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プロフィール
コメント数 1446
性別 男性
自己紹介 初めてこちらのサイトに投稿させていただいたのが2004年の1月。間もなく15年目の節目を迎える事に。
何かきっかけだったのかなあ・・・と思い返してみると、モンゴメリー・クリフト&エリザベス・テイラー主演「愛情の花咲く樹」(1957)が、なんで作品登録されてないんだ!って義憤(?)に駆られ投稿を始めたことを思い出しました。
レビュー数、今日現在1337本。自分が投稿した作品のレビュー読み返してみると結構気恥ずかしいことをつらつらと、とりとめもなく書いてるなあと反省しきり。
でも「冷たい熱帯魚」(2点)と「パッセンジャーズ」(6点)「3時10分、決断の時」(8点)なんか我ながら良くこんな文章書けたなと感心。
これからも宜しゅうお願いいたします。

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【製作年 : 1950年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  稲妻(1952) 「人間が愚痴を言う事の美徳」を礼賛した成瀬巳喜男監督の傑作。とにかくまあ全編「ずるずるべったり」(←この言葉好き)の登場人物が、互いに互いの愚痴を言い合うシーンの連続。極言すればこの映画にはそれしかないと言っ切ってしまってもいい(笑)それなのに面白くてたまらない、不思議。成瀬監督には大風呂敷を広げた題材よりも、狭くて息苦しくなるほどの下町地縁の中、欠点だらけのぐうたら人間がグズグズグズグズ蠢いているオハナシの方が絶対向いていると思います。四人の子供が四人とも違う父親から生まれたっていう林芙美子原作の設定もよく考えたら凄い。性格がてんでバラバラな兄弟一人一人の人物像もくっきりと浮かび上がっています。この母親にしてこの子供たちありっていうのを観客になるほどと納得させる、母親役の浦辺粂子がやっぱり巧いですね。小沢栄太郎のイヤラシサも絶品。唯一人、この世界から何とか抜け出して自活しようとする聡明な末娘役、高峰秀子の醒めた視線と立ち姿、そして時折見せる笑顔のなんと美しい事!この映画が私にとっての成瀬映画ベストワン。世評、評論家筋では「浮雲」が彼のベストワークという評価ですが、自分はあまりにいろいろな文献を読んだ後で観てしまった為か、それほどとは思えず。[映画館(邦画)] 10点(2008-03-15 10:48:41)(良:1票)

2.  二十四の瞳(1954) 笠智衆のおとこ先生が、夜中に奥さんと必死でオルガン練習してた「しーししーふ、みーみみー、いいいのいー」っていう唄がやけに耳に残ってます。(実は七つの子より好き)あれってなんていう曲なのかなあ・・・。唱歌の挿入が多すぎて、ちょっと感傷過多という些細な点以外文句のつけようがない素晴らしい映画。僕の中での美人の基準は、原節子でも吉永小百合でも、ましてや鈴木京香でもなく、三十年来この大石先生、高峰秀子さんって決まってます。[ビデオ(字幕)] 10点(2005-06-04 16:27:27)(良:1票)

3.  彼岸花 どうしても達者な関西弁を自由自在に操る浪花千栄子や、大輪の花の如き美貌の山本富士子に視線が行きがちになってしまうが、ここでは敢えて田中絹代の控えめながらも力強い演技を僕は声を大にして褒め称えたい。佐分利信と芦ノ湖のベンチに座り、戦争中防空壕の中で家族が一緒だった事を回想するシーン、ゴタゴタが一件落着して電話口で「良かった、ほんとに良かった」と娘の幸せを心から祝福するシーン等はその中でも特に絶品といえる。長年役者を続けてきた人だけが出せる、たおやかな気品とでもいったらいいか。最近こういう女優さんいないよなあ・・・。[映画館(字幕)] 10点(2004-09-26 15:19:24)(良:1票)

4.  ジャイアンツ 《ネタバレ》 昔っから気になってたんだけど、これなんで原題が「ジャイアント」なのに邦題が複数形の「ジャイアンツ」になっちゃったんでしょうか。日米に同名の超人気球団が存在する事で、映画会社が安易にタイトル変更してしまったっていうのが真相なんだろうとは大体想像はつくけど。でも映画会社の思惑がどうであれ、公開から半世紀が経過した今となってはこの複数形タイトルの方が実内容を現しているんじゃないかって、自分は思います。テキサスの広大な大地、ダイナミックな時代背景、主役三人それぞれの個性の輝き、死後も語られ続けるジェイムス・ディーンの伝説、そして子役時代からハリウッドの弱肉強食をサバイバルしきったエリザベス・テイラー、これらすべてが20世紀の「GIANTS」そのものだという事を再見する度に感じます。(追記)久しぶりに再見。大学時代のリバイバル公開での初見以来、大長編にもかかわらず何回か鑑賞してますが、その度に新しい発見がある映画。何故再見に値する映画なのかというと、古今東西の映画数多く観てきましたが、僕の一番好きな女性像が、この「ジャイアンツ」でエリザベス・テイラーが演じたレズリー・ベネディクトなんです!ただ美しくチャーミングなだけではなく、強くって優しくって、肝っ玉母ちゃん的な部分も有って、ちゃんと自分の意見を言うべき時には言い、一歩下がる時はちゃんと引き下がる淑やかな部分も有り・・・。 ジェームズ・ディーン扮する孤独なジェットじゃなくても、報われなくてもいい、仰ぎ見るように生涯通じての憧れの対象としてオンリーワンであり、且つナンバーワン!!最高のヒロイン像だと思います。ついでに、ジェットが自分の土地を手にした時に流れるディミトリ・ティオムキンのテーマミュージックも最高。格上げして10点にします。[映画館(字幕)] 10点(2004-07-05 15:04:08)(良:1票)

5.  リオ・ブラボー 死ぬまでにあと最低10回は観たい。「ライフルと愛馬」、「ゲラ・ホーム・シンディ」をみんなで唄うシーン、至福と呼べる程ワクワクする瞬間なのに、この前観たらなんでか涙が出てきちまった・・・。10点(2004-06-13 16:34:57)(良:2票)

6.  陽のあたる場所 《ネタバレ》 中学の頃、NHK教育「世界名画劇場」でこの映画と出会った。モンゴメリー・クリフト扮するジョージの行動に共感とか感情移入程度の話ではなく、完全に彼と同一化してしまった自分がいた。ラストシーンでは、電気椅子に乗せらせた時、彼が体験したであろうピリピリした感覚までリアルに伝わってくるようだった。こんな経験をしたのはも後にも先にもこれが最後。自分でもよく把握出来ない感情が奔流のように押し寄せ泣きわめいたり怒ったり・・・、家族はおそらく気が触れたと思ったに違いない。これがモンゴメリー・クリフトという役者への、今に至るまでの長き憧憬の日々の始まりでもあった。バルコニーでのエリザベス・テイラー扮するアンジェラとの超大写しのキスシーンは、映画史上に残る名シーンの一つ。10点(2004-04-29 16:00:20)(良:1票)

7.  女の園 「二十四の瞳」と並ぶ木下恵介監督の代表作。どちらかと言えば抒情に 流れすぎた前者より、硬骨さをも兼ね備えたこの作品のが絶対上!メンツがとにかく半端じゃない。木下映画の常連、高峰秀子に久我美子、「君の名は」でスター街道爆走中の岸恵子。圧巻は凄腕三人が束になってもびくともしない「悪役」高峰三枝子の存在感。いや~、見応えありまくり。話自体は今となってはギャグにしかなり得ないような、超封建的京都の名門女子大の制度改正を求める学生と学校側の抗争。友人を呼ぶときに「~様!」って呼ぶのも時代を感じさせる。後の学園紛争を予見した作品としての評価も高い。大島渚がこれを観て、監督を志したっていうのもうなづける逸話。ただ、完成した映画を高峰秀子と岸恵子、両女優とも観ていないと 何かのインタビューでの発言が気に掛かる。撮影現場でも女の争いがあったのか・・・?などとつい考えてしまった。 10点(2004-01-25 11:35:04)(良:2票) 《改行有》

8.  愛情の花咲く樹 モンゴメリー・クリフトとエリザベス・テイラーのファンサービス感謝デー、フルコースディナー映画。よってこのお二人に何の興味もない方にとっては、ひたすら長いだけのメロドラマで、観る事に何の価値も見出せないはず。ファンなればこその10点満点とご容赦願いたい。映画会社MGMが第二の「風と共に去りぬ」の夢をと狙った、波乱万丈の大河風ロマンス。当時のこの手の大作には付きものの「前奏」「休憩」もちゃんと用意。ハリウッドきっての名カメラマン、ロバート・サーティースが捉えた、最盛期のリズの光り輝く美貌は、3時間観ていても飽くことがない。代表作「ジャイアンツ」(10点)と「熱いトタン屋根の猫」(8点)に挟まれた、彼女の長い女優暦の中では最も美貌が冴え渡り、脂が乗っていた時期でもあります。クリフトをカラーで観られるのは現在この映画だけ。それだけでも自分にとっては10点満点。ジョニー・グリーンのロマンチックなスコアもナット・キング・コールの主題歌も最高です。くれぐれもテレビの短縮版(3分の1以上もカットされてる)でこの作品を判断しないように。[ビデオ(字幕)] 10点(2004-01-19 23:29:25)

9.  グレン・ミラー物語 《ネタバレ》 功成り名を遂げた人物の伝記映画として、ごくオーソドックス且つウェルメイドな作品だと思います。楽曲の挿入方も実に的を射た場面で流され申し分ない。脚本の要所要所での「省略方」も巧い。首の後ろをさする仕草の伏線も効いている。でも、何よりこの映画の魅力を二割増し三割増しにしているのは、『甦る熱球』(8点)以来の、ジェームズ・スチュアート&ジューン・アリスンコンビの、呼吸の合った素敵な夫婦っぷり。このお二人が揃って画面に登場すると、もはや役を演じているように見えない。これってホント凄い事だと思う。小柄な彼女がノッポの彼を、顎を上げじっと見上げるシーンだけで、一幅の絵になるというか、特に悲しいシーンでもないのに、自分は眼がウルウルしてくる。何故だろう・・・不思議。主演作が数多いJ・スチュアートと、特にお似合いだった相手役は誰だったんかなあと、ふと考えてみた。私見では、ジーン・アーサー(スミス都へ行く、我が家の楽園)ドナ・リード(素晴らしき哉、人生!)そして栄えあるナンバーワンは、誰がなんと言おうとこのJ・アリスン!このお三方ではないかと勝手に決めてみる。異論は大いに結構。決してグレース・ケリーやキム・ノヴァクではなく(映画としての評価は別)彼女たちの共通点は、揃ってアメリカの女優にしては小柄な事、ハスキー寄りの変わったヘンな声質の持ち主だという事。今一本、同監督作『戦略空軍命令』というコンビ最終作があるようなので、これも機会があれば近々鑑賞してみたい。♪ブギウギだけが俺のララバイいい夢みるぜ~ピカピカのパラダイス~キラキラのパラダイス~♪←『瀬戸内少年野球団』テーマ曲「イン・ザ・ムード」より。結構好き。[DVD(字幕)] 9点(2022-07-26 22:46:06)

10.  日本人の勲章 《ネタバレ》 これは一言で言えば、映画史的にもよく言われている通りジャンル的に「現代版異色ウエスタン」っていうくくりなのかもしれないけど、全くもって不思議な感覚の映画。他で同類の映画とか、ちょっと直ぐには思い浮かばない。そういった意味でも、かなりの異色作。太陽が照りつける中、めったに列車が止まらない駅舎に一人降り立つのがスペンサー・トレイシー。待ち構えるのが、ロバート・ライアンにE・ボーグナイン、リー・マーヴィンにW・ブレナン曲者役者四人組+αときたもんだ。いや、この役者陣達が雁首揃えて安ホテルロビーでひとつ画面に収まってるだけで、画柄的にも全編ワクワクドキドキしっぱなし。善人役より、断然悪役が似合うロバート・ライアンが中でも一番の儲け役。しかも着こなしがやたらスマートでカッコいい!この邦題は全編を観終われば、それなりに意味を咀嚼しつつ納得。ジョン・スタージェス監督って、「ブラボー砦の脱出」や代表作「荒野の七人」でもそうだけど、構図の捉え方が抜群に巧いんですよね。いやー、面白かった![DVD(字幕)] 9点(2022-06-28 22:24:28)(良:1票)

11.  めし 自分と生理的に一番波長が合う大好きな監督、成瀬巳喜男の夫婦物ジャンルものの秀作。小津映画での折り目正しい居住まいで、約束事のように静かに微笑み、涙ぐみ、たたずんでいるだけの原節子よりも、この映画や『驟雨』での、ごく自然な感情のままに振舞う「倦怠期を迎えた妻役」の彼女が、数十倍魅力的だと思う自分はやはり少数派なんでしょうか?成瀬映画の「原節子」が語られる事があまりないのは、ちょっと寂しい。彼女の映画、結構数多く見てきたけど、この二本の彼女が人間くさくて好きなんだよなあ・・・。あ、あといま一本、木下恵介監督「お嬢さん乾杯!」の彼女もメチャクチャ素敵でしたね。この映画にも、成瀬映画の紋章みたいに登場してくるチンドン屋と、常連オバサン女優中北千枝子の顔が出てくるだけでなんか嬉しくなる。女流シナリオ作家の脚本だけあって、ところどころに女性目線の台詞が散りばめられていましたね。特に知り合いの娘(島崎雪子)が家に滞在する事になった時の「・・・お米足りるかしら?」と、米櫃を覗き込む原節子の台詞に妙に感心。なんて事はない一言台詞なのになあ・・・。[DVD(邦画)] 9点(2009-11-07 11:25:11)(良:1票)

12.  麦秋(1951) 《ネタバレ》 くっだらないお笑い番組で、相手の身体的欠点をあげつらい(髪が薄いだの顎が割れているだの)笑いを取ろうとする番組って最近多いですよね。何気なくテレビを付けてて釣られてつい笑ってしまう自分に対し、たまらない嫌悪感を感じる事があります。今の俺ってこんな低レベルの内容でも素直に反応出来てしまうんだなあって・・・。(しかもその芸人が自分の身体的欠点で笑いを取られる事が「オイシイ」と思っているフシが有る風情がたまらなく嫌)・・・ああ、こんなに俺のココロは荒れてササクレだってるんだ・・・っていう事をつくづく感じた夜、この日本的情緒とユーモアてきめんたる作品を久しぶりに再見し、口内炎のように荒れていたココロがしっとり潤い落ち着いていくような感覚を味わえました。後の「お早よう」(7点)は、この映画の兄弟たちのエピソードから派生した作品なのかと思ったり、女性主要キャスト陣(原節子、淡島千景、三宅邦子←皆さん一番お美しい時期で目の保養!)が居並ぶシーン、やたら後方からお尻を映すショットが多い事に、小津監督ってやっぱりこういう安産型ガッシリ体型の女性がお好みなんだなあって微笑ましく思ったり・・・。「尋ね人」って単語が出てきた瞬間、この映画って戦後まだ6年しか経っていない頃のハナシなんだって一瞬背筋が伸びましたね。一番の爆笑シーンは、医師役の笠さんが心臓が悪いと診察しに来た淡島の母親に「うん、耳鼻科に行ってもらった・・・」って飄々と答えるシーン。他にも、ところどころに巧まざるユーモア感覚が散りばめられていました。天下の小津作品と、今のニッポンのお笑い番組を比較しては亡き監督に申し訳ないが、ひとしきり笑った後ココロが痩せて寒々となるような、人の身体的欠点のみをお笑いネタにするような番組だけ作ってもらいたくないなあと・・・。数ある小津作品の中でも、これは笑った後家族解体にしんみりとしつつ、鑑賞後はなぜかほっこりと温かくなる名匠の逸品だと思います。[DVD(邦画)] 9点(2009-08-22 10:52:25)

13.  無法松の一生(1958) 《ネタバレ》 未見にもかかわらず、何故か観たようなつもりになっていた映画っていうのが自分の中に結構あるんですが、これもそのうちの一本。オリジナル=モノクロ阪妻版は大昔、子供の頃見た記憶があるけど、あまりに昔過ぎてよく覚えてないや(笑)先日観た川島雄三監督「わが町」(8点)で辰巳柳太郎が演じたタアやんと同じく、いまやほぼ絶滅種となった「正しい日本快男児の美徳」標本のような魅力的な男の一代記。画面作りや演出も、非常に厚みがあって丁寧で感心。内務省の介入で肝心なシーンをカットせざるを得なかったという、オリジナル版への稲垣監督の熱き想いが伝わってきます。憧憬の対象、吉岡未亡人が高峰秀子っていうキャストも文句なし。今の感覚だとこの未亡人が都合のいいように松五郎を使っていると感じてしまうのはどうしても無理からぬ事だが、明治時代ならこういう身分の格差はごく自然的なものだったはず。ジレンマに懊悩する三船の無償の献身愛っぷりに、とにかく自分は泣かされました。多分、序盤ちょっとだけ出てきた吉岡大将=芥川比呂志の男っぷりに惚れたせいじゃないかなあ・・・。あの旦那がたいした事のないフツーの亭主だったら、あそこまで未亡人に対してストイックな態度を取らなかったんじゃないかと自分は思うんですよね。それだけに花火の夜、遺影の前でうなだれる、彼の苦悩の大きさが実感として観客にも伝わってくるわけです。「正しい日本映画の美徳」が顕著に現れた秀作として高く評価させて頂きます。[DVD(邦画)] 9点(2008-03-07 11:30:47)(良:1票)

14.  決断の3時10分 《ネタバレ》 まず冒頭に流れるフランキー・レインの主題歌に痺れ、雄大な西部の風景を生かす構図を計算した画面設定に唸り、(特に男を出迎えそして見送る女の画が素晴らしい)後半からのホテル一室内での、息詰まる男二人の微妙な心理の駆け引きにハラハラドキドキ、ラストこうくるかあ!っていう意外な展開にすこぶる感心、慈雨と夫の無事を喜ぶ馬上の妻の表情に思いっきり感動してしまいました。「時間的制限」があるウエスタンという事で、なんとなく「真昼の決闘」のフォローワー的作品として企画されたような匂いはするんですが、自分はこっちのが断然面白かった。決して男前ではない二人の中年男を演じる、ふてぶてしいグレン・フォード、ギリギリまで追い詰められた実直な農夫ヴァン・ヘフリンそれぞれに魅力的。他の作品のレビューでも書いたけれど、デルマー・デイヴィス監督はもっと再評価されるべき!これはウエスタンファンなら必見の秀作。[DVD(字幕)] 9点(2007-11-30 11:20:15)(良:1票)

15.  東京物語 湯煙たなびく山あいの温泉に浸かり、星空見上げて深呼吸しながら、やっぱオレ日本人に生まれて良かったあ~!ってしみじみと思う瞬間があるけど、僕にとっての小津映画とは正にそれと同じ。もはやとうに失われてしまった純ニッポン人の美点、礼儀作法、奥ゆかしさ、ちょっとした気兼ね気配りみたいなものが、この映画を一本観さえすれば全て入ってますね。自分の好みと、「何度も繰り返しみたくなる」欲求という点では『彼岸花』の方が勝るけれども、映画の完成度という点ではこちらの方に軍配を上げざるを得ません。[地上波(邦画)] 9点(2007-07-28 11:21:31)(良:1票)

16.  雨に唄えば ミュージカルとしては、はっきり輪郭のあるストーリーも備えている映画なので楽しめます。サイレントからトーキーに変る移行期の撮影所の混乱ぶりが生き生きと描写されていますよね。私も何人かの↓の皆さんと同じく、吹き替えがばれ、そそくさと舞台から退場させられその後何のフォローもなかったリナ(ジーン・ヘイゲン)が気の毒で仕方なかったです。メインお三方はもちろんだけど、悪役という存在ながら彼女自身もこの映画をより一層愉しくしてくれた立役者の一人に他ならない、愛すべき人物だったからだと思います。一応主役の二人を押しのけ、この年のアカデミー助演女優賞にノミネートされたらしいので彼女も溜飲を下げたのでは?そう思う事にしましょう![ビデオ(字幕)] 9点(2007-03-25 14:26:39)(良:2票)

17.  ダイヤルMを廻せ! ヒッチコックのグレース・ケリー三部作はどれも好きだけど、これも傑作ですよねえ。ディミトリ・ティオムキンのテーマ曲がオープニングに流れてくる発端から、もううっとり恍惚状態でヒッチ先生の術中にはまり、「もうどうにでもしてくれい!」(?)みたいな勢い。バーン!と画面大写しで映るダイヤルMを廻すレイ・ミランドの指→ガチャガチャ音を立てる摩訶不思議な電話回線機→見せ場の「背中にナイフ」シーンの切り替えしといったらもう・・・。忘れがたいシーンが多いヒッチコック映画の中でも、映画的昂奮を味わえる名場面中の名場面ではないかと思います。裁判のシーンを意図的に省略した演出も的確で◎。[地上波(吹替)] 9点(2006-12-08 13:57:53)

18.  流れる 日本の映画史を語る上で欠かせない、この豪華絢爛な女優陣たちがひとつ屋根の下で暮らし、しかも画面の中でそれぞれの個性が巧く生かされるよう収まってる、その事だけでもまず凄いです。芸者の人たちって一体どんな会話を普段してるんだろうってずっと思ってたんですが、ハナっからみんな見事にお金!お金!お金!に関するみみっちい会話ばかり。いかにも成瀬監督作品らしいですW。まずキャスティングが決まってから、脚本が書かれたという典型的な成功例ですね、これは。大スター競演作にありがちな大見得を切るような芝居どころも特にないし、むしろストーリー自体は地味な印象。同じ花街の芸者ものなら成瀬のフィルモグラフィーでは黙殺されている「夜の流れ」のほうが派手。でもこちらのほうがしみじみした後味を残します。「流れる」のではなく皆が「流されている」中、高峰秀子と田中絹代(←女中役なので皆が彼女をアゴで使っているってのも凄い)の自立しようとする意志の強さが頼もしかったです。婀娜な中年増ぶりを魅せる山田五十鈴、場面盗み巧者第一人者杉村春子、サイレント時代の大女優栗島すみ子のしたたかな貫禄ぶり、「女優」っていうのはこういう方々のことを言うんだろうなあ、本当は・・・。[DVD(字幕)] 9点(2006-02-24 11:44:18)(良:1票)

19.  驟雨 面白い、面白い、面白い!同じコンビの「お嬢さん乾杯」でも書いたけど原節子のこういう「主張する役」ってすごく魅力的。夫(佐野周二)から「話があるからこっちへ来い!」と言われた時の、さりげなく無視して流し台の前でお茶づけかき込んでるシーンの演技なんかもう絶品です。小津映画での、ひたすら控えめに笑みを浮かべている彼女しか知らない方がこれ観たら、ぶっ飛んじゃうんじゃないかなあ。ホント、なんていう事もない一組の倦怠期を迎えた夫婦の日常を描いただけの話、しかも根本的な問題は解決されないままに終わってしまうんだけど、内包されてる世界の豊かな事といったら・・・、言葉に出来ないですね、これはもう。しかも水木洋子の脚本が脇役ひとりひとりに至るまで、人間観察が行き届いていてずば抜けて上手い!いやあ、人間って本当に面白い!こういう小品にこそ、成瀬監督の特質が発揮されているような気がします。この映画を前知識なしに大きなスクリーンの前で鑑賞出来て本当に良かった、フィルムセンターさんに感謝です。原節子の実像って、この映画のヒロインに実は一番近いんじゃないのかなあ・・・。(→フィルムセンターの成瀬監督特集にて)[映画館(吹替)] 9点(2005-10-28 12:46:40)(良:1票)

20.  大いなる西部 松嶋菜々子の満面の笑みにこの映画のオープニングシーン、疾走する駅馬車の車輪が重なって蘇ってきます。生茶の味が本当に新しくなったかどうかはさておき、この曲は「清新」というか、何か新しい時代の幕開けを予感させる素晴らしいテーマミュージックだと思います。インディアン殺戮ウエスタンよりこの映画に代表される旧時代と新時代、あるいは西部と東部の男の対立の構図のほうがやっぱり後味良いですね。ヒロイン、ジーン・シモンズの涼しげな目元、キリッとした凛々しい美しさが極めて魅力的。(NHK教育世界名画劇場→)[地上波(字幕)] 9点(2005-04-17 14:08:56)

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