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1. 亀も空を飛ぶ
《ネタバレ》 これは傑作じゃないのでは?ここにあるのは地図で何センチか向こうの現実のもつ衝撃であって、日本に生きる私がショックをうけるのは当然じゃないか、と言う思いもある。だが、それ以上に、そんな過酷ななかで作られた、どこか神話的でさえある物語の美しさに驚かされる。[映画館(字幕)] 10点(2006-01-03 21:18:25)
2. 草の乱
全体的に良心で誠実に作られている。決起の場面にはなかなかの昂揚感がある。困民軍が敗れ去っていく様も、神風玉砕でもストサムライでもない普通の村人からなる集団ゆえの脆さ、物哀しさ、不格好さが非常に印象的。反面、山県有朋のあまりにも悪代官と越後屋チックな描かれ方などところどころやや安易で、残念ながら秩父での民衆蜂起の理論的側面がかえって薄れた気も。最後のセリフで映画の意義を一生懸命に説明するのも、そこまでしなくても観客は分かるのに、と思わないでもなかった。とはいえ、広い意味での娯楽作品としても、もっと多くの人に観られても良い映画。[映画館(字幕)] 7点(2005-11-12 21:05:42)
3. トロイ(2004)
《ネタバレ》 原作のブリセイスはほとんどモノ同然。そんな最悪な扱いをされていた端役の女性が、この映画では最後まで非常に重要な役回りを演ずるわけだから、数千年の時の流れとはすごいもんだ。主役のアキレスはいわゆるはみだし系のヒーロー。神に対しても随分罰当たりな言動。原作で散々神の世話になっておいてそれはあんまりと言いたくなるが、キャラ設定には一応統一がとれていて危険な男の格好良さは出ている。殺陣は工夫と迫力があって良い。ヘクトルが勝ち目のない戦いに赴いて当然の如く敗北する。その悲壮感がきちんと描かれていてそれだけでも満足。ところで、この時代設定において王侯貴族の身勝手で民衆がどういう目にあっても大概のことではどうとも思わないのだが、アキレスの王族批判にしろ所々視点が妙に現代的な発想だったりして、必要以上に観客の頭にそんなことをよぎらせてしまうのはマイナス(そうなるとそりゃいろいろ目に余るのだ)。最後に人間模様がバタバタしたが、取りあえずまとまりがついたんじゃないかな。[映画館(字幕)] 8点(2005-10-28 20:28:22)
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