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1. ディパーテッド
《ネタバレ》 あまりにもスコセッシ作品になっていて、オリジナル版に重なる部分が少ない印象。
スコセッシ監督の描く、アメリカ、東部ローカル、尚かつストリートな世界の、前近代的な価値観を持つ人々というテーマはこの作品でもこれでもかと描かれる。
オリジナル版は、良いヤツ「警官」、悪いヤツ「ヤクザ」みたいな正邪の対比の中で主人公2人が往来したり悩んだりするけれど、スコセッシ監督の世界では警官もマフィアも基本は同類なので、食うか食われるかのサバイバル合戦みたいになっている。
全体に、脅し!怒り!キレる!捨て台詞!暴力!暴力!暴力!ROCK!という感じで、テンションは高いけれど、あまりメリハリもなく、ダラダラした印象も受けた。
スコセッシ監督にはオスカーを獲って欲しいけれど、この作品が作品賞や監督賞にふさわしいとは思えない。もし獲ったらタイミングや同情によるとしか言いようがない。[映画館(字幕)] 6点(2007-02-01 16:45:57)《改行有》
2. 鉄コン筋クリート
《ネタバレ》 松本大洋さんは、通常ペンでは描けない部分、空気や雰囲気、心情、などの表現に長けていると思うのですが、この作品はそういう難しい原作の映画化にかなり成功していると思いました。
3Dの使い方も斬新だし、造型、背景、特殊効果も見事です。
そしてシロ・クロ・宝町に生きる人々の思いがよく出ていました。
ジャンルは違うけれど、ヨコハマメリーを観たときのような感動がありました。
日本アニメの水準の高さを示す作品は、近年、世評ほどには出ていなかったように思うのですが、この作品は素直に日本アニメを誇りに思えました。[映画館(邦画)] 9点(2007-01-31 15:33:06)《改行有》
3. 武士の一分
《ネタバレ》 「たそがれ清兵衛」ほどのインパクトは無いけれど、山田洋次監督の藤沢周平三部作の最後を飾るにふさわしい良作と思いました。
この三部作は、従来の様式的な時代劇を否定する側面と、数々の日本映画の名作へのオマージュが、混在していました。
この作品も松竹らしい小市民的なサラリーマン映画、もしくは薄櫻記や拝領妻始末、必殺仕掛人の地獄花のような、過去の名作映画を思わせる内容で、なつかしく感じる人も多いと思います。
木村・檀・笹野の作り出す空間は、セット撮影ということもあり、極めて濃密な演劇的な空間であり、実際、今後明治座にかかっても違和感は無いと思います。
もったいないのは、ここでもいくつか指摘があったとおり、結末がちょっとクドく感じたこと、飯炊き女を新しく雇ったという台詞だけで観客のほとんどはウルウル来ているのに、その後が長いので、最後はかなりテンションが下がりました。
結末だけなら鬼の爪が一番だと思った次第です。[映画館(邦画)] 8点(2007-01-31 15:06:11)《改行有》
4. それでもボクはやってない
《ネタバレ》 電車内での痴漢事件という目線の低いところから始まり、最後は国家的な地平での司法の欠陥について暗たんとさせられる骨太な社会派作品。
裁判員制度導入を前に、決して他人事ではない厳しい現実を前に、軽いウツになることは間違いありません。
テーマは重いですが、観れば一気に引き込まれる演出脚本が見事です。
チカンの映画だと敬遠される方もいると思いますが、時間を作って観るだけの価値は充分にあり、法制度が現実的にどのように運営されるのかもよく分かります。
小日向文世さんの裁判長が本当に怖いですが、彼は悪役ではなく、彼の書いた判決は、目線を違えれば納得のいく内容だと思います。
問題は、警察、検察の証拠収集が万全とは言えないまま、起訴になったことです。[映画館(邦画)] 10点(2007-01-31 14:34:48)(良:1票) 《改行有》
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