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1. 君の名は。(2016)
さまざまなツッコミどころは書きだすときりがないのでこの際置いておくとする。しかし実際はそれが気になって映画に全く入り込めなかった。何故か。
それは登場人物達がどうにも薄っぺらく感じられて、思い入れが抱けず、終始どこか気持ちが冷めていたからだ。
この物語の核は「すれ違う二人が必死にめぐり会おうとすること」だろう。
なのに、「最初はいがみあってケンカばかりしていた男女が気付けばお互いを好きになっていた」というありがちな"お約束"があるだけで、「それだけの深い愛」を抱くまでの肝心な"物語"がないのだ。
いったい二人はどうして相手を「唯一無二の、かけがえのない、たった一人の特別な人」と思うに至ったのか。
これといったエピソードもなしに入れ替わりの日々を細切れに見せられただけで、急に「デートのセッティングをしたが何故か泣いている私」に飛び、そして「運命の相手」っぽい展開になられても、まったくついていけないのである。そもそもスマホ日記の短い報告だけで、相手のことをそれほど知れるとは思えない。
ヒロインにやっかみめいた陰口を言うクラスメイトのくだりなど余計だし、父親との確執云々も、避難指示依頼の時の二人の対峙を描かないのならば丸ごと不要だろう(難しいシーンから逃げたようにしか見えない)。
あれもこれもとごちゃごちゃアイテムやエピソードを散りばめて、何となく回収したっぽいように描いているが、重要な(少なくとも自分には重要だと思える)シーンが抜けている。
要するに「それっぽいキャラクター達」が「シナリオ通りに動いてる」だけで、スクリーンの中で「生きている」ように見えないのだ。
それは「こんな状況になったら、普通はこうするだろう」という事をことごとく無視するご都合主義にも表れている。
やはりどうもこの監督とは合わないようだ(口噛み酒や、緊迫したシーンでのパンチラの気持ち悪さも含めて)。[CS・衛星(邦画)] 5点(2018-01-02 01:58:53)(良:1票) 《改行有》
2. 阪急電車 片道15分の奇跡
この本を書いた人間と自分は、価値観から何から、まったく合わないんだろうなと思った。
冒頭、中谷美紀が「こんな女」と言った時点で、彼女も一気に「その程度の女」になってしまった。
寝取った女を批判するばかりで、そういう女になびいたくだらない男を選んだ自分に対する反省は無し。
宮本信子演じる老女も、お嫁さんから「こんなにもらっても困る」と言われているのを知っていてそれでも持って行く嫌な女だし、とにかく脇役含め登場人物がみんな不快で、見てる間中イライラし通しだった。
人間の良さ・温かさよりも、醜さの方が際立っていた気がする。
台詞回しも全体的に嫌味たらしくて、とてもほのぼの、まったりとした気持ちになどなれなかった。
迷惑おばさんに対しても「少し静かにして頂けませんか」と注意すればよいことで、「常識ある大人」ならあんな対応はしないだろう。
実は自分は物心ついてから数十年、ずっと今津沿線に住んでいる。
三度引っ越したが、この沿線を選び続けるほど愛着がある。
それがこういう映画になってしまって本当に、本当に残念だ。[地上波(邦画)] 4点(2012-05-06 17:38:28)(良:2票) 《改行有》
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