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【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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2. さらば友よ 正直、ストーリーは結構雑なところもありましたね。特に謎解きの部分は無理やりこじつけた感じであまり上手くない。しかし本作においては、ストーリーはあまり関係ないですね。アラン・ドロンとチャールズ・ブロンソンが共演したという事実こそが、一番の見どころです。 画的なことを考えてしまうと、ドロンほどの美男子と共演したいと考える男優はあまりいないと思うのです。絶対彼の方に目がいってしまいますから。しかしブロンソンは偉かった。お世辞にもハンサムとは言えぬ風貌ながら、円熟した男の色気で世紀の美男子を食ってしまった。『やっぱ男は中身で勝負でしょ!』と堂々と口にする勇気を彼からいただきました。ありがとう、ブロンソン! そしてラストのマッチの火の力強さ。まさに男の情熱そのものでした。久々に熱い漢の映画を観ることができました。[DVD(字幕)] 7点(2017-03-18 01:16:59)《改行有》 3. 黒蜥蜴(1968) 元々は、原作が江戸川乱歩の長編探偵小説を、三島由紀夫が戯曲化したものです。それを深作欣二監督が映画化しました。製作には主演の美輪明宏さんも関わっていたそうです。 映画を観て思ったのが、これが本当に1960年代の日本映画なのかということです。元々、戯曲ということもあり、とても言葉遊びの多い作品です。私は、言葉の多い映画はあまり好まず、映像で語る作品の方が好みなのですがこれは別です。詩的であり言葉の一言一句がとても美しいのです。日本語ってこんなにも美しかったのかと驚きました。まるでジャン・コクトーの映画を観ているかのようでした。舞台芸術を導入した装飾品もどれも綺麗で妖艶な雰囲気を醸し出しています。美しい背景に合わせるかのような会話劇は、全てが計算しつくされています。 本作をここまでの芸術作品に仕立てることができたのは、もちろん美輪さんの名演技があってのことです。何なのでしょうかあの甘美さは。男女の垣根を超え、まるで天人のようです。 仁義なき戦いや、バトル・ロワイアルといったギトギトした映画を撮る深作監督が、本作を撮ってしまうというのも驚きです。いやもう美しすぎて、ため息しか出ないですね。余韻がハンパありません。天才たちが集まると、こんな映画も作れるのですね。本作はホモセクシャルな描写があるためDVD化されないそうです。くだらないことを言ってないで早急にDVD化していただきたいものです。多くの人に観てもらいたい芸術映画です。[ビデオ(邦画)] 9点(2017-03-18 01:10:10)《改行有》 4. 何がジェーンに起ったか? 《ネタバレ》 大女優同士の壮絶な演技の応酬は迫力満点。ベティ・デイビスの狂気に満ちた演技も怖いが、ジョン・クロフォードの内に秘めた怒りを抑える演技もかなりの怖さである。幼少期、活躍する妹を尻目に不遇の扱いを受けるブランチ。「この悔しさは絶対忘れてやらない。」この一言が終始、重苦しい余韻を残す。ジェーンにどんな仕打ちを受けても反発もせず黙って耐えるのです。窓から助けを呼ぶことだってできたはずである。どこか、壊れていく妹を観察するのを楽しんでいるようにさえ感じました。海辺でブランチが、美しい妹が自分のものまねをするのを見て怒り、ジェーンが車で自分を轢き殺そうとしたように画策したことを告白します。その瞬間、ジェーンの鬼のような顔が穏やかな表情に変わりました。お互いライバルとして意識しすぎていたのである。アイスクリームを手に持ち、群衆の中で楽しげに踊る姿は子供返りしたかのようでした。スターになってしまったゆえに生じた、二人の間の軋轢からようやく解き放たれました。今後、厳しい残りの人生が待っているのだが、死ぬ前に人間味を取り戻しただけでも幸せなのではないでしょうか。[DVD(字幕)] 8点(2015-01-26 23:44:01) 5. 豚と軍艦 《ネタバレ》 とてもエネルギッシュな映画でした。まさにバカヤローな男どものドタバタ喜劇。とにかく、この映画の中の「男」に何一つ魅力を感じません。弱いものから金をせしめる。妊娠した彼女を簡単に中絶させる。引っ掛けた女を米兵に受け渡す。親分と慕われている銀次でさえ、胃潰瘍を末期がんと勘違いしノイローゼになる始末。これまでの日本映画のヤクザ像とは一線を画しており、高倉健の任侠映画の真逆を行っています。この男どもの末路も哀れで、自分の育てた豚に踏み殺され、ある者は便所の汚水に顔をうずめて死んでいきました。オーバーアクト気味な演技もなかなか面白かった。加藤武のいかれた演技、言動は異彩を放っていました。また、若干17歳の吉村実子の体を張った演技も凄い。吉高由里子の蛇にピアスの演技なんてまだまだ。若者の有り余るエネルギーが、全てマイナスの方向に放出してしまいました。普通なら陰湿な映画になってしまうところを、喜劇にしてしまう今村監督は凄い。まさに日本版ヌーヴェルヴァーグ![DVD(邦画)] 8点(2015-01-07 22:27:14)(良:1票) 6. マドモアゼル 《ネタバレ》 女性の恐ろしさをまざまざと見せつけられました。主人公のマドモアゼルはちょうど中年に差し掛かった頃の年齢で、肉体や性に関してフラストレーションが最もたまる時期である。冷淡で妖艶なジャンヌ・モローの演技からは大人のエロスを感じさせます。性へのストレスのはけ口として、洪水を発生させたり放火を繰り返したりします。群衆の中から、燃え盛る炎によって浮かび上がる彼女の姿はまさに魔女のようだ。凛とした中年のマドモアゼルがきこりを誘惑し、我を忘れ快楽に浸る姿に不覚にも魅了されてしまった。その後、彼女を強姦したと思い込んだ民衆にきこりは殺されてしまいます。何事もなかったかのように町を出るマドモアゼル。男は、とても彼女のように割り切れません。女性って死ぬまで嘘をつき通せてしまうところが凄い。この映画を観てつくづく、若いうちにたくさん恋愛したり、挫折を経験することって大事なことだと思いました。[DVD(字幕)] 7点(2015-01-07 00:24:27) 7. 恥 《ネタバレ》 家の近くでの激しい空爆、川に浮かぶ多くの死体。いままで観た戦争映画の中で、一番痛烈でした。最初のリブ・ウルマンが胸丸出しなのを全く気にしないあたりや、旦那の無関心な様子でこの夫婦の倦怠感みたいなものを感じました。それにしても、旦那さんが情けない・・・ 普段は威張っていて、奥さんがいるのに浮気を重ねても全く悪びれません。口から出るのは、自己中な言い訳ばかり。そのくせ、敵軍に囲まれるとパニックになり命乞いをし、持病の心臓発作を起こし奥さんに背負われ運ばれる始末。また、自分の保身のためなら、お世話になっていた市長を簡単に裏切り、軍の言われるままにピストルで撃ってしまう。映画でこんなサイテーなキャラを見たのは久しぶり。まあ、こんな極限状態に置かれれば人間そんなもんか?その点、やっぱ女性は肝が据わってるねー。人間の弱さ、脆さをここまで見せてしまうベルイマン監督ってやっぱ凄いですね。[DVD(字幕)] 9点(2015-01-02 13:33:08) 8. 恋人よ帰れ!わが胸に 《ネタバレ》 まあまあな出来だと思うけど、ビリー・ワイルダー作品にしてはいまいち物足りなかった。ジャック・レモンが鬱設定で、いつものように明るく軽快な動きがあまり見られなかったからです。ストーリーも淡々と進んでいき、最後もお得意のどんでん返しもなくあっさり終わっちゃいました。ストーリーはラグビーの試合中、カメラマンのヒンクルが勢い余ったジャクソンに体当たりされ病院送りに。怪我は大したことなかったが、悪徳弁護士で義理の兄でもあるギングリッチが、重症であることを装い賠償金をせしめようと画策するというもの。元妻のサンディも、ヒンクルの寄りを戻したい気持ちを利用し、ギングリッチに加担します。責任を感じ、ヒンクルを懸命に看病するジャクソンを見ていると、とても遣る瀬無くなってくる。最後も報われることなく終わっちゃったし。全て鑑賞しているわけではないが、ビリー・ワイルダー監督作品って登場人物が人情味に溢れ温かい物語というイメージを持っていました。こんなにも「情」のない映画って異例なのでは。[DVD(字幕)] 5点(2014-12-31 13:17:07) 9. 黒い画集 ある遭難 《ネタバレ》 この作品、山の厳しさがよく出ていたと思います。槍ヶ岳の頂上からの美しい風景にうっとりしたのもつかの間、数十分後には霧が巻いてきて天気が一遍します。山が牙をむいて人間に襲いかかってくる様は緊迫感があってよかった。児玉清の極限状態で精神的に蝕まれていく演技が一層、山の厳しさを引き立てました。ただ、ミステリーとしては無理があった。長期天気予報を見てこなかった。わざと休憩を多く取って疲れさせた。立山の地図を持っていかなかった。さすがにこれだけの情況証拠で殺人を認めさせるのには無理があります。江田が動機を語りだしたのにも正直驚いてしまいました。登山の最中、槙田がねちねちと江田を口撃して追いつめていったのは古畑任三郎みたいで面白かったけど・・・ 山より何より、わずかな出演にも関わらずあまりの美しさに私の心をわしずかみにした香川京子さん。ラスト、「山はまた二人の命を奪ってしまった。」とさらりと言い放った香川京子さん。あなたが一番残酷でした。[DVD(邦画)] 7点(2014-12-23 13:07:03) 10. 反撥 《ネタバレ》 目の接写映像から始まるオープニングが強烈。キョロキョロと動く眼球は生き物のようで不気味です。ここからすでにこの作品の不安定感を読み取ることができます。夜な夜な行われている姉と妻子持ちのマイケルとの営みに対し、激しい嫌悪感をいだきます。男性不信になり、恋人とのキスにすら抵抗を感じるようになる。しかし、それとは裏腹に性に対する関心がどんどん高まっていき、エッチな妄想をするようになります。この心の葛藤が如実に表れているのが、後半の大家との絡み。性に関心のあるキャロルは太ももを露出させ大家を誘います。欲情した大家が圧し掛かろうとすると嫌悪感がわいてきて、挙句の果てに切り殺してしまいます。なんてサディスティックな・・・そんな悩みを持つ女の子を、ありとあらゆる方向から撮ってしまったロマン・ポランスキー監督ってどんな性癖の持ち主なんだろう・・・ちょっと怖い。[DVD(字幕)] 6点(2014-12-10 22:09:51) 11. 大魔神怒る 《ネタバレ》 おーっ!今作の大魔神は湖底のポセイドンだった!前作と同じで勧善懲悪モノだけど映像の迫力がかなり増していました。湖が割け大魔神が現れる場面はまるでセシル・B・デミルの十戒の如きインパクト。暴風雨と共にゆっくり迫ってくる姿は恐ろしいですね。早百合を火あぶりにしようとした悪代官がラスト、船上で大魔神に焼き殺される映像が頭からはなれません。ちょっと物足りないのが、前作のように大魔神が見境なく暴れないところ。タイトルに「怒る」が付いてる割には、あっさり帰っちゃいましたね・・・[ブルーレイ(邦画)] 7点(2014-12-06 01:25:04) 12. 裸の島(1960) 《ネタバレ》 少人数のスタッフで瀬戸内の離島でロケを敢行。500万円程の低予算で撮影された。全編通して会話がなく、わずかな音響が入るだけの新藤兼人監督の異色作。ストーリーも単純で、前半は舟で島に向かい水を汲んでは坂を登り畑に水をやる。それを淡々と繰り返すだけなのだが全く飽きません。櫂で水をかく音、砂道を踏みしめる音。土に水が染み込んでいく音。普段、気にも留めない音がこんなにも美しかったのかと驚きました。後半、2人の子供のうち1人を病気で失います。クライマックスで乙羽信子演じるトヨの気が狂ってしまいます。水桶を投げ捨て大事に育てた野菜を引っこ抜いた後、静寂を切り裂くように泣き叫びます。(この作品での乙羽信子の唯一の肉声)ただ、すぐに我に返り生活のために畑仕事に取り掛かるのです。人生の厳しさ、残酷さを見せつけた名作。[DVD(邦画)] 8点(2014-12-05 22:33:42)
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