴衣を装備している」という状況を作り出し、グループの中でもヒロインの判別を容易にして、感情移入させやすくしている辺りも、お見事でした。  仲間割れにより死傷者も出してしまったけど、最終的には、やはり「大切な友達同士」であったと感じさせる終盤の展開も、良かったですね。  「このまま死ぬのを待つなんて嫌。岸を目指して泳いでみる」と言い出し、ヒロインとハグをして別れたローレンの件なんかは、中々感動的。  欲を言えば、ラストで現れた漁船の中に、彼女の姿もあって欲しかったものです。[DVD(吹替)] 6点(2017-08-16 07:18:55)(良:1票) 《改行有》

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