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プロフィール |
コメント数 |
17 |
性別 |
男性 |
年齢 |
50歳 |
自己紹介 |
色々と探り中です。 戦前戦後の日本映画好きですが、割と雑食です。 監督は1人あげるとしたら溝口健二監督です。 |
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1. 悪い奴ほどよく眠る
《ネタバレ》 高度成長期が始まった当時の日本において、市場原理主義から起こる社会の矛盾、事件を黒澤監督は危惧されていたのだろうと思える作品。
重厚なストーリー作りといいますか事件作りといいますか。
役者は佳子役の香川京子さんが素晴らしいですね。汚い意図が交錯した社会を描く作品の中で唯一の清純さを身を以て演じていると言いますかこんなにも清純無垢な役柄を演じられる人は少ないんではないかと思います。
三船敏郎さんについては、正直この作品の中ではあまり発揮しているようには思えません。むしろ三橋達也さんと役柄をチェンジした方が良かったのではないかと思えます。森雅之さんは完全に異なる人格にすっぽりとはまっていて名優ですね。
最後の電話でぺこぺこは黒澤の軽蔑が含まれているような気がしてなりません。
ところであのビルを模したケーキは食べられるんでしょうか。おいしそう。[DVD(邦画)] 8点(2014-09-13 17:36:11)《改行有》
2. 華岡青洲の妻
《ネタバレ》 市川雷蔵、高峰秀子、若尾文子、伊藤雄之助、浪花千栄子と、名前をながめているだけで気持ちよくなってくるような豪華キャスト。
見所の一つはやはり高峰秀子さんと若尾文子さんの関係性。
これは中々一口で語るわけにはいかないものでして。
尊敬もありお互いに愛情もありつつ、医者の家の女として争い、嫁と姑としても争い…。
一筋縄ではいかない人間模様を描いています。
冒頭しばらくは本当に幸せな世界なのに、市川雷蔵が家に帰って来ると同時に、よーいドンという感じでねちねちワールドが始まります。
中盤、一つのクライマックスとも言える人体実験を申し出る妻と母の激しい争いのシーンで。
それを仲裁する市川雷蔵扮する華岡青洲が怒る理由が、自分の麻酔薬に対する信頼性のなさからのものだったり。
後半、妻の出産と手術が重なって、どっちも無事に成功するのですが、出産後の妻にひたすら自分の手術の成功だけを喜び、語っていたり。
そういった「初めて全身麻酔による手術を成功させた医者」としての人物造形も面白いです。
冒頭ですが人生二度目となる於継(高峰秀子)と加恵の出会いのシーンの演出がまるで運命の出会いのようで大好きです。そのシーンの音楽が特に素晴らしい。
そしてこの作品における美術。これは溝口健二監督の後期の傑作郡を助監督として支えた宮嶋八蔵さんの仕事。その徹底した仕事ぶりが素晴らしいです。髪型から小道具から生活用具から嘘のない世界を作り上げています。
助監督としてクレジットされています。
それにしてもあの猫ちゃんたちはどうしたんでしょう…[DVD(邦画)] 9点(2014-08-14 13:20:51)(良:1票) 《改行有》
3. 乱れ雲
《ネタバレ》 丁寧な演出、という意味では全く衰える事のない成瀬巳喜男監督の遺作。
しかし正直どこか空気が抜けているような印象があります。
この映画における司葉子さんの美しさは非常に希有なものでありますが、加山雄三に惹かれていく過程は自分には見えませんでした。
加山雄三さんの方も、自分が撥ねて殺した人物の妻に恋していく葛藤が感じられず。
ラスト付近の瞬間瞬間の心の機微という部分に共感しがたいといいますか。
それとこんなことわざわざ書くべきではないかもしれませんが、森光子さんが、芝居の中で相手の話を聞いているようには見えず、様子を感じ取っているようには見えず。1人で芝居をしているように思えます。
浦辺粂子さん、加東大介さんはさすがの納得の演技でした。
これはある意味失礼な野暮な想像ですが高峰秀子さんならどう演じただろう、とか考えてしまうのであります。
結果的に成瀬巳喜男監督の最後の作品なわけですからね。
期待値が高すぎたせいか不満が残ります。[DVD(邦画)] 6点(2014-08-10 21:22:41)《改行有》
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