みんなのシネマレビュー |
| スポンサーリンク
スポンサーリンク
2. 歌うつぐみがおりました 《ネタバレ》 あらら困ったもんだギアみたいな奴は。なんでひとつの事すらちゃんと腰を据えて取り組めないの。 誠実とは程遠く、金など絶対に貸せないタイプ。クズというには周りからの愛されっぷり許されっぷりの大きいことよ。たしかに“気さくで良い奴”でもあるからね。 本人に悪気はゼロ。「いつも俺が悪いってことになるんだよ」は100%本心で言ってるんだろうな。多面体のような人間の本質を軽やかに描く脚本はなかなか手練れています。 70年のジョージアって旧ソ連下のはずですよね?こんなにタッチが明るくて自由な空気なのには驚きました。女性のファッションもおしゃれだし。 忠告をしたり説教したりする友人らもいる。ギア本人も自分が結局何もしていないことに気づいてる。だけどこういう生き方しかできない人間もいるのだろう。 不意打ちのように終わりを迎えたギアの人生。でも周囲の時間は変わらずに進んでゆく。この無常観は「勝手にしやがれ」と比べられているようだけれど、ゴダールよりずっと入っていきやすくてジョージア製の本作の方が好き。[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-06-18 23:12:05) 3. 国際諜報局 《ネタバレ》 なかなか個性的なスパイ映画でした。スパイものといっても007的な華は皆無。足を使って調査したり上司に報告を上げたり、の地味な画ヅラで八割方占められます。でも思わせぶりなカメラワークや演出が巧くて引き込まれます。のぞき見させられるカメラアングルや不意打ちのタイミングで起こる殺人。観る推理小説、といった形容が合います。 軍の物資を横流しして懲罰を食らったというパーマーの破天荒キャラに、意外にも知的イメージのマイケル・ケインがハマりました。 ちょっと人を小馬鹿にしたような目つき、クセになりそうです。まつ毛長いなあ。 料理が得意で食材には一家言あり。コーヒーは豆から挽く。モーツァルトとバッハが好き。と、パーマーの人となりをこの一本で紹介しつくしている。マイケル・ケインの次作以降のハリー・パーマーシリーズにがぜん興味が湧きました。[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-06-17 23:54:26) 4. シングルス(1992) 《ネタバレ》 92年か!や、なんだかあの頃の空気感が懐かしい。住んだことないアメリカだけど。 駆け引きに振り回されたり、深読みしたりの独身あるあるエピソードがセンス良く脚色されてて可笑しい。 この頃って「リアルな」とか「赤裸々な」ドラマがちょっとしたムーブメントでしたよね。 ケータイが無いから電話。それも留守電。コミュニケーションのスピードが今よりずっと遅くて、だから男も女も考える時間が取れた。今は創作のドラマも昔より展開が早くなっているから、脚本家もそのあたり苦労しているのだろうなあ。 90年代初頭のアメリカ。今と比べるとずっと明るくて豊かで呑気なことにしみじみしました。メイン出演者が白人ばかりというのもちょっと古さを感じるけれど。 “ビデオデート”なる商売があったんだね。出演陣のなかでも「やり過ぎ」担当のデビーの奮闘ぶりには笑いました。[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-06-14 23:19:53) 5. グレイテスト・ショーマン 華やかでゴージャス。色の洪水。たたみかけるダンス、驚異的なカメラワーク。おじさんなのに見事な身体のキレを見せるヒュー・ジャックマン、これぞミュージカル。 だけどもわたしはミュージカル苦手なんだった。映画に物語を求める客にとって本作の浅いストーリーはなかなかきつい。巷の高評価に釣られた自分が悪いのです。 でも凄く素敵だなと思ったシーンが一つ。夜中の屋上で回転灯から光がくるくるとシーツに映える場面、ここに心を掴まれたので最後まで立たずに付き合うことができました。[CS・衛星(字幕)] 5点(2025-06-13 23:09:11)《改行有》 6. フレンチ・コネクション2 《ネタバレ》 映画自体がハックマン演じるポパイ刑事そのもの。泥臭い男っぽさ。70年代のギャングものって、ざらっとしたフィルムの質感と相まって本当に恐い。本作もボンドシリーズのような華やぎは皆無で渋面のおっさんたちが走ったり怒鳴ったり、陰気で汚い雑居ビルなどの画ヅラが続きます。キツイです。 ポパイが麻薬漬けにされるシーンは陰気恐怖の極致。異彩を放つヤク中の婆さんがギャングを凌ぐ凄まじい恐怖インパクトで、早く忘れたい。親切そうにポパイの世話を焼きに来たのかと思うでしょ、さにあらず弱った奴からの窃盗ときたもんだ。骨ばった白い腕にたくさんの注射跡・・トラウマになりそうだ。 ポパイはかなりの自己中オヤジでアクが強いキャラクター。仏当局の注意を無視してギャングに捕まった揚げ句、なんでもっと早く助けに来ないのかと仏警察に食ってかかる。逆切れってやつ。女好きで若い娘には色目を欠かさない。件のヤク中婆さんにまで(薬で自意識がハッキリしてないとはいえ)イイ顔しちゃってんのには腰を抜かした。 ここ2~30年ほどはめっきりお目にかかることの無くなった男くさいオヤジ中のオヤジ、ドイル刑事ことG・ハックマン。先日訃報を耳にして、ああポパイ逝ってしまったんだなと思った。彼を偲ぶのに最適な本作。ラストのカタルシスは他の追随を許さないレベル。[CS・衛星(字幕)] 8点(2025-06-10 23:49:01)《改行有》 7. NOPE/ノープ 《ネタバレ》 たくさん指摘されているように、ほんとシャマランの感じに似てます。いたって平穏そうな日々の画に不意打ちのように発生する異常事態。その後ずっと続くもやもやした嫌な怖い雰囲気。オチの精度はともかくとして、ストーリー全体が纏うスリラーな空気感は絶妙です。 広大な米国西部の荒野に等間隔に並ぶカラフルなチューブ人形と抜けるような青空、白い雲。~からの巨大クラゲ型エイリアン、と視覚に訴える情報も洗練されています。 でもこの監督のいつものテーマである社会問題については話の中でうまいこと咀嚼されてない。盛り込んだメタファーが多すぎてちょっと良く分かんないな。見下されてたチンパンジーが白人にキレる場面。アジア人の子どもには共感を見せるといったあたりは言わんとすることは分かりやすいけれど。 OJの家が赤く染まったのは聖書の予言通りということ?違うかな単なる視覚効果狙いかな。あと直立してる靴の意味はまったく分からなかったな。[CS・衛星(字幕)] 6点(2025-06-07 15:05:01)《改行有》 8. ストーリー・オブ・ラブ 《ネタバレ》 いやー、洋の東西問わず夫婦って似たようなカタチをたどるものなんだねえ。 愛情って形を変えてゆくモノですから。ましてや恋心など一時期脳から出るアドレナリンの作用ですから有効期限は人生と比べると短い短い。 ミシェルとウィリスのカップルもほんとよくケンカする些細なことで。まあそこは脚本ありきで口論のための会話に感じる展開も多々あるけど。現実も火種は実に小さいことだったりするから「夫婦あるある」として大いにわかるわかる、となりますね。 酸いも甘いもひっくるめて一緒に過ごしてきた時間を丸ごと大きな優しい目線で捉えるロブ・ライナーはさすがだし、涙でぐしゃぐしゃになりながらのラストシーンのミシェルにはついついもらい泣きです。[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-06-02 11:56:15)《改行有》 9. 推定無罪 《ネタバレ》 殺された美人検事補事件の謎解きと、彼女と不倫関係にあった同僚検事の冤罪を主張する法廷ドラマと、ストーリーの骨格は二本立て。良く出来てる脚本と思います。 冤罪と書いたけれど、や、実のところH・フォードは真犯人なのか?との疑念を抱きながらの鑑賞となり、週刊誌的な下世話な興味を大いに掻き立てられる内容でした。面白かったですが。 なるほど観終わってみれば勝者ハリソン検事の失ったものってなんと多いことか。家庭は言うに及ばず、不倫相手は死んでしまうし信頼を寄せてた上司のまさかの裏切りにも遭うし。息子のためにこの先も怨念妻と暮らさなくてはならないとは新たな地獄の幕開け。不倫ていいことないよ、という教訓話ですかね。違うか。 軽いノリの娯楽作ではあるけど、どんな感情なのか今ひとつ伝わらないH・フォードの能面演技とラストの女房の長口上によるネタ明かしは洗練されてなくて頂けない。[CS・衛星(字幕)] 6点(2025-05-29 11:27:00)《改行有》 10. 奇跡の海 《ネタバレ》 わたしはキリスト教徒ではないので作品の解釈にあたって欧米の人たちとは温度差があるのかもしれない。なんたってカンヌでグランプリ獲ってるんだから。 なんとなくは分かりますよ。ベスのしたことはキリスト教の神が求める「自己犠牲」ってやつでしょ?キアヌ・リーヴスが出てた「コンスタンティン」でやってた。 ベスは神の求めに応じて殉教したのに、現世の教会幹部らはまったくその意を汲まないあたり、痛烈な教会批判にも感じるけれど。 でもこの監督の作品を観てもこちらは救われた気持ちにならないんですよ。深い愛って素晴らしいな、ヤン良かったねえ、と手放しで喜べるはずもない。 なんでこんな物語をこしらえるのですかと監督に聞きたい。なぜいつも女がいたぶられる筋書きにするのですか。神への奉仕として自己犠牲を行うのは男性神父でも良いのではないですか。デンマーク映画にありましたよマッツ・ミケルセン主演の。 身を犠牲にしたのはベスが自ら望んだこと。であるならせめて報われた思いを得るのが監督としての優しさではないですか。なぜ「全部間違ってたわ」とベスに言わせるのですか。絶望しながら死なせたのはなぜですか。彼女に鐘の音は聞こえないじゃないですか。 「奇跡の音」を聞いたのは油田の労働者たちでなく。教会のクソ爺たちであるべきだとも思う。1カットでいいからその画が欲しかった。 こんな鬼畜な監督の要求に応えたエミリー・ワトソンが凄まじい。点数は全部彼女に。[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-05-27 23:27:07)《改行有》 11. 教皇選挙 《ネタバレ》 ひゃー、(一見)高潔な宗教者らの権力闘争はこちらの期待どおりのえげつなさと生臭さでありました。一人の枢機卿の台詞にあったように「我々は神に仕えているが生身の人間だ」なんですよね。 野心を隠そうともしない者、水面下で地ならししていた者、発言だけは謙虚な者。クセ強なキャラクターが勢ぞろい。 選挙を左右しそうな真偽不明な噂だとか謎の報告書だとか、世俗の選挙と変わりないサスペンスフルな脚本でわくわくしました。 また画ヅラが素晴らしいですもん。格調高い法衣と歴史の重みに圧倒される礼拝堂での投票。投票箱(?)まで銀器(名称はわからない)なのかあ。 主人公の首席枢機卿が一度だけ名誉への色気を抱いたその瞬間に天窓が破壊され天井画と目が合う。「神の怒り」とローレンス氏が感じるように設えた描写は印象的でした。わたしは彼に教皇になってほしかったですが。 なにしろ世界一の格式と重厚感で満ち満ちた舞台。そんな空気に押し負けしないベテラン名優らの演技には圧倒されます。レイフ・ファインズ扮するローレンス枢機卿は作品中99%苦悩してる。亡き法王の部屋で一人男泣きするほどに。そのしんどさは枢機卿といえど中間管理職となんら変わりなく見えて、俗世間の我々としても大いに同情してしまいます。 候補者のスキャンダルや聖職汚職やらをやっとこ片づけて新教皇選出までこぎつけたというのに、今度は前代未聞の事態が出来するとは。 おそらく人脈乏しい新教皇はローレンス氏を今後も近くに置いて頼ることになるのでは。 ああ、ローレンス枢機卿の心の平穏はいつになるやら。私はカソリックじゃないけれど、彼のために祈りたくなりました。[映画館(字幕)] 8点(2025-05-24 15:55:06)《改行有》 12. スイング・ステート 《ネタバレ》 現代アメリカの選挙狂騒っぷりを真正面からぶった切ってて面白かった。 民主党VS共和党という構図だけじゃなく、中央にいいように利用されて小馬鹿にされてきた地方の逆襲という筋書きもナイス。 お金なんですねえ、とにもかくにもこの民主主義社会は。 お金様が独り勝ち、というラストが直球すぎグロテスクすぎ。 S・カレルとローズ・バーンがやり過ぎなくらいにはっちゃけた怪演を見せてます。[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-05-12 23:44:00)《改行有》 13. 殿、利息でござる! 《ネタバレ》 18世紀の庶民の暮らしのリアルなところは歴史のメインとしては語られることが少ないですもんね。磯田氏が古文書を読み漁って発掘してくれたおかげで本作の歴史背景を知ることができてちょっと感銘を受けます。 宿場町に課せられた責務や支払いなど、理不尽にも思える決まり事があったとは。なんとなくお気楽さを感じるタイトルとはかなりかけ離れたシビアな生活なのだと冒頭から明かされます。 お話は興味深いし、役者陣も手堅い。(農民にしてはちょっと小奇麗すぎるけど時代劇ってまあそんなもんか)けど、映画作品に仕立てるために盛った家族ドラマの部分はややクサイ。 笑わせどころも泣かせどころもどっちもパンチ不足なのでコメディと言っていいのか戸惑う。 タイトルも本筋と違う印象を与えてしまうよね。わたしは困窮する藩の財政立て直しがテーマのコメディかと思ってました。[CS・衛星(邦画)] 6点(2025-05-11 23:19:17)《改行有》 14. タイム・アフター・タイム 《ネタバレ》 H・G・ウェルズと切り裂きジャックは同時代の人物なのですね。タイムマシンで逃げた殺人鬼を追うって筋は興味深かったけど、20世紀に来てからは半ば強引に恋愛話になっちゃったのが好みではなかったな。展開のキレも今から見るともっさりしてるし。 19世紀の世界でスタートした冒頭の雰囲気は素敵でした。こっちに来る前の方が面白かった、という意見にわたしも同意。[CS・衛星(字幕)] 6点(2025-04-30 23:41:09)《改行有》 15. ロストボーイ うん、つまんないな。でも画ヅラやフィルムの色味とか空気がザ・80's!という懐かしさでいっぱい。なんかこう締まりのない明るさで景気の良かった時の米国って感じがします。 音楽もだっさいなー。ロック系のを挿入曲に使う映画ってたまにあるけど、作品のテイストを一気に格下げする効果になってるやつしか見たこと無い。 それなりの脚本だけど時代も良かったし予算もついたのでしょう。わりと映像はしっかりしてます。制作陣がやりたいことはちゃんとできたんじゃないのかな。勢いはある。[CS・衛星(字幕)] 5点(2025-04-28 23:11:04)《改行有》 16. ボルベール/帰郷 《ネタバレ》 三世代の女同士のつながりで展開されるスペインの「カムカムエブリバディ」。でも日本の朝ドラと違って言葉はキツイし遵法精神は危ういし警察とかちゃんと機能してんのかいな、とツッコミどころ満載のメチャクチャぶりである。 だけどパワフル。力技すぎるきらいもあるけど、落としどころが愛だという意外性あふれるラストが鮮やか。 スペインぽく派手で強い。ストーリーも色彩も。女が4人集まると服の色が4種の原色で画面を彩る。そしてその色味の強さに押し負けしないペネロペの美貌の強烈なこと。昭和の百貨店で店頭を飾っていたマネキンみたいだと思った。八頭身で頭部が小さくて目鼻くっきり、本当にああいう作ったみたいな人種っているんだなあ。 その大きい瞳に涙をためて母だったり娘だったりの表情を演じ分けたペネロペ。彼女の演技に初めて見入りました。 このお話の続きを考えると心配なのは14歳の娘に出生の真実を話すのかな、ということ。明かすにはキツイ事実だけれど、彼女らの生命力の強さがあれば乗り越えられる気もするな。[CS・衛星(字幕)] 8点(2025-04-26 23:22:37)《改行有》 17. ダイナー(1982) 《ネタバレ》 誰にでも青春の終わりは来る。その時期を延長したくて「責任ある大人」になり切れず、だらだらとつるんでいるのよねこの5人組は。気の置けない生暖かな友人関係がうらやましい。 それぞれ抱える悩みはあるのだけど、あまり深刻にならないのは米国がイケイケだった年代背景だからか、あるいはチャラ男M・ロークのフットワークの軽さのせいか。 個性的な役者を集めてキャラ立ちさせて、描写するペアを変えながら話に化学変化を起こさせる監督の映画作りの巧さ。過剰なノスタルジーを避けてからりとしてるのも好印象でした。 男同士のノリに女は同化できない、という普遍の事実。しみじみと首肯する次第です。嫁になる相手に自分の趣味問題をテストするなんて、エディの結婚生活のこれからには不安しかないけどな。[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-04-17 23:14:59)《改行有》 18. ニトラム/NITRAM 《ネタバレ》 実際に起きた事件で、実在の犯人の名MARTINを逆さ読みしたのがタイトルなんだとか。 こんな話を聞くと出口がなくてやりきれなくなる。 ニトラムの犯した罪は裁かれるべきだけど、知能レベルの低い彼をこの行いに追い込んだと思われる原因が見当たらないんですよね。 両親は精一杯やっていたように見受けられるし、篤志家の存在などは普通に願っても得られないレベルの僥倖でしょう。ヘレンはさすがにフィクションかと思ったけれど、彼女もちゃんと実在したらしいです。 ヘレンの死や事件の犠牲者を出さないためには何ができたのかしら。ニトラムの母を演じたジュディ・デイビスの疲れた顔。中盤以降は息子に対して遠慮がちになっているその辛さがぐさぐさと刺さって切なかった。[CS・衛星(字幕)] 6点(2025-04-12 23:35:45)《改行有》 19. ビフォア・サンセット 《ネタバレ》 まさかの9年経ってからの「半年後」の答え合わせとは。いやあ・・、そうだったんだ。 9年分の熟成効果と言いますか、前作よりも渋みが増して良い仕上がり。もう「知らないカップル」ではないからかもしれない。 時を経てジェシーは“倦怠期気味の家庭持ち”になってるしセリーヌは独身をこじらせ気味。二人とも実年齢どおりに顔に年齢が刻まれているのが説得力半端なかった。 前作は一日あった二人の時間が今回はなんと1時間もない。そんな短尺を一本の映画にするにはイベントが少なすぎるのでは、という心配はもちろん無い。今作も会話のみだから。そして聞き入ってしまった彼と彼女の物語に。9年前綺麗だった二人がそのあとの年月をどう過ごしてきたのか。今どう暮らしているのか。気持ちは親戚のおばさん。 9年前に再会できていたらこの二人の関係はどうなっていたでしょうね?映画観た皆に聞いてみたい。 そしてまたもドラマの続きについてボールをパスされちゃった。上手いなあ。[CS・衛星(字幕)] 9点(2025-04-10 23:38:38)《改行有》 20. 恋人までの距離(ディスタンス) 《ネタバレ》 これは凄く攻めた脚本。男女の会話だけで一日分の時間を見せるのだから。あまりに何も起こらずしゃべってばかりの展開にたじろいだ。エリック・ロメールだってもう少し事件は起きた。でも観られた。なんだかんだ引き付けられたのは、E・ホークとJ・デルピー両者の役者の力とウィーンの美麗な街並みのおかげ。 そもそも知らんカップルのデートの様子など大方の人間が興味ないでしょう。個人的に恋愛モノで刺さる作品少ないし。でもイーサン演じるジェシーのアメリカンな熱の上げっぷりがリアルで微笑ましく、ジュリー・デルピーがもうとても綺麗で。立ち姿からきらっと輝く彼女は眼福でしたので、とりあえずこの二人に付き合うか、という気持ちにさせられました。 二人とも中途半端に大人な年齢なのですね。十代のように頭に熱がバーッと上がって恋愛まっしぐらにもなれないし、人生の苦い展開をちょっとずつ経験してもいるので今この時の感情に今後を委ねるふんぎりもつかない。 二人揃って相手の気持ちを量りつつ時間は過ぎて、さあどうするのとなった時にはお話は終幕。“その後”を観客に引き渡した粋なエンディングでした。観る者が100人いれば100通りのその後がありそう。 映像が大変キレイです。二人がたどったコースをもう一度振り返る数ショットも余韻があってハイセンスなのですが、そんな場面にあっても「公園に空き瓶とグラスを残していくなや」と思っちゃったワタシはやっぱり恋愛映画に向いてないのかも。[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-04-06 18:47:27)《改行有》
|