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1.  17歳の肖像 《ネタバレ》 なんか不快な映画。若い娘に手を出すおっさんも気持ち悪いが、それよりも、過去をどこか誇らしいものとして捉えているにちがいない原作者(成功者)の、愛も恋も裏切りも知らずに勉強一筋で生きてきた少年少女に対する、お門違いな優越感が透けてみえるところが嫌らしい。主演のキャリー・マリガンは素晴らしい女優だと思ったが、鼻持ちならない雰囲気は出ていても、少女らしい可憐さはまるで感じられない。相手の俳優もダンディー、不細工どっちつかず。悲劇でもなけりゃ喜劇でもない、感動もしない。どこに焦点をあわせ、何を見るべきか全くわからなかった。 [DVD(字幕)] 5点(2011-08-31 12:44:52)《改行有》

2.  童貞。をプロデュース 《ネタバレ》 二十歳をとっくに過ぎた童貞というのは私が今まで見聞きした範囲では、決して多くはないようだ。ある程度の年齢になれば大抵の人には普通に恋人ができ、自然にセックスを経験するからだ。所謂「ヤラハタ」の童貞くんは、その標準的なラインを大きく逸脱するだけの理由があるから童貞なのだ、ということがよくわかる本作。二部構成で二人の童貞の生態を探っている。ターゲットの二人は異なったタイプの童貞であるが、二人ともとにかく頑固で笑える。一作目も二作目も監督の編集センスが秀逸で、テンポよく入り込めるのだが、個人的に蛇足と感じたのは一作目エンディングで峯田和伸が童貞君作の名曲(?)「穴奴隷」を熱唱するシーン。童貞臭はあっても、れっきとしたバンドマンであり、女の子にもきゃーきゃー言われる彼が、ガチ童貞の無垢な世界に足を踏み入れてはいけないと思った。あと、映画館を出た時に、これまた童貞チックなお兄さん二人組が一作目について「童貞じゃなくなった過程を見せてくれなきゃ意味がない」と批判しているのを耳にした。私はそれには断固反対だ。童貞が童貞でなくなった瞬間、童貞はただの男になる。「童貞。をプロデュース」というタイトルどおり、いかに童貞(が童貞としての己の生き様に固執して生活している姿)が面白いか突きまくったのが本作なわけで、拘りを捨てた普通の男に用はない。実際、一作目のメガネ君の一年後の姿にはなぜか諦念のようなものが漂い、童貞だった頃の彼のある種の輝きは消失していた。なんとまあ童貞とは可笑しくていとおしい存在だろう。「童貞たちよ、恥じることはない、誇りを持て。君たちはビューティフル・ドリーマーなんだから」松江監督のそんな温かい眼差しを私は勝手に感じた。いやあ、私も童貞になりたいくらいだよ。二重の意味で無理だが。[映画館(邦画)] 9点(2010-09-24 02:13:38)

3.  恋するポルノ・グラフィティ 《ネタバレ》 ケヴィン・スミスという人は、根底にあるものが全く変わらない。ちょっと変わったラブコメ、オタク、エロ、多弁、下品。本作を象徴するキーワードは十年以上も前に制作した「チェイシング・エイミー」と同じある。監督としての世間的な彼の地位が、この十年~十五年くらいでどのように推移しているのか私は把握していないが、こんなに(勿論いい意味で!)成長しない人は、業界にあまりいないのではないか。盟友?ジェイソンも相変わらずの馬鹿キャラで堂々の登場。ファンとしては嬉しい限りだ。私の感覚では、ずっと居心地のいい関係(幼馴染以上恋人未満、とでもいおうか)だった男女が、事務的なセックスをきっかけに意識しあうようになるというストーリーは理解・共感できないのだが、全体的にグダグダでリアリティがないために完全に自分と切り離して楽しめた。[DVD(字幕)] 7点(2010-09-23 01:34:03)

4.  間宮兄弟 このとりとめのなさ、森田ワールド。2時間の尺で結局なんにも変わらない二人ですが、人間そう簡単に変わってはいかんのです。恋したり口説いたり、人並みの欲望はあるけどやっぱり二人でいるのが好きな二人。山下作品、それから「ジャージの二人」もだけど、自分はいい年をした、ちょっとダメな男が二人でいること(ホモという意味ではなく)のオフビートな空気が好きなんだとわかった。これは女二人だと多分「寂しいウチラ」の構図で、痛々しいとか自虐的な方向になるけど。とかく独特の味わいが楽しめる映画。[DVD(邦画)] 7点(2010-08-19 12:44:16)

5.  おくりびと 《ネタバレ》 純粋にいい映画だ、とは思う。わけあり女の余貴美子、実は「おくりびと」だった笹野高史、社長、吉行和子、役としては死人だったが峰岸徹、そしてなんといっても主演のモックン(所作の一つ一つが美しい)、みんな、実にいい。そんななか、完成度を下げたのは妻・広末涼子だ。いや、広末涼子のせいではないのかもしれない。素人の私には、彼女の演技が悪かったのか、それとも脚本がまずかったのか判断ができない。ただ、いずれにせよ、妻がこの映画において大きなマイナス要素なのは間違いない。この映画の流れで、妻の心境の変化がなぜ起こったのか、どのように変化したのか、よく分からないのだ、あまりに唐突で。なんとなくは理解できる。だが、筋書きをなぞったうえの理解でしかない。物分りのいい貞淑な妻のはずなのに夫の仕事を知るやいなや豹変し、夫を「汚らわしい」とまで口走った彼女が、夫の仕事ぶりに感動してすぐに見直しました、ってあまりにも簡単すぎるではないか。広末演じる妻はこの映画において、「死」というものを異常に忌避する点で、多くの観客に一番近い(ある意味ではごく普通の)、存在のはずである。その妻を適当に心変わりさせてお茶を濁して、客から共感を得るというのは無理な話だろう。実際、私もそうぐっとは来なかった。妻との物語をそこまで見せる気がないのなら、もっと描くべきことはあっただろうし、見せたかったのなら全然足りなかった(尺の問題ではなく)。とはいえ、様々な人の死に様々な思いが交錯する、日本的な「死の風景」が美しく描かれていたこと、冒頭にも挙げた俳優陣の演技など、個人的に好きな部分も多い作品である。だからこそ、自分のなかのマイナス箇所がとても勿体無く感じる。[DVD(邦画)] 6点(2010-07-16 21:03:46)(良:1票)

6.  アメリカン・クライム エレン・ペイジの悲痛なる表情がいつまでも胸に焼き付いている。本作も「ボーイズ・ドント・クライ」「乙女の祈り」などのいつまでも記憶に残る不快映画の類だが、一番怖いのはこれらが実話という点だ。惨い。下手なホラーよりよっぽど怖い。こういったことが惨いとか怖いと思えるうちは自分も健康なんだと思うが、人間は慣れていく、麻痺していく生き物だから、自分だけは絶対にこんなことをしないと思っていても、壊れる瞬間があるのじゃないかという疑いがある。それも結構怖い。人間(自分も含め)不信になりそうだ。観たくなかったが、大切なことを知る、考えるため、或いは現時点での自分の感覚を試すという意味でも、観るべき映画だと思う。余談だが、エレン・ペイジは誰かに似ていると思っていたが、大路恵美に似ていることに気づいた。別作品では大竹しのぶに似ていると思ったし、要するに日本人的な顔なのだろう。目に馴染みやすい女優さんである。[DVD(吹替)] 7点(2010-07-03 23:35:38)

7.  童貞放浪記 《ネタバレ》 私は山本浩司が好きである。私の敬愛する山下監督作品で童貞とモテ男という対極にあるキャラをどちらも演じた彼。平たく言って、リアルだった。はっきりいって不細工だが、不思議な色気のあるそんな彼。東大の院まで出ているのに、三十路で童貞という役はなるほど、彼にぴったりだ。超がつく非・モテの生態をかくも見事に演じ切るかという、感動を与えるほどにダサく、痛々しい演技を繰り広げた彼に何の非もない。問題は相手役の女性だ。神楽坂恵の外見は同性の私から見ても肉感的で素晴らしいが、原作が悪いのか脚本が悪いのか演技が下手なのか何なのか、この女性のキャラクターがびっくりするほど薄い。一つ一つの行動の裏側にある心情が、全く読めない。要は何か、ちょっといいなくらいに思っていたはずの主人公の年季の入った童貞ぶりを目の当たりにしてどん引きしたってことでいいのか?しかし、その感情の起伏はどこにあったのだろう。海外に追っかけて行きたいほどの想い人がいて、その彼以外の男といちゃついてみる感じが、インテリ女性らしいアクティブさなのか。で、ふと我に返る、と。んー、分からん。確かにこの作品は私小説が基になっているらしいので、当時の相手の女性の心理は原作者ですら掴んでいないのかもしれないが、そこはどうにかこじつけてでも作品として成立させてくれよと言いたい。たぶん主人公に気があって、処女を告白した同僚?の女性のほうがよっぽど心に残ったぞ、私は。まあ、放浪記というからにはあのラストは正解だろうが。山本浩司を使うなら、山下監督までとは言わんが、作品としてクオリティを上げていただきたい。やっつけ仕事を振るには勿体ない役者ですよ、彼は。[DVD(邦画)] 5点(2010-06-14 00:20:16)

8.  女の子ものがたり 《ネタバレ》 少女版スタンドバイミーということで観てみた。なるほど、物を書く仕事に就いた人が昔の友情を振り返る→友人は死んでいる→ああいう友達はできないだろうという流れは全く同じ。友情が「不幸」という似た境遇の絆で結ばれているのも同じか?だったらスタンドバイミーでいいじゃない、と言いたいとこだけど、私はこっちのほうが好きだ。自分に女の子時代があったからというのもあるが、作中の女の子たちの、自分たちのわかりやすい不幸やわかりきった生き方を笑い飛ばす強さが何とも潔い、哀しいけれど。西原センセの作品というのにあまり馴染みはないのだが、底辺の暮らしを知っているというのは物書きにとって強味だと思った。脱却しようにも光を見出せず、主人公以外の二人のように生きてしまうしかない、圧倒的多数の女の子たちに色んな道を示すという意味で、彼女にはこれからも描き続けて欲しいものだ。ところで、某ドラマ以来、大後寿々花ちゃんは私の気になる女優さんであるが、彼女の凛とした雰囲気が成長過程で全く損なわれることなく、むしろより一層研ぎ澄まされていくことにいたく感動した。[DVD(邦画)] 7点(2010-06-13 23:13:07)

9.  キング 罪の王 《ネタバレ》 ティーンエイジャーのヒロインがおばさんにしか見えないと思ったら、制作時女優さんが二十代後半って…そりゃ無理あるわ。老け顔の彼女を起用した意味がよく分からない。ガエルさんが童顔なので尚のこと違和感を覚えた。ストーリーとしては要するに父親に捨てられた青年の復讐物ってことなんだろうが、キャラクターに魅力が全くなく、共感できないので全てが唐突に感じる。ところでうちの近所のTSUTAYAではこれが伝記物コーナーにおいてあったのだけども、完全にタイトルだけで分類しちゃった感じかな。歴史を動かす、壮大なスペクタクルを期待した人は完全に肩透かしをくらうに違いない。誰が王様じゃ。[DVD(字幕)] 5点(2010-04-26 23:08:11)

10.  大いなる休暇 《ネタバレ》 「生活保護は人間の誇りを奪う」だったかな、昨今のどこまでも楽な方に堕ちていく日本人たちに捧げたい台詞が印象的だった。男たちが働き、女たちは家庭を守り、夜、愛が育まれる。単純明快な生活スタイルがもたらす穏やかさは、ありきたりなものかもしれないが、幸せと呼べるだろう。物質的には豊かでも、求めれば求めるほど飽き飽きするような私の(というよりは一般的な日本人の)生活を思えば、狭い町で狭い人間関係の中にいて、多くを望まず、そこに存在するものに価値を見出していくほうが、却って満たされるのかもしれない。展開は読めたが、思ったとおりでほっとした。ただ、良い人たちだらけなのに、医者が彼女に裏切られた時にみんなして喜んだのにはちょっと違和感を覚えた。人間らしいっちゃらしいけど。 [DVD(字幕)] 8点(2010-04-06 18:39:32)(良:1票) 《改行有》

11.  ミスティック・リバー 《ネタバレ》 何か観たことあるぞ、この感じ…と思ったら、「ゴーン・ベイビー・ゴーン」と同じ原作者なのか。どちらの映画にも胸糞悪い少年暴行の表現があり、さらにどちらも「選択」或いは「仮定(もしもあのときああだったら…)」がキーになった作品である。特に「選択」はこの映画の大きなテーマであると私は感じた。本作では見事にキャラクターたちが選択を誤り、結果、とても後味の悪いラストを迎える。ティム・ロビンス演じるデイヴの報われない人生を思うと、あまりに哀しい。三分の一のハズレを引いた彼と、助かった二人。振り分けられたのは単なる運としか言いようがない。その無慈悲さにはぞっとする。それが現実なんだと、分かっているから尚更だ。ちなみにデイヴがいつも人の車に乗りこみ、不幸な目に遭うというのは意図的なんだろうか。徹底的に救われない話だが、人間や人生というものの一つの真理を描いている傑作だ。作品全体を通して翳った画面と設定された年齢の割に老けた俳優二人(無論ケヴィン・ベーコン以外の二人)が見事にストーリーの陰惨さを増幅させている点も高評価である。[DVD(字幕)] 8点(2010-04-04 21:01:37)(良:1票)

12.  ロルナの祈り 《ネタバレ》 ダルデンヌ兄弟の映画は何となく観るのだが、お恥ずかしい話、ストーリーやらキャラクターについては全体的にうろ覚えである。共通して社会のどちらかというと下層部に生きる人の話で、ネガティブな面が描かれているのだが、あまり押し付けがましさがなく淡々としているといった感じで、それぞれの作品の印象が似通っているからかもしれない。この作品についても、兄弟らしく、描かれる内容はダークながらも全体的に上品。インパクトといえば全て中盤のロルナの心境の変化に集約されるだろう。かなり疎ましく感じていた(と思われる)相手に対し、あそこでどうしてああなるのか、一瞬理解できなかったが、安っぽい表現をすれば好きと嫌いは紙一重、愛するのも憎むのもエネルギーがいることで、そのエネルギーのベクトルが変わるだけの話だと思えば、そういうものかなという気もする。ジャンルとしてはラブストーリーなんだろうが、だとすればひねくれているし、事実だけみると、かなりの悲恋話である。だがラストは絶望じゃなく、どちらかというと希望が見出せそうですらあるのは不思議だ。私はこういったところに兄弟の作り手としての温かみを感じる。とはいえやはり、私のなかでは他の作品同様、残念ながら埋没してしまいそうである。このでしゃばらない感じがむしろ、ダルデンヌ兄弟作品の味なのかもしれないが。[DVD(字幕)] 7点(2010-03-18 01:21:33)

13.  ラースと、その彼女 要するにダッチワイフの話という点で本作は「空気人形」と似ている。しかし、心を持った空気人形が、「心なんか持ったら面倒だ」と言われるのに対し、本作は心がないはずのビアンカが、さも心を持っているかのように周囲から生かされているという話で、全く正反対である。不思議なことに、人形が動き出すという設定上、ファンタジー要素は前者のほうが強いはずなのに、本作のほうがよりファンタジックである。多分、現実ならば、この映画の登場人物たちのようにラースを温かく見守る人は皆無で、どちらかといえば、大多数の人間がラースを気味悪がるはずだと思うから。そういう意味では、「空気人形」の登場人物たちのドライさが私にとっては現実的で、ラースの周囲の温かい人たちは何だか出来すぎた感じがした。だが、虚構ゆえに、と切り捨てたくない気持ちがあるのも確かだ。「ビアンカの存在は我々の勇気を試した」という神父の台詞があったが、そのまま私自身にも投げかけられたような気がしている。[DVD(字幕)] 7点(2010-03-08 20:19:05)

14.  せかいのおわり 《ネタバレ》 同性としてよくわかるんだが、女にはどこかこういう狡さがあるんだよな、たぶん。好きな男の腕の中で違う男の夢を見るって言うし。最後、二人がくっついていたら陳腐なラブストーリーなんだけど、献身的な彼の愛を主人公がやっぱりかわしちゃう、それでも何だか幸せそうという、悲劇でも喜劇でもないふわっとした感じが非常に現実的。自分を愛する男という保険をかけて、幸せを求めて男から男へと渡り歩くハルコは地味に嫌な女だと思うけど、そんな彼女に一心不乱に片思いの渋川清彦(役名失念)までもがその関係性を心地良く受け入れているんだから世話ないよっていう感じである。ちなみに一見意味がなさそうなバイの店長の存在は、主人公二人にみられる男的な恋愛観(好きだから付き合いたい、好きな人だけを求める)、女的な恋愛観(好きだから逃げたい、他を求める)の中間的概念(好きだけどどうにもできない、好きだからこそ表面的には他を求める)の持ち主として描かれているのかなと思う。なかなかいい味出してますわ。[DVD(邦画)] 8点(2010-03-06 22:15:38)

15.  おとうと(2009) アンパンが喋るとか未来からネコ型ロボットがやってくるとかいった国民的アニメの設定に「そんなバカな」とつっこむ人は誰もいない。単にフィクションというのとは違う意味合いで、この世に起こりえない「非現実」の話だからだ。この映画も同様に、山田洋次の世界という、現代日本に似た異世界の、全くの非現実の話だと思うことにしてみると違和感なく観れる。時代錯誤という単純な話では済まされないほど独特すぎるキャラクターたちの言い回しや行動は、現代の日本では絶対にお目にかかれないだろうが、それでも深い味わいがある。いかにも人情物らしく、脇役たちが生き生きしているのも良い。特にレオ&笹野ペア。二人のいかにも下町の人間らしい陽気さ・お節介さが微笑ましい。ただやはり、蒼井優や加瀬亮など良い意味で「普通さ」が売りの若手の役者陣は、観ていてこそばゆいくらい演じにくそうではあった。でもまあ、それもご愛嬌だ(逆に吉永さんはマッチしている。ご本人が浮世離れしているからだろう)。最後に鶴瓶について。「ディア・ドクター」も良かったが、今回も素晴らしい。彼はおそらく監督に愛されるのだろう。(多分)本人の人柄がそのまま生きた役を貰って、ありのままで楽しく演じている。だから観ている者も楽しくなる。ストーリーはありきたりだし、オチも何となく分かっていたが、それでも最後はホロリとくる。山田洋次の愛する、寅さん的なステレオタイプな人情の世界は、やはり日本映画には必要だと痛感した。自分で言っててなんだが、これが現代日本の話として観られないことがちょっと哀しい気もする。[映画館(邦画)] 7点(2010-02-28 23:48:04)(良:1票)

16.  ミリオンダラー・ベイビー 《ネタバレ》 ヒラリー・スワンクという女性を知ったのは私のなかでは史上最強の鬱映画「ボーイズ・ドント・クライ」である。この映画で彼女が演じたのは(ネタバレになるので仔細は語れないが)、孤独を抱えながらも、強く美しく生きる女性の役であった。本作と「ボーイズ…」では役柄の印象は結構近い。彼女のような、野性的な美人という形容では物足りない、とかく凄味がある女優は、そうしたハードな役でこそ活きる。映画自体の出来に言及する以前に、彼女の仕事ぶりだけでもどちらも一見の価値はあるだろう。このままでは「ボーイズ…」のレビューと兼用になってしまうので、本作について。驚くほど単純明快に、素晴らしい作品だ。スポーツは観るもやるもてんで興味のない私だが、本作は何しろただのスポ根モノではない。ボクシングという飾りを纏った、実に深遠な人間ドラマなのである。マギーとフランキーの間にあるのは、親子のようにイノセントではあるが、親子のようにおんぶに抱っこではない、あくまで互いを尊敬しあう、男女としての愛である。ラストは賛否あるようだが、私は自然に思えた。人生はいつだって理不尽なもので、突然の不幸に見舞われることもあるが、そのなかで最良の選択をしていくしかない。愛は刹那であるがゆえ、永遠に美しい形で留めておきたかった二人の決断(正確には一人の意志と、その意志に従ったもう一人の判断)は、あくまで二人の関係においては正しかった。それでいいのではないか。ありきたりなシンデレラ・ストーリーも悪くはないが、不幸や悲壮のなかに一縷の望みや喜び、自分なりの救いを見出す人々の物語のほうが、ずっとリアリティがあるし、胸に響く。本作はあちこちで賞賛を浴びるイーストウッド監督の力量がよく分かる、重厚な映画である。[DVD(字幕)] 8点(2010-02-26 21:07:17)

17.  ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習 下品さややり過ぎ感がこの作品の魅力なんだと力説されたとしても、やっぱり下品だし、やり過ぎ。ある国の文化(それも、全世界的には「メジャー」とされているような?)を他文化の視点から俯瞰してみたとき生じる可笑しさを描いているという点では、文化人類学の要素が詰まった作品だと思うが、何しろ絶対に教材としては使えないから意味がない。それならばとただ単にエンターテイメントとして観ようとすると、楽しませられるより、不快感が勝る。フェイクドキュメンタリーは個人的に好きだが、だからこそ(多分)素人さんたちのガチ困惑が辛かった。うん、発想はいいと思う。ただ何事もほどほどが一番。[DVD(字幕)] 5点(2010-02-18 18:44:48)

18.  さよならみどりちゃん 《ネタバレ》 この映画の(映画に限らず小説でも漫画でもサブカル臭の漂う作品には結構ありがちなんだけど)、ルックスその他諸々、それなりに恵まれた人間の恵まれているなりの悩みやらセンチメンタルやらそういったものを描き出し、「わたしせつないの」(あえてひらがな)って言いたいだけのストーリーには正直虫唾が走る。愛されないなんてぶーぶー言う以前に、そもそも、文字通り水も滴るいい男・西島秀俊の、知性とだらしなさが漂う美しい顔に、あるいは程よく中年くささもある色っぽい身体に、一生のうちで一瞬たりとも触れることができない女が世の中の圧倒的多数だと思うぞ(そしてその圧倒的多数のうちの一人、男日照りが続くこの私には、主人公の感傷が最早不幸自慢に思える。哀)。一体どの層が共感するのか。っていうかこの映画に共感できる人とは仲良くなれそうもないな、自分は。いかにも遊び人なユタカに近づいて、案の定深みにはまって自暴自棄になり、自分を慕う男の子と軽く寝てみるとかいうヒロイズムも何か気持ち悪いし。でも、いるんだろうな、こういう人たちって。一握りのドラマッチックな人間は、こうやって何もかもがスタイリッシュな恋をするんだろうな。その挙句失恋したって何となく慰められて前向きに生きられるきっかけもたくさんあるんだろうな。そしてまたそれなりにいい相手と出会うんだろうな。それで恋愛中はウン○もしなけりゃ、オ○ラもしないんだろうな。…とまあ、一回どおり僻んでみて、結論としては好きな作品では絶対無い。だが、映画としてはなかなかのもんです。原作未読だが、この手のサブカル漫画の空気感みたいなものは描けているはずだし、ミニシアター系邦画特有の映像の透明感みたいなものも描けていると思う。あと特に評価できるのは、主人公に、昔から美人でちやほやされ続けているようなオーラの女優ではなく、「中学のときイケてない」女子だった感のある、どことなく垢抜けない星野真里を起用したことかな。[DVD(邦画)] 7点(2009-12-10 22:09:27)

19.  コドモのコドモ 《ネタバレ》 幼い少女が出産するというストーリーの映像作品がここ数年で何作か世に出て、物議を醸した。でもよくよく考えたら、作品中でもばあちゃんが言ってたが、産むことができる身体だから赤ちゃんができるってことなんだし、自然の摂理に反しているわけではない。子どもが出産するというテーマの問題点は、私が思いつく限り2つある。1つは赤ちゃんを育てるということは経済力や躾の面で子どもには難しいということと、そしてもう1つは―こちらの方が大きいと思うが―妊娠や出産以前の過程で、そもそも子どもがセックスするというのがタブーであるということだろう。前に他のレビュアーさんが書いてらっしゃる、セックスの意味も分かっていない子どもがセックスするということが暴力であるという意見はもっともだ。ただ、この手の作品の意味は、無論、幼い子どものセックス礼賛ではない。汲み取るべきは、「よかったね~」と笑い合っている周囲の理解ある仲間や家族という奇麗事ではなく、批判的な第三者というリアルの部分であると私は思う。また本作の、幸せそうな「今」だけ切り取り、あまり未来を感じさせないラストシーンはどこか名作映画「卒業」に似たものを感じる。これからもずっと幸せなんて約束はない。世の理みたいなものに背いて選んだ道は、間違いなく厳しい。それでも生まれてしまったものは仕方ない。たとえ産みたいという感情は一時的なものでも、結果は永遠についてまわる。ともかく子どもだろうが大人だろうが、命を作り出すという行為はいろんな意味でとーっても重い。そういうことを、不安も感動もひっくるめて、感じられればいいのではないか(そしてそれが似たテーマの「JUNO」よりは断然感じられる本作)。ただまあ個人的には、ハルナの大きなお腹にばあちゃん以外の大人がいつまでも気づかないというのが、子どもにしか見えない赤ちゃんの存在…的なファンタジー設定ゆえにかと思っていたから、本当に産んじゃうのには驚いた。「自分の子どものことは何でも分かる」と豪語する母親がずっと気づかないという設定はやっぱりどうしても無理がある。そこに何らかの意味を持たせたかったのは承知の上でも。[DVD(邦画)] 7点(2009-12-07 21:35:46)(良:1票)

20.  ジャーマン+雨 野嵜好美といえば山下敦弘監督の秘蔵っ子という印象だ。それだけに(?)、よしこのような、憎たらしいがある意味魅力的な破天荒キャラがぴったりくる稀有な女優さんである。その彼女を主演に据えた横浜監督のセンスとガッツ、それだけでも私のなかでは結構高評価な本作だが、私が特に素晴らしいと思ったのは作中キャラクターである。登場人物に誰一人真っ当な人間がいないながらも、舞台が辺鄙な田舎町だから特に、こういう奴いそうだよね的な共感を呼ぶ。同じ変人系映画でも、ケラや三木聡作品のように「こんなやつおらへんやろ~」と思わずつっこんでしまうようなぶっ飛びタイプではなく、横浜監督が好むのは山下タッチのリアリズムである。愛を持って「ヒト」をよく見ている、そんなイメージ。それから、ストーリーについて。一見ポップだが、本質としては前のレビュアーさんがおっしゃるとおり、結構暗い。「ウルトラミラクル~」もそうだったので横浜監督の好みなのかもしれないが、積極的な前向きさはなく、どちらかというと諦念を抱き、どう開き直るかが主眼であるように思える。それで下手なメッセージ映画よりも、何だか逆に励まされるのは私だけではないと思う。映画の規模を考えたら限界があるとはいえ、人々にもっと観られていい映画。ただ、もう少し分かりやすくてもよかったんじゃないかと思う場面は多々あった。ドイツ人とよしこは性関係を持ったのかな?私は勝手にそう解釈しちゃったけど…。[DVD(字幕)] 7点(2009-12-05 14:53:50)

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