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プロフィール |
コメント数 |
188 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
・・・・最初に投稿してから4年近くたとうとしています。 これからも、細々とでも投稿してゆきたいと思っています。 |
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1. ゼロの焦点(1961)
最後の海辺の断崖でのたね明かし、犯人の自殺、各地名所案内など、テレビの土曜ワイド劇場、サスペンス劇場そのものだし、、、、、冬の日本海、能登、芥川也寸志の音楽といえば、「砂の器」そのものだし、何かマンネリというか、、、、あれっ、まてよ、、、、この作品は1961年で、その頃は、まだワイド劇場はないし、「砂の器」はこのあと10年以上あとの作品だし、、、、、、ということは何かい、この作品が、その後のサスペンス劇場、ワイド劇場、船越英一郎ものの、原型を作り上げたというわけか、、、、、。ということはさておいて、、、、さらに、犯人と動機などは予想しやすいし、どうして久我美子は夫の二重性に気づくかがわかりにくいし、久我の謎解きと高千穂の説明の違いは「羅生門」的だし、、、、ということもさておいて、、、、見終えて、野村芳太郎、松本清張、横溝正史etcなどの、日本的な情念の世界というか、日本的な世界で生きてゆくことの闇というか、、、、、非常に重く、心にのしかかってきます。ちょっとした瞬間の心の闇が滅茶苦茶に甚大な不幸をもたらし、それに押しつぶされてゆくことも。映像としては、最後に加藤嘉さんが自動車に乗った高千穂を追いかけるシーンが、キャメラの位置取りとかいいですね。、、、、それと昭和30年代の東京の風景、裏日本の風景、人々の様子がよく映し出されています。、、、、、、とにかく、何というか、重たい映画でした。[DVD(邦画)] 9点(2006-04-06 00:11:04)(良:1票)
2. 武士道残酷物語
《ネタバレ》 若かりし萬屋錦之介の熱演を除けば、映像芸術としてはあまり面白いものではないかもしれません。(しかし30歳そこそこの萬屋、すごすぎ、、、、淡路恵子が、萬屋はほんとにすごかったといつもいっているが、確かにすごい演技力。10代の小姓から60くらいの老人の役までまったく不自然でない、、、、、)、、、それと全体の構図は、江戸時代の藩=明治以降の国家=戦後の会社=個人を圧殺する家組織、とらえ、その家組織に、いかに従順に男達が自己を埋没させてきたのか、そして女達がその犠牲になってきたのかを綴る、というもので少々単純化しすぎかもしれません。特に、江戸時代の武士のとらえ方は、あまりにステロタイプかというか、一面化しすぎなのは確かでしょう。、、、、そして「武士道残酷物語」というから、最初から2/3は、こんなお話の連続なのぉ、と見ていて退屈なことも否定できません。、、、、、、、しかし、特攻隊の話に展開するに及んで、いいたいのは、戦争の時にお国のためということで自分を全体に優先させてきた行動様式は、実は江戸時代からの武士の行動様式であり、さらにその行動様式は戦後の会社社会でも続いているではないか、という訴えが確かに、響いてきました。、、、、或いは戦時中、そして戦後、個人がいかに集団の犠牲になったきたのか、という思いが伝わります。、、、、、21世紀のグローバル化が進み、自己利益追求型の行動様式が多数派となっているように思われる現在では、とても想像しにくい問題意識なだけに、戦後の日本の歩みを辿る上でも、大変に貴重な歴史的遺産となる映画だと思います。、、、、、、ただ題名の付け方がよくないですよね。例えば「飯倉家の~」とか「武家の~」とかの方が、よくなくなくないかと、、、。[DVD(邦画)] 9点(2006-03-02 22:59:41)
3. アンドレイ・ルブリョフ
《ネタバレ》 15世紀のロシア、、、、タタール人により村は蹂躙され、人々は意味なく虐殺される。、、、、修道士は娘を救うために人を殺めるが、その狂った娘は、修道士を裏切ってタタール人とともに去る。、、、、なんという不条理。いったいどこに神の意思を見いだすことができるのだろう。、、、、、鐘を鋳造した少年。彼は、死んだ父が鐘作りの秘密を伝授してくれたと吹聴したが、実は、何も教えてくれなかったのだと真実を吐露して涙する。父=神。、、、神は何も伝えてくれない。、、、、、どこに神の徴もないこの不条理な世界、それは15世紀のロシアだけでなく、20世紀のスターリン支配のソ連のことでもある。、、、、、だがしかし、それでも私たちは、神を信じる以外に道はないのだ。絶望の淵にあったヨブが神を信じたように。ルブリョフがそう信じてイコンを作り出したように、今に生きる私たちも、同じように神を信じて、価値あるものを作り出せ、、、、、、そういうタルコフスキーの熱い、熱い思いが満ちた映像だと思いました。、、、、、、、しかも、遠藤周作の『沈黙』を想起させるテーマでありながら、遠藤のような日本的なキリスト教ではなく、正統な一神教的伝統の心性をも垣間見せてくれ、さらに、その後の作品と違って、主観的なロマンティシズムが抑制され、格調高い作品となっていると思います。9点(2005-03-18 18:17:52)
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