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1. ミスティック・リバー
《ネタバレ》 「不幸になるのは弱いせいだ。強さこそが正義なのだ」。
過去のトラウマから抜け出せなかったデイブと、不安と恐怖からジミーに助けを求めたその妻は弱者の象徴だ。
ジミーは愛する者の死に立ち会えなかった・愛する者を殺された怒りを自らの力を持って相手に制裁を加えるという形で解決する。ジミーの妻はそれを正しいと肯定し、町を支配しろと言う。強者の論理だ。
メインキャスト3人の関係は幼い頃から変わらない。
リーダーのジミー、追従者のショーン、貧乏くじを引くデイブ。
デイブが連れ去られるきっかけのイタズラも、強盗も、そしてデイブ殺しもジミーは自分の落ち度からは目をそらし、タフに生きていこうとする。
1度目の殺しの理由は単なる「裏切りへの報復」だった。自分の娘が殺されても尚、その怒りと苦しみは到底送金等で贖えるものではないと気付くこともない。
だから2度目の殺人も平気で犯す。
ラストのパレードのシーンで、哀れに日陰から息子を呼び続けるデイブの妻と、光の中、不遜な顔でそれを見下ろすジミーの妻、そして傍観者ショーンの何も知らない幸せそうな妻の姿が象徴的だ。
正義よりも、倫理よりも、強さがそれに勝るのだ、と。
この映画は「それをどう思うか」と観客につきつけているように思えてならない。
公開がアメリカ同時多発テロの2年後なのは偶然なのだろうか。
しかしこれもこの映画の見方の一つに過ぎず、この作品をそう一面的に切り取ることは出来ないだろうと思う。[地上波(字幕)] 8点(2014-07-14 18:31:05)(良:1票) 《改行有》
2. 崖の上のポニョ
「子供のために作った」と言われてしまえば、「子供でない自分はその面白さが理解できなくて当たり前」と無理矢理納得するしかないのか。
監督、本当は違うんでしょ?この支離滅裂な展開や何気ないシーンに、自分の言いたいこと隠してたりして、「気付く人だけ気付けばいい」みたいなことやってんでしょ?…そんな気にさせられる。
だが、しかし、そんな事も結局どうでもよくなってくる。そうやってあれこれ考察して楽しむほど、この作品自体に魅力やパワーが感じられないのだ。2度目を観ることは無いだろう。
とにかく終始、モヤモヤして気持ち悪い。
「素直に楽しめない人はお断り」みたいな顔しながら、すんなり素直に楽しませないこの作りは何なんだろうか。素直に観るということを強要させられてるようなこの気分の悪さが、映画を素直に楽しむことを邪魔している。
肯定派の人の意見の中にも、「これはこうして楽しむもの」と自らを納得させている節が見受けられ、もっと手放しで「面白い」と感じられるものを期待していた自分には、正直、この作品は息苦しい。
そんなに頑張って歩み寄らなければならないのか。少なくとも自分にとってこの作品は娯楽たり得なかった。
しかし映像は素晴らしい。今の時代に「手描き」にこだわって作ってくれた事は素直に嬉しく、その気概と努力に6点献上。[映画館(邦画)] 6点(2010-02-21 22:55:21)《改行有》
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